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エヴァンゲリオン パラレルステージ

EPISODE:04 / Keep alive as a human being.

第4話


生きていく






Bパート



そして平和が破れるとき


 いつものように会話がはずんでいる2年A組。

 「…ほう、そりゃ災難やったなぁ…」
 「ま、惣流の気持ちも分からないではないけどな。」
 「そう?」
 「そや。…けどシンジ、お前ホン〜マに気づいてないんか?」
 「え、何を?」
 「あーあ、こりゃだめだ。」
 「全く、シンジは鈍感やのお。」
 シンジは少しむっとした。

 トウジもだろ、そう言いたくなったが、言えなかった。

 何かの感覚。
 誰にも見えない光が、頭の中を通過したような感覚。
 そんな初めての奇妙な感じを覚えながら、シンジはそれが何であるか知っていた。
 シンジの表情は一瞬にして硬くなる。

 「パターン青…」
 だれにも聞こえないくらい小さな声で、シンジはつぶやいた。

 「ん? どないしたんや?」
 「何か言ったか?」

 トウジとケンスケが声をかけるが、2人のことはまるで眼中にないシンジ。
 ただ、青い空へと鋭い視線を突き刺すように送り、おし黙っている。

 ガタッ

 突然、シンジが席を立った。

 「お、おい。」
 「碇…?」

 シンジはそれも気に留めず、レイの方に向かう。

 「綾波…」
 いつになくまじめな表情で話しかけるシンジに、レイは無言の頷きで答えた。
 レイもまた、シンジと同じ方向を見つめていたのだった。
 4つの赤い瞳が、空の向こうに何かを感じている。

