僕は窓を眺めて、ふと思い出した話をした。
「そう言えば、アスカ傘持ってきた?」
「えっ・・・」
アスカの顔色が一瞬で赤くなった。
「も、持ってきてなかったのよ。ほ、ほら朝は雨降ってなかったでしょ。」
「でも僕傘一本しかないよ。折り畳み・・・。忘れて来ちゃったみたいで・・・・・。」
「いっ、一本あれば十分じゃない。」
「僕は・・・?」
「アンタねぇ、私はいくら何でもアンタにだけ濡れていけなんて言わないわよ。ほら男物の傘っておっきいじゃない。60cmだしさ。だから、その・・・私がその傘の半分に入ればいいのよ!!」
僕はアスカがあんまり大声で勢いよく言うので驚いてしまった。が、アスカがいってるのって・・・・・その・・・相合い傘?
アスカの思いもしない一言にが二人きりの教室にいやに響いて、僕は恥ずかしくなってしまった。
沈黙に耐えきれず先に口を開いた。
「・・・いいよ、僕が濡れていくから。」
「あんたねぇ、そんなんじゃ私のプライドが許さないの。いいから一緒に行けばいいのよ。男なんだから文句言わないの。それに私が傘持たなくて済むし。」
「あ、そういうことか・・。」
「な、なにがっかりしてんのよ。ほら、テストに遅れるから早く行きましょ。」
アスカに圧倒されながら、僕は、アスカと一緒に1本の傘で本部まで行くことになった。トウジ達が先に帰ってて良かった。ひやかされるところだったよ。
外は相変わらず土砂降りだ。
アスカは僕の隣で、歩いている。
僕の歩調に併せつつ。
いつもなら僕より速く歩いて
「おそいわよ、バカシンジ」とか「早く来ないと、おいてくわよ」などと
罵声を浴びせながら歩いてる彼女の姿を思い出して
いつもならうっとうしい夕立の雨に少しだけ感謝していた。
アスカは隣で、雨がどうとか、積乱雲がどうとか、今流行の映画の話とか、最近買ったCDの話とか
楽しそうに話しかけている。僕はそんなアスカを見て、
天才、天才とうたわれている彼女がなんか普通の中学2年の女の子に見えてならなかった。
そんなときに
ピカッ
ドゴーーーーン
「キャァッッ」
雷がすぐ近くに落ちた。光と音がほぼ同時だった。
「なんか、かなり近くに落ちたね・・。」
「・・・・・そうね・・・・。いきなりでびっくりしたけど。」
「ねぇ、雷、あのあたりに落ちたと思うんだけど、」
「そうねぇ、あのあたりね。あのビルかしら。そういえば停電も起こってるわねぇ。」
確かに、停電になっている。
「ほんとだ。だいじょぶかなぁ。」
「安全装置が落ちたのね。すぐに復旧するんじゃない。」
「いや、そうじゃなくてあのあたりって本部の真上じゃないかなって」
「あ・・・・・だいじょうぶじゃない。なんせ本部は地下だし」
「そっか。」
そんなこと言っている内に、NERV本部に着いた。
いつものようにエレベーターを降りていく。本部はいち早く停電から復旧しているようだ。そのままアスカと別れ更衣室に行く。そしてプラグスーツに着替え、更衣室を後にした。
それとほぼ同時に呼び出しアナウンスがなった。僕は急いでケージまで降りていった。
一方変わって発令所
「LCL注水・・・・・・・・・・・・完了」
「セカンドチルドレン、サードチルドレン、エントリー準備整いました。」
マヤの威勢のいい声が響く
「わかったわ、ではテスト開始。今日は大事なテストだから。何かあった場合はすぐ報告して。」
リツコはいつもの手順で素早くテストの準備を行っていく。
「解りました・・・・・・・シンクロテスト開始します。」
テストが開始された。
「アスカ、シンクロ率がなかなかいいわね。+1.25%よ。」
「シンジ君の方も異常なしね。シンクロ率は67.89%、まずまずね。アスカと一緒に会議室に来るようにも言って置いて。」
「解りました。」
「ふたりとも、あがっていいわよぉー。」
ミサトが二人に声をかけた瞬間であった。
「待って、何か変よ!!」
リツコが計器の異常を発見した。
「実験体の電圧、電流一気に上昇します。原因不明!」
「パイロットの生命維持に問題発生!」
「どうしたの?」
「原因・・・わかりました。落雷の電流がセントラルドグマの配電線を伝い流れてきています。」
「A,B,C・・・全地区は自動で絶縁完了しましたが、プラグは無防備であったため、プラグに電流がかかってきています。」
「プラグ内部が電流により発熱をはじめています。」
「プラグ回線、送電線、非常回線、外部電源を全てカット、急いで!」
「・・・・・・・・・・・」
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「はっ、なんだ?」
僕は気付くとエントリープラグの中で気を失っていた。
そう言えば、僕はシンクロテストの途中だったんだ。
なんでテストの最中に気を失ってるのか?なんでテストなのに実験司令室の回線が開いてないのかという疑問が湧き
慌てて通信回線を開こうとすると、アスカの回線しか開けなかった。どうなってるんだ?
とりあえず生きている唯一のアスカの回線を開いた。
すると、アスカが気を失っている・・・・・!
選択肢:2
プラグを内部ボタンから射出。実験体を伝って、外からアスカを呼ぶ。
アスカに必死に呼びかける
第弐話です。この話では新たに3人が登場しましたね。今後、オリキャラは出さない方針ですが、出さざる得なくなるかも。とりあえず物語の分岐で、第壱話は大きな分岐点ですが、どちらに進んでも後悔をさせないようにはします。 ストーリーは大きく違うんですよ。
これで僕の書き始めていたものとつながるんですよ。はぁ。
BGM:「ヴェル・エール〜空白の瞬間の中で〜」 by MALICE
MIZER
片方がシリアスに走りそうなので、らぶらぶに・・・・。と思ったらなんかシリアスっぽくなって・・。らぶらぶが書きたいのにぃ・・・。
こんな駄文ですが、感想くれるとありがたいです。 「ヴェル・エール〜空白の瞬間の中で〜」を聞いたことのない方は聞いてみてください。この小説を書く上でかなりの影響を受けています。(本当に?)
きっと、これも少し改訂するかと思いますが、多分付け足し程度です。今度はこんな事はないでしょう。