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魔導王シンジ


第六話 結婚式へ行こう! 




アスカはすでに不機嫌きわまりなかった。サファイアを宿した美しい目はつり上がっており、口は心持ち、への字になっている。両腕を胸の前で組み、仁王立ちするその姿は、不機嫌を全力で表していたが、それでも見る者にかわいいという印象を与えるのは、卓越した容姿のおかげだろう。
ま、ともかくアスカは不機嫌だった。そしてその態度を隠そうともしないまま、その原因となる人物の待つ部屋のドアをノックも無しに勢いよく開け放つ。

ばーーーーーーん!!

罪も無いドアが壁に勢いよくたたきつけられ悲鳴を上げる。が、中の人物はコーヒーをすすりながら、目でアスカを一瞥を投げただけだった。そして、再び手元の魔道書を読み始める。

「リツコ・・・。お望み通り来てあげたわよ。」

アスカが低い声で言う。

「あら、アスカ?なんだかご機嫌斜めね。今日の不快指数は70を越してないはずだけど・・・。」

それに応えるリツコの声はさらに低いがこれはいつもの事である。それがさらにアスカの神経を逆撫でする。

「あんたに呼ばれた時点で不機嫌なのよ。」
「あら、どうしてかしら。」

そう言いながら、パタンと魔道書を閉じる。その表紙にはMAGIという文字が光っている。リツコの母親の書いた魔道書で、彼女以外その本の中身を知る者はいない。アスカは一瞬それに興味を引かれたが、また目線をリツコに突き刺し言い放つ。

「あんたに呼ばれて、ろくな事言われた覚えがないからよ。」

本当はシンジと二人で出かけているところを、わざわざマヤが邪魔しに、もとい、呼びに来たからであるが。

「そう、でも今日はめでたい話なのよ。」

そう言って、次にリツコのアスカの予想を超えていた。

「アスカ、あなた結婚式に出なさい。」
「は?」

しばし、沈黙が部屋を支配する。ゆうに五分たった頃、アスカが小首を傾げながらようやく口を開く。

「・・・結婚式?」
「そう、結婚式よ。と言っても、この国の結婚式じゃないわ。北東の大国、リーザスでリア王女が婚約したそうよ。式は一週間後。」
「それにあたしに出ろっていうの?」

リツコは無言で頷く。それにようやく事態を飲み込み憤慨するアスカ。

「何であたしが!?」
「あなた自分の立場をもうちょっと理解しなさい。この国の王女なのよ、あなたは。」
「その前に王様がいるでしょうが!」
「その王、直々の命令よ。曰く、「むさ苦しいおっさんがいくより見目麗しい少女が行く方が先方も喜ぶだろう。」ってことよ。」
「・・・本音は?」
「単にリーザスに行くのが嫌なだけでしょう。10年前、ネルフに侵略してきた国の片割れなんだから。」

あのくそ親父・・とアスカは呟く。解放戦争と呼ばれる10年前の戦争では、当時4歳だったアスカには記憶も薄いが、話には聞いている。しかし、自分が立ち入りたくない場所へ、代わりに娘をよこすとは・・・。

「ま、過去のことはともかく、今は同盟国なんだから。招かれたら行かないわけにはいかないでしょう。というわけでよろしく頼むわよ。」
「まさか、あたし一人で行ってこいってわけじゃあないわよね。」
「当然、護衛は用意するわよ。」








「で、あんた達が来たって訳ね。」

そう言ってアスカは目の前の三人を見渡す。
右端の黒髪の少年は碇シンジ。一見気弱そうなこの少年が実は100人の兵にも匹敵する力を持つことをアスカは知っていた。
真ん中の赤い髪の少女は霧島マナ。一見可憐そうなこの少女が実は100匹のゴブリンにも匹敵するどう猛さであることを・・。

「勝手なモノローグつけないでよ。やだなあ、アスカったら・・・ファイアー・レーザー。」

くすくす笑いながらマナが呪文を放つ。間一髪、首をひねってかわすアスカ。後ろではずれた呪文の爆音と、巻き添えをくらった人々の悲鳴が聞こえる。

「・・・・で、最後があんたって訳ね。初めて見る顔だけど・・・。」

一同の視線が左端の少年に集中する。眼鏡をかけ、首からは記録用のラレラレ石を内蔵した機械をぶら下げ、迷彩服を着込んだどこからどう見ても怪しげな人物。

「はい、私、相田ケンスケともうします。この度はこのような重大な任務に就かせていただくことをまことに・・・。」
「ちょっとまった、あんた本当にリツコに呼ばれてここに来たの?」
「はい、もちろんであります。」
「・・・その格好で結婚式に出るとなると、ネルフの感性がおおいに誤解されそうなんだけど・・。」
「それは大丈夫であります。私、忍者でありますから・・・・。」
「「「忍者??」」」

