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NEW TYPE EVANGELION

第拾参話
蘇る愛機


シンジとアスカが温泉に出かける1週間前、第拾四使徒ゼルエルとの戦いから2日後。
NERV本部はなんとか復旧のめどを立て、再建へと走り始めていた。

「リツコ、いる?」

いつものこと、といわんばかりにミサトはリツコの部屋へと入っていった。

「また来たの?ミサト」
「今回はコーヒーをせびりに来たんじゃないわ。EVAの復旧について聞きに来たの」
「EVAの?」
「そ、今どうなっているのかなって。・・・あ、マヤちゃん、コーヒーちょうだい」

結局リツコの部屋ではコーヒーをせびるミサトであった。

ここ、リツコの部屋とは言ってもかなりの大きさがある。
正式名称は赤木研究室であるからである。
もっとも、研究員はリツコ、マヤ、キトの3人しかいないが。

「で、復旧の目処は立っているの?EVAの」
「何とも言い難いわね。損傷自体大破だから」
「こんな時に使徒が攻めてきたら・・・稼働できるEVAは初号機しか無いじゃない」
「あ、報告するの忘れていたわ。初号機は凍結よ」
「凍結?なんで?」
「貴方も見たでしょう。今初号機はS2機関がいつ暴走してもおかしくない状況なのよ。
 そんなもの使えたものじゃないわ。だから今それについての検討中よ」
「それじゃぁ・・・・」
「今使える兵器はないわね。使徒が攻めてきたら確実にここは壊滅するわね」
「そう・・・・」
「それに今までの装備じゃこれからの使徒には太刀打ちできないわね。初号機以外は」

S2機関を目覚めさせた初号機はまさに無敵と化していた。
だが、このS2機関。かなり不安定なレベルのものでしかない。
リツコ達はこのことについて頭を悩ませていたところでもあった。

「S2機関についてはアイディアくらいは有るんでしょうね、リツコ」
「私にはないわよ」
「じゃぁ・・・」
「葛城さん」

唐突にマヤが口を挟む。

「そのS2機関に関してなんですが」
「何か良いアイディアがあるの?マヤ」

質問を返したのはミサトではなく、リツコだった。

「えぇ。キト・・・・いや、山崎博士の提案なんですが」
「博士の?それって・・・・もしかして?」
「えぇ。BH機関との融合です」

キトの提案したアイディア、S2機関とBH機関の融合。
融合となっているが、実際はS2機関にBH機関を組み合わせて、
S2機関の不安定なところをBH機関で制御しようというものである。

「それって・・・つまり・・・」
「山崎博士がBH機関のデータの全てをNERVに譲渡するとおっしゃってました」

これまでBH機関のデータは全てキトが握っていた。
知り得た者は他にはいなかったのである。
そう、あの碇ゲンドウですらその存在は知っていたが、機関そのものに関しては知り得なかった。
一度、赤木リツコがキトのいない間にニュー・エヴァを解析したことがある。
だが、他の場所の解析は出来ても、BH機関だけはブラック・ボックスと化していたのである。
今回、キトがBH機関のデータを公開すると言ったとき、誰もが驚いたことは言うまでもない。

「山崎博士の言っていたことなんですが、何でも初号機のS2機関の未知の部分や制御不可能な部分の
 制御などの補佐的な役割をBH機関で補おうというものらしいです」
「なるほど・・・簡単に言えばS2機関をBH機関で覆うというものなのね」
「はい。それから零号機と弐号機に関することなのですが・・・」
「まだあるの?」
「えぇ。何でも零号機と弐号機を大幅に改造するという話なんです。
 これに関しても自分の一存では出来ないので、赤木博士の了解を得るようにとのことですが・・・」
「何?マヤ。話の如何によって決めさせてもらえないかしら」
「分かりました・・・その・・・零号機と弐号機を・・・・・」
「どうするの?」
「ニュー・エヴァとして改修したいとの話なんです」