 レイが静かに立った。
 シンジが歩き出す。
 レイはついていく。

 「アスカも来て。」
 そうアスカに告げてから、シンジが教室を出ていった。
 レイもそのすぐ後につづく。
 それを見て、あわててアスカが駆け出した。

 いつもと違うシンジの雰囲気にざわざわとしていた生徒たちは、3人がそろって出ていったところを見ると、一斉に入り口に張り付いた。
 数十個の目が3人を見つめる。

 「ま…待って、シンジ! 一体何なの?」
 「…すぐ分かるよ。」
 そう言った瞬間、非常サイレンが鳴り始めた。

 「まさか…使徒!?」
 「・・・」
 歩く足は止めず、シンジとレイは同時に頷いた。




開かれる、心の扉


 それから数十分後。

 「目標は大湧谷上空にて滞空、定点回転を続けています。」
 「目標のATフィールド、依然健在」
 オペレータが報告する。

 メインモニターには、森の上空でゆっくりとした回転を続ける2重螺旋構造の物体が映し出されていた。
 光を放つそれは、形状的にDNA構造と酷似していた。

 「使徒なの?」
 ミサトが問う。

 「目標、パターン青からオレンジへと周期的に変化しています。」
 「…どういうこと?」
 「MAGIは回答不能を示しています。…目標、使徒と確認できません。」

 「パターン青が一定間隔を置いて観測されているわ。恐らく、使徒ね。」
 リツコが横から口を出した。

 「しかし、あの形が固定形態でないことは確かだわ。」
 「うかつに手は出せない、か…」

 ゆっくり、ゆっくりと回転を続ける「それ」。

 「配置は、完了した?」
 「はい、先程。」

 その下の森では、3体のエヴァが既に配置を完了していた。



 『いい? とりあえず、様子を見てね。』
 ミサトからの通信。

 1秒の沈黙の後、シンジとレイが同時に口を開いた。

 「いえ、来ますね…」
 「いえ、来るわ…」

 そのつぶやきが終わるか終わらないかの内に、目の前の物体に変化が現れた。

 2本のからみあった細いひもが、一瞬にしてまとまる。
 それは、1本の太いリングとなった。

 「パターン青で固定、か…」
 シンジは、自分の感覚が告げる情報をつぶやいた。

 『目標、パターン青に定着!』
 発令所からの通信も聞こえる。

 そして。

 使徒の一部分に切れ目が生じる。
 使徒は、1本…いや1匹の、まさしく「光の蛇」となった。
 その一端が、微かに初号機の方を向く。

 ただ、それに気づく者は1人しかいなかった。

 いけない!
 それに気づくと同時に、レイは零号機を走り出させていた。



 使徒は初号機を確認すると、迷うような素振りも見せずまっしぐらに向かって行く。
 その動きは、今までの回転の速度からは及びもつかないほど素早いものだった。

 !!
 はっと気づいたときは既に遅く、使徒はそこまで迫っていた。

 だめ、碇君!
 声とともに、シンジに何かがぶつかってきた。
 零号機が、シンジに体当たりをかけてかばったのだ。

 シンジは上半身だけを起こし、倒れたまま今まで自分がいた場所を見る。
 そこでは、初号機の代わりに零号機が使徒の真正面に立っていた。

 構わず迫る使徒。

 綾波!
 シンジは叫ぶ。
 だが、もう間に合わない。

 瞬間、零号機はATフィールドを展開した。
 オレンジ色の八角形の壁が、使徒の行き先に現れる。

 しかし。
 使徒にとってそれは全く無意味だった。
 いともたやすくATフィールドは貫かれ…、そして零号機の腹も。

 「うぐ…っ…」
 腹部を貫かれる痛みに、レイは思わず歯を食いしばる。
 それを抑えることはできなかった。

 ズシ…ン

 使徒のせいか体勢が崩れ、零号機はそこに倒れ込んだ。

 それでもなんとか使徒を掴み、パレットガンを打ち込む零号機。
 だが、全く効いていない様子。
 初号機と弐号機は、使徒のもう一端に阻まれて近づくことすら出来ない。

 零号機の身体の表面に、葉脈のような模様が生まれる。
 使徒を中心として、その模様はだんだんと広がっていく。
 使徒からの浸食が、始まった。



 「く…」
 レイがもう一度声を漏らす。
 そのプラグスーツの表面にも、零号機と同じような葉脈模様が浮かんでいる。

 だが、その声が出た理由は、単なる苦痛だけではない。
 痛覚神経への影響もありながら、その更に奥にある部分・快感をもたらす神経を激しく刺激されるような感覚。
 そんな中で、レイは必死に声を立てまいとしていた。



 一方、発令所。

 「使徒が積極的に一時的接触を試みているの? 零号機と」
 リツコが険しい表情でつぶやく。

 「零号機の生体部品が犯されていきます!」
 「…危険ね。既に5%以上が生体融合されているわ。」
 再びリツコ。

 「近づけない、か…」
 リツコとは反対側の映像を見ながら、ミサトはつぶやいた。

 そこには、使徒の自由であるもう一端の攻撃を辛うじてかわし続けている初号機と弐号機の姿があった。
 素早く迫る使徒に対し、二体はただよけるしかない。
 攻撃など、出来ようはずもない。



 「くっ…」
 シンジは歯がゆい思いでいっぱいだった。
 500m程の距離にありながら、使徒の激しい攻撃で近づくことすら出来ない。

 ことに、初号機の方がなぜか激しい攻撃を受けていた。
 理由は分からなかったが、考えている暇もない。
 シンジは、ただひたすら避け続けていたが、その視線は零号機一点に注がれている。

 (なんとか近づかなきゃ…)
 その焦りが浮かんだとき。

 バキャッ!

