TOP 】 / 【 めぞん 】 / [AGO]の部屋に戻る/ NEXT


EVANGELION Another Story "Separation"
FINAL EPISODE 

別離

最終話 悪夢の終わり、そして・・・


 

 

「このぉーー!!」

 2体のエヴァが格闘戦を繰り広げている。

 アスカはシンジを正気へと戻すべく弐号機を駆る。

 

 シンジは自分の意志で父を殺そうとしている。

 

 彼女にとってつらい現実。

 だがアスカの表情に曇りはない。

 ただ、彼を元の彼に戻すために、ひたすら弐号機を駆る。

 

キーン!!

 金属が触れ合う音が辺りに響く。

 どちらも五分五分の戦い。

 時間だけが何も知らないように過ぎていく ・・・・・

 

「くっ、なかなかしぶといわね!!」

 これまでにない数字で弐号機とシンクロしているアスカが吐き捨てるように言う。

 ・・・・ おかしい ・・・・

 彼女は、シンジが今の自分と比べて、その能力差がほとんど無いことを感じ取る。

 

 事実、シンジは恐ろしいほど冷酷で冷静な状態を保っていた。

 

ガーン!!

「きゃあ!!!」

 鈍い金属音と共にアスカの悲鳴が聞こえる。

 そして、次第に初号機が弐号機を押し始める ・・・・

 

 

 

「しょ、初号機のS2機関の出力が上がっていきます!!」

「S2機関の!?」

 発令所ではその原因を把握していた。

「さらに上昇していきます。このままでは出力臨界を突破します!!」

「まずいわね・・・。何とか止めて、アスカ!!」

 

 

 

「ミサトも無理言うわねぇ。

 ちゃんとやってるわよぉ!!!!!」

 アスカは必死で初号機を押さえつけようとする。

 

 が、それもむなしくS2機関の出力は上がっていく。

 

 

 

「こんちきしょー!!」

 アスカの叫び声。

 弐号機の四つの目にいっそう強く光が灯る。

 

 そして、弐号機は再び光に包まれる ・・・・

 

 

「弐号機が先ほどと同じ反応を示しています!!」

「・・・・ 一体なんだというの ・・・・」

 

 

・・・ ママ、助けてくれるのね。ありがとう ・・・・

 

 弐号機の光が初号機をも包み込む。

 そして ・・・・

 

 

「しょ、初号機の活動が停止していきます!!」

「あの光が干渉してるんだわ。」

「エヴァの中の魂同士が通じ合っている ・・・・?」

「え?」

「そう、シンジ君とアスカのお母さんの魂が、ね ・・・・」

 

「ユイ ・・・・」

 いつの間にかゲンドウ達も発令所に姿を見せていた。

「どうやら、キョウコ君がユイ君に働きかけたようだな ・・・」

「ああ ・・・」

「だがどうする。このままでは老人どもが黙ってはいないぞ、碇。」

「わかっている ・・・・」

 

 

光の中の初号機。その中でシンジはアスカと同じように、彼の母ユイの声を聞いた。

 

・・・ シンジ、あなたは何をしているかわかっているの? ・・・

わかってるよ!! 父さんを、父さんを殺すんだ!!!!

・・・ シンジ聞いて頂戴。あの人はそんなことをするような人じゃないわ

    それを信じて欲しいの ・・・

嘘だ!! じゃあ、僕は騙されているって言うの?

・・・ そうよ、あなたはゼーレに利用されているだけ ・・・

そんな・・・・

・・・ それにアスカちゃんの悲しむ顔を見たくはないでしょう? ・・・

アスカ ・・・・

・・・ あなたも彼女のことを大切に思うなら、こんなばかげたことはやめなさい ・・・

・・・ シンジ、今ならまだ間に合うわ ・・・

母さん・・・・

 

『バカシンジ!!』

え? アスカ!?