キトとしては、初号機以外のエヴァに関して、これ以上のパワーアップは見越せないとの判断からであった。
その結果、現在ネルフが所有するEVAのうち、
初号機に次いで性能が高いニュー・エヴァに改修しようと言う結論に達したのである。
むろん、かってに改修してはならないため、マヤに相談を持ちかけたということになっている。

「なるほどね。良いんじゃない?それ」
「本当ですかっ!先輩!」
「えぇ、事実零号機と弐号機はこれ以上の戦闘は不可能に近いわ。破棄するか、改修を大幅に行うか、
 どちらかに決めあぐねていたところだもの」
「では早速山崎さんにお話してきますねっ!」

たったったったったった・・・・・・・

マヤは言うが早くキトの元へとかけていってしまう。

「それにしても・・・凄い改修ね。技術的なものはいいとして、予算の方は大丈夫なの?」
「問題ないわ、その辺は冬月副司令が何とかしてくれるもの」
「そ、まあそれ何ら良いんだけど・・・それと参号機はどうなるの?ニュー・エヴァにするんじゃないの?」
「参号機は私の考えでやらせてもらうわ。とっておきのアイディアがあるの」

そういうとリツコはニヤリとゲンドウ笑いをする。
そう、明らかに”マッド”の笑みである。

「そ・・・そう・・・ならがんばってね・・・じゃぁねえん」

ミサトは顔を引きつらせながらリツコの部屋を出ていった。
その後、しばらくその部屋から不気味な笑い声が聞こえたとか聞こえないとか・・・









零号機と弐号機の改修計画が始まって一ヶ月。
既に改修は8割方の完成にいたっていた。
その改修期間の間に、シンジとアスカは温泉に行き、
レイがそれをシンジに問いただすという一幕もあった。

だがその期間には使徒の来襲もなく、平穏といえば平穏な日々が続いていた。
まるで力を貯える期間ともいわんばかりに・・・

シンジたちチルドレンはこの期間はエヴァに触れることも見ることすらかなわなかった。
初号機の一時的な凍結、零号機と弐号機の改修、参号機の改装及び新兵器の追加、
ニュー・エヴァの大改装といったものを知る由もなかった。

そしてこれらの事実を公表する日、ミサト、リツコ、マヤ、キトといった大人たちは、
シンジ、アスカ、レイ、トウジら子供たちをブリーフィング・ルームに集めていた。

「何ですか?ミサトさん。僕たちを集めての話って・・・」
「ま、良い話と悪い話の二つといったところね」
「何よ、ミサト。もったいぶらないで話しなさいよ」
「うーん・・・どうしよっかなぁ・・・良い話と悪い話、どっちが先に聞きたい?」
「それじゃぁ悪い話を先に聞かせてくれる?ミサトさん」
「良いわ、悪い話ね。アスカとレイに関する話よ」
「「アタシ(私)達に?」」
「そう、実はあんた達のエヴァ、零号機と弐号機ね・・・」
「弐号機と零号機がどうしたっていうのよ」
登録抹消になったから」

ミサトはものすごいことをにっこりといってしまう。
言ったことに対する返答は、当然のごとく予想し得たものであった。

「ぬ・・ぬ・・・ぬわんですってぇぇぇ!!!!」
「まっしょうーーー??!!」
「そ、抹消。」

アスカとレイは、怒りまくる。
そりゃ当然。自分たちの愛機が自分たちの知らない間に抹消になっていたりすれば、
誰だって怒る。
アスカとレイにしても、例外ではないということだ。

「どーすんのよっ!アタシたち抜きじゃ戦いに勝てないわよっ!ミサトっ!」
「そーよぉ、私たち抜きの戦いなんて、チャーシューの入っていない
 ラーメン
みたいなものじゃないですかあ!」

こんな時でも例え話が変になってしまうレイちゃんである。

「だいじょおぶ。ちゃーんと考えてあるから」
「ホントでしょうねぇ・・・ま、ミサトのことだから、当てはしていないけどね」
「良いのかなぁ・・・そんな事言っても・・・」
「な、なによぉ」
「あんた達、まだ良い話しの方、聞いてないでしょ」

