TOP 】 / 【 めぞん 】 / [TOMY]の部屋




 

目を見張る、絶景の渓流で顔を洗う少女が居た。

 

 

「ぷはぁぁぁ。いい天気ねぇ。」

空を見上げ、その力強い太陽の光を遮る為に思わず手をかざす。

 

其処には、黄金の虹がかかっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Period 

 

 

 

 

 

 

その日は驚くべき晴天で、絶好の家出日和だった。

 

もう私はどぉでも良い存在になったのよ。

 

使徒はもうこない

シンジと私が倒しちゃったから・・・。

シンジと倒したって・・・認めたくはないけど、あいつが居なかったら倒せなかったっていうのも事実。

 

一度はプライドをずたずたに引き裂かれて、ネジが飛んだみたいになってた私だけど、

いつまでもあんなにグジグジしてられないわよ

 

で、まぁ、最期の使徒とかいう奴を倒したわけだけど・・・。

どうもまぁ、そいつが強くて強くて、人間みたいな形してるんだけど

なぜか、ATフィールドに干渉されずに、素通りして突っ込んでくるのよ、

けどシンジと倒したのよ。

すごいでしょ。

 

で、こいつが最後の使徒だって司令が言い出して、

NERVがいきなり解体されはじめて、秘密組織じゃなくなって

 

そうやって、私はフツーの中学生として、世間に返されちゃったわけ。

私はEVAに乗る為に、小さい頃から散々苦労して、厳しい訓練にも耐えて

そうして、アイデンティティーを見つけたのよ

そのEVAも、もう、二度と動かすことはないっていうし・・・

 

もう、どうやって生きていけばいいのか分からないのよ!

 

それで、こんな山奥に逃げてきたわけ・・・

どうしてか知らないけど、凄くいい天気。少しの間なら、全部忘れることができそう・・・

 

 

 

 

じょぼじょぼじょぼじょぼじょぼじょぼじょぼじょぼじょぼじょぼじょぼ 

「って、あんた其処で何てことやってんのよーっ!!!」

 

 

 

自分が顔を洗い、水を飲んだ5,6メートル上流で、用を足している男、いや、少年が居た。

 

「やぁ、ひさしぶり!」

 

少年はアスカの声を少しもきかずに、用を足し続けながら、訳の分からないことをいった。

「ひさしぶりって、あんたなんかとあったことなんて無いわよ。
どうでもいいから、アレをしまいなさいアレを」

かおをまっかにして、アスカがいう

「あぁ、でも、○○○は急には止まらないって・・・ぐわぁ」

 

ミシ

石が、その少年の急所にヒットする。

 

苦しみながらも尚もしぶとく用を足し終えると、少年は清水で手を洗い、

アスカの方に近づいてきた。

 

「やぁ、ひさしぶり。・・・名前は忘れたけど・・・」

 

「だーかーらー、あんたなんかと会ったことなんて無いわ!」

「いやー、会ったことあると思うよ」

「デジャブーよデジャブー。既視感てやつ。まっ、こんな美少女とダブるよーな子なんて
この世には一人たりともいないでしょうけどねっ!」

 

「へー。そうか。なるほどねぇ・・・。」

「なぁに納得してんのよ!ところで、あんたこんなとこでなにやってんのよ」

「いやいやこんにちは、名前はなんて言うの?」

「あんたバカァ?こんな山奥でナンパ?だいたい、レディーに名前聞く時は自分から名のるもんよ」

「ぼくはここに住んでいるんだ。何してるって、君こそなんでこんなとこに居るんだよ」

「私の名前はそうりゅうあすからんぐれい。」

 

 

 

 

「「・・・・はぁ」」

「話がかみ合わないわねぇ」

「そうだねぇ。」

 

「はっ!何時の間にか、どさくさに紛れて私だけ名のっちゃったじゃないの!あんたの番よ」

「あっ、ぼく?」

「あんた以外誰がいるのよ」

「ぼくは、カヲル、渚カヲル」

「カヲル?そう言われれば、私も聞いたことがあるような無いような・・・」

「ほらほら」

「・・・とにかく!あんたここで何してんの?」

「だから住んでるんだってば!」

「ここで?誰と?」

「独り暮らし。」

「あんた何歳?」

「うーん、何年ぐらい生きたかなぁ。」

「もしかして、アンタ野生児?」

「そうだなぁ、七十億年ぐらいかなぁ」

「あっ、あっはっはっはっはっはっは」

「うん、そのくらいだ」

「ひえっひえっひえっ、ひゃっひゃっひゃっ」

「変わった笑い方だねぇ・・・」

「だって、ひゃっ、あんた、ひっ、七十億年って、ひぇっひぇっ」

 

