皆、「海辺の生活」はどうだった? え、何だか良く分からなかった?
未来オチに逃げるな? 結局誰と誰がくっついたのかさっぱりだ? 加持さんや青葉君はどこへ行ったんだ?
最終回がやっぱりスカシだったのはキーホルダーと合わせているのか? そうね、皆の気持ちは良く分かるわ。
私としては、板橋区の18歳、ほーちゃんのしもべ君の「何か後半ヒカリとレイの漫才になってませんでした?」に10カノッサね。(←最近巷で超大流行中の言い方。)
ところで今回のおまけは、作者が前回ブチブチうるさかったので彼は締め出すとして、この話に使われた独自の言語−ホッパリッシュについて、私が真面目に解説を進めていくわ。生徒は淡水魚担当の伊吹さんよ。
はーい、マヤでーす。あの、先輩、じゃなくて先生、レッスンの前に一事言いたい事があるんですけど、良いですか。
どうぞ。
作者さん、結局私のあのシーンは何だったんですかっ!
ああ、あれなら…
あ、いや、やっぱり良いです。何か凄く聞きたくないです…
そう。なら良いけど。それじゃさっそく始めるわよ。
あら? もしかして、あれって…(--;
海辺の生活おまけ・赤木博士のペンギン語講座
その1・文字
何と言ってもペンギン語で独特なのはあの何か、ユニークな記号ですね。
そうね。ペンギン、人間双方に分かりやすいように、シンプルな象形記号風の文字を使っているわ。
第三話より
ミサトはリツコを払いのけて、バルタザールの大きい方のキーボードを打ち始めた。今日はペンペンがカスパーの前だ。 「(<ミサト><人間>)」
「くあ。」 ペンペンは首を傾げ、キーを押す。
「違わい!」再び「<ミサト><人間>」と入力するミサト。
|
第三話より
「もう少し、彼等にも分かりやすい方法を使うわ。ミサト。例えばあなたの場合、」「」のキーを押す。 「この記号でしょう。」 「うん。」 「この形を分解するのよ。例えば「」という具合にね。これでmisatoの代わりになるという訳。」 「あ、なるほど。」 「ポコティファなら、こういう感じになるわね。」「」と打つリツコ。 「面倒臭いわね。」苦笑いするミサト。 「まあ、ミサトとかポコティファとかよく使う名詞は表語文字に残しておいたから、実際には今までどうり「」、「」で構わないわ。新しい単語の時に、これを使うのね。」 「ほぉー。」ミサトは半分感心して半分呆れた。 |
第七話より
レイは痺れを切らしてミサトに要求した。 「葛城さん、洞木さんの名前は…」 「あ、御免御免、じゃ私が作るわね。」 ミサトはバルタザールの前で指を踊らせる。
「…ヒカリちゃんの髪型よ。」ミサトは不思議そうな2人に説明した。
|
…ホッパリッシュを学びたい皆さんの為に、今回は特別にここでこのホッパリッシュ文字のフォントをプレゼントするわ。
ええ、すごおい。
物語ではキーが90個というくだりがあるので、このフォントの全87文字は制御キーの存在を考えると少し多いのかもしれないけど…まあ深くは悩まない方が良いわね。
Windows用TTフォント「Penguin」ダウンロード(23kb)
このフォントの、このページ以外のネット等での配付は…まあどうでも良いわね。いいえ、今決めたわ、むしろ歓迎よ。どんどんこのフォントを広めてちょうだい。そしてホッパリッシュも広めるのよ。
は、はあ…
当然ネットでこのフォントを使う事も歓迎するわ。私も忙しいし、特に私に知らせずに勝手に使ってしまって構わないわよ。…ただし、使う時は正しいペンギン語をここで勉強した上でお願いするわね。
それじゃあそのうち、全編ペンギン語のエヴァ小説が出来るかもしれませんね!
ペンギン語じゃないわ、ホッパリッシュよ。
あ、す、すいません、先生…
その2・文法・平叙文基本編
ホッパリシュの文法は基本的には非常に単純で簡単よ。
それはやっぱり先生が、簡単になるように考えたからですか?
