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注意:このssは随時一人称と三人称が入れ替わる「ザッピング方式」という表記方式を取っています。
   文章中.>SYSOP とある場合は以降.三人称となります
   同様に.>shinji などのように登場人物名が出てきた場合は以降.その人物の一人称となります


>shinji

 「準備はいいかい?」

 「・・・・・・・・・・・」

 「おーい。準備は大丈夫なのかい?」

 「・・・・・・・・・・・」

 「シンジ君!聞いてるか?」

 「・・・え?あ.はい.準備OKです」

 「おいおい.初出撃で緊張するのは判るが.しっかりしてくれよ」

 苦笑しながら管制官の人が言ってくる。

 そんなこと言われてもなぁ....この状況で普通にしてろって言う方が無茶だよなぁ。  

 

 「モデュレーション.開始します」

管制官の声が響く。

 「『バブルボード』プロジェクション.EVA-01に転送されました」

 「ようこそ.ミスタ・シンジ」

 サポートAIの無表情な声に僕が目を開くと

シートの周囲のホロビューにはEVA-01が待機しているドッグの内壁が映っている。

もう発進準備はあらかた整ったらしい。

 「発進まで.あとどのくらいなんだろう?」

独り言を漏らすと.瞬時にサポートAIが応えてくる。

 「あと600秒です.発進準備は順調に進行中です」

 「ふーん.ありがとう」

そうそう.『この状況』っていうのを説明すると.実は僕は今宇宙戦艦のコックピットにいるんだ  

 


WAR GAME

第一話 ゲンドウ.襲来


 

 

 土曜日の放課後

 いつもの様に同じクラスの鈴原トウジと相田ケンスケが話し掛けてくる

今考えてみるとこの会話が全ての原因だったんだろうけどね

 「シンジ.最近夜この学校に幽霊が出るっていう噂があるの知っとるか?」

 「いや.知らないよ.そんな噂」

 「ホントか?2組の皿成も見たって言ってたぜ」

 「おおかた.何かを見間違えたんじゃないの?だって皿成だし」

 (※ちなみに『皿成』とは写真部所属のいわゆる『ヲタク』と呼ばれる部類の人間だ

 

   ケンスケは写真部に所属してなくて.自称『フリーのカメラマン』らしい

   ケンスケは「あんな写真を撮る奴等と一緒に部活は出来ない」と言っているけど

   どんな写真だったんだろう......?)

 「そうやな.ところで駅前のゲーセンに新しいのが入ったんやけど......」

 僕は.このときはこの話はこれで終わったんだと思っていたんだ。

だから.迂闊にも.この時アスカの目が光っていたことに気がつかなかったんだ。  

 


  その日の夜

 ピンポーン

 「はーい.あれ?アスカ.こんな時間にどうしたの?」

 「決まってるじゃない.学校に出るっていう幽霊を見に行くのよ.」

 「は?」

 「さあ.ぼけぼけっとしてないで.さっさと行くわよ」

 「ちょ.ちょっと待ってよアスカ.そんなこと急に言われても.....

それにまだ僕が行くって決まったわけじゃないだろ?」

 「あーら.このアタシが誘ってやってるのに断るつもり?シンジも偉くなったものねぇ」

 「なんだよそれ.....」

 「そう.わかったわよ.アタシ一人で行けばいいんでしょ!どうなっても知らないから」

 「ちょっと待ってよ!着替えてくるから」

何だか無茶苦茶なことを言ってるなぁ.今日のアスカ.....  

 

 「アスカぁ.着替えたよ」

 「またTシャツとGパン?気がきかないわねー」

 「べ...別にいいじゃないか.なんでいつもそんなこと言うんだよ.......」

 「ぶつぶつ言ってないで.早く行くわよ」

僕はアスカに引きずられて行った。  

 

 アスカは僕の幼なじみで.家も隣に住んでいるんだけど.

どういうわけか僕は昔からアスカに頭があがらないんだよな.

しかも最近は段々無茶なことを言うようになったきたし.

はぁ.顔はこんなに可愛いのに....

 「どうしたのよ.シンジ.人の顔じろじろ見ちゃって」

まずい.顔を見つめていたのがばれたらしい.

 「いや.何でもないよ.それより.もう学校だよ」

夜の学校って昼間と違って妙に不気味なんだよなぁ...

 「あ.ホントね.なんだか夜の学校って不気味よねー」

何だ.アスカも同じこと考えてたんだ。   

 

 そんなことを考えていると.校門のすぐ内側にある変な形のオブジェが見えてきた。

僕が通っている『私立第一中学校』は まだできてから10年かそこらだけど.

