この物語はフィクションではありますが現実世界でも起こりえる話です。
そう、貴方も関西へ行けばこのような出来事に遭遇するかも・・・?
 

 
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大ぼけエヴァ
 

第六話 「へぇっしょん!」 「退散しときよし」
 
 
薄く広がった雲が太陽光線を中途半端にさまたげ、気温の上昇を控え目にしている。
朝からこんな状態だが雨が降る気配は一向にない。
住宅街を進むケンスケを先頭にした一行もヒカリ以外は手ぶらである。
傘の心配は必要なさそうだが、外の天気よりも気になるのは・・・・・

(みんな緊張感がなさすぎる!トウジの家の中に入るのは相当の覚悟が必要なのに!!いやいや、今は自分の事だけ考えよう・・・)

ケンスケは背後から聞こえる楽しそうな声(主にレイ)を無視する事に決め、十字路を右に曲がり路地に入った。
かなり家が建て込んでいる道。
20メートル程歩くとケンスケは立ち止まった。

「ここだ」

彼の向く方向に他のみんなも振り向く。

 そこには・・・・・・それほど大きくはないものの、ごく普通の一軒家があった。
家の手前に小さな庭があり左側に花壇と物干、右に自転車が二台とカバーを冠った軽自動車。
真正面にドアがある瓦葺きの家も平凡を絵に書いたようなものでしかない。

「ふーん、ただのお家だねー。虎縞の屋根だとかカニの看板とかないの?」

「さ、それじゃいきましょう」

ボケたレイをほったらかして、さっさと入り口へ進むアスカ。
慌ててアスカを追いかけながらレイは思う。

(う〜ん、そう来るか・・・)

ドアの前に集まるとアスカがヒカリを前に押し出した。

「はいヒカリ、ベル押して」

「え?ええ」

ピポーン ・・・・・

・・・・・ててててて

「は〜い」

廊下を走る足音と共に子供の声がドア越しに響いた。

ガチャッ

内開きのドアが少し開き、声の主が顔だけ出す。
丸顔で目のくりっとした、おさげ髪の女の子・・・年は十歳くらいだろうか。

「どちらさんですか?」

アクセントは明らかに関西弁だ。
ヒカリはトウジに妹がいた事を思い出した。

「こんにちは、あの鈴原、君の友達で誕生・・・」

ヒカリが話し終わる前に声がおおいかぶさってきた。

「あー、お兄ちゃんの!いや〜、そうやったん!さあ、どうぞ入って下さい、さあ!」

目の前のヒカリに向けてかなり遠くまで届きそうな声で話しながら、ドアを勢い良く全開にする。
顔だけしか見えなかったトウジの妹の全身がさらされた。

(あ・・・・・)
 
 
 
 

彼等の目に飛び込んだものは・・・・・・・・真っ赤なジャージだった。
 
 



 

「お兄ちゃん、来はった来はった、お友達来はったで〜」

廊下を走って行く赤いジャージを見送るアスカにシンジがぼそっとささやいた。

「もしかしてここの家族、みんな・・・」

「さあ、相田にでも聞いたら?」

そっけなく答えて靴を脱ぎ始めるアスカ。
全員が玄関から廊下に上がったところで奥からトウジの声が聞こえた。

「おう、よう来たのう。」

妹を伴ってやって来る黒ジャージ。
やっぱり誕生日でもジャージか・・・・
アスカがヒカリを見ると膝をついて脱いだ靴を丁寧にそろえていた。
しかも他人の靴も、トウジの妹のまで。

(ヒカリ、なにもそこまでしなくても・・・)
 
靴をそろえ終わるやささっとトウジの前に立って思いっきりの笑顔で挨拶を始める。

「今日はお誕生会に呼んでくれてありがとう。本当に楽しみにして・・」
「やー、こんちは!おじゃましまーす」

ヒカリが言い終わらないうちにレイが笑顔、というより嬉しそうな顔で挨拶する。
アスカは少し右眉をひくつかせたがレイに続いておじぎした。
シンジとケンスケもそれにならう。

「紹介しとくわ、妹のソノコや」
 
「こんにちわ〜、ソノコです、甲子園の園と甲子園の子と書いて。小四です。」

そう言いながらペコリとおじぎする。
しかし名前の漢字をわざわざ説明するのはいいとしても、甲子園を二度くり返すってのは・・・
とにかくヒカリは自己紹介をすることにした。
まずは家族に気に入られる事、これが彼女が今日というこの日の為に考えた作戦の一つなのだ。
トウジとの関係を少しでも発展させるために、まず外堀を埋めるといったところである。

「わたしは洞木ヒカリよ。よろしくね」

ヒカリは自分と同じおさげ髪の少女の目を見つめ、にっこり笑った。
しかし彼女の視線はヒカリと全然別の方を向いていた。

「外人さんや・・・・」

好奇の目で見上げるソノコにアスカは額に汗した・・・2015年の今どき外人さんに驚くなんて。
どう反応していいか迷ったアスカはとにかく話してみることにする。

「アタシはアスカ。惣流アスカよ、よろしく」

「わっ日本語や〜」

ボコッ

「こら!失礼なやっちゃな!」

「いったぁ〜、ごめん、せやけどお兄ちゃんの友達に外国人て、パリのエッフェル塔の下で関西弁の会話くらい似合わへんでぇ」

「どあほ、そんなん誰が決めた!」

「きゃははははは」

「おい綾波、なに笑ろとんねん」

「あれ、この人も外人さん?」

「くっくっそうよ、ドイツとアメリカと日本のクォーターよ」

「こらレイ、それはアタシでしょ!アンタは北海道の夕張出身でしょが!」

飛び交う言葉の応酬のなか、ヒカリは笑顔のまま固まってしまった。
ケンスケはそれらの様子を冷ややかに見つめる。

「あの〜」

「なんやシンジ」

「いつまでもここにいても・・・・」

「おっ・・・それもそうやな、ほなこっちゃ来てくれ」

くるっと背を向け廊下を歩いてゆくトウジとそれにくっついてくソノコ。
シンジ達も赤と黒のジャージについていく。
トウジは突き当たりの襖を引き、みんなを中に招き入れた。

「ほれ、入ってくれ」

中に入ってみると・・・八畳の和室。
お膳を二つ並べた上に白いテーブルクロスが敷かれている。
二つのお膳の高さが僅かに違うため、まん中あたりで少し段ができてる。
それにしてもこのテーブルクロス、少し汚れが目立つ。
所々に醤油かソースをこぼしたらしき跡や焦げ目まである。
そしてお膳のまわりには四角い紺色の和座布団が8枚。
まず、トウジがあぐらを組んで座る。
 その右横にソノコがちょこんと座った。

ヒカリの目が左横の座布団に釘付けになった!
 
(ここに座らなければ・・・でも自分からここに座るのは抵抗が・・いえ、そんな事言ってる場合じゃないわ。勇気を出してヒカリ!)
 
 ヒカリが座布団を睨み一歩踏み込んだとき、

「それじゃ私ここねー」

「!」

レイがあっさりヒカリの目指すトウジの左横に座った。

「・・・・・・・・」

爪先立った足を一歩出した状態で硬直するヒカリ。

「なんや綾波、なんでわしの横やねん」

「まーまー、どこだっていいじゃない、こんなもの」

一部始終を見ていたアスカがまたしても右眉をひくつかす。

(あんのボケレイ!なんの考えもなしに行動して・・・後でおぼえてらっしゃい!)

