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タイトル

第4話 「ラミエル、襲来」
Story:04 ASUKA AND REI STRIKES!

Aパート




崩れゆく平和


 常夏の市、マリ○ラもとい第三新東京…。

 というのは、さておいて。
 今日も、第三新東京市は平和だった。
 学校も終わり、シンジ・トウジ・ケンスケの3バカトリオならぬシンジ・レイ・アスカのEVAトリオ?は今日も今日とて街へ繰り出している。

 「ねえ、今日はあそこ行くわよ」
 アスカが、向こうにそびえる高層ビルを指した。

 「えー、一昨日行ったばかりじゃないかぁ」
 シンジが文句の声を上げる。

 「何よ、文句あるの?」
 「い、いや…ないけど…」
 「・・・」
 凄むアスカに、思わずおどおどと答えてしまうシンジだった。

 それをレイはただ冷ややかに見つめている。
…が。
 心の内では、

 (碇君、かわいそう…。あの人がいけないのね)

…とか考えていたそうな。
 そういえば、無表情のレイの後ろにちらっと炎のようなものが見える…?
 げに恐ろしきは女の嫉妬、とはよく言ったものであるが…。

 ともかく、早い話が、3人は「今日も」つれだって街に出てきていたのだった。



 「さあ…次は、っと!」
 こと買い物となると、決まって女性ははりきってしまうものらしい(某さんの証言による)。
 ずるずるとシンジをひきずって行くアスカ。
 ちなみに、シンジの両手には、紙袋がずるずると。
 これ全部、買い物である。
 相当な量だが、大きなものなので、実際に買った数はさほどではないと言うが…定かではない。

 「はぁ…」
 既にシンジは抵抗を諦めていた。
 抵抗しても何にもならないことを知っているからだ。
 そして、それは紛れもない事実である。

 「何溜息なんかついてんのよ。アタシと買い物できるんだから、もっと嬉しそうにできないのぉ?」
 「もう少し待遇が良ければ、嬉しいんだけど…」
 ぼそり、とつぶやくシンジ。
 幸い、アスカには聞こえなかったらしいが、聞こえていたら今頃は…。
 言ってしまったものの、冷や汗が一筋、頬を流れ落ちた。

 「ま、アンタは辛気くさいのが似合ってるかもね」
 「そこまで言う…?」
 「あら、事実じゃない。」
 「うう、ひどいや…。逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ…」
 再びぶつぶつと呟くシンジであった。



 同時刻。
 「某」侵略集団。

 2つの影が、暗闇で会話をしている。
 両方とも、人型ではある。

 小柄な影と、比較的大きな影。

 その場所がどれほど広いのか、それは分からない。
 が、透明な面が一ヶ所有り、そこからは青い地球が見えていた…。

 「…それで、次は結局誰が行くことになったのだ。」
 大きな影が聞く。

 「ラミエルです。」
 小さな影が答える。

 「『雷のラミエル』か」
 「はい。」
 「しかし、あいつはまだ子供ではないか?」
 「ですが、どうしても行くと聞かないので…。」
 「…まあいい。結果として成功すればな…。」
 「はっ。では、早速出発させます。」

 小さな影が、敬礼をして消える。
 そのしばらく後、艦内にはけたたましい音が響きわたった。

 『行ってきまーす!』
 元気のいい声でそう言い残したラミエル…正8面体の物体…は、地球へ向けてゆっくりと進んでいった。



 「屋上はやっぱいいわね」
 ひととおり買い物を済ませ、屋上で3人はジュースを飲んでいた。

 「んー、さわやかな風に冷たいジュース。至福の時ね。」

 残念ながら、至福の時は長くは続かないのだよ、君たち。「お約束」というものがあってね。
 ほら、もうそこに…。

 「はあ、雲一つないような澄み切ってつるつるとした青空に、夕焼けの街が映って…何か変ね…」
 「あ、アスカ…上、よく見た方がいいと思うよ…」
 「上?」

 ちょっと震えたその声に、いぶかしげに上を見るシンジ達3人。

 そこにあったのは。
 青い街の景色を映す鏡。
 にみえたが…

 正8面体の青い物体であった。
 ガラスか、もしくは宝石のような物体が、どういう原理か分からないが宙に浮いているのだ。
 既に街にはサイレンが流れているのが遠く聞こえた。
 良く周りを見れば、自分達以外だれもいなくなっていた。

 だが、それに気づく前に、上空の大きな物体に圧倒されてしまった3人は、呆然とそれを見上げるだけだった。

 突然!

 「それ」が、眩い光を放つ。

 キャッ!
 ・・・!
 あ、待って!

