シンジ達のとある一週間超番外編
「ミサト、少し、暇あるかしら?」 「何、リツコ。」 「ちょっと協力して欲しいのよ。」 「また怪しい薬とか飲ませるんじゃないでしょうね?」 「ぎくっ!」 「ほーら、やっぱり私を実験台にしようとしてる。」 「ばれちゃしょうがないわね。悪かったわ、ミサト。それより・・・・」 「何よ、今度は?」 「実験台を探してきてくれないかしら?」 「私にそんなこと出来るわけないでしょう?」 「ミサト、見つけてきてくれたら、これ、あげるわよ。」 「こ、これは幻の名酒・・・・腰の乾杯!分かったわ。 2時間以内には見つけてみせるわ!」 そう言うとミサトは猛ダッシュで駆け出していった。 「これで成功ね・・・・」 「シンジのことなんか、大嫌い!」 「あ、アスカ、いきなり何言い出すんだよ?」 「だから、シンジのことなんかこれっぽっちも好きじゃない!」 「アスカ?」 「シンジのことなんか嫌い、嫌い、大嫌い!もう、出ていって!」 「・・・・わかったよ・・・」 「し、シンジ・・・・」 そう言うとシンジは部屋を出て、外に出ていった。アスカが何か言ったが、 シンジの耳には入ってはいない。 「どうしよう、やりすぎちゃったかしら?」 おろおろするアスカ。 「やっぱり追いかけた方がいいわね。」 とぼとぼと歩くシンジの前に、一台の車が止まった。 もちろん、”冬月旅館”と書いてある。 「あ、ミサトさん、どうしてここに?」 「それより、シンちゃん、なぜ一人なの?」 「いいんです。アスカにも嫌いって言われましたから。」 シンジの目はなんとなく暗い。 (あのアスカがどうして?ま、都合がいいか) そう思うとミサトは言った。 「シンジ君、ちょっちついてきてくれないかしら?」 「いいですよ。で、どこに行くんです?」 「それは秘密よ。」 そして、シンジを乗せた車は出発するのであった。 ちょうどそのとき、 「あ、シンジ・・・・・ミサトのやつ、とうとう誘拐という手を使ったわね! 誰か車持ってないかしら?あ、そうだ!電車で行けばいいんだわ!」 そして、アスカは駅の方へと駆け出すのであった。 「さ、着いたわよ。」 「ここって、旅館じゃないですか!」 「そうよ。なにか?」 「いえ、何でもありません・・・・」 「さぁ、行くわよ!」 そう言って、二人は旅館の中に入っていった。 「リツコぉ〜、つれてきたわよぉ。」 「あら早かったわ・・・って、シンジ君!」 「どうも、こんにちは。」 「ミサト、よりによってシンジ君を連れてくるとは・・・・・」 「いーじゃない。気にしない、気にしない。」 「シンジ君。ちょっと協力して欲しいことがあるのよ。」 「なんですか?」 「この飲み物を飲むだけでいいのよ。」 「これ、ですか?」 そこにはコップの中に、黄色っぽい飲み物があった。 「飲むだけでいいのよ。別に、毒なんか入ってないわ。」 「そうですか。でも、どうしてそう言うぬいぐるみを着ているんですか?」 リツコは、青く、丸いタヌキのようないかにも ド*え*んみたいなぬいぐるみを着ていた。 「ちょっとわけありなのよ。それより、飲んでみてくれない?」 「じゃあ・・・・」 シンジは一気にそれを飲み干した。 「時にはやるのね、のび・・じゃなかった、シンジ君。」 「リツコさん、これは何なんです?」 「ああ、これね。これは ”USO8**(ゆーえすおーえいと***)” といってね、どんな嘘も本当になってしまう薬よ。でも、試験段階なんだけど。」 「そ、そんなもの僕に飲ませたんですか!?」 「ごめんね、シンちゃん。」 「そうよ、ミサト、あなたが悪いのよ。酒に目がくらんだって言って・・・」 「ミサトさん、そうだったんですか!」 「本当にごめんね。さ、リツコ、例のもの。」 「冷蔵庫に保管してあるわ。」 「じゃ、早速・・・」 そう言うとミサトは部屋から出ていった。 「シンジ君、効果を見たいから、ちょっとこの紙に書いてあること言ってくれる?」 「ここまで来たんだからいいですよ。えっと、なになに・・・・ ”葛城ミサトは石鹸で滑って転ばない”」 そのとき、 「うわ〜」 「あ、ミサトさんの声だ。」 「行ってみましょう。」 二人が声のした方に行くと、そこには・・・・・ 「ミサトさん!」 