そう、彼らはまだ良い話しの方を来ていない。
これこそが今回最もミサト達の話したかったことなのである。

「聞いてやろうじゃないの」
「そういう態度じゃ教えてあげられないぞ、アスカちゃん」
「うっ・・・」
キトが言い放つと、チルドレン達もおとなしくなる。
これがキトの得意技の一つである(笑)

「・・・ミサト・・・お願いだから教えて・・・こう?(ちょっちぽっ)

アスカはうつむいて顔を赤くしながら言う。
この表情には思わず「はふぅ〜〜〜〜ん」となってしまう(笑)
やっぱりいいよね、こういう表情って(^^;)

「良いわよ、アスカ。・・・実はね・・」
「実は?」
「ケイジにいってみてくれる?」
「ケイジに?何かあるの?」
「・・・それは行ってのお楽しみ(はぁと)」

ミサトに言われるがまま、シンジたち一行はエヴァのケイジへと向かっていった。




ネルフ本部のエヴァのケイジ、すなわちエヴァンゲリオンの格納庫には
現在は初号機しかないはずである。
しかも凍結中の代物である。
アスカたちはそのようなケイジに何をしに行くのか、疑問であった。

そんな中、アスカたち一行は暗闇の中に入れられる。

「ミサトさん、真っ暗ですよ」
「これから明かりを点けるわ」

そう言ってリツコはケイジの明かりを点ける。
すると・・・・

「こ・・・これは・・・」
「赤と・・・青の・・・エヴァンゲリオン?!」

そう、まさしく今、改修を終えたばかりのエヴァである。

「もしかして・・・これって・・・」
「あなたたち、アスカとレイのエヴァンゲリオンよ」
「えっ?!零号機と弐号機って・・・抹消されたんじゃぁ・・・」
「抹消されたわよ、これはまったく別物だから」
「別物?」
「そう、これは零号機、弐号機であってそうではないわ。言うなれば生まれ変わったエヴァ、
 新しい型に生まれ変わったエヴァンゲリオン零号機と弐号機・・・
 NEW TYPE EVANGELION その弐号機と参号機よ」
「これが・・・アタシたちの・・・新しいエヴァ・・・」
「開発構想は当然山崎博士、エヴァ零号機と弐号機を再構築、なおかつニュー・エヴァの
 構想を導入、外部は変化が見られないとおもうけど、内部はかなり細部にわたって改造したわ。
 もちろん、エントリー・プラグはあるからあなたたちでも自由に動かせるわよ」

外見は今までの零号機と弐号機、まったくといっていいほど同一である。
これで改修が行われたといわれても分かる人間などいないかもしれない。
しかし、事実改修は行われ、
弐号機と零号機はニュー・エヴァ弐号機、参号機へとそれぞれ進化したのである。

「ミサトはん、わいの参号機はどないしたんでっか?」
「私は知らないわ、リツコに聞いて」
「・・・聞きたい?・・・(マッドにやり)」
「い・・・いえ・・・けっこうです・・・(汗)」

リツコ最大の武器、あのゲンドウさえ恐れおののき、冬月は心臓が3秒停止するといわれている
マッドサイエンティスト・オブ・にやり、通称マッドにやりが炸裂した(爆)

「出たわ・・・久々に・・・大学の研究発表のとき以来ね・・・」
「先輩・・・恐すぎます・・・」
「これはさすがに・・・・」

リツコがこれをやると、親しい友人以外は皆おののく。
そんな諸刃の剣なのである・・・って閑話休題(^^;)

「このニュー・エヴァ弐号機と参号機はBH機関搭載型だ。これからは思う存分、
 時間を気にせずに戦えるぞ、アスカちゃん、レイちゃん」
「ほんと?!」
「あぁ、本当だ。これならもう前みたいな負け方はしないはずだ。自信をもっていい」
「ありがとー山崎さーん!」

