TOP 】 / 【 めぞん 】 / [TIME]の部屋に戻る/ NEXT



------AD 2015 9 Apr-------

少女は困っていた。
この街に引っ越してきてまだ数日しか経っていない。
それにあまり外に出て歩き回っていないので、
この辺りの地理は良くわからない。
ちらりと時計を見る。もう九時を回っている。
こうなったら、誰か捕まえて道を聞くしかない。
そう決心した少女は近くを歩いている人に話かけた。


-------------------------------
Sweet-Dreams 第四章 「出会い」
-------------------------------


「こらっ。シンジ、起きなさい。遅刻よ!!」
惣流・アスカ・ラングレーは大声を上げて、布団を取り払う。
その下には丸くなった一人の少年がいる。
「シンジ、起きなさい!!」
少年は目をこすりこすり、起き上がる。
髪は寝ぐせでボサボサである。
名前は碇シンジ、アスカとは幼稚園からのつき合いであり、
俗に言う幼馴染みである。

「ほら、早く着替えないと、遅刻するわよ!!」
シンジに制服を手渡しながらアスカは言う。
「うーん。ありがと、アスカ・・」
制服を受けとって、シンジは大きなあくびをする。
「じゃあ、アタシはリビングに行ってるから。
ちゃんと着替えるのよ。」
アスカはドアから出ていく。
それをぼーっと見ていたシンジ、こてんとベッドに横になり、
布団を被ろうとする。

「こら!!何やってるのよ!!」
アスカが再び部屋に入ってきて、シンジから布団を取り上げる。
「もう、アンタってばどうしてそうグズグズしてるの?
ちゃっちゃと着替えなさいよ。」

しかたなく起きるシンジ。
パジャマの上着をばっと脱ぐ。
それを見て真っ赤になるアスカ、慌ててドアの方を向いてシンジに言う。
「こ、こらシンジ。アタシが出ていってから着替えなさいよ!!」
アスカは部屋の外に出ていく。


リビングに出てきたアスカに、
料理を作っているユイが声をかける。
「ごめんね。アスカちゃん。いつもシンジを起こしてもらって。」
アスカが笑顔で答える。
「いいえ。アタシが自分でやってることですから。」
そこに服を着替えたシンジがやってくる。
「おはよう。父さん。母さん。」
「シンジ、ご飯はどうするの?」
「うん。時間がないから今日はいいよ。」
シンジは玄関で靴を履きながら答える。
新聞から目を離さずゲンドウが言う。
「シンジ。朝食は一日の基本だぞ、今日はしかたないが、
なるべく食べるようにしろ。」
「うん。わかってるよ。」
アスカはシンジの背中を押しながら玄関を出ていく。
「じゃ、おじさま、おばさま、行ってきます。」
「はい、いってらっしゃい。」
ユイはそう答えると、ゲンドウを見る。
「さあ、あなたも早く支度してくださいな。
今日は冬月先生のところに行くんでしょ。」
あいかわらず、新聞から目を話さずに答えるゲンドウ。
「・・あぁ、わかってるよ。ユイ。」
それを見てため息をつくユイ。
「まったく、あなたってばどうして
そんなに新聞が好きなんでしょうね。」
きっぱりと言いきるゲンドウ。
「ユイ。これは私の趣味だ。」
「はいはい。わかってますよ。お願いですから
支度を先にやってくださいね。」
「・・あぁ、わかってるよ。ユイ。」
ゲンドウは新聞から目を離さずに、着替えるために
部屋に入っていくのであった。


