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NEW TYPE EVANGELION
第九話
新しき二つの力


ピッ・・・・・・・ピッ・・・・・・・ピッ・・・・・・・

無機質な電子音が聞こえるここはNERVの実験室。
今日はエヴァパイロット達がシンクロテストを行う日である。
エヴァパイロット達は大抵、一週間に一度の割合でシンクロテストを行っている。
当然シンクロテストだけではなく、時には模擬戦も行ったりするが。

「OK、みんな、あがっていいわよ」

シンクロテストがひとまず終了し、
このテストの担当である赤木リツコはパイロット達をブリーフィングルームに呼び寄せた。

「今回のシンクロテストの結果を発表するわ」

シンジ達は固唾をのんでいた。
テストの結果が芳しくなくても別にかまわないのだが、
リツコの無表情から繰り出される小言にはシンジ達は恐怖すら覚えているからだ。

「まず、綾波レイ。・・・よくやったわね。今回は52.4%よ」
「よかったぁ」
「次に惣流アスカ。・・・62.4%ね、まぁまぁって所かしら」
「あまりのびなかったわね」
「最後に碇シンジ君。・・・さすがね、75.3%よ」
「そうですか」
「それじゃぁ今日はこれでかえってかまわないわ。明後日はシミュレーションバトルがあるから忘れないでね」
「「「はーい」」」
 
 
 

シンジ達はエヴァパイロット専用更衣室にいた。
とはいっても男女は別にはなっている。
この更衣室は、利用する人間は少数なのにも関わらず、ロッカーは大量に配置されている。

「ねぇねぇアスカぁ」
「何?レイ」
「シンちゃんとはどこまで行ったの?」
「どどど・・・・どこって、ど、どこの事よ・・・・・・」
「何ドモッてるの?ほらぁ、AとかBとかのことよぉ」
「そ、そんなこと言えるわけないでしょ!」
「いいじゃ無いのよぉ、なんか気になるしぃ」
「気になるって・・・・・・・、なんの事よ・・・・・・」
「アスカ・・・・・最近・・・・・胸がおっきくなってるでしょ」

どきっ!

「なななな・・・・・・なんでわかったの?!」
「ホントなのぉ!冗談で言ったのに」
「そうよ、おっきくなってるわよ!」
「もしかしてシンちゃんにもんでもらったからとか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・う、うん・・・・・」
「うそ・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「シンジが・・・・・・・そうしたいって言うんだもん」

シンジとアスカがここまで進むのにはそう時間はかからなかった。
こういった状況になるとシンジ2の性格が出てくるためでもある。

そしてその隣の男子更衣室では・・・・。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

コップを壁につけて聞き耳を立てているシンジを見たとか見ないとか・・・・・・・・。
 
 
 



 
 

「あとどのくらいかね」
「あと1時間程で新横須賀です」
「そうか・・・、ようやく肩の荷が降ろせるというものか」

オーバー・ザ・レインボー。
太平洋艦隊の中でも1,2を争う艦である。
今回、この艦には特別な任務が与えられていた。
エヴァンゲリオン参号機の輸送という任務である。

「艦長、どうですか?荷物の方は」
「今のところ無事だよ。まさかこんな所で襲われるわけないだろう」
「分かりませんよ、我々の敵は何をしでかすか分かりませんからね」
「脅かさないでくれるか、加持君」

エヴァンゲリオン参号機と共に日本へとやってきた男、加持リョウジは笑いながら甲板を出ていった。

「2年ぶりか・・・・、帰ってきたよ、葛城」
 
 
 

ヴオオオオオオーーーーーーーー

「艦長、ご苦労様です。これが引き渡しの書類です」
「うむ。では引き渡しにかかろうか」

新横須賀。
セカンド・インパクトのため、沈んだ横須賀に変わって作られた港である。
オーバー・ザ・レインボーは何事もなく、エヴァ参号機の輸送を完了していた。
そして、そのエヴァ参号機を受け取るためにNERVからは葛城ミサト准佐が来ていた。

「ん?葛城じゃないか!」
「加持!」
「なんだ、君が引渡人か」
「ええ。それより久しぶりね、加持」
「そうだな、2年ぶりだからな」
「相変わらずだらしない格好してるわね」
「葛城も相変わらずお美しく・・・・」
「なーにバカ言ってんのよ」
「ははは・・・・・」
「うふふふふふ・・・・・・・・・」

この二人、葛城ミサトと加持リョウジは恋人同士である。
しかし、加持の方は仕事の都合により、ドイツ、アメリカとわたっていたのだ。

「ところで運んできたブツはどこで起動実験をするんだ」
「リツコは松代でやるって言っているわね」
「それじゃぁパイロットはどうするんだ?」
「まだ決まってないけど、あそこから選ぶみたいね」
「そうか・・・・・・・・・・またあそこからか・・・・」
 
 
 

「少しやせたかな」
「あら、分かるの?」
「悲しい恋をしているせいかな」
「なぜ、そう思うの?」
「涙の流れ道にほくろがある人は一生泣いて暮らさなければならないからさ」
「ふふふ・・・、相変わらずね、加持君」
「久しぶり、リッちゃん」
「こっちにはいつ?」
「ついさっきさ、葛城にはもうあった」

葛城ミサト、加持リョウジ、赤木リツコの3人は大学時代の級友である。

「あんたも相