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佐門の部屋5000HIT記念

 

 

うた

 

 

 

…………願わくば、これを過ぎ去った仲間達に捧げたい…………

 

 

 

 

 

 

 

 

僕は壊れていた

母さんが死んだとき

父さんに捨てられたとき

壊れた。

自分が怖かった

だから、仮面を被った

やさしい、素直な、いい子になろうとした

 

 

 

 

そうしないと、みんな怖いから

そうしないと、みんな優しくしてくれないから

そうしないと、みんな逃げて行くから

 

 

 

 

だから、仮面を被った

だけど、悲しかった

僕自身は、いつも一人だから

僕はずっと一人きりだと思っていた

誰も知らない僕

 

 

 

でも

彼女に出会った

優しかった

僕は初めて人を好きになった

だけど怖かった

本当のことを知ったら

逃げていくだろうな

気味悪がられるだろうな

仮面は被ったままだった

彼女は強かった。

そして、優しかった、暖かかった

僕の仮面は消えていく

その中身を見たとき

彼女は泣いていた

悲しいね

寂しかったね

強いのね

強い?この僕が、何故だろう、分からないや

けど、初めて見てくれたんだ

僕は彼女に自分を見つけた

彼女は心から愛してくれた、こんな醜い僕を

僕も彼女を心から愛した

彼女のすべてが愛しい

優しい瞳

綺麗な唇

柔らかいショートカットの髪

整った顔立ち

華奢な体

ちょっと少女趣味な行動

暖かい言葉

彼女は

時には、姉のように

時には、友達のように

そして、恋人の僕を

優しく、暖かく、厳しく、包んでくれた

仮面はもう必要なかった

 

 

 

 

年上の彼女は

僕によく言っていた

私が先に死んでも

仮面はもう被らないでって

生きていってねって

そんなとき

僕はいつも泣いていた

分かったから、そんな悲しいこと言わないで

僕の体と魂のすべてで守ってあげる

だから、そんなこと言わないで

他人とふれあうことが怖くなくなっていった

僕の親友もできた

仮面を被らなくていい人たち

幸せの意味が分かった

明日が楽しいって分かった

でも、ときどき眠れなくなるときがあった

怖かったんだ

とても怖いこと

夢のようだから、夢が覚めるかもしれない

すべて無くなるかもしれない

そんなとき

うたを、うたってくれた

優しいうた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕の魂は癒される

 

 

 

 

 

 

 

 

 

でも、ある日

彼女が壊れた

僕の目の前で壊れた

カノジョガコワレタ

コワレテシマッタ

ジグソーパズルノヨウニコワレタ

分からなかった

なぜだか分からなかった

僕は彼女のピースを集めて元に戻そうとした

彼女を集めた

一つ残らず集めた

助けなければ

助けたら、また笑ってくれる

早く助けなくっちゃ

早く

早く

早く

早く

 

はやく

はやく

はやく

 

ハヤク

ハヤク

ハヤクナオサナクッチャ

ハヤクナオサナクッチャ

ハヤクナオサナクッチャ

ハヤクナオサナクッチャ

ハヤクナオサナクッチャ

ハヤクナオサナクッチャ

 

 

 

 

デキタ

ヨカッタ

コレデワラッテクレル

コレデウタッテクレル

コレデイッショニイラレル

サビシクナイ

ヨカッタ

サビシクナイ

ヒトリジャナイ

 

 

後ろから誰かに肩をたたかれた

誰だろう

じゃましないで欲しいな

もうすぐ彼女は笑うのに

僕に笑ってくれるのに

警察の人だった

僕に訳の分からないことを言った

 

 

もう

彼女は

死んでる

 

 

 

 

事故のことを

話して下さい

 

 

 

 

この人は何を言ってるんだろう

だって彼女は生きてるんだよ

 

 

誰かが彼女を連れていった

救急車が走っていった

分からない

どこにつれて行くんだよ

返してよ

なにするんだよ

早く会わせてよ

 

 