(どうでもいいけど.私立なのに『第一』は変だよなぁ)

その創立何周年かの記念に近くの公立中学校から贈られたものらしい。

そのオブジェは卵をひねりながら引っ張って延ばしたような変な形をしている。

いわゆる『前衛芸術』というやつだろうけど.作った奴は何考えてこんなもの作ったんだろう?

ん?そういえば.なんだかあのオブジェ.ぼんやりと光ってるんじゃないか?

照明はついていなかったと思うけど....

 「アスカ.なんだかあれ光ってない?」

 「そうね.あれが例の幽霊かしら....シンジ.見てきて」

 「は?」

 「何ぼけぼけっとしてんのよ.アンタが見てくるのよ!」

また勝手なことを....まぁいいや下手に逆らうと後で怖いし....

 「わかったよ.じゃ.ここで待ってて.なにかあったら呼んでよ」

 「行ってらっしゃーい」

アスカは気楽に声をかけてくる.と言っても夜女の子を一人にしておくわけにはいかないので.

僕は急いでオブジェの所に行った。
 

このオブジェはいつ見ても妙な形をしていると感心するのだけど.

今夜はぼんやり光っていることもあって.不気味さがプラスされている。

なんだか近づくのがイヤだなぁ....  

 

しかし.オブジェを見に行かずにアスカを怒らせることとオブジェを見に行くことを比べて.

アスカを怒らせる方がはるかに危険だと判断した僕は少しずつオブジェに近寄っていった  

 

 しばらく進んでオブジェの裏側に回り込むと.僕は背後から突然声をかけられた

 「そこの君.少し私と一緒に来てくれないか?」

「うわあぁぁっ!」

 「何を驚いている?」

振り返ってみるとサングラスを掛けた髭面の怪しいおっさんが立っていた。

そんなことを言っても.この状況でこんな怪しいおっさんにいきなり話し掛けられたら

誰だって驚くと思うぞ.第一何故夜なのにサングラスをしているんだ。

 「どうした?来るのか来ないのか」

 「いきなりそんなこと言われても...アスカも待ってるし...」

 「来るのなら早くしろ!でなければ帰れ!」

突然わけの判らないことを言ってくる。これはあんまり関らないほうがよさそうだ。

 「それじゃ.僕はこれで...」

 「.......そうか.お前には失望した」

 「へ?」  

 

バチッ

体に電流が流れるのを感じた直後.僕は気を失った。  

 


数時間後

僕が目を覚ますと.見覚えの無い部屋で寝ていた。

 「.....知らない天井だ」

プシュッ

ドアが開く音がする。

 「ようやくお目覚めか」

さっきの髭面のおっさんが話し掛けてくる。

 「アンタは誰なんだ?何故僕をここに連れてきたんだ?」

 「私か?私はロクブンギ=ゲンドウだ」

 「いや.僕が聞きたいのは名前じゃなくて.....」

 「では何だ.職業か?」

 「はぁ.まあそんなものです」

僕はわけの判らない返答と相手の高圧的な態度にあっと言う間に気勢をそがれてしまう。

 「職業はこの艦のチーフエンジニアだ」

 「『艦』?」

 「そうだ.この艦はNERV艦隊所属のパドック艦『ジオフロント』だ」

はぁ?ねるふ?パドック艦?何を言ってるんだ?

 「わけが判らないといった顔をしているな.まあいい.

とりあえずお前には新造戦艦のテストパイロットをしてもらおう」

え?新造戦艦?テストパイロット?さっきから何を言ってるんだこのおっさんは

 「とりあえずブリッジに行くぞ」

初対面なのに随分威圧的な態度をとるんだなぁ.

ま.このタイプの人間はアスカと同じで逆らわないほうがいいから.黙って付いて行くか。

.....アスカ?そういえばあれからアスカはどうしたんだろう?

夜道に一人で残して来ちゃって...

 「あのー.僕と一緒にいた女の子がどうなったか知りませんか?」

 「知らん」

あっさりと言い放つ髭オヤジ.この一言に僕は切れた。

 「『知らん』じゃないだろ?アンタが勝手に僕を連れてきたんじゃないか!どうしてくれるんだよ」

 「さあ.ブリッジに着いたぞ」

僕の怒鳴り声をあくまで無視するおっさん。

 「あのなあ!」

僕が再び怒鳴りかけると

 「あら.あなた.その子はどうしたの?」

上の方から女性の声が聞こえた

 「う....そこで拾ったんだ」

 「ほー.艦内のどこに捨て子がいたのかしら」

 「ぐ....」

声のした方を見てみると.20台後半くらいの女の人が立っている。

 「ちょっとそこのアナタ!」

 「ハ.ハイッ」

 「アナタの名前は?それとどうしてここに居るのか教えて貰えるかしら」

 「あ....僕の名前はシンジ.碇シンジっていいます.僕はそのおっさん...じゃなくて男の人に

無理やり連れてこられて...」

 「ふーん.誘拐してきたの」

 「あ.いや.違うんだユイ!これはその...」

この人相手にはおっさんも弱気だなぁ.ちょっといい気味かも.

