TOP 】 / 【 めぞん 】 /[jr-sari]の部屋 SS2


さぁ あなたから メリー・クリスマス
わたしから メリー・クリスマス
Santa Claus Is Comin' To Town


ねぇ きこえてくるでしょう
鈴の音が すぐそこに
Santa Claus Is Comin' To Town


待ちきれないで おやすみした子に
きっと すばらしい プレゼント持って


さぁ あなたから メリー・クリスマス
わたしから メリー・クリスマス
Santa Claus Is Comin' To Town


Santa Claus Is Comin' To Town♪


【世界重なりて】

外伝SS1 Santa Claus Is Comin' To Town



この時期、人の集まる街には鮮やかな彩りが添えられ、大勢の子供達が期待を胸に活気づく。もちろんここにいる子供たちとて例外ではない。
「お兄ちゃん、今年もお家でパーティーやるの?」
買い物の帰り道、真治の隣りで軽めの荷物を抱えながら、美穂が問い掛ける。美穂の言う通り、家族が増え、そして真治が中学に入り冬至や健介と友達になった頃から皆で集まってクリスマス・パーティーをやっていた。しかし、今年はいつもと内容が変わっていた。
「やるよ。けど、場所は家じゃないんだ。今年は別の場所で、もっといっぱい集まるんだ。」
「明日香お姉ちゃんとかもくるの?」
「そうだよ。」
「ふーん。楽しみだね、お兄ちゃん。」
「そうだね。」
そう、今年はミリ−ナの提案でネルフでパーティーをすることが決まっていた。真治が今年に出会った人達や、自分達の本当の事を知った人達(といっても冬至や健介、光といった友人達だが)と皆で騒ごうと言い出した美里が賛成し、「うまいもんが食えるなら」「美人の写真を」とその話に飛びついた2人組に押し切られそういうことになったのだ。
もちろん、決まった時点で料理の準備は真治と自分から「ただ出るのも悪いから」と毎年手伝ってくれる光にまかせられる。
(料理はまだいいとして、今年はなぁ・・)
真治は3週間ほど前の騒ぎを思い出す。今年は例年と大きく違う点があった。2学期の初めに転校してきた少女の存在である。つい先日も彼女の誕生日のお祝いをやったのだが、当日になってそのことを知らされた真治はもちろんまともなプレゼントを用意することができず、撃沈されていた。
(毎年ケーキとかごちそう作って皆のプレゼントって事にしてたからなぁ。何か物をプレゼントしろって言われてもわかんないよ。)
真治にとって試練の日が後3日に迫っていた。


そして、24日・・・


「ほな、6時頃ネルフに集まるんやな。」
「撮影はまかせろ!俺が記念に残る映像をとってやるぜ!!」
期待に胸膨らむ冬至と健介は終業の合図と共に教室を飛び出していく。
「それじゃ、碇君、また後で。」
光もニコニコしながら帰っていく。そして、
「さ、帰るわよ、真治。」
機嫌の良いお嬢さんが真治の隣りにいた。
「あ、明日香、ち、ちょっと待って。」
ちょっと焦っている真治。
「何よ、グズねぇ。早くしなさいよ。」
「あ、あのさ、明日香、先帰っててくれない?」
「はぁ?なんでよ。・・・あんた、まさかプレゼント用意してないとか言わないわよねぇ。」
ドキッ!!
ジト目で睨む明日香が目の前にいる。
「そ、そそ、そんなことないよ!あの、その、そう、料理の材料がちょっと足りなくってさ、買いに行かなきゃいけないんだ。」
あまりにもわかりやすい真治の反応だったが、明日香はあっさりと引っ込んだ。
「ま、いいわ。じゃ、5時半頃そっちに行くわ。美穂ちゃん達と一緒に行くんでしょ。」
「え、う、うん。」
「それじゃ、お先に〜。」
後に残されたのは、予想外の反応に唖然とした真治だった。


「うーん、ほんとにどうしよう?」
三龍区の繁華街をあてどなく歩く。とりあえず、皆でプレゼント交換をする分は男女どちらでも使えそうなマフラーを買った。問題は明日香の分である。誕生日にケーキしか作っていかなかった真治は、クリスマスにちゃんとしたプレゼントを要求されていた。女の子に囲まれて暮らしてる割には欲しそうなものに全く見当もつかない。
悩んでいる間にも時間は過ぎていく。料理の用意とかもあるしと引き返そうとした時、真治の目に幾つかの品物が飛び込んできた。路上に敷かれた布の上の輝きに真治は引き寄せられていった・・・。


「メリー・クリスマス!!!」
パン!パンパン!


