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『エイぷリールフールの正直者』


最後の使徒を倒してから数ヶ月がたちました。

アスカも第15使徒の精神汚染よりシンジの献身的な介護により何とか日常生活ができるまで回復しました。

アスカの性格は、以前より丸くなり他人の意見を聞く様になりましたが、シンジに対しては以前と同じ『女王様』と『下僕』の関係でありました。

それに対して関係者の感想は

「フッ、問題ない?予定通り」
「無様ね」
「碇君、守ってあげたい」
  :
  :

と、シンジに同情的かあきらめているのがほとんどでした。

なぜなら、アスカはシンジに我が侭を言っている時が一番生き生きしており、

シンジは、アスカが精神汚染の病床からここまで回復したと喜んでおり、アスカの我が侭を聞いている時の顔が明るかった。


しかしアスカは、シンジが入院時の献身的な『アスカだけのシンジ』から『同居人かつ友達のシンジ』に戻ってしまった為、イライラがたまりその捌け口としてシンジに我が侭を言っていた。

そして、二人の保護者である葛城ミサトは、『いじぱりな妹』と『鈍感な弟』を自分と加持にだぶらせていたので、なんとか2人のために一肌脱ぎたいと考えていた。



そして、2016年3月31日

ミサトは、アスカにもうすこし素直になるようにと相談していた。

「アスカ、いくらシンちゃんが構ってくれないからって八つ当たりはよくないわよ。そんな事してたらシンちゃんに嫌われるわよ。」

「わかっているわよミサト。だけど退院してからのシンジをみていると病室でのシンジの気持ちが信じられなくなってきてね....」

「だからといってアスカ!」

「わかっているの。
 シンジにだけは嫌われたくない。
 シンジにだけはいつも私を見ていて欲しい。
 シンジにだけは裏切られたくない。
 シンジにだけは捨てられたくないの....

 だけど、一番大事な言葉はシンジから言って欲しいの....
 けど、あのシンジから無理よね....
 アイツは八方美人で誰にでも優しいから
 だから、いつも我が侭を言ってシンジにはアタシを見てもらう様にしているの....」

 アスカは、涙をにじませながら答えた。

 ミサトは、アスカの我が侭だと思ったが、アスカの涙を見たらどうして否定できず、慰めることしかできなかった。

「アスカ....
 シンちゃんは、あなたが思っている程鈍感でも八方美人でもないわ。
 だってあなたが失踪から退院までのシンちゃんの行動を見ていれば分かるわ。
 シンちゃんは、他の誰よりもアスカを想っているわ。」

「だけどミサト、一番大事な言葉はシンジから言って欲しいの....」

 ミサトは、アスカが落ち着くの見計らってある計画をもちかけた。

「アスカ、あなたの気持ちも解るけど、
 この調子だと段々シンちゃんはアスカを見るけど心は反対に離れていくわよ。」

「じゃあ、ミサトとうすればいいの?
 昨日まで散々我が侭言ってたのに
 今日から変えることなんて私にはできないわ」

「アスカ、あなたから変えられなくても
 例えば、シンちゃんから告白させれば二人の関係を変えることができるわよね?」

「だって、ミサト?
 あいつは、退院してから数ヶ月、何度かいいムードになっても何も言ってくれない唐変木よ。
 いまさらどうやって言わせるの?」

「アスカ、お姉さんがいい考えがあるわ。」

 困惑するアスカを尻目にミサトはゲンドウ笑いで作戦を説明した。



次の日(2016年4月1日)
ミサト宅

シンジが朝起きていつもの日課である朝風呂と朝食の用意を済ませアスカを起こしにいくとアスカの姿は無く部屋は片づけられていた。

「アスカ!アスカ!」シンジは、家の中を探しまわってからミサトを起こしてアスカが見当たらないことを言った。

「ミサトさん、アスカが居ないです。ミサトさん知りませんか?」

「シンジ君、アスカなら今朝早く出て行ったわ。」

「ミサトさんどうして止めてくれなかったんですか。」

 シンジは、ミサトの真意が解らず問いただした。

 そんなシンジを見てミサトは、真面目に答えた。

「アスカは、今の生活に区切りをつける為に出ていったの。」

 シンジはアスカが心配でミサトを怒鳴った。

「ミサトさん、アスカは病み上がりなんですよ! 今アスカを止めないとまた病気が再発しますよ。」

 ミサトは、シンジの態度を見て『ハマッタな』と思いながら優しくいった。

「アスカは、シンジ君あなた以外の誰の言葉も聞かないわ。
 アスカの新しい住所も今いる場所もわかっているわ。」

「ミサトさん早くその場所を教えて下さい。」

「落ち着きなさいシンジ君、アスカはあなたの本当の気持ちが知りたいの。」

 シンジは、ミサトの質問に戸惑いながら問い返した。

「本当の気持ち?」

「シンジ君あなたは、アスカをどう思っているの?
 仲間?
 同僚?
 家族?
 けど、そんなことじゃアスカを引き止めることはできないわ。
 アスカ、あなたのことがすきなの
 特に退院してからのアスカの態度は、シンジ君の気持ちを一人占めしたい。好かれたい気持ちの裏返しなの。」

