「おとうさんおはよう」
「おはようシンイチ。さあ顔を洗っておいで。朝ごはんも出来るからね」
「うん」
ぱたぱたぱたぱた
少しずんぐりとした男の子が洗面所へ歩いていく。
ばしゃばしゃばしゃばしゃ
ごしごし
きゅっきゅっ
どこにでもある朝の風景だった。
とことことことこ
ばたん
父と子はテーブルに向かい合って座った。テーブルにはトーストとホットミ
ルク、ハムエッグとサラダという朝食が並んでいた。
「「いただきまぁ〜〜す」」
ぱくぱく
「シンイチ学校は慣れたかい」
むしゃむしゃ
「うん。いちねんせいになってからもういっかげつもたったもん。となりの
ケンジ君やむこうのミキちゃんともおなじじクラスになったからだいじょうぶ
だよ。ミキちゃんってすごいんだよ。がっきゅういいんなんだ。ぼくとケンジ君
はきゅうしょくいいんなんだ」」
ぱくぱく
「そうか。勉強は楽しいかい?」
ごくごく
「りかとさんすうはたのしいよ。ぼくくらすでいちばんなんだ。でもしゃか
いとこくごはよくわかんない」
ごっくん
「しっかり勉強するんだよ」
むしゃむしゃ
「うん」
「「ごちそうさま〜〜」」
「じゃお父さんかたずけてから会社にいくから一人で学校に行きなさい」
「うん。じゃいってきまぁ〜〜す」
「気をつけるんだよ」
ばったん
ぱたぱたぱたぱた
時は1990年5月7日。西田シンイチは東京都杉並区立山田小学校の一年
生だった。今日もランドセルをしょってシンイチは隣のケンジ君の家の前で大
きな声で言った。
「ケンジ君、がっこうへいこう」
ばったん
「シンイチ君、おはよう」
「おばさん、おはようございます」
「あら挨拶が上手ね。ケンジは今来るから、ちょっと待っててね」
「はい」
どったんばったん
「シンちゃんおはよう」
色ぐろのいがぐり頭が顔を出す。
「ケンちゃんおはよう」
どたどた
「ケンジ、シンイチ君いってらっしゃい」
「「いってきまぁ〜〜す」」
とことことことこ
ケンジはバックを提げていた。
「そうだケンちゃん。きのう伊吹せんせいがてんこうせいがくるっていって
たよね」
「うん。おとこのこかなぁ。おんなのこかなぁ」
「どっちだろうね」
「おんなのこだったらいいな」
「そういえばケンちゃんはミキちゃんといつもいっしょだね」
「うん、もっとちっちゃいころからいっしょだったんだよ」
学校に向かっていつものように歩いていると
ぱたぱた
黄色い帽子に赤い手提げの女の子が走ってくる
「シンちゃん、ケンちゃん、おはよう」
「「ミキちゃんおはよう」」
「おはよう」
「きょうもいいてんきね」
「そうだね」
「あミキちゃん、あたらしいボウシだ」
「うん、かわいいでしょ」
「うん、とってもかわいい」
「ねぇねぇこれみて」
ケンジが胸を指指す。
「あエバンライダーのバッチだ」
「そうだよ。エバンライダーV3の変身ポーズなんだぞ」
「すっごぉ〜〜い。いいなぁ」
今日も楽しいおしゃべりは学校まで続く。
いっぽう
「おかぁ〜〜さん。もっとゆっくりこいでょ〜〜。こわいよぉ〜〜」
「今からあなたを学校に届けて、先生に挨拶して、すぐに研究所行かなきゃ
いけないの。だから、とばすわよ」
「ひぇ〜〜ん。じてんしゃはゆっくりいかなきゃいけないの〜〜」
「なに言ってんの。車ぐらい抜けなきゃ乙女の名が泣くわ」
「うわぁ〜〜ん。またおかあさんこわれてるょ〜〜」
女の子は母親のこぐ自転車の後ろにしがみついて、はんべそをかいていた。
「でさぁ、ウルトラエバンってへんしんするとき…………」
「あれシンちゃんなんかへんなおとがするよ」
「ほんとだ」
「ほんとね」
