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『OLアスカちゃん!』




主な登場人物紹介
・惣流アスカ:
 株式会社ネルフの社員.ドイツ人の血が入ったクォーターの為かバスト103cmという日本人離れしたスタイルと容姿の持ち主.社内No.1との呼び声も高い美女である.既製の制服では胸のボタンが止まらず,制服を特注したという伝説の持ち主.
・碇シンジ:
 アスカと同期入社.お約束通り料理が得意.ネルフ社長のご子息.
・綾波レイ:
 アスカ,シンジと同期入社.色白でスレンダーな美女である.足とヒップのかっこ良さが自慢.
・葛城ミサト:
 アスカ,シンジの先輩.十分な容姿とナイスバディの持ち主.そろそろ三十路に差し掛かろうという年齢の為か,オヤジ化深度”Y”である.
・赤木リツコ:
 ミサトの同僚.ミサトに負けず劣らずのナイスなプロポーションだが,どういう趣味なのか髪を金色に染めている.普段は沈着冷静な職場のお姉さん役だが,こと下ネタに関しては,ミサトの良き起爆剤であり,燃焼材.



 株式会社ネルフ,経理部第一課の葛城ミサトと赤木リツコは,いつものように仕事もせずに湯沸室で雑談に興じていた.
「あれ,さっき通ったのアスカじゃない?」
 目敏く後輩の姿を見付けたミサトは,そう〜っと後をつけ,いきなり後ろから胸に手を回し・・・
 むにゅ!

モミ,モミ,モミ,モミ,モミ,モミ,モミ,モミ,モミ,モミ,モミ,モミ,モミ,モミ,モミ,モミ,モミ,モミ,モミ,・・・・
「アン,いやぁん,やめて・・・,や,やめて下さい・・・・,・・・やめてって言っているでしょう,ミサトさん.」
「あら,アスカ,良く分かったわね.巨乳は感度が悪いって言うけど,アスカの場合は感度バツグンね.さては,彼氏にだいぶ開発されたな.」
 やっとミサトのモミモミ攻撃から逃れたアスカだが,今度はリツコとミサトから,精神汚染並みのセクハラ質問攻撃が降りかかってきた.
「アスカの胸って,すっごく大きいけど,ヤッパ乳輪もおっきいの?」
「得意技は,当然パイズリよね.彼氏も喜ぶでしょう.」
「セルフパイ舐めできる?そんだけ大きいとできるよね!今度の社員旅行の時に見せて.」
「いままで,その胸に挟んだのは何本?」
 心の中では,『この大年増!踵落し食らわしたろか!』とまさに内面夜叉のアスカだが,相手は一応先輩なので,外面菩薩の笑顔で適当な返事を繰り返す.
「だけど,アスカ,気をつけなさいよ,巨乳の人って乳癌になり易いって言うわよ.未婚や晩婚な人は特にね.」
「つまり,あんまりHしていない女性ということね.ミサト,あんたはその点心配ないわね.」
「まあね,リツコ,あんたもね.」
「アスカもいっぱいHして,乳癌の予防しないとダメよ.」
「え,え,その,Hって・・・,まだしたことないから・・・・」
 話しがおかしな方に振られたので,真っ赤な顔でうろたえ,つい本当のことを口走って自爆してしまうアスカ.
「「え,アスカって,バージンなの!」」

 フロアー中に響くような大声で,ミサトとリツコはユニゾンする.
 その声を聞きつけた野郎どもが,どこからともなくわらわらと,まるで密に群がる蟻のように,アスカめがけて殺到した.
 その日から,アスカ人気が急上昇したのは言うまでもない.

