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[リツコとまっこうの愛の部屋]に戻る
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この作品を子どもたちに愛と勇気と希望と夢を与え続けてくれた
石の森章太郎先生に捧げます。
ここは宇宙のとある所。
「将軍ミサートンをここへ」
「ははー、帝王ゲンドロドン様」
ここは聖魔帝国エバントンの帝王の間であった。
「ははー。御用でしょうか、帝王ゲンドロドン様」
ヒゲ面の大男が座る趣味の悪い玉座の前に、いきなり一人の女が表われた。
その女は肌もあらわなボンテージルックのFカップ年増である。
「将軍ミサートン・ボヨヨン・キョニューン。地球侵略作戦の方はどうなっている」
「ははー、帝王ゲンドロドン様」
Fカップ年増が言う。
「次なる超進化チルドレンの準備は終わりました。今にでも攻撃が開始できます。侵略ロボ、エバゲルゲの開発も終了しております。こちらもすぐに出撃できます」
ゲンドロドンは趣味の悪い色眼鏡の下の目をにやりとさせ言った。
「そうか。それではすぐに攻撃開始とする」
「ははー。帝王ゲンドロドン様」
登場と同じようにFカップ年増は忽然と消えた。
「ハクインジャーめ今度は前みたいにはいかんぞ。今度こそ地球は私のものだわっはっはっは」
科学戦隊
ハクインジャー2
エバントンの逆襲
「アスカちゃんのお弁当はほんと美味しいわね」
「そうですね所長。あの子は料理の天才ですね」
金髪美人と大男が会話をしている。その部屋は畳に掘りごたつ、テレビにビデオ、テレビゲーム、部屋の端には簡単な台所も付いている。一見アパートの一室みたいであるがここは赤木人間工学研究所、食堂兼休憩室である。もともと4人+1匹+1台の小規模な研究所の為大きな食堂よりもむしろアットホームな雰囲気をという所長の考えによりこうなっている。今は昼休み、リツコとまっこうは昼食が終わったところである。今日はディオとマヤは出張の為戻りは15時頃だ。今日は二人っきりである。
今まで昼飯は所員が交代で作ったり出前を取ったりしていた。最近はアスカが朝早起きして作ってくれるお弁当をレンジで温め食べている。ハクインジャーにエバントンから助けられて以来アスカは社宅の神田大家のところに預けられ中学校に通っている。学校では天性の可愛らしさと優しい性格で人気者らしい。
部屋のテレビはニュースを流している。誰かの告別式の模様のようだ。
「それにしても石の森章太郎さんが亡くなるとは。まだ60才になられたばかりなのに」
「そうよね。あの方の作品は子どもたちに夢と勇気と愛と希望を与えたわ。どんなに辛くても生きていく素晴らしさと正義を信じる心を教えてくれたわ」
「そうですね。私も仮面ライダーの変身ポーズを何度したことか」
「私は009のフランソワーズ、モモレンジャーも好きだったわ」
「がんばれロボコンも捨て難いですね」
「そうね。あの作品は頑張ることの大切さを教えてくれたわ。私は美少女仮面ポワトリンも好きだわ」
「所長通ですね」
「そう。母さんは快傑ハリマオに結構はまってたっけ」
「さすがナオコさん。違いが判りますね」
「そうなのよ。母さんも通なのよ」
「人造人間キカイダーもよかったですね。ビジンダーってほんとに美人でしたね」
「私はさるとびエッちゃんも好き。私は小さい頃おてんばで変わってたからさるとびりっちゃんって呼ばれた事もあったわ」
二人の思い出話は続く。
「10年前エバントンの母船を母さんが命と引き換えに倒した時私は誓ったわ。今度は私が地球を守ろうって。そしてMAGIになった母さんとハクインジャーを結成したのよ。もちろんその時ゴレンジャーを参考にしたわ」
「そうですか」
リツコは少し興奮して上気していた。それはもともと美しいリツコの横顔をさらに美しくこの世のものとは思えないほど魅力的にしていた。
がば
「あ、だめよまっこう」
「所長いえリツコさん愛しています」
「だめよ……だめよ……あっ……そこは……あっ……」
○
○
○
○
「あ〜〜あ、髪の毛乱れちゃったわ。ディオにしても二人になるとやること同じなんだから」
「リツコさんがあまりにも魅力的だからです」
二人は休憩室の奥の仮眠室のダブルベッドの上でまどろんでいた。なぜ仮眠室にダブルベッドなのかは考えない事にしよう。
「さあそろそろディオとマヤが帰ってくる時間だわ。ここ綺麗にして匂い消しとかないと」
「そうですね」
「あなたたち二人とも同じような事やるくせに嫉妬深いから」
「ハハハハ…………」
「でもそろそろ毎日交代であなたたちの相手をする体力が無くなってきたわ。誰か一人に決めないとね」
「私かディオにですか」
「マヤでもいいわよ。私男女の区別しないから」
「そうなんですか……」
「冗談よ。あの子そろそろいい歳なんだから男に興味持って貰いたいわ。お姉様って慕ってくれるのは嬉しいんだけどね。いい相手がいたらと思ってるわ」
「はあ」
「考えてることあててみましょうか。マヤをディオに押しつけて自分はリツコを貰おうって」
「ははは……図星です」
