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コインランドリー脇の自販機で、青葉は缶コーヒーを買った。

プルタブを開けるその脇を元気

に駆け抜けていく子供たちを、優しい目で見ながら一気に飲み干した。

中では、リツコとマヤが自分たちの洗濯物を引き取っている。

この時代では、ラッピングまでされてくるようだ。

「これじゃ、毎回のクリーニング代もバカにならないわね。」

「せめて、自分でお洗濯できる時間くらい欲しいですね。」

「家に帰れるだけ、まだマシっすよ。」

愚痴る二人にフォローを入れる青葉。




同時刻、公園

そこには三人の少年達がいた。

「申し訳ありません。 呼び出す事になってしまって…。」

そう言って全身を黒で覆った少年は缶コーヒーを差し出す。

「お久しぶりです。」

もう一人のこの場所に待っていた銀髪の少年が頭を下げる。

「いや、いいよ。

 で、何のご用件かな?

 …お二人さん。」

そして、呼び出された少年は黒一色の男から缶コーヒーを貰いながらそう言った。

 

 

 

数時間後、ネルフ

「お〜い! ちょっと待ってくれぇ〜!」

加持がエレベーターに向かって走っている。

エレベーターの中にはすでにミサトの姿がある。

ミサトはおくびにも出さずに問答無用で「閉」のボタンを押した。

あまつさえ連打している。

ドアが閉まりはじめる。

しかし、加持はかろうじてドアの隙間に体を滑り込ませる事に成功する。

「チィッ…。」

「いやあ。 走った走った。

 こんちまたご機嫌斜めだねぇ。」

「来た早々アンタの顔見たからよ。」





数十分後

校内にある公衆電話。

シンジが電話をかけている。

『はい。 暫くお待ちください。』

音楽が流れる。

暫くして、音楽が止まる。

『なんだ?』

ゲンドウの声。

「あ、父さん?」

『ああ、私だ。 今日は何の用だ?』

「えっと、明日進路相談があるらしいんだ。

 その事を父兄に連絡しておくように言われたんでね。」

この親子、和解してからはそれなりに仲がよいようだ。

『そうか。 しかし急だな…。』

「ごめん、今まで忘れてたんだよ…。

 まぁ、急な話だから無理に来なくてもいいよ。」

『何時からだ?』

「ちょっと待って………15時からだって。

 来れそう?」

『確認して  

ブチッ!

ツー、ツー、ツー、ツー。

「…あれ?」



同時刻、NERV

ミサトたちの乗っているエレベーターが止まる。

「あら?」

「停電か?」

「まっさか〜。あり得ないわ。」

照明が落ちてオレンジ色の非常灯に切り替わった。

「変ね。事故かしら?」

「リッちゃんが実験でもミスったかな?」



同時刻、実験室

「主電源ストップ。

 電圧、ゼロです。」

スタッフは一斉にリツコを見る。

「わ…わたしじゃないわよ?」

 