彼女が目覚めるのに

彼女が目覚めるのに

気がついたら知らないところにいた

ずっと、走っていたんだろうか足が痛かった

僕は一人で歩いていた

彼女はどこへ連れて行かれたんだろう

お腹空いてないかな

寂しくないかな

いやなことされてないかな

泣いてないかな

約束したんだ

僕のすべてに替えても守るって

早く見つけてあげなくっちゃ、早く助けてあげなくっちゃ

彼女をさらった奴が憎かった

絶対許さない、許さない

殺してやる、殺してやる、殺してやる、殺してやる、殺してやる、殺してやる、殺してやる、殺してやる、ころしてやる、ころしてやる、ころしてやる、ころしてやる、ころしてやる、ころしてやる、コロシテヤル、コロシテヤル、コロシテヤル、コロシテヤル、コロシテヤル、コロシテヤル、コロシテヤル、コロシテヤル、コロシテヤル、コロシテヤル、コロシテヤル………………

 

 

ふと立ち止まった

電気屋さんのテレビで彼女のことを言っていた

 

 

…………今日、…時…………………で……故が………………………なお…………害者の……………さんは…………………………即死で…………………警………………ダンプ……………………さんは……………………………………………………………………………………………………………………………

 

 

なんで

 

 

彼女は生きてるのに

 

 

即死

 

 

ダンプに跳ねられて

 

 

 

何を言ってるんだろう

 

 

分からないや

 

 

 

 

そのとき、僕の親友の一人を見つけた

赤い髪の綺麗な、僕の親友

彼女は僕の肩をつかんだ

 

 

何やってんのよ

みんな探していたのよ

どうしてよ

彼女は泣いていた

 

 

 

 

どうしたの

それより、探すの手伝ってよ

彼女がどこかにつれて行かれたんだ

ハヤクタスケナクッチャ

ハヤクタスケナクッチャ

ハヤクタスケナクッチャ

ハヤクタスケナクッチャ

ハヤク

ハヤク

ハヤク

ハヤク

ハヤク

 

 

 

あんた………

 

 

 

彼女は僕を妙な目つきで見た

昔を思い出す目

いやなことを思い出す目

僕を見る目

 

 

 

 

……マヤは死んだのよ!……マヤは死んだの!

……しっかりしなさいよ…………

……あんたが……こんなんじゃあ

……マヤは悲しむよ……………………

……マヤは死んでも死にきれないよ…

……現実を見なさいよ……………

……帰ってきなさいよ……………

……悲しいのはあんただけじゃないのよぉ………………………………………………………

 

 

 

 

シンダ

ダレガ

シンダ

カノジョガ

シンダ

ナゼ

シンダ

ボクガ

マモレナカッタカラ

シンダ

イナイノ

ドコニモ

イナイ

タスケラレナイ

ヤクソクシタノニ

ヤクソクシタノニ

ボクガ

マモル

カノジョヲ

マモル

ダレガワルイノ

ボクガワルイ

ボクガワルイノ

ワルイノハ

ボク

カノジョガ

シンダノハ

ボクガ

ワルイカラ

ヤクソクヲ

マモレナカッタカラ

シンダ

ニクシムノハ

ボク

ニクシミヲウケルノハ

ボク

バツヲアタエルノハ

ボク

バツヲウケルノハ

ボク

 

 

 

 

目の前に血が広がった

真っ赤なシミ

誰のシミ

広がっていく

シミ

転がる体

モノ

 

 

 

 

 

アツメルボク

 

何を集めてるの?

 

カノジョノブヒン

 

何をしてるの?

ナオシテル

 

どうして?

 

バラバラダカラ

 

どうしてバラバラなの?

ダンプニハネラレタカラ

 

 

どうしてダンプに跳ねられたの?

 

ボクガマモレナカッタカラ

 

 

どうして守れなかったの?

 

どうして?約束したのに

 

どうして?

 

どうして?

 

どうして?

 

どうして?

 

 

 

ウアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

 

 

 

 

僕はそれからのことをあまり覚えていない

ただ

いやな目が僕を見てた

昔、怖かった目

 

 

 

狂ってる

 

    ……ソウダヨ

 

壊れてる

 

    ……モトモトダヨ、シラナカッタノカイ

 

あいつはもうだめだ

 

    ……ナニガ

 

立ち直れないね

 

    ……ソウダネ

 

可哀想に

 

    ……ドウジョウナンテイラナイ

 

 

 

 

怖かった

悲しかった

寂しかった

だから

周りを傷つけた

僕に近寄れば

みんなが傷つく

だから

先に傷つけた

そうすれば

もっと傷つけずに済むから

僕から離れていけば

傷つかなくてすむことを教えた

はじめは慰めてくれてた親友も

去っていった

これでいいんだ

これ以上みんなが傷つくことはないんだから

 

 

 

嘘だ!嘘だ!嘘だ!