「なんか、いつもより人が多い気がするんだけど。」
学校への道を走りながらシンジはアスカに話しかける。
歩道の人通りあまり多くないが、車道を走っている
車はかなり多く、信号待ちで少し渋滞しているようだ。
「まあね、ここも来年の選都で首都になるから、
いろんなところから人や物が集まってくるわよ。」
シンジの方を振り返って答えるアスカ。
「そうだね、クラス分けの噂をケンスケから聞いたけど、
去年より二クラス多いんだって、それだけ人も増えてるんだね。」
「ふーん。相田ってばそういうことだけには詳しいんだから。」
ふとアスカから目線をはずし、前をみたシンジ。
慌ててアスカに声をかける。
「ア、アスカ、前、危ない!!」
「えっ?」
慌てて前を見るアスカ、そこには一人の女の子が歩いている。
「うわぁ、ちょっとどいてぇー。」
その少女はこちらを見て、驚いたように横によける。
そこを通り過ぎるアスカ。
「ちょっとアスカ。走るのはいいけど、前をちゃんと見なきゃ。」
やっと止まったアスカがその女の子に答える。
「ごめん。マユミ。気をつけるね。」
その女の子はため息をつき、シンジの方を見る。
「シンジ君からも言ってやって。アスカこのままだと絶対ケガするから。」
その子の名前は山岸マユミという
髪の毛は漆黒で肩でそろえている。眼鏡をかけており、顔つきは
おとなしめである。性格も控え目であまり目立たなかったが、
シンジ、トウジ、ケンスケと共に学園祭でバンドを組んでからは
以前より明るくなった。

息を整えながら、ジロリとシンジを見て、アスカが言う。
「もとはと言えばシンジが声をかけるからよ。」
シンジもはあはあ言いながら、答える。
「・・いや、それはそうだけど・・」
マユミが不思議そうにアスカに聞く。
「ところで、何をそんなに急いでるの?」
アスカははっとして腕時計を見る。
「あぁ、もうこんな時間じゃない。
マユミも急がないと遅刻しちゃうよ。」
マユミは澄ました顔で、
「もしかして、アスカは忘れちゃったの?
今年から時間割が変わって始業時間が十分遅くなったじゃないの。」
「あぁ、そういえば。」
シンジが声をあげる。
「それに今日は編入生の手続きとかで、もう二十分遅くていいはずよ。」
「・・ということは。」
時計を見るマユミ。
「このまま、歩いていけば、そうね、
十五分前には学校に着けると思うよ。」
シンジはほっとため息をつく。
「確かにそんなこと言ってたような記憶が。」
アスカもうなずく。
「そうね。アタシも言われてみるとそんな気がする。」
マユミは嬉しそうに笑っている。
「二人ともちゃんとしてよね。・・さ、そろそろ行きましょ。」
三人は並んで、学校に向かって歩きはじめた。


マユミの予想通り、学校には始業時間の十五分前についた。
三人が教室に入っていくと、鈴原トウジがシンジに声をかける。
「ようセンセ、今日は両手に花かいな。ホンマ、大変やな。」
あきれ顔でアスカが答える。
「開口一番それ?まったくアンタもあいかわらずみたいね。」
したり顔のトウジ。
「そや、一週間かそこらで性格が変わったら、そのほうが恐いで。」
「まぁ、それもそうね。バカは死ななきゃ直らないものね。」
「惣流もあいかわず口が悪いな。」
相田ケンスケが教室に入って来る。
不思議そうにシンジが聞く。
「あれ、ケンスケ、どこに行ってたの?」
「職員室にね。今年の編入生ですごく可愛い子がいるんだけど、
また来てないみたいで。せっかくデジカメとDVDカメラ
持ってきたんだけどな。」
残念そうに答えるケンスケ。
「へえ、そんな子がいるんだ。」
「あぁ、写真はこれだ。」
そう言って、ケンスケはシンジの机の上に写真を置く。
そのまわりに男子生徒が集まる。
その写真には一人の少女が少しうつむいた様子で写っていた。
画質があまりよくないので詳しくはわからないが、
確かに可愛く見える。
「へえ、結構可愛いね。」
そのシンジの言葉を聞いたアスカ。何か面白くない。
「おお、イイ線いってるんとちゃうか?」
そのトウジの言葉を聞いたクラス委員長の洞木ヒカリ。
こちらも心中穏やかではない。
「そうだろ、これは久々のヒットだと思うんだが。」
ケンスケも嬉しそうに答える。
「ったく、この三バカが。」
アスカとヒカリがユニゾンで言う。
「・・平和ねぇ。」
窓際の席に座り、文庫本を読んでいたマユミが
ふと窓の外を見て、ぽつりとつぶやいた。


