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 「アタシのこと好き?」

 講義室へ向かう道中、隣を歩くシンジに尋ねた。

 「今更何言ってるんだよ。決まってるじゃないか」

 顔を背けながらシンジが答えた。

 「ちゃんと、アタシの目を見て答えられる?」

 さらに促した。

 「あ、あ、あ、当たり前じゃないか」

 そして、その言葉をアタシは聞いた。

 遅くなった歩みを元のペースに戻して、アタシ達は足を進めた。

 しばらく沈黙が続く。




 五十歩程歩いたところでアタシは口を開いた。

 「アタシの誕生日って知ってる?」

 シンジの血の気が引く音が、空気の波動となって耳に伝わってきた。

 「・・・」

 「・・・」

 「ひょっとして忘れていたなんて言わないわよね、シンジ君。ん?」

 シンジが歩む足を止めた。

 「ごめんなさい!おっしゃられるとおり、すっかり忘れてました!」

 シンジが地べたに這いつくばって土下座する。

 「前の日トウジ達と飲みに行って、二日酔いになってそのまま記憶が飛んで、すっかり忘れてました」

 顔を上げて潤む目線をアタシに浴びせる。

 「ふーん」

 腕を組んで見下ろすアタシ。

 「ひらに、ひらに、このとおりです。カニでもお寿司でも好きなものおごるから」

 カニ?

 ちょっと反応したアタシだがそんなものには惑わされない。

 「上海ガニでも、タラバガニでもズワイガニでもカニみそ盛り合わせでも、何でも注文されて結構です!」

 畳みかけるようにシンジが続ける。

 う、上海・・・・・・・・・カニみそ・・・・・・・・・・、ダメダメダメ、許しちゃダメよアスカ。

 「そ、その食べ物で釣ろうっていう根性が気にくわないのよ!自分の女の誕生日も忘れるなんて何考えてるの?」

 そう言ってアタシは小走りにその場を去った。

 周りからの奇特なモノを見る視線を浴びているシンジを残して。





























From me to you.




