一同、驚きの声を上げる。この魔法文明国ネルフに忍者が存在するとは・・。

「すっごーい。ねえねえ、忍者って東洋のスパイの事でしょう?どんなこと出来るの?」

感嘆の声を上げるマナに、ケンスケが眼鏡を不気味に光らせ得意げに語る。

「ふふふ・・・・。潜入調査なんかが得意ですな。この首から下げたラレラレ石対応撮影機、その名も「盗撮丸初号機」から逃れられる軍需機密はありません。」
「へえーすごーい、他には?」
「後は尾行ですな。ターゲットをつけ回すことに関しては私の右にでる者はありません。つけ回し過ぎてターゲットがノイローゼになることもしばしば。」
「・・・・他には・・」
「さらに!私にはあらゆる場所に忍び込むことが可能!。ネルフの要と言われる「塔」すらも例外ではない。この前も、「鋼鉄の処女」と呼ばれる悪魔の住む塔に決死の潜入を成し遂げ、下着を盗み売りはらうことに成功。この才能、我ながら恐ろし・・・。」
「ファイアー・レーザー!!」

ますます燃え上がって語るケンスケにそのまま骨も溶けよと言った具合にマナが呪文を放つ。悲鳴を上げる間もなく吹き飛ばされるケンスケ。さらにとどめとばかりに2、3発呪文を打ち込む。

「ふう、ふう・・・。知らなかったわ。忍者って東洋のストーカーだったのね。」
「あの馬鹿を見て、全体とするのはどうかと思うけど・・。ま、今の一件は忘れることにして出発しましょうか。」
「ちょっと待って。」

くるりと回れ右をして、進もうとするアスカの髪を掴んでマナが引き留める。

「いっったぁぁぁい。何すんのよ!」
「リツコから伝言があるの。ネルフ領パトスの街に腕のいい料理人がいるんだけど、そこのコックが結婚式の料理を作るために、リーザスに招かれたらしいのよ。で、寄っていってついでに同行してほしいってことよ。」
「普通、そういうのって宮廷料理人とかが作るんじゃないの?」
「その当のリーザスの宮廷料理人がなんでも、新しく王様になる人の「まずい」の一言でやめさせられたとか・・・・。」
「・・・ずいぶん破天荒な王様ね。」

と言ってもその言い分ももっともだとアスカは感じていた。そもそも宮廷お付きの文化人の地位とやらは、最初は割とまともな人物がつくのだが、その後、勝手に世襲制にしたり、賄賂を送ったりしてどんどん腐敗していく。しまいには政治的手腕だけが卓越した、しょうもない人間がその地位を占めたりする。

「あ、でも、なんかそれ聞いたことがあるよ。たしか「サクラ&パスタ」って名前の店じゃない?」
「そうそう、シンジ君よく知ってるわね。そう、その店の料理長なのよ。」
「へえ、名前は?」
「えっと・・・確か洞木ヒカリっていったはずよ。」








「ここがそうなの?」
「そうみたいだね・・・・・。」
「すごいところね・・。」

三人の目の前に一件の店がある。何の変哲もない質素な造りの店で、看板にはカラフルな丸文字で「サクラ&パスタ」とある。
それでなにがすごいかというと、その店の前に並ぶ行列である。店の前から数キロに及ぶかと思われる長大な列。時刻はちょうど正午を少し過ぎたところで一番こむ時間帯とはいえ異常といえた。

「噂には聞いてたけどこれはすごいわ。」
「残念だなー。せっかくついでに食事でもしていこうと思ったのに・・。」

アスカがざっと列を見渡して嘆息して呟く。

「これじゃあ、昼食にありつくころには夕食の心配をしなくちゃならないわね。」
「仕方がないよ。それじゃあ、用件だけ言って待つことにしようよ。」

三人があきらめて店の方に歩きかけたとき・・・。

「おーーーい、王女様ーーー!!シンジーー。」

列の前の方からなにやら声がする。前の方は人混みに隠れて見えないが自分たちを招いている手が人混みの中からつきだしている。

「前から声が聞こえてくるわね。なんだか聞きおぼえのある声だけど、決して思い出したくない声だわ。」
「ま、とにかく行ってみましょうよ。ひょっとしたら知り合いが列に入れてくれるのかも知れないし。」