「ディオも同じ事考えてるわね。きっと。さあ本当に午後の業務を始めましょう」
「はい所長」
リツコに言われてしぶしぶまっこうはベッドから身を起こす。二人の上にかけている毛布をどけると、リツコのビーナスを細めにしたような裸身が現れた。
「綺麗だ」
思わずまっこうが呟く。
「何言ってるのよ」
リツコは側にあったバスタオルをとると体の前を隠しシャワールームに向かう。まっこうもついていってシャワールームに入る。
「ほんと甘えん坊なんだからあなた達」
二人はシャワーを浴びた後着替えて午後の業務を始めた。
たったったったっ
肌が異様に白い少女が走っていた。青みがかった白髪に赤い瞳、ジャギーのかかったショートヘヤー、整った顔だちに細身の綺麗なボディライン。美人と言えるだろう。恐怖でその顔がひきつっていなければ。
そこは不況の波で潰れた工場の廃墟の中だった。彼女はぼろぼろの服に素足で走っていた。
ばたん
少女は躓き転んだ。うつ伏せに倒れていたがすぐに顔をあげた。瞳には涙が光っていた。立ち上がろうとする。
「うっ」
どうやら足を挫いたらしい。
「カヲルくん助けて」
少女は少しでも逃げようと這って動こうとする。その時後ろから奇声が聞こえた。
「キィ、キィ、キィ……」
少女がそちらを振り向くと、肩に顔がのめり込んだような怪人と全身黒タイツの下級戦闘員がいた。
怪人サキエルは言う。
「綾波レイ逃げても無駄だ。おまえは帝王ゲンドロドン様の元で改造されて超進化チルドレンとなりエバントンの為に働くのだ」
「いや〜〜」
少女が泣き叫ぶ。
その時であった。
ぶろろろろろろ〜〜〜〜
一台のオートバイが現れ怪人と少女の間に割り込んだ。マフラーをなびかせたライダーはバイクを降りると少女を後ろにかばう。
「でたわねエバントン」
そのライダーは若い女性であった。ほっそりとした体つきに茶色い髪整った顔を持っていた。
「おまえはだれだ」
怪人サキエルが次々に下級戦闘員をやっつけていく女性に叫ぶ。
「私の名は碇ユイ」
そう言うと彼女はレイを胸に抱き数メートル後ろにジャンプし間隔をとる。
「またの名を仮面ユイダー」
「あの裏切り者の……」
ユイはレイを降ろすとすっくと仁王立ちになる。
「変身とぉ〜〜〜〜」
ちゃ〜〜ちゃかちゃかちゃん ちゃららららちゃららららちゃららららちゃららららちゃららららん
ユイがジャンプする。腰のベルトの風車が回り光を放つ。着地したユイは仮面ユイダーに変身していた。
「私が来たからにはあなた達の自由にはさせないわ。ユイダーチョップ」
下級戦闘員達は吹っ飛ぶ。
「くらえ〜〜〜〜」
怪人サキエルが手から光の槍を放つ。
「ユイダージャンプ」
ユイダーはジャンプして避ける。
「ユイダー大風車三段キ〜〜〜〜ック」
ユイダー大風車三段キックが怪人サキエルの胸の光球を砕く。怪人サキエルは吹き飛んでいく。
「や・ら・れ・たぁ〜〜〜〜」
どぉ〜〜〜〜ん
怪人の体は爆発した。
「仮面ユイダーありがとう」
「助かってよかったわレイちゃん。これから安全な所へ連れていってあげるわ」
逆変身によりユイに戻ったユイダーはレイをバイクの後ろに乗せその場を立ち去っていった。
「まっこうおまえ所長と変な事してないだろうな」
「そうですよ。先輩は皆の所長なんですからね」
出張から帰ってきたディオとマヤがまっこうに詰め寄る。
「はて何の事かな」
いつもの光景をリツコは微笑んで見ている。
「あれ入り口にだれか来たわ……あれは……ユイさん!!」
MAGI=ナオコが驚き声をあげる。
「どうしたの母さん」
「リツコ、研究所の入り口にユイさんが誰か少女を連れて居るわ」
「ユイさん!!」
「そうよ。とにかく入れてあげましょう」
研究所の全機能を管理するナオコが入り口のロックを外した。リツコは入り口に急いで来た。所員達もついてくる。
「ユイさん……生きてたの」
リツコが言う。
「詳しい話は後。この子の手当てを頼むわ。単に疲れているだけだと思うけど」
「誰この子」
ぐったりしてユイに抱きかかえられている少女を見てリツコはいう。
「……」
「ああ、私の部下達なら大丈夫。一緒に戦っている仲間だわ」
「そうなの。この子はエバントンに捕らえられて超進化チルドレンにされかかった少女よ。綾波レイと言うの」
「判ったわ。私たちは医務室でこの子の診察をするからあなたはそのバイクを地下室駐車場の秘密スペースにかくして。まっこう案内してあげて」
「はい」
「じゃディオその子を医務室に運んであげて。マヤはこの子やユイさんの着替えや何か食事を用意して」
「「はい」」
「でユイ今までどうしてたの?」
応接室でユイとリツコとディオは話していた。レイは右足首の捻挫以外特に外傷もなく手当てをしたあと鎮静剤を与えた後寝かし付けている。マヤが付き添っている。まっこうはユイのバイクの整備をしている。
「リツコ、ゲルゼーレって知ってる?」
「知っているわ。エバントンに魂を売った裏切り者の地球人達の組織ね。本部を早く潰そうと思ってるのよ」
「そう。私は10年前の戦いの時捕まってずっと人工冬眠させられていたわ」
「それで所長と同級生なのにまだ二十ぐらいに見えるのですね」
ディオが言う。