 群がる野郎どもから抜け出し,やっとの思いで自分の席に戻ったアスカは,ゼイゼイと肩で息をしていた.
「ゼイ,ゼイ・・・,まったく・・・,いい加減にしてほしいわ・・・,ハァ,ハァ・・・,みんなきちんと仕事しなさいよ.」
 ついつい小言も出てしまうアスカであった.
「惣流君,ちょっといいかね.」
 突然課長から呼ばれたアスカは,息を整えて軽く返事をしてから,課長の前に歩み出た.
「すまんが,この書類のワープロ打ちを頼む.」
 まったくワープロができない課長は,いつもアスカに書類のワープロ入力を頼むのだ.
 アスカにしてみれば,遣り甲斐のない仕事ではあったが,上司の命令なので拒否はしない.いつものように,はい,と一言だけ返事をしてアスカは自席に戻ろうとした.
 しかし,今日はそれだけではすまなかった.
「それにしても惣流君の胸は大きいねぇ,90cmぐらいあるのかね.」
「ハァ〜〜〜.」
 アスカは,大きく息を吐いて,爆発しそうな気持ちを落ち着かせるしかなかった.
(このセクハラオヤジ,セクハラオヤジ,セクハラオヤジ,セクハラオヤジ,セクハラオヤジ,セクハラオヤジ,セクハラオヤジ,・・・・.)
 そう,この課長は今までよくクビにならなかったな,と思えるほどのセクハラオヤジである.悪行を挙げればきりがない.セクハラな質問に始まり,お尻タッチに胸タッチは日常茶飯事,ホワイトデーにパンティーを送りつけるは,カラオケでデュエットを強要するは,チークダンスを強要してしかも自分の一物をこすり付けるは,ワープロが使えないのに何故か壁紙はモザイク無しヌードだは,と枚挙に暇がないほどである.
 何とか,セルフコントロールに成功したアスカに,セクハラ課長の止めの一撃が襲いかかる.
「だけど,乳輪も乳首もまっ黒じゃないの?遊びすぎて.」
 アスカの中で,何かが切れる感じがした.ミサト,リツコからの連続波状攻撃でストレスが溜まっていたアスカの堪忍袋の尾は,もはやセクハラ課長の一言に耐えうるだけの強度を有してはいなかった.
 一時の静寂の中,アスカは静かに息を吸い込み,必殺の一撃の為に力を引き絞った.
 その一瞬の静寂を絶妙のタイミングで破ったのは,意外な男であった.
「課長!そんなことを言うと惣流さんに失礼じゃないですか!」
 一同がその声の主を凝視した.アスカも,引き絞った力をそのままに,声がした方に目を向けた.
 いつの間に課長席の前に移動していたのか,そこには碇シンジが立っていた.
「いいですか,課長!惣流さんのバストは103cmです.それに乳輪も乳首もきれいなピンク色です!

 静寂が辺りを支配した.
 アスカは,力が抜けてしまい,机に手をついて体を支えるの精一杯であった.
 大きく息を吐き,気を取り直したアスカは,つかつかっとシンジに近づくと,シンジの手を引いて部屋から無言で出ていった.
 その後ろ姿に声をかけられるものは,一人も存在しなかった.

 アスカは,シンジを引っ張って行って,非常階段で開放した.
「ちょっと,碇君!どうして私のサイズ知ってるの?どっかで覗いたんでしょ!いやらしい!」
 シンジはアスカの剣幕に身じろぎもせず,にこにこしながらアスカに説明した.
「あ,あれ,出鱈目だよ.もしかして,当たってたの?ハ,ハ,まさに瓢箪から駒だね.」
「で,出鱈目!?じゃ,どうしてあんな事いったの?あんな事言ったらまるでアタシと碇君ができてるって言ってるようなもんじゃない!」
「あ,シンジで良いよ.ん〜,何ていうか,あの時惣流さんは,課長を八つ裂きにしてしまいそうな雰囲気だったでしょ,課長を八つ裂きにして会社を首にでもなったら,惣流さんがかわいそうだったから,とっさにあんな事を言っちゃたんだ.だけど,あんな事,男の僕が言うと惣流さんに迷惑だったね,ゴメン,謝るよ.」
「そ,そうなの,そういうことなら,いいわよ,謝らなくても.確かにあんなセクハラオヤジの為に,会社を首になるのは馬鹿らしいわ.ありがとね,碇く・・,じゃなくて,シンジ.」
「そうそう.あ,そうだ,ちょっと待ってて.」
 シンジは,何かを思い出したように慌てて飛び出すと,メロン2個を持って戻ってきた.
「いい,惣流さん,見てて.一発芸,惣流さんの胸!」
 メロン2個を両手で持って,胸に当てているシンジ,それを呆然と見詰めるアスカ.
 空気が重い・・・・.
「ご,ごめん,受けなかった?別に小さいって言ってるわけじゃないからね.惣流さんは,自信持っていいよ.こ,今度はスイカでやるから,許して.」
「ぷっ,もういいわよ.それより,そのメロンどうしたの?」
「これ?取引先からお中元だって.」
「これ,1個は皆にあげて,残りの1つはアタシ達で食べちゃおうか?」
「それ,いいですね.そうしましょう.」
 その時シンジは,いたずらっ子が面白いいたずらを考え付いた時のような,屈託のない笑顔で答えた.
 その笑顔にどきっ,としてしまうアスカ.
 シンジは,メロンのおへその辺りのにおいを嗅いだり,指で押したりしている.
「2,3日後が食べごろですから,今度の土曜日に僕の部屋で食べませんか?生ハムメロンが良ければ,用意しますよ.」
 赤面もせずに,いやに自然に女の子を部屋へ誘うシンジに,アスカはちょっとあきれていた.
(ぼけぼけっとしているけど,実はこいつって女たらしじゃないの?)
「そうね,じゃ,12時ごろお邪魔しようかな.今日のお礼も兼ねて何かおごるわ.」
 メロン1つで男の部屋へ行く安っぽい女と思われるのは癪なので,別の理由も付け足すアスカ.実のところ,アスカは,今まで一人で男性の部屋へ行った事がなかったのだ.
 シンジの,ぼけぼけっとした雰囲気から,とりあえず昼間なら大丈夫だろうし,いざとなれば殴り倒せばいいとアスカは考えていた.
「じゃ,土曜日,12時に○×駅の改札出たとこで待ってるね.」
「オッケー,遅れないでね.それから,アタシもアスカでいいわよ.」
 アスカは,長い栗毛色の髪をなびかせ,小走りに仕事に戻っていった.

