―突然の驟雨が若い二人を襲った、夕暮れのことだった。
「鈴原・・・」
「・・・何や、もう着替えおわ・・・わっ!」
雨に濡れた頭を拭きながら、振り返ったトウジの前には、髪を解き、下着しか身に付けていないヒカリが立っていた。
トウジは驚き叫ぶ。
「な、な、何やその格好は!!わ、わ、ワシかて男や、そ、そないなとこ見せられた、たら・・・は、はよう何か着てくれ・・・」
興奮に声を上ずらせるトウジに対して、ヒカリはあくまでも静かに言った。
「鈴原・・・鈴原は私のことをどう思ってるの?」
「どうって・・・・・す、好きに決まっとるやろ・・・・・でけたらワシの嫁さんにしたい・・・そう思っとるくらいや」
「嬉しい!!」
その瞬間、ヒカリはトウジの胸に飛び込んでいた。その勢いにトウジは倒れそうになりながらもしっかりと抱き留めた。
トウジの見上げるヒカリ。二人の視線が絡み合った。
・・・・・二人の初めての口付け・・・・・二人の唇は長い間離れなかった。
ようやく二人の唇が離れた時、真っ赤に上気した顔で、ヒカリが言った。
「・・・今夜はコダマ姉さんは帰らないわ・・・お勤め先の研修旅行・・・」
「な、何やて・・・」
ヒカリはトウジにひしと抱き付く。
「・・・良いの・・・私は待ってたの・・・だから・・・今日は帰らないで」
「ヒカリ・・・・・」
【邂逅】―後編―
作・H.AYANAMI
―環状線朝日駅西口前・喫茶室CRANE
そこはどこか時代から取り残されたような店だった。
一応駅前には違いないのだが、ショッピングアーケードのある東口とは違って、ここ西口にはこれと言った施設もなく、一日数本の山間の温泉へ向かうバスの発着時にだけ僅かに人で賑わう程度であった。
店の間口は狭く、通路を挟んで片側にはカウンター席そしてもう一方の側には二人用のボックス席が4つと言う具合で、収容人員はせいぜい十数人といったところなのだが、次のバスまで2時間あまりある今、客はたった一人だった。
その店を一人で切盛りする、既に70近い年格好の店主はカウンターの中の椅子に座り船を漕いでいる。
その客とは洞木ヒカリだった。彼女は一番奥のボックス席に入り口の方を向いて座っていた。だがその視線はずっと彼女自身の膝の上で組まれた手の平に注がれている。
彼女の注文した飲物はテーブルの上で既に冷たくなっていたが、それにも気づかぬ様子で何事か考えて続けていた。
”カランコロンカラン”
不意に鈴の音がした。ヒカリは驚いたように顔を上げる。その視線の先には今しも扉を押して入ってくる鈴原トウジの姿があった。鈴の音は扉に付けられたそれが鳴ったものだった。
トウジは足早にヒカリの座る席に近づいた。その歩き方に彼の左足が作り物である徴候はほとんど見られない。
「済まんかったな、遅れてしもうて・・・」
そう言いながら、トウジはヒカリの向かい側に滑り込んだ。素早く膝に手を置き左足をテーブルの下に収める。
ヒカリはかぶりを振った。硬い笑みを浮かべて、言った。
「・・・ううん、私も今来たところだから・・・」
彼女の言葉が真実で無いのは、テーブルの上を一瞥すればすぐに分ることだったがトウジはヒカリのその言葉を真に受けた。
「そおかぁ?・・・そりゃ良かったわ」
「何にするんや?」
目をしばたたかせながら店主が注文を取りに来た。トレイに乗せずに直接手に持った水入りのグラスをトウジの前に置く。彼はそれを一気に飲み干した。
「・・・おお、水が美味いわ・・・ワシはカレーとコーヒーのセットや・・・・・今日中に仕上げないかんもんがあってな、おまけに社員の一人に休んだもんがおって、おかげでワシらは昼飯無しの作業や」
はじめの言葉は店主への、そして後のそれはヒカリに対するものだった。トウジはいま、この店にほど近い、ハンディキャッパーの為の器具―車椅子や義足を製作する会社でバイトしている。
ヒカリは心から済まなそうな顔になった。
「・・・ゴメンね。忙しいのに、呼び出したりして・・・」
「ヒカリが謝ることや無いよ・・・それより何や?大事な話しって・・・」
「・・・うん・・・」
それだけ言って、ヒカリは何故か黙り込んだ。再び視線を自分の膝の辺りに落とした。
「どないしたんや?・・・ワシになんか話があったんとちゃうんか?」
「・・・うん・・・」
依然としてヒカリは下を向いたままだった。
その様子を見て、トウジの表情が曇った。ポツリと呟く。
「・・・・・やっぱり、そうなんやな・・・」
「えっ!?・・・」
ヒカリが顔を上げた。目前にはトウジの哀しい瞳があった。