「ええ。でも私はエバントンに改造されてしまったのよ」
「「改造!!」」
「私はいろいろな動物の遺伝子を組み込まれその能力を発揮できるようになったわ。で最後に脳も改造されてエバントンの手下になるところを冬月先生に助けてもらったのよ」
「え、冬月先生生きてたの」
「ええ、やはり前の戦いで私と同じように捕まってずっと悪の研究をむりやりさせられていたわ。私や他のレイちゃんみたいな子どもたちの命を人質として。でも私を逃がしてくれる時亡くなったの」
「そうなの」
リツコの言葉と共に部屋に沈黙が落ちた。
「人質にされていた子どもたちはどうなったの」
「ほとんどの子どもは改造実験の犠牲になって死んだわ」
「なんて酷い……」
「ただ三人は改造が成功したみたい。その子達は機械式のサイボーグでゲルゼーレの連中は00ナンバーサイボーグって言っていたわ。その子達も冬月先生が助けたの。後でここに来ると思うわ」
「そう判ったわ。で、ユイはどうするの」
「私はゲルゼーレと戦い続けるわ。私にはそれしかないのだから。私はもう人間じゃないのだから」
「そんなことありませんよ。ユイさんは立派な美しい人間の女性です」
「ありがとう……ディオさん。でも……」
ユイは皮手袋を脱ぐ。白い手が出てくる。なぜか今までマヤが着替えを用意したにもかかわらず、汚れたジーンズパンツ、ノーブラにTシャツ、皮ジャン、マフラーという格好であった。ユイはディオの手を握る。
「え?」
「そう。判ったでしょ。私の肌は見た目こそは白くて柔らかそうに見えるけど、強化された外骨格なのよ。だから顔の表情は変わらないわ。笑いたくても笑えない。泣くことさえできない。涙腺はあるけど感情では働かないの。目を守る機能だけ。もし私を抱いた人がいたらまるでマネキンを抱いたように思うわ。私本当はお嫁さんになりたかったのに。ほら。いま凄く悲しいのに涙出てこないわ。私は人間じゃないのよ、怪物なのよ」
ユイはディオの手を離すと顔を覆う。
「ユイさん。そんなことありません。人間を人間にしているのは心です。人を愛する心。友を信じる心。正義を求める心。恐怖に立ち向かう心。未来に向かって進んでいく心。それが人間です。ユイさんは人間です」
「…………ディオさん。ありがとう。判ったわ。私は人間なのね。うん。そうね。心なのね。私……人間としてこれからも戦っていくわ」
「そうよユイ。頑張りましょう」
「ええ」
「それとあなたの体のことは任せといて。私と母さんとで、変身中以外は以前と変わらなくなるように治療をしてあげるわ」
「できるの?」
「ええ多分だけど」
「嬉しいわ。ありがとうリツコ」
「どういたしまして。そのほうがディオも喜びそうだし。ディオあんた一目惚れでしょ。ユイに」
「そ……そんなことありません。私は所長一筋です」
「いいの?ユイ悲しんでるわよ」
「い……いえ、え〜〜と」
「いいのよ。ディオさん気にしなくて。今の私はあなたと寝ることはできないし。やっぱり女ではないのだし」
「ディオあなた酷いわね。ユイにぬか喜びさせて」
「リツコもういいの。私はもう女の喜びは諦めていますから……」
「ユイさんそんな諦めてはいけませせん。僕待ちますから……」
半分は勢い半分は本気で言うディオである。
「ディオ、お嫁さんにするならユイのほうが私よりいいわよ。家事は完璧だし、プロポーションと美貌は私と五分五分だし。事実大学六年間で学園祭QUEENは私達が毎年交互に貰ったわ。他の子達が水着とかでお色気振りまいても私達の白衣姿にはかなわなかったのよ」
「でも私が所長以外を愛してしまったら、私はATフィールドを使えなくなってしまいます。それではエバントンと戦えない……」
ディオも悩むのであった。
「そんなことないわ、ディオ。ATフィールドは愛の力の具象化なの。ハクインジャーの特殊強化白衣はそれを引き出しているの。愛の対象は私である必要はないわ。本当に誰かを愛することができれば誰でも構わないのよ」
「所長」
ディオはリツコに視線を向ける。
「ディオ、私の親友を愛してあげて……お願い」
「…………ユイさん。私はさっきあなたをこの目で見た時から心が震えました。ついさっきまで所長のことしか頭になかったのに自分でも酷いと思います。でも一目であなたのことを……あ……愛してしまいました。ユイさん」
「ディオさん。私もあなたのことを…………」
ユイの言葉の後半は言葉にならなかった。ディオが素早くユイの横に移動し口を口で塞いだからだ。チアノーゼを起こしそうな濃厚なキスであった。
「ユイさん。唇は柔らかいですね」
「ええここは柔らかいままなの。それに触覚も変わらないの」
「あの……お二人さん……いいかなぁ。あんた達よくもまあころっと……でも幸せならいいか」
「所長ごめんなさい」
「リツコごめんね」
「まあいいわ。これで私も迷わなくって済むしね。後はマヤの貰い手探せばいいんだし」
「マヤちゃんがどうかしたんですか」
応接室の入り口にはまっこうが汚れたつなぎのまま現れた。ユイのバイクの整備が終わったのであろう。リツコは立ち上がるとまっこうの正面によりつま先立ちになり両手をまっこうの首に回す。
「ど……どうしたんですか所長」