そうね。
さっすが先生!
と言っても、私の力は微々たる物よ。この言語の素晴らしい点の一つは、これが学者側が一方的に押し付けた人工言語ではなく、私や、葛城飼育担当やピンギやポコティファが共同で練り上げていった自然言語であるという点なのよ。
でも、人間とともにペンギンも製作に参加しているという事は、世界で初めての本当の意味での「自然」言語な訳ですね!
確かにそういう言い方も出来るかもしれないわね。
さっすが先生!
…話を進めていいかしら。
もちろんです。
…この言語の文法は非常に単純で簡単よ。ただそれは裏返しに、文の意味が曖昧で読む方は常に分かりにくいという事でもあるわ。
へえー、そういう物なんですか?
ええ。人間の言語でもそうでしょう、文法構造が非常に厳格で、ありとあらゆる形に動詞等が変化しうるような…そうね、例えばロシア語とか、チェコ語とか、フィンランド語やアラビア語でも良いわね。こういった言語は、外国人にとっては学習するのは本当に大変だけど、実は一旦習得してしまうと、一つの文で意味がかっちりと固定して捉えられるのでそれを母語とする人には実に分かり易い言葉なのよ。一方例えば中国語やタイ語のような文法構造…というと少し語弊があるわね、膠着性と言い直すわ、膠着性の非常に弱い孤立系言語の場合、それを覚えるのは比較的易しいのだけどいつまで経っても文の意味を正確に捉える事が難しい…つまり、ある種のカンを必要とするというデメリットが生じてくる訳ね。…伊吹さん。
ぐう…ふえ? は、はい、聞いてました。
…文法の説明をするわ。
まず基本となる語順よ。
第四話より
ミサトはマヤをピシッと指した。 「飲む、マヤ、お茶。」 マヤはビクッとして動きを止めた。
「あれ、そうだっけ?」
|
例:
<食べる><私><ヤリイカ>
「私はヤリイカを食べる」
ちなみに日本語やトルコ語は主語・目的語・動詞でSOV、英語や中国語が主語・動詞・目的語でSVOになるわね。人間の言葉でVSOな物としては、アラビア語が挙げられるかしら。
もうこれは皆気付いていると思うけど、ホッパリッシュでは一つの文が終わった印に「(終わる)」という記号を付けるわ。これは本来文頭に置く「(始まる)」と対だったはずなのだけど、今では「(始まる)」の方は普通は省略するのが一般的ね。これの現在の使い方については後で説明するとしましょう。とにかくホッパリッシュでは、文末は必ず「(終わる)」を置くわ。さっきの話ではないけどホッパリッシュはそういった部分を厳密にしないとまるで意味がとれなくなってしまうから注意して。だから先程の例では、
例:
<食べる><私><ヤリイカ><終わる>
「私はヤリイカを食べる。」
となる訳ね。
もう少し例を挙げましょう。
「私は言葉を話す。」→<話す><私><言葉><終わる>
「彼はあなたが好きだ。」→<好き><彼><あなた><終わる>
直接目的語(…に、…え)と間接目的語(…を)では直接目的語の方が先に来る、とされているわ。もっともこの辺りになると発話者によっては随分好い加減なものね。文脈から勘で判断した方が確実かもしれないわ。
「私はあなたにヤリイカをあげる。」→<送る><私><あなた><ヤリイカ><終わる>
「ミサトはギンギンに話を話す。」→<話す><ミサト><ギンギン><話><終わる>
あ、はい、質問があります。
何、伊吹さん。
「話を話す」で思い出したんですけど、以前こんなシーンがありましたよねえ。
第十話より
<つまり、この言葉が無いと、君達も心が分けられないの?> 「があ、があ。」 「
|
VSOの次に重要な語順のルールとして、ホッパリッシュは形容詞が被形容詞の後ろに付く、というのがあるわ。
例:
<プール><大きい>
「大きいプール」
形容詞が複数ある時はより重要と思われる形容詞を先に置くのが普通ね。日本語の反対だと思ってもらって大体構わないわ。まあこの辺もやはり好い加減ね。
例:
<プール><大きい><楽しい>
「楽しくて大きなプール」
…ちょっと例文に無理があったわね。
こんな実例があるわ。
第七話より
<一番悪いのは、ペンペンがこれを使う事だ。> <これ?> 「 (<これ><終わる><四角><道具><言葉><終わる>) (「これだ、言葉の道具の四角だ。」) 」 「ああ、カスパーね。」 |
ちなみにここで形容詞・被形容詞の順番にすると、「…は…(形容詞)だ」という内容の文になるわ。
例:
<大きい><プール><終わる>
「プールは大きい。」
<楽しい><プール><大きい><終わる>
「大きなプールは楽しい。」
更に言うと。「…は…(名詞)だ」のタイプの文は、ホッパリッシュでは動詞扱いの特殊な形容詞である「同じ」を用いるわ。まあ英語のbe動詞のような物と思ってもらって構わないわね。
例:
<同じ><ペンペン><ペンギン><終わる><と><同じ><ミサト><ペンギン><終わる>
「ペンペンはペンギンだ。ミサトもペンギンだ。」
見て分かる通り、この時、主語(…は)、補語(…だ)の語順は日本語と同じで主語・補語の順に並べるわ。この辺り紛らわしいので間違えないようにね。
<と>っていうのは良く出て来ますけど、一体何なんですか?
本来の「…と」の意味でももちろん使うし、一つの話題を次の文に続けたい時などにも使う便利な単語よ。この場合は「そして」とでも訳せるかしら。英語の「and」に近いかもしれないわね。
ところで、ミサトさんってペンギンだったんですか?
まあ、頭脳がペンギン並なのは確かね。(きっぱり)
ここまでのポイントを並べるわ。
その2・まとめ
1・動詞の文は動詞、主語、目的語の順。
2・直接目的語と間接目的語は直接目的語、間接目的語の順。
3・形容詞と被形容詞は被形容詞、形容詞の順。
4・「AはB(形容詞)だ」は<B><A>。
5・「AはB(名詞)だ」は<同じ><A><B>。
6・文の終わりには<終わる>を付ける。
といった所かしら。
その3・文法・平叙文応用編
先生。ホッパリッシュには、単数形や複数形の区別はあるんですか。
無いわ。
…じゃあ過去形や未来形は?
厳密な意味では、無いわね。
その辺が、ホッパリッシュが簡単な言葉である所以なんですね。
そうね。まあ両方とも強調したい時は区別は不可能ではないわ。まず単数形や複数形は<一つの>や<多数の>を付ける事によって表現可能ね。
例:
「一つのヤリイカ」→<ヤリイカ><一つ>
「複数のヤリイカ」→<ヤリイカ><多数>
そのままですね。
そのままね。まあよほど強調したい時でない限り、普段は使わないと思って構わないわ。
過去形・未来形はこれに比べると比較的よく使うわね。ホッパリッシュではある動作が過去に行われた事を強調する際は、その動詞の前に「(行く)」を置くわ。
第七話より
<あなたもさっき、ペンペンを攻撃しようとしてたでしょう。> <そんな事はない。> 「(<行く><する><あなた><終わる>)(「してました。」)」 「(<でない><行く><する><終わる>)(「していない。」)」 「」 「」 「」 「 」 「こんの腐れペンギンが…」 「があ、くあ、くあぁ。」 |
じゃあ、もしかして未来形は「来る」を前に置いたりするんですか。
あら、鋭いわね伊吹さん。
てへっ。
…簡単な例を見てみましょう。
例:
<食べる><私><ヤリイカ><終わる>
「私はヤリイカを食べる。」
<行く><食べる><私><ヤリイカ><終わる>
「私はヤリイカを食べた。」
<来る><食べる><私><ヤリイカ><終わる>
「私はヤリイカを食べるだろう。」
ホッパリッシュの場合文の構造はさほど複雑にはなりにくいですけれど、それでも難しい文が出てくる事もあるわ。例えば主語や目的語などに「…する事」のような句が入る事も有り得るでしょう。こういった時、ホッパリッシュではその句の前後を<見る>という単語で挟みます。
<見る>…何で、何を、見る、なんですか?