ホームルームが始まりクラス分けが発表されたが、
結局新しい三年のクラスも顔ぶれはさほど変わっていない。
基本的に三年間同じクラスなのであるが、編入生が多いため
非常措置として、何人か引き抜いて、そこに編入生を入れる形を取っている。
例の編入生も同じクラスだったが、まだ学校には来ていないそうだ。


シンジは中学の校舎を見下ろせる丘に立っている、
桜の木にもたれかかって、寝転んでいた。
空気は澄んでいて気持ち良く、太陽の日差しがとても暖かい。
遠くで鳥の鳴き声が聞こえる。
風が吹くと降るように桜の花びらが舞っている。
なぜシンジがここにいるのかであるが、
始業式を抜け出してきているのである。
しかし、他のクラスでも脱走しているものがおり、
校舎の内外に結構な人数がいるようだった。
一緒に抜け出してきたトウジ、ケンスケは
例の編入生がやってこないか校舎の屋上で見張っている。
シンジも興味があったが、寝不足だったので、
ここで少し寝ることにした。

目を閉じて、寝ようかと思った時、
急に影ができたように感じられた。
シンジが目を開けてみると、一人の少女がシンジの隣に座って、
シンジの顔をのぞき込んでいる。
女子の制服を着てるから、同じ中学の子だろう。
シンジには見覚えがないが、しかしどこかで会ってるような気はした。
きれいな澄んだ瞳を、状況を忘れてシンジはじっとみつめた。

「ねぇ。」
その少女が口を開く。
「え、なにかな?」
慌ててシンジは起き上がる。
「もう、学校始まってるんじゃないの?」
その少女は不思議そうに首を傾げている。
「あの、始業式は始まってるんだけど、抜け出してきてるんだ。」
少女が微笑む。
シンジには笑顔がまぶしく見えた。
「じゃあサボリなの?」
苦笑して答えるシンジ。
「わかりやすく言うとそうだね。」
「ふーん。もしかしてキミって、不良?
タバコとか吸ってたりして。」
慌てて首を振るシンジ。
「そんなことないよ。ただ、寝たかったから。」
「寝不足なんだ。」
「うん。ちょっといろいろあって。」
少女は足を伸ばして、背伸びをしている。
「じゃあ、アタシもさぼっちゃおうかな?」
「もしかして、遅刻したの?」
にっこり笑って答える少女。
「うん。アタシ、この街に来てまだ二、三日だから、
道がよくわからなくって」
納得したようにうなずくシンジ。
「そうなんだ。」
思い出したように少女はシンジに質問する。
「ところで、君の名前は?」
「僕は碇シンジっていうんだ。君は?」
「碇君・・ね。アタシは綾波レイ。」
「綾波さんか。よろしく。」
嬉しそうなシンジ。レイも嬉しそうだ。
「よろしく。」

ふと、シンジは何かに思い当たったように、レイに聞く。
「もしかして、綾波さんって三年生?」
「そうだけど。」
シンジは気がついた。今、自分の前にいるこの少女が、
ケンスケが言っていた編入生だった。
さっき、どこかで会ったと思ったのは、
写真を見ていたからであった。
「じゃあ、僕と同じクラスだね。」
びっくりして答えるレイ。
「えっ、そうなんだ。」
「うん。新しいクラスで、先生が、
編入生で綾波レイという子がいるけど、
今日はまだ来ていないって言ってたから。」
「えー。もしかして遅刻ってアタシだけ?」
「うん。うちのクラスではね。」
「まいっちゃったなぁ、どうしよ。」
「まぁ、初めてなんだからしかたないよ。」
あっさりうなずくレイ。
「そうね。」
レイも木にもたれて、大きくのびをした。
「いいね、ここ。アタシも寝ちゃおうかな?」
シンジも木にもたれて答える。
「でも、早く行った方がいいんじゃないの?」
「へーき、へーき。どうせ始業式が終るまで、時間があるんでしょ?
それが終るまで、寝てもいいんじゃない?」
「といっても、あと三十分ぐらいだけど。」
「それだけあれば、十分よ。」
シンジはレイの方を見る。
「そうかな?」
しかしレイは答えない。
シンジは起き上がって、レイを見てみる。
レイはもう寝ているようだ。
「すごい。もう寝てるよ。」
シンジは寝るのをやめ、座って、
飽きることなくレイの寝顔を見ていた。
そして、その二人を春の日差しが暖かく包み込んでいった。