レイとアスカは共にキトに飛び乗ってキトの頬に軽いキスをする。
その時シンジはというと、少しむっとしたような顔をしていた。
マヤに至っては露骨に嫌な顔をし、まるで自分の所有物を取られたかのような雰囲気を出していた。
一方、キトはというと、・・・・まんざらでもない表情をしていた。
ま、当然だね。普通嫌じゃないよね(笑)

まぁそんな事があるにしろ、これでネルフの戦力の6割は整ったことになる。
エヴァ初号機は凍結のままでであるが・・・

アスカとレイに新しいエヴァが与えられ、すぐさまシンクロテストが行われた。
結果は・・・良好。
もともとのエヴァよりも良いシンクロ率をあげたほどであった。
ちなみにレイのシンクロ率は、80%、
アスカにいたっては90%に近づきつつある結果を残していた。




ヴーッ、ヴーッ、ヴーッ・・・・

「使徒?今までなりを潜めていたのに?!」

力を貯え、さらに強化された使徒、今回の使徒は成層圏外からと、
地上からという二段構えでの襲来であった。

「総員、第一種戦闘配備・・・改修が終了したニュー・エヴァ弐号機と参号機を射出しろ」
「了解!ニュー・エヴァ弐号機及び参号機、発進!」

ミサトの掛け声とともに、アスカ、レイの駆るニュー・エヴァ弐号機と参号機が地上へと射出される。
アスカ、レイにとって・・・ネルフにとっても久方ぶりの戦闘である。

ガーーーーー・・・・・・ガァン!

二体のニュー・エヴァが地上へと射出される。

『良い?アスカ、レイ。目標は現在強羅絶対防衛線上と大気圏外にいるわ。
 そこでアスカに地上の敵を、レイに大気圏外の敵を担当してもらうわ。良い?』

「了解・・・でもミサトさん・・・大気圏外の敵をどうやって攻撃するんですか?」

『そのことなら心配いらないわ。あなたたち専用の武器をニュー・エヴァとともに開発してあるから』

「さっすがミサト。それならさっさと射出して。敵はまっちゃくれないわ」

『言われなくてもいま出すわ、レイのは12番、アスカのは35番に射出するわよ』

ガシャン・・・ガー・・・・・ガシャン・・・ガー

二人の専用武器が兵装ビルより送られてくる。
12番からは遠距離兵器が、35番からは近距離兵器がそれぞれ送られてきた。

「これが・・・アタシたちの武器・・」

ニュー・エヴァ弐号機専用兵器、プログレッシブ・ブレード・Mk−U。
ニュー・エヴァ初号機のプログブレードをネルフ独自で解析し、作り上げた作品である。

「へぇ・・・すごぉい」

ニュー・エヴァ参号機専用兵器、ポジトロン・スナイパー・ライフル改。
先の第伍使徒ラミエル戦で使用されたポジトロン・スナイパー・ライフルを修復、改造、
そしてなおかつ赤木リツコ博士の手を加えて作成された究極ともいうべき遠距離兵器である。

ニュー・エヴァ弐号機と参号機はともにそれぞれの武器を手にとり、戦場へと赴いた。




新しい武器を手に取った彼女たちは、弐号機は強羅絶対防衛線へ、
参号機は成層圏外にいる使徒に最も近い場所、二子山頂上へ向かった。




「変な型の使徒ね・・」

アスカの見ていたそれ、第拾六使徒アルサミエルはまるで遺伝子配列のような型をしていた。
そして何も感じていないように、輪を作りゆっくりと、非常にゆっくりと第三新東京市へ向かって
進行してきていた。

『攻撃してこない・・・こっちに気づいていないのかしら・・・』

何の変化も見せない使徒に対して、ミサトは疑問を抱いていた。
本当にネルフに攻撃を加えようという意識があるのかどうか。

「いえ・・・くるわ・・・」

アスカの一言の言動に対して、使徒は円状から一本の紐へと姿を変えた。
そして紐状の使徒はニュー・エヴァ弐号機に対して接近してくる。

「・・・くっ!」

使徒の突進をすんでのところで回避し、すぐさまプログ・ブレード2で攻撃を加える。

ヴンッ!!!