三人が声のする方に行くとそこには・・・・いるはずのない人物がいた。

「お待ちしておりました。王女ご一行様。」

深々と眼鏡を光らせながらお辞儀をし、相変わらず迷彩服を町中で着込む男。忍者ケンスケである。

「ささ、どうぞ、私が確保しておいた列の方に・・・・ってなんでみなさんこけてらっしゃる?」

三人は思わず地面に倒れ伏している。いち早くダメージから立ち直ったアスカが質問する。

「あ、あんたなんでここに。」
「それはもちろん主君のために食事の席を用意しようと・・。」
「い、いやそう言う意味じゃなくて・・。」

ついで、マナがよろめきつつ立ち上がる。

「たしか、先刻私が殺す気で放った呪文をまともに食らったはずじゃあ・・・。」
「忍法、ウツセミノジュツでござる。」
「そ、そんなわけのわかんない技で私の呪文が・・・。」

最後にシンジが立ち上がる。

「でも、何で僕たちより先に来てなおかつ列の前の方に並んでるの。」
「忍び足る者、主人のためには不可能も可能にせねば。」
「時間軸を思いっきり無視してるんですけど・・・。」

と、まあ、三人とも納得がいかなかったがともかくケンスケのおかげで食事にありつけることになった。
店内に入るとそこは有名料理店というより、大衆食堂の様で、あちらこちらから大声で談笑する声や笑い声が聞こえてくる。テーブルは10個ほどでおおよそ広いとも言えない。 窓側の四人席のテーブルが開いており、アスカ達はそこに腰掛け、メニューを広げる。

「さてと、ど・れ・に・し・よ・う・か・な、っと。経費はリツコの方からもらってるんだから遠慮無しに食べれるわよ。」
「あれ、アスカそんなこと言っていいのかなあ。最近、太ったんじゃないの?」
「うっさいわねえ、成長分よ、成長分。どうせ、結婚式なんてろくに料理も食べれないんだから今の内、味わっておいた方がいいのよ。」
「あれ?ケンスケは?」

シンジがふとメニューから顔を上げ辺りを見渡す。確かにテーブルについているのは三人でケンスケの姿はない。シンジがアスカの方を見ると、アスカはメニューから目を離さず無言で天井を指さす。
シンジが天井を見上げるとそこにはわずかにすき間が空いており、そこから眼鏡だけが不気味に光っている。

「ケンスケ・・・・?何であんな所に?」
「昔から言うでしょ、「馬鹿と何とかは高いところが好き」って。」
「せめて「煙と何とか」と言ってあげましょうよ。」

本当は「忍びが主人と同席するわけにはいきません。」とか言って天井に上ったのだが・・・。
三人(四人?)とも注文し終わり、料理がつくあいだ、話題はこれからのことに移った。

「で、これからどの経路を通ってリーザスに行くわけ?」
「リーザスに至る経路は二つあるわ。」

そう言ってアスカが地図を広げる。大陸の内、東半分、つまり人間の世界の地図である。
南西に自分たちの国、ネルフ王国。その北には軍事大国ヘルマン。ネルフの東に自由都市国家。さらにその北に目指すリーザスがある。

「一つがアダムの砦から出て、リーザスのパラパラ砦に入る方法。そしてもう一つが・・・。」

アスカの指が地図の中心を指す。

「商業都市シャングリラからでてる、砂舟を使って砂漠を横断する経路。時間的にはこれが一番短いわね。」

砂舟とは広大な砂漠を横断するため、シャングリラの支配者ウェポン家が所有している船である。どういう原理か知らないが、砂漠の上を高速で滑るように移動する乗り物で、お金を払えば民間人でもこれに乗せてもらい砂漠を横断することができる。

「あ、私、砂舟に乗ってみたいなあ・・・。ね、シンジ君。」
「え、う、うん。そうだね。」
「なんでよ、そんなたいしたものじゃ無いわよ。」
「わかってないなあ、アスカ。」

マナは自分の前に両手を組み、目線を上に向け、夢見る乙女モードに入る。

「夜、満面の星空の中、月明かりを反射して怪しく光る砂丘の中を緩やかに行進する神秘的な船。そんななか、船上で美しい光景をバックにお互いを瞳に映しあいながら、愛を語る二人。やがていつしか二人の距離は・・・。」
「やめなさいよ、気持ち悪い。だいたい、そんなことは相手見つけてからほざきなさいよ。」
「うう・・・・・。じゃあ、アスカはアダムの砦を通って行く方がいいの?」
「その方がいいでしょ。無駄なコストもかからないし。」
「え・・・・でもさっき経費はリツコさんから出てるって。」