 使徒の身体が初号機のパレットガンを打ち抜いた。
 反射的にシンジは手を離す。
 幸い、使徒がシンジに触れることはなかった。

 シンジ、アンタはもういっぺん武器を取りに行って来なさい!
 そう後ろから声がする。
 弐号機が初号機の前に飛び込んできた。

 シンジが戻ってくるまではアタシが相手よ!
 アスカは使徒に向かって叫んだ。

 「ほら、シンジ!」
 弐号機が促す。
 シンジは、「すぐ戻ってくるよ」と言って駆け出した。



 『ミサトさん! 武器をください!』

 発令所に、初号機からの通信が入った。

 「今すぐ射出できるのは!?」
 「パレットライフルだけです。」
 「何番?」
 「15番に射出準備が出来ています。」
 「わかったわ。すぐ、射出して。」
 「はい。」

 「シンジ君!」
 『はい』
 「15番に、パレットライフルが出るわ! 場所、分かる?」
 『えーと…ここから300m先のポイントですね。』
 「そう。それと、受け取ったら弐号機の援護急いで! アンビリカルケーブルが切られたわ!」
 『はい、分かりました!』

 通信ウィンドウが閉じる。

 ミサトの表情は、険しい。
 (間に合うかしら…初号機がすぐ帰っていっても残りは10数秒…供給が間に合わないわね…)

 弐号機と使徒との戦いを見つめているリツコ。
 (やはり、初号機ほどの反応速度が無い分、使徒に有利ね…つかまるのも時間の問題かも知れない…)



 ソニックグレイブを構え、使徒との戦いに臨む弐号機。
 だが、やはり使徒に翻弄され続けている。

 一度無理な体勢から切りかかろうとしたが、難なくかわされた。
 しかも、その時お返しとばかりに使徒は弐号機のアンビリカルケーブルを切断していった。
 戦いに夢中のアスカは、それに気がつかない。
 既に活動限界は1分程にまで迫っている。

 ピーッ!

 エントリープラグ内の照明が赤に切り替わる。
 音と共に、やっとアスカは弐号機の状況を理解した。
 活動限界が1分を切り、それでも勢い良くカウントダウンは進む。

 「まずい…!」
 アスカは唇をかんでそうつぶやいた。

 シンジはまだ帰って来ない。
 だが使徒から離れたら、零号機がどうなるか分からない。
 そのため、弐号機は電源補給に行くことが出来なかった。



 アスカ、お待たせ!!

 シンジが帰ってきたとき、活動限界は10秒に迫っていた。
 これだけではもう無理だ。
 しかし、アスカは最後の望みをかけて弐号機を全力疾走させる。

 そして。

 走り出して数秒、弐号機の活動は停止した。
 その場に力無く固まる弐号機。

 「ア…アスカ!?」
 思わず振り返るシンジ。

 『バカ…アタシの心配より零号機とあの子のこと考えなさいよ。』
 弐号機から、そう通信が入る。

 『アタシなら、大丈夫だから。』
 「アスカ…」

 「わかった。頑張るから、待ってて…」
 シンジはそうつぶやいて、再び使徒の攻撃範囲内に入った。

 その時。

 シンジは、あることを知った。



Cパートに続く

ver.-1.00 1997-06/25公開
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 次回予告

 シンジが知ったのは、零号機の、つまりレイのある行動だった。
 その行動とは。
 そして、シンジは?


 あとがき

 4話Bパート終了です。
 「ある行動」…ってかなりバレてますね (^^; 。
 ところで、4話はなんかCパートで終わらず、Dパートに突入しそうな勢いです。
 さて、一体どこまで伸びるやら(おいおい)?

 Cパート、お楽しみに。
 感想など、お待ちしています。



 Tossy-2さんの『エヴァンゲリオン パラレルステージ』第4話Bパート公開です。
 

 またもや使徒襲来!
 相手はレイ2ndを死に追いやったアルミサエル!

 あのH系同人誌でマニアックな責めを見せる・・・・・なに言ってんだ俺・・・

 と、とにかく。

 今度はアスカがいる、
 最初からシンジもいる、

 頑張れチルドレン!!

 アスカに続いてレイにも救いを!!!
 

 さあ、訪問者の皆さん。
 Tossy-2さんに激励メールを!!


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