ヒカリはすごすごとトウジの向い側に座った・・・
最終的に全員の場所は、
 

    ソノコ トウジ レイ
    膳膳膳膳膳膳膳膳膳膳膳膳 
 シンジ膳          膳 空座
    膳          膳
    膳膳膳膳膳膳膳膳膳膳膳膳
    アスカ ヒカリ ケンスケ

という形に落ち着いた。
 
 



 

お膳にはまだ何も並べられていない。

「もうしばらく待ってや、どうせまだ腹へっとらんやろ」

時刻は一時半、全員昼食をとってから来たので確かにお腹はすいてない。
さて、とりあえずなにをしようか・・・・・
一瞬、出来上がった沈黙を破り、ソノコがしゃべりだす。

「そやけどお兄ちゃんびっくりしたわあ、お兄ちゃんの誕生日にこんなべっぴんさんが、しかも外人さんが二人も!お兄ちゃんてそんなにモテたかぁ?信じられんわ、今晩竹ヤリ降るでぇ〜」

「アホ!そんなことで竹ヤリ降ったら、週に二回は天気予報で竹ヤリ注意報でるわ!」

「きゃははははは」

「いったいどないして引っぱって来たん?」

「引っぱるもなにも向こうから勝手に来たいゆうてきたんや、わしゃなんもしとらんわい!」

間にレイの笑いを挟んでかなり強烈な言葉のやりとり。
しかも片方は小四なのだ。
そのあり様に圧倒されるシンジ、アスカ、ヒカリ・・・レイだけは楽しそう。
ケンスケはうつむきながら上目使いに彼等を覗き見ている。

(空気が淀んできたな・・・・・)
 

がたっ

ヒカリの背後でいかにも立て付けの悪そうな襖が開く音がした。

「いらっしゃい〜、よう来てくらはりましたねえ」

現れたのは・・・・40才前後でソノコそっくりの丸顔の女性。
やや小太りぎみで、頭はショートカットに失敗作ではないかと思えるようなパーマがうにょうにょかかっている。
だがそんなことより注目すべきは彼女の格好だ・・・・

・・・・半そでブラウスに黒のスカート、そして白のエプロン。

(ジャージじゃない!トウジと妹だけだったんだ!)

シンジとアスカは深く安堵してしまった・・・・・
レイはつまらなそう。
背中を向けていたヒカリが座布団ごとクルリと180度回転して丁寧に挨拶を始めた。

「まあ、お母さまですか。お邪魔しています。今日はお招きいただいて、」
「いやぁ〜、トウジ、こんなべっぴんさん沢山連れてきて!あんたにそんな甲斐性あったんかいな?今晩ブリザード吹くわ」

「お母ん、どういう意味じゃ!わしらここで凍え死ななあかんのかい?」

「コタツでも出そかいな?」

「いるか!」

基本的にさっきの妹との会話といっしょである。
挨拶をぶった切られて、またしても笑顔のままかたまったヒカリの脇を通りぬけ、トウジの母はお盆にのせたアイスコーヒーの入ったコップをお膳に並べてゆく。
さらに直径20cm位の薄い円盤状のお菓子が10枚ほどのっかった大皿をまん中に置いた。

「ゆっくりしてってくださいね。まあこれでもどうぞ」

「お、ゴーフルやないけ。」

「いただきまーす」

さっそくソノコが手をだし、ゴーフルと呼ばれたお菓子を食べ始める。
レイも続いて手に取ってみる。
厚さ1〜2ミリ程のそれは2枚重ねで間にクリームが挟んであった。
口で円の一部をを切り取るようにして食べる。

さくっ

「あまーい!」

レイが夢中でさくさく食べている一方、ソノコは2枚重ねのゴーフルをはがし始めた。
2枚別々になったゴーフル・・・片方にはバニラクリームがべったりついている。
そのクリームをペロッとなめた。

「これっ行儀悪い!お客さん来てるんやでっ」

「ごめんお母ちゃん、でもつい、やってもうた」

「しょうのないやっちゃのう」

「なにゆうとんのトウジ、あんたもちっちゃい頃ようやっとったやないの」
 
(関西ではよくある光景なのかな・・・?)

シンジは心のなかでつぶやく。
ゴーフルには手が出ない、いや出せない。
トウジの家族をただただ、眺めているだけでそれ以外の事をする精神的余裕がないから。
他の者も同じである・・・レイをのぞいて!
悠々とアイスコーヒーを飲むレイ。

「ああ、おいひー」

「そらそうや、サンガリアコーヒーやからな」

「ふーん、さんがりあこーひーだからかぁ!」
 
そんなレイを表情ひとつ変えずに見つめるケンスケ。

(そうしてられるのも今のうちだけだ・・・・)
 
 



 

バースデーケーキはもう少し後になるそうなので取りあえずプレゼントを先に渡すことになった。

「さ、ヒカリ・・・」

「ええ」

アスカに促され、ヒカリは花模様の紙袋からプレゼントをとりだした。
それは黄色い紙で綺麗にラッピングされ白いリボンがあしらわれていた。

(自分で包装したのねヒカリ。徹底してるわ・・・)

アスカはヒカリの一途さに感動したものの、中身を知ってるだけについ眉をひそめてしまう。

「お誕生日おめでとう。これはみんなでお金を出し合って買ったものなの。気に入ってもらえるといいんだけど・・・」

ヒカリは真向かいのトウジにプレゼントを差し出す。
さっきから自分の思惑がことごとく空振りに終わっているのだ。
せめてこれくらいはちゃんと渡したい。
祈る様にして差し出されたプレゼントはヒカリからトウジへと無事手渡された。

(よかった〜!何もなくって・・・)

ヒカリはトウジの家にきて始めて思い通りの事ができたため、胸をなで下ろしてしてしまった。
 
「おおきに、ほなさっそく」

受け取ったトウジはリボンを解き始める。
紙を破り中身を取り出すと・・・・

「おお、これは!」
 
 
 

・・・・・ジャージだった。
 

「すまんのお〜、やっぱり皆、わしの事ようわかっとるわ。おっきに、おっきに」

黒のジャージの3着セットを抱き締めながら、みんなに頭を下げて回るトウジ。
その姿を見て複雑な気持ちで笑顔をつくるヒカリ、アスカ、シンジ・・・
正直言ってプレゼント選びにはかなりの紆余曲折があった。
皆が話し合った結果わかったことは、

1.トウジの好む物が推測しにくい
2.ジャージが頭から離れない
3.バラバラに買うと複数がジャージにする恐れがある
4.唯一トウジの誕生会に行った経験があるケンスケがジャージなら大丈夫だろうと言った

ということだった・・・

結局全員でジャージを買う事に落ち着いたのだが、とにかくトウジは本気で喜んでいるみたいだ。

(よかったわ、鈴原が喜んでくれて。やっと作戦通りに・・・)

ヒカリの笑顔が作ったものから本当のものに変化した時、ソノコがトウジに突っ込んだ!

「なに言うとんの、お兄ちゃんの部屋ジャージで溢れかえってるやないの、足の踏み場もないほど!黒ジャージ専門店開けるわ!!」

「アホか!ジャージはなんぼあっても困る事はないんじゃ!もらえばもらうほど嬉しいもんなんじゃ、わかったかドアホ!」

「ふ〜ん、そうかいな」

ソノコは自分の赤いジャージのチャックを下げると中から袋をひっぱり出した。
 透明なビニール袋で中身はすぐ判る・・・これは!