再び、エレベーター

「どうだろうな。」

「ま、すぐに予備電源に切り替わるわよ。」



同時刻、発令所

「ダメです。予備回線つながりません。」

「バカな!」

普段冷静な冬月が血相を変えている。

「生き残ってる回線は!?」

下のフロアから女性オペレーターが叫ぶ。

「全部で1.2%。2567番からの旧回線だけです!」

が、ある程度の距離があるためそれでも少し聞き取りづらい。

「生き残った電源は、全てMAGIとセントラルドグマの維持に回せ!」

「しかし、それですと全館の生命維持に支障が生じますが…」

「かまわん! 最優先だ!」



同時刻、市内

遠くから選挙カーのウグイス嬢の声が聞こえてくる。

歩行者用の信号で日向が青になるのを待っている。

「こうやってたまにはゆっくり出勤するのも悪くないな。」

しかし、その手にはずぼらな上司の洗濯物があったりする。

赤信号が点滅し、青に変わろうかと言う所で、突然信号が消える。

「ん?」

日向はいぶかしんだが、理由がわからないのでとりあえずネルフに急ぐことにした。



同時刻、通学路

「それは碇司令、ホントに忙しかったんじゃないの?」

「いくら忙しくても、喋ってる途中で切ったりしないでしょ。」

「んもう! 男のくせにいちいち細かいこと気にするのやめたら?」

「今回に関してはあまり男も女も関係ないような…?」

いつものように口喧嘩を始め、いつものようにどうやって突っ込もうかと会話の流れを読んでいるレイ。

そんなこんなで、三人はジオフロントの入り口に到着する。

シンジがカードを通すが、なんの反応もない。

「…あれ?」

「なにやってんのよ、後ろがつかえてるんだけど?」

アスカが割り込んできてカードを通す。

同じく何の反応もなく、アスカはムキになって何度もカードを往復させる。

「もう! 壊れてんじゃないの! これぇ!!」



シンジ達が入り口で難儀している頃…

実験室では…男達が自動ドアをこじ開けていた。

途中で軽くなって男達は一気にへたり込む。

その横を平然とすり抜けていくリツコとマヤ。

「とにかく、発令所に急ぎましょう。

 七分たっても復旧しないなんて。」



同時刻、エレベーター

「ただごとじゃないわ。」

「ここの電源は?」

「正、副、予備の三系統。 それが同時に落ちるなんて考えられないわ。」

「………となると…」



同時刻、発令所

「やはり、ブレーカーは落ちたと言うより、落とされたと考えるべきだな。」

「原因はどうあれ、こんな時に使徒が現れたらコトだぞ。」

蝋燭に火を灯しながら冬月が言う。

そして、その不安は的中した。



10分後、戦自、管制室

「測敵レーダーに正体不明の移動物体。

 上陸地点は、旧熱海方面。」

「おそらく、9番目の奴だ。」

「ああ、使徒だろう。」

「どうします?」

「一応、警報シフトにしておけ。

 決まりだからな。」

「どうせまた、奴の狙いは第三だ。」

「そうだな。 ま、俺たちのすることはなにもないさ。」



使徒はゆっくりと歩を進める。

その姿は山に隠れているが、長い四本の足が見え隠れしている。



「使徒は依然進行中。」

「第三は?」

「沈黙を守っています。」

「いったいネルフの連中は何をやっとるんだ!」

軍人の一人はいらついて煙草を揉み消した。



同時刻、ネルフ

「タラップなんて前時代的な飾りだと思ってたけど、まさか使うことになるとはねぇ…。」

「備えあれば憂いなしですよ。」



同時刻、地上、ゲート付近

レイがカチカチとスイッチを押している。

「何で動かないのよぉ!?」

「これも動かないわ!」

同じくアスカも叫ぶ。

「どの施設も動かない。 おかしいわ。」

「下で何かあったってことか…。」

「そう考えるのが自然ね。」

シンジは黙って携帯電話を取り出し、ネルフに電話をかける。



同時刻、エレベーター

「だめだわ。 非常電話もつながらない。」



同時刻、発令所

「ダメです。 77号線も繋がりませんっ!」



数十秒後、地上

「これも駄目だな。」

「こっちもだめ。 有線の非常回線も切れちゃってる。」

シンジとレイはほぼ同時に鞄から封印されたカードを取り出す。

緊急時のマニュアルである。

アスカもそれを見て慌てて鞄の中を探す。

しかし、アスカがそれを見つける前にシンジが口を開いた。

「とにかく本部に行こう。」

「そうね。

 じゃあ、行動開始の前にグループのリーダーを決めましょ。

 で、当然シンジがリーダー。 意義ないわね。」

「もちろん!」

即座にそう答えるレイ。

三人は今までと表情を改め、指示を出す。

「先ずは、本部を目指す。

 隊列は私が先頭、ガブリエルが真中で本部までのナビ、そしてミカエルがしんがりで後方を警戒してくれ。」

「 「了解。」」

 



「手動ドア…か。」

「かなり重そうですね。」

シンジはハンドルを回し始める。

だが、滅多に使わないため半分錆びついていてかなり重い。

ハンドルの所にシンジが手をかざし、なにやらつぶやく。

そして取っ手のところをそっと押す。

するとハンドルがくるくると勢いよく回り始める。

それに応じてドアもするすると開いていく。

「ハンドルの摩擦係数をゼロにしただけだよ。」

納得と言う表情のアスカとレイ。



戦自、管制室

「統幕会議め! こんな時だけ現場に頼りよって!!」

勢いよく電話を切る軍人。

怒り心頭と言う様子である。

「政府はなんと言ってる?」

「第二の連中か?