「紹介しよう。編入生の綾波レイ君だ。」
先生が黒板に名前を書いて紹介する。
男子生徒は一様にレイに見とれている。
ケンスケはDVDカメラでひたすらレイを撮っている。
そんな男子生徒を見ている女子生徒はおもしろくない。
レイはシンジの方に向かって、小さく手を振ってから挨拶した。
「綾波レイです。よろしくお願いします。」
シンジは手を振り返していたが、それを見た男子生徒達の目が
変わっていたのは言うまでもない。
もちろんアスカも気が気でない。
どーして、転校生がシンジに手振るの?
もうシンジったらデレデレしちゃって。
なんかアタマにくるわね。
「席は名簿順だから、碇君の隣だ。」
「はい、わかりました。」
レイはシンジの横に座り、嬉しそうにシンジに話しかけた。
「また、会えたね。」
シンジも嬉しそうに答える。
「そうだね。」
シンジの前に座っていたケンスケが振り返り、
二人をいぶかしそうに見る。
その二人の状況を平静を保ってはいるが、
心中穏やかではない一人の女子生徒がずっと見つめていた。


放課後、レイの周りに男子生徒が集まる。
シンジはトウジとケンスケに屋上に連れていかれた。

トウジがしかめつらでシンジに聞く。
「なぁ、センセ。あれはどーいうことや?」
不思議そうに答えるシンジ。
「何が。」
ケンスケは不満げにシンジに聞く。
「綾波さんだよ。なんで、シンジのこと知ってるんだ?」
シンジは先ほどのことを一部始終話した。

その話を聞いて、トンジは腕を組んでうなずきながら言った。
「なるほど、そういうことか。惣流っちゅうもんがありながら
綾波さんにも手ぇだしたっちゅうわけだ。」
慌てて首を振るシンジ。
「そんな、手を出すなんて。」
「いいや、シンジ。お前には惣流がいるんだぞ。
綾波さんは俺らにまかしておけ。」

「あらぁ、シンジ、こんなところにいたの?」
シンジ達が振り向くと、そこには両手を腰に当てて
仁王立ちしているアスカがいた。
その様子を見て、何かまずいものを感じたのか、
トウジとケンスケはその場から離れようとする。
「じゃあ、そういうことで。」
「じゃあな、シンジ。」
ケンスケとトウジの二人はそそくさと教室に戻っていってしまった。
残されたのはシンジとアスカのみ。
シンジは背中に冷たい汗が流れるのを感じた。

「ねぇ、シンジ。あの子とはどこで知り合ったの?」
アスカは右眉をひくひくさせているが、
なんとか平静を保とうとしながら、シンジに聞いた。
シンジは長年のつき合いから、アスカがかなり怒って
いるのはわかっていたが、何に対して怒っているのかわからなかった。
しかし、とりあえず、質問にはちゃんと答えておくべきだと判断し、
一部始終を話した。
「・・・と、いうわけだけど。」
「ふーん。そうだったの。」
腕を組んで納得したように答えるアスカ。
しかし、シンジはこういう態度をとる時のアスカは
決して納得していないことを知っている。
上目使いでアスカを見るシンジ。
「・・・あの、なんかアスカ怒ってない?」
アスカが叩きつけるように答える。
「どーしてアタシが怒らなきゃならないのよ!!」
その剣幕にびっくりしてシンジは答える。
「いや、なんとなくだけど。」

