アスカ、僕を置いて行かないでよ!
アスカ、待ってよ!! お願いだから!!
・・・・ 嫌よバカシンジ。アンタ、アタシの言ったコト全然分かって無いじゃない! ・・・・
・・・・ アタシの質問の答えが分からなかったアンタがぜーんぶ悪いのよ!! ・・・・
そ、そんなコト言わないでよ。僕と一緒に来てよ!!
・・・・ ったく、しつこいわねぇ。ほんっとに気持ち悪い奴 ・・・・
ただいま休暇中 [ Rest 3 ]
「シンジ! シンジ!! 何時まで寝てるのよ!!」
腰に手を当てたアスカがシンジを起こす。
「んん・・・・、そんなこと言わないでよアスカ・・・・、ってあれ?」
シンジは目を擦りながら起きあがるが、まだ寝ぼけているように見える。
「ちょっとシンジ、何分け分からないこと言ってるのよ。もう、早く起きなさいよ。」
頬を膨らませてプンプンとしながら言葉をかけるアスカ。
ふくれっ面というのがふさわしいその可愛らしい仕草にシンジは赤くなってしまう。
・・・・ あれは夢だったんだろうか? ・・・・
・・・・ そうだ、そうに決まってる。 ・・・・
・・・・ 目の前のアスカはこんなに可愛いんだから ・・・・
シンジは先程までの悪夢ともとれる体験に、無理矢理ケリをつけたようだ。
そして、すぐさまアスカへ言葉を返す。
「ごめん、ごめん。準備に手間取って、寝るのが遅くなったから。」
「ふぅん、アンタにしては珍しいわね。まぁ、それはともかくさっさと出かけましょ。」
「うん。」
アスカの言葉に、笑顔とともにシンジは頷いた。
そして、いつもとはかなり早めの朝食を軽く済ませた二人は、休暇を満喫するべく意気揚々と出かけていった。
お互いに似たような目的もあれば、全く別の目的もあるようで、その思惑が交差する中、二人の休暇は幕を開けようとしていた。
一方、そのころ・・・・。
ある一室に無線機からの男の声が聞こえている。
「セカンドとサードが動き始めました。予定通りです。」
「そう。じゃ、あなた達はそのまま尾行、じゃなかった、警備を続けるのよ。」
「了解。」
無線の相手にそう指示した人物、そう三十路前の酒好き女 葛城ミサト、その人であった。
そして、
・・・ 悪いけど、たっぷりと楽しませて貰うわよ。二人とも ・・・
ニヤリと笑みを浮かべると、どこかへ行ってしまった。
「ねぇ、アスカ ・・・・」
「何よ、シンジ?」
駅で列車を待っていたシンジが暗ぁ〜い表情をして口を開く。
「なんか今、凄まじい寒気を感じたんだけど ・・・・」
「別にぃ。アタシは何も感じなかったけど。」
「そうだよね。気のせいだよね、やっぱり。」
そう言うとシンジはパッと明るい表情になった。
が、そんなシンジをよそにアスカはというと
・・・ コイツ、呆けちゃったのかしら? ・・・
などと本気で考え込んでいた。
そして数分後。
二人が乗る列車がホームへと入ってきた。
久々の列車旅行なので、二人とも顔には出さないがどきどきわくわく状態であった。
「ほらシンジ、入ってきたよ!」
ただ、アスカはすぐに出てしまったが。
列車に乗り込む二人。
大きめの旅行鞄をよいしょと座席上のスペースへ押し込む。
列車は、二人が座席に落ち着くのとほぼ同時に動き出した。
「ふぅ、これで目的地までゆっくりできるわねぇ。」
自慢の栗色の髪を掻き上げながらアスカはシンジに声を掛ける。
「うん、結構遠いところまで行くからね。だいぶ時間かかると思うよ。」
「ふーん、それじゃあ何かゲームでもして遊ばない? 時間はあるんだから。」
アスカは隣に座っているシンジの腕に手を絡めながら話す。
その意外な行動にシンジは顔色は一気に昇華し、真っ赤になってしまった。
「ちょ、ちょっと、アスカ。手を離してよぉ ・・・・」
そしてなんとも情けない声で訴えかける。
「・・・・ アンタばかぁ!? 何うぶなこと言ってるのよ、もぉ。
