Time Sinner 第壱話 出会い どこか遠くから犬の遠吠えが聞こえてくる。 時は、もうすぐ夕方を過ぎようとしている。その証拠に、太陽が半分程度そ の身を地平線に沈めている。 シンジは、帰り道の坂道を部活で疲れた体を癒やすようにゆっくりと歩いて いた。 坂を上りきり、一度ため息をつくと、シンジは夕日を眺めた。 ここに来てからかなりの時が経った。 シンジは2ヶ月ほど前にこの地に越してきたのだ。 越してきた最初の頃は、買い物一つろくに出来ない状態だったし、言葉もさ っぱり分からなかった。 最近ようやくここの言葉にも慣れて、住みやすい町になってきた。 もうすぐ沈もうとしている太陽を見ながらシンジはそんな事を考えていた。 ふと、電気が放電するような音がしたため、シンジは辺りを見回した。 丁度、シンジの頭上に黒い丸いものが浮かんでいるのが見える。 どうやらさっきの音の発信源はこれらしい。 辺りに怪しげな電気を放電しているのが分かる。 何だろうと、シンジはそれを確認しようと目を凝らした。 すると、その黒い固まりから何か白い棒のようなものが姿を現した。 そして、次の瞬間、それは落ちてきた。 あっと言う間の出来事で、シンジは見事にその下敷きになる。 「な、なんだ??」 あわてて、立ち上がろうともがいていると、柔らかいものに手を触れたので 一瞬、体を硬直させて恐る恐る、その物体に目を移した。それは、見事なまで に全裸の少女であった。 髪は鮮やかな栗色で、何よりもその体の白さには目を見張った。 そして、そのふっくらとした形のいい乳房にはピンク色の乳首がツンと上を 向いている。 シンジはドキドキしながらその少女をゆっくりと観察した。 しばらくして穴があくぐらいじっくりと観察したシンジは辺りが暗くなりは じめてようやく自分を取り戻した。 危なく白昼堂々、自慰をするところだったと反省してシンジはその少女に上 着を着せた。 「取り敢えず、家に連れていこう」 シンジは、そのふくよかな柔らかい少女の身体を抱き上げると、家に急いだ。 幸い辺りは暗くて街灯さえ気を付けていれば、誰にも見つかることなく家に 帰れるであろうと思い、シンジは疲れも忘れて走った。 自宅に着いたシンジは、食台の上に手紙を見つけてそれをおもむろにつかむ と、中身に目をやった。 「またか…」 そう呟いて、その手紙を丸めて捨てると、少女を自分のベッドに寝かせて夕 食をつくるためにキッチンに向かった。 もともとそんなに広い家ではなかった為、夕食を作りはじめると簡単にその 匂いは辺り一面に広がっていく。 あっと言う間にシンジのベッドで寝ている少女の所まで届いた。 「ん…」 ふいに目を覚ます少女。 白い天井に驚き、飛び起きる。 そして、自分が裸であることに気が付いてハッとなり、毛布を胸元までたぐ り寄せる。 そして、辺りを見回すと髪留めのボタンを押した。 あっと言う間に体にフィットする赤い服が少女の体を包み込む。 「さて、ここはどこかしら…いい匂いがするけど」 ベッドから降りてキョロキョロと辺りの様子をうかがうと、部屋の向こうに 人の気配を感じて物陰に隠れた。 ガラッと襖が開いて男の子が入ってくるのを物珍しそうにまじまじと少女は 見つめた。 「あれ?いないや…どこに行ったんだろ」 「あなた誰?」 急に後ろから呼ばれて、驚いて振り向くシンジ。 「起きてたんだ…よかった」 「質問に答えなさい」 真剣な眼でジッと見つめられるシンジ。 急に頬を染めながら、 「シンジ…碇シンジ」 と少女に聞こえるか聞こえないか程度に答えた。 少女は、再び髪留めのボタンを押した。 すると今度は、髪留めから眼鏡のようなものが現れて少女にセットされる。 「なに?」 「黙って!」 少女の眼鏡が妖しく光る。 緑、赤、黄色等、数種類の光を放ちながら、眼鏡の縁がクルクルと規則正し く回っている。 シンジはその様子を珍しそうに見つめた。 「ふぅ…わかったわ」 「え…なにが?」 「あなたは敵ではないって事がよ(運がいいわ、いきなり元凶にあえるなんて)」 シンジは眼鏡が髪留めに流れるように収納されるのを目を丸くして見ている。 「私の名前は、アスカ。よろしくね?取り敢えず、助けてくれたみたいだから お礼を言っておくわ。ありがと」 「あの…アスカさん。あなたは一体?」 「その、アスカさんって言うのやめてくれない?アスカでいいわよ、アスカで」 その時、シンジの家の扉から轟音が響いた。 「はっ!まさかもうばれたの?」 「え?なに、何なんだよ?」 素早い動きを見せるアスカを見て慌てるシンジ。 突然扉が開かれ、その向こうから人影が現れる。 アスカは身を翻して手元からナイフを取り出すと、その人物に向かって走っ ていった。 しかし、無情にもひらりと避けられてしまい、アスカはそのまま外に放り出 されたように出てしまう。 「ミサトさん!今日は帰ってこないんじゃなかったんですか?」 シンジはその人物を見て素っ頓狂な声を上げてしまった。 あんまり大きな声だったので恥ずかしかったのか、言った後で口を押さえて いる。 「えぇ?わらしは、シンちゃんの為に帰ってきたのよ?わるい?」 昼間から酒を飲んでいたのか、完全に酔っぱらっている。 ナイフを避けれたのは偶然だったらしい。ほとんど千鳥足だ。 「誰よ!この女は?私のナイフを避けるなんて、ただものじゃないわね?」 アスカは驚きを隠せない様子でミサトを見ている。 よく訓練されたナイフさばきとは、まさにこの事を言うのであろう。 アスカのナイフさばきは研ぎすまされたそれであった。 さすがにミサトも見慣れない少女に気が付いたらしく、シンジに酒臭い息を 吹きかけるように顔を近づけると、 「あら?この女の子はられ?シンちゃんもスミにおけらいわね?」 と、言った。真ん中に置いちゃうぞなどと親父ギャグを飛ばしている。 「ち、違いますよ!!ミサトさん」 いつもなら、ミサトの親父ギャグに石になるシンジだが、その時は真っ赤に なって否定した。 ミサトとシンジのやりとりを見て取り敢えず追跡者ではないことを確認した のか、再び妖しい眼鏡を取り出すと、ミサトを観察するアスカ。 少しして、ミサトも敵でないことがわかったらしく、ナイフをしまうとシン ジの腕をつかんでグイッと引っ張り寄せた。 「私の名前はアスカ。シンジの恋人でーっす!!」 「えぇ!?」 それは、嵐のはじまりであった。
作者による後書き 投稿小説が趣味になりつつあるOHCHANです。 相変わらず自分のページをほっぽりだしたままです。 これでは、もう…私ってば…はぁ… でも、わたしは負けません!!感想がこようがきまいが書き続けるのだ! それでは、今回はこの辺で…
OHCHANさんの『Time Sinner』第壱話、公開です。 空から落ちてくる 白い足、 白い肌、 白い胸〜〜♪ プラス、 ピンクの・・・(^^; 棚からぼた餅ならぬ、空から・・・ それを自分の家に持ってちゃうシンジ・・・・ アンタの判断は正しい! 私もそうする(爆) さあ、訪問者の皆さん。 投稿投稿のOHCHANさんに感想のメールを!