・・・ 弐号機を通じて声を通しているの ・・・

『いい加減、目を覚ましなさいよね!!』

・・・ これが彼女の心の声、あなたへの想い ・・・

アスカの・・・想い ・・・

『お願いだから、アタシを悲しませないで!!』

アスカ ・・・・

 

・・・ いいわねシンジ、アスカちゃんを泣かせちゃだめよ ・・・

母さん・・・・

 

 そこで彼の意識は途絶える・・・・・

 

 

「初号機は完全に沈黙しました。」

「本当!?」

「はい、弐号機からの干渉のあと、パイロットの意志によって ・・・」

「シンジ君」

 

 

 

「シンジ・・・・」

 初号機のほうを心配げな表情で見つめるアスカ。

 

「アスカ、悪いけど初号機、シンジ君の無事を確認して欲しいの。」

 

「分かったわ。」

 そう言うと彼女は初号機のプラグへと向かう。

 

「・・・・・・」

 シンジはその中で眠っていた。

「ばか ・・・・・・」

 そしてアスカは微笑むと、

「バカシンジ!! いつまで寝てるのよ! いい加減起きなさい!!!」

 

「・・・ん、うーん、ア、アスカぁ?」

「シンジ ・・・・」

 

「・・・ごめんアスカ、心配かけちゃって ・・・・」

 少し照れくさそうに謝るシンジ。

「まぁいいわ。でも、アタシに心配かけた罪は償ってもらうからね。」

「ええー、そんなー。」

「・・・ アンタばかぁ? あったり前じゃない!!」

「・・・・・ うん。」

 

 

 

「どうやら、あっちは収まったようね。」

「そうみたいね。で、碇司令。」

「・・・ なんだね、赤木博士。」

「司令の本当の目的は一体なんなんですか?」

「・・・・・・・」

「まさか、ゼーレと同じようにサード・インパクトを起こすワケじゃないのでしょう?」

「ああ ・・・・」

「安心したかね?」

 コウゾウが話しかける。

「ですが、しかし ・・・・・」

「前にも言ったはずだ。今は全てを話す時期ではないと ・・・・」

「・・・・・」

「とにかく目の前の危機は去ったのだ。今はこれでいい ・・・・」

 

「碇 ・・・・、ユイ君に感謝しろよ ・・・・」

 

「ああ、わかっている ・・・・」

 

 

 

「ねぇシンジ。」

「なに、アスカ?」

「もしかして、アタシも殺すつもりだったの ・・・・?」

「な、なにを ・・・・」

「答えて ・・・・」

 

「・・・・・」

 

「・・・・ そんなことできるわけないじゃないか ・・・・」

 

「ホントに?」

「本当だって!」

「そう ・・・・」

「・・・・・・・」

 

 

「でもアンタってホントに馬鹿よねぇ。

 まんまと敵に騙されるんだもの、アタシに感謝しなさいよ!!」

 

「ありがと、アスカ・・・・」

 

 

 

 

 



Version 1.0  97/08/08 公開

Homepage : http://www.incl.or.jp/~ago/write/
E-Mail : ago@asuka.nerv.to

 

 

 

 

 

<あとがき>

 

まいどどうも、AGOでございます。

最終話、いかがでしたでしょうか? なんとか完結にこぎ着けましたが・・・・

うーん、BGMに「 Komm ,susser Tod 」が欲しいですねぇ。

って、この曲を聞きながらこの話を書いたんですが・・・・。

 

えー、ではここでマスターのお言葉をいただきたいと思います。

 

マスター:アンタ、自分のトコほったらかして、何してるのよ!!

作者 A:うう、そんなこと言われても ・・・・

マスター:ったく、人に無理に喫茶店出させておいて、こんなことしてるワケ?

作者 A:い、いや、そんなワケじゃ ・・・・ ほら、マスターが活躍したじゃないですか

マスター:まぁいいわ。そのかわりに今度は幸せな話にするのよ、絶対!!!

作者 A:は、はい・・・・

マスター:なんでアタシがシンジと戦わなくちゃならないのよ、あーもう超ムカツク!!

作者 A:すいません ・・・・

マスター:次回作に期待してるわよっ!!!

 

以上、マスターのお言葉でした。

 

ではみなさん、次回作にてお会いしましょう。

 テーマは、「チルドレンに幸せを!!」(笑)

 

 


 AGOさんの『別離』最終話、公開です。
 

 HAPPYEND・・・かな(^^;
 

 ゲンドウの真意とは、
 ゼーレは何とシンジに言ったのか、
 ・・・
 謎を含みながらの引きですね。

 ああっ、気になるぅぅぅ(笑)

 

 アスカの思いと母の呼びかけで帰ってきたシンジ。
 この先、周りの人たちの思いを受け止めて生きて行くんでしょうね・・・
 

 さあ、訪問者の皆さん。
 1つの連載を書き上げたAGOさんに貴方が感じたことを伝えて下さい。


TOP 】 / 【 めぞん 】 / [AGO]の部屋に戻る