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六話    








「アスカ」

ミサトはモニターで二人の様子を見ていが、リツコが行く所があると言って出て

行くとしばらくして、もう我慢出来ないとイワンばかりに部屋を出て、今アスカ

の病室に来ていた

「シンちゃんアスカおはよう、て言ってももうお昼ね」

「・・・・」

ミサトはにこにこしながら二人に歩み寄る。だが返事は返ってこない・・・・

「私、お邪魔かしら?」

「・・・・」

ミサトは茶化すように言い二人の顔を見る

だがシンジとアスカは無言で見詰め合っている

少なくともミサトにはそう見えていた

その時ミサトはある事にきづく、シンジの姿の異変に

『シンジくんやけにキレイね、服もきれいだし、お風呂にでも入ったみたい・・

・でも今の彼がそんなことする・・・第一服はいつものまま・・・やっぱり・・

・・おかしいわね・・・じっくり後で聞く・・・て、むりか・・・・・・』











・・・・確かにそうですが、検査をしてみない事には結果はだせません」

「わかった、検査の方は君に任せる」

「わかりました」

「すまんな、無理を言って」

「いいえ」

「そうか、よろしくたのむ」

「はい、それでは失礼します」

リツコが部屋を出ていくと、冬月は深々と椅子に座る











「シンちゃん、昨日大変だったのよー」

「・・・・」

ミサトは頭を切り替え楽しげに話す

「アスカがさー・・・」・・・カチャ・・・

「あら居たの、ミサト」

「居ちゃ悪いわけ!」

そう言いリツコはシンジに歩み寄り

「シンジ君、ちょっと来てくれる」

「なに言ってんのよあんたわ!」

リツコがいきなりシンジを連れ出そうとするのに、抗議の声を上げる

「検査よ、ミサト」

「ああ・・・・検査ね・・・」

「シンジ君、ちょっと来てもらえるかしら」

「・・・・・」

リツコの言葉にまるで反応はない。それを見てミサトはリツコに視線を送り話

出す。

「シンジくん、一緒に行きましょ」

ミサトは強引にシンジを立たせた時、ミサトにはアスカの腕が動いた様に見えた

「それじゃ、シンジ君いきましょ・・・ミサト?」

「・・・ん、私は少しここにいるわ」

「そう」

「直ぐ行くから、先に行ってて」

それを聞くとリツコは部屋を出ていった。その部屋でドアをぽつんと見ている

少女の姿があった。

「アスカ、悪いわ・・・・」

その光景にミサトの言葉を無くす。そう少女の瞳から流れ出すものに

「アスカ・・・・」

ミサトは、しばらく沈黙の後アスカの涙を拭きながら話し出す

「アスカ、随分泣き虫に成ったわね」

「・・・・」

「そんなんじゃ、シンちゃんに嫌われちゃうわよ」

「・・・・」

ミサトは努めて明るくアスカに語りかけるが、アスカからは何も返ってこない

ミサトは顔を引き締め話を続ける

「アスカならわかるわよねシンちゃんの、状態」

「・・・・」

「それなのに、人の心配ばっかりして、本当馬鹿よね・・・」

ミサトは、自分の涙にきづかないように話を続ける

「でもね、そこがシンちゃんのいい所でしょ?」

「・・・・」

「だからアスカも早く直って、シンちゃんを安心させてやってよ、ね?」

「・・・・」

ミサトは涙を拭き立ち上がる

「さ〜て、そろそろ行くわ・・アスカ、早く戻ってらしゃい、みんな待ってるわ」

ミサトはそう言い部屋を出る

静かな部屋の中、少女はあの椅子を見ている

その瞳は涙のせいか、青く澄んだものになっていた











「シンジくん、どうなの?」

ミサトは入るなりリツコにそう言う

シンジはこの奥の部屋で寝ていた

シンジはなにかカプセルのようなものに入り、眠っているように瞼を閉じている

リツコとミサトの居る部屋から、奥の部屋の様子が見える様にガラスがはられて

いる

そのガラスに張りつく様に、一人の少女がそこに立っていた。

「あら、レイきてたの?」

レイの耳にはまったく届いていない。レイは静かに少年を見ている。そんなミ

サトにリツコは言い放つ。

「レイの家に居たらしいわ、彼」

「へ」

ミサトはリツコの言葉の意味する所がわからず、とぼけた返事を返す

「シンジ君よ、昨日レイの家にいたのよ」

「なんですって!!」

ミサトはとっさにレイを見るが、レイの耳には何も入っていないようだ

「レイから話は聞いたわ」

ミサトはちらっとレイを見て視線をリツコに戻す

「どういう事なの、リツコ!」

「シンジ君をレイが保護したって事よ」

「保護、そんなんじゃ全然説明になってないわよ!!」

ミサトはリツコに迫るが、リツコの方はやっぱりねと言いたげな表情で言う

「レイがシンジ君を見つけ、家に連れ返ったそうよ」

「な・・・・レイが・・・・」ミサトはその言葉で固まった

「そんなことで驚いていたら、続きは聞けないわよ」

「なに、まだ何かあるての」

「さっき副指令に・・・・・リツコは、副指令との話をミサトに話す。その内容

はシンジの事をレイに任せると言う事で、それはシンジとレイが一緒に住む事を

意味していた

「でもなぜ?」

話を聞き終わるとミサトは素直にそう尋ねる

「あなたもアスカを見ればわかるでしょ、はっきり言って病院で

出来る事などないに等しいのよ。心の問題に手はだせないのよ」

「でも、じゃあなぜレイなのよ」

「レイが望んだからよ、あなたがあれだけ探してもみつから無かったのを、レイ

は探し出しシンジ君もそれに応じた。それだけでレイに任せて見る価値はあるわ

打つ手がないいじょう・・・・」

『・・・・確かに・・・でも』

「・・・・・わかったわ、でもアスカは・・・・・」

「それは問題ないわ今までどうり彼は来る筈よ。レイに話はしたわ、彼が

望めばだけど、心配無いわ今まで来ていたのだから」

「そう・・・・」

ミサトはレイに視線を送る

そこには心配そうにシンジを見るレイに姿が目に入る

ミサトはそのレイの姿に、あの水槽の中に漂う綾波レイの姿が目に浮かぶ

『・・・・人はかわるもの、か・・・・』

ミサトはその光景を消し去るように、しっかりとした足取りでレイに歩み出す











「・・・そうか・・・・かまわん・・・・そうだ、後の事は全てキミに任せる」

カチャ

ゲンドウはそう告げ受話器を置く

そして両肘をつき両手を顔にあてる

その肘の置かれている机の上には一つ書類が置かれていた

その書類の一番上に位置している紙には何も書いていない、ただ白いだけの紙で飾ら

れていた








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ver.-1.00 1997- 5/22公開
ご意見・感想・誤字情報などは nisioka@mx4.meshnet.or.jpまで。

 にしおかさんの連載『涙』六話公開です(^^)

 アスカの涙・・・・
 外界に対する反応が表れた彼女、これから快方に向かうのでしょうか?
 ・・・・・そんなに簡単な物ではないのでしょうか・・・・

 レイの元で暮らすことになったシンジ、大いなる庇護に包まれることで彼の心は?

 そのレイ自身には何がもたらされるのでしょう・・・・

 ゲンドウの動きも謎が多いですね。
 まだなにも見えてきません。

 訪問者の皆さんへは何が伝わってきていますか?
 にしおかさんにそれを教えてあげて下さい。


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