 事務室に戻ると,すぐに綾波レイがアスカに話しかけてきた.
「ねぇ,アスカ,知ってる?碇君のこと.」
「え,何?シン・・・,碇君がどうしたの?」
 いきなりシンジの名前が出て,焦るアスカ.
「あれ,今,シンジって言わなかった?ハ,ハァ〜ン,さてはアスカ,もう唾つけたわね.」
「関係ないわよ,あいつが『シンジって呼んでくれ』って言ったんだから.ところで,何,シンジのことって?」
「アスカだけに教えるけど,あのね,さっき総務の友達から聞いたんだけど,碇君,ネルフ社長の息子さんらしいの.」
 レイは,さも特ダネといわんばかりに,アスカの耳元に囁きかけた.
「えぇ,シンジが社長の息子!あのシンジが?」
「ばか,アスカ,声が大きいわよ.」
 アスカは,慌てて自分の口を押さえ,きょろきょろと辺りを見回して,周りの注目を浴びていないことを確認した.
「レイ,それホントの話し?」
「マジ,マジ.ちゃ〜んとうらは取れてる情報よ.」
「ふ〜ん,息子を自分の会社に入れて,ゆくゆくは後を継がせるつもりかしらね.」
 アスカは,社長の顔を思い出そうとしたが,単に人相が悪いという印象しか思い出せなかった.
「そ,つ・ま・り,碇君をものにしちゃえば,ゆくゆくは社長夫人よ,社長夫人.ああ,憧れよね,3品以上のおかず,真っ白なご飯しかもお代わり自由,・・・.」
 レイは,自分の妄想の中に完全にトリップしている.
「ちょ,ちょっと,あんたいったいどんな生活してんのよ!そんなの社長夫人じゃなくてもできるわよ.」
「いや,まぁ,ちょっと,色々ね・・・.」
 妄想の彼方から戻ってきたレイは,よだれをハンカチで拭いている.
「ところで,レイ,そのアタシだけっというのを何人にやったの?」
 レイは,てへ,っと笑った.
「5,6人かな?」
 アスカがシンジの方を見ると,案の定,シンジはすでに2,3人の女子社員に取り囲こまれていた.
「私も自慢の脚線美とウエストのラインで,碇君を虜にしなくっちゃ.」
 そう言ってレイは,シンジの取り巻きに加わった.
 レイの後ろ姿を見てアスカは気付いた,レイの制服のスカートは下着が見えそうなほど短い,しかも生足であることに.
(レイって,ご飯食べさせてくれるだけで男と寝るんじゃない?)
 そんなお下劣なことを考えながら,アスカはOLに囲まれるシンジを見ていた.