「お兄ちゃん、お誕生日おめでと〜う」

「なんや、さんざん文句つけといてやっぱりお前もジャージかい!」
 
「きゃははははは」

「なんじゃ綾波、さっきからきゃははははばっかしやんけ!」

「お兄ちゃん、この人必ずきゃの後、はが5つやで〜!ペーストしたみたいや」

「ペーストって・・くくくく、よく聞いてるねー」

「あ、変わった」

笑いながらレイは思う。

(そうね、きゃはははははばかりじゃなくて、積極的に参加しなきゃね。うん!)

シンジ達にくらべれば十分積極的と思われるのだが・・・・
 
がたっ!

突然、襖が開き野太い声が響いた。

「おう、トウジ今帰ったで!」

「お父ちゃん」「お父ん、明日まで出張やったんちゃうんか!」

皆がトウジの父に注目する。
 
 
 

 

・・・・・・・・・・・灰色のジャージ!!

 
もはや顔がトウジに似てるだとか頭がパンチパーマだとかはどうでも良くなっていた!

(母親で安心させといて、やっぱりジャージか〜!!)

(お母さんは囮だったのね、手が込んでるねー、くくく)

(なんで?なんで出張帰りでジャージなの!?)

ムッとするアスカと笑うレイと惑うヒカリ。

「お前の誕生日やさかい仕事早めに切り上げて帰って来たんやないけ。」

 トウジに言い返しながら入って来る父。

「やあ、どおも、トウジの父のジョウジです。今日はわざわざ息子のために来ていただいて・・・ほんま、おおきに」

その言葉にハッとしたヒカリは急いで笑顔を作り、挨拶を・・・

「おじゃましてます、わたし・・」
「そやけどトウジ、お前のためにこんなべっぴんさんがぎょうさん集まってからに、どないなっとんねん!今晩岩石降り注ぐがな」

「 あほ言いな、日本滅びてまうやんけ!」

妹、母と同じパターンのボケ突っ込みをくり返す父子。
それにしても何回目であろうか、ヒカリが笑顔のまま固まるのは?
どうやら、ここの家族は人の話をあまり聞いてはいないようだ・・・・・・

トウジの父は手に持った赤いリボンを掛けた白い箱 をゴーフルの横にトンと置いた。
一目でケーキが入っているとわかる。

「ほれ、土産や」

「なんや、ケーキが遅れとったんは、お父んの帰りを待ってたからかい」

「ぶつくさぬかすな、わざわざ大阪で買うたんをここまで、で、へ、へ、へぇっしょん、あほんだらぼけかす」
 
 

                「!!」
 
 

部屋中に響き渡る、突然のくしゃみに全員が金縛り状態になる!

「お父さん、ええ加減にしなはれ!」

きつい口調とともに、後ろからナイフを持った母親が現れた!

「うぉっな、なんや!殺す気か?」

「あほ言いなはれ、これはケーキを切る為のです」

「お〜、びっくりした」

「びっくりしたはこっちです!なんやの、あのくっしゃみは!」

「しゃあないがな、出てしまうもんはどうしょうも、へ、へぇっしょん、あほんだらぼけかす

「そやからお父さん、くしゃみの後にあほんだらぼけかす付けるのやめて下さい」

「いや、出張行ってどうも京都の北山杉で花粉症になってしもたらしいわ、へぇっしょんあほんだらぼけかす

ほらまた!みっともないわ、普通はあほ位で止めますで」

「そ、そんなこと言うたかて、へぇっしょん、あほんだらぼけかす

くしゃみと同時に鼻汁が飛んだ!
 

ぴちゃっ
 

「ひっ」
 

鼻汁はヒカリの頬のそばかすに命中した!
 
 

「・・・・・・・・・・・・・・」
 

唖然とした顔で凍り付くヒカリ・・・一瞬冷たい沈黙が部屋をつつむ。

「な・・・なんちゅう事すんのん!

スコンッ

ナイフの柄で父の頭を殴る母。

「す、すまんのぉ〜。ちいいいんっ」

鼻をかみながら、あやまる父。
一方、ヒカリは心の中で必死に冷静さを保とうとしていた。

(お、お、落ち着いて、しっかりした対応を取れば、きっと鈴原の御両親もいい印象を持ってくれるはずよ・・・)

ヒカリは気力で笑顔をつくってスカートのポケットからハンカチを取り出し、頬を拭いながら口を開いた。

「ほ、ほほ、大丈夫ですわ。気になさらないで下さ・・」
「へぇっしょん!あほんだらぼけかす」

「もう!あっちへ退散しときよし」

お膳にナイフを置くと、父の背中を突き飛ばしながら出ていく母。

言葉もなくその姿を見送るヒカリ・・・・・

(なんなのなんだったの・・・・・?)
 
 



 
 
 シンジにはこの部屋の空気が普段、自分が吸っているものとは別の物質に思えた。
なんとなく、粘り気があるというか・・・そんな感じがしてならないのだ。
疲労感・・・多分精神的な・・・他の人は?

隣のアスカに声をひそめて話しかける。

「疲れない?」

ムスッとした顔のまま、青い瞳だけシンジの方に向けて返答する。

「アタシよりヒカリよ」

瞳がシンジ側からヒカリ側へ移動する。
シンジが瞳の差す方向を見ると背筋をぴんと立て、正面を向いて微笑んでいるおさげの少女・・・
服装から姿勢から笑顔までよそ行きなのがわかる。

(かなりエネルギー使ってるだろうな〜)

人事ではないので、さすがに鈍感なシンジでもヒカリが相当無理してる事は見て取れた。
その向こうに背を丸めて座っているケンスケは、さっきから無言を決め込んでいるようだ。
無駄な体力は使わないつもりなのだろう。
レイは・・・・・終始うれしそうに笑ってる。
ヒカリと違い完全な自然体の笑顔である。
なんであそこまでリラックスできるのだろうか?

「ねー、鈴原君は元々どこの人なの?」

唐突に、しかしなんの抵抗もなくレイがトウジに質問をする。
ヒカリの肩が微かにピクッと反応した。
 
「ワシは大阪やで。もっとも生まれたんは京都らしい」

「ご両親は?」

「そんな事まで聞くんかいな。お父んは大阪、ちゅうても岸和田市やけどな。毎年だんじり祭りに出とおるわ。お母んは神戸や。そやから神戸の親戚からゴーフル送って来よるねん」

「ふーん、じゃ、鈴原君は大阪と京都と神戸のクォーター?」

「あほ、そんな所にクォーターなんて言葉使用すな!」

「関西メトロポリス総なめだねー」

「やからどやゆうねん!!」

レイのボケに対するトウジの突っ込みがだんだんきつくなってゆく。
二人の会話を見つめるヒカリの首筋に冷たい汗がつたい落ちた。
 
(レイが鈴原と喋ってる・・・あんなに楽しそうに!わたしもなにか話さなけりゃ!ええと、何を話せばいいの?・・・・・・・・・見当もつかない!ああ、どうしたらいいの?)