「いいのよ。もう私はあなたのお嫁さんに決まったの…………」
「へ……どうしたんです…………」
まっこう、リツコの猛烈なディープキスをくらって完黙。
「先輩〜〜〜〜レイちゃん寝かし付けてき…………ふっふっ不潔です〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
あわれ半狂乱のマヤであった。
「フランソワーズ確かこっちやな。赤木人間工学研究所ちゅうのは」
「そうねジョー。こっちだわ」
「確かにこっちみたいだね。この地図によると」
三人の少年少女であった。ジョーと呼ばれた少年は長身にきりっとした顔だちだ。黒の上下のジャージを着ている。フランソワーズと呼ばれた少女はにきびがいっぱいある三つ編みの可愛い少女だ。釣りズボンの少年ぽい格好をしている。最後の少年は眼鏡にすねたような顔だちだ。ジーンズパンツにサバイバルジャケットを着ている。
「あっ本当だ10KM先に建物があるわ」
洞木・フランソワーズ・ヒカリが言う。
「そうか。ぼちぼちいくかぁ〜〜」
鈴原・ジョー・トウジが答える。
「そうだね。まぁのんびり行こうか」
相田・アイザック・ケンスケが言う。三人はのんびりと歩いていく。
「あっ大変。5KM先の中学校の近くでセーラー服の金髪の少女が誘拐されているわ」
「なんやて。ワシ助けてくるわ。加速装置」
カチ
瞬時にジョーの姿が消えた。アイザックは自分のでべそを押す。すると見る間にアイザックは大鷲に変わる。
「フランソワーズ足につかまって」
「判ったわ」
フランソワーズはアイザックの足につかまる。アイザックは飛び立つと一目散にジョーを追いかけていった。
「きゃ〜〜〜〜」
アスカは中学校から帰宅の途中いきなり黒服の男たちに襲われた。側に止まったワンボックスに引きづりこまれそうになる。アスカは必死に抵抗した。
「助け……むぐむぐ」
一人の男がハンカチを取り出すとアスカの口と鼻にあてる。アスカはぐったりした。アスカがワンボックスに連れ込まれようとしていた。
スパン スパン スパン スパン スパン
その時辺りに音が響いた。すると急に先ほどのジョーと名乗った少年の姿が現れた。
「ナニワ名物スーパー加速ハリセンや」
彼の右手には大型のハリセンが握られていた。彼の台詞を待っていたかのように黒服達が倒れた。意識を失いかけているアスカも倒れそうになる。ジョーが素早く近寄り抱きとめる。アスカは完全に意識を失ったようだ。
「えろおべっぴんさんやなぁ」
ちょうどその時、空からフランソワーズとアイザックも降りてきた。アイザックは元の人間の姿に戻る。
「ジョーその子大丈夫?」
「なんや薬かがされてる。よおわからん」
「研究所に連れていって治療して貰ったらどうだい」
「そやな」
「そうね」
アスカをジョーが背負うと三人は赤木人間工学研究所に向かった。
「アスカちゃん!!あなた達は……」
アスカを背負ったジョーを見てリツコが言う。
「この子知り合いなんですか。私洞木・フランソワーズ・ヒカリっていいます。この子がさらわれそうになったのを助けたんです。私達冬月おじいちゃんに助けられてここに来るように言われたんです。私達は00ナンバーサイボ……」
突然フランソワーズが倒れた。同じようにジョーとアイザックも倒れる。
「あなた達、皆来て。この子達を医務室に運ぶわよ〜〜」
「アスカちゃんは睡眠薬をかがされただけ。あの子達は…………酷いわ。まだ14〜〜15才の成長期の体をむりやり改造したために、改造部分とその他の部分の間に不適合が生じているの。このままでは危険だわ。至急手術が必要ね。ディオ手術の用意、執刀は私がやるわ。あなたは助手をやって。まっこう、あなたは取り出した機械部分を修理、マヤあなたは免疫抑制剤等の調達手配よ。みんな時間との勝負よ」
「「「はい」」」
「リツコ。私はどうする」
「ユイは今のところやることはないわ。アスカちゃんとレイちゃんの面倒を見ていて」
リツコと所員達は散らばっていった。ユイは一人アスカとレイが寝かされている休憩室に取り残された。
「ゲルゼーレ…………許さないわ」
ユイは部屋を出た。しばらくして通りにバイクの爆音が走った。
ぶろろろろろろろ
ユイのバイクが止まる。バイクを降りると廃墟と化した工場を見渡す。特になにも見当たらなかった。だが耳を澄ますと微かだが異音が聞こえてきた。
「こっちだわ」
ユイは音も立てずにまるで猫の様に移動していった。その場所では二人の下級戦闘員が地下への階段をガードしていた。ユイは狼のような素早いダッシュで下級戦闘員達に近づき二人が行動を起こす前に倒した。ユイは階段を下っていった。
「やはりここが本部なのね」
物陰に姿を潜めつつユイは移動した。そこには多くの下級戦闘員が動き回っていた。辺りを探っていると、手術室があった。中を覗くとそこの手術台には子どもが固定されていた。
「またいたいけな子どもを改造する気ね」
ユイが子どもを助けようと近づいた時だった。
ピシ
ユイの首に何かが巻き付いたと同時に高圧電流が流れた。
「あ〜〜〜〜」
悶えるユイ。
「どうだ裏切り者の仮面ユイダー。変身前ではこの高圧電流は耐えられまい」