「・・・・・ワシのことが嫌になったんやろ・・・ワシは学校とバイトの明け暮れでロクに二人で会う暇もあらへん・・・せっかく家に来てもろうてもおじんと妹が居ってゆっくり話すこともできへん・・・・・それにな、ワシもこないな身体やし・・・妹のこともある。ヒカリがワシに愛想尽かしても、それは性の無いことや。
・・・・・あの晩は・・・あないなことになって済まなんだけど・・・ワシも男として責任を果たさなあかんと思うとったけど・・・ワシについて来ても苦労するばかりやろ・・・・・それならいっそ今別れていった方が互いの為や・・・ヒカリならすぐにワシなんかよりずっとエエ男が見つかる・・・」
途切れ途切れに、それでもヒカリには一言も挟ませずにトウジはそう話した。
ヒカリは呆然とそれを聞いていた。彼女の意図は完全に誤解されていた。
”自分の妊娠のことをいかに上手に切り出そうか”
そればかりを考えていたのに、トウジのこの言葉でそうした”構想”はまったく吹き飛んでしまった。同時に彼女の理性も吹き飛んでいた。
ヒカリは立ち上がり、叫んでいた。
「どうして私の気持ちを分ってくれないの!?私には鈴原しか見えないのよ!・・・それにもう私のお腹には貴方の赤ちゃんがいるのよ。
・・・・・鈴原のバカ!!」
”ガランゴロンガラン・・・・・”
ヒカリは泣きながら店を飛び出していった。後には呆然とするトウジが残された。
だがその時間はごく短いものだった。店主がトウジに向かって怒鳴ったからだった。
「こらあ!何しとるんや兄ちゃん!さっさと追わんかい!!さもないと一生後悔するで!!」
その言葉にトウジは我に返った。次の瞬間、転げるように椅子から立ち上がると店を飛び出していった。
後に残った店主は徐に店の電話機を取った。
「・・・・・ああ鈴原さんか?ワシや、鶴橋や・・・・・なに無沙汰はお互い様や・・・・・おまはんの孫は確か足が不自由や言うてたな・・・・・そおか・・・どうやらあんたもうすぐ曾爺さんになるらしいで・・・・・」
―朝日駅西口
トウジは店を出るなり広場を挟んだ駅の方向に駆け出した。既にヒカリの後ろ姿はかなり小さくなっていた。
「ヒカリ!待ってくれ!!行かんといてくれ!!」
叫びながら、トウジは少しでも距離を稼ぐために歩道からタクシー専用路に飛び出していた。
”キキキーッ・・・ゴン”
あまりにもタイミングが悪かった。トウジが車道に下りたその時、客を乗せた一台が速度を上げて接近していた。運転手は泡を食ってブレーキをかけたが間に合わなかった。鈍い音がして、次の瞬間、トウジの身体は空中を飛んでいた。
ヒカリはトウジの呼び声に気が付いていた。腹立たしさは未だに彼女の心の中を渦巻いていたがそれでも先ほどの興奮は収まりつつあった。彼女は歩みを止めて振り返った。
目に入ってきたものは信じ難い光景だった。彼女が見たのはトウジが空中を飛んでゆく瞬間だった。彼女の感覚ではトウジは随分と長い間空中に浮かんでいた。彼の身体は放物線を描いて落下しやがて道路に着地し転がった・・・。
「いやーあー!!!」
ヒカリの絶叫が広場全体に響き渡った。
ヒカリはトウジの元へ駆け寄ろうとした。だが彼女の意志に反して彼女の身体は反応しなかった。視界は急激に暗転し意識が遠のいていった。
彼女は身体は膝を折り前のめりに倒れようとした、その時、それを抱き留めた腕があった。
「洞木さん!!しっかりして!!」
声の主は周囲に向かい叫んだ。
「誰か救急車を呼んでちょうだい!!」
「ウワーン・・・!!」
傍らのベビーカーの中では、母親の叫び声に脅えたのか、乳児がそれに負けない声で泣き叫び始めていた。
―夕刻、市営岩垂団地B-16号棟
”ピンポーン”
チャイムの音がエレベーターが到着を告げた。僅かな軋み音を立てて扉が両側に開いた。
扉が開くや、車椅子が飛び出してきた。扉の前にいたシンジは避けきれずにぶつかり尻餅をついた。
「イテテ・・・・」
少女はあわてて詫びの言葉を言う。
「ご、ごめん、なさい・・・急いどったもんですから・・・お怪我ありませんか?」
「い、いいえ・・・僕こそごめんなさい・・・ぼんやりしていたもんだから・・・」
立ち上がりながらシンジも詫びの言葉を述べる。事実彼はトウジに会って言うことを考え続けていた為に、周囲への注意を怠っていた。
「そんなら急ぎますから・・・」
少女はそう言いながら車椅子の向きを変えて出口に向かった。
シンジは何気にその後ろ姿を見送った。少女の車椅子のバックレストにはネームプレートが付いていた。
”Y.SUZUHARA”
(ワイ、ス・ズ・ハ・ラ・・・・すずはら!?)