 瞬間的に危険を察知して逃げる3人。
 だが、荷物を持ったシンジは上手く逃げられない。

 シンジは、とっさにATフィールドを展開する。
 が、光はフィールドをも貫いてシンジに命中した。

 「あああぁぁぁぁっっっ…!」

 シンジの悲鳴だけが聞こえて。
 アスカは後ろを振り返った。

 シンジ!
 碇君!



 「ふぅ…」
 心配そうに覗き込むアスカとレイの真ん中で、シンジは気絶している。
 あれから、アスカとレイ2人でなんとかATフィールドを強化、それによりシンジを救出することに成功し、とりあえず逃げてきたのだった。

 シンジを襲った光はどうやら高エネルギー収束体らしく、シンジは全身にやけどを負っていた。
 もちろん、「普通の」人間だったら、一たまりもないであろうことも事実である。
 自己修復は着実になされていっているが、シンジはしばらく動けないだろう。

 「これじゃ、アイツを倒すのはアタシ達しかいないわね…」
 「・・・」
 「ほら、行くわよ。いつまでも見てないの。…終わったら、また来れるんだから。」
 「・・・」
 アスカがせかす。
 レイは、名残惜しそうに立ち上がり、ついていく。

 「シンジ、おとなしく待ってなさいよ。ちゃっちゃと片付けてくるから。」
 何だかんだ言ってはいるが、結局シンジを心配しているアスカであった。

 (碇君、ごめんなさい。守れなくて…仇は、うつわ…)
 固い決心をするレイであった。



 再び青い物体が見える位置に来ると、青い物体の下から何か棒のようなモノが伸びていた。
 それは回転し、地面に穴が開いている。

 「ふん、地面に穴を掘って何する気かしら?」

 答えは、心の中に返ってきた。

 (おおかた、地下に基地でもつくろうって魂胆でしょ。)
 (そんなもんかしらね。)
 (そんなもんよ。とりあえず、まあラミエルを倒さなきゃならないわね。)
 (ラミエル、ね。…と、やっとアタシの出番が来たワケね。フフフ…待ってたわ)

 同じ頃。
 レイも、零号機との会話を行っていた。

 (碇君の仇を取るわ。手伝って。)
 (オッケー。それにしても、やっと出番ね。ひさしぶりに元の姿かあ)

 「さぁて、早速アイツを倒すわよ! いっくわよぉ、ちゅえ〜…!
 「待って」
 どこかあぶない表情で叫び掛けるアスカ。
 が、レイが止める。

 ぬわによ、アンタはっ! せっかく人が(鬱憤晴らしもかねて)気持ち良く叫ぼうとしてるのにぃ!
 「…ここでやったら、ビル、壊れるわ…」
 「ハン、どっちにしろ同じよ」
 「そう。なら、そうすれば」
 レイはさっさと下に降りていってしまう。

 う…んもう!
 ぷりぷり怒りながらもそれについていくアスカ。
 実は結構他人を気にしてるらしい?



 さて、ラミエルはと言えば。

 『…案外簡単じゃないか。サキエルやシャムシェルが負けたって言うEVAっていっても、大したことないみたいだなぁ。』
 そう思いながら、穴を掘っていた。

 ふと、ドリルが固いモノにぶちあたる。
 それが、シェルターの天井であることは、当然ながら知らない。

 『おや、地下には固いのがあるな』
 ぐらいにしか思っていない。

 『ま、いいや』
 そのまま堀り続ける。

 「きゃー」
 「わー」
 地下から悲鳴が聞こえてくるが、ラミエルは意に介しない。
 いや、それよりもラミエルに声は届かない。

 なにしろ、耳に相当する器官がないのだから。
 聞きようがない。



 その頃。
 市内某所のシェルター。

 ゲンドウやユイも避難してくる。

 「あとは?」
 入ったところで、係員が聞いた。

 「この地区では、私たちが最後ですわ。」
 「ありがとう」

 係員は、扉を閉めた。

 「しかし、よく避難があるな、最近は」
 実験を中断されて、不満げなゲンドウ。

 「それにしても、シンジ達、大丈夫でしょうかねえ。今日は街へ行ってから帰る、って電話が入ってましたけど。…いないみたいね。」
 「まあ、あいつらのことだ。どこか別のシェルターにでもいるか、またはまた外に出ているかもしれん。」
 「まあ、そうは言いますけどね。この辺の地区のシェルターって、ここ1つしかありませんよ?」
 「…となると、またか?」
 「またですか…。」

 はぁ…。
 ユイは、溜息をついた。



 さて。
 日本の誇る、戦略自衛隊はどうしていたのかというと。

 別に察知していなかったとかそういうことではない。

 「た、大佐。出動はしなくていいのでありましょうか…」
 「ああ。この間で分かったよ。あいつらの相手はしない方がマシだとな。」
 「し、しかし…市民が…」
 「市民ならシェルターだ。問題あるまい」
 「ですが、街が…」
 「あのなんだかワカラン奴が来てくれるだろ。」

 ヤケになっていた。
 半分職務怠慢状態

 同時刻、地上部隊。

 「おい、相棒。」
 「なんだい。」
 「暇だな。」
 「ああ。」

 基地には、使徒襲来の報さえも行っていなかった。

 まあ、日本も税金の無駄遣いを止めたという事なのだろうか…?

