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I don't know

IN ASUKA'S HEART


「このバカシンジ!」

「ご、ごめん・・・」

「もういいわよ、あんたの顔なんか見たくない!」

「あ、アスカ・・・・」


あたしは家を飛び出して、一人で歩いていた。

知らないうちに、学校へ行く道を歩いていた。

いつもはシンジと一緒に行く道。

いつもシンジと帰る道。

でも、今は一人。シンジはいない。

だから、ふとシンジのことを思い出す。

「はぁー。」

あたしはため息をついた。そして、

「な、何であたしがあんなバカのことでため息つかなきゃいけないのよ。

あたしもバカよね。」

あたしはまた、歩き出した。


そして、あたしはいつの間にか公園のベンチに座っていた。

ここは、確かあのとき・・・・・

「みんなを見返すのよ!」

「う、うん。」

とシンジと一緒に話したところ。

あのときはシンジにあわせろって言われて、でも、あたしは出来なくて、

うまくできないシンジを怒って、あたしは逃げ出してた。

でも、シンジはあたしを追いかけてきてくれた。

あたしはあのことは絶対に忘れない。

でも、今日はシンジのことなんか思い出したくなかった。

「あんなバカのことなんか思い出して、何になるのよ!」

あたしはそういって、ベンチをあとにした。


そのあと、あたしは

町が一望できる丘の上で座っていた。

ここは、あのとき、ファーストと、シンジと3人で話した場所。

あのときは・・・・

「だから人間って特別な生き物なのかな?だから使徒は

攻めてくるのかな?」

「あんたバカァ?そんなのわっかるわけないじゃん。」

そして、あたし達は街の灯りを見ていたっけ。

あのときは、シンジに借りを返したくって、自分から

ディフェンスをかって出たっけ。

あのときはとにかくシンジに借りを返したかった。

あたしがあのシンジに助けられたから、あたしの

気持ちがまだはっきりとしてなかったから、

あんなことをした。それだけは確信できる。

「何で、シンジのことばかり思い出しちゃうのよ、あんなバカのこと・・・・」

そして、あたしはまた歩き出した。


今度は、あたしは家のドアの前に立っていた。

でも、なかなかこのドアという”もの”をあけられない。

たぶん、この向こうにはシンジがいる。でも、

今はシンジと会いたくない、話したくない。

だって、あたしは怒ってここを出てきたから。

シンジはどういう態度であたしを迎えてくれるだろう?

心配してくれているのだろうか?

シンジは優しい。でも、あたしはその優しさを

わかっていながら、シンジのことを馬鹿にしていた。

でも、最近やっと気が付いた。

シンジの優しさがいったいどういうものだったのかを。

シンジは本当に心から心配してくれる、

喜んでくれる、そして、理解してくれる。

そう思っていると、目から涙があふれている。

そのとき、前にあるドアが開いた。

「あ、アスカ・・・・」

「し、シンジ・・・・」

「何やってたんだよ、今まで!」

「・・・・・・」

「僕は、アスカのことどれだけ心配したか!」

「シンジ・・・・」

というとあたしはシンジに泣きついてしまった。

そして、シンジの胸の中で泣きじゃくった。

「ごめん、ごめん、シンジ、あたしが、あたしが・・・・・」

「アスカ・・・・」

シンジはあたしの背中に片方の手を回し、そして、片方は

あたしの頭をなでながらあたしを慰めるように言った。

「アスカ、どうして泣いてるんだよ。」

「・・・・・・・」

「悪かったのは、僕の方だよ。」

「・・・・・・・」

「だから、謝らなくちゃいけないのは僕の方だったんだ。」

「・・・・・・・」

「だから、泣かないでよ。」

「でも、あたしは、あたしは、シンジの・・・・・・」

シンジは、あたしの口をふさいだ。

あたしがシンジからはしないと思っていた行為−つまり、キスで。

シンジはあたしから離れると、

「泣かないでよ、アスカ。なんだか僕まで悲しくなるじゃないか。だから、ね。」

そのとき、あたしはようやくわかった気がする。

シンジが本当にあたしのことを思ってくれていることを。

そして、あたしのシンジへの気持ちも。

「アスカ、早く入ろう。」

そして、あたし達は家の中に入った。


「シンジ、さっきはありがとう。」

「僕は何もしてないよ、ただ・・・・」

「ただ、何?」

「さっきはごめん。」

「えっ?」

「その、いきなり・・・・」

「いいのよ。それより、もうそろそろ寝ましょ。」

「そうだね。」

そして、あたし達は部屋に戻った。


あたしはベッドに横になって思った。

また明日、シンジに起こされちゃうのかな?

でも、今夜はぐっすりと眠れそう。

シンジの夢でも見ながら・・・・・



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ver.-1.00 1997-04/10公開

ご意見・感想・誤字情報などは syuhei@nerv.toまで。


 Syuheiさんの短編小説『I don't know』発表です!

 本編ベースの、アスカの一人称小説ですね。

 シンジと喧嘩してしまったアスカですが、
 無意識にシンジとの思い出の場所に足を運んでしまう・・・・
 いつの間にかシンジとの会話を思い出している・・・・・・

 可愛いですね。
 シンジ君もラストで決めてました!

 いつの間にこんなにやるようになったんだ? シンジ!?

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