シンジはようやく気づく、その少女が”第一次直上会戦”のまきぞえで一生直らない傷を負ったという、トウジの妹であることに。
(この子にも詫びなければならない・・・この子をこんな身体にしたのはこの僕なんだ・・・だが何と言って・・・・)
この突然の出会いにシンジの心は動揺した。言葉が見つからなかった。
(だけど、何か言わなくちゃ・・・何かを・・・・・)
そう思いながら、シンジはふらふらとユキコの後についていった。
ユキコはバス停に向かっているようだった。電動のそれは乗り手の思いとは裏腹にごくゆっくりと進んでいった。シンジはすぐに追いつき横に並んだ。
とりあえず声を掛けてみる。
「あのお・・・何だか急いでみたいだけど、何かあったの?」
シンジは我ながらなんと間の抜けた質問だと思った。とにかく”きっかけ”が欲しかった。
ユキコは顔を向けた。”あれ?”と言う顔をしたが、
「お兄ちゃんが交通事故にあったらしいんです。怪我の具合が分らへんのでとにかく言ってみようと思うんです」
シンジは、思わず大声で、
「なんだって、トウジが怪我を!?」
「・・・どうして?どうしてお兄ちゃんを知ってはるんですか?」
シンジは一瞬答えに窮したが、すぐに、
「・・・友達なんだ、トウジの・・・それよりトウジはいまどこに?」
「・・・朝日町の市立第四病院です」
シンジは即座に決意する。それは反射的とも言える決断だった。
「分った。じゃあ僕と一緒に行こう」
だが、ユキコは、
「・・・折角ですけど・・・お兄ちゃんのお友達と言うだけでは信用できません・・大体、私は貴方のお名前もお聞きしてもいません」
シンジは一瞬黙り込んだがそれに答える。
「ごめん、未だ名前を言ってなかったね・・・僕は碇、碇シンジと言います。トウジとは第三新東京で・・・」
ユキコはシンジに最後まで言わせなかった。
「まあ!それじゃあ貴方が。知ってます、お兄ちゃんから聞いて・・・貴方があのロボットを動かしていた方だったんですね・・・」
ユキコのその言葉はシンジの心を深く突いた。シンジは立ち止まる。ユキコもまた車椅子を停止させ、そして振り向いた。
「・・・シンジさん・・・私は貴方のことを何とも思っていません。もしかしたらあの時私は死んでたかもしれません・・・・・だから、むしろ私は、シンジさんに感謝しているくらいなんです」
シンジは顔を上げユキコの顔を見た。ユキコはシンジに向かって笑顔を見せている。
しかし、シンジは
「・・・だけど・・・あの時僕がもう少しうまくやっていたら君はそんな・・・」
その先をシンジを続けられなかった。
ユキコは応える、
「・・・誰かを怨んだところで始まらへんです・・・私には誰より優しゅうしてくれるお兄ちゃんが・・・そうや、こんなことしている場合やあらへん!早う病院へ行かへんと」
「車で来てるから、僕が送るよ」
「・・・はい、お願いします」
幸いにもその場所はシンジが駐車した場所にほど近かった。だが問題があった。
シンジの乗る車はワゴンタイプではあったが、ユキコを車椅子ごと乗せるための機器が無かったのだ。
シンジはユキコに訊ねる。
「君は車のシートに座っていられるの?」
「はい、大丈夫です」
「それなら僕が抱いて乗せてあげるから・・・車椅子は後ろに積んでいける」
ユキコは少女らしい恥じらいを見せる。
「そんなん・・・私重いですから・・・」
「そんなこと言ってる場合じゃないよ・・・大丈夫、こう見えても力は有るんだから」
「・・・なら、お願いします」
シンジはユキコに教わりながら、彼女の背中と腿の下に手を入れた。
「それじゃあいくよ・・・せーの!」
確かに重い、とシンジは思った。
(少なくとも綾波よりは有る・・・)
それでも何とかユキコを後部座席に乗せることが出来た。続いて車椅子を後部のラッゲージスペースに載せる。これまたユキコと同じぐらいの重さが有った。
へとへとになりながら、何とか運転席に乗り込む。後ろを振り向く。
「ベルトはしたね?それじゃあ出発だ」
シンジは車を市立第四病院に向けて発進させた。
―第二新東京市立第四病院
受付窓口に着くなり、ユキコは勢い込んでまくしたてた。
「こちらにうちのお兄ちゃん運び込まれた筈なんですけどどないなってますか危篤ですか・・・どこにいます?・・・集中治療室ですか?それともまだ手術中ですか?血が足らんのやったらいうてください私同じ血液型やから11歳やけどこの際そんなことかましまへん・・・そやお爺が来てるはずなんですあれも確か同じ血液型やから思い切り抜いてやってください70越えてますけど根が丈夫やからかましまへん・・・それよりはよお兄ちゃんの居場所教えて下さい・・・はあはあ・・・」
受付の女性はただ呆気に取られている。ユキコの問いには肝心の点が抜けていた。
傍らのシンジが訊ねる。
「すいません、こちらに交通事故の患者で鈴原トウジと言う者が運び込まれているはずなんですが」
ようやくシンジ達の来訪意図がこの女性に伝わった。彼女は手元の端末を操作した。
「・・・ああその患者さんなら比較的軽傷です。今は一緒に運び込まれた患者さんに付き添っていらっしゃいます」
”???”