 …逃げ支度だそうだ。」

「とにかくネルフの連中と連絡を取るんだ。」

「しかし、どうやって?」

「直接行くんだよ。」



第三新東京市

『こちらは第三管区航空自衛隊です。

 ただいま、正体不明の物体が本地点に対し移動中です。

 住民の方々は速やかに指定のシェルターへ避難してください。』

 日向はそれを歩きながら聞いていた。

「やばい! 急いで本部に知らせなきゃ! でも…どうやって………?」

『こういった非常時にも動じない、高橋、高橋リョウスケをよろしくお願いします。』

選挙カーを見て満面の笑みを浮かべる日向。

「ををっ! ラッキー!!」



エレベーター

「それにしても、あっついわねえ…。」

「空調も止まってるからな。 葛城、暑けりゃシャツくらい脱いだらどうだ?」

慌てて胸元を隠すミサト。

「今さら恥ずかしがる事も無いだろう?」

「こういう状況下だからって、変なこと考えないでよ。」

「はいはい。」



発令所

「まずいわね。空気もよどんできたわ。

 はあ…これが科学の粋を駆使した施設とはね…。」

団扇で扇いでいるリツコとマヤ。

二人とも第二ボタンまではずしている。

「でも、さすが司令と副司令。 この暑さにも動じませんね。」

二人同時にゲンドウと冬月を見る。

いつも通り手を組んだゲンドウとその後ろに立っている冬月。

リツコ達からは見えないが、ゲンドウと冬月は水の入ったバケツに裸足を突っ込んでいる。

どこから持ってきたんだろうか?

「…温いな。」

「…ああ。」



地上

選挙カーがえらい勢いで走り抜けている。

皆シェルターに非難していて市内は無人。

よってコーナーと言うコーナーをドリフトで抜けていく。

バンでドリフトして何故横転しないのかは秘密だ。

ちなみに運転手の名前は藤原と言うらしい。

高速道路の向こうには使徒の足が見える。

『当管区内における非常事態宣言発令に伴い、緊急車両が通ります。』

「…ってあの! 行き止まりですよっ!?」

車の中には運転手とウグイス嬢、そして日向の姿がある。

「いいから突っ込め! なんせ、非常時だからなっ!」

「了解!」

少しハイになっている日向と運転手。

そして心底おびえているウグイス嬢。

『いやあ! もう止めてぇ!!』

悲鳴の後にスキール音が木霊していた。




発令所

ゲンドウ達は状況を整理している。

「このジオフロントは外部から隔離されても自給自足できるコロニーとして作られている。

 その全ての電源が落ちるという状況は、理論上あり得ない。」

「誰かが故意にやったと言う事ですか。」

「その目的は、おそらくここの調査だな。」

「復旧ルートから本部の構造を推測するつもりですか。」

「シャクな奴らだ。」

「MAGIにダミープログラムを走らせます。

 全体の把握は困難になるでしょうから。」

「頼む。」

「はい。」

「本部初の被害が使徒では無く、同じ人間のよるものとは、皮肉なものだな。」

「しょせん、人間の敵は人間だよ。」


 


本部へ向かう通路

「ガブリエル、道はこのままで大丈夫なのか?」

「方向は合ってる筈です。」

「ミカエル、後ろは?」

「いえ、特には。」

「そうか。

 ………静かに。」

先頭を歩いていたシンジが止まって言う。

「何か?」

「…誰か、いる。」

シンジが警戒した表情になる。

「「!?」」

しかし、なんの変化もない。

「そうでしょうか…?」

「いえ…いるわ…。」

「ミカエルはこのまま後方を警戒。

 ガブリエルはミカエルのサポート。」

頷く二人。

「私は始末してくる。

 ここを動くな。」

そういい残し、シンジは姿を消した。

 