だが紐状であるがため、使徒はなんなくニュー・エヴァ弐号機の攻撃をかわす。
そして再び使徒がニュー・エヴァ弐号機めがけて突進してきた。

ダン!!

使徒はニュー・エヴァ弐号機に接触と同時に融合を開始する。

「い、いやぁぁぁぁぁ!!!何よこれ!何なのよっ!!!」

シンクロ率が高まったため、
ニュー・エヴァ弐号機に起こったことがパイロットのアスカにフィードバックされる。
今アスカは使徒に融合されているという感覚をニュー・エヴァ弐号機とともに感じていた。

「いやいやぁぁぁ!!!アタシに触らないでぇぇ!!」

混乱。まさにこの言葉にふさわしい行動をアスカは取っていた。

「シンクロ率を60%までカットして!」
「だめですっ!信号を拒絶しています!」
「なんてこと・・・」

ネルフがあわただしくなっている間、なおもニュー・エヴァ弐号機は侵食され続けていた。




同じ、もしくはニュー・エヴァが使徒との戦闘に入って間もないころ、
ニュー・エヴァ参号機は二子山の頂上で射撃体制にはいっていた。

「少し・・・遠いわね・・・」

ポジトロン・スナイパー・ライフル改の射程をもってしても今回の使徒はわずかながら射程から
外れていた。

「もうちょっと・・・もうちょっとなんだからぁ・・・」

こういった状況では焦りは禁物である。
だがレイにとって待つという行為そのものが苦手であるため、今のレイは焦りまくっていた。

「も〜〜〜!撃っちゃう!」

『レイ!まだだめっ!』

ドゥゥゥゥゥゥゥン!!!

レイの放った光は、一筋の光となって目標へと放たれた。
しかし・・・

ピシィィィィィィィン!!!!

「つら・・・ぬけなかった?!」

ポジトロン・スナイパー・ライフル改の光線は確実に使徒を捕らえた。
しかし使徒との相対距離がほんの少し、本当に少しだけ遠かったため、
貫くだけのエネルギーが損失してしまったのである。

そして第2射を放とうとヒューズを交換しているとき・・・

カァァァァァァァァ!!!!!!!