シンジとユキコの頭上には”疑問符”が浮かんだ。
シンジは訊ねる。
「・・・それでトウジは今どこに?」
「1階奥の急患用D−117号室ですわ」
「シンジさん!」
「うん!」
二人は先を急いだ。
―D−117号室前の廊下
そこには4人の人間がいた。
一人は鈴原トウジ・ユキコ兄妹の祖父コウイチ、そしてシンジもユキコも知らないコウイチと同年輩の人物、そしてミサト・リツコ親子である。
「お爺ちゃん!」
コウイチは振り向いた。
「ユキコ!?なぜここに・・・家で連絡を待つようにとメモに書いておいたやろう」
ユキコはぷっくりとした頬を更に膨らます。
「だって、幾ら待っても電話くれないんだもん。心配で我慢ならなかったのよ」
一方シンジは、
「ミ、ミサトさん!?どうしてここに?」
ミサトは苦笑を浮かべる。
「・・・まあね、ちょっち訳有りで・・・」
シンジはもっと聞くべきことを思い出した。
「それでトウジは?比較的軽傷だと聞きましたが・・・」
「うん、鈴原君の方はね・・・最初は足が千切れ飛んだって言うんで大騒ぎしたんだけど、実際は右腕の骨折とお尻の擦過傷ぐらいで済んだの・・・よほど運が良かったのね。だけど・・・」
”足が千切れ飛んだ”と聞いてシンジはショックを受けた。だがまもなくその意味を悟る。
「・・・吹き飛んだのは・・・義足だったんですね」
二人の”事情”を知るミサトは表情を暗くする。
「・・・ごめん・・・深い意味は無いのよ」
彼女は視線を逸らした。やがてそれは病室の扉の方へ動いた。
シンジはその視線に気づいた。
(・・・そう言えば、トウジは誰に付き添っているんだろう・・・?)
傍らでユキコが声を上げた。
「ええっ!!ヒカリお姉ちゃんが倒れたの!?・・・どうして?」
その問いに彼女の祖父は答えられなかった。小学生であるユキコにどう説明すべきか分らなかったからだ。
「ええと・・・それはだな・・・・・」
小声でシンジは訊ねた。
「ミサトさん、トウジは誰に付き添っているんですか?」
ミサトもまたシンジの耳元に口を寄せ小声で、
「あのね・・・実は洞木さんなの」
「・・・・・洞木さんって・・・あの、委員長ですか?」
「そうよ」
「・・・・・でもどうしてトウジが委員長に・・・?」
際目付けの”朴念仁”であるシンジにはその意味がまったく解からない。
ミサトは、ポカンとしたシンジのその表情を見て思わず舌打ちする。
(まったく!結婚してもまだ”男女のこと”が解からないのかしら!?)
妙な立腹を覚えながらも、努めて冷静に、
「いいシンジ君、洞木さんは鈴原君にとっては、貴方にとってのレイのような存在なのよ・・・だから今は二人だけにしてあげなさい」
シンジは頷いた。
「・・・解かりました」
―D−117号室内
トウジは右腕を三角巾で吊り、左腕の脇には松葉杖を挟んでいる。彼の義足は彼の身体が地面に落下した際の衝撃に因り関節部分で折れて修理の施し様も無くなっていた。彼の祖父が持ってきてくれた黒いジャージの左足の部分は腿から上に折り込まれ、腰の部分に押し込んであった。
トウジは久方ぶりの松葉杖の感覚に少し違和感を覚えながらもじっとその姿勢のまま立っていた。見下ろす彼の視線の先には、解かれた髪が造る影の故かひどく青ざめて見えるヒカリの顔があった。
けれど、その顔色に比して彼女の寝息は安らかだった。静かに上下するその胸の膨らみのみを見る限り彼女の身体はむしろ健康そうに思えるほどだった。実際彼女の状態を示すモニターはずっと規則的な波を描き続けている。
しかし彼女の肉体は自身必死の戦いを続けていた―それは彼女に宿った命を守る戦いだった。
医師はトウジ達に対して、既に外部から可能な措置はすべて施した、と告げた。
「後は彼女自身の、いえ胎児の持つ生命力次第です」
そう告げて医師は部屋を去っていた。
(!!!)