ぎゅんぎゅんぎゅんしゅーーーーーーん
「い、いまのなんだったの」
「どこかのおばさんがじてんしゃをこいでたみたいだった」
「そうだね。うしろにあかいランドセルをしょってたおんなのこがのってた」
「うん。でもあのこ、かみのけが金色だったね」
「そう。それであたまのうえに赤いぽっちりをつけてたよね」
「「うん」」
シンイチはその自転車が通りすぎた後に赤い物が落ちているのを見つけた。
「あれこれなんだろう。えーっと、赤いふでばこだ」
「ほんとだ。あのこがおっこどしていったのかなぁ」
「ねえ、おとしものはこうばんにとどけなくっちゃいけないのよ」
「そうだね。じゃあ、がっこうからかえるときにみんなでとどけにいこう」
「うんそうしよう」
「うんそうしましょう」
とことことことこ
「シンちゃんケンちゃんミキちゃんおはよう」
「おはよう」
「おはよう」
1−A組の教室は元気な子供達で今日もいっぱいだ。
「きのうのウルトラエバンみた?」
「ぼくエバンライダーみてた」
「ゲルゼーレのかいぞうにんげんってよわいよね」
「わたしはまほうしょうじょくるくるレミをみてた」
「このさんすうのどりるこうかな」
「それちがうよ。5+8は13だよ」
あっちやこっちで昨日のテレビの話や宿題の話で騒がしい。
きんこんかんこん、きんこんかんこん
「わ、はじまりのベルだ」
ばたばたばたばた
みんなが慌てて机につくと廊下を歩いてくる音がする。
がらっ
少しお腹の大きくなった女の先生が教卓の前に立つ。
「きりっつ。レイ」
「「「「「伊吹せんせい、おはようございます」」」」」
「はい。おはようございます」
「ちゃくせき」
学級委員のミキちゃんが声を掛けると、みんなが未だ慣れない調子で挨拶
をする。
先生は生徒たちを見廻すと
「ハイ、みなさん今からホームルームを始めます。昨日も言ったように、
今日新しいお友達がこのクラスに転校して来ました。これから紹介します。
じゃ入っていらっしゃい」
がらがら
教室の前の戸が開くと一人の女の子が入って来た。その子は大きい赤いラン
ドセルを背負っていた。
「あっ、あさじてんしゃのうしろにのっていたこだ」
シンイチが女の子を見て呟いた。
その女の子はちっちゃくてやせていた。利発そうな顔立ちで、金色の髪に赤
い髪留めをしていた。
先生は女の子をみんなの前に立たせるとこう言った。
「じゃ自己紹介をしてね」
「はい」
女の子は度の強い眼鏡でみんなを見廻しながら小さい声でこういった。
「赤木リツコです。みんななかよくしてください」
あとがき
全国200万人のりっちゃん萌えの方々お待たせいたしました。
EVAの女性陣の中で一番可愛く一番奇麗で一番かっこよく
一番頭が良く一番色っぽい
「赤木のりっちゃん」
なのに扱いが悪い。
おかしい ぜったぁ〜〜〜〜いにおかしい
ここに真実の可愛いりっちゃんをお送りします。
私は宣言します。
「りっちゃんはア○カや○イより可愛い!!!!」
次回は
「あの子の秘密」
合言葉は「らぶりぃりっちゃん」
ではまた
まっこうさんの新連載、『気になるあの子』第零話、公開です。
冒頭から聞き覚えのない名前の連発&1990年という年代設定で
「何が起こっているんだ?!」状態でしたが、
・
・
・
赤木ちゃんの話ですか(^^;
ちびリツコ・・・・金髪だとは(^^;;;;
ぶっとびの展開ですね。
小学生リツコ。彼女はこの年からMADなのでしょうか?!
どんな騒動を巻き起こすのでしょうね。
さあ、訪問者の皆さん。
「りっちゃんはア○カや○イより可愛い!!!!」などとのたまうまっこうさんに正義の鉄槌を!(笑)