突如ニュー・エヴァ参号機に光が照らし出された。
七色の光、それは目標である第拾伍使徒アラエルからの可視光線であった。

そして光が照らし出され続けると・・・

「きゃぁぁぁぁ!!!!」

『どうしたのっ?!レイ!』

「何かがっ!何かが私の中にはいってくるっ!」

『アスカのときと同じ?!シンクロ率下げられる?マヤ!』
『ダメですっ!信号が届きません!』
『なんて・・・こと・・・』

2体の使徒による2体のニュー・エヴァへの精神攻撃。
ネルフが何もできないまま、彼女たち、アスカとレイは精神への攻撃を受け続けていた。









Version Asuka


ガタンゴトンガタンゴトン・・・・カンカンカンカン・・・・ガタン・・・・・

「ここは・・・どこ?」

『ここはアンタの心の世界・・・』

「誰っ!」

『ふふふふふ・・・・・・・』

見知らぬ場所。電車の中と思しき場所。そして・・・アスカの心の中・・・。

「何でアタシがこんな所にいるのよ!」

『言ったでしょう・・・ここは心の世界。そして・・・アンタの本当の心がある世界・・・』

「本当の心ですって!」

『そうよ・・・アタシはもう一人のアンタ・・・つまりアンタの心の中は全てお見通し・・・』

「な、なによっ!人の心を覗くですってぇ!」

『えぇ・・・分かるわよ。あんたの心の中なんて・・・例えばアンタは碇シンジを好いているとか・・・』

「な・・・」

影の一言でアスカは顔を真っ赤にする。脅えながらも。

『でもその気持ちって・・・ホントかしら・・・』

「何を・・・言うのよ・・・」

『アンタ・・・ホントは碇シンジが好きじゃないんじゃないの?』

「そんな事ない!アタシはシンジが好きなんだから!」

『ホントに?』

「ホントよ!」

『ホントは幼なじみとして・・・ただいつもそばにいた人間だからじゃないの?』

「・・・・・・・・・・・」

図星である。
普段から迷ってはいた。
ただ実際に自分の影と思しき者に言われると、それが本当の気持ちはないかと疑いはじめてしまった。

『そう・・・アンタは碇シンジが好きなんじゃない・・・ただいつも近くにいただけ・・・たったそれだけ・・・』

「アタシハ・・・シンジガ・・・」

『碇シンジは近くにいた人間・・・・ただそれだけ・・・』

「シンジハ・・・チカクニイタ・・・・・・・・」

アスカは暗闇の底へと消えていった・・・




Version Rei


ピチャァァァ・・・・・・・・ン

「?・・・ここはどこ?」

『気づいたのね』

「・・・!」

『驚くの?』

「私・・・・と同じ顔?!」

『そう・・・多分私はあなたの影・・・もう一人のあなた・・・もう一人の自分・・・』

「なぁによ!好き勝手言ってくれちゃってさぁ。何様のつもり?」

綾波レイの姿をしたものから、今度は大人びた人間に姿を変える。

『私を突き放すの?レイ・・・』

「お・・・・かあ・・・さん?」

『そうよ、レイ』

「うそ!お母さんは私が小さい頃死んだもん!」

『死んではいないわ。現にこうして生きているもの』

「そんな・・・確かに死んだって・・・お父さんが・・・」

『お父さんはうそを言っていたのよ・・・死んではいないわ。こうして本人が言っているんだもの』

「お・・・お母さん?」

『なあに?レイ』

「わぁぁぁぁん!!!会いたかったよぉ!おかあさぁん!」

レイは無我夢中で母親の姿をしたものにすがり付く。
現にレイは母親というものに飢えていた。
今まではその姿をユイに見たてていたのであるが、所詮は他人。
渇きが癒えるものではなかった。









「どうなってるの!状況は!」
「双方のニュー・エヴァ、反応ありません!」
「パイロットの精神汚染、さらに増大中!」
「心理グラフがマイナスを超えています!」
「精神を攻撃する・・・・使徒・・・」

ネルフ本部の発令所はあわただしくなっていった。
今までの使徒は物理攻撃を中心に攻め入ってきた。
だが今回は初めての精神攻撃を中心に攻めてくる敵である。

「まずいぞ、碇。このままではパイロットが精神汚染を引き起こしてしまうぞ」
「そうですよ、あなた。アスカちゃんやレイちゃんが・・・」
「心配ない。冬月、ユイ。シンジが何とかする」

その頃、肝心のシンジはというと、

「アスカ・・・レイ・・・」

初号機が凍結中であり、動かせるべきものでない今、
シンジに出来ることは、ただ祈ることのみであった。









Next Version Asuka and Rei


『ホントの気持ちにようやく気が付いたみたいね』

「アタシハ・・・シンジガ・・・キライ・・・」

『良いのよ・・・ずっとここにいても・・・・ね、レイ・・・』

「オカアサン・・・オカアサン・・・」

二人の精神は後少しで底まで行ってしまいそうなところまで来ていた。
だが、シンジの存在が無ければここまで持ちこたえなかったであろう。
二人にとってのシンジとはそのような存在となってしまっているのである。

『アンタはもうおしまいね・・・』
『レイ・・・ずっと一緒にいましょうね・・・』

「シンジガ・・・キラ・・・・」
「オカ・・・ア・・・」

今まさに落ちようとするその瞬間・・・

『アスカ!レイ!』

「シ・・ン・・ジ・・・・・・・・シンジ!シンジィ!」
「シン・・・・・・・シンちゃん!」

『二人とも・・・負けちゃだめだ・・・そいつらは君たちの弱い心・・・そこをついてくる・・・使徒だ!』

「し・・・使徒!」
「使徒なのぉ・・・・・許さないわ・・・」
「許さない・・・」
「もぅ怒ったわ・・・・・・」

「「アタシ(私)の心を踏みにじった使徒!
 シンジ(シンちゃん)を思う気持ちは大きいのよ!
 アンタ(あなた)なんか・・・・・・
 ・・・どっか行っちゃえ!!!」」





ヴァァァァァァァァ!!!!