ヒカリの身体に連なる輸液のパックが微かに揺れた。トウジはヒカリに連なるチューブを目で追った。すると彼女の腕が動きベッドからはみ出していた。それはトウジの立つ位置とは反対側の腕だった。
トウジは杖を必死に動かしてそちら側に回った。だがそのままの姿勢では彼女の腕をベッドの上に戻してやることは出来ない。右手は利かず左手は松葉杖をつかんでいる。
トウジは松葉杖を外した。壁にそれを立てかけると、一本の足で身体を支えながら左手を伸ばしてヒカリの腕をそっとベッドの上に戻してやる。
そのときだった。トウジの履く靴の底は病院特有の滑らかな床の上で滑った。結果彼の肉体はバランスを失い前にのめった。このままではヒカリの上に覆い被さってしまう。
トウジは足の指先に渾身の力を込める。間一髪トウジの身体は静止した。が、次の瞬間、今度は後ろ向きに大きくよろめいた。
トウジの身体はそのまま後ろ向きに倒れた。後頭部をしたたかに打ち意識が遠のきかける。だがトウジは必至に歯を食いしばりそれに耐えた。左手一本で半身を起こす。臀部に体重がかかって傷が痛んだ。それでも片足片手そして尻を使って必死に立ち上がろうとした。だがその場に依るべきものが無い現状ではそれはひどく困難だった。
トウジは結局今立ち上がるのをあきらめた。無理に動き回り立ち上がろうとジタバタすればヒカリの眠りを妨げてしまうと考えたからだ。
トウジはなるべくヒカリの顔が見えるよう身体を移動させた。右肩をそっとベッドの縁につけ身体を安定させた。そこから見た彼女は先ほどより幾分か血色が良かった。
それがトウジを勇気づけた。彼は思った。
(大丈夫、大丈夫や、ヒカリ・・・・・おまえも、胎の中のワシの子もきっと助かる・・・)
―病院内・レストエリア
向かい合わせのベンチには4人の大人と一人の乳児がいた。
それは眠るリツコを抱いたミサト、トウジの祖父コウイチ、その友人でCRANEの店主・鶴橋、そして急を聞いて駆けつけてきたヒカリの姉コダマである。
コダマの、とにかく妹の様子がみたいという至極当然な要求を、ミサト達はやんわりを拒絶しここへ誘ってきたのだ。
一応の自己紹介の後、まず女性であるミサトが同性らしくやんわりと状況を説明した。それが終わるとコウイチが深く頭を垂れて言った。
「今回のことは皆ワシの孫、あのアホたれが元凶じゃ・・・もし万が一のことがあれば、ワシは彼奴を絞め殺しそしてワシも死ぬ。誠に誠に申し訳ない。まったくヒカリさんの親御さんにはお詫びの言葉もない。
コダマは呆気に取られる。
「はっ、はあ・・・・・」
ミサトがトウジを擁護する発言をする。
「鈴原君のお爺さん、それではトウジ君があんまり可哀相ですわ。こういうことは双方に等分の責任があると考えるべきです・・・・・そうでしょ、洞木さんのお姉さん、それが現代の自立した女の立場というものでしょう?」
どこか威圧的なミサトのその発言にもコダマは曖昧な相づちを打った。
「はあ・・・・・」
コウイチが反駁する。
「いんや、葛城さん。男は自分の生理と言うものに常に備えておかねばならんのじゃ。彼奴はそうした肝心なところで妙に初心なんじゃ・・・まったく祖父として情けなくて・・・たまらんわい」
ミサトも更に言い返す。
「お言葉ですが、そういう時の備えは女にだってありますのよ。男女の愛の行為を単なる男の生理現象に過ぎないような発言は聞き捨てならないわ!」
「あんたはワシの発言を曲解しておる。ワシは男のたしなみとしてやなあ・・・!!」
鶴橋老人が二人の間に割って入った。
「あんたら論点が違ってきてるのとちゃうか?今はヒカリさんが無事危機を乗り越えてやな・・・それから、次のことを話し合うべきとちゃうんかい?」
一瞬、沈黙が訪れた。
鶴橋老人がこの場での結論を述べた。
「・・・とにかく、や。今はヒカリさんの回復を皆で祈ろうやないか!」
コウイチとミサトは視線を合わせ気まずい笑みを交わし頷きあった。
3人の年長者の剣幕に呆気に取られていたコダマだったが、それでもようやく言った。
「・・・あのお、皆さんのお立場はよく分りましたので・・・そろそろヒカリに会わせていただけませんでしょうか・・・?」
―再び、D−117号室前の廊下
「そっかあ・・・トウジと委員長、いや洞木さんは恋人同士だったんだ・・・」
シンジはこの場に残ったユキコに二人の関係について教えてもらっていた。ユキコによれば二人の交際はすでに1年ほどだと言う。
「ヒカリ姉ちゃんなあ、いつもお料理を持ってきてくれたり家で私にお料理教えてくれたりしてな・・・家の兄ちゃんが姉ちゃんの作ったものを”うまいうまい”食べてると、ほんまに嬉しそうな顔するんや・・・まあ言うたら、兄ちゃんに”ベタボレ”やな」