うなだれるヒカリの視界にちょうどケーキの箱が見えた。

(そうだ、これ位は言えるわ)

「ねえ鈴原、そろそろケーキを開けたら・・・」

「おお、そやった。ほな、さっそく」
 
 (後の続かない会話ね・・・むなしいわ)
 
ヒカリの気持ちなど知るよしもなく、トウジは目の前のケーキの箱のリボンをほどき出す。

「ん?これパルナスやないけ!」

「え?ほんまほんま? 」

ソノコが身をのり出して箱に印刷されたマークを確かめる。
大きな帽子をかぶり、どっかの国の民族衣装を着た子供が大股開きで走っているというもの。
かなり古臭いデザインに見える。

「ほんまやパルナスや〜」

トウジは箱を開けた。
すると・・・・・・・・なんの変哲もないバースデーケーキが姿を現わした。

「おお〜やっぱりパルナスやなあ、お父んも中々やってくれるやないけ。」

(パルナスってなんなの?わからない・・・)

ヒカリ以下、全員が疑問に思ったことをレイが口にした。

「パルナスってなーに?」

「ケーキのメーカーや。関西では知らんもんはおらん。ロシア風のケーキやで」

「ふーん?」

ロシア風・・・・再びケーキを観察しても国籍などかけらも感じられない。
第一、なんで関西でロシア風なのだろう?
などと首をひねっているうちに、ソノコがケーキにローソクを立て始めた。
十四本立て終わると部屋の隅にある仏壇へ行き、扉を開いて使い捨てライターを取ってきた。

「お兄ちゃん、火ぃつけたるわ」

「気ぃつけいよ」

しゅぼっと着火させ、一本一本確実にローソクに火を点す。
半分程火をつけたとこで、突然ソノコが歌を口ずさみ出した。

「♪ぐっとかみしめてごらん・・・マ〜マのあたたかいこころが・・・おくちのなかにしみとおるよ・・・パ〜ルナ〜ス

異様なまでに暗く悲しげなメロディー・・・ロシア民謡風だがその暗さではトロイカなど足下にも及ぶまい。
どうやらパルナスのテーマソングらしい。

「ッポンポンッポンポンあまい〜おかしの〜おくに〜のたより〜おとぎのくにのロ〜シアの〜ゆめのおそりがはこんでくれた〜」

ヒカリ(なんなの?どうしてこんな暗い歌を誕生会に歌うの?)

アスカ(なによ、この歌!関西人のキャラクターと歌の暗さが全然合ってないじゃないの!?)

レイ(ううううう、やだよー、この歌なんだか気が滅入っちゃうよー!)
 
シンジ(関西とモスクワとどんな関連性あるの?姉妹都市とか・・・)

ケンスケ(・・・・・・・・)

ソノコがノッてくるのに反比例して、どんよりとした空気につつまれ沈んでゆくシンジ達。
レイすら笑顔が消えてしまった。

「うう・・・・」

両手で顔を隠すレイの目に涙がきらめく・・・・・
 ソノコが最後のローソクに火を点した時、とうとうトウジまでいっしょになって歌い出した。
ハモりながら歌い上げる兄と妹・・・・

「パルナス・パルナス・モスクワ・のあじ・パルナス・パルナス・パルナ〜ス ピロロロロロロロリ〜ン」
 

フゥゥゥ〜ッ

歌が終わると同時に・・・・トウジがローソクの火を吹き消してしまった。

「え?」

またも唖然とするシンジ達・・・・ レイは涙を指で拭ってる。
 
(関西じゃ、みんなこうなの・・・・?)

「あ、しもた!パルナスの歌で吹き消してしもた!!」

ズル!

トウジ以外みんなお膳に突っ伏した!

「なんやおかしいと思たわ!もお、お兄ちゃんなにしてんねん」

「すまん、すまん」

(あ〜!一瞬でもあれが関西の常識かと思ってしまった自分が腹立たしい!!)

アスカの透き通るような蒼い瞳に僅かに濁りが湧き始めている。
どうやらこの室内で正常な感覚を保ち続けるのは難しくなってきているらしい。
一方、トウジはローソクをケーキから抜きだした。
やりなおしをする気はないようだ。
ナイフを取るやケーキを淡々と二等分、四等分、八等分と切っていく。

「よっしゃ、切れた」

待ちかねた様にヒカリがトウジに声をかける。

「あ、手伝うわ」

ヒカリがケーキの横に重ねてあった皿を取った。
白いプラスチック製でアニメキャラがプリントされてる。

(じゃりんこチエ・・・これが・・)

「ほな、たのむわ」

トウジがヒカリの差し出す皿にケーキをのせる。
皿の中で大きな口を開けて笑っている女の子と三日月傷の猫がロシア風ケーキで隠された。
次々と皿にのせられ、皆の前に置かれていく。

「おっしゃ、食うでー」

さっそくトウジがケーキにかぶりつき、ソノコもほぼ同時に食べ始める。
レイもそれに続く。
残りの者は見学者となった。

「んぐ・・・モスクワの味がする・・・・・これやがな!やっぱりパルナスやな〜」

「ほんまや、ひと味ちゃうわぁ」

噛み締めながら感激する兄妹・・・・パルナスとはそれほどまでのブランドなのか?

(あーん、全然モスクワの味がしないよう〜!私だけ舌が違うのかなぁ?)

勢いよく食べてるのにつまらなさそうな顔のレイ。

「なんや?おまえらも食わんかいな、腹具合でもおかしいんか?」

「そ、そんな事ないわ。いただきますー」

ヒカリがケーキに手をつけようとした時、

がたっ

襖が開くと、トウジの母が大きな皿を両手で抱えて入ってきた。

「みなさん、これもいっしょに食べてくださいな」

お膳に置かれた皿には何十本もの串団子が盛られている!
串の長さは20cm以上あり、団子は4つ。
こげ茶色のとろっとしたタレで串団子を浸している。

「トウジ、お父さんがケーキといっしょに買うて来てくれたんやで」

「おお、ロバのパン屋のみたらし団子やないけ!」
 
「?」「?」「?」「?」「?」

またわけの判らないものが出てきた。

シンジ(ロバのパン屋?なんだろう・・・・)

アスカ(なんでパン屋でみたらし団子なのよ!?)

レイ(今度はロバの味かな?)

ヒカリ(なんだか凄い色・・・)
 
ケンスケ(・・・・・・)

さっそく手を出すトウジ。

「今日だけはお父んに感謝せななあ・・・ん、このみたらしサラサラやんけ、買うてからだいぶ時間たっとるな」
 
「なに文句つけとんの、いややったら食べんとき!」

「食うわい、そんなもん!滅多にない機会や、ロバのパン屋はいつ出現するか判らんからのう」

「へぇっしょん、あほんだらぼけかす」

「お父さん、また!」

開けた襖から父のくしゃみが流れ込むのを耳にして、部屋を出ていく母。
ぴしゃりと襖が閉まった時には、トウジは三個目の団子を口で串から引き抜いていた。

「お〜、このみたらしの中に混じった炭のかけらが香ばしい!」

例によって食べてるのは鈴原兄妹とレイのトリオ。

(わたしも鈴原と同じにならなきゃ・・・)

ヒカリが勇気を奮い、恐る恐る手を団子に伸ばした。
その時ソノコが再び歌いだす!

「♪ロバのおじさんチンカラリン〜チンカラリンとやってくる」

(これにもテーマソングがあったのか〜!!)

パルナスと違い童謡調のいかにも可愛いメロディー。
しかしアスカにはもはや曲調の相違など関係ない!
指がわなわなと震え、目が赤く充血し始めている。

(もう限界よ、ついてけないわ!ここはいったいなんなのよ!!)