店内のテーブルを真ん中に寄せ集めて、ケーキや唐揚げ、サンドイッチなどが置かれ、皆に飲み物が渡されるとクラッカーの音と共にクリスマス・パーティーが始まった。
「♪天使がくれた出会いは〜」
ネルフに顔を出しているおなじみメンバー繁と誠がギターの伴奏でデュエット。
「ほら、あんたも飲みなさい。」
早速グラスに三杯空けている美里とそれに付き合う加持。
「ひさしぶりですわね、こうやって顔を合わせるのも。」
ミリ−ナ・律子・摩耶と珍しく姿を見せた冬月孝蔵はカウンターで話し込んでいる。
「うおぉ!ごちそうや!!」
「くうぅう!!美しい!最高だ!!」
冬至は始まりと共に自分の手皿に料理を山盛りにし、健介は料理などそっちのけでドレスアップした女性達をビデオ片手に撮りまくる。
「光お姉ちゃんの作ったケーキ、おいしいね。」
「お兄ちゃんの作ったのも!」
美穂、香と冬至の妹の夏美は、拓也に切り分けてもらったケーキをおいしそうに食べている。
「光さん、これはどうやって作るんですか?」
「あ、それはね、・・・」
料理の話で花を咲かせる弥生と光。
「でね、今日、二人でクリスマスをすごすんだって。」
「へー、あの二人がねぇ」
部活や友達の話で盛り上がっている瑞希と光の妹の望美。
「・・・・・・・・・・・」(じぃーー)
「な、なによ、一体。」
「あらー、真治君。女の子を二人も連れちゃって、もてるわねー。」
そして、開始と同時に真治の側に寄っていった明日香とレイを見つけ、険悪な雰囲気になりそうだった二人の間にジャストタイミングで入りこんでからかい始める光の姉の小玉。
華やかで楽しい騒ぎが繰り広げられていた。


「さぁーて、そろそろ頃合いだし、プレゼント交換といきましょうか」
店の酒もつきはじめたころになって、美里が皆に声を掛ける。隣りにいる加持は見事につぶされている。
「あなた、遠慮って言葉を知らないの?全く。」
ミリ−ナは美里の後ろに山積みの空瓶をみて、額に手を当てている。
「いいじゃない、めーでたぁいんだから。」
できあがっている人に何を言っても聞きやしないという見本である。
「そんじゃ、くじ作っといたから、引いた紙に書いてある人にプレゼントを渡してちょうだい。」
一人ずつ美里の持ってきた箱の中から紙を引いていく。
「あら?ミリ−ナは?」
「私の紙は抜いといたわ。後のお楽しみ、ね。」
あちこちでそれぞれの声があがっている。
例えば・・・
「あの、鈴原・・これ・・」
光の引いた紙には冬至の名が書いてあったらしい。紙袋に包まれてピンクのリボンが掛けられたプレゼントを恥ずかしそうに差し出している。
「おっ、偶然やな。ワイもイインチョが相手なんや。」
と、冬至が光の名前の書いてある紙をヒラヒラ振ってみせると、何やら四角いプレゼントを取り出した。日記帳のようである。
「ワイ、何がいいかようわからんかったから、夏美の奴に選んでもろうたんや。」
互いにプレゼントを交換し合う。すでに回りは見えていないようだ。
一方、一応中心人物である3人はどうなっているか見てみよう。
真治は・・どうやらもらう人とあげる人は違っていたようだ。
「弥生ちゃん、これ、プレゼント。」
渡す人は弥生だったようである。白いマフラーを受け取った袋から取り出して、弥生は嬉しそうに首に巻いてみせた。満面の笑みで礼を言う。
「ありがと、真治さん」
「はぁーい、真ちゃん。これ、私からのプレゼントよ。」
ちょっといい雰囲気だった所に突っ込んできたのはもちろん美里である。
しかも、真治に握らせたのは日本酒の一升瓶・・・。
目が点になってる真治と弥生。
「へへー、うまいのよね、その“美少年”。大事に飲んでね。」
「あ、ありがとうございます。」
酔っ払いと美里には逆らわない方が身のためなのを真治は良く知っていた。
そして、明日香とレイは・・こちらも光、冬至と同じだったらしい。
「ほら、あげるわよ。」
「・・・・・・これ。」
お互い目線を合わせようとしないまま、互いに交換し合う。
明日香の渡したのはシックなセーター。明日香らしくセンスが感じられるものである。
レイの渡したのは青いミトンの手袋。青はレイのお気に入りらしい。
受け取ったものをじっと見詰めた後は他の者達の様子を眺めはじめ、後は例のごとく、いい雰囲気(?)の真治・弥生・美里を見てテンションを天井知らずに上げ、手近の誠や繁、健介に八つ当たりをしていた。
(なんでいつもこんな役ー(;;))
ま、運命って奴でしょ。あきらめなさい。