「ふーん・・・そうなんだ」
「兄ちゃん、自分かて不自由な足してるのに私のことをあれこれ世話してくれるしな・・・きっとヒカリ姉ちゃんもあの優しさ惚れたんやろね」
「・・・・・」
ユキコは知らないのだった、トウジが左足を失ったことにもシンジが深く関っている事を。シンジの胸は痛んだ。
ふいに病室の扉が開いた。二人がそちらに顔を向けると、トウジがその扉を支えにようやく立ち上がったところだった。
「お兄ちゃん!」
「トウジ!」
「ユキコ・・・シンジ!?シンジやないか!お前生きてたんか!?・・・・・それで・・・どうしてここに?」
トウジのこの当然の疑問にユキコが答えた。
「兄ちゃん、シンジさん家を訪ねてくれはったのよ。それで私と出逢ってここまで連れてきてくれたんよ」
「ワシを訪ねに・・・・・そうかあ!シンジ、よう来てくれたな」
シンジは言葉を詰まらせる。考えていた言葉は何一つ浮かんでこなかった。変わりに浮かんだのはあの時の光景だった。
「トウジ・・・・・僕は、僕は何て言ったら・・・あの時トウジの姿を見た時僕は、僕は・・・」
トウジがシンジの言葉を遮る。
「何も言わんでエエ、お前が何を考え、なんで今までワシとこへ来れへんかったかぐらい・・・言わんでもよう分っとる・・・・・あん時ワシ意識が無かったよって何も覚えてへん・・・だから知らん」
「だけど、トウジ・・・あの時僕は・・・・僕は・・・・」
「もうエエ・・・それよりシンジちょっと肩貸してくれへんか?松葉杖を置いてきてしもうて・・・」
「・・・うん」
咄嗟にシンジは自分の右腕をトウジの脇の下に入れる。シンジの背はトウジよりは低くその体勢にさほどの無理は無かった。
シンジはトウジの逞しさに驚いていた。シンジの左肩をつかんだトウジの手は力強かった。
(トウジはよほど自分を鍛え上げたんだな)
「はな行くで」
「うん」
―男子洗面所
シンジは背中合わせとなってトウジの身体を支えた。そのままの姿勢でトウジは用を足した。
用を足し終わった気配にシンジが訊ねた。
「もう良いのかな・・・それじゃあ洞木さんのところへ戻ろうか?」
トウジはすぐにはそれに答えなかった。やがて、
「・・・・・なあシンジ、知っとんのやろ?ワシとヒカリのことを」
「・・・うん、さっきユキコちゃんから聞いた・・・」
「・・・それでな、どない思う?ワシらのことを・・・ワシらはこれからもやって いけるやろか・・・」
「・・・僕には他人のことは分らないよ・・・・・トウジの気持ちはどうなの?」
「・・・ワシはヒカリに惚れとる・・・相変わらず口うるさい女やけど・・・・・ワシにはあれ以上の女は現れんと思うとる」
「ふーん、なら問題ないと思うけど・・・」
「・・・何や気の無い言い方やな」
「あっ、ごめん、これは綾波の口癖で・・・」
「ああ?綾波ぃて、あの綾波レイのことか・・・おまえ今付き合おうとるのか?」
「・・・うん・・・まあ・・・・・実は・・・この4月に結婚したんだ」
「な、何やて!?おまえまだ二十歳にもならんうちに・・・おっととと」
トウジが思い切り振り向こうとしたために二人はそのまま床に倒れそうになった。
シンジはあわてて振り向きトウジの身体を支えた。
「・・・すまん・・・・・」
「うん・・・それじゃあ洞木さんのところへ戻ろうか」
「そうやな・・・」
二人は肩を組んで廊下を歩いた。トウジは尚も訊ねた。
「それでシンジ、今はどうなんや?」
「どうって?なにが?」
「アホ、綾波と結婚して幸せか聞いとんのや」
「・・・うん、幸せだと、思う」
「そうか・・・・・」
シンジは黙り込んだトウジの顔を横目で見た。トウジは何事かを考えているらしく視線は下を向いたままだ。
シンジは遠慮がちに訊ねてみる。
「・・・トウジ、どうかしたの?」
トウジはシンジの問いかけに答えた。だがそれは他人に言ったと言うよりも自分自身に言いきかせるような言い方だった。
「・・・ヒカリが良うなったら、ワシも・・・ワシも結婚したる・・・」
―約一ヶ月後・第二新東京市郊外
湖畔に立つ小さな白いチャペル―今日ここで鈴原トウジと洞木ヒカリは挙式することになっている。
勿論、ここに至るまでにはいろいろの”すったもんだ”があった。
その最たるものは、やはりヒカリの父親の説得だった。これにはミサトとコダマそしてヒカリ自身が当たった。だが最終的に彼にYESと言わせたのはヒカリに宿った”孫”の存在であったろう。彼または彼女は無言だったが最も効果的な”説得者”だった。
トウジの家では明確な反対を述べる者はいなかった。
唯一、帰国した父が、ヒカリの家へ挨拶に出かける際に呟いた、
