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「赤木博士が?。」

冬月は、ミサトの報告を聞きそう言ったきり絶句した。

自分達が、ゼーレとの会合、と言うよりは詰問会とでも言った方が正しい、に

出ていたり、日本政府の動向等を探っている時にまたしても本部施設内での不祥事

である。

しかも、重要な人物であるリツコが重傷を負ったとあっては目もあてられない。

「それで、赤木博士は今どこだ。」

だが、ゲンドウはいつもの様に顔の表情を隠して聞く。

「現在赤木博士は、エンタープライズに収容されています。」

ミサトは、ゲンドウの反応をうかがったが何も読み取れなかった。

「そうか、それならば問題ない。」

結局サングラスと、組んだ手によって喋る口元すら見れなかった。

「現在、赤木博士を欠いたままで実験等を行うのには問題があるかと思います。

さらに、昨夜の侵入者の件を考えますとしばらくはパイロットの安全のため

実験、その他のテストを中止することを進言します。」

ミサトがそう言うとやっと冬月が口を開いた。

「だが、昨夜委員会よりフィフスチルドレンが送られてきた。」

「フィフス、ですか?。」

いかにも胡散くさそうにミサトは聞き返した。

「そうだ、委員会は負傷した弐号機パイロットの補充として送ってきた。」

ゲンドウのこの答えにミサトは、委員会がまだエンタープライズとの関係を知っていない

事に気づくと同時にうっかりこの場でエンタープライズの名を出した事を悔やんだ。

盗聴されている事は明白であった。

「そうですか、それと後一つ伝えておく事があります。」

毒を喰らわば皿まで、とばかりにミサトは切り出した。

「どんなことだ?。」

ゲンドウがいかにも興味深げに聞いてきた。

「これです。」

ミサトが、なにか合図を送ったのだろう。

司令執務室のドアが開いた。

「おひさしぶりですな、碇司令。」

朗らかに挨拶を口にだし、加持リョウジがそこに現われた。

 

 

 



第5章 光と影のラビリンス PARTV

 

 

 

ライカーは報告のためにピカードの居る艦長控え室に向かっていた。

昨夜の、ネルフ本部内での惨劇、幸いに死者はでなかったが、のことで艦の監視体制の

強化、およびこれからたびたび現われるであろう監視衛星対策についてである。

「入れ。」

ピカードの声と同時に、ドアが開いた。

だが、ピカードは端末のモニターを眺めていてこちらに注意を見せるそぶりがない。

「艦長、センサー、スキャナーおよびその他探索機器の調整は終了しました。

それと、監視衛星対策ですが監視衛星の回路および通信機器に偽の情報を流すための

作業も終了しました。」

ライカーの報告で、ピカードははじめてライカーに顔を向けた。

「わかった、ナンバーワン。

偽の情報を使うのは君とウォーフの得意技だしな。」

ピカードはもう大分昔の話になるが、連邦として初の軍事演習をおこなった時の事を

思い出して言った。

その時は、フェレンギの介入でとんだ事になるはめになった。

ライカーと、ウォーフの指揮するUSSハサウェイがわずかだがワープできたこと、

そして、ウォーフ発案のセンサーに偽の情報を見せるという方法で機器を回避できたのだ。

「それと、艦の修復は100%終了しました。

これで、ボーグに破壊された部分、ボーグ化した部分ともどもありません。」

「そうか、使徒を攻撃したさい破損したフェイザーはどうだ。」

ピカードは、さらに聞いた。

第16使徒を倒す際、使った方法は思いの他フェイザーに負担をかけていたようでその後

不調を訴えていた。

「万全です、また同じ事をしてもそうそう簡単には壊れないでしょう。」

「そうか、わかった。

ところで、ウィル、地上に降りてもらうスタッフだがだれか推薦するものはいるか?。」

エンタープライズにもはや問題が存在していないことに安心して、ピカードはライカーに

聞いた。

「地上に行くスタッフですか?。」

ライカーは考え込んだ。

フェニックスを修理するときのように、機関部の精鋭を送り込むというのではすまない。

今回の、地上スタッフは使徒だけでなくQのような力を使う者とも対峙しなければならな

くなるかもしれないのだ。

それに、技術的な事はネルフ自身でなんとかなるだろう。

「そうですね、そんなに人数は必要ないでしょう。」

ライカーは、そう言ってからピカードが先ほどまで眺めていた端末のモニターに目を

落とした。

 