さあ。「…してみる」位のニュアンスじゃないかしら。正直私に聞かれても困るわ。
困る、って…この言葉は先生が作ったんじゃ?…
フ…
…フ、って?…
先程挙げた例文は、これで全てが解析可能になる訳ね。
第十話より
「 (<低い><考え><シンジ><終わる> <同じ><見る><話す><話><見る><見る><分ける><心><見る><終わる> <と><同じ><見る><分ける><心><見る><見る><話す><話><見る><終わる>) (「シンジは頭が悪い。だから言葉を使うのが心を分ける事であり、心を分けるのが言葉を使うという事なのだ。」) 」 |
次に可能文よ。
へえ? まだあるんですかあ?
取り敢えずその3はこれが最後よ。
ふぁい、マヤ、頑張りますっ。
…。可能文は他の形同様、余り用いられません。ただし強調したい時は表現が可能という事ね。可能は<する>を動詞の前に置くわ。
例:
<する><食べる><私><ヤリイカ><終わる>
「私はヤリイカを食べる事が出来る。」
あ、質問しても良いですか。
どうぞ。
可能文で過去形、なんていう時はどうなるんですか。
適当よ。
適当?
そう、適当。
<する><行く><食べる><私><ヤリイカ><終わる>
「私はヤリイカを食べる事が出来た。」
でも
<行く><する><食べる><私><ヤリイカ><終わる>
「私はヤリイカを食べる事が出来た。」
でも別段構わないわ。まあ、私なら後者を推すわね。
はあ…あ、もう一つ質問しても良いですか?
どうぞ。
「行く」とか「来る」とか、「する」とか「見る」とか、それぞれ本来の動詞の意味と紛らわしくないですか?
例えばさっきのは、「あなたはした。」ってなってましたけど、これって「あなたは出来た。」とも訳せる、っていう事になりますよね。
その通りよ。
はあ。
それこそがホッパリッシュの難しさという訳ね。さ、今までのまとめよ。
何だか説明すっ飛ばされたような…
その3・まとめ
1・単数系、複数形は特に存在しない。
2・過去を強調したい時は<行く>+動詞、未来を強調したい時は<来る>+動詞。
3・可能を強調したい時は<する>+動詞。
4・文の中に句を入れたい時はその始まりと終わりを<見る>で挟む。
その4・文法・否定、疑問、命令
先生、何だかちょっと疲れて来ましたぁ。
だらしないわね伊吹さんは。ま、後少しで終わるから頑張りなさい。
…御褒美…
はあ?
何か御褒美欲しいですぅ…
ああ、はいはい、肩叩きでも何でもしてあげるからもう少し付き合ってくれるかしら。
はいっ!(^^)/
…。
否定文は簡単よ。
あ、先生、それ私分かります。文の最初に<でない>を置くんですよね。
そう、その通りよ伊吹さん。ついでに疑問文も、葛城飼育担当が既に説明しているわね。
第三話より
「とか、そうだな、後、<でない>を2度繰り返すと…あ、文頭に<でない>が来ると否定文なんだけどね。それが2度あると、疑問文になるのよ。でない、でない、飲む、マヤ、お茶。」 「え、ええと、飲む、私、お茶。」 「そう、そういう感じ。」 |
例:
<でない><食べる><私><ヤリイカ><終わる>
「私はヤリイカを食べない。」
<か?><食べる><私><ヤリイカ><終わる>
「私はヤリイカを食べるか?」
「私」が主語の疑問文は妙ね。ちょっと同じ例文にこだわり過ぎたわ。
第九話より
「」 アスカは、まだ何やら打っているペンペンの頭を撫でた。 |
次に命令形よ。伊吹さ…
ぐー。すー。ぐー。すー。
…。
命令形は平叙文の動詞の前に<話す>を置けばOKよ。主語は普通「あなた」でしょうから、省略するのが一般的ね。
例:「ヤリイカを食べろ。」→<話す><食べる><ヤリイカ><終わる>
第十話より
「くあ。」 「 (<話す><話す><終わる><話す><話す><終わる> <何故><止める><急に><話><終わる>) (「話せ、話せ、何故急に話を止める?」) 」 |
例:「あなたは何故ヤリイカを食べるのか?」→<何故><食べる><あなた><ヤリイカ><終わる>
ぐー…
…まとめるわ。
その4・まとめ
1・否定文は<でない>+平叙文。
2・YesNo疑問文は<か?>+平叙文。
3・命令文は<話す>+主語を抜いた平叙文。
4・wh系疑問文は疑問詞+平叙文。
その5・数詞・人称・挨拶その他
はっ
は、私、一体どこで何を…
…数詞の説明をするわ。
数詞? いわゆる数の事ですか?