ただ腕に手を回しただけじゃないの。」
「で、でも ・・・・」
「でも、何よ! それよりゲームよ、ゲーム!!」
アスカはシンジから手を解こうとはせず、一気に攻める。
・・・・ ふふふ、ちょっとだけいぢわるしてあげる ・・・・
気付かれないように小悪魔の笑みを浮かべると、今度は上目使いで、
「ね、シンジ。おねがい ・・・・」
そしてシンジは、
・・・・ う、か、かわいい ・・・・
「う、うん。わかったよ。だから手をは、離してよ ・・・」
あえなく撃沈されていた。
未だアスカのあの攻撃には勝てないシンジであった。
こうして、シンジはアスカのいぢわるにまんまとひっかかり、ゲームをすることになった。
いぢわるといっても、こういう場合にどれだけ気が利くか、といういわば試験のようなもので、好機とばかりに彼女が仕掛けたのである。
「やったぁ。またアタシの勝ちね!」
「ううう ・・・・」
勝利で笑顔のアスカ。
対照的な敗北で暗ぁ〜いシンジ。
二人が今やっていたゲームはトランプ・大貧民。
アスカは、天才を称するだけあってさすがに頭を使うものには強い。
よほど運が良くない限り、シンジに勝ちはないだろう。
「負けたアンタには罰ゲームでもやってもらおうかしら。」
「えぇ? そっ、そんなぁ。」
伝家の宝刀、罰ゲーム。
アスカは自分のシナリオ通りか、そうでないかは分からないが、今まさにとどめに出ようとしていた。
「問答無用。負けたのはシンジなんだから。」
「うっ ・・・・」
・・・・ 目がすわってるよ、アスカ ・・・・
このとき彼はこう心の中でつぶやいたという。
「それじゃあ罰ゲーム、行くわよ。
・・・・ アンタはアタシに寄りかかられるのよっ ・・・・」
「ええっ?」
これにはシンジも驚いてしまった。
が、アスカは真っ赤になってうつむいてしまっている。
どうやら聞き間違いではないと確認すると、優しい口調で、
「ねぇアスカ。本当にそれでいいの?」
「・・・・ うん。おねがい、シンジ ・・・・」
「・・・・ いいよ、アスカ。」
「ありがと、シンジ ・・・・」
そして、そっとシンジに寄りかかるアスカ。
「アスカ ・・・」
「シンジ ・・・」
お互いを確認し、二人は幸せなひとときを過ごす、はずだったが ・・・・
周囲からのジトーっな視線。
列車に乗り込んでから、知ってか知らずか二人の世界を築いていたようで、その視線に気付かなかったようだ。
二人は真っ赤になって、反発する磁石のようにぱっと離れてしまった。
そして、またまた一方そのころ。
「現状はそちらへ電送した通りです。ご覧になっていただけましたか?」
「・・・・ ええ、見たわ。」
「で、どうなさいますか?」
「・・・・ からかいたい ・・・・」
「は?」
「からかいたい、からかいたい、からかいたぁーい!!」
「か、葛城三佐 ・・・・(汗)」
二人の休暇はまだ始まったばかり。
目的地はまだ遠い。
<あとがき>
どうも皆さん、お久しぶりです。
無茶苦茶送れましたが、第3話をお届けしました。
年内完成を目指していましたが、新春第1弾(笑)となってしまいましたが、いかがでしたでしょうか?
現在、『虚空〜』も鋭意執筆中です。
もうしばらくお待ちください。
それでは。
AGOさんの『ただいま休暇中』[ Rest 3 ]、公開です。
旅行初日から飛ばしていますね(^^)
アスカちゃnも、
シンジくんも、
そしてなんと言っても・・
ミサトさんも(笑)
ボディーガード名目で遣わされたネルフ職員・・
ただのミサト趣味のツカイッパ(^^;
下っ端の悲哀が〜
人の目を気にして離れた二人。
まだまだ修行がたらんな(^^)
さあ、訪問者の皆さん。
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