発令所

日向を乗せた選挙カーが勢いよく飛び込んでくる。

轢かれそうになる職員数名。

『現在、使徒接近中! 直ちにエヴァ発進の要ありと認む!!』

マイクで叫ぶ日向。

その周りでは職員が耳を抑えている。

よほどの音量なのだろう。

「大変っ!」

「冬月、後は頼む。」

立ち上がるゲンドウ。

「碇?」

「私はケイジでエヴァ発進の準備を進めておく。」

「まさか…手動でか!?」

「緊急用のディーゼルがある。」

手際よくタラップを降りていくゲンドウ。

「しかし…パイロットがいないぞ。」



本部へ向かう通路

「…ここまでだ。」

「なっ!?」

男の背後にシンジが突然現れる。

とっさに銃を向けるが銃口がシンジを捕らえるまでにシンジの光る掌が男の頭を包み込む。

「少し、眠っていてもらおう。」

男はあえなく昏倒した。





ケイジ

数人の男たちがロープを引いている。

「了解。 停止信号プラグ、排出確認。」

「よし、三機ともエントリープラグ挿入準備。」

「しかし、いまだにパイロットが……。」

「大丈夫、あの子たちは必ず来るわ。」



通路

レイの提案で近道している三人。

シンジは先ほどの男を引きずっている。

「何故、消さなかったのですか?」

「解らないかな?

 死体は何も喋らないんだよ?」

「それはそうですが…この状況では…。」

「まぁ、何とかなるよ。」

 


ケイジ

ゲンドウも一緒になってワイヤーを引いている。

その様子を双眼鏡で見ているマヤ。

「プラグ、固定準備完了。」

「後はあの子たちね。」

 



ケイジ、出入り口

自動ドアが頑丈に閉まっている。

ゲンドウたちは他の通路を使ったため、ここは開いていない。

今度はアスカがドアに大穴を開ける。

そのままでは熱で通れないためレイが冷やす。

穴をくぐった先には驚いた表情のリツコとマヤ。

「…あなたたち。」

嬉しさと呆れと驚きの混じった複雑な表情をリツコは浮かべる。

「何、その人?」

「恐らく本部に潜入していた工作員です。

 調べてもらえますか?」

「わかったわ。

 …何したの?」

「眠らせただけですよ。」

 

そんな会話をしていると、遠くからゲンドウの叫び声が聞こえてきた。

「各機、エントリー準備!」

「了解。手動でハッチ開け。」

「エヴァの準備を?」

「ええ。 使徒が接近中よ。

 出撃してちょうだい。」

「なにも動かないのに、よく準備できましたね。」

「人の手でね。 司令のアイデアよ。」

「父さんの?」

「碇司令はあなたたちが来るのを信じて、準備していたのよ。」

 




各自プラグスーツに着替え、エヴァに乗り込む。

「プラグ挿入。」

「全機、補助電源にて起動完了。」

「第一ロックボルト、外せ。」

油圧パイプを非常用の斧で断ち切る作業員たち。

「2番から32番までの油圧ロックを解除。」

「圧力0、状況フリー。」

「かまわん。 各機実力で拘束具を強制除去! 出撃しろ。」

一斉に拘束具を強引に取り除き始めるエヴァ三機。

ミシミシと音を立てながら拘束具が取り除かれていく。

「使徒は直上にて停止の模様!」

「作業、急いで!」

「非常用バッテリー、搭載完了!!」

「よし、いけるわ!」

嬉しそうなリツコ以下、オペレーター達。

「発進!」

通路を腹這いで進むエヴァ三機。

「今回は誰が来たんですか?」

「多分…マトリエルよ。」

弐号機がハッチを蹴り飛ばし、縦穴に出る。

両手両足を使って縦穴をよじ登る。

「…なんか嫌な予感がしない?」

「…やっぱりそう思う?」

その時、アスカの眼前をオレンジ色の光が走る。

それは零号機の肩口に落ち、その部分を融解させる。

「ダメだっ、避けろっ!」

シンジが言った瞬間、大量の溶解液が落ちてくる。

思わず手を放す弐号機。

そして、足の部分に溶解液がかかり、滑り落ちる。

「クッ!」

弐号機は零号機を巻き込み落下する。

「チィッ!」

初号機は二機を受け止め、いったん通路に戻る。

 