 

 

アスカは、目覚めから少々不機嫌であった。

いつもは、自分より早く起きるシンジがまだ目を覚まさないことが原因の一つ。

そして、昨夜リツコが負傷したという知らせがあったにもかかわらずレイが声をかけて

くれなかった事が一つ、最後にまだ朝食をとる事ができない事の計3つが原因であった。

「レイ、そういう時は起こしても構わないのよ。」

仕方がない事だと割り切って見様と思ったが、やはりしっくりこない。

なにか、自分達が酷く冷たい人間に見られてしまいそうだからだ。

過去、人との接触が少ないレイはこんな時の対処がままならない。

「その、ごめんなさいアスカ。」

「べ、別に謝れって言ってるわけじゃないのよ。

ただ、そういう非常時にはたとえ疲れてるようでも起こしてかまわないって言ってる

だけなんだから。」

ここで、相手がシンジだったら怒っているところだが、相手がレイではまだ怒るに

怒れない。

そういう事を、まったくしらないのだから。

「まあ、いいわ。

シンジを起こすわよ、すぐにリツコの様子をみてこなくちゃ!。」

そう言うと、寝ているシンジに向かって大声を張り上げた。

「起きなさい!!、ばかシンジ!。」

 

 

 

そのころ、ネルフ本部では困惑が発令所内に広がっていた。

「弐号機の補充パイロットが、もう来るなんて早すぎるよな。」

青葉シゲルが、日向マコトに話かけた。

「ああ、しかも委員会が直接送ってきたって言うからなあ。」

その会話を聞きながら、マヤは一人こころの内をつぶやいた。

「先輩が不在の時に来なくてもいいのに。」

「そうだな、テストや実験だけでも手間がかかるぞ。」

青葉が、それに答えて大儀そうに言う。

「それはないわ。」

突然割って入ってきたミサトの声に驚いて振り向く3人。

「ないって、葛城三佐それはどういう事ですか。」

日向は、直接の上司であるミサトにたずねた。

新しいパイロットが来るのなら、よほどの事がない限りテスト等は行われる。

それが、ないというのだからいわば普通の状況ではない。

「それは、今は明かせません。

ただし、赤木博士の復帰とともに新たな指示がでます、それまでのことです。」

ミサトの仕事口調に3人はそれ以上その事には言及しなかった。

「葛城三佐、赤木博士はいつ復帰されるんですか?。」

マヤは、上司の復帰を知る立場にある。

感情的にはそれだけではないが。

「まだ、決まっていません。」

エンタープライズからの連絡待ちと言うことである。

 

 

 

ライカーは一通りリストに目を通し地上に降りるクルーを数名選んだ。

「このメンバーなら、問題ないと思いますが艦長。」

「ふむ、そうか。」

そして、窓の方に目をむけると

「私の選んだクルーと若干違うが、ほぼ同じだな、ごくろう、ナンバーワン。」

その言葉を聞きライカーは、艦長室を後にした。

クルーが決まれば、次に必要なのは上陸用の装備だ。

 

 

 

シンジは、重い足取りで起きてきた。

妙に、服や体に甘いにおいが着いている気がしてならない。

「おはよう、アスカ、綾波。」

「なにがおはようよ、もうとっくに8時まわってるわよ。」

それは艦内時間の事ではなく、地上での時間である。

「え!?、じゃあ今日は学校に遅刻?。」

「今日はいかないわよ。」

アスカのその答えに、なぜ?という顔をするシンジ。

「赤木博士が、怪我をしたの、今はエンタープライズの医療室に居るわ。」

レイの言葉を聞き、

「リツコさんが怪我って、いつ?、なんで?。」

つい、取り乱したような口調になる。

「夕べよ、レイが電話をとって収容してもらったらしいわ。」

アスカが落ち着きなさい!、というジェスチャーをしながら言う。

「そう、よかった。」

心底ほっとするシンジ。

クリンゴン武術の訓練での筋肉痛も消え失せたようだ。

「電話がかかってきたときに起こしてくれればいいのに。」

「それ、アスカにも言われた。」

また少し暗くなるレイ。

「だからぁ、これからリツコの所に行くわよ!。

シンジ!、早く出かける準備をしなさい。」

アスカが高圧的な態度でシンジの顔に指を突きつける。

「でも、アスカ、まだ、朝…。」

「しなさい!。」

レイとアスカの二人が同時に強くシンジにそう告げた。

 