 「しかし、遅いな…」
 完全に傍観者になってしまっている。

 果たして、これでいいのだろうか、戦自よ?



 再びシェルターに話は戻る。

 ふっ、と突然電気が消えた。
 非常灯のぼうっとしたあかりに切り替わる。

 「ん?」
 「あ?」
 「おや?」
 人々は、電気の消えた天井を見上げる。
 そこに、細かな欠片がぱらぱらと降ってきた。

 「?」
 いぶかしげに、天井を見つめる人々。
 だが、次の瞬間。

 ドゴーン!

 天井を突き破る音。そして、天井の中央付近から、何か大きなモノが回転しながら降下してくる。
 当然、人々は逃げまどう。
 一瞬にして、シェルターはパニックに陥った。

 わー!
 きゃー!
 中央にいる者は全て逃げ出し、わらわらと壁際に集まっていく。
 そんな中、ドリルだけは「我関せず」とばかりにシェルターを突き抜けていった。

 「これは何だ」
 「おそらくドリルですわね」
 「…土木工事に使えるな」
 「ええ。実験が捗りますね」
 お主ら何の実験をしとるんだ。

 「持って帰れないか?」
 「聞いてみましょうか。」
 「ああ。」



 「さてと。ここでいいわね。」
 レイについてきたアスカは、少しだけ頬を痙攣させながらも、冷静であろうと声を発した。
 こめかみには四つ角が2つ3つ見える。
 頭からは蒸気が立ち昇っていそうだ。
 その上、口元も時折ぴくぴくと痙攣している。

 「問題ないわ」
 そっけないレイの答えに、ラミエルの前にレイを殲滅したくなったが、必死に理性で押さえ込むアスカ。

 「・・・」

 すぅ…

 一杯に、息を吸って。
 アスカは、1km先の人がぶったまげるほどの声で叫んだ。

 「ちゅえ〜んじっ!! えばっ、れっどおぉぉ!!」
 瞬間、光に包まれるアスカ。

 「・・・」
 無言のレイも、同じく光に包まれる。

 アスカの赤い光とレイの青い光は、まるで混じりあっているように広がり、そしてすぐに消えた。

 『くっくっく…殲滅、殲滅…殺してやる、殺してやる…いい響きね…くっくっく…』
 アスカ=弐号機は、あぶない言葉を呟いて喜んでいる。

 『碇君の仇、取るわ…』
 無言のレイ=零号機だが、青い零号機は弐号機と一瞬見間違えそうになるぐらいの炎を背負って立っていた(大げさだって)。

 なお、アスカの魂の叫びであるが、とりあえず叫ぶ必要はない」、ということをここに記しておくことにしよう。


Bパートに続く

ver.-1.00 1997-10/xx公開
ご意見・感想・誤字情報などは Tossy-2@nerv.to まで。


 次回予告

 過粒子砲に苦戦するアスカとレイ。
 まして、使徒との交戦経験はない。
 2人は果たして勝てるのか!?


 あとがき

 あああ、今回壊れてる…(^^;
 しばらく(<−4ヶ月もだろ)更新できなくて済みません。なかなかアイディアが思い浮かばなくて…(^^;。
 実は、4話もクライマックスシーンは現在執筆中です。
 可及的速やかに発表しますので、とりあえず4話クライマックスへ至るところをお届けしますので、もうしばらくお待ち下さい(^^;;;;。


 Tossy-2さんの『新戦士 エヴァンゲリオン』第4話Aパート、公開です。
 

 戦自の皆さんは怠惰なのか?
 いや違う、
 賢いのだ! たぶんね・・・

 出ていってもなんの役にも立たない物は引っ込んでいるべきなのだ・・

 司令官さんには
 財政に貢献にした功績で表彰状を送っても良いくらいだよね。

 

 

 アスカとレイ!
 シンジの敵ラミエルをぶっ壊せ!!

 

 でも、
 ドリルは無事回収した方が良いぞ。
 持って帰ったらゲンドウとユイが喜ぶから。

 『勝を射んと欲すれば、まず馬を射よ』ってね(^^;

 

 

 さあ、訪問者の皆さん。
 新たな話に突入したTossy-2さんに感想メールを送りましょう!


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