シンジは常日頃、こう言っていた「アスカってば、ちょっと笑いのつぼがずれてるんだよねぇ」

 

 

 

「ひっっひっひっ、あんた、面白いワ!あんたの家って何処よ、連れてって」

 

「・・・・別にいいよ」

 

 

 

 


 

 

「へー、なかなかいいじゃない。」

「そうでしょ」

 

お世辞ではなく、その小屋はそこの情景にぴったりとなじんでいた。

「なんか、山小屋って感じねぇ」

 

「ぼくが作ったんだよ」

 

「・・・・・・・!!えーーーー?」

どたんばたんどんがらがっしゃん

「すっ、凄いリアクションだね君・・・」

「嘘でしょ、全部アンタが作ったの?」

 

山小屋といっても結構デカイ

少年一人の手で作れるようなものではないことぐらい、

建築学には全く興味の無いアスカでも一目で分かる。

 

「へぇー器用なのねぇ。」

「君、さっきからなんか話し方がお婆さん臭いね。」

バキッ

 

あぁ、殴而不答(殴ッテ答エズ)

 

「・・・・・ねぇ、あんた、なんでここに住んでんの?」

「楽だから。」

「人との関わりが無いからね?」

「・・・そうかもしれない」

 

「あなた恐いの?」

「そうかもしれない。なんていったって、ヒトは未知の存在だからね。」

『・・・・変わった奴だわ』

 

「君は恐いのかい?」

「・・・ええ、恐いわ。」

 

「誰が恐いの?」

「他人よ。」

「他人て?」

「自分じゃないヒトすべてよ」

「性別も関係なく?」

「怖さは違うけど、両方とも恐い」

「異性は未知がゆえに恐しい、同性は仲間であり敵であるがゆえに恐ろしい」

「!・・・」

「違うかい?」

「・・・あんた、何者よ」

「野生児だよ」

にこりと笑いながら、カヲルは言う

「不思議ね。普段はこんな事言われたら、ただじゃ置かないのに・・・・」

「・・・」

「それに、こんなにも自分のことを話したりはしないわ。」

「・・・君は家出してきたんじゃないかな?」

「なんでもお見通し?」

「今日はここに泊まるといい。」

「ええ。」

「ぼくは、何もしない。分かるだろ?」

「ええ。」

 

 

 

 


 

 

 

一体、私は何をやっているんのだろう。

家出して、知りもしない男の家に泊まって・・・

 

だけど、あいつホントに何にもしてこないわね

まぁ、襲い掛かってきた時の為に体中の筋肉を緊張から解いてはいないけどね。

襲ってきたら、延髄蹴りよ!

 

ブルン

カヲルの体がびくりと震えるのが、遠目にも分かる

 

まぁ、多分あいつは、ホモかナルシストね。もしかしたら両方かもね

だって、私みたいな絶世の美少女と二人きりの山小屋なのに

襲い掛かってこないなんて、性的異常者に決まっているわ!

 

ふーん

なかなか、いい顔してるのね

北欧系の顔ね、とっても色白だわ

アルビノかしら。それとも白子かしら・・・←いっしょやないかい!

瞳も黒じゃなくてもっと違う色も似合いそうね

緑、まぁまぁね

私みたいな蒼は?

うーん、まぁいけるんじゃない?

でも、なんか違うのよねぇ・・・

 

!!!!