そこにレイが現れる。
「あ、碇君、ここにいたのね。あのね、ちょっと相談したい
ことがあるんだけど。お邪魔だった?」
ちらりとアスカを見るレイ。
慌てて首を振るシンジ。
アスカは機嫌が悪そうだ。
「うん。別にいいけど。」
レイはにっこりと微笑んで、シンジに聞く。
「あのね、ちょっとお買いものに行きたいんだけど、
まだ地下鉄とかの乗り換えがよくわからなくって。
で、もしよかったら碇君につきあって欲しいなって思って。」
シンジは少し考えてから答えた。
「うん。いいよ。今日はヒマだし。」
すかさず、アスカも答える。
このままでは何かよくないことが起こりそうで、
アスカは思わずこう答えてしまった。
「あ、アタシも行くわ。」
そのアスカを不思議そうに見て、
レイは何か思い当たったらしい。
「あの、もしかして碇君の彼女の惣流さん?」
それを聞いて慌てて二人は否定する。
「だ、誰がシンジの彼女なのよ?」
「そうだよ、アスカとは幼馴染みなだけだよ。」
少しからかうような様子のレイ。
「あ、そうなの?みんなが碇君には惣流さんがいるから。
って言ってたけど。」
きっぱり答えるシンジ。
「それは誤解だよ。」
それを聞いて、なぜか面白くないアスカ。
だからといって、そうだよと言われても困っただろう。
女心は複雑である。
レイは今度はアスカの方を見る。
「そうなの?惣流さん。」
面白くないが、かといって、そう言うわけにもいかず、
思いとは逆に、アスカはつい強がってしまった。
「そうよ。どうしてこんなのとアタシがつき合わないといけないのよ。」
少しむっとするシンジ。
「こんなのはないだろ?」
「毎日アタシが起こさないと起きないくせに。」
「そ、そんなことないよ。自分で起きれるさ。」
嬉しそうに聞くレイ。
「へぇ、二人って、もうそういう関係なの?」
二人ともレイの言ったことが理解できないらしく、顔を見合わせる。
「へ、なにが?」
くすりと笑って答えるレイ。
「だって、二人で一緒に寝てるんでしょう?
で、朝、惣流さんが碇君を起こすのよね?
幼馴染みでも、普通はそんなことしないよね。」
真っ赤になる二人、慌ててシンジが答える。
「ち、ちち、違うって、アスカは隣に住んでて、
朝起こしに来るだけだよ。」
「そ、そうよ、一緒になんて寝てないわよ。」
「ふーん。ほんとかな。アヤシイなぁ。」
「ほんとだってば。」
レイがにやにやしながら二人を見る。
「隠さなくてもいいのに。」
「だから、誤解だってば。」
「そう?じゃ、そういうことにしとくね。」
アスカはぽつりとつぶやく。
「もう、ほんとに何もないんだから。」
「はいはい、じゃ、そろそろ行こっか。」
レイはアスカとシンジの背中を押して歩き始めた。

三人は学校を出て、最寄りの駅に向かって歩いている。
この通りには街路樹として、サクラが植えられており、
ちょっとした並木道になっている。
サクラは満開で、歩道を歩いていると桜の花びらが舞い降りてくる。
しかし、アスカ曰く
「今の時期はいいけど、葉桜になると毛虫がすごいのよ。」
だそうだ。

アスカがレイに聞く。
「ねぇ、ところで買いものって何を買うの?」
レイが少し恥ずかしそうに答える。
「あのね。実はお部屋のカーテンがなくて。」
「そうなんだ。」
「うん。で、インテリア関係のお店で、よさそうなところが
あったんだけど行き方がいまいちよくわからなくて。」
アスカが納得したように答える。
「で、アタシ達に案内を頼んだと。」
「そう。」
「まぁ、困ってる時はお互い様だし。」
「ありがと。」
「どういたしまして。」
アスカは笑顔で答える。
思っていたよりもいい子そうじゃない。
屈託なく笑うレイを見て、そうアスカは思い始めていた。