その通りよ。
凄おい、ペンギン達、ちゃんと数も分かるんですね!
実は、それほど凄いとも言えないのよ。
え? 何がですか?
まず、先に数詞を見てみましょう。
<0><1><2><3><4><5><6><たくさん><とてもたくさん>
ちょ、ちょっと待って下さい、6の次の<たくさん>と<とてもたくさん>って一体何なんですか。
大体イメージとしては<たくさん>が20、<とてもたくさん>が200前後ね。<とてもたくさん>を2回繰り返すと殆ど無限、の意味になるわ。
いや、そういう事じゃなくて。
つまりホッパリッシュでは、残念ながら今の所7以上の数は存在しません。…猿ならもう位取りも出来るのだけど、一体何故かしらね…だから、「7」なら<たくさん>になる訳。どうしても正確に表現したければ、例えば「<6><と><1>」で「7」を表す、というような表現しか出来ないわね。
は、はあ…
ちなみにこの<0>という記号も、人間は使おうとしているのだけどペンギン達には今の所中々普及していないわ。この為人間の間のホッパリッシュでは便宜上、数字のみ普通の算用数字を使っているわね。
なるほど…え、人間の間のホッパリッシュ?
次へ行くわよ。
え?
代名詞もホッパリッシュは非常に簡単ね。
ええと、私、あなた、彼、彼女…
「(私)」・「(あなた)」・「(彼/彼女)」・「(それ)」の4種類よ。
前述の通り単複の区別は無し。性別の区別ももちろん無いわ。
なるほどぉ! 性差別の無い言語なんですね!
差別と言うか、そもそもペンギンにとっては交尾・子育ての時期以外は性が余り重要な事柄では無いのね。もともと雄雌の差が余り無いし。
へえ、そうなんですかあ。
そうね。体型も変わらないし、哺乳類のような形の性器がある訳でもないしね。
え、じゃあどうやって…きゃああっ、先生不潔ですぅっ!
…。
それから、「(それ)」は、無生物の代名詞のみならずいわゆる指示代名詞の「あれ」「これ」「それ」、指示形容詞の「あの」「この」「その」、全てに使われるわ。つまりホッパリッシュでは近称や遠称の区別もやはり無いのね。
…でも、どうやって…
…比較的普通よ。
(ゴホン)ホッパリッシュの挨拶を解説しましょう。結論から言うと、本来はホッパリッシュには挨拶言葉は存在しないの。
へえ、そうなんですか。…何で?
ペンギン達は単刀直入なコミュニケーションを好むので社交辞令的な表現を必要としない、といった言い方も出来るでしょうけど、単に考えていなかっただけという方が正しいかもしれないわね。ただ、現在では事実上の挨拶言葉になっている表現はいくつかあるわ。
第五話より
「 (<始める><終わる><人間><小さい><終わる>)」さっそく吟味するように打つギンギン。 「初めまして、若い人、って言ってるわ。」ミサトが解読する。
|
<悲しい><私><終わる>
「ごめんなさい。」
これらはペンギンより人間達の方が使う傾向が強いわね。
それは、一体何でなんですか?
