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かなしくて、かなしくて、かなしくて......
でも涙が出ない。
――――アタシ、どうして涙が出ないの?――――
かなしくて、かなしくて、かなしくて......
痛みも忘れるくらいかなしくて....
――――アタシ、かなしいの?――――
もうその少女を知る者はいない
かなしくて、かなしくて、かなしくて......
かなしくて、かなしくて、かなしくて......
ただ...
かなしくて....
1500HIT記念作品
月の詩
静かに水を湛える湖
湖の畔には赤毛に澄んだ青き瞳を持つ少女が佇んでいた
その少女を鮮やかに映し出す水面
...ちゃぷん...
...ちゃぷん...
...ちゃぷん...
...ちゃぷん...
――――どうして?――――
小石を湖に向かって投げながら、少女は水面に映る自分に問いかけた
――――どうしてアンタ、アタシに断りもなく死んでいったの?――――
思い出すのは自分の同居人であった一人の少年だった
2人は同居していた
彼女たちの自称保護者とともに
――――いつまでたってもアンタバカよ――――
脳裏に浮かぶ優しい笑顔
しかしその微笑みはもう見ることが出来ない
....ちゃぷん....
....ちゃぷん....
....ちゃぷん....
....ちゃぷん....
――――アタシ、まだ....!――――
なにもいってないのに!
言いたかった言葉は口の中で霧散する
....ちゃぷん....
....ちゃぷん....
一緒に沈んでいった少女の住処はかつて少年と過ごした時間達
思いでは風となって消えてゆく....
少年に会えなくなってようやく自分に素直になれた少女
でも、もう....遅い
――――アタシはアンタのことが....――――
もう何回届かぬ思いを告げたのだろう?
歌えぬ小鳥が必死で囀るように
少女もまた
思いを口にする
――――ずっとすきだったのに...――――
かなしくて、かなしくて、かなしくて......
かなしくて、かなしくて、かなしくて......
かなしくて、かなしくて、かなしくて......
なきたくて、なきたくて、なきたいのに.....
涙は少しも出てこない
――――アタシ、気が狂ったのかな?――――
涙が
頬を濡らさない
――――絶対泣かないって決めた...でも!――――
かなしくて、かなしくて、かなしくて......
かなしくて、かなしくて、かなしくて......
――――いまだけは.....――――
かなしくて、かなしくて、かなしくて......
なきたくって、なきたくって、さけびたくっても.....
――――泣けないの?――――
泣くことも許されないのなら....
少女は一番なりたくなかった人形に...
なりたかった
自らのこころを閉じることで...
何も感じない
少年への思いを全て忘れようとすることで...
人形に...なろうとした
だが.....
できなかった....
――――どうしてアンタは死んでからもアタシをじゃますんのよっ!――――
虚勢
いや、意地.....というべきか
少年への思いが少女の真意
少年の笑顔が少女の瞼に焼き付いている
あの日、自分を庇って死んでいった少年の
最後の笑顔はまだ少女の瞼に焼き付いている
――――いっそ嫌いになれたらいいのにね....――――
かなしくて、かなしくて、かなしくて......
かなしくて、かなしくて、かなしくて......
かなしくて、かなしくて、かなしくて......
かなしくて、かなしくて、かなしくて......
かなしくて、かなしくて、かなしくて......
かなしくて、かなしくて、かなしくて......
――――アタシを見てっ!――――
かなしくて、かなしくて、かなしくて......
かなしくて、かなしくて、かなしくて......
かなしくて、かなしくて、かなしくて......
かなしくて、かなしくて、かなしくて......
かなしくて、かなしくて、かなしくて......
かなしくて、かなしくて、かなしくて......
――――アタシを...見て?――――
かなしくて、かなしくて、かなしくて......
かなしくて、かなしくて、かなしくて......
かなしくて、かなしくて、かなしくて......
――――...アタシを....見て....――――
かなしくて、かなしくて、かなしくて......
かなしくて、かなしくて、かなしくて......
かなしくて、かなしくて、かなしくて......
かなしくて、かなしくて、かなしくて......
かなしくて、かなしくて、かなしくて......
かなしくて、かなしくて、かなしくて......
――――アタシをっ!!――――
長い夏はようやく終わりを告げる
少女にとって一番長い夏
来るはずのない秋が
終わるはずのない夏に挨拶している
少女はひだまりの樹の下で
誰を待つわけでもなく
読書をしながら
秋の日の午後を楽しんでいる
少年はまだ水の底
それでも
少年の夏は
終わらない
少女が少年のもとに還るまで
少年の夏は
終わらない
そして
少女の悲しみは
帰らない
だから......
今宵も少女は花束を
少年に捧げる
――――満月の夜には月につれてって...――――
――――あなたが守ったこの惑星を....――――
――――いつか、あなたとともに.....――――
――――みつめたい――――
――――あの子に月を見上げる理由、今なら分かる気がする....――――
――――きっと私と同じように――――
――――思いを月へと託すより他無いもの――――
だから今宵も月は輝いている
花束を抱えた少女とともに
輝いている
水面に映る満月は
少年の体を映し出す
少女は少年に向かって.....
歩き出す
少年に向かって
歩き出す
一歩ずつ
歩き出す
歩みを止めることなく
あるき....だす....
おしまひ
ver.-1.00 1997-09/07公開
おいらとaqua@mx4.meshnet.or.jpで会おう!!!。
どぅもぉ。泉水です。その....今回は実験作なのであんまり....。
この作品の実験的なことというのは登場人物の名前を出さなかったってとこなのだろーか。やっぱり。
でも、あんまり普段とかわらんよーな気も......
今回は短めです。(あとがきが)
ではまたどこかで会いましょう。
さいにら、さいなら。
泉水さんの『月の詩』、公開です。
各部屋の希望者にカウンタを取り付けるようになって、
こういう部屋ごとの[HIT数記念SS]が増えましたね(^^)
めぞん自体の記念も楽しみですが、
こういう各部屋ごとの記念も面白いです(^^)/
泉水さんのこのSS。
シンジを失ったアスカ。 :名前はこれでいいですよね(^^;
相手を失って素直になれる心。
苦しみから逃れたいけど、
忘れるなんて出来ない。
少女の気持ちが悲しいですね・・
さあ、訪問者の皆さん。
1500を刻んだ泉水さんにメールを送りましょう!