立ち上がろうと腰を浮かす、が・・・・・・・・・・・・・

ヒカリがみたらし団子を食べている。
トウジに見せるように微笑みながら。
一生懸命汗を流しながら。
けなげと言うにはあまりに滑稽なその姿。

(ヒカリ、アンタが一番苦しいでしょうに・・・なんでそこまでして・・・)

アスカは浮かした腰を動かせなくなってしまった。
と、アスカを出し抜くかのごとくケンスケが立ち上がった。

「ちょっとトイレ借りるよ」

「あ、僕も・・・」

シンジも追従する。
アスカは迷った。

(とにかく体制を立て直さなきゃ。こうなったら恥も外聞もないわよ!)

「アタシも行くわ」

男二人と連れ立って便所へ行く・・・確かに恥も外聞もない。
いつの間にかレイがソノコの歌に合わせて手拍子を打っている。

「・・・〜いかがです〜〜〜チョコレートパンもあんパンも〜なんでもありますチンカラリン♪」

シャンシャンシャンシャン・・・・・・

三人はロバのパンの歌をBGMに手拍子で送られながら退場していった。
 
 



 

トイレの前でシンジは深呼吸をした。
横でケンスケがため息をつく。
アスカが口をへの字に曲げ、ドアにもたれる。
用を足しに来たわけではない。

「どうしても行くと言ったのはお前らだからな」

「わかってるわよ!」

「しかし俺もここ迄とは・・・三年前よりパワーアップしてる。パルナスもロバのパンも・・・・父親も花粉症じゃなかった。とにかくあまり感情的にならないことだ」

「アスカかなりカッカしてるから・・・」

「あのねえ!アタシはヒカリの分も怒ってるのよ!!あのままじゃヒカリが危険よ!」

「・・・・・・」

「なのにあのボケレイはなんであんな呑気なのよ!」

「今のうちだけだ、無事ではすまん」

「そうなの?」

シンジが怪訝そうな顔をする。

「三年前はトウジの家族自体が自滅した。あの強烈な家族が自ら被害者になるくらいだ、それに巻き込まれたら・・・・・」

シンジは息と唾を同時に呑んだ・・・・まだなにか起こるの?

「まあ前菜はそろそろ終わりだろうな。いよいよメーンディッシュか・・・・」

「いままでが・・・・前菜ですって!」

「ア、アスカ、ちょっとどいてよ、緊張してトイレにいきたくなっちゃった」

ボカッ

「ヒカリが心配だわ!無事でいて、お願い!!」

どたどたとアスカは部屋へ引き返していく。
頭をさすりながら慌ただしくトイレに入るシンジ。
そんな二人に全く感心をしめさず、ケンスケは廊下の向こうの出口に視線を移す。
ドアの外には彼の本来いるべき通常空間があるのだ・・・・・

(逃げだしたいが・・・・・目に見えない壁があるような気がする・・・・・)

彼等は得体の知れぬ、禍々しきフィールドに閉じ込められたのだろうか・・・・・?
 
 



 

 シンジがトイレから戻ってきた時には、お膳の上にはゴーフルもパルナスケーキもロバのパン屋のみたらし団子もなくなっていた。
不審に思いつつ、座布団に腰をおろす。
一方アスカはというと、ヒカリの方ばかりを気にしていた。
そっとヒカリの肩に手を置いて囁きかけるアスカ。

「ヒカリ、顔色悪いわ・・・外の空気を吸ってきたら?」

「ううん、わたしとっても元気一杯、気分爽快よ。安心してアスカ」

それが虚勢なのは彼女から流れる汗の量でわかる。
額、こめかみ、頬、首筋、顎・・・・・激しい運動などしてもいないというのに。
明らかに精神的な疲労である。
ヒカリの体調を考えると退席させたい所だが、本人がそれを受け入れるとは思われない。

(どうすりゃいいのよ・・・?)

「きゃははははは」

レイの笑い声がアスカの耳に障る。
レイも汗をかいているが、いかにも心地よい汗という感じで元気そのものだ。
ただ精神的にかなりハイになっているらしい。
さっき泣いていたのもそのせいか・・・・

(あのボケ女!あいつはどうなってもいいけど・・・)

がたっ

襖が開く。
トウジの母がガスコンロを抱えて入ってきた。
その上に乗っかった、正方形で半円球の凹みが3×3=9個ある鉄板。
それが大阪では各家庭に存在すると言われる物である事を、誕生会の来客達は知らなかった。

「おお、待っとったで、お母ん」

トウジの母がコンロをお膳のまん中に置くとゴム管をつなぐ。
 
「ちょっとご免なさいや」

ゴム管をアスカとシンジの間に通すと壁のガスのコンセントにつないだ。
そして再び部屋をでてゆく。
みんなの視線がコンロの上の鉄板に集中する。

「なんや?そんなに珍しいんかいな、たこ焼き器が」

アスカはトウジの言葉に鉄板の穴凹の意味を知った。

(たこ焼き器!・・・これがメーンディッシュ?)
 
ケンスケの顔にも驚きの色が浮かんでいる。

(なに?3年前はお好み焼きだったぞ!これは・・・グレードアップと考えるべきか?)

「きゃー、ここでたこ焼きつくるの?初めて見た、真っ四角のたこ焼き器なんて!」

目を輝かすレイにトウジが答える。

「業務用やなしに家庭用やからな。自分で作ったのを自分で食べる、これがええねやんか」

「じゃ、私もつくるの?」

「おお、そや!皆で作って皆で食うんやがな」

「へぇっしょん、あほんだらぼけかす」

くしゃみの音にみんなが振り向くと顔に大きな白いマスクをつけたトウジの父が入ってきた。
右手に青のりの袋、左手にボールを持っている。
ボールにはメリケン粉を水と卵でといたものにキャベツなどの野菜が入った、たこ焼きの素となるどろっとした汁が満たされている。

「お父さん、こぼさんといてや!」

後ろにトウジの母が続く。
右手に十枚ほど重ねた皿とその上に油やソースや色々とのっけて、左手にはメリケン粉の袋を持っている。
それぞれ持ってきたものをお膳に並べると、母がガス栓をひねり、コンロに着火した。
父は空いている座布団にどっかと座った。

「なんやお父ん、まざるんかいな?」

「当たり前田のキャプチュードじゃ!」

「古いなぁ、お父ちゃん」

「これからたこ焼きやるのに退散しとれるか!」

「お父さん、迷惑だけはかけんといて下さいや〜」

「わ、わかっとるわ、そのためにマスクしとるねんへぇっしょんあほんだらぼけかす
 
シンジ、アスカ、ケンスケの顔に緊張の色が走る。
これで家族が全員揃った。
いよいよメーンディッシュが始まるのか・・・・・
 
 



 

「ええか、やり方説明するで」

トウジが油の入った容器に浸された、油引きを取った。
握りの部分の先に、半円球の凹みに合った形の刷毛がついている。

「これで油を引くんや」

たこ焼き器の凹みに油引きを突っ込みぐりっと回す。
 
 「お兄ちゃん、あたしもやらせてぇな」

「だぁっとれ!」

 ぐりぐりと9個分油を引くとボールを持った。

「次はこれや」

「お兄ちゃんやらせてぇな!」

「私もやりたい〜」

ソノコとレイが名乗りでる。

「まだ説明やとゆーとるやろ!」

言いながらたこ焼き器の穴に直接ボールから汁を注ぐ。
穴に一つづつ・・・・あふれた汁が鉄板上で広がり薄く膜をつくる。
注ぎ終わると細かく刻んだタコの入った器を取る。
タコをつまむと汁の満ちた9個の穴に一つずつ入れていく。

「こうやって一個ずつタコを入れてく。鉄板に触れんように、うまいことな。そんでや・・・」

トウジはたこ焼きをひっくり返す道具を手に取った。
握りの部分と10cmほどの針の部分でできている。

「たこ焼き同士があふれた汁で膜つくってつながっとる。これが焼けてきたころに」

まるで三目並べの線を引くようにして膜を針で切る。

「よっしゃ、これでひっくり返せる」

「やらして、やらして!お兄ちゃん、あたしがひっくり返す〜」

「あかんちゅーとるやろ!後にせい、後に!ほな、そろそろやるか」

トウジは針で半焼けのたこ焼きをつつき、ひっくり返そうとする。

「よ〜う見とけよ、こうゆう風に・・」
「へぇっしょんあほんだらぼけかす」
 
「わ!熱つ熱つ熱つ」

鉄板に触れてしまったトウジは思わず針を投げてしまった!!