 

アスカの脳から大量のアドレナリンがにじみ出てきたドクドクという音を、

アスカは自分の耳で聞いたような気がした。

 

全身の筋肉は、硬直し、脳から来る”即座に逃げよ”という司令には従わなかった。

 

しかし、アスカは、自らに襲いかかる凄まじい恐怖の洪水の中で、

”大丈夫だ。逃げる必要はない”という先の感情とは相反する感情が

急速に大きくなっていくのに、少々驚いた。

 

 

少年は立ち上がり、自分に近づいてくる。

 

「やっと、思い出してくれたかな・・・」

「・・・ダブリス・・・」

「そう・・・」

 

そこでカヲルはニコリと微笑むと、顔を山の方に向けた。

何かを見ているようだ

信じられないことに、アスカはカヲルに話し掛けていた

「・・何を見ているの?」

カヲルも、話し掛けてくるとは思わなかったのだろう、少々驚いた顔をして振りかえり

またその顔に笑みを浮かべていった。

「・・いいや、何でもない」

 

カヲルは、もう一度、先の場所に目をやり、それからアスカに言った

「それより、あっちへ行かないかい?さっき火を起こしておいたんだよ」

そういってカヲルが指差す先に焚火があった

 

殺意が無いということは大概分かる

殺気もないし、なにしろ殺すつもりならとっくに殺されている。

しかし、言う通りにする気にはなれない。

 

「なぜ?」

「なにが?」

「何が目的なの?」

アスカは、自分が最も知りたいことを口に出した。

不思議にもその声色に険が無いことに自分で気付いた。

 

「ぼくがここに住んでいて、そこに君が来た。それだけだよ」

嘘をついている風ではない

「あんた、死んだはずじゃ・・・」

「死んだ?いやいや、参ったな、死んだんじゃなくて戦闘意欲を失ったんだよ」

「・・・」

「そうか、リリン達はそう受け取ったか。考え様によってはその方がいい。」

「・・・」

「ぼくは静かに暮らしたいだけだから」

 

アスカはゆっくりと立つと、焚火の方に向かってのそのそと歩いた。

そして、座る

 

カヲルはそれを目で追ってから、後に続く

 

アスカが口を開く

「なんで瞳の色変わったのよ」

 

「この瞳である必要が無くなったからだ」

「あの色には意味があるの?」

「・・・」

「あるの?」

「どおでもいいことだよ」

「・・・そうね」

 

「それより、君は何故家出したの?」

「・・アンタみたいな使徒が消えたせいよ」

「・・・へぇー」

「へぇーじゃないわよ!私にとったら使徒倒すことがすべてなんだから。」

「悲しいアイディンティーだね」

「・・・」

「あの、シンジ君はどうなんだい?仲がいいんじゃないのかい?」

「!・・何いってんのよ!あれは・・」

「あれは?」

「・・ただのバカシンジよ」

「へぇー」

「あんたねぇ!そのへぇーって言うの止めてくれる?とても耳障り!」

「わかった。シンジ君はどうなんだい?」

「同じ質問二度もしないでよ!」

「君が答えないから、聞いたんだ」

「答えたじゃない!」

「答えになって無いよ」

「なってるわ!」

「それは質問した側が決めること」

「はぁはぁはぁはぁはぁはぁ」

『何で私がこんなに、息ゼェハァ言わせなきゃなんないのよ!』

「まあいいよ。ところで、好きな人はいるのかい?」

「なっ何てぶしつけなこと聞くのよ!」

「いるの?いないの?」

「いたらどうだってのよ!」

「いるんだろ?いなかったらこんな山奥には来ない」

「・・・」

「シンジ君じゃないのかな?」

「っっっっっっもおーーーー!違うわよ!」

「違うんならそんなにムキになって怒らないよ」

「・・・」

「探しに来て欲しくて来たんだろ?」

「・・・」

「・・・」

 

沈黙

カヲルはアスカに目をやり、うっすらと微笑みを浮かべ膝を抱えて目を閉じる

数十分たった。

 

「シンジと一緒」

「・・・え?」

「シンジもずいぶんと長い間、黙っていてくれたわ」

「・・・」

「いままで色んな人に会ったけど、あんなに私のことを待っていたのはあいつだけ」

「・・・」

「わたしはベッドで寝てたのよ。病院のベッドで。」

カヲルはまた目を閉じる

「あいつは五ヶ月私の側から離れなかった。」

 

「聞いてる?五ヶ月よ!私が寝ている間五ヶ月も何も言わずに私の傍らにいてくれたのよ」

 

