第三新東京にある、ある病院の302号室。
そこに、アスカは眠っていた。
いや、正確に言えば、目をつぶって彼を待っていた。
「おそいな・・・」
その時、ドアの方からパタパタとスリッパを鳴らしながら彼がやってくる。
「遅いわよ!何やってたの?」
「ゴメン、今日から週番だったから」
「そう、ところで今日さぁ・・・」
殺風景で何もない白い病室に二人の世界が広がってゆく。
しばし、楽しい空気が流れた。
しかし、楽しい時間は、面会時間と共に終わってしまう。
「それじゃ、そろそろ面会時間も終わりだよ」
「え?もうそんな時間?」
「うん、家に帰って夕食つくらなきゃ・・・」
「そう、それじゃまた明日ね!」
「そうだね、また明日来るよ」
「約束のキス!」
そう言ってアスカは口をシンジの方に向けて目をつむる。
「いつもやってるだろ?」
「いつでも、どんなときもするの!」
「わかったよ・・・」
そう言うと、シンジはアスカに近づいてそっと唇を重ねる。
「それじゃぁねアスカ。また来るよ」
顔を赤くしながら小走りで病室を去っていくシンジ。
アスカも顔を赤くしながらそれを見送る。
「また明日か・・・」
それが、シンジから直接聞いた最後の言葉だった。
そして、ソレは、その日の夜やってきた。
「シンジ君!悪いんだけど本部まで来てくれる?」
「ちょっと、待ってください。いきなりなんで・・・ちょっと・・・」
「わかったわ。でも、はやくね」
いきなりの電話。相手はミサトだ。
シンジは夕食の準備の途中だったのだが、取り敢えずラップで包むと冷蔵庫にしまい込んだ。
「はい、何なんですか?」
「使徒が現れたわ」
「使徒がですか?でも、使徒はもう来ないんじゃ・・・」
「それが来たのよ、まったく・・・悪いけど本部まで来てくれる?」
「わかりました」
シンジは、ペンペンに「行ってきます」と言うとネルフ本部へ足を向けた。
ネルフ本部は騒然としていた。
来ないと思われていた使徒が現れたのだから仕方がないと言えば仕方がない。
「現在の状況は?」
「マギはパターン青を示したままです」
「目標は依然第三新東京市に向けて進行中」
「現在、UNが交戦中」
「無駄ね・・・」
リツコが冷たく言い放つ。
「レイとシンジ君は?」
「現在、エントリー準備中。残り90秒で完了します」
「準備できしだい発進。強羅絶対防衛線で使徒と交戦させます」
「了解」
キッチリ時間どおり90秒後に準備が出来て、発進していく2体のエヴァ。
ズシーンズシーンと地響きをたてて、強羅絶対防衛線に歩いていく。
「いい、シンジ君。レイ。使徒が現れたらATフィールドを中和しつつパレットガンの一斉射撃。後は接近してコアを破壊して殲滅。いいかしら?」
「わかりました」
「了解・・・」
一面に広がる水田地帯。山の向こうからUNの航空爆撃機がミサイルを発射しながら登ってくる。
その後から追っかけてくるようにビームが発射されてあっと言う間に破壊される。そして、山の上に使徒が現れる。
「来たわ」
「あれが、使徒」
「碇君。私がATフィールドを中和するからその隙に攻撃して」
「わかったよ、綾波・・・行くよ」
初号機がパレットガンを構えて使徒に向かって走る。
使徒がビームを放つが、素早く身をひるがえして、それを避けると銃口を使徒に向けて引き金を絞った。
パパパパパパパパパ!!!
しかし、無情にもATフィールドにはねかえされてしまう。
「綾波?」
「だめ・・・エネルギーが違う・・・フィールド全快!」
しかしその時、使徒の左の爪が零号機を襲った。
「ギャウッ!」
あっと言うまであった。使徒の爪は触れていないのに零号機の体は真っ二つになっていた。
そして・・・
シンジが気が付いたときには既に遅かった。
目の前に使徒がいたのだ。
無意識のうちにシンジはプログレッシブナイフを使徒のコアに突き立てていた。
使徒の光線が初号機の体を貫くのとコアが破壊される。この二つはまさに同時であったといえる。
「ごめん、アスカ。約束守れな・・・・・」
そして、シンジは初号機、使徒もろとも光となった。
「あれ?シンジ?」
「やぁアスカ」
アスカは夢の中にいた。
アスカは目を覚ましていたが、それは夢の世界であった。
「どうしたのシンジ?」
どことなく悲しそうな顔をしている。
「ねぇ?」
「ゴメン・・・アスカ。約束守れなかった・・・」
「え?何?なんなのよ」
それだけ言うとシンジは浮き上がって光に包まれながら消えてしまう。
「??どこに行ったのシンジ。シンジ?・・・・シンジィー!!」
「ハッ!」
アスカはガバッと夢の世界から現世に戻ってきた。
「シンジ・・・」
何故か泣いていた。
時は夜中。
内容は覚えていないが嫌な夢だったというのは覚えている。
自分の汗がパジャマにジットリと絡みついて気持ち悪い。
「シンジ・・・」
こう言うとき、アスカは必ずシンジのことを思い出す。
バカだけど、やさしく。
バカだけど、強く。
バカだけど・・・・好き・・・
どうしてあんなヤツ好きになったんだろう。自分でもわからない。
おそらく好きになるというのは、そう言うことであろうと自分を納得させる。
バフッ!