さあ? …そうね、ペンギンの場合そういった事は言わなくても分かると思っている節はあるわね。
はあ…ところで、他の挨拶は無いんですか? 「いただきます」とか、「ただいま」とか、「さようなら」とか。
無いわ。
ペンギン達にとって必要性が無いでしょう。彼等は食べたい時に食べるから一々食事の挨拶なんてしないし、プールからどこかへ移動する事もないから「ただいま」とか「お帰りなさい」もいらないし。
でも人間との間では、「さようなら」位は使うんじゃないですか?
…そうね。何故かしら、「さようなら」はあっても良いはずね。
もしかして、「さようなら」なんて悲しい言葉はいらない、っていう風にペンギン達は考えているのかもしれませんね。
それは無いと思うわ。
…
それからホッパリッシュには敬語は無いわ。まああると思っている人もいないでしょうけどね。もちろん男言葉、女言葉のような物も無いわ。まあ敢えて口調の事を考えるとするなら、より文法に正確な「丁寧な」口調と、好い加減な「汚い」口調を区別する事は可能かもしれないわ。
へえ、口調の差なんてあるんですか。
口調というか、発話者の真面目さを示す物ね。一般に私やピンギ、レイちゃん等の発話は文法に正確で丁寧ね。一方ポコティファや葛城飼育担当の発話は常にアバウトで適当だわ。
ああ、何かそんな話ミサトさんから聞いた事あります。何でもギンギンや赤木博士の言葉は杓子定規で長ったらしくて、文を分割すれば良い所をわざわざ一つの文に複雑な意味を詰め込もうとしてやたらと「見る」ばっかり使ってとても分かりにくいとか…
伊吹さん?
あ、いや、いえ、あの、私はもちろん先生の言葉遣いの方が正しいと思いますう。
と、言う訳で、ホッパリッシュ講座はこれでひとまず終了よ。他に分からない所があったら私か作者に聞いて頂戴。
せ、先生、そのメールアドレス…
何? 何か間違っているかしら?
い、いいえ、良んですけど…
そうね、最後に総まとめのテストでもやろうかしら。
え。
と思ったけど面倒なので止めておくわ。
…
ところで今回は…ああいうのは無いんですか。あの、前回みたいな、メール下さった方の名前をずらりと並べたりとか、次の連載の予告とか。
無いわ。
…無いんですか。
大体作者は一時期、スランプ時に休止宣言をしてたりして、殆どメールのレスを書かなかったので全くと言って良い位メールが来なくなったらしいわよ。だから並べようがないんじゃないかしら。
それただの自業自得じゃないですか。(^^; でも、次の連載とかは?
一応予定も無くは無いけど、書くかどうか分からないとか言っていたわね。何でも一話完結のLASか何かを何度も書くとかいう企画の噂は耳にしたけど?
さ、作者さんがですか? (^^; 冗談でしょう?
書くとすればその企画になるらしいわよ。一応嘘では無いらしいわ。
へえ…書くとすれば、って、書かない可能性の方が高いって感じですか。
そうかもしれないわね。
へえ…まあ私は元々ここじゃ扱い悪いし、別に良いんですけど…で、これで、終わりなんですか?
終わりよ。
オチは、何か…無いんですか。
無いわ。
…寂しいですね…
それは違うわ伊吹さん。あなたがオトすのよ。
は?
じゃ、そういう事で頑張って!
いや、あの、
じゃっ!
え? いや、あの、えと、み、皆さんここまでお付き合い下さって有り難う御座いました。えと…私が「海辺の生活」で一番感じたのは…ええと、綾波さんには頑張って欲しいという事かしら。負けちゃ駄目よ、綾波さん!
それじゃあオチてないですけど、私もこの辺で………あら、そういえば砂漠谷さんが海辺の生活の別バージョンを書くとかいう話は一体どうなっちゃったのかしら…
つづかない