”昔、トウジが隣の家の猫のヒゲを切って謝りに行ったことを思い出すな”
と言う言葉がその内心の困惑を表していた。
トウジとヒカリの間にもちょっとした確執があった。
トウジは神前での挙式を主張し、ヒカリはチャペルでのそれを望んだからだ。
ヒカリは言った。
「ウェディングドレスを着てお嫁に行くのが子供の時からの夢だったの」
そう言われてはトウジに返すべき言葉は無かった。
「・・・分ったわい・・・」
花嫁の控え室を松葉杖を突いたユキコが訪ねていた。
「ヒカリ姉ちゃん、今日はおめでとうございます。本当に奇麗や」
既に純白のドレスに身を包んだヒカリがそれに応じた。
「ありがとう・・・ユキコちゃんのその服もとても可愛いわよ」
ユキコはオレンジ色のワンピースを着ていた。彼女のお気に入りだった。
「えへへ・・・私はこれしか無いから」
ヒカリは傍らの椅子を勧めた。
「ユキコちゃん、疲れるでしょ?そこに座って」
「はい、ありがとうございます」
ユキコは苦労して椅子に座った。途中ヒカリが立ち上がって彼女を助けようとしたが、彼女はそれを断った。
ようやく椅子に腰を落ち着けたユキコは言った。
「これからは何でも一人で出来るようにならんと・・・お爺も今は元気でいてくれるけど何時ポックリ逝くか分らへんし、お父は式が終わったらまた外国やし・・・」
ヒカリはそれを聞いて心から済まなそうな顔になる。
「ごめんね・・・ユキコちゃんから鈴原・・・いえお兄さんを取り上げるようなことになってしまって・・・・・私たちの家も近いからなるべく行くようにするから」
ユキコは笑った。
「エエんです。お兄ちゃんにもいい加減妹離れしてもらわんと・・・それにもうじき赤ちゃんが産まれるんでしょ?それまでは二人だけの新婚生活を楽しんで下さい」
ヒカリの顔が赤くなる。
「ユキコちゃん・・・知ってたの?」
「はい、私はもう子供やありません・・・お爺もお父もそれに兄ちゃんも何も言わへんかったけど、それぐらい分ります。だって二人の結婚の決まり方はあまりに唐突やったから」
「・・・・・」
ユキコはやや姿勢を正した。
「あの・・・ヒカリさん・・・」
「・・・何?改まって」
「不束な兄ですけれど、末永く宜しくお願いします」
ユキコはペコリと頭を下げてみせた。
「こ、こちらこそ宜しくお願いします」
ヒカリもまた姿勢を正し、ペコリと頭を下げた。
トウジもまた控室に訪問者を迎えていた。
「・・・まったくどうして急に結婚なんだよ!?それも1週間前の連絡だなんて」
やはり既にタキシードを着たトウジは頭を掻いた。
「すまん、いろいろ忙しゅうてなあ。メールを出すの忘れてしもうてたんや」
「こっちはあと1週間で本講座の開始でその準備に忙しかったんだぞ」
声の主はヴィジュアルアーチストを目指してネオニューヨークに留学しているトウジの親友だった。彼は今朝の便で戻ってきたばかりだった。
「そやから、無理に来んでもよろしいて、メールにも書いておいたやろ」
「そうはいかないよ。第三新東京市以来の親友の結婚式に出席しないなんてことは僕にはできない・・・それに、もう一人の消息も分ったんだ。この機会を逃したら何時会えるか分らないからね」
”コンコン”
扉がノックされた。
「はい」
トウジが応じた。
扉の影から花婿の介添役が顔を覗かせる。
「トウジ、支度はいい?そろそろチャペルの方へ・・・」
「シンジ!久しぶりだね」
「ケ、ケンスケじゃないか!」
そしてチャペルの外―前庭においてもう一つのの出会いが用意されていた。
「アバアバ・・・」
リツコはよちよちとそれに向かって歩いていった。
「パーパ・・・」
「クワッ(?)」
彼は首を傾げる。親しげに寄ってくるその乳児を彼は知らなかった。
ミサトがリツコを追ってきていた。
「リッちゃん!勝手にどっか行かないで・・・あらっ、ペンペンじゃない!?」
彼はミサトの顔を見た。かっての同居人のことを彼はまだ覚えていた。
「クワックエッククククルコケッ(!)・・・」
羽をばたつかせて彼は再会の喜びを表現した。
「ペンペン、元気だった?私のこと覚えててくれてたんだ・・・」
ミサトはしゃがみ込み、ペンペンと”熱い”抱擁を交わし合った。
そんな、母親と興味深い生き物との抱擁を、リツコは不思議そうに見ていたが、やがて・・・
「グエーーーッ!!」
ペンペンの苦痛の叫びが前庭中に響いた。
「あらっ、どうしたの?・・・まあ!リッちゃん駄目じゃない、ペンペンの毛を引っ張っちゃ」
リツコの小さな5本の指はペンペンの頭の毛をしっかりと握りしめていた。ミサトはあわててその指を引き剥がす。