 「いいわけは後で聞きます!シンジくん.でいいかしら?」

 「はい」

 「こんなことになってしまってごめんなさいね.後で必ずあなたの時代へ送り届けるから」

 「僕の時代?」

この人も何をわけのわからないことを言っているんだ?

 「あら.あなたは『クロノス』で連れてこられたんじゃないの?」

 「ちょっと待って下さい.さっきから分からない単語ばかり出てきて混乱してるんですけど.

とりあえずその『クロノス』ってなんです?」

 「そうね.気が付かなかったわ.まずはこの状況から説明しようかしら.....」  

 

>SYSOP

 彼女.つまりこの艦の艦長ロクブンギ=ユイが説明を始める。

この世界では「現在」31世紀である。

大雑把に言うと31世紀の地球人類の版図は大きく二つの勢力に分かれている。

 一つは『NERV』。太陽系第三惑星地球を首都惑星としていて.

己れを地球人類文明の正統な担い手と主張しているらしく.この艦はこっち側である。

 もう一つは『SEELE』。地球人類から枝分かれした植民の末裔。得に本拠地とする惑星を持たず.

独自の宇宙キャラバンを構成している。

 この両者は.実は.300年あまりも接触が無かった。

 26世紀に勃発した地球人類どうしの恒星間 戦争で.辺境星域の植民星とのコンタクトが途切れ.

戦後NERV政府が調査を開始したときには多くの植民星系は無人の地と化していた。

 開発を開始したばかりの植民星系では.とても自給自足を望める状況ではない。
NERV政府はもう植民者達は

全滅したのだろうと判断したのだが.それは間違いだったのだ。

 母星との通信が途絶えた植民者達は.地球人類は絶滅したと判断し.古びた艦船に乗り込み.

太陽系への帰還を開始した。

 ところが.その最中に狂信的.あるいは英雄的指導者の手中に船団の実権が掌握される。

その男の名はキール=ローレンツ。

 宇宙こそ人類最後のフロンティアと信じるキールは.船団の実権を掌握後.即座に太陽系への帰還を中止。

数千隻の艦船からなる船団こそ.人類の新たなる故郷であると宣言した。

 その後.自らを『SEELE』と名乗った植民者の末裔は.本家地球人類に勝るとも劣らぬ勢いで

膨張していった。

 28世紀末.NERV政府が正式にSEELEの存在を確認したころには.当初二千隻ほどだった船団は.

推定で二十万隻以上にも膨れ上がっていた。これは当時のNERV全艦隊の十倍以上である。

 再び交流の始まったNERVとSEELEだったが.300年以上に渡る断絶はあまりに大きかった。

 NERVはSEELEに対して現政権の解体とNERV政府への併合.そして彼らが独自に調査した銀河系星図の

引き渡しを要求した。

 無論.SEELEはこれを拒否。逆に自らの勢力下にある全ての星系の所有権を主張.

その上そこを通過するあらゆるNERV艦船へ一方的に関税をかけてきた。

 両者の対立はほどなく武力衝突へと発展していった。

 ここまではよくある悲劇の歴史だが.その悲劇が100年余りも続いた頃.

いい加減に歴史の神様だか運命の女神様だかが飽きたのか.時代は妙な雲行きへとなっていく。

 科学技術の発達に最も効果的な触媒が戦争であることは遠い昔からいやというほど証明されてきたが.

