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煩悩の世界エヴァンゲリオン
第壱話 いつもの朝

 

○4月22日 午前6時30分 碇家


PPP...
PPP...PPP...
PPP...PPP...PPP

「う・・・」

ぼくは、頭をかきまわす音に思わずうめき声をあげる。

「何時だ?」

そんなことをつぶやき時計に手を掛けた。
そして、目覚しを止め文字盤に目をやると 6:31 を指している。

「起きなきゃ」

今は、4月。朝晩、少し冷え込むが起きられない程じゃない。
ぼくは、勢いをつけ布団から起き上がった。

「う、うーん」

起き上がると伸びをして、自分の部屋を出た。
そのまま、トイレに向かう。
少し落ち着き洗面台に向かい顔を洗う。ああ、やっと目が覚めてきた。
その後ダイニングキッチンへ向かう。
母さんは、朝食を作っている。

「母さん、おはよう」

「おはよう、シンジ」

と、いつものあいさつを交わす。
父さんは、いつもどうりテーブルで新聞を読んでいる。

「父さん、おはよう」

「ああ、おはよう」

と、こちらもいつものあいさつを交わす。
彼は、いつもの朝、毎日このマンネリとも言える平穏な生活を繰り返していた。
そう、一人の少女が彼の学校に転校してくるまでは・・・


○同日同時刻 太平洋上 EJAL機 1024便


朝方、EJAL(日本帝国航空)機 1024便の中で少女は目を覚ました。

「シンジ、びっくりするかな」

そう誰に言うでもなくつぶやき微笑む。


○同日午前6時40分 綾波家


ガシャッ

勢いよく開けられるカーテン、差してくる強い朝日に少女は、小さな抗議の声をあげる。

「う、うん」

「レイ、朝だよ」

朝日にさらされ薄紫のかかった銀髪の少年は少女にやさしく声を掛けた。

「もう少し・・・」

「しょうがないな、レイは・・・」

少年は、おもむろにベッドに腰掛けると少女のかわいい耳にささやく。

「シンジ君が見てるよ・・・」

「えっ、シンちゃん?」

慌てて跳ね起き、キョロキョロする。部屋を見回した後、顔を赤くしながら少女、レイは抗議の声を上げる。

「お兄ちゃんっ、またわたしをだましたわねっ」

「ははは、だましはいいねぇ、寝起きの悪いレイを起こしてくれる・・・人類の文化の極みだよ」

と、訳の判らないことを言い微笑みを妹に投げかける。

「また、何、わけわかんないこといってるのよ・・・」

「ははは、朝食ができてるよレイ・・・」

お兄ちゃんと呼ばれた少年はそう言い部屋を出ていく。

「うん」

少女はあいまいに返事をする。

「早く朝食を食べないと、ほんとにシンジ君が来ちゃうよ」

「はぁい」


○同日午前6時45分 碇家


「シンジ、なにボーっとしてるんだ」

「え」

ぼくは、ボーっとしてたみたいだ。

「寝ぼけてるのか?」

「もう起きたよ、父さん!」

慌てて返事をする。

「さあ、シンジ、朝食をテーブルに運んで」

「はぁい」

ぼくは、朝食をテーブルに運ぶと椅子に座り

「いただきまぁす」

と朝食を食べはじめた。
ぼくの家の朝食は、いわゆる古風なものでご飯にみそ汁とお漬物がいつものメニューだ。

「ごちそうさま」

朝食を食べ終わり自分の部屋に向かうと、制服に着替えはじめた。
時計を見ると、7:05 を指している。
今日の授業の準備をする。カバンに教科書ノートを詰める。
今は、教室に端末があるので教科書ノートは必要のない授業も多いけど、まだ教科書ノートの
必要な授業もあるのだ。
カバンに教科書ノートを詰め終えると、一息ついた。
ボーっとしつつ時計に目をやると 7:26 を指している。