 

 

第壱中学校では、シンジたちが来ないことはよくあることなのでほとんどの者が気にも

止めていなかった。

ただ一人屋上にたつレイに似た者、ヘカテだけが、獲物が現われずに苛立ちを募らせ

始めていた。

とりあえず、校舎の裏の方に行くお下げ髪の少女をとりあえずの獲物と定めて降りようと

した時、その視野に校門のところに立つセーラー服の少女黒井ミサを見て慌てて姿を

くらました。

「なんや、いいんちょ、ごみ捨てかいな?。」

「あ、鈴原!、昨日ごみだすの忘れたでしょう!。」

「す、すまん、いいんちょ。

そや、わいがごみ箱もっていったる。」

二人は話ながら、校舎の中に消えていった。

 

 

 

ゲンドウは、目の前の銀髪の少年の資料をみていた。

「渚カヲル、本日付けでの着任を認める。

下がっていいぞ。」

だが、カヲルは下がらない。

「なにか、まだあるのか?。」

ぶっきらぼうを絵に描いたようにゲンドウは聞いた。

他には特にあるはずは無い。

今のところは。

「他のパイロット達にはいつあえるんですか?、碇司令。」

カヲルはのんきそうな話方で質問をしてきた。

「近い内だ。」

「近い内って言ってもねぇ。」

ゲンドウは少し顔をあげたが、また机の資料に目を落とした。

「近い内だ、と言ったぞ。」

そう一言告げた。

 

 

 