 終業間際,アスカはミサト,リツコとお手洗いで出くわしてしまった.2人に絡まれるとろくな事がないので,アスカはできるだけ避けていたのだが.
「ねぇ,アスカ,聞いた?碇君のこと.」
 ミサトが,化粧を直しながらアスカに話しかける.
「ええ,レイから聞いたわ.」
「名前で呼び合う仲のアスカとしてはどうなの?」
「どうなのって,何が言いたいの,リツコさん?」
「べぇ〜つぅ〜にぃ,ただ,レイなんかすごいわよ〜.ここをキャバレーかなんかと勘違いしてるじゃないのって感じで迫ってるわ.あの勢いだと,人の目のない所じゃ,碇君の前でパンツ脱ぐんじゃない.」
「逆に碇君のパンツ,脱がしちゃうんじゃないの.」
「フフッ,そうかもね.」
 まったく,この年増,という顔で二人の会話を聞き流しているアスカ.
「アスカが参戦しないのなら,好都合ね.アタシの大人の魅力で碇君を落としてみせるわ.」
「淫乱ミサトよりは,私の知的な魅力の方が上ね,悪いけど.」
「ちょっと,ちょっと,だまって聞いてれば,なに勝手な事言ってんのよ.参加しないんじゃないの,する必要がないのよ!だって,黙っていたって,シンジがこのアタシを選ぶのが当然じゃない!」
 元来の負けず嫌いの性格の為か,それとも別の理由の為か,アスカはどうしてもシンジがらみだと突っ掛かってしまう.
「ま,順当に行けばそうかもしれないけど,アスカは女の最終兵器を使うことができるかなぁ?」
「な,何よ,その女の最終兵器って.」
「「もちろん,『今日は安全日だから生でお・ね・が・い(はぁ〜と)』攻撃よ!」」

 くだらない下ネタ関係では,リツコ×ミサトペアは最強だ.こんな長いせりふを一字一句間違えずに,完璧にユニゾンしている!
「やってられないわ.お先に.」
 ちょうど終業時間となったので,アスカはさっさと二人から逃げた.例えようもない脱力感とともに.
 実は,アスカには二人の言う”女の最終兵器”の意味が良く分からなかった.ただ,ろくでもない事だと言う事は察知できたのだが.この後,レイに言葉の意味を聞いて,真っ赤になるアスカであった.

 セクハラ課長事件から,アスカは何となく,いつも目でシンジを追うようになっていた.そこで気付いたのが,シンジがいつもお弁当,しかも手作りを持参で出社してくることだった.またそのお弁当が手が込んでいて,見るからにおいしそうなのだ.
 アスカの脳裏には,同棲中,という言葉が浮かんだ.
 何となくいても立ってもいられなくなったアスカは,お弁当を食べているシンジに尋ねてみた.
「シンジ,お弁当おいしそうね,お母さんに作ってもらっているの?」
 平静を装うが,何となく声が上ずるアスカ.
「あ,これ,これ僕が作ったんだよ.良かったら食べてみて.」
 シンジは,自分の箸でから揚げをつまむと,笑顔を添えてアスカの方へ差し出した.
 何気なく差し出されたから揚げを,アスカはパクっと口に含んだ.
「おいしい〜,おいしいよ,シンジ.シンジって,料理上手なんだ.」
 シンジはちょっと照れたように笑った.
 シンジの笑顔と間接キッスで,アスカの顔は真っ赤だ.
「アスカの口に合ってよかったよ.そんなに喜んでくれるのなら,明日の土曜日は,腕によりをかけて食事の用意しておくね.」
「い,いいわよ,そんなに気を遣わなくても.今回はアタシからのお礼だし.」
「気にしないで,僕の趣味みたいなものだから.」
「そぉ,じゃ,期待してるね.そろそろアタシもお昼食べに行くから,じゃね.」
 その日1日,アスカは幸せな気分で明日の土曜日に期待を膨らませていた.

 当の土曜日,天気は快晴.絶好のデート日和.
 アスカは,朝からシャワーを浴び,とっておきの日の為にとって置いた下着を身に着けた.
(もしも,あんなことになって,それでもって,こんなことになっちゃったらどうしよう.(ぽっ))
 一人妄想に浸るアスカであった.

