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仮面
「涙の通り道に黒子がある女は一生泣き続ける運命にあるからさ」
加持君はそう言ってた。
そう私は泣いてばかり。
いつも仮面の下は泣いていた。
小さい頃はよく泣いたわ。
スカートをめくられた時。
好きな子とケンカした時。
好きな子が怪我をした時。
私が仮面を被った時は、
あの人に遭った時。
才能だけを欲していると知った時。
あの人が私を抱く時は、
いつも私の研究室。
私に表情をくれない。
眼鏡も取ってくれない。
無言で私を犯していく。
私はそれに応える。
それだけが二人の言葉だから。
終わった後に一言だけ
「またくる」
その後私は一人泣く。
声も無くすすり泣く。
知られたくない。
あの人は、あの娘に微笑んでる。
あの人は、あの娘に言葉をかける。
私はあの子が憎らしい。
わかってる。
私はいなくてもいい女。
頭脳さえあればいい女。
私と話す言葉の列は、
全てが仕事の事ばかり。
抱くのは給料代わりだから。
愛など元からあり得ない。
幻想さえも持ってない。
だけどやっぱり逆らえない。
魔女は悪魔に逆らえない。
共に地獄に落ちるだけ。
ただそれだけが救いかも。
いつも自分の研究室で、
誰にも見られずすすり泣く。
私の作ったダミープラグ。
子供の命が消えていく。
そうよあの子は単なる原料。
この為だけの人形よ。
だけど私は人形以下。
人形だったら愛でてはくれる。
私は単に使われる。
私は一人すすり泣く。
魔女が悪魔に逆らえば全ての力は消えてゆく。
あの子のスペアを壊した後は、
抱きも殺しもしてくれない。
ただ孤独が待っている。
私は一人すすり泣く。
魔女が悪魔に逆らう後に、
最後の時がやってくる。
悪魔に恨みを返す為、
悪魔の宝を壊そうとする。
だけど、魔女の母親やっぱり魔女。
娘を捨てて悪魔に尽くす。
全ての望みを壊されて、
魔女は最後の裁きを待つ。
悪魔は一言言葉を送る。
…………
嬉しい……殺して……今の心を持ったまま、
あなたの力で地獄に送って。
あなたの嘘の一言が私を喜ばしてるうちに。
そして慈悲の弾丸が私の胸を切り裂いていく。
ありがとう……愛し…て……る………わ
そして仮面は割れて……
あとがき
映画を見てすぐ書いた詩です。リツコさんにとっての映画はこうだったように思ってます。彼女は幸せだったかもしれません。最後の瞬間切なげな微笑みを浮かべてたのはこうだと思っています。愛する人に殺されるのは人生最後の喜びなのかも……。
でも私のリツコさんとりっちゃんは、こんな幸せではなく心の奥底から幸せになってもらいます。ではまた。
まっこうさんの『仮面』、公開です。
染めた髪。
隙のない身のこなし。
冷徹な、しかし、理論的な判断。
・・・・理論的すぎる判断。
彼女の仮面、
彼女の鎧。
死の前に見せた表情の裏、心の内。
リツコさんを愛するまっこうさん。
まっこうさんの温かな目が感じられましたね。
さあ、訪問者の皆さん。
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