シンジは、エンタープライズの廊下を歩きながら昨日までとは少しちがう違和感を

感じていた。

自分の両脇に立つアスカとレイの距離が以前より近いのだ。

「アスカ、綾波、少し近寄りすぎじゃない?。」

いつもよりもさらに気弱そうな声で二人に問い掛ける。

「そんなこと無いわよ。」

ふたりとも、さも当然というような顔で答える。

シンジにはそれ以上言葉がでなかった。

学校にはいかないと決めた時点で、3人は私服に着替えていた。

とはいえ、レイの私服を決めるのに時間がかかったのだが。

シンジはエンタープライズのクルーとすれ違う時に何人かが顔に微笑みを浮かべる

事にたいして、なんとなく気恥ずかしさをかんじていた。

別に、3人を笑った訳ではなかった。

いや、厳密にいえば笑ったことにはなるのだろう。

だが、別に冷やかしたわけではない。

エンタープライズDが沈んで以降艦内に子供達の姿はない。

しかも、ボーグとの過酷な戦いをぬけた後の状態でこの世界の戦いに参加することに

なった。

そんな中、久しぶりに艦内を私服で歩く子供達をみたのである。

気分がなごんでの事出会った。

若いクルーの何人かは、彼等の普通の姿をみて思わず微笑んだだけのことである。

医療室に3人が到着し、リツコのバイオベッドに近づいた時そこにはすでにビバリーと

ピカードが来ていた。

「あら、あなた達学校は?。」

気づいたリツコが先に声をかける。

「なによ、リツコ結構げんきそうじゃない!。」

アスカは、エンタープライズに収容されたと聞きかなりの重傷を予想していた。

もしかしたら、話すことすらできぬほどに。

実際、収容されるまではそうだったが。

「リツコさん、もう大丈夫なんですか?。」

シンジが聞く。

「一応ね、まだすこしの間は前の様には動けないけどね。」

微笑みながら、リツコは答える。

「赤木博士、ごめんなさい。」

レイが謝るので、リツコは怪訝な顔をした。

「どうしたの?、レイ。」

「連絡が入った時にすぐ来るようにすればよかったと思って…。」

レイはすまなそうに言った。

リツコにしてみればそれは、別にたいしたことではない。

むしろ、急に謝られたことで一瞬ヘカテがレイの別人格かと思った。

もっとも可能性ははるかに低いと言うことは重々承知はしていたが。

「いいのよ、レイたいしたことじゃないから。」

そういうと、まだ少し自由が聞かない右手でレイの髪の毛をなでた。

「私もすぐに、下に戻るわ。

いろいろやっておかなければならないこともあるしね。」

3人に笑顔を向けてそう話した。

が、

「だめよ、まだ神経とアキレス腱の結合が安定していないのだからね。

あと1日か2日はエンタープライズにいてもらいます。」

ビバリーが強く否定した。

「でも、ドクターとりあえずは動けるのですし。」

ヘカテの事が気がかりなリツコは、早くネルフに戻りMAGIの検査を行いたかった。

ヘカテはリツコの命を奪い損ねた事により、ミサの他に敵を作ってしまったようだ。

「だめよ、この艦はただでさえ疲労していても休養しない人がいるんですからね。

これ以上、自分から体を壊す人を受け入れたくないのよ。」

「さて、私はブリッジに戻ろう。

いちおう聞きたい事は全部聞いたのだからな。」

ピカードは自分に矛先がむいた事によりこの場から逃げる事にした。

このところ、たしかにピカードの休養時間は減っているがいつものことだった。

そして、それに対してビバリーが文句を言うのもまたいつもの事である。

「では、シンジ君たちはゆっくりとしていきたまえ。」

そして、ピカードはそそくさと医療室を後にした。

「リツコさんは、じゃあしばらくはここに入院ですか?。」

シンジはビバリーにたずねた。

「入院?、ああ、医療室にずっと居る必要はないわ。

ただ、エンタープライズから出れないって事を考えてみると入院といえるかしら。」

ビバリーは、入院という24世紀では滅多に使われなくなった言葉に戸惑いながら

そう答えた。

「じゃあ、リツコ朝ごはん食べにいきましょう!。」

アスカがそう元気よく決定した。

「でも、アスカ、赤木博士もうご飯食べたかもしれないわよ。」

レイがそう言った時

「だいじょうぶよ、まだ食べていないから。」

リツコがベッドから降りながら答えた。

4人は仲良くつらなって、船内のラウンジに向かっていった。

 

 

 

バークレイはシフトを明けて、ラ・フォージュとラウンジに向かっていた。

ボーグとの戦闘で、かなりの数のクルーが同化されたため機関部のスタッフも

また少ない。

平時であれば問題のない数だが、今回のように修復作業とセンサー系統の改良、

そして、衛星用の目くらましなどを一挙に進行させるとなるとダブルシフト体制に

なってしまう事になる。

「バークレイ、艦長がせっかく1日休暇をくれたんだ。

楽しんだって、誰も文句はいわないさ。」

ラウンジに入ってから急に立ち止まったバークレイをみて、ラ・フォージュは言った。

 

エンタープライズの勤務シフトは、24時間を3つにわけて8時間毎に交代する。

今回、バークレイとラ・フォージュはトリプルシフトで仕事をこなした訳である。

 

ラ・フォージュは、声をかけてもなお立ったままのバークレイをみてなにか異変でも

おきたのかと思い、バークレイの顔を覗きこみながらもう一度声をかけた。

「レッジ?、どうしたんだ?。」

なおも。だまった立っている。

ラ・フォージュの目には、彼の身体変化が鮮明に見えていた。

体温は上昇して皮膚温度が上がっているし、心臓の鼓動も呼吸も上がっている。

「レッジ、医療室に行くか?、それとも保安部を呼ぶか。」

ラ・フォージュはわざわざ勘違いしたふりをみせてバークレイの意識を自分に向けさせた。

「べ、別になんでもありません中佐。」

「そのわりには、体温があがっているし、鼓動も早い。

働きすぎてどこか体の具合が悪くなたんじゃないのか?。」

ラ・フォージュは少ししつこくからかう。

別に、本気で体の調子が悪いと思ったわけではない。

「少佐、本当に体はなんでもないんです。

ただ、その、あの席にいる女性、あの女性は誰なんですか?。」

ラ・フォージュは、そう言われてバークレイの視線の先に目をむけた。

そこには、3人の少年少女とともに食事をしている妙齢の女性の姿があった。

ラ・フォージュは、その女性がどうやら昨夜運び込まれた人物である事に気がついた。

「さあ、誰だろうなぁ、聞いてきたらどうだい?。」

その、何処の誰がみてもその女性に対して一目ぼれをした事はあきらかな態度でうろたえ

るあがり症のバークレイの背中を押して目標に向かって無情にもラ・フォージュは前進を

開始させた。

 

 

 

ミサトは、フィフスチルドレンと対面していた。

今迄の誰とも違うその一種超然とした態度にミサトは不信感を抱いた。

「あなたが、弐号機の補充パイロットね。」

不信感を、表にださないように気を使って話す。

それだけでも、疲れてきそうな事であった。

「よろしく、葛城三佐。」

なにか、好きになれそうにない印象を持ちながらもミサトは顔合わせを終えた。

今日は、テストも実験もない。

彼、渚カヲルにはこの後ここでやってもらう事はなかった。

 