鞭のように見えるものは怪人の手代わりの触手であった。怪人シャムシエルである。
「ほほう、まだ立っているとはさすがだな。それでは電圧を二倍だ」
怪人の胸の光球が怪しく光る。
「あ〜〜〜〜……あ……あ……」
ばたり
すでに衣服からは煙さえも出ているユイは変身する余裕もなく倒されてしまった。
「所長ユイさん大丈夫でしょうか。一人でゲルゼーレ本部を潰すなんて」
「まったくあの子らしいわ。置き手紙だけ置いて行くなんて。でも今私達は動けないわ」
「ええ判ってます。あの子達の手術後の経過を見なければいけないですしね」
「そうよ。ディオ、ユイを信じましょう」
「はい所長」
数日後ゲルゼーレの本部がある工場の廃墟では、碇ユイの処刑が行われようとしていた。ユイは十字架に全裸で縛られていた。その白い肌は拷問の痕でいっぱいであった。ユイの変身用エネルギーベルトは近くに転がっていた。ユイはがっくりと首を垂れていた。
「さすがだな碇ユイ。とうとう拷問に音をあげないとは。おまえは新たに脳改造をしても危険だ。よってここで処刑を行う」
下級戦闘員が光る剣を持ってきて怪人シャムシエルに渡す。シャムシエルは触手で剣を受け取る。
「この電磁剣ならばおまえの強化外骨格も切り裂くぞ」
怪人シャムシエルはそう言って剣の先端でユイの腹の皮膚を切り裂く。
「あ〜〜〜〜」
煙が上がるとユイの腹にはまたやけ焦げた痕が増えた。もはやユイは悲鳴も小さい。
「さすがにもう声も出ないようだな。とどめだ仮面ユイダー」
怪人シャムシエルが電磁剣を振りかぶった。
「……ディオさん……」
ユイが呟いた。
その時であった。
ぼろろん
何処からともなくギターの音色が響いてきた。
「なにものだぁ」
怪人シャムシエルが叫ぶ。すると遠くの丘の上にギターを手にすっくと立つ影があった。
「ギターはいいねえ。人間の生み出した文化の極みだよ」
とぉ〜〜〜〜
影はジャンプした。みるまに怪人達の近くに来る。その影はギターを背負った、銀髪で赤い瞳の青年だった。
「おまえは誰だ」
「ふふふふ。ゼルゲーレに作られたこの体。が冬月教授の作ってくれた良心回路のおかげで僕は正義のアンドロイドとしてよみがえった。僕の名は渚カヲル」
「おまえは…………」
「そう人造人間カヲルダー」
たぁ〜〜
カヲルは下級戦闘員を次々と倒していく。がいきなり奇妙な笛の音が鳴り響くとカヲルが苦しみ出した。エバントンの帝王ゲンドロドンの吹くロンギヌスの笛の音だ。この笛はカヲルの電子頭脳に干渉して良心回路の働きを妨げるのだ。カヲルはどうにか戦うが分が悪くなってくる。その上はりつけられたユイをもかばいながらのためどんどん戦況は悪くなっていく。
びし
とうとう怪人シャムシエルの触手がカヲルの顔に巻き付いた。
が、しかしそのせいでカヲルの耳が塞がれロンギヌスの笛の音が聞こえなくなった。
「いまだぁ
チェインジ
スイッチオン
ワン
ツゥー
スリー」
ぱたぱたぱたぱた
「人造人間カヲルダー参上」
とぉ〜〜
アンドロイドの姿に変身したカヲルダーは腕の一振りで怪人シャムシエルの触手を跳ねとばした。ジャンプして手刀でユイのいましめを切る。ユイを抱いて降ろすと変身用エネルギーベルトを腰に巻き付けてやる。ベルトの力のせいでユイの体から傷がみるみる消えていく。ユイの瞳には力が漲る。そしてユイはすっくと立ち上がった。
「カヲルダーありがとう、もう大丈夫だわ。私も戦うわ」
ユイは怪人シャムシエルに向かって言う。
「冬月先生や改造された子供達の無念晴らさして貰うわ。変身とぉ〜〜〜〜」
ちゃ〜〜ちゃかちゃかちゃん ちゃららららちゃららららちゃららららちゃららららちゃららららん
ユイがジャンプする。腰のベルトの風車が回り光を放つ。着地したユイは仮面ユイダーに変身していた。
「え〜〜いおまえらこの裏切り者達をやっつけるんだ」
怪人シャムシエルが下級戦闘員に命令する。一斉に下級戦闘員がユイダーとカヲルダーに襲いかかってくる。しかし変身した二人の敵ではなかった。次々と二人に倒されていく。そして怪人シャムシエルだけになった。
「今がチャンスよ」
ユイダーの合図と共に二人はジャンプする。
「ユイダースパイラル……
「カヲルダー電磁…………
ハリケーンキック」
エ〜〜〜〜ンド」
ユイダーとカヲルダーの必殺技が怪人シャムシエルに炸裂した。
「ぐわ〜〜〜〜」
どかぁ〜〜〜〜ん
怪人シャムシエルは吹っ飛び爆発した。
「カヲルダーありがとう。すぐ子供達を助けに行かないと」
「もうすでに僕が助けました。ゲルゼーレの本部は潰しました」
「それはよかったわ」
そう言うとユイダーは崩れ落ちた。
ここは赤木人間工学研究所である。ユイは医務室のベッドで寝ていた。
「ユイ、今度はたまたまカヲル君が間に合ったからいいけどあなた死ぬところだったのよ」
「御免ねリツコ」
「今のあなたはベルトの力で生命を保っているけど、拷問で内臓は高圧電流で焼け爛れているし、皮膚は体中電磁剣で切り裂かれているのよ。一週間は絶対安静、一カ月はベッドからほとんど離れられないわ。どっちにしても動けないでしょ」
「そうね。ところであの子達は?手術は成功した?」