零号機、エントリープラグ

「…マトリエルってこんな奴でしたっけ?」

『いや…変わった奴ではあったが…。』

『それより、どうします?』

『とりあえず、現状分析だ。

 ライフルは落とした。

 背中の電池も切れた。

 あと三分も持たんな。』

『…現状では有効な打開策は一つだけあります。』

『聞こう。』

『一人はディフェンス。

 マトリエルの溶解液からオフェンスを守る。

 バックアップは下降、落ちたライフルを回収しオフェンスに渡す。

 そして、オフェンスはライフルの一斉射にて目標を破壊。

 これが、現状では最も現実的なプランだと思いますが。』

「そうね。 ディフェンスは私が。」

『いや、僕が行こう。』

『…アタシにやらせて下さい。』

『ミカエル。

 ディフェンスはシンクロ率が特に高いキミでは不向きだ。

 ダメージが大きい。』

『だから…なんですよ。』

『…どういう事だ?』

『ルシフェル様の痛みが解るとは申しませんが…あのときの罪が…私には…あります。

 ルシフェル様はオフェンスを。

 ガブリエルはバックアップ。

 …やらせて下さい。』

「…わかったわ。」

通信を切るレイ。

「しっかりあのときの事引きずってるじゃないの…バカね…。」

 

 

 

「やれやれ、言い出したら聞かないのは変わってないな…。」

渋々承諾するシンジ。

「じゃ、行きます! 

 Gehen!!」

飛び出す弐号機と零号機。

少し遅れて初号機。

ディフェンスに回った弐号機に溶解液が降り注ぐ。

「くう…ぅ…。」

苦痛に耐えるアスカ。

初号機は攻撃体制に、零号機は着地しライフルを掴む。

「ガブリエル!」

零号機はライフルを投げる。

初号機はそれを受け取り、構える。

「ミカエルッ! 退くんだっ!」

横に避ける弐号機。

射線が取れた瞬間、トリガーを引く。

銃弾は無数に使徒の体を貫通し、マトリエルは倒れた。

落下してきた弐号機を受け止める初号機。

「これで…許して頂けるでしょうか…?」

「バカだな…もうとっくに許してるよ…。」





エレベーター

加持がミサトを肩車している。

「もう〜っ! なんで開かないのよ〜!

 非常事態なのよ〜!

 あ…ああっ! 漏れちゃう! う…うう〜っ!」

思わず顔を上げる加持。

「こら、上見ちゃダメって言ってるでしょう!」

まだ、加持の動きを気にするくらいの余裕はあるようだ。

「へいへい。」

突然、ライトが点灯し、動き出すエレベーター。

「を?」

情けない声と言うより意味不明の言葉を吐きながら倒れる二人。

チ〜ン♪

そして、扉が開く。

そこには、リツコ、マヤ、日向の姿。

エレベーターの中では重なって倒れているミサトと加持。

リツコは額に青筋を浮かべている。

そして、マヤの止めの一言。

「…フケツ…。」



夜、第三新東京市を一望できる丘

プラグスーツのまま腰を下ろしている三人。

アスカに至っては寝ころんでいる。

真っ暗な街を見下ろしながらシンジ達はマトリエルについて考えていた。

「しかし…マトリエルってあんな奴だったかなァ…?」

「ご自分の部下でしたんでしょう?

 それくらい把握してらっしゃらなかったんですか?」

一斉に街に明かりが灯る。

「いや、そう言われると…面目ない。」

「私知ってるわ。

 あのヒトが暇なときに怪しげな実験してたの…。」

「「怪しげ…って?」」

「…『何でも溶かす液体ができたっ!』 って見せに来た事があったの。

 それはホントだったみたい。」

「「みたい? って?」」

「だって、それを入れてた容器も解けていて実物を見れなかったから…。」

「…ありがちなオチね。」

「そんな事してたのか…あいつは…。」

三人してついたため息は、夜の闇に消えていった…。

 


NEXT
ver.-1.00 2001!01/18公開
感想・質問・誤字情報などは sl@555.104.net まで!


後書き

12話の後書きを読んでください。





 SL&秀真さんの『Seraphic feather』第十一話、公開です。




 お久しぶりの
 ミカエル
 ガブリエル
 ルシフェル
 今回も華麗に使徒を撃破〜

 ちょっと変わったマトリエルにきついお仕置き、
 無事に片付いて良かった良かったです。


 行きがけの駄賃、工作員もしっかり捕まえて・・・

 流石の三人、
 流石のシンジ、
 流石のルシフェル

 ですね☆


 この調子で次も行こう〜



 さあ、訪問者のみなさん。
 おひさーのSL&秀真さんに感想メールを送りましょう!




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