シンジの一言にうっと詰まるアスカ。そんなアスカをみて、マナが意地悪く笑って言う。

「ふーーん。アダムの砦ねぇ。そう言えばアダムの砦の守備隊長ってアスカのあこがれの人、加持さんよねぇ。」
「うっ、そういえばそうだったような気がするわね・・・。」
「やだなあ、浮気性な女は。ねえ、シンジ君。今からでも私に乗りかえない?」
「あはは・・・・」

シンジは対応に困って乾いた笑いを浮かべるだけだった。だが、アスカの目にはそれがでれでれした笑いと映る。

「はいはい、わかったわよ。あんたらは二人で砂舟にでも何でも乗って星空でも眺めてなさいよ。私は加持さんにリーザスまでエスコートしてもらうんだから。」

アスカはそれだけ言い放つと、シンジ達からプイッとそっぽを向く。
その場を気まずい雰囲気が支配する。
アスカは相変わらず腕を組んでそっぽを向いたまま。
シンジはどうしていいかわからずおろおろしている。
マナはこの場の状況を楽しんでいる風体だ。
一方、天井裏のケンスケはその場に同席していなかったことを神に感謝していた。
このような状況になったとき、先に折れる人物は残念ながら決まっていた。

「ごめん、アスカ。よく考えたら、アスカの意見の方が正しかったよ。機嫌・・・・直してくれないかな?」

情けないことだが、もちろんシンジである。よく考えてみなくてもアスカの言い分の方が理不尽なのだが、「二人がけんかをしたら、シンジの方から謝る。」という、10年間続いた鉄則を、今、ここで破れというのも無理があるだろう。
アスカはさっきまでの不機嫌もなんのその、ころっと満足そうに微笑むと、わざとらしく仕方なさそうに言う。

「ふん、まあ素直に非を認めたことに免じて許してあげるわ。楽しい昼食を前に怒ってたんじゃ料理のおいしさも半減するでしょうしね。」

機嫌が直ってにこやかに微笑むアスカにシンジがこっそり耳打ちする。

「アスカ、それにしても何でアダムの砦を通ることにこだわるの?・・・そんなに加持さんに会いたい?」

言葉の最後の方は消えゆくような声で、耳元で聞いていたアスカにもかろうじて聞こえる程度だった。アスカがしょうがないなあ、といった風にシンジの耳元で呟く。

「砂舟に乗るのが嫌なだけよ。」
「どうして?マナの言ったとおり、ロマンチックな乗り物だと思うけど?」
「だからなのよ。そういうのはさ、やっぱり、二人きりの時のためにとっておきたいじゃない。」
「アスカ・・・・」

アスカはそれだけ言うと真っ赤になって外の景色を見てるふりをする。シンジはそんなアスカにポーッとなっていたが、ふとこんな考えがよぎる。

(でも、そんなこと言って本当は加持さんに会いたいだけかも・・・。砂舟にも誰と二人きりで乗りたいなんて言ってないし・・・・)

シンジはこうして料理が到着するまで考え込んでいたが答えは出なかった。でた結論はただ一つ、やっぱり女の子は永遠に謎だ、ということである。

やがて料理が、どんな魔法よりも効果的な、食欲を誘う匂いを伴い運ばれてくる。

「おまちどうさまでした。」

運んできたのはウェイターだろうか。年齢はおそらくアスカと同年代であろう。帽子からはみ出したおさげが揺れている。
とんとんとんっと景気良く、料理の皿が並べられていく。そのたびにアスカ達の空腹が増していくように感じられる。

「ご注文は以上でよろしいでしょうか?」

最後にスプーンとフォークを並べようとしたウェイターの手がピタリと止まる。

「あれ、三名様しかいらっしゃってませんね。注文票には四名様と・・・。もう一人の方はトイレですか?」

それに対してアスカが「そうです」と言おうとしたとたん、ウィーーンと音がして天井裏からなにやら作り物の大きな手のようなものが降りてきた。その手は、テーブルの上の料理の皿をがしっと掴むとまたウィーーンと音を立てて、料理を持ったまま天井へ引っ込んでいく。
それが何度か繰り返され、後のテーブルには残った料理と頭を抱えたアスカ達、そして唖然とするウェイターが残った。
ようやく金縛りからとけたウェイターが天井を指さしながらアスカ達に尋ねる。