「ええ。徐々に回復しているわ。ゲルゼーレの戦闘を第一目標としたパーツではなくもともとの生体との適応性を第一にしたパーツを移植したわ。あれなら大丈夫なはずよ」
「よかったわ」
「カヲル君は?」
「レイちゃんと感激の再会ね。レイちゃんが脱出するとき手を貸してくれたんだって」
「そうなのよかったわ」
「再会といえば……私はでていくわ」
リツコは医務室を後にする。すると戸の影からディオが姿を見せ部屋に入ってきた。言葉はいらなかった。ユイが手を伸ばす。力がでないらしく震えている。ディオは慌ててその手をつかむ。ユイは瞳を閉じる。二人の影は重なった。
「先輩ユイさんの具合は大丈夫なんですか」
「まあ改造されたのが幸いしたと言うか彼女の再生能力はとても高いわ。時間さえかけてゆっくり休めば大丈夫よ」
「そうですかよかったですね」
ユイとディオが医務室でラブラブなのでリツコ、まっこう、マヤの三人は休憩室でのんびりとお茶を飲んでいた。レイとカヲルはアスカの案内で研究所の中を見学している。今のところエバントンの動きが激しいので研究所は開店休業状態である。
「当分アスカちゃんやレイちゃんや大家さんも研究所で寝泊まりして貰いましょう」
「そうですね」
「皆もここに泊まり込みよ」
「「はい」」
「ここの休憩室は十分広いから大家さん、マヤ、アスカちゃん、レイちゃん、カヲル君は布団を敷けば十分寝れるわ。ただカヲル君は寝なくてもいいから当分夜警をやってもらうわ。ディオは医務室の空きベッドで寝るしね」
「所長とまっこうさんはどうするんですか」
「奥の仮眠室を使わせて貰うわ」
マヤが少し寂しそうに聞く。
「先輩本当にまっこうさんのお嫁さんになっちゃうんですか」
「ええそうよ。もう私もいい歳だしディオも片づいたしね」
「そうなんですか」
「御免ねマヤちゃん。所長を取っちゃって」
「しょうがないです。私女ですし。私も男の子に生まれたかったなぁ。そうすれば先輩のお婿さんになれたかもしれないのに」
「こんどいい人を紹介してあげるわよ」
「はい。そうだ先輩の結婚式おもいっきり派手にやりましょう。私計画立案と司会やります……」
雑談は続く。そこへアスカ、カヲル、レイの三人が戻ってきた。
「リツコさん案内して来ました」
「アスカちゃんごくろうさん。どうだったここ」
「この研究所は人間の生み出した文明と文化の極みだね」
「ここ面白い」
レイとカヲルは気に入ったようだ。
「それとアスカちゃん。当分みんなでここに寝泊まりするからね」
「はい」
「で買い出し行ってくれない。カヲル君護衛と物持ちに付き合って貰えないかしら」
「いいですよ」
「マヤは大家さんを呼んで来てくれない」
「はい」
その日から研究所は合宿所と化した。
翌日の朝はマヤの指揮の元、アスカ、レイが料理を手伝い、ユイ、ジョー、フランソワーズ、アイザック用の病人食と他のメンバーの普通食を作った。リツコも作れば上手いのだがマヤが妙に張り切っているので任せた。料理が出来上がるとディオはユイに、レイはジョー、フランソワーズ、アイザックに料理を運んだ。食べさせるみたいだ。
リツコ、マヤ、まっこう、カヲル、アスカ、大家、ペンペンは食卓を囲む。
「「「「「「いただきまぁ〜〜す」」」」」」「クワー」
皆は食べ始めた。
「あら。マヤまた料理の腕あげたわね……もぐもぐ」
「嬉しいです、先輩……もぐもぐ」
「あれカヲル君、きみアンドロイドなのに食べるんだ……もぐもぐ」
「ええ、主動力は電力なんですけど表面の人工皮膚用に必要なんです……もぐもぐ」
「大家さん、当分こっちに泊まってってくださいね。子供達の面倒お願いします……もぐもぐ」
「わかりましたリツコさん。任せてください……もぐもぐ」
「この卵焼きはいいねぇ〜〜。人間の生み出した文化の極みだよ……もぐもぐ」
「嬉しい。その卵焼き私が作ったの……もぐもぐ」
「アスカちゃんが料理の天才だっていうのは噂だけじゃないね……もぐもぐ」
「クワ〜〜……もぐもぐ」
となどかな朝食風景であった。一方医務室でも。
「ユイさん。おじやです。ふ〜〜ふ〜〜」
蓮華を吹いて冷ましながらディオがユイに食べさせる。
「あ〜〜ん」
ぱく
「あっ口の横についちゃったわ」
「綺麗にしないと」
ディオはキスをして綺麗にする。
「ディオさんさっきから五回目よ」
「いやですか」
「ううん。もっと」
これじゃ食事だか戯れているのか判らない。一方別の病室ではフランソワーズがジョーにレイがアイザックに食べさせていた。元もと改造範囲がさほどではないフランソワーズは日常生活には支障が無いほどに回復していたがジョーとアイザックは未だあまり身動きがとれなかった。
「ジョーあ〜〜ん」
「アイザックあ〜〜ん」
キスはしないがやってることはユイ達と同じである。そんなこんなでやっぱりのどかであった。いちゃいちゃとあるいはぺちゃくちゃと朝食が終わって男性陣が後片づけをしているところだった。
びーびー びーびー
とつぜん研究所に警報が響いた。
「母さんどうしたの」
「パターン青、エバントンよ」
MAGI=ナオコが答える。
「場所はどこ」
「5KM先の石切り場よ」
「わかったわ。まっこう、ディオ、マヤ行くわよ。カヲル君は私達が居ない間のここの警備とオペレーション、アスカちゃんはオペレーション、レイちゃんはユイさん達の看護をお願い」