さて、プレゼント交換も終わり、もうお開きにしようとした時であった。
「来る。」
不意にレイが目を細めて、つぶやいた。


シャンシャン シャンシャン


突然店内が暗くなると同時に、鈴の音が鳴り響いた。そして、霧のようなものが通風孔から入り込んでくる。
「何!これ!」
騒ぐ皆を見回しつつ、ミリ−ナは落ち着いている。
「ふふ、来たわね。」
パッと店内の電気が点くと共にそこにいたのは・・・
「「「「「サンタクロォースゥー!?」」」」」
赤い服、白い髭、でっぷりしたお腹、大きな袋。世間一般の想像通りの姿である。
「久しぶりね、良く来てくれたわ。」
「ふぉふぉ、ミリ−ナ殿の頼みならば来にゃなるまい。」
「ありがとう。」
平然と話すミリ−ナ達に明日香が口をはさんだ。
「ちょ、ちょっと、本当にサンタクロースなの?」
「そうよ。」
「妖気が感じられるんだけど。」
「それはそうでしょ。彼だって、子供たちの想いから生まれたんだもの。」
「な、な、な」
あまりの事に声もでない。
「うわぁー、サンタさんだ。」
その間にも純粋に喜んで、美穂、香、夏美がサンタにまとわりついている。
「ワシはあまり時間がないんじゃ。皆、望む物が手に入るように祝福させてもらうかの。・・ほりゃ」
背負っていた袋から何やら輝く粉を掴み出すと、その場にいる者達の上に振り撒いていく。まるで粉雪のようなそれは触れると同時に染み込むように消えていく。
「では、幸運を。ミリ−ナ殿も達者での。メリー・クリスマス!!」
来た時と同様に姿が薄れ、あっという間に消えていった。
ほんの数分の出来事だったが皆呆然としたままだった。
パンパン
「はい、ほらほら、いつまでもボーっとしてない。お開きにしましょ。」


「さ、帰るわよ、真治。」
美穂や弥生達には摩耶、律子と一緒に先に帰ってもらい、真治はレイと光と後片づけを終わらせた。光は冬至兄妹と今し方帰った所である。もちろん、美里と加持は2次会へ。繁と誠も捕まったらしい。
明日香は真治を待っていたのだった。
「あ、す、すぐ行くから明日香は外で待ってくれる。」
真治は、すでにネルフに据え付けになった自分のエプロンを外しながら答えた。ちょっと焦りが入っているようにも見えるが明日香は言われた通り外に出ていった。
しばらく後、真治が表に出てくる。ちょっと頬が赤い。
「・・・帰ろ!。」
帰り道、二人以外の姿は見られない。
静かな雰囲気だけが二人を包み込んでいた。
明日香は真治の住む家の隣りに住んでいた。ドアの前まで来た時、今までずっと黙っていた真治が口を開いた。
「あの、明日香、これ・・」
真治の手の上には小さな紙袋。
「何?これ。」
「その、プレゼント。約束したでしょ。どんなのがいいかわからなかったんだけど、これなら明日香に似合うかなと思って。」
明日香の手の平に現れたのは銀の輝き。太陽を象った飾りのついたネックレス。
真治の暖かさがそこから明日香に流れ込んでくるようだった。
明日香の手がギュッとそれを包み込む。
うつむいてしまったまま何も言わない明日香の姿に、やっぱりダメだったのかなと真治は不安になってきた。
「あの・・明日香?」
と、不意に明日香の体が真治の方に傾いた。
「真治・・・ありがとう。」
一瞬の出来事。真治の唇にぬくもりを残し、明日香は家の中に駆け込んでいった。
最初は何が起きたのか分からなかった真治だったが、駆け来んでいった明日香の真っ赤な顔を思いだし、その顔に微笑みが浮かぶ。


「・・明日香・・メリー・クリスマス・・」


その夜の星空は世界中の人々を祝福するように優しく輝いていた。


後日。
明日香がこのネックレスを見せびらかしネルフに行くと、そこには月を象った飾りのついた銀のネックレスをしているレイがいた。
第4次紅蒼闘争!
その時の様子はまた別の機会にでも。


SS2はあるかな?
ver.-1.00 1997-12/26 公開
ご意見・ご感想・誤字情報などは jr-sari@mvb.biglobe.ne.jpまで。


どうも、jr-sariです。
いかがだったでしょうか。楽しんで頂けたら幸いです。
今年はこれで書き収めってところです。
来年も頑張りますんで、どうぞよろしく。
それでは、ごきげんよう。

 jr-sariさんの『世界、重なりて』外伝1、公開です。
 

 

 シンジくん、
 モテモテ人の苦悩に揺れています(^^)
 

 アスカには太陽。
 レイには月のネックレス。
 

 太陽と引き替えにキスを受け取りましたが、
 月とはどうだったのかな?

 そっちでも受け取っていたとしたら・・・

 「シンジ、許すまじ!」ですよね(笑)
 

 二股野郎〜〜(爆)
 

 

 さあ、訪問者の皆さん。
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