ペンペンの悲鳴を聞きつけた現在の飼い主―洞木ノゾミが駆けつけてきた。姉の晴れ姿を見せる為、今日ここへ連れてきていたのだ。
ノゾミの姿を見るなりペンペンは彼女に駆け寄っていった。
「クエックワッ・・・(泣)」
ノゾミは優しくペンペンの頭を撫ででやる。
「どうしたの?ペンペン・・・もう大丈夫よ」
リツコを抱き上げたミサトがノゾミ達に近寄っていった。
「ごめんなさいね、家の娘が悪さしちゃって・・・ペンペン、ごめんねー」
ノゾミは立ち上がった。
「この子のことをご存知ということは・・・ミサトさんですね。初めまして、私洞木ノゾミです」
「初めまして、宜しくね・・・」
「アーアー」
リツコはペンペンの方に手を伸ばす。
「クエッー!」
ペンペンはあわててノゾミの後ろに隠れる。
その様子にミサトは苦笑いを浮かべて
「どうも家のリッちゃんとペンペンの相性はあまり良くないみたいね・・・ノゾミちゃん、これからもペンペンのこと宜しくね」
「はい・・・」
ノゾミは笑みを浮かべた。
3人と一匹(?)に近づいてくる人影があった。碇レイだった。
『間もなく、式が始まるそうです』
「分ったわ、レイ・・・それじゃあノゾミちゃん、行きましょうか」
「はい」
前庭にいた人々はチャペルの中へと入っていった。
式は無事終わった。二人はヨーロッパへの新婚旅行へと旅立っていった。だが訪問予定地はいずれも観光とは縁の無いところばかりだった。トウジの希望によりその多くは障害者のための歩行補助装置の研究をしている企業・大学の所在地ばかりだった。
そのことにヒカリは何も言わなかった。トウジと一緒に旅ができるだけで彼女は十分満足だったのだ。
彼らを見送った帰り、ビーコンウェイで、シンジはレイに言った。
「綾波・・・綾波はやはり外国へ行きたかった?」
大学に入ったばかりの時に結婚したシンジ達はその機会を逸していた。だが本当は加古から”国内はともかく海外では二人の警護が十分にできない恐れがある”と釘を刺されていたのだ。自分はともかくレイを危ない目には合わせたくない、それが海外への新婚旅行へ行かなかった最大の理由だった。
レイは答える。
『私に大切なのは・・・・・』
「大切なのは・・・?」
『あなたと一緒に居られることよ・・・』
「・・・うん」
シンジはレイの言わんとすることを理解した。レイはシンジと一緒に居られさえすればそれで良い、そう言っているのだ。
「・・・有り難う・・・」
そう言いながらシンジは隣のレイの方に左手を伸ばした。レイはそっとその手を取り自分のお腹に持っていった。
「えっ・・・!?」
シンジは思わず自分の手がもっていかれた場所を見た。
『いま、動いたわ』
「えっ・・・あの・・・」
『私達の赤ちゃん』
「あっ、そうか」
シンジは手の平に意識を集中してみる。だが分るのはレイの脈だけだった。
「・・・ごめん・・・よく分らないや・・・」
『まだ小さいから・・・外には伝わらないのね・・・もう少ししたら、あなたにも分るようになると思うわ』
「・・・うん、そうだね・・・」
シンジはそっとレイのお腹から手を放した。そろそろビーコンウェイから下の道に下りるICが近づいていた。
ステアリングを操りながら、シンジはふと思った。
(トウジ達はきっと幸せになってくれる・・・だけど・・・僕はもっと幸せになれる・・・・・この綾波と一緒なら)
碇家屋敷が見えてきた。シンジはアクセルを踏む足に力を込めた。
ver.-1.00 1998+ 04/14
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【後書き、本当は言い訳】
最後までお読みいただきまして誠に有り難うございました。
前編の後書きにも書きましたように、作者はしばらくの間キーボードから遠ざかった環境にいることを余儀なくされました。
元々「手」が遅いほうだったのですが、こうしてキーボードに前に戻ってきますと案の定ミスタイプの連続で、それだけで相当にストレスが溜まりました(苦笑)。
せっかく「復活」するのだから、自分なりに何か「新しさ」を打ち出したいと思って書き始めたのですが・・・・・結果はご覧の通りです(大苦笑)。こうなればエヴァ小説界の「寅さんシリーズ」目指してみようかと大それた野望を抱いたりしています(爆)。
今回のこの物語でトウジとヒカリの「補完」は完了しました(!?)ので、次の「読み切り」ではいよいよケンスケの番かなと思っています。しかし問題が・・・・・作者は関西弁以上に英語が苦手なのです(爆)。ですから「ケンスケ・ネオニューヨーク恋物語」(仮題−笑)は当分先になりそうです。
さて次は「連載」の方を頑張ります。それではまた。