 

 

 

自分が憎いんだ!

彼女を殺した自分が憎いんだ!

他人を傷つけた方が苦しいから、だからみんなを傷つけた

ひどいことを言った、ひどいことをした

卑怯なのは僕、狡いのは僕、罪人なのは僕、憎いのは僕、殺してやりたいのは僕

 

 

 

 

時間がたつにつれ

彼女がいないことが理解できるようになった

 

彼女は笑わない

 

彼女はうたわない

 

彼女は愛してくれない

 

彼女は包んでくれない

 

彼女を守れない

 

彼女を愛せない

 

彼女を見れない

 

彼女を抱けない

 

仲間ももういない

 

僕は一人に戻った

自分が許せない

こんな奴は一生苦しめばいい

殺してやるもんか

死んで逃がしたりしてやるもんか

生きながら一生苦しみを与えてやる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

仮面は

鋼鉄の仮面に

なった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全てが、もう終わったんだ

あれから、数年がたった

僕の魂は壊れていくだけだった

大きな穴

渇いた心

あまりにも寂しい

時々、仮面を脱いだ

いや、ふりをしたんだ

少しだけ見せた心

でも

 

怖がる人もいた

 

気持ち悪がる人もいた

 

上辺だけの同情を抱く人もいた

 

寂しい

彼女はもういないのにまだ探している

もういないのに

分かってくれる人はいないのに

 

 

 

 

仮面を被っているときは

結構うまくいく

明るく、楽しく、適当にやっているふりをする

人当たりがいいふりをする

もう一人の自分を演じ続ける

 

楽しいかい?

 

でもそうしなければならないんだ

でないと偽りさえも消えてしまうから

さあ、もう寝よう

明日も早いんだ

起きて、演じなくちゃいけない

生きるために演じなくちゃならない

これが僕の仕事なんだ

 

 

 

 

でも、その前にあなたに伝えるよ

僕は生きてるよ

何度も死のうかと思ったけど死ねない

自分が憎いから

あなたとの約束を思い出したから

だけど、仮面は被ってしまったんだ

僕の魂は前より壊れてしまったからね

生きていくためには仕方がなかったんだ

寂しいけど

辛いけど

悲しいけど

生きていく

約束だから

ただ、仮面を被ったことは許して欲しい

でないと、約束を守れないんだ

ごめん

許して

もう一度会えたら、今度こそあなたを守ってみせる

こんな壊れた魂でよかったら、いくらでもあなたを守るために投げ出す

二度と同じ過ちはしない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………嘘だ!

 

 

 

 

僕はそんなに強くないんだよ!

お願いだよ、帰ってきてよ!

もう一度、笑ってよ!

優しく、うたってよ!

静かに、抱きしめてよ!

寂しいんだよ!

辛いんだよ!

悲しいんだよ!

一度、安らぎを知ったから昔みたいにできないんだよ!

あなたがいないとダメなんだよ!

あなたしかいないんだよ!

もう嫌だよ!

もうたくさんだよ!

 

 

もういいよ……誰か僕を殺してよ……お願いだ………僕を殺して……

 

 

end

 

 

 


ver.-1.00 1997-10/28公開
ご意見・感想・誤字情報などは samon@nmt.ne.jp まで。

 

かなり気分も害された方も多いと思います。

すいません。

これは、昔バンドをした時、作詞した歌にエヴァの色を入れリテイクしたものです。

結局一度も日の目を見なかったため、出してみました。

此処が「終焉の果てに」の原点です。

本編は、こんな救いがない終わり方はしません。

でわ。

 


 佐門さん初の短編『うた』公開です。
 

 自分を隠す仮面。

 外しておちてまた被って。
 

 乗り越えて向こう側に行った心。
 

 狂気って紙一重ですよね。

 

 

 本編での救いを激しく求めちゃいます(^^)

 

 

 さあ、訪問者の皆さん。
 順調に部屋HITを伸ばす佐門さんに感想メールを送りましょう!

 

 

 

 本編第拾話と同時に受け取っておきながら
 UPする順番を間違えてしまいましたm(__)m

 もう9000近いですね(^^;


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