その科学技術の発展が遂に人の死なない戦争を産みだしたのだ。

 高度に無人化された戦艦は数人の乗組員しか必要としなくなり.遂には一人でも操縦可能に

なってしまったのだ。

 もちろん.都市部へ攻撃すれば数万人単位で死者が出るが.それは世論の圧力で不可能になっていた。

 そしてある日.NERV.SEELE両軍の上層部は幸か不幸か.この数年.一人の死者も出していないことに

気がついたのだ。

 こうなってはもはやスポーツである。政治的な駆け引きであることを前提とした. スポーツとしての戦争。

 NERVとSEELEの交渉が停滞すると.指定の場所に艦隊が終結して.一定のルールに則って戦闘を開始する。

そして負けたほうはおとなしく勝ったほうの言い分を呑む。

 こうなると.見ている方もスポーツ気分である。いつの間にか裏では工作員ではなく.目端の利く

営業マンが駆けずり回っていた。  

 

>sinnji

あ....開いた口が塞がらない.何なんだこの世界は。

 「理解して貰えたかしら?」

 「は...はい.なんとか」

 「そう.じゃあ早速テストの準備をして貰えるかしら?」

 「そういえばテストパイッロットがどうとかって言ってましたけど.どういうことです?」

 「ああ.あれね.あの人が新しく戦艦を作ったから.テストをしたいって言ってね」

 「じゃあ.何でそれが僕なんですか?」

 「さあ?一応パイロットは居るのだけれど....」

 「私の可愛いレイにそんな危険なことさせられるか!」

 「『レイ』って誰ですか?」

 「例のパイロットよ.私たちの養女なんだけど.あの人が可愛がりすぎちゃって」

じゃあ.赤の他人の僕ならいいのか?とか思ったけど訊かないほうがいいかな。

『レイ』って名前だから.女の子かなぁ?可愛い子だといいなぁ。

 「レイは美人だ!まあお前にはやらんがな」

 !!......何で考えてたことが判ったんだ?謎が多い人物だなぁ...

 「どう?やってくれる?嫌ならいいけど」

 「いえ.いいです.別に死んだりしないんでしょ?」

 「そうだ.死にはしない.....」

....?『死にはしない』ってどういうことだ?『死に「は」しない』ってどういうことだよ  

 

とまあ.色々と疑問が残ってはいるけど.こんな理由で今僕はこうしているわけ。

 「ミスタ・シンジ.発進準備完了しました.いつでも発進できます」

 「ありがとう.えーっと.発進の時には何か言った方がいいのかな?」

 「強制はしませんが.声を出した方が思考制御がかかり易いのは確かです」

 「そう.それじゃあ......EVA-01 イカリ=シンジ 行きます!!」  

 

 


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ver.-1.00 1997-10/23公開
ご意見・感想・誤字情報などは guy02@geocities.co.jp まで。

えー.どうも.GUYです.
一部の方々にはお馴染みでしょうが.大部分の方には初めてでしょう。初めまして.よろしくお願い致します
参号館が増築されているのを見て急にssを書きたくなってしまいました。
なにぶんこういうものを書くのは初めてなので.こんな拙い文章お目汚しでしょうが.
御覧になって下さい.
と.ご挨拶はこのぐらいにして.
知っている人が読めばこのssがEVA意外にも何をパロっているか一発で判るでしょう(^^;
このssではシンジが宇宙戦艦に乗りますが.キャラ設定が非常にややこしくなる予定です.
近いうちに設定資料をupさせようとおもいますので.そっちを見て下さい.
あと.このssを書き始めたのが中間テストの初日でここを書いているのが三日目です(爆)
こんな不埒な俺ですが.「読んだよ」でも「勉強しろバカ野郎!」でもいいからメー ル下さい.

言いたいことがまとまらない...(;;)


 ついに80人に達しました!

 【めぞんEVA】の住人数は80人。
 いつの間にやら大所帯になったぁ・・
 

 その切りにいい80人目の御入居者は、
 GUYさんです(^^)

 ようこそ、めぞんへ!
 

 ずいぶん前からチャットで顔を合わせていて、
 住人の方と勘違いしていた時期も・・(^^;

 

 

 第1作、
 『WAR GAME』第一話、公開です。

 

 
 いきなり宇宙戦艦に乗り込むシンジ。
 いきなり戦争している世界に飛び込んだシンジ。

 しかし、
 『死に「は」しない』
 そうなので、まあいいか(爆)

 それよりも!
 

 夜の学校に一人の超されたアスカちゃん・・・
 心配だなぁ・・・

 真っ直ぐ家に帰っていたらまだ安心だけど、
 きっと、シンジくんを探し回って−−−いるよね? そうであって欲しいな(^^;

 

 
 気になるキャラが出ました。
 その名は【皿成】

 ”噂をしていた1人”に過ぎないのに、名前付き。
 しかも、かなり珍しい名前・・・

 何かあるのか?!
 深読みし過ぎなのか!?
      たぶん深読みでしょう(笑)

 

 

 さあ、訪問者の皆さん。
 再開後6人目のGUYさんに感想メールを送りましょう!


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