「「「「「「はい」」」」」」
リツコ、まっこう、ディオ、マヤの4人は地下駐車場のフォレスター改に白衣姿で乗り込むとすぐに石切り場に向かった。
石切り場に着くと白いボディースーツの胸に光球を付けた少年とFカップの巨乳ボンテージ年増がいた。
「あらいらっしゃいハクインジャー。私は将軍ミサートン・ボヨヨン・キョニューンよぉ〜〜ん。今回はカジーンの超進化チルドレンとはちょっち出来が違うわよぉ〜〜ん。超進化チルドレン・シンジリンがあいてよぉ〜〜ん」
いかにも脳天気な様子でFカップの巨乳ボンテージ年増が言う。
「そこのうし乳女。その子を普通の男の子に戻してあげなさい」
「いやよぉ〜〜ん。わたしの可愛いチルドレンはだれにもあげないわよぉ〜〜ん。ぺちゃパイ年増お姉様ぁ〜〜」
「言ったわね。皆ハクインジャーに変身よ」
「「「はい」」」
四人はリツコを先頭にしたダイヤモンド形の位置に立つ。
「「「「チェンジハクインジャースタイルワン。とぉ〜〜」」」」
四人が同時に叫びジャンプする。空中で光に包まれると着地した。
そこには赤、緑、黒、ピンクの白衣?に同じ色のフルフェイスヘルメットとグローブ&ブーツを付けた四人が立っていた。
「ハクインジャーレッド」
「ハクインジャーブラック」
「ハクインジャーグリーン」
「ハクインジャーピンク」
「
「
「
地
球
の
平
和
を
乱
す
者
、
我
ら
は
絶
対
許
さ
な
い
。
我
ら
科
学
戦
隊
ハ
ク
イ
ン
ジ
ャ
ー
」
」
」
きめ
ハクインジャーレッド(リツコ)を先頭にハクインジャーブラック(まっこう)、ハクインジャーグリーン(ディオ)、ハクインジャーピンク(マヤ)はそれぞれポーズを決めていた。
どぉ〜〜ん
爆発音と共に背後に上がる七色の煙。
ここで変身過程&ポーズをやっぱり説明しよう。
まず両手を前に突き出す。右手を左手首のブレスレットにあて
「チェンジハクインジャー」
次に右手で左手首を掴んだまま左手を水平に引き
「スタイルワン」
次に左手首を離し右手も左手と同じく水平に引く。
そして両手を振り上げジャンプ。
さあ君もハクインジャーに変身だ
何処からともなく湧き出てくる下級戦闘員。ハクインジャーと入り乱れての戦いになる。
「レッド・ダイナマイト」
「大地拳・埴輪落とし」
「ウインド・カッター」
「ピンク・ラブリィー・ウィンク」
所詮下級戦闘員など敵ではない。全員を倒したハクインジャーは将軍ミサートンに迫る。
「あ〜〜らやっぱり。じゃシンジリンよろしくねぇん」
シンジリンがどんよりと前に出る。ハクインジャーは立ち止まる。
「いいんだぁ。僕なんて。生きていてもしょうがないんだ。僕はいらない子なんだ」
シンジリンがぼそぼそ呟く。するとハクインジャーが苦しみ出した。
「所長あの子供の精神波が私達のATフィールドを中和しています」
ハクインジャーブラックが苦しみながら言う。
「いえ侵食しているのよ。これは防げない……うううう」
「何でおまえはだいじょうぶなんだぁ」
「私は脳天気フィールドがあるからよぉ〜〜ん」
ミサートンが言う。今やハクインジャー達は大地の上でのたうっていた。
「あらぁ〜〜ん。いい気味ね。じゃ私がとどめをさしてあげるわん」
ミサートンが勝ち誇って言う。
その時であった。石切り場の向こうから砂煙をあげて真っ赤なボディの不格好なロボットが少女を乗せて走ってきた。赤木人間工学研究所の汎雑務用お手伝いロボット「がんばれエバコン」とアスカである。近くまできたエバコンはアスカを降ろすとミサートンに体当たりをする。が足がもつれてミサートンの前でこける。がすぐに立ち上がりミサートンに向かう。こける。また立ち上がり追いかける。ミサートン避ける。鬼ごっこみたいになった。
その間アスカは苦しみながらもシンジリンに少しづつ近づいていく。
「シンジ〜〜元に戻って。一緒に遊んだこと思い出して」
「僕は独りぼっちなんだ……ボソボソ」
「シンジは一人じゃない、私と一緒だったじゃない」
「君はだれだぁ……ボソボソ」
「アスカよぉ。許嫁のアスカよぉ。一緒にさらわれたアスカよ」
アスカはとうとうシンジリンの胸元に倒れこんだ。アスカの瞳から涙が一滴こぼれ落ちる。それはシンジリンの胸の光球に滴った。
ぴか
シンジリンの胸の光球が一瞬光ると光球はぽろりとこぼれ落ちた。
「あアスカ」
「シンジ気がついたのね」
「アスカ〜〜」
「シンジ〜〜」
二人はひしと抱き合った。辺りに漂っていた真っ暗くらくらフィールドは消え去っていた。愛の力は偉大である。ハクインジャー達は立ち上がった。
「今がチャンスよ。エバコン二人を退避させて。みんなハクインジャーストームよ」
「「「おー」」」
ちゃちゃんちゃちゃっちゃー ぱぁ〜〜〜〜〜
ばんばかばんばんばん ばんばかばんばんばん
辺りにテーマソングが響き渡る。
「ハクインジャーストーム」
ハクインジャーピンクはそう叫ぶと七色のラクビーボールのようなものを取り出す。
「グリーン」
ハクインジャーピンクは空に向かってボールを蹴る。
「ブラック」
空中でハクインジャーグリーンがボールを掴むと投げ降ろす。