アスカは枕に頭をうずくめると目を閉じた。
「おやすみ、シンジ・・・」
非常事態の警報が響きわたるネルフ内。
オペレーター達が狂ったように計器を操っている。
「状況は?」
「使徒の反応は消滅しました。初号機の反応もありません」
「シンジ君!シンジ君!応答して!!」
しかし、スピーカーは沈黙したままだ。
「そんな・・・シンジ君」
ミサトは一瞬だけうつむくと、下唇を少し噛んで、
「零号機を回収。初号機の捜索を開始して」
「了解!」
爆心に張られたテントの中で、ミサトはある物を握りしめて声を殺して泣いていた。
それは、原形のほとんどを失ってはいたが、はっきりとインターフェイスであるということがわかる。
シンジが頭につけていたものだ。
「うぅぅっっ・・」
「ミサト・・・」
「リツコ、どうして。ほんの前まで生きていたのに・・・」
「ミサト・・・」
「人間なんてもろいものなのね・・・」
「運命だったのよ・・・」
「運命?違うわ。彼はエヴァに乗るべきではなかったのかも知れない」
「それは違うわミサト。彼がいたから私達は生きているのよ。それを忘れちゃだめよ」
「そうね・・・もしもこれが私に対する罪ならばあえて受けることにするわ」
涙をふきながら立ち上がるミサトはあることに気が付いた。
「アスカになんて言ったらいいのかしら・・・」
「それが問題ね・・・」
「そこで、考えがあるんだけど・・・」
「どんな?」
ミサトに耳打ちするリツコ。
「そんなことって!?」
「できるのよ・・・マギを使えばね・・・」
「でも、アスカがどう思うか・・・」
「シンジ君の死を受け入れてから会えばもしかしたら・・・」
「そうかしら・・・いえ、そうなることを祈るわ」
そして、ミサトとリツコはその計画に着手した。
作者とチルドレン達による後書き
シンジ:また僕死んでる・・・
OHCHAN:やぁ!シンジ君。今回は大変なことになっちゃたね。
アスカ:こりゃまた、続きが気になる内容ね・・・
レ イ:OHCHANさん、またこんなの書いて、私と碇君のお話はどうなっ
ているんですか?
OHCHAN:あぁ、一応設定は出来上がっているから後は書くだけだよ・・・
レ イ:OHCHANさん、信じていますから・・・
OHCHAN:まっててね。
アスカ:でもさぁ、私は何で入院してるわけ?
OHCHAN:えっとね。猫融合アスカの後の話のパラレルだからだよ。
シンジ:そうだったんですか・・・それで、僕は生き返るんですか?
OHCHAN:いや、ちょっとまだ言えないな・・・・
シンジ:そうですか・・・
アスカ:何はともあれ、自分のSS小説をほっぽらかして投稿小説にはまって
いる訳ね・・・
OHCHAN:はい・・・でも、エヴァロボは書いていますよ。
シンジ:頑張ってくださいよ。
レ イ:応援していますから・・・
アスカ:頑張らないと、承知しないわよ。
OHCHAN:わかりました。
そう言って、OHCHANはパチンと指を鳴らす。
すると、お約束の亜空間が壁に現れる。
シンジ:また来ます。
アスカ:また何か書いたら呼んでよね!
レ イ:さよなら・・・
OHCHAN:またね!
亜空間の中に消えていく3人。
本日二人目の新住人、
めぞんEVA29人目の投稿人、
ようこそ「めぞんEVA」へ! OHCHANさん(^^)
第1話でいきなりの展開!
シンジが生死不明・・・・
あの状況では死んでいると見るべきなんでしょうが、
敢えて期待を込めて「不明」と言わせてもらいます。
アスカ人の私ですので、
シンジが死んだときのアスカのショック・悲しみ・絶望を考えると憂鬱になります。
・・・・シンジが死んだことよりそっちの方が気になる(^^;
マッド赤木のイかれた計画に一縷の望みを掛けましょう。
訪問者の皆さん。
ご存知だとは思いますが、OHCHANさんはページ持ちです。
ぜひ彼の[
OHCHAN HP
]にも遊びにいって下さいね(^^)