 

 

リツコは、野菜サラダとオレンジジュースという簡単な食事をとっていた。

昨日の今日では、まだそんなに食欲もないという状態だから仕方がないのだが。

「でもリツコいったいなにがあったのよ。」

アスカは、パンを飲み込んでからリツコに聞いた。

それは、シンジもレイも聞きたい事であった。

リツコが、怪我をしてそれもエンタープライズに収容されるなどと言うことは本部内で

予想を超える事態が起きた事の証ともいえるからだ。

「ちょっとした侵入者よ、ちょっとしたね。」

今は、まだその事について明かす気には、リツコはなれなかった。

自分を襲った相手が、レイの体を使っていた事を話ては今のレイには少々酷だと思い、

少し時を置くべきだと考えてのことだが、それ以外にもある。

「人がくるわ?。」

レイが、アスカの後ろに見える近づいてくる人影を見つけてつぶやいた。

つぶやいたとはいえ、一緒に食事している人間には充分聞こえる声だった。

全員が、その言葉の元の方に顔を向けた。

その中をバークレイは、ぎくしゃくとしたまるで人間らしくない動きでリツコとシンジ達

の食事をとっている席へ近づいた。

「あの、そう、食事中にすいません。

私は、レジナルド・バークレイと申します。」

バークレイはこれ以上はないと言うほどに緊張して、リツコに向かって自己紹介を行い

はじめた。

その、後ろのほうでラ・フォージュはカウンターに腰掛けて見ていた。

 

 

 

加持は、ゲンドウ達と話を終えて司令執務室から出てきた。

自分の存在がすでに死人である以上、ネルフ内で部署に着くとは思っても見なかった。

「ま、これもまた人生。」

これから、変更がなされるであろう組織内の事について思いを巡らせながらミサトの

部屋、作戦部長室に向かって行った。

 

 

 

「その、よろしければ今夜食事でもどうでしょうか?。」

バークレイは、この一言を言うのに今回のトリプルシフト以上の気力と体力を使ったかも

しれなかった。

「いえ、悪いけれど今夜は駄目ね。」

リツコはそう答えた。

バークレイは、目に見えて落ち込んだ。

「でも、ランチならいいわよ。」

続いてでたリツコの言葉に、コクレインと握手したときのような嬉しそうな顔をして顔を

あげて話だした。

「ありがとう、では、その時間に迎えにいきます。

又その時に、失礼します。」

嬉しさのせいかなにか言葉の使い方が変だったが、彼は今にも踊りだしそうな勢いで

ラ・フォージュの居るカウンターに向かっていった。

つい、今の今迄蚊帳の外だった3人は驚きのあまりリツコの顔をまじまじと見つめていた。

「な、なによ、3人とも。」

リツコは、戸惑って聞いた。

「だって、リツコが男の人の誘いにのるなんて…。」

どうやら、アスカが一番驚いたようだった。

「赤木博士、あの人の誘いを了承したのはなぜ?。」

レイはリツコとゲンドウの関係をうすうすながら判っていた。

それゆえに、了承したのが理解の外の事だった。

「そうよ、なんか冴えない感じじゃない。」

アスカのその言葉に、

「アスカ、それは悪いよ。」

と、シンジが言った。

「そうねぇ、でもアスカはシンジ君を始めて見たときなんて思ったの?。」

リツコが、反撃にでたようだ。

リツコは加持やミサト達から普段の様子や、噂話を聞いていたりした。

そのなかに、アスカが初対面のシンジに対して言った言葉を思い出していた。

「う、そ、それは。」

口篭もるアスカ。

「人は見かけに寄らなかったでしょ?。」

微笑みながら、3人に向かって優しくそう言った。

 

 

 