「レッド」
ハクインジャーブラックはボールをヘディンクして空中に飛ばす。
「ハクインジャーストーム・ミラクルキ〜〜ク」
赤い白衣の裾を不死鳥のように靡かせながらハクインジャーレッドがオーバーヘッドキックでボールを蹴る。ボールは一直線にミサートンに向かっていった。
どぉん
「ぐわ〜〜〜〜やられた」
どぉかぁ〜〜〜〜ん
将軍ミサートンの体は大爆発をした。
その時であった。空が一転にわかにかき曇り声が響いた。
「おのれハクインジャー。こうなれば私が直接侵略ロボエバゲルゲで相手をしてやる」
すると空から妙にウエストが細いひげをはやしたロボットが降りてきた。
「エバゲルゲ〜〜」
ハクインジャー達はレッドの元に集まった。アスカとシンジはエバコンがすでに退避させていた。
「私達もロボットを呼びましょう」
「「「はい」」」
ハクインジャー達はまたもダイヤモンドの形にならんだ。皆が一斉に右手を上に掲げ叫ぶ。
「「「「JAカムヒヤ」」」」
ゴー
すると何処からともなく大型のロボットが飛んできた。ハクインジャー達は乗り込んだ。
「みんないきなりいくわよ、必殺技」
「「「はい」」」
「JA制御棒富士山大沢崩れ神社仏閣所業無情風刃雷落とし」
「JA制御棒富士山大沢崩れ神社仏閣所業無情風刃雷落とし」
「JA制御棒富士山大沢崩れ神社仏閣所業無情風刃雷落とし」
「JA制御棒富士山大沢崩れ神社仏閣所業無情風刃雷落とし」
ずさ
JAが背中より制御棒を引き抜くとエバゲルゲを切りつけた。
「ぐぎゃ〜〜。いきなり必殺技とわ〜〜」
どかぁ〜〜〜〜ん
エバゲルゲは爆発した。
「所長やりましたね」
「そうよ。必ず最後に正義は勝つものなのよ」
「「「はい」」」
「マヤちゃん、シンジ君もアスカちゃんと一緒にさらわれた子なんだって」
戦いの一週間後、まっこうはマヤに聞いた。
「あの子の本名は碇シンジ。日本人ね。ユイさんと名字は同じだけど縁戚関係は無いみたい。五十年前四つの時にアスカちゃんと共にエバントンにさらわれたみたい。アスカちゃんと同じく今の肉体及び精神年齢は十四才ぐらいだわ。胸の光球が壊れたせいで超進化は打ち消されて普通の男の子に戻ったわ。でももう知り合いはアスカちゃんしかいないわ。あの子達生まれたときからの許嫁ですって」
「ふぅ〜〜んそうなんだ。二人ともそれであんなに仲がいいんだね」
「ほんとだな。二人とも助かってよかった」
三人は頷く。
「ところでこれから皆はどこに済むの」
マヤが聞く。
「俺と所長が一緒に住むだろ。ジョーとフランソワーズは養子にする予定だよ」
「俺とユイさんも一緒に住むんだ。アイザックとレイを養子にするよ。カヲル君も一緒に住むよ」
「アスカちゃんとシンジ君は大家さんの養子ですって。みんな幸せそうでいいなぁ」」
「そう言えばマヤちゃん、所長がお見合いの写真いっぱい持ってきてくれたんだって」
「うん。そうなのこれ」
マヤは隠し持っていたお見合い写真をディオとまっこうに見せた。
「いっぱいあるね。ふ〜〜む。この邪トビオていいんじゃないか」
「そうね。私からもお薦めよ」
「あっ所長」
「後はマヤにいい人が決まってくれるといいんだけどね。心配はこういう心配だけにしたいわよね」
「そうですね」
「そうよ。エバントンは滅びたけどいつ又地球が別の悪魔達に襲われるかもしれないわ。その時も皆で力を合わせて戦いましょう」
「「「はい所長」」」
行け行けハクインジャー、地球の平和の為に悪いやつらをやっつけろ。
進めハクインジャー。
さあみんなで
チェンジハクインジャー
おわり
NEXT ver.-1.00 1998+02/18公開
ご意見・感想・誤字情報・らぶりぃりっちゃん情報などは
akagi-labo@NERV.TO
までお送り下さい!
あとがき
石の森章太郎先生の作品には愛と勇気と希望と夢、そして正義の心がありました。この作品でりっちゃんが「そうよね。あの方の作品は子どもたちに夢と勇気と愛と希望を与えたわ。どんなに辛くても生きていく素晴らしさと正義を信じる心を教えてくれたわ」と言っていますがこれは私の偽らざる気持ちです。
どんなに苦しいことがあっても最後には仮面ライダーが来て助けてくれる。だから頑張るんだ、とどれほど多くの子供達が思い頑張って努力をした事でしょう。そして何かをやり遂げた時自分自身が仮面ライダーなのだとヒーローだと気づいたことと思います。
この作品は私の精一杯の先生への哀悼の気持ちです。
でも先生は暗い雰囲気は嫌いと思います。ですからやはり最後は
さあみんなで
チェンジハクインジャー
ではまた
まっこうさんの『科学戦隊ハクインジャー2』、公開です。
オールスター!
豪華絢爛オールスターキャストです(^^)/
キカイダー、
仮面ライダー、
サイボーグ009、
ゴレンジャーにロボコン。
あぁ・・・どれもこれも懐かしいです。
これら全ての作品が、石の森先生の物だったんですね−−
お世話になりました、先生・・・
追悼は明るく楽しく愛を込めて。
まっこうさんありがとう〜☆
さあ、訪問者の皆さん。
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