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「このバカシンジ!!」

 パーン!!

 乾いた音が静まり返っていた部屋に響く。

「ア、アスカ!! いきなりなにするんだよ!!」

 たたかれる様なことをした記憶は無いシンジ、彼女のいきなりの行為に腹を立てるのも無理はない。

「アンタバカァ? ほんっとに分かってないの!?」

「・・・・・・・・・・・」

「ふんっ。もういいわ!」

 彼女はプイと横を向いて、それから何も話そうとはしなかった。

 

 

 

めぞんEVA 15万Hit突破記念SS

   ば か ・・・・・・

 

 

 

「ねぇシンジ、今度の日曜空いてる?」

「日曜? ごめん、ちょっと用事があって・・・・」

「用事・・・・・?」

「う、うん。」

「わかったわ。また今度でいいから空けといて。」

「うん・・・・」

 

 こんな会話があったのは三日ほど前。

 そして日曜日、暇を持て余していたアスカは、シンジの後を付けていたのであった。

 そこでアスカは冒頭の会話の原因となる出来事に遭遇してしまった。

 

「ごめん、待った?」

「ううん、別に。わたしも今来たところだから。」

「じゃあ行こうか、マナ。」

「うん、シンジ。」

 シンジは霧島マナと密会していたのである。

 仲良さそうに腕を組んで歩くシンジとマナ。

 そして、その光景を見て愕然とするアスカ。

 

 ・・・・ 何よ、用事ってデートだったの? ・・・・

 

 ・・・・ 嘘! シンジがあの女とデートだなんて ・・・・

 

 ・・・・ イヤっ!! どうして、シンジ? ・・・・

 

 

 

 

 

「用事って何だったの、シンジ。」

 沈黙を破ったのはアスカだった。

「うん、ちょっとトウジ達と一緒に・・・・・」

 バンッ!!

 アスカがテーブルに勢いよく手を置いて立ち上がる。

「嘘言わないで!!」

「ど、どうしたのさ、アスカ!? さっきから変だよ。」

 いつもと違う彼女の行動に疑問を浮かべるシンジ。

「アタシ知ってるのよ。アンタ、霧島さんとデートしてたんでしょ!!」

「・・・・・」

 何も言えなくなるシンジ。

「何が用事よ、何が鈴原達とよ。嘘言わないで!!」

「ごめん、アスカ ・・・・・」

 

 そして再び沈黙が二人を包む。

 

 ・・・・ アスカ、後付けてたんだ ・・・・

 

 ・・・・ 僕がアスカを傷つけたんだ ・・・・

 

 とてつもない罪悪感に襲われていくシンジ。

 

   彼にとって一番近い存在、いつもいてくれる大切な存在。

   その彼女の気持ちを傷つけてしまった。

 

 ・・・・ 逃げちゃダメだ。アスカに謝らなきゃ ・・・・

 

 

「あ、あのさ、アスカ・・・・」

 今度はシンジが沈黙を破った。

「アスカに嘘言ったのは悪いと思ってる。」

「・・・ 当たり前じゃない ・・・」

 アスカはうつむいたまま答える。

「でも、これだけは信じて欲しいんだ。

 僕はずっとマナと二人っきりでいたんじゃないんだ。

 マナと待ち合わせた後、トウジ達と合流して、それからゲーセンに行ったんだ。」

「・・・ 鈴原達 ってことは、相田のバカも一緒だったってワケね ・・・」

「あと、委員長も。」

「・・・ ヒカリも!?」

「うん、そうなんだ。いきなり来るんだもん、びっくりしたよ。」

「飛び入りなの?」

「そういうことになると思う。」

 

「・・・ 最初っから、正直にそう言えばいいのよ。ばか ・・・・・・」

「え? 何か言った?」

「ううん、別に ・・・」

 

 

「アスカ、まだ怒ってる?」

「当たり前じゃない!!」

「ご、ごめん ・・・」

「・・・・・・・・・・」

 ・・・・ バカシンジ、いい加減にアタシの想い、わかってよ ・・・・

 ・・・・ ホントに、鈍感なんだから ・・・・

 

 ・・・・ アタシもヒカリみたいに飛び入りすればよかったかな ・・・・

 

 アスカは、そっとシンジに寄りかかる。

 

「ア、アスカ?」

「・・・・・・・・・・」

「どうしたの、急に ・・・」

「いいのよ ・・・・」

 

   ばか・・・・・・

 

 

 

 

 



Version 1.0  97/08/05 公開

Homepage : http://www.incl.or.jp/~ago/write/
E-Mail : ago@asuka.nerv.to

 

 

 

 

 

<あとがき>

 

 遅ればせながら、めぞんEVA 15万Hit突破おめでとうございます。

 その記念小説「ばか・・・・・・」、いかがだったでしょうか?

 時間的には、「お忍び」の少し前の時期にあたります。

 アスカの焼き餅を書いたつもりですが、あんまり自信ないです ・・・・・

 

 えー、先日3回目を見てきました。

 そろそろ自分自身の補完を始めたいですねぇ、ホントに。

 だれか良いアイディアもってませんかぁ?

 

 


 AGOさんの『ばか・・・・・・』、公開です。
 

 ヤキモチを焼くアスカ・・・可愛いですね。

 シンジも素直に言えばいいのに、
 ・・・言うことで傷つけるのが怖かったのかな?
 それとも、自分たちの関係に自信がなかったとか・・・
 

 誤解が解けて良かったですね。
 

 さあ、訪問者の皆さん。
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