「いつ愛想を尽くすかって思ってたけど、結局は私の負け。あいつの方が馬鹿だ」

「君は彼を待つことができるかい?」

「・・・」

「いつ来るか分からない彼を待てるかい?」

「・・・」

「彼は君のことを愛しようと努力している」

「・・」

「けれど、君が愛さないから。彼は君を愛せないんだよ」

「私だって・・・」

「男と女はそれぞれ暗闇の大河の対岸に立たされている。互いの姿は見えない、声さえも聞こえない。」

「・・・加地さんも似たようなこと言ってたわね。」

「けれど、愛し合う二人は大河を渡ろうとする」

「どんなに強いヒトでも、独りで対岸に泳ぎ着くことはできない」

「必ず互いに歩み寄らなくてはならないんだ」

「しかし、それは多大なる恐怖を伴う作業だ」

「暗闇で相手の姿は見えず声も聞こえず、相手が自分に呼応しているかどうかも分からない」

「相手が自分の方向に来ているかどうかすら分からない」

「二人をつないでいるのはたった一本の見えないロープ」

「信頼だ」

「ほとんどの者は、途中でおぼれて」

「死ぬ、もしくはこういう」

「もう愛しはしない」

 

「シンジ君は溺れそうだ、しかも彼は岸から離れすぎている。もう彼は戻れないんだ」

アスカは顔を上げてカヲルを見る

「どうすれば?」

カヲルはアスカの瞳をじっと見詰める

 

「私はどうすればいいの?!」

カヲルの唇が言葉を紡ぐ

 

「簡単だ、飛び込めばいい」

 

アスカは満面の笑みを浮かべ、立つ

 

カヲルもすっくと立ちあがり、突然山のふもとを指差した

先ほど、カヲルが視線を注いでいた場所だ。

 

「あそこへ走るんだ」

「えっ?」

「走れ!そして捕まえるんだ!待っていたら彼は溺れてしまう!走るんだ!」

アスカは大きく肯くとその方向に走る

 

滑って何度か転ぶ

けれど立ち上がる

また走る

人影はっけん!

 

「シンジーっ!」

 

向こうもこっちに気付いたようで、猛烈な勢いで向かってくる

「アスカーっ!」

 

 

 

「二人は出会うことができた。
互いに愛し合い、愛へたどり着こうとしても、
互いに努力しても、そこへたどり付けない人もたくさんいるんだ。」

 

 

「君たちには愛し合う資格がある」

 

 

緋色の目、それは自由意志の天使であるダブリスの瞳
他との衝突を消し、無償の愛を見つけようとする者の瞳
自由意志、それは人々を愛する恐怖から解き放とうと思い
サードインパクト
人々の融合
愛への棘の道は取り除かれる
しかし、ぼくは間違っていた。」

 

「愛とは、そこへたどり着くまでのプロセスも含めて愛なんだ。」

 

「憧れ、そこにたどり着きたいと思う。そしてヒトはヒトになる」

 

「僕はもう去ろう、君たちは僕に大切なものをくれた。」

 

 

誰かに呼ばれた気がしてアスカが振返ると

そこには蒼いバラが咲いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ver.-1.00 1999_01/01公開
ご意見・感想・誤字情報などは ---------- まで。

 

おいおいおいおいおいおいおおいおあおあうへあはうほなはりまたぁぁぁーーーあああ!

 

なぁーに書いてんだ俺!!?

 

前回のイツカドコカデに続くあふたぁーすとぉりぃですじゃ

あぁーわげわがんねぇー


書いてる俺がわからねぇんだから

読んでる人が分かるわけねぇだろ、オイ!

『世紀末の詩』の見過ぎー!

もっとゆっくり練って書きゃ良かったな

また暇できたら書きなおそっと

オコトバ乱れつつもアトガキです

感想をオクレ

 

 





 TOMYさんの『Period』、公開です。





 カヲルがカヲル君しています(^^)


 決着が付いた世界で、
 まだ決着が付いていなかったアスカの−


 旅はいいよね(^^)

 色々考える、
 もう一度考える、

 そんな機会になって。


 カヲルも、ね。



 ニコ。ニコ。です♪



 さあ、訪問者のみなさん。
 めぞん新年一発目のTOMYさんに感想&年賀メールを送りましょう!




TOP 】 / 【 めぞん 】 / [TOMY]の部屋