第3新東京市にそびえ立つ、巨大なビルの一角。その、異様とも言えるくらい広い
部屋の真ん中で、一人の男が椅子に座って新聞を読んでいた。日付は今から約一週
間前。その第一面には、
『南太平洋の火山島、30年ぶりに噴火!』
と、大きな見出しで書かれていた。場所は、南太平洋に浮かぶサモア諸島の中にあ
る、グレンフォルトと言う名前の火山島である。新聞には、30年前の噴火の説明
や、今回の噴火の様子などが克明に書かれていたが、男が注目していたのは最後に、
さりげなく書かれていた文章であった。
『なお未確認ながら、噴火した火山の麓の洞窟にて、遺跡らしき物が見つかったと
言う情報も有り、現在、確認を急いでいる』
男は新聞を畳むと、机の上に放り投げ、椅子に深深と腰を落とした。
「・・・・遂に見つかってしまったか・・・」
男は大きく溜め息を吐いた。その時、机の上の電話が鳴った。一瞬、受話器を取る
のをためらった。
「・・ハイ、ハイ、で、場所は?グレン・・フォルト島・・・。わかりました」
一旦、受話器を切ってからまた、あわただしくボタンをプッシュする。
「私だ。ああ、今、会長から指示があった。グレンフォルト島だ。そう、例の遺跡
だよ。・・・、そう、何とかするしかあるまい。そっちの準備をたのむ。・・・・
かまわん、その件はこっちで何とかする」
受話器を置くと机を離れ、窓際へと移動していた。今は午後6時。夕日が地平線の
彼方に沈もうとしていた。
「やはり、動いたか・・・。やれる事はやっておかんとな。しかし、あの時の約束、
守れるだろうか・・・」
彼はそう呟くと、部屋を後にした。
−グレンフォルト島−
新聞の控えめな報告とは裏腹に、前日に現地に到着した調査団の一行は興奮の渦に
巻き込まれていた。この地域は前々から、ムー大陸存在説を唱える学者達によって
注目されていた地域であり、今回の遺跡発見は自分達の学説の正しさを証明する、
絶好の機会であるからだ。
「いやぁ、惣流教授、すごいですね、ここは!これほど完璧な形で残っている遺跡
なんてめったに無いですよ!これで、ムー大陸は実在していたと言う説を実証でき
る証拠が見つかったわけですね」
若い研究員がそばにいた、金髪の男性に興奮気味に話し掛ける。この男性〜惣流・
アレキサンデル・ジークフリート考古学教授〜もまた、古くから提唱され続けてい
たムー大陸実在説を唱える教授の一人だった。
「確かにな。だが、しかし・・・」
興奮気味の若い研究員とは反対に、彼は冷静だった。
「しかし?しかし、何だと言うんです!?過去の文献や、古文書なども、このあた
りもムー大陸のあった場所と記されてあったんですよ!間違いなく、ムー文明の遺
跡ですよ!」
「では、奥にあったあの紫の巨人はどう説明する?君も聞いたろう?あの巨人を構
成している金属は地球上では精製不可能な物であると。巨人の動力源は?製造法は?