「急にそんなこと聞かれても....」

「シンジ君、アスカを中途半端な気持ちで迎えに行ってもだめよ。
 アスカは覚悟して行動しているのだから。

 ところでシンジ君、今日は何の日か知っている?」

 シンジは、きゅうに話を誤魔化され苛立つように答えた。

「へっ? エイプリールフールですが、それがどうしたんですか。今はそんな場合じゃないでしょう。」

 ミサトは、諭すようにシンジに言った。

「シンジ君、エイプリールは年に一回神様が嘘をついても許す日なの。
 あなたの場合、年に一回正直になってもいいはずよ。
 あなたの正直な気持ちをアスカにぶつけてきなさい。
 アスカは、ここで待っているわ。」

 ミサトが見せた地図には第3東京展望公園(ユニゾンの時の公園)が示してあった。

「ミサトさん何を企んでいるんですか?」

 ミサトは、ビールのプルトップを開けながらおどけて答えた。

(プシュ!)
「プファ〜! シンちゃんお姉さんは何もしてないわよ。ただアスカの相談にのってあげただけよ。
 アスカが、煮え切らないから後押しもしてあげたけど。」

「ミサトさん、アスカにもし何かあったらどうするですか。まったく。」

 シンジは、オジサンモードに逃げたミサトに愚痴を言ってから走りだした。
            :
            :

第3東京展望公園

 公園に来たシンジは、ベンチに待っていたアスカに走りよった。

 シンジがアスカに声を掛ける前にアスカがシンジを見つけて開口一番

「シンジ!ごめんなさい!こんなことをしてごめんなさい。」

 と叫んで深々と頭をさげた。

 シンジはアスカのその行動をみて怒ることも愚痴をこぼすこともできなかった。

 そんなシンジを見てアスカは、堰を切った様にシンジに話した。

「シンジ!
 今まで私の面倒を見てくれてどうもありがとう。
 おかげで私は立ち直ることができたわ。
 神経が鬱な時、シンジが側に居てくれどんなに助かったことか。
 感謝の気持ちは言葉では言いきれないわ。

 でも、私はシンジも知っているように我が侭なの、
 こんなことをしてシンジにだけは嫌われたくない、
 だけどシンジの気持ちが知りたいの
 シンジ、私のことどう思っているの?
 うるさい仲間?
 高飛車な同僚?
 我が侭な家族?
 アタシはアタシはシンジが初めて会った時から大切な人として見てきたつもりよ。

 シンジ、今日はエイプリールフール
 内気なシンジが世間を騙して正直になっていいはずだとミサトがいってた。
 お願いシンジ、私のことどう思っているの?正直に話してお願い。」

 急に本題を聞かれてシンジは、戸惑って答えられなくなった。

「....」

 そんなシンジを見たアスカは、シンジに嫌われていると誤解して目に涙を溜めてポッリと言った。

「....やっぱりこんな我が侭な娘は、嫌いよねシンジ
 アタシは、ミサトの家から出て行くわ、
 だってもうシンジにこれ以上優しくされるのが辛いから....」

 シンジは己の躊躇した態度がアスカを傷つけたこと悟り、ここから消えそうなアスカを抱きしめた。

「!」

 シンジはアスカを抱きしめながら耳元で普段自分の中のアスカに言っていること囁いた。

「アスカ、君は僕に対して同じ目線で考えてくれる大切な人であり、
 いつも僕を暖めて勇気づけてくれる大切な人、
 そして、側にいて欲しい一番大事な人だよ。アスカ!」

 アスカは、胸が暖まる涙を流しながらシンジの言葉を聞いていた。

 シンジはアスカの体を離し、アスカに自分の想いが伝わる様に話した。

「碇シンジは、惣流・アスカ・ラングレーを愛しています。」

 アスカは、1度は止まった涙を再び流しながら答えた。

「シンジ、惣流・アスカ・ラングレーも碇シンジを愛しています。」

 2人の影は朝日のなか一つの影に重なりました。

           :
           :


 時は流れ2019年6月のある披露宴会場

 新郎・新婦の暴露映像が流れていました。

 ナレーションは、あの加持ミサト。出し物はモチロン『シンジ&アスカ愛の軌跡』

 画面が『公園の朝日のシーン....』

「こうして2人は、エイプリールフールに1つ正直になり最初に心を通わせた公園で友人から恋人へのステップを上がりましたとさ....」

 会場は、やんややんやの大騒ぎになり、ミサトは大満足でした。

 その場でのシンジとアスカは、真っ赤になり「ミサト(さん)!!」(*・・*);でした。

 そしてミサトはゲンドウ笑いで「こんな面白いおもちゃはまだまだ手放せないわ(ハアト)」と呟いた。

 シンジとアスカの苦労はまだまだ続く....


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ver.-1.00 1998+04/17 公開
感想・質問・誤字情報などは こちらまで!





 本日最初の御入居者です(^^)

 めぞん通算123番目の NASAさん、はろう〜☆


 今回の募集9人目です。

 締切を先延ばしたので、
 えらい数になってきましたね(^^;


 次の方で二桁・・・
 あと、5人くらいでしょうか。

 送り直しや訂正などが多くて、
 正確な数が分かりにくいや(^^;;;;




 第1作『エイぷリールフールの正直者』、公開です。


 素直になれない
 素直に出来ない

 一歩踏み出すことに臆病な二人を
 そのように持っていく。

 ミサトさんも策士ですね(^^)


 幸せで良かった



 さあ、訪問者の皆さん。
 1.2.3.でNASAさんに感想メールを送りましょう!



 だいぶ昔、
「(N)なにがなんでも(A)あんち(S)そうりゅう(A)あすからんぐれー」

 って組織、有りませんでしたっけ???


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