「えっと・・・・・、ひょっとして友達ですか?」
「「「違う(わ)よ!!!」」」

三人が一斉に首を振る。それを見てウェイターがしばし悩むと再度尋ね直す。

「じゃあ、ひょっとしてペットですか。」
「似たようなものです。」
「そうですか・・・。ここは残念ながらペットの同伴は禁止なので以後気をつけてくださいね。」
「肝に銘じておきます。」

ウェイターが首を傾げながら去った後、ようやく立ち直ったアスカ達がさっきから湯気をたてて手招きしている料理にありつく。そして一口、口にして最初に出た言葉は三人とも同じだった。

「「「おいしい!!」」」

その料理が味覚に及ぼした感覚は、視覚と嗅覚に予告したものを裏切らなかった。同等の声は天井裏からも聞こえたが、三人は聞こえないふりをした。

「これ、本当においしいわよ。さすが、リーザスの結婚式に呼ばれるだけのことはあるわね。」

目の前のスパゲティーを器用にフォークに巻き付けながらマナが感嘆の声を出す。

「本当。うちの宮廷料理人の料理にも勝るわ。」

特性ソースのかかったハンバーグを口元に運びながらアスカが言う。

「すごいな、このスープなんかどうやってこんな味を出してるんだろう。」

シンジも料理を作ることに関してはかなりの腕だがそれでも賞賛の声がつきない。

「なかなかのうまさだ。俺が持っている携帯用の食料に優とも劣らない。」

上の声を三人は以下略。

そして20分後。きれいに平らげてある皿を、満足そうに見つめながらウェイターが食器を下げていく。

「いかがでしたか?お味は?」

にこやかに笑いながら、ウェイターが尋ねる。

「正直驚いたわ。こんな腕のいい料理人が埋もれていたなんて・・・。」
「ありがとう、誉めていただいてうれしいわ。」

今の言葉に心の中で首を傾げながら、アスカが本題に乗りだす。

「それでさあ、料理長の洞木ヒカリって人に会いたいんだけど。」
「はい、何か?」

きょとんとして応えるウェイターに、同じくきょとんとする一同。

「いや、だから洞木ヒカリって人に・・・・。」
「私ですけど・・・・。」

たっぷり三秒ほど置いて、アスカが驚きの声を出す。

「えーーーー!?あなたが料理長の洞木ヒカリ?」
「りょ、料理長?違いますよ?」
「で、でもこの料理はあなたが作ったんでしょう?」
「え・・・と、確かに料理長とも言えなくもないですね。なにせこの店には私一人しかいませんから・・。」

唖然とする一同。ヒカリは一人不思議な顔をして、再度尋ねた。

「それで?私に何かご用でしょうか?」







第六話 終わり


第七話に続く

ver.-1.001997-09/27公開

ご意見・感想・誤字情報などは persona@po2.nsknet.or.jpまでお送り下さい!


あとがき・・・・・襲来ですね

YOU「やっとストーリーが進み出しました。いままで大半が過去の話でしたからね 。」
ケンスケ「そこで俺の出番というわけか。」
YOU「いいや、君はただ単に場を明るくするためにいるだけ。」
ケンスケ「なんだと、この魅惑的なキャラクター、忍者という不可欠なスキル。準主役もはれるアビリティーなのに・・。」
YOU「おいしい奴であることは認めますけどね。でもまあ、所詮脇役。次にスポットライトが当たるときは死ぬときですな。」
ケンスケ「・・・なんで、俺はそんな役ばかり何だ?ちくしょう、畜生、もっと俺のことを大事にしろよ!もっと俺にやさしくしてよ!」
YOU「やだ。」

きゅうーーーー

YOU「ぐあああ・・・首を絞めるなーーー!!」


 YOUさんの『魔導王シンジ』、公開です。
 

 アスカご一行様の向かう先は・・・リーザス王国・・・

 あ、危ない・・・
 あそこには、”あの男”がいる・・
 

 シンジくん、しっかり守ってあげてね、お願いm(__)m
 

 「砂船は二人っきりのときに取っておく」

 ああ、アスカちゃん可愛いなぁ。
 シンジももっとアスカちゃんの気持ちを信じなさい(^^)

 

 

 
 ケンスケに触れないのか?

 あれだけセリフがあったんだから、
 彼も満足しているでしょう。

 コメントに出してあげなくてもOK〜♪(^^;

 

 

 さあ、訪問者の皆さん。
 ケンスケに光を当てたようなそうでないようなYOUさんに感想メールを送りましょう!


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