ひゅんっすとっ

針がレイの座る座布団に刺さった!
両膝のちょうど真ん中の位置だ。
刺さった針を寄り目になって見つめるレイ。
 

「あ・・・・・・・・・・・・」
 

一瞬、できた沈黙・・・・・を破り、立ち上がった母が息子の頭をはたく!

ぺしっ

「なにしとんの、この子は!あほ!!」

「痛っ!いや突然お父んがくっしゃみしたもんで、手許が狂うて・・・」

「もうあんたにはまかせられんわ!」

「よっしゃ、そしたらわしがやったろへぇっしょんあほんだらぼけかす

「お父さん、たこ焼きひっくり返してる最中に、くっしゃみされたらこっちが恐うてたまらんわ!」

「お母ちゃんあたしがやる〜」

「ソノコ、あんたまだ九つやないの!無理です!」

「じゃりん子チエでも小五でホルモン焼いてるでぇ」

「それはフィクションや!」

「へぇっしょんあほんだらぼけかす」

「それはハクションや!」
 

壮絶な言葉の応酬を繰り広げる鈴原一家!
危険な目にあったレイのことなどすっかり忘れ去られている。
シンジ、アスカ、ヒカリは・・・・もう何度目か判らないけど・・・唖然とした。
ケンスケの顔から血の気が引いてゆく・・・・・過去の苦い記憶が蘇ったのだ。

(同じだ・・・三年前のお好み焼きの時と!鍋奉行ならぬ、たこ焼き奉行が家族の数だけいるようなもんだ!家族の我がぶつかり合ってろくでもない事になる・・・はずだ)
 

レイは座布団から両手でゆっくり針を抜いた・・・・
横目でちらりと鈴原一家の様子をうかがい見る。

「とにかく皆にやり方教えとかなあかんのや」

「お兄ちゃん、悪い見本とちゃうか〜?」

「なんやと!」

「へぇっしょんあほんだらぼけかす」

言い争いに夢中で誰もレイに気をとめていない。
レイはそっと針をたこ焼き器に近付けると・・・・・たこ焼きをひっくり返そうとした!

「これ!なにしてんのん!!」

べちっ

母がレイの手を叩く!
ぽろりと針が転げ落ちる。

「勝手な事したらあかんやないの!!」

「か、か、か、かんにんな、お母ちゃん」

間寛平のギャグを使いながら謝るレイ。

(ああ・・・一瞬ここの家族の一員になった気がした!快感・・・・)

叩かれたレイの手が鳥肌立っていた・・・・・・
 
 
 



 
 

「こうゆう具合に塗って・・・・」

ソノコが刷毛でたこ焼きに、たれ(ソース)を塗っていく。
結局たこ焼きは母がひっくり返し、さらに鉄板から皿へと移した。
後はソノコにおまかせしたのだ。

「そんで青のりかけて・・・出来上がりや!」

出来たたこ焼きを一つずつ皿にのせ、皆に回していく。
回し終わったところでトウジがじーっと完成品を見つめ、一言漏らす。

「なんや上半分と下半分の色がちゃうのお」

ひっくり返す前の会話が長過ぎたのだ。

「とにかく食べよー、いただきまーす」

まずレイがたこ焼きを口に入れる。

かりっふにゃっ

「香ばしくて・・・・苦い?堅くて、やわらかい??なにこれ、くくく」
 
今の一言でシンジ、アスカ、ケンスケは食べる気を失った。
残りの者はとりあえず、半分焦げたたこ焼きを食べてみる。

かりっふにゃっかりっふにゃっかりっふにゃっ・・・・・・・・

「・・・・・・こ、こんなん食うためにたこ焼き焼いてんのとちゃうわ!わしの誕生日やぞ!」

トウジがうめく。

「このままですますか!次はちゃんと焼くで!」
 
「ねー、説明終わったんだから、次こそみんなで焼いてみんなで食べるんでしょ?」

「おお、そうやった。どないしょうか・・・?こんだけぎょうさんいてるんやから、こら分業でやらなあかんやろな〜」

思案顔のトウジだが油引きから青のりかけるまで、せいぜい5〜6行程くらいしかない。

「おっしゃ、せっかく来てくれたんやし、この際お客さん優先でやって見よ!」

「え〜?お兄ちゃ〜ん!そんなんセッショウやわ!」

「大丈夫かいな?ど素人にやらしてへぇっしょんあほんだらぼけかす

レイ「そーいうお父ちゃんはプロかい!」

「そやからや、わしらと違うてうまくでけんと思うから、家族四人でうまいことアシストしてこうちゅーこっちゃがな」

「アヒストって何やの?」

「アシスト!お手伝いっちゅう意味や。ソノコ、まだシをヒと言う癖なおっとらんのか」

「ほんなら参加できるんやね、やったらええわ」

「よっしゃ、始めるで〜」
 

アスカの目が血走っていた。
トウジとその家族を険しい顔で睨みつけている。

(なによ、さっきからこっちの都合をなんにも聞かずに自分達だけで話を進めて!それになんでレイまで会話にまざってるのよ!!こうなったらアタシも覚悟を決めたわよ、矢でも鉄砲でももってこいっての!!)

アスカは自ら前面に出てヒカリの盾となる決意をした。
しかしヒカリの方はというと・・・・

(わたしが作って鈴原がアシストするって事もあるわけね。がんばらなきゃ!)
 
アスカの思惑通りには事は運びそうにない。
シンジはもはや流されるままといった状態だしケンスケはすでに諦めの色が見える。
レイはいつの間にか家族と同化を始めている。
そして隙あらば手を出し口をはさもうとしている鈴原一家。
いよいよメーンディッシュの本番をむかえる・・・・
 
 



 

 ここからは諸々の事情により「 」や( )の時は

シンジは  「 」

アスカは  「 」

レイは   レ「 」

ケンスケは ケ「 」

ヒカリは  ヒ「 」

トウジは  ト「 」

ソノコは  ソ「 」

母親は   母「 」

父親は   父「 」

とさせていただきますので、あらかじめ御了承下さい。
 
 
 



 
 

シンジが油引きを持った。

くりっ くりっ くりっ・・・

ト「もっと力入れて手ばやくやらんかいな」

ぐりっぐりっぐりっ・・

トウジが手をそえる。

ト「ちゃうがな、こうやがな!ぐりっとな!」

シ「わっ」

力を入れすぎて鉄板がコンロからずれる!