 会社の最寄り駅から3駅しか離れていない駅に電車が停車した.
 あら,会社に近いわね,などと思いながらアスカは電車を降りる.
 待ち合わせの12時から少し遅れてアスカが改札を出ると,シンジがアスカに向かって,にこやかに手を振っていた.
「お待たせ.シンジの部屋ってここから遠いの?」
「歩いて5分ぐらいかな.じゃ,行こうか.」
 シンジについて数分歩くと,片側に塀が延々続く道に出た.
「いやに長い塀ね,よほど大きなお屋敷なのね.」
「あ,これ,これ家の塀だよ.僕の部屋への入り口はもうすぐだから.」
 事も無げに言うシンジ.
「シンジが社長の息子というのは本当なのね!」
 いまいちレイの話を信用していなかったアスカは,ここに来て信用する気になっていた.
「あれ,ばれてるの?誰にも言ってないんだけど.アスカ,ここ,ここ,ここが僕の部屋への入り口.」
 シンジは,どう見ても普通の家の門をくぐって,アスカを手招きする.確かに表札は『碇』となっているが.
 アスカがシンジに続いて門をくぐると,目の前にはやはり普通の家が建っていた.
「シンジ,部屋って,この家の部屋?」
「この家全部だよ.離れの一軒家なんだけど,子供の頃から『子供部屋』って呼んでたから,つい今でも部屋って呼んじゃうんだ.」
「へぇ〜,やっぱりシンジって,お金持ちなんだ.」
 アスカは,驚き半分,寂しさ半分で感想を述べた.
「僕はお金持ちじゃないよ,父さんがお金持ちなんだよ.この家だって父さん名義だし.」
「そ,それもそうね.」
「ま,とにかく入ってよ.」
 シンジに促されて入った家は,小奇麗にまとめられていて,手入れも行き届いていた.
 シンジの後からダイニングキッチンに入ると,すでに食事の準備ができていた.そして,何よりアスカを驚かせたのは,キッチンである.
「まるで『美味○○○』の山○○郎のキッチンね.」
「いや,その,僕の趣味みたいなものだから.」
 そんじょそこらのレストランでも適わないような設備と道具.どれもが整然と整頓されており,使う人の人格まで見て取れるようだ.
「おなか空いたでしょ,さあ,食べよ.」
「そうね,いただきます.」
 アスカは,シンジが引いてくれた椅子に腰掛け,ダイニングのテーブルについた.
 2人分なので量は多くはないが,アスカは,前菜,スープ,メイン,そしてデザートと一通りシンジの料理の腕前を堪能した.
 例のメロンは,生ハムメロンとメロンシャーベットとして,二人の味覚を満足させた.

「ご馳走様.あぁ,おいしかった〜.シンジの料理の腕前って,プロ並み,いえ,そんじょそこらのプロ以上ね.」
「ありがとう,アスカ.アスカにそう言ってもらえるとうれしいよ.」
 シンジの本当に嬉しそうな笑顔で,アスカもほのぼのとした気分に浸っている.
「アスカがよければ,来週からアスカの分もお弁当作ろうか?」
「そ,それは悪いわよ.いくらなんでも.」
「1人分作るのも2人分作るのも大差ないから,僕は別にかまわないよ.」
 アスカにも,愛しい男性に自分の作ったお弁当を食べてもらいたいという気持ちもある,しかし,シンジに毎日お弁当を作ってもらったのでは,アスカの女が廃る,と考えはしたが,結局シンジの料理の腕前に敗北した.
「じゃ,お願いしようかな.それから,お願いついでにもう一つ頼みがあるんだけど・・・・.」
「え,何,嫌いなものでもあるの?」
「うんんん,あのね・・・,その,お弁当を一緒に食べてほしいの.」
「もちろん,OKだよ.アスカの分と僕の分を一緒にお重に詰めるよ.」
 アスカもシンジも照れてしまって,お互いに相手の顔を見れなかった.

 一応心構えはしているとはいえ,如何せん初めてのデートなので,アスカは,昼食後に出かけ,どこかで夕食を取ってそのまま帰宅するつもりだった.しかし,あまりの居心地の良さに出かけるタイミングを失い,その日の夕飯もシンジの手料理を堪能する事になった.
 結局,シンジの家にお泊まりしてしまい,アスカの準備も無駄には終わらなかったのだが.
 次の日曜日も,アスカとシンジは二人で過ごし,途中アスカが着替えを取りに戻っただけで,すっかりシンジの家に居着いてしまった.