「石鹸で滑って転んで気絶してるわ。成功ね!」 「もしかして、これって僕が言ったことの逆のことが・・・・」 「そういうことよ。」 「じゃあ、シンジ君、次はこれ。」 「えっと、”碇ゲンドウが、5万円を碇シンジにあげない“ ・・・碇ゲンドウって父さんじゃないですか!」 「もう遅いわよ。」 どたどたどたどた・・・・・・ 「何だろう、この足音は・・・・」 「し、シンジ・・・・」 「と、父さん・・・」 「受け取れ。」 「これ、何?」 「いいから受け取れ!」 「わかったよ。」 シンジはゲンドウからなにやら怪しげな封筒を受け取った。 「じゃあな。」 そう言うとゲンドウは戻っていった。 シンジが封筒を開けてみると・・・・ 「ご、5万円!」 「ね。」 「すごいや、リツコさん。僕、尊敬しちゃいます!」 「でしょう。この私に出来ないものはないのよ!はっはっはっは・・・」 リツコの笑い声が周りに広がった・・・・。 時計の針が11:30を回った。 シンジは、未だリツコが渡す紙の内容を読んでいる。 「リツコさん、そろそろやめませんか?僕、もうのどが痛いです・・・・」 「まだやめないわよ。今のうちにしておかないといけないから。」 そのとき、 「シンジ!」 「あ、アスカ、どうしてここに・・・・」 「あんたがミサトに誘拐されたから追ってきたのよ。でも、電車がなくて こんな時間になったのよ。」 「・・・・アスカは僕のこと、嫌いじゃなかったの?」 「そんなわけないじゃない!」 「じゃあ、どうして”嫌い”って言ったんだよ・・・」 「あ、あれは、ほら、今日はエイプリルフールでしょ。だから・・・・」 「でも、突然あんなこと言うなんてアスカもひどいよ! 最初は冗談だと思ってたのに、”大嫌い!出ていけ!”って言われたからね!」 「シンジ、ごめんなさい。あのあと、あたしも後悔したのよ。シンジにひどいこと しちゃったかなって。」 「・・・・・・・」 「本当にごめんなさい・・・」 涙がアスカの頬を伝って落ちてゆく。 「アスカ・・・・・」 「本当に・・・・・ごめんなさい・・・・」 「シンジ君、許してあげたら?」 「・・・・・・・」 「アスカもきっと寂しかったんじゃないの?シンジ君がいなかったから。」 「・・・・・・・」 「ほら、何か言ってあげたら?」 「アスカ、僕も悪かったよ。エイプリルフールだってすっかり忘れてて、 アスカの言うこと真に受けちゃって・・・・」 「・・・・・」 「僕も謝るよ。ごめん、アスカ。」 「シンジ・・・」 「さ、もう遅いから、今日はここに泊まらせてもらおうか。 リツコさん、今日一日つきあったんですから、泊めてくれてもいいですよね。」 「ええ、こんな時間に家に帰るのもあれでしょう。家には連絡しておくわ。」 そのとき、 どたどたどたどた・・・・ 「何だろう、この足音は?」 「シンジ!」 「あ、と、父さん・・・」 「返せ。」 「何を?」 「さっきのやつだ。あ、これだ。じゃあな。」 そう言うとゲンドウは戻っていった。 「リツコさん、どうしたんでしょう?」 「どうしてかしら・・・・あ、もう12時すぎてるわ!」 「ということは、今日は4/2・・・・」 「たぶん、薬の効果が切れたんだわ。」 「よかった。このままだったらどうしようかと思いましたよ。」 「そ、そう・・・・」 「アスカ、部屋を用意してもらって、僕達も寝ようか。」 「そうね。」 そして、二人は用意された部屋に入っていった。 もちろん、翌日リツコにしっぺ返しが来たことは書くまでもない。 END
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Syuheiさんの[『シンジ達のとある一週間』超番外編 リツコの大実験!]発表です!!
エイプリルフール企画ですね!
グーですよ、グーー!!
マッドなリツコさんが作る怪しい薬。
シンジ君はよく口に出来ましたね。格好もかなり怪しかったのに。
それともシンジ君はあんなリツコさんを見慣れているのでしょうか?(笑)
シンジ君とアスカちゃんはまた同じ部屋で寝ていますね・・・・
ミサトさん、止めて下さい・・・・・
読者の皆さんもこの企画物の感想を!!