ぼぉっ

油引きのハケの部分にコンロの火がついた

「うわあああああ〜」

聖火のごとく勢いよく燃える油引きにパニクって落としてしまう!
落とした油引きを、レイがボールを差し出して受けた。

じゅう〜っ

レ「へへ、ナイスキャッチ♪」

シ「あわわわわ・・・・」

ト「お〜危なかった!とにかく続けるで」

「へぇっしょんあほんだらぼけかす」

母「お父さん、マスクずれかけてる」

ト「おっしゃ、次ケンスケ」

とろとろとろ・・・

ト「もっと一気に!あふれてもええから」

どろどろどろっ

ト「そこまで!!」

トウジがボールを叩いて止める!

びちゃっ

「わッ」

汁がメガネに飛び、ボールをひっくり返す!

べちゃっ

ケ「うっぷ(やっぱり三年前と同じだ)

ごとっどろ〜〜

父「うおっなにすんねんへぇっしょんあほんだらぼけかす

母「布巾、布巾!」

ソ「うわ〜どないしょ」

ト「ほっとけ!気にしてる間に、またたこ焼き焦げてまうわ、次タコや」

ヒ「あ・・・はい・・」

ア「アタシがやる!ヒカリは最後のソースと青のりやって!(そのほうが安全よ)」

器を持ち、むんずとタコをつかむ。

ソ「たこ焼き一個にタコ一個やでぇ」

ア「わかってるわよ!(このガキ!)

ぽとぽとぽと・・・

ソ「ああ、一個はずれてる、こっちゃは二個入ってる!」

ア(いちいちうるさいわね!)

ソ「落としていくんや無しに直に埋め込んでいかなアカンわ」

「へぇっしょんあほんだらぼけかす」

ソ「そやから貸しいな、これは・・」

ア「なにすんのよ!あっ!」

ばらばらばら・・・

ア「ああ!・・」

レ「鉄板がタコで埋まっちゃったねー、きゃははははは」

「へぇっしょんあほんだらぼけかす」

母「早よ取らな!テコ貸して、テコ!」

ト「お母ん、テコはお好みの道具や!あれ?あるやないけ・・」

ざっざっざっ

テコでタコをさらえる。

ト「かなりタコ入ってしもたで」

ソ「しゃあないな〜」

ア「だれのせいよ!!」

母「お父さん、何してはるのん?ボール持って」

父「いや、汁がこぼれたから作り足そう思て。水とメリケン粉はあるやろ、後、卵がいるなへぇっしょんあほんだらぼけかす

レ「じゃ私いくねー、いよっクルっと」

ト「あほ!ひっくり返す前に切らんか!!」

レ「あっしまった!」

ソ「つながってもうてるでぇ」

ト「戻せ、戻せ!」

レ「ほい・・・じゃ、やりなおし・・・縦縦横横、切れたよー!」

ト「今度こそひっくり返せ」

レ「うん!」

くりゅっ

ト「へたやな〜!全然返ってへんがな、貸してみい」

ソ「お兄ちゃんさっき失敗しとるやん、あたしがやるわ」

レ「私にやらせてよ〜」

父「水はこんなもんやへぇっしょんあほんだらぼけかす

母「これ、三人で持ってどうすんのん!やめときよし」

がくんっ

三人がバランスを崩し針が振り回された!

ぶんっ

「ひぃっ」

ばたっ

のけぞったヒカリが倒れる!

「ヒカリ!」

ヒ(どうして?こんなはずじゃ・・・・)

母「なにすんのん、あんたら!!」

父「ほいでメリケン粉をへぇっしょんあほんだらぼけかす

母「貸しなさい、もう!」

ぐいっ

レ「きゃっ」ト「うぉっ」ソ「ひゃっ」

針を持ったまま四人が倒れ込む!

父「うわ!なんじゃ!!」

持ってたメリケン粉の袋をほうり出して、針を避ける父!

どんっ

メリケン粉が天井にぶつかり粉をまき散らしながら落ちてきた。

ぼてっ

たこ焼き器の上にのっかるメリケン粉。
ビニールの袋が溶ける嫌な匂いを発して、メリケン粉が舞い上がる!

もわ〜〜〜〜〜

部屋中に粉が広がり視界が白で覆われた。

シ、ア、レ、ト、ケ、ヒ、ソ、父、母「・・・・・・・!」

皆は室内に立ちこめる白い粉を吸い込んでしまった!
 

父「へぇっしょんあほんだらぼけかす!!」

母「はあっくしょん、お父さんなにすんの!」

ア「はっくしゅん、アンタバカァ?!

ト「ぶあっくしょい、どあほう!」

ケ「はくしょん、やはり来なきゃ・・

シ「はっくしゅっ、・・・・

レ「ふぁっくしょん、きゃははははは!!

ソ「はくちゅん、こらあかんわ!」

ヒ「はくしゅん、こんなはずじゃ、こんなはずじゃ、・・・・・・うっ

「はくしょん」
「ぶあくしょい」
「ふぁくしょん」
「へくしゅっ」
「はくしょいっ」
「はっくしょん」
「はっしょん」

「へぇっしょんあほんだらぼけかす」
 
 
  



 

 う〜かんかんかん・・・・・
 
 
 



 
 

母「そやから火事やありませんて!」

消「しかし隣家から煙りが出ていると通報が・・・」

父「あれはメリケン粉やへぇっしょんあほんだらぼけかす!

消「わ!・・・・・・メリケン粉?」

ト「嘘や思うんやったら、わしらの体なめてみい!」

消「は?」

ソ「たこ焼き焼いとったんや」

消「??」

ト「なんならいっぺん食わしたろか!!」

消「いやあの、」

ソ「おっちゃん、まぁこっちゃお入り!」

ぐいっ

消「ち、ちょっと困ります、なにするんですか〜!」

「へぇっしょんあほんだらぼけかす」
 

駆け付けた消防署員を家にひきずり込もうとする鈴原家の人々。
トウジの誕生日を祝いに来た者達は、そんな不幸な消防士を振り返りもせずに家を後にする。
来る時の道は、真っ赤な壁となった消防車にふさがれたため、路地の反対側を歩いていく。
騒ぎに集まった近所の人々が、不信感に満ちた視線を投げかけるが、気にする余裕もない。
粉まみれの姿のまま五人は家路につくのだった・・・・
 

傾きかけた太陽の光が薄い雲をすり抜け第3新東京市を茜色に染める。
しかし路地を抜け大通りに出た五人の中学生は、周りの景色の変化などかけらも感知していなかった。

ヒカリの額に蒼い縦線が何本も引かれていた。
眼は虚ろに見開かれ、口はだらしなく半開きになっている。
メリケン粉でおさげ髪が灰色に塗り潰され、まるで玉手箱を開けた後の様だ。
足元がふらついているためアスカに肩をかしてもらっているが、その事に本人が気付いているかどうかも怪しい。
精神崩壊・・・とまではいかないまでも、放心状態である事は間違いない。
アスカもヒカリを支えるには気力体力をかなり消耗していたため、さらにシンジがアスカと手をつないで補助している。
シンジも元気であろう筈がなかったが、メリケン粉のせいで更に眼が充血したアスカのほうが自分の事より心配だった。
ケンスケは眼鏡に付着したたこ焼きの汁がガビガビに固まり、視界がおぼつかない状態だった。
そんなケンスケを手をつないで誘導しているレイは・・・・・・
 

「やー、おもしろかったねー!」
 

メリケン粉をまき散らしながら元気に手を振って歩く!
ケンスケが振り回されコケそうになってる。
赤い瞳がいきいきと輝き、 心地よい疲労が彼女のテンションを下げずに維持している。

「ほんと、ゆかいな家族だったよねー、行ってみてホンマよかった〜!」

レイの声が脳天まで響き、アスカは頭が割れそうになるのを感じた。

(くぉんの〜・・・・なんでこんなに元気なのよ、ヒカリが酷い状態なのにやかましくしないでよ!)