 アタシ達は大学へ進学した。

 シンジは文学部史学科で、アタシは経営学部経営学科。

 あの馬鹿チンは歴史家になりたいんだって。

 アタシは工学の博士号をドイツで取得しているから、どれにするか迷って結局はアミダで決めた。

 で、今二回生。

 最初の二年間は一般教養という教科があり、学部を問わず受講できるのでアタシ達は重なるような取り方をしていた。

 だから大半の講義は一緒に受けている。




 ヒカリは短期大学部家政科。

 保母さんになるんだって。

 アタシの子供はヒカリの所に絶対お願いするんだから。

 ・・・子供か。

 誰の子供なんだろう。




 ってシンジとの子供に決まってるでしょうが。

 何考えているのよ。

 アタシが貰われてあげなけりゃ誰がアイツの奥さんになるってのよ。

 ・・・。

 シンジはどう思っているのかな。

 ああ見えても結構女にもてているのよね。

 もしかしてフェロもんの生まれ変わりなんじゃないの。

 大丈夫、なはず。

 身も心も一つになったんだから。

 大丈夫、よね。

 たぶん。

 あああああ、暗くなってどうすんのよ。

 心配してたらきりがないわ。




 えーとえーと、そうそうトウジお馬鹿ジャージマンは体育科に進学。

 期待を裏切らない男ね。




 変態エロメガネはマスコミ科。

 やること全然変わらないわねこいつら。




 レイは医学部。

 将来はセラピストになりたいとか言ってるけど、あの娘自分のおつむの心配したらどうなのかしら。

 治る患者もノイローゼになるんじゃないかしら。




 カヲルは、あの男と女の敵は、バイ野郎は、性獣は、・・・・・・・・・シンジと一緒。

 いつまでシンジのあと追っかけてりゃいいのよ。

 レイが半分野放しにしてるからいけないのよ。

 一番心配な組み合わせだわ。




 で、この前の誕生日でアタシは20歳になった。




 「誕生日おめでとうアスカ」

 「ありがと」

 「アスカもこれで大人の仲間入りだね」

 「これでまたシンジに追いついたわね」

 「それであのあのあの、アスカにプレゼントというか、言いたいことがあるんだ」

 「え、なな何よ」

 「ぼぼぼ僕とけ、け、け」

 「男だったらはっきり言いなさいよ」

 「僕は君より七歳も年上だし、何というか、その、生活人として欠けたところがあるし、その他にも欠点だらけだし、いろいろと顧みてこんなこと申し込む資格があるかどうか疑問だし、いかにも地位利用をしているみたいだし、目の前に戦闘をひかえてこんな場合にこんなことを申し込むのは不謹慎だろうし・・・・・・」

 「アンタ何言ってるのよ」

 「だけど言わなくて後悔するよりは言って後悔するほうがいい・・・・・・ああ、こまったものだな、さっきから自分の都合ばっかり言ってる。要するに・・・・・・要するに、結婚してほしいんだ」

 「二人の年金をあわせたら・・・じゃなくて、本当!?アタシうれちいわ」

 「今すぐけちこんしませう」

 「しんじあいちてるわ」

 そして熱いベーゼが二人の間に交わされる。

 わーわーわー。

 「おめでとー」

 「おめでとさーん」

 「おめでとう」

 「めでたいめでたい」

 「熱々の二人には冬の寒さもかなわないぜ」

 「うむ、その通り」

 あーっはっはっは。

 わーわーわー・・・・・・。




 なんちゃってなんちゃってなんちゃって。

 とか、思っていたのに。

 あんの馬鹿チンが!!

 ワスレテタですって。

 ゴメンワスレテタ、ですって?

 はん!

 なあんにが、ゴメンワスレテタよ。

 ・・・人の気も知らないで。

 馬鹿。




 哲学の講義がダラダラと進められている。

 300人収容の大教室なのに、席は二割ほどしか埋まっていない。

 これじゃあしょうがないわよね。

 クドクドと喋り続ける教授を見ながらアタシは思った。

 前の方を見るとシンジがいた。

 その隣にはカヲル。

 あ、またやっちゃった。

 最近の机はもろいわね。




 シンジもこっちに気がついているらしく、チラチラと見てくる。

 アタシはそっぽ向いて外の景色を見やった。

 携帯端末から小さな音が鳴った。

 あ、メールだ。

 どうせシンジでしょ。

 謝りの文章がつらつら並べられている内容なんだろうな、と思いつつ開いた。

 しょうがない許してやろうかな。

 カニフルコース奢らせようっと、って、あによこれ。




 from : k.nagisa@gerocities.co.jp

 to : asuka.soryu@bigwave.or.jp

 cc :

 bcc :


 subject : 通達


 シンジ君はもらった。

 <(--)

 by みんなのアイドル カヲル君




 ・・・殺す。

 ってゆうか、殺したくる。




 from : asuka.soryu@bigwave.or.jp

 to : k.nagisa@gerocities.co.jp

 cc :

 bcc :


 subject : Re : 通達


 アンタの誕生日は知らないけれど、命日は知ってるわ。




 一睨みしてアタシは返信を送った。




 お、顔青ざめさせちゃって、だったら最初から仕掛けてこなけりゃいいのよ。

 カヲルがビシバシとキーボードを叩いている様子が見える。

 む、これね。

 届けられたメールを再度開いた。




 from : k.nagisa@gerocities.co.jp

 to : asuka.soryu@bigwave.or.jp

 cc :

 bcc :


 subject : 無条件降伏


 ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです僕が悪かったです許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ許してちょんまげ。

m(__)m

by あなたの下僕 カヲル




 ばーか。

 あほ。

 おたんちん。

 へちゃむくれ。

 何考えてんの。

 誠意の欠片も感じられないわ。

 ん?

 あによ、シンジからは何もないわけ?