 週が開けて月曜日,さすがに一緒に通勤するわけには行かないので,アスカは一足先に出勤していた.
 シンジの机の上を拭き終え,自分の机を拭いていると,ミサトが出勤して来た.
「おはよ,あれ,アスカ,どうしてこの時間に会社にいるの?」
「え,どうしてって,出勤したからいるんじゃない.」
 ミサトはちょっと考えるようなそぶりをした.
 ちょうどそこへシンジが出勤してきた.
「おはようございます,葛城さん,アスカ.」
 シンジが『アスカ』と名前を呼ぶ時の微妙な響きの違い,そして,名前を呼ばれた時のアスカの表情をミサトは見逃さなかった.
 ミサトの中で,全てが繋がった.
「いえね,アスカの使う路線,人身事故とかで今不通らしいのよ.まともに出勤してたら,とてもこの時間には出社できないのよねぇ.だけど碇君の使う路線は大丈夫のようねぇ.ねぇ,アスカ.」
「え,ええ,そうみたいね.ア,アタシ仕事があるから・・・.」
 そそくさとミサトの元を離れるアスカ.
「あらあら,社長夫人第1候補はアスカか.だけど,碇君を押し倒して,既成事実さえ作ってしまえばこっちのものね.がんばらなくちゃ,ええっと,次の危険日は,っと・・・.」
 恐ろしいことを呟きながら,腕を振り回して気合を入れるミサトであった.

 その日のお昼休み,アスカが待ちに待ったお弁当の時間である.
 12時になるや否や,いそいそとシンジの元へ,アスカは自分の椅子を持って移動し,シンジの隣りに並んで座る.すでに周りの視線などまったく気にしていない.
「いただきます.」
 おにぎりとおかずがぎっしり詰まったお重を,2人は並んで仲良くつつく.しかも,外へ食べに出ている人が多く,周りにほとんど人がいないのをいいことに,いちゃいちゃラブラブな2人.
「シンジの作るものって,何でもおいしいわ.はい,シンジ,あ〜ん.」
 アスカは,シンジに自分のお箸でたこさんウインナーを食べさせてあげる.
「ありがと,アスカ.ぱくっ,アスカに食べさせてもらうと,一段とおいしいや.今度はアスカの番,はい,あ〜んして.」
「あ〜ん,ぱくっ.」
 重箱が空になるまで,終始この調子であった.

 それからの二人は,お昼休みだけでなく,いつでも,どこでも,ラブラブなので,彼らの同僚はすでに何も言わない,いや言いたくなかった.
 だが,諦めきれずに,虎視耽々とシンジを狙う者達がいた.
 その一人,レイは,シンジとラブラブなアスカを遠目で睨みながら心に誓うのであった.
(ぜぇ〜たい,私の幸せな銀シャリ生活をこの手に掴むわよ.見てなさい,碇君,世の中明るい所ばかりじゃないのよぉ,くれぐれも暗い夜道と私の危険日には注意しなさい.)
 ここにも一人,シンジ押し倒し作戦がアスカの妨害により失敗に終わったミサトが,アスカを睨んでいた.
「アスカったら,上の口も下の口もすっかり碇君に餌付けされちゃって.だけど,見てらっしゃい,私のテクで碇君を虜にして見せるわ.」
 まったく,心の底からオヤジなミサトであった.

おしまい





1998+09/07公開

ご意見・感想・誤字情報などは okazaki@alles.or.jpまで。



あとがき
お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが,エヴァキャラによる『ももいろシスターズ』ネタです.如何でしたでしょうか?
え,分からない?知らない?いやはや,それはどうも申し訳ございませんm(_ _)m
ちょっと甘目で下ネタまじりのLASを書いてみましたが,私からにじみ出るお下劣さが皆様に伝わったでしょうか(自爆)
まあ,もっとも『ももシス』がちょっと下ネタな漫画なので,できるだけ雰囲気を壊さない様に気をつけました.
エヴァでも『ももシス』でもない性格のキャラがいますし,お料理好きという設定が本来の『ももシス』と逆になっていますが,それは,まぁ,ご愛敬とエヴァキャラのお約束という事でお許し下さい.
楽しんで頂けていれば幸いです.
では,では.



 岡崎さんの『OLアスカちゃん!』公開です!



 103cm・・・

 103cm・・・


 なんじゃそらぁ〜

   と言いそうになるほどのサイズですね(^^)(^^;



 何カップになるんだろぉ

 このサイズで”A”とかだったらそれはそれで面白く−−ないっっ




 ミサトばかりかリツコさんまでがオヤジしていて
 ぶっ飛んじゃいました(爆)


 理論的にセクハラ発言されたら・・・こわひ





 さあ、訪問者の皆さん。
 アスカちゃんにセクハラした(笑)岡崎さんに感想メールを送りましょう!







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