「さて、学校に行くか」

誰に言うでもなくつぶやくとカバンを手にとり玄関に向かい

「いってきまーす」

と声をかける。

「はい、いってらっしゃい」

と、母さんの声が聞こえた。


○同日午前7時20分 綾波家洗面所


レイは、鏡を前に入念に戦闘準備(髪の手入れ)をしていた。

「これでよし」

レイの髪は、青みのかかった銀髪だ、その髪はシャギーの入ったショートカット。
生まれたときから、その髪型はかわらない。
部屋に戻り、腕時計を身につけカバンを手にとる。
カバンの中身は、昨日のうちに入れ替えてある。

「レイ、いくわよ」

と、誰に言うでもなくつぶやくと
椅子に腰掛けた。
そう、これがレイにとっての戦闘準備だった。
レイは、対戦相手が来るのを心待ちにしていた。


○同日午前7時27分 通学路上


レイにとっての対戦相手は、レイの家に急いでいた。

「今日は、だまされないようにしなくっちゃ」

そう対戦相手、シンジはつぶやいた。


○同日午前7時35分 綾波家玄関


ピン・ポーン


いつものようにチャイムを鳴らし玄関の前に立つ。
レイの家は、ちょっといい感じのマンションだ。
この家にレイとカヲルさんの兄妹が住んでいる。
考えてみればどっちが男でどっちが女なのかはっきりしない名前だな・・・。

「はーい」

中から声がする

「!」

ガチャッ

ドアが勢いよく開く。

「おっと」

ぼくは、うまくドアをよける。
むかしは、よくドアにぶつかったっけな。そんなことが頭によぎる。

「オハヨッ、シンちゃん」

「おはよう、レイ」

レイの元気なあいさつにぼくも微笑みつつあいさつを返す。
そのレイの後ろから、長身のスマートな影が現れる。

「おはよう、シンジ君」

「おはようございます、カヲルさん」

ぼくは、カヲルさんのやさしい微笑みにちょっと顔を赤くする。
すぐ目の前のレイが少しこわい顔でぼくをにらんでる。

「もう、シンちゃんたらこんな美少女が目の前にいるのに、なによ!お兄ちゃんと見詰め合っちゃって・・・」

「そ、そんなことないよ」

ぼくは、うろたえしどろもどろになってると

「なんだ、レイやきもちか?」

カヲルさんはそういい、意地悪そうな顔をレイにむけている。

「そんなんじゃないわよっ」

レイは、後ろを向いてしまった。

「ごめんレイ。」

ぼくは、どうしていいか、わからなくて下を向いていると
レイがこっちを向いてニッコリとかわいい笑みを浮かべ

「なぁんて冗談よっ」

と言う。カヲルさんも同じにこっちを向いて微笑んでいる。
ぼくは、急にホッとすると同時に腹が立ってきた。

「なんだよ、二人ともぼくをだましたなぁ」

「ふふふっシンちゃんったら、たんじゅーん」

「はは、だましはいいねぇ、人類が生んだ文化の極みだよ」

カヲルさんは、またへんなこといってる。その屈託のない笑みにぼくも微笑みかえしてしまった。

「もう・・・」

ぼくは、いつもこの二人にだまされてばかりいる。でも、好きでだまされてる気もする。
こんな日常がいつまでも続けばいいなぁ。そんなことをぼくは考えていた。

Aパート 了


次回に続く

ver.-1.01 1997-4/26公開

ご意見・感想・誤字情報などは masaya@mars.interq.or.jpまでお送り下さい!



バージョンアップ版です。
バージョンの違いは、日付と、多少文字組みに手をいれました。

 めぞんEVAに13人目の入居者が参りました!
 峯マサヤさん、ようこそめぞんEVAへ!! 住民を代表して歓迎します!!

 峯さんには本日落成したばかりの「壱号館」にご入居いただきました。(^^)

 
 峰マサヤさんからの最初の投稿は「煩悩の世界エヴァンゲリオン」第1話Aパートです。

 朝の光景を通してほのぼのした空気が伝わってきますね!(^^/~~
 シンジ君とユイさん、レイちゃんとカヲル君、そしてシンジ君とレイちゃん達・  ・・・・

 ここにアスカちゃんが帰ってくることでどんな波乱が巻き起こるのでしょうか?!
 ワクワクしてきますよ!!

 さあ、訪問者の皆さん。新しい住人の峯さんを感想メールで迎えてくださいね!!!


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