 ・・・シンジの・・・ばか。

 ・・・。




 結局講義が終了するまでシンジからのメールは来なかった。

 昼休みになったので、ヒカリ達と待ち合わせしている食堂へ移動することにした。

 もう知るもんですか。

 さっさと一人で向かった。




 混雑しているキャンパスを早足で歩いていると、後ろから呼び声が聞こえる。

 アスカアスカってうるさいわね。

 アタシは犬じゃないのよ。

 シンジがカヲルを連れてやってくるのが肩越しに見えた。

 小走りでさらに前へ進む。

 「アスカ!」

 そして走りだそうとした瞬間、腕を掴まれた。




 「痛いわね、離しなさいよ」

 いや、ずっと掴んでいて欲しい。

 アタシをしっかりと捕まえていて欲しい。

 あたしの気持ちと言葉は正反対だった。

 「ちょっと話くらい聞いてよ」

 「しつこいわね。アタシは話すことなんて何もないわよ」

 手を振りほどくと、アタシはその場を離れようとした。

 「アスカ」

 振り向いた瞬間後ろからシンジに抱きすくめられた。

 そして力強くシンジの方に向きを変えさせられた。

 「人前で、恥ずかしいよ」

 周りの好奇の視線にさらされアタシは目を伏せた。

 「アスカ、君に伝えたいことがあるんだ。大事な大事なことなんだ」

 その言葉を聞いてアタシの心拍数は一気に跳ね上がった。

 ・・・まさか、どうしようどうしよう。

 シンジ。




 口を金魚みたいに何回かパクパクさせたあと、意を決したようにシンジが言葉を発した。

 「・・・・・・これからもずっと僕の側にいて欲しい。アスカの身も心も全て愛している。二人で一緒に道を歩いていきたいんだ。だから・・・」

 ボーっとシンジの顔がぼやけている。

 アタシどうしたんだろう。

 だから?

 だから何よ?

 「だから、その、つまり」

 アタシは黙って聞いている。

 もう周りの目も気にならなかった。

 もはや確信していた。

 その言葉を待っていた。

 「要するに・・・・・・要するに、結婚してほしいんだ」

 どこかで聞いたセリフ、と一瞬思ったけど、アタシの涙腺が一気にはじけ飛んだ。

 シンジの胸の中に顔を埋めて泣きじゃくった。

 優しくシンジが体ごと包んでくれた。

 アタシこの言葉をずっと待ってたんだ。

 そう気がついた。




 しばらく泣くだけ泣くと、さすがに涙も止まった。

 シンジの顔を見上げると、表現しがたい表情を浮かべていた。

 アタシはこんな深刻な顔を見たことがなかった。

 「どうしたの?」

 目を擦りながらアタシは尋ねた。

 「・・・・・・返事をまだしてもらってないんだけど、どうなんだろう」

 「え!?」

 アタシは自分の迂闊さに気がついて、頬を熱くした。

 アタシのイエスかノーかは明白だったから、そのことに関する思考と言動が止まっていた。

 震える口をなんとか制御しようとする。

 そしてアタシは、自分の正直な気持ちを伝えた。

 「ハイ」

 小さな声しか絞り出せなかったが、シンジの表情で伝わったことが分かった。

 「イエス。ヤー。アタシもシンジの全てを愛してる」

 アタシ達は再び抱き合った。

 その瞬間固唾を飲んで見守っていただろう観衆から、詰めていた息を吐き出す音と、その後わき上がった拍手と歓声の嵐がアタシ達を包んだ。

 アタシ達の周り2メートルを中心として、人の輪が出来上がっていた。

 そういえばここ、学校だったのよね。

 今更気がついたが、シンジの顔を見て気にしないことにした。







 「あんなところでプロポーズするなんて」

 いたずらっぽく笑ってシンジの鼻を突っついた。

 さすがに人前でずっとのろけてるわけにもいかないので、裏庭の人目に付かないところまでアタシ達は移動していた。

 「ごめん、つい。なんか勢いで。本当は誕生日の時に言おうと思っていたんだけど。このプレゼントと一緒に」

 そう言うとシンジは鞄の中から小さな箱を取りだした。

 アタシの目の前で開けられたその中には、紅の宝石が付けられた指輪が入っていた。

 「・・・綺麗」

 思わずうっとりと見入ってしまう。

 「父さんにプロポーズのこと話したら、これ持っていけって。母さんの形見だって」

 シンジがそれを取り出しながら言った。

 「あの司令が・・・」

 ちょっと意外だった。

 司令も人の子なのね。

 