「何!何が起きたの?!」

突然の閃光に、葛城ミサトを始め、皆が驚いていた。

「ニュー・エヴァ・・・共に再起動・・・・」
「ATフィールドにより目標からの精神攻撃を防いでいます・・・」
「パイロット・・・ともに生死に支障なし・・・ダメージもほとんど回復しています・・・」
「何が・・・・あったのかしら・・・」

知る由もない。
彼女らの精神の中でのシンジの活躍など、
彼女ら意外には知りうることができないからだ。

「アンタも運がなかったわねぇ・・・・・・今楽にしてあげるわ!」

ズシャズシャスシャ!!!

アスカのニュー・エヴァ弐号機は第拾六使徒アルサミエルを一瞬のうちに細分する。
アスカの怒りの一撃である。

「今度こそは・・・・・・・外さないっ!」

ズキュゥゥゥ・・・・・・ン!!!!!

レイの駆るニュー・エヴァ参号機のポジトロン・スナイパー・ライフル改の一撃は、
第拾伍使徒アラエルを確実に捕らえ、消滅させた。









「おわ・・・ったぁ・・・」
「ようやく終わったわね。それにしても・・・苦戦したわ・・・」

『アスカ!レイ!大丈夫?!』

「大丈夫だよ!シンちゃん。」
「大丈夫よ、シンジ。それより助けてくれてありがと。 大好きだからね、シンジ

『へ?』

顔を赤くして今の気持ちを素直に言葉にしたアスカちゃん。
それに対してシンジは・・・

(助けた?この僕が?何で・・・・・どこで助けたんだろう・・・)

アスカちゃんの意図する気持ちにまったく気づかず、なぜ助けたのか思案に暮れているシンジであった。

この戦いの翌日、シンジは頬に紅葉を作って学校に行ったという噂がネルフ内で広まっていた。
もちろん、ミサトの手によって。


NEXT
ver.-1.00 1998-04/29
ご意見・ご感想は y-mick@japan-net.ne.jpまで!!
次回予告

宇宙(そら)から天使が舞い降りる。
そして使徒を全てうち破ったNERVにさらなる敵がやってくる。
エヴァのコピー、四大天使の名を冠したコピーエヴァが。

次回、
NEW TYPE EVANGELION 第拾四話 宇宙(そら)からのシ者

次回はあの彼が登場よん

あとがき

どうもお久しぶり、Y-MICKです。
たしか・・・第拾弐話を投稿したのが・・・2月25日ですか・・・(^^;)
約2ヶ月ぶりとなってしまいましたねぇ・・・
投稿し始めの頃は一週間で次の話を送っていたのですが・・・
まぁ生活が変わってしまったせいもあるかもしれないです。
そう、社会人になってしまったのですよ、私(^^)
当然、小説を書いている暇などこれっぽっちもありません。
(会社で暇なときは書いているのですがね(笑))
そんなこんなでこれからも更新期間が長くなってしまうかも知れないですが、末永く見てやって下さい。
この連載が終わる、第参拾話まで(^^;)

さて次は・・・・めぞんの大阪オフ会の・・・・話でも・・・・っといかん!
まぢでやらされそうだ(^^;)



 Y-MICKさんの『NEW TYPE EVANGELION』第拾参話、公開です。



 よしよしやったね(^^)


 紐野郎と
 鳥野郎を、

 レイちゃんを傷つけた奴と、
 アスカちゃん苦しめた奴を


 TVでの敵役2体をまとめて撃破〜



 相手を違えているあたりが面白いね(^^)



 アスカとレイのWキス・・・・

  キトはん、良いおもいしすぎ・・・

 こういう良い目にあったキャラは、
 次回で死ぬのがパターンなのだ(笑)





 さあ、訪問者の皆さん。
 次の大阪オフ会リポーター(笑)のY-MICKさんに感想メールを送りましょう!



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