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冬月の思い


『本日午後三時五十八分十五秒、
第7使徒甲と乙の攻撃によりエヴァ初号機二号機共に活動停止。
午前四時三分をもってネルフは・・・・・・・』




モニターには折り重なって倒れているエヴァの姿が映し出されている


「無様だな・・・」

冬月コウゾウがため息を吐くように呟く
しかし言葉とは反対にその表情はまるで息子の成長を喜ぶ父親のようだ

逆に隣に座っている碇ゲンドウは口を隠すかの様に組まれた手と濃い色眼
鏡によって分かり難いがその表情は愛娘を将来性の全く無いような男に奪わ
れたかの様に苦り切っている

「・・・申し訳ございません・・・・・・・」

そう答える葛城ミサトの顔色が悪いのは決して二日酔いのせいだけでは無い
みたいだ。




『同〇五分新型NN爆雷により目標を攻撃』




「また地図を書き直さなければならんな」

上手いジョークだと自分だけが思っているどこかの親父みたいに唇を吊り上
げる冬月
部屋にさらに重たい空気が流れる




『これにより構成物質の二十八%の焼却に成功』




セカンドチルドレンである惣流アスカラングレーの心の中に段々と怒りがつの る
その元はサードチルドレン、碇シンジの戦闘での情けなさであろう
おそらくはそれだけでは無いだろうが・・・・・・


加持リョウジは隣に座るミサトを心配そうに見ている

「大丈夫か、葛城?」

「気にしないで、あなたには関係の無い事だから」

そう言うとミサトはゲンドウを見る
その視線に気付いたゲンドウが苦り切っていた表情を一変させて普段からは信
じられない様な優しい視線を返す
ミサトは安らいだ顔をしてそっと右手を腹部に持って行った

そのミサトの一連の動作に気付いた赤木リツコとリョウジの顔が凍り付く




『同十二分二発目の新型NN爆雷により目標を攻撃』




(私達の子供は元気に育っているよ・・・・・
性格は私の方に近いかな?
でもこうして見ていると君によく似ているよ・・・・・・)

(今度こそ私は自分の子供から逃げるつもりはない
過ちは繰り返されてはならん
私は残りの人生を全て君たちの為に使おう
・・・・・・・・・・・・・・・・ユイ・・・・・・・すまん・・・・・・)

(あなたはまた私を裏切ったのね・・・・・・
母さん・・・・どうすればいいの・・・・・・・・)

(真実とはこんなにも辛いのか・・・・・
あの時無理にでも引き止めておけば・・・・)

(これが幸せと言う物なのね
お父さん私達を見守っていてね)




『これにより構成物質の三十七%の焼却に成功
これまで全体の六十五%を焼却』




「碇君・・・・好き・・・・・・・」

ファーストチルドレン綾波レイが隣に座っているシンジの肩に頭をもたれかけ
ながら呟く。

「僕もだよ、綾波・・・・
もう君を離さないからね」

「私も碇君の側を離れない・・・・・
ずっと・・・・ずっと碇君の側に居る・・・・・・
それが私の幸せだから・・・・・・」

「僕も綾波の側に居るのが幸せだよ」

「うれしい・・・・・碇君・・・・・」

そう言うとシンジはレイの唇に自分のそれを重ね合わせる。

ちなみにシンジとレイは先程から何度も似たような事を繰り返している。




『三度目の新型NN爆雷は地殻の崩壊を起こす恐れがある為、同十七分より
通常兵器で攻撃』




コウゾウはモニターの音声を聞きながら昔の事を思い出していた。


初めてユイと会った事

ユイに誘われて一夜を共にした事

ユイがゲンドウと付き合っていると知った時の事

南極へ向かう海上でゲンドウがユイと結婚した事を知り呆然とした事

シンジが自分の子供だとユイに聞かされた時の事

そしてユイが消えた時の事


(ユイ君、もう一度君に・・・・・・・・・・・・)




『これにより目標は完全に沈黙』




これまで沈黙を守っていたゲンドウが立ち上がり口を開いた。

「新型NN兵器が使徒に効いた事によりネルフの存在理由はほとんど無くなった
これからはエヴァの管理、研究が主な仕事となる
エヴァは新型NN兵器がきかなかった場合にのみ出撃する」

「金食い虫はいらんのだそうだ」

そしてゲンドウはミサトと共に出て行った


「碇君、今日は私のアパートに泊って行って」

レイはシンジを見ながら恥ずかしそうに言った

「え?
でも綾波・・・・・・・」

「慣れれば痛くなくなるって本に書いて有ったわ
・・・・・・・・・それにまた碇君と一つになりたいの・・・・」


(レイ君、シンジを私と同じ道に行かせないでくれよ)

そう思いながらコウゾウは出て行こうとした


「僕も綾波と一つになりたい
今度はもっと上手くするよ」

この言葉を聞いたアスカはついに切れた

「何変な事言ってんのよこの、バカ碇!!!」


コウゾウの記憶が一気に蘇る

ゲンドウがよく言われていた言葉

そして自分も「バカ冬月!」と言われていた事

声は全く違うが、強弱の付け方、呼吸、そしてそこに込められた魂と言うべき物
までが同じ様に思われた

おもわずコウゾウは

「僕達は愛し合っているからいいじゃないか!!」

とシンジが言う前に叫んでいた


「ユイ様!!!!」





これ以後、副司令室に行くアスカの姿が多く目撃されている
また鞭を持って副司令室から出て行く姿を見たとの報告もある

ミサトはゲンドウの家に移り住んだ
この日からゲンドウの好物にミサト特製カレーオニオンスペシャルが加わった

腕を組んで歩くシンジとレイ
レイの右手の薬指には指輪が見える
彼らは二十歩に一回ぐらいの割合でキスをしながら歩いている

「先輩・・・・嬉しいです・・・・・・・
ああっ・・・・・・・先輩・・・・・・先輩・・・・・・先輩・・・・・・・・・
・」
(マヤ、一緒に堕ちて行きましょう・・・・・・・・・)

「加持さん・・・・俺、男ですよ・・・・・・
でも、かまいません・・・・・・・あなたとなら・・・・・・・」




やがて新型NN兵器により出てきた使徒全てが殲滅された


世界に平和が訪れた




                                     完






ver.-1.00 1998+04/16公開
感想・質問・誤字情報などは seisui@mtci.ne.jp まで!





おまけ


ちなみにゼーレがどうなったかと言うと

キールが自ら作っていた完成した使徒を一目見るなり

「神に成るより良い事を見つけた」

と言い、その使徒をもって姿をくらました

他の面々も使徒のダミーを持って居無くなった

何人かはダミーを女体化させたそうである

そしてゼーレは無くなった






 【大家の誕生日を記念した新規住人募集】、初の短編投稿です(^^)



 2時過ぎ。
 メールチェックをしようとメーラの「受信ボタン」をプチ。

 表示されたトンでもない情報
 ”40”

 「最近サーバにトラブルが起きているから、
  それ関連でプロバイダのMLが盛んなのに違いない」

 そう自分にいいかきかせて受信を待っていました(^^;


 予想はほぼ当たっていましたが、
 それでも入居申し込みが更に8つばかし。


 すごいです
 なにがすごいって、いろいろ(^^;



 めぞん通算120人目、
 切りのいい数字となった西垂さん、ようこそ♪


 第1作『冬月の思い』公開です。


 新型NNで
 EVAがほとんど用済みになって、


 ゼーレがいかれて

 全部が終わって、


 とりあえずはっぴぃかなな??



 さあ、訪問者の皆さん。
 貴方の感想を西垂さんにメールしましょう!


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