 「我、碇シンジから、汝、惣流アスカ・ラングレーに一生の忠誠を捧げる証として、このルビーを贈るものである」

 芝居がかった厳かな顔をしてシンジが言った。

 眼が笑っているわよ。

 「受け取っていただけますか?」

 シンジが右手で指輪摘み、左手をこっちに差し出して言葉を続けた。

 「私、惣流アスカ・ラングレーは貴方の忠誠を受け、私の心と体が貴方のものであることの証に、指輪を」

 喉が詰まって、涙がまたあふれてきた。

 「・・・指輪を頂戴いたします」

 笑ってるのに涙が止まらない。

 本当泣き虫ね、アタシ。

 アタシもシンジの前じゃあただの女の子なのね。

 左手の薬指に指輪がはめられた。

 ぴったり。

 手をかざし、潤む目で紅の指輪を見つめた。

 「アスカに出会えてよかった」

 シンジが涙を拭いてくれた。

 「大事にしなさいよ」

 「うん」

 そしてアタシは目を閉じて顎を前に突き出した。

 「誓いのキスを、君に贈ります」

 そしてアタシ達は誓い合った。




つづく
ver.-1.00 1998+12/14 公開
感想・質問・誤字情報などは こちらまで!

  あとがき

 いよいよラス前。

 前回今年中で終わらせるって言ったけど、無理かも。

 Both Wingsの更新ももう一回あるし。

 来年に早々には必ず。

 その時にまた。

 でわ。




 妄想プロポーズの言葉はおわかりでしょうか。

 あれですね、某元帥閣下のセリフです。







 9th へっぽこおまけ(適当)




 物音に振り向くと、そこにはみんなが立っていた。

 ・・・み、見てたのね。

 「おめでとー」

 「おめでとさーん」

 「おめでとう」

 「めでたいめでたい」

 口々におめでとうと言いながら寄ってくる。

 一人を除いて。

 「シンジ君の、シンジ君の、大馬鹿野郎ー!!」

 泣きながら一人の馬鹿が走り去っていった。

 「綾波、慰めてあげてね」

 シンジがもみくちゃにされながらレイに話しかけている。

 「何であんな奴好きになったんだろ」

 レイが溜め息混じりに小首を傾げていた。

 ヒカリが羨ましそうに指輪を見つめている。

 ジャージマンとメガネが、シンジを小突き回している。

 ・・・メガネ本気ね、泣きじゃくっているもの。

 幸せだから今日は許してあげるわ。

 あああ、ミサトにもこの幸せ分けてあげたい。







 数時間後







 ・・・・・・先・・・・・・・・・・・越された・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。







 幸せの青い鳥ってどこにいるのかしら。




 ちくしょう。




 ちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょう・・・・・・。




おわり






 ZEROさんの『From me to you.』公開です。




 メガネ君、
 まだ、一人なんだね・・・

 ミサトさん、
 まだ、なんだね・・・


 そんなモンはほったらかしっ



 ついにゴールへ!
 ついにスタートへ!


 衆人・友人が環視する中でのプロポーズ。
 あぁシンジ−−もう逃げられ無いぞ・・・

 って、
 逃げるつもりなんて無いよね(^^)



 この先も、ズッ〜ット、
 仲良く
 らぶらぶで
 回りに見せつけて、
 しあわせはっぴゅーで・・

 って、
 言われるまでもないよね♪





 さあ、訪問者のみなさん。
 スイートテン、残り一つのZEROさんに感想メールを送りましょう!




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