とてもじゃないが、我々が追い求めていたムー文明の技術、というだけでは説明
つかないよ」
「そ、それではやはり、地球外の知的生命体によって作られた、オーパーツだと」
「まだ、断定は出来んがな。ただ、ここの遺跡そのものはあまり詳しくは公表しな
い方が良いかも知れんな・・・」
「そうですか・・・・」
気落ちする研究員に対し、教授は話を続ける。
「まあ、そう気落ちするな。こうして遺跡が見付かった以上、ここ以外にも遺跡が
この島の中にあるはずだ。それを探し出せばいい」
「そうですね。これだけ広い島ですから、まだ何か有りそうですからね!」
教授に元気付けられた研究員は再び、書類を持って遺跡の中へと駆け出した。教授
はそんな彼を見て微笑んでいた。自分の若いころを思い出したからだ。若いころの
彼もまた、研究に熱中し、後先を考えずに突っ走ったものであった。そんなものだ
から、彼の同僚に言わせれば、
「どこでどうやったら、キョウコの様な美人を射止める事が出来るんだ?」
と言う疑問が湧いてくるのである。
「元気の良い若者ですね、教授」
教授の横には、何時の間に来たのか、助手の加持リョウジが立っていた。教授の教
え子であり、大学卒業後、いくつかの会社を転々とした後、2年前から教授の助手
をしている。助手といっても、自ら何かの研究をするのではなく、教授の手足とし
て必要な資料や文献などを、それこそ世界を又にかけて集めてまわるのが彼の仕事
であった。
「自分の若いころを思い出していたよ。何かに熱中していた頃を。君はどうかね、
加持君?」
「はは、僕ですか?教授の授業には、よく居眠りしてましたからねぇ。むしろ、今
の方が充実してますよ。世界中を駆け回る、と言うのがやはり性に合ってるようで」
「成る程、君らしい」
教授は彼の事を信頼していた。周りの連中は、得体の知れない男と敬遠していたが、
雰囲気とは裏腹に、有言実行の男であり、好奇心旺盛なところはこの世界には打
ってつけの存在とも言えた。
「ところで加持君、大学の方に連絡を入れてくれんか?」
「大学にですか?」
「そうだ、奥の巨人を調べてみたいのでね。物理学、工学関係の教授を数人、こち
らに派遣してもらいたいとね」
「そうなりますと、キョウコさんも、ですね?」
「もちろんだ。それと、キョウコにプライベートな伝言も頼む」
教授が、小声で加持に頼む。
「で、なんでしょう?」
「子供たちも連れてきて欲しい、と伝えてくれ」
「あ、なるほどね。家族サービスと言うわけですか?」
加持の脳裏に二人の子供たちの顔が浮かぶ。アスカちゃんとシンジ君。二人の事は、
小さい頃から良く知っていた。また、二人とも加持には良く懐いていた。
「そう言えば加持君は、二人にしばらく会って無かったな?」
「そうですね・・・、もう3年位になりますか。大きくなりました?」
「ああ、大きくなったが相変わらずだよ、アスカのやんちゃぶりは。シンジ君を相
変わらず、困らせてるよ。せめて、もう少しおしとやかになってくれればなぁ・・・」
教授の、いささか困った顔を見て、加持は笑いながら答える。
「ははは、心配入りませんよ、教授。年と共に性格も丸くなりますよ。数年もすれ
ば、反対の意味で心配になりますよ。悪い虫が付きはしないかってね。もっとも、
シンジ君がいますから、その心配も無用でしょうけど」
そう言うと加持は、大学と連絡をとるために教授の元を離れていった。やがて、教
授も歩き出した。
遺跡の奥、巨大な部屋の中で巨人はライトアップされていた。両腕は力無く下がり、
両拳は握り締めたまま地面についている。そして、片膝を地面に付いたままそこ
にいる巨人はまるで、誰かを待っているような感じだった。
「巨人よ、お前はその目でで何を見、そして、何を待っているのだ?」
教授は、巨人を見上げてそう呟いた。
どうも皆さん、はじめまして。マサ・竹本と申します。どうぞ、よろしく。
さて、ようやく「巨神エヴァンゲリオン」のプロローグをアップ出来ました。
これの元ネタは、知ってる方もいるかもしれませんが、安彦良和原作のTVアニメ
「巨神ゴーグ」です。とは言っても、大まかな内容を覚えているだけで、詳しいス
トーリーの流れや各キャラの設定なんてのはほとんど覚えてません(^^;)
んなもんですから、話の3分の2はオリジナルですので、「話の流れが違うぞ!」
と言ったメールはご容赦のほどを(^^;;;;;;
とりあえず、人目に触れた最初の小説なんで、色々と誤字、脱字、その他見苦しい
点があるかも知れませんが、読んでやってください(^^;)。
また一人めぞんEVAにエヴァ小説書きがやって参りました。
25人目の住人は[マサ・竹本]さんです!
第1作、『巨神エヴァンゲリオン』プロローグ、公開です!!
ゴーグ! 懐かしいですね。
私、このアニメ大好きでした(^^)
手元にはレンタビデオからダビングした物が全5巻中、4巻まであります。(^^)
ただ、最終巻の5巻が手に入らなかったんです・・・ (;;)
話はよく覚えているのですが、決してマサさんに「違うぞ!」なんて言いません。
だって、元ネタをベースにどういう風にオリジナルを入れられるかが
この手の小説の命ですから(^^)
プロローグは、全く元ネタではなかったエピソードでしたね。
次からどういう話になるのかが楽しみです!
さあ、私と同じようにゴーグのFanだった貴方!
そして、ゴーグを知らない貴方!
めぞんEVAの新住人のマサさんにWELCOMEメールを送って下さいね!