買いものは数十分で終り、アスカとレイは二人で
ウインドウショッピングを楽しんでいる。
シンジは荷物持ちをしていて、今はベンチで休憩中だ。
二人は今、靴屋の展示ウインドウ前で、何やら話し込んでる。
それをシンジは見て、アスカとレイが仲良くなってよかったと
考えていた。
いつの間にかアスカもレイも二人ともお互いを名前で呼びあって、
昔からの友達のようにふるまっていた。

そして、アスカとレイは宝石店の展示ウインドウの前
に来ると、展示されている指輪を熱心に見つめる。

「この指輪きれいね。」
指輪から目を離さず答えるレイ。
「うん、きれいだね。こんなの贈ってくれる人がいたらなあ。」
さっきのお返しとばかり、アスカは聞く。
「レイにはそんな人はいないの?」
あっさりと答えるレイ。
「うん。全然。」
「そうなの。」
今度はレイがアスカの方を見て聞く。
「ところで、アスカに聞きたいことがあるんだけど。」
「何?」
「さっきも聞いたけど、碇君とは幼馴染みなだけ?」
不思議そうに聞くアスカ。
「どうして?」
ごまかすように笑って答えるレイ。
「なんとなくね。ほら、幼馴染みから恋人っていうのよくあるじゃない。」
ちょっと考えてから、自分にいい聞かせるように答えるアスカ。
「みんなが言ってるような関係じゃないわよ。ただ、昔から
一緒だったから、お互いのことは良く知ってるけど。それだけかな。
シンジとつき合うなんて考えたことないわ。」
嬉しそうにうつむくレイ。
「そうなんだ。」
ちょっと首を傾げるアスカ。
「それが、どうかしたの?」
慌てて、手を振るレイ。
「ううん。別に。」
そしてレイはアスカの手を引き、シンジの元へ歩きだしながら言った。
「さ、そろそろ帰ろっか。」

三人はレイの家に向かいながら、いろいろな話をしていた。
中二の学園祭でのバンド結成の話。
シンジとアスカの幼稚園時代の話。
レイの小学生時代でのある事件。
そして、レイの家に来て、門の前でレイはシンジとアスカの二人に言った。
「今日はありがと。とても楽しかった。」
アスカもシンジも嬉しそうに答える。
「アタシも楽しかった。また、どっかに一緒に行きましょ。」
「僕も楽しかったよ。」
レイは小さく手を振る。
「じゃあ、おやすみなさい。また明日ね。」
二人とも手を振りかえす。
「また明日。」

レイが家の中に入っていくのを見届けて、二人は顔を見合わせた。
「ねぇ、シンジ。」
不思議そうに答えるシンジ。
「なに?」
しばらく考えた後、小さく首を振ってアスカは言う。
「・・・ううん。なんでもない。帰りましょ。」
シンジはうなずく。
「うん、そうだね。帰ろうか。」
二人は寄り添って歩き出した。


NEXT
ver.-1.00 1997-12/07公開
ご意見・ご感想は sugimori@muj.biglobe.ne.jpまで!!

あとがき

ども、作者です。

第四章はいかがだったでしょうか?

今回ちょい役で出てる山岸マユミですが、
もちろん設定は某ゲーム版オリジナルキャラです。
彼女+三バカで結成されたバンドに関しては、
そのうち書くつもりです。

次回は下級生ネタを書く予定です。
アスカとレイに強敵出現!!
可憐な下級生で、性格も良し、
おまけに金持ちの箱入り娘と来た日にゃあ。(爆)

では次回、第五章「強敵」でお会いしましょう。


 TIMEさんの『Sweet-Dreams』第四章、公開です。
 

 レイとの馴れ初めですね。
 

 登場すぐにシンジと知り合い、
 アスカともその流れで・。

 とけ込む早さが彼女のキャラクターを表しています(^^)
 

 レイの登場で
 アスカとシンジの間にかすかな波が。

 三角関係の始まりでもありました・・。
 

 
 さあ、訪問者の皆さん。
 感想をTIMEさんに送りましょう!


TOP 】 / 【 めぞん 】 / [TIME]の部屋に戻る