艦長室に来客を告げるアラームがなった。

「入れ。」

ピカードの声に反応してドアが開いた。

「スァヴァック大尉出頭しました。」

若いヴァルカン人の大尉が背筋をのばして報告する。

「タオ中尉出頭しました。」

こちらも若い、ベイジョー人の中尉が報告する。

「楽にしたまえ、二人とも。」

ピカードがそう言うとベイジョー人の中尉は休めの姿勢をとったがヴァルカン人の大尉は

そのままの、姿勢でいた。

「数名が地上におりて活動することは聞いているな?。」

「はい。」

「だが、君たちはそのチームとは別に地上で行動してもらう。

主な任務はパイロット3名の護衛だ。」

ピカードがそう言うと、スァヴァックが口をひらいた。

「艦長、お言葉ですが護衛であれば保安部の人間に一任するのが論理的です。

私は、科学班の者です。

護衛は専門外です。」

「そうです、私は機関部員ですし、今回の人選は違っているように思えます。」

タオもまた、疑念を口にだした。

「君たちに護衛という事が専門外なのは判っている。

だが、今回はあえて君たちが最適の護衛となる可能性をもっている。」

ピカードは、座ったまま二人の顔をみた。

「その理由はなんですか?。」

スァヴァックが感情を見せずに質問する。

もとよりヴァルカン人に表だった感情はない。

「君たちの論文を以前読んだことがあるよ。

タオ中尉、君の“各国の神話伝説における超越的存在”は粗削りだったがなかなか興味

深いないようだった。

スァヴァック大尉、君の“恐怖による心”もまたよかった。」

ピカードが突然今回の上陸になんの関係も無いことをいいだしたので二人は困惑した。

「君たちが相手をするものは、神話や伝説に言う魔女だよ。」

 

 

 

「ま、まじょおぉ?。」

シンジ達3人の船室に行き、そこでリツコは始めて自分を襲った相手に対する具体的な

事を教えた。

「リツコさん、冗談は止めてくださいよ。」

シンジもさすがにあきれた顔をしている。

だが、3人ともリツコの顔をみてリツコが場を和ますために冗談を言ったわけでは無い事

を悟った。

「魔女かどうかはわからないわ、でもね超越的な力を持っていることは確かよ。

そして、そいつは貴方達を狙って居ることもね。」

リツコは記憶に残っている事をはなした。

とはいえ、相手がレイの姿をしている事はまだ話してはいない。

地上に降りてからでも遅くはないだろうと思っていた。

「ヘカテは、黒井ミサという人物をそうとう怨んでいるようだわ。」

「く、黒井ミサ?。」

「ええ、そうよ?、同じような力を持っていたわ。」

「あの、ミサがそんなすごいことやるなんて。」

アスカが、信じられないというそぶりを見せる。

「知っているの?。」

今度はリツコが驚いて聞いた。

「ええ、何度か会った事があります。」

シンジの答えに、リツコは言葉もなかった。

 

 

 

ピカードの説明を聞き二人は納得した。

たしかに、自分達が選ばれた理由は納得がいった。

「たのんだぞ、二人とも。

相手が本物であれ、偽者であれ君たちにしか出来ない事だからな。」

その言葉をうけ、二人は外にでた。

 

 

 

 

『航星日誌西暦2016年1月13日水曜日。

我々は、この世界にもいる超越的存在の事を知るに至った。

パイロット3名の安全確保のため、2名の護衛をその存在専門につけた。

だが、彼等を助けることができるかどうかは私自身にもわからない。』

 


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ver.-1.00 1998+02/28公開
ご意見・ご感想は 第135宇宙基地まで!!

さて、オリジナルキャラクターのスァヴァック大尉と、タオ中尉です。

今回はイメージする色がみあたらないのでSがついてたらスァヴァック、Tはタオです。

S相変わらず、非論理的な物事の考え方ですね。

T私たちの性格設定も考えてないのですよね。

いやいや、そんなことないですよ。

スァヴァックはヴァルカン人の常でわけのわからない戯れ言をいうっしょ。

タオはタオでベイジョー人のつねで美少年に目がない。

S、T…

な、なんですかー、その目はぁ。

Sいえ、どこかのパロディと変換されているようですので。

う、そういえば変かな。

Tだいたい、まだベイジョー人といったらキラ少佐しかしらないのでしょう?。

そうそう、そうなんだよねー。

S、Tふう。




 SOUさんの『FIRST CONTACT』第5章PartV、公開です。




 魔女関係の専門家〜


 エンタープライズ凄い!

 科学からオカルトまで、
 正に何でもござれ!



 ガード役に任じられた二人。

 少しは安全になったかな?
 そんなに甘くない?

 表だって動くようになった加持もいるし、
 安心だと思いたいな・・



 さあ、訪問者の皆さん。
 SOUさんにあなたの感想を送りましょう♪


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