痛む頭で血管の浮いた眼をぎらつかせ、レイを睨むアスカ。
残る力をふりしぼってレイに叫ぶ。

「レイ!アンタね、」

「ねー、また行こうよね、絶対!!

「!・・」

言い返そうとしたアスカの言葉が咽元で止まった。
 

ぴくり・・・・
 

ヒカリの半開きの口が震えるように動く・・・・・
 
 
 

「え・え・・・また・行き・ましょ・・」
 
 
 
 
 
 
 

「!!・・・・・ヒカリ!・・・・アンタって子は!アンタって子は!!・・・・うう」
 

アスカはヒカリをしっかり抱きしめると、頬を寄せ合いむせび泣き始めた。
蒼く濁った瞳から不純物を含んだ涙がメリケン粉の付いたまつげに溜まり、白く粘りながらたらぁ〜りとこぼれ落ちる。
最悪のコンディションから流された涙・・・しかしそれは今のアスカに見せられる精一杯の気持ち。

「くううっ感動的だねぇー」

意味も判らずもらい泣きするレイ。

(こっちが泣きたいよ、ほんとうに!)

爪で眼鏡にこびりついたガビガビを削りながら嘆くケンスケ。

(アスカが・・・・・・きれいだ?)

シンジは傍らで親友のために涙する、幼なじみをどうしてか美しいと感じた。
たとえ粉にまみれ、栗色の髪の毛がブチ模様になっていても・・・
自分が過去に見た彼女の涙のどのパターンにも、今のそれは当てはまりはしなかった。
だがシンジはアスカがいったい、何が、どうして、むせび泣いているのか、ぜ〜んぜん判ってなかった。

周りの事など気にも止めずに泣き続け、人形の様に固まったヒカリに問い掛けるアスカ。

「どうして・・・あんな目にあってまで・・・それでもまだめげないの?・・・そこまでして・・・」
 

アスカはヒカリが不憫で、不憫で、不憫でならなかった・・・・・・
 
 

                     第六話完
 



 

付録・関西用語の基礎知識
 

ゴーフル(GAUFRES)

神戸の風月堂と言う店の御菓子。
薄い円盤状(大きさは色々)のせんべいが二枚重ねになっており、間にクリームがはさんである。
クリームはバニラ、チョコ、ストロベリーなど。
 クリームがまん中にあるため端から剥がしやすく、子供はよく二枚に剥がして親に怒られる。
 

サンガリアコーヒー(缶コーヒー)

関西ローカルのコーヒー飲料で特異な感覚のCMを製作し続けている。
例を挙げると、「ありがとサンガリア」「アンタモガンバリヤ(←外人)」、国破れてサンガリアなど。
CMソングもある。
イチ、ニイ、サンガリア、ニイ、ニイ、サンガリア、サンガリア、サンガリア、デュワ〜
 

パルナス(ケーキ)

関西テレビでは昭和40年台〜50年台にかけて、日曜の午前に30分のアニメ再放送枠が存在した。
そのスポンサーがパルナスで、モスクワの味を売りに異常に暗い耳について離れないCMソングをテレビの前の子供達に流し続けた。
その影響力は絶大で今でもカラオケBOXなどで歌う者がいるという。
関西テレビはフジ系列のため、笑っていいとも増刊号の放送と開始と同時に放送枠も消滅した。
しかしパルナスそのものは健在で2015年になっても存在し続けるであろう。
 

じゃりんこチエ(マンガ、アニメ)

大阪新世界を舞台にした漫画で、関西では一時期これのアニメがくどいほど再放送された。
第四話でもヒカリを大いに悩ませた?
 

ロバのパン屋

行商形式のパン屋。
その昔、本当にロバに荷台を引かせ、パンを売り歩いていたそうな。
それが自転車、ワゴン車と変わっていった。
変わらないのはテーマソングで、三番まであるこの歌を移動しながらエンドレスで流し続ける。
これを聞き付け客が集まって来るという仕組みである。
パン屋でありながら、今も昔も最大の売りはみたらし団子。
これしか買わない客も多い。
2015年まで生き残って欲しい。
 

あたり前田のキャプチュード

関西出身の格闘王、前田日明のプロレスラー時代の必殺技がキャプチュード。
元ネタは1960年台のテレビ番組、てなもんや三度笠の生CM。
主人公の藤田まことが「俺がこんなに強いのも、あたり前田のクラッカー」と言ったのをもじったもの。
前田日明は「アキラ前田のクラッカー」というろくでもないCDROMソフトも出している。
 

必死のパッチ(第四話より)

パッチとは、ももひきの事。
必死の後に付ける事により、必死さを増幅し、迫力を出している。
強調語として用いられているが、なぜか『必死』だけにしか『パッチ』をくっつけて使用する事はできない。
理由は不明、誰か教えてくで〜。
 



 

次回予告

需要と供給のバランスが崩れたとき、まず潰れるのは自転車操業の者。
写真を売った金で機材を買い、その機材で写真を撮るケンスケに自己破産の危機が迫る。
追い詰められたケンスケは遂に禁断の盗撮に手をのばす。
次回大ぼけエヴァ第七話

下の写ったもの
 

次回も

「あ〜ら、ケンスケ君、こんなところで何してるの〜?」
 
 



 

やっとここまで来た。
第六話まではなにがなんでも続けようと思ってたもんで・・・・
元々小説など書いたことないんで文才の無さをギャグでごまかそうと始めたのが大ぼけエヴァです。
その結果ラブコメのラブがギャグに置き変わったものになってしまいました。
この作品を書くにあたってなんでもありをやらないと言う制約を科しました。
ハンマーで突っ込んだりしないとか。
よーするに「うる星やつら」ではなく「めぞん一刻」的ギャグを狙ったのですが、弐話のカイコで早くも、そのもくろみが崩れかけてしまい、まいりました。
第七話予告がありますが、先の予定は全く立っておりません。
そろそろ別のネタも考えてるので・・・相変わらずおっかなびっくり書いてますが。
明るく楽しく激しい話などどうでっしゃろか?
ほな、このへんで・・・

ver.-1.00  1998+02/11公開
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ご意見、御感想、誤字、脱字情報などは m-irie@mbox.kyoto-inet.or.jp までお送りやす
 
 



 えいりさんの『大ぼけエヴァ』第六話、公開です。



 ぱるなす、ぱるなす。モスクワっの味〜♪

 名曲だよね(^^)
 食欲どころか、生きる気力さえ奪うような歌・・・(^^;

 子供向けアニメ枠、日曜の朝、
 そんな時間にこんな曲を流す気概(爆)

 トラウマった子供多し(^^;



 初めて耳にしたアスカ達、
 そりゃ凍るよね・・・


 でも、でも。

 ここだけでしょ?
 ”変”なところは。


  ロバのパン屋も
  サンガリアも、

  元気のいい家族の会話も、
  へっくしょんこんちくしょーも


 ごく普通じゃないですか〜

 これを普通という私も変なのかな?!(N2爆)



 さあ、訪問者の皆さん。
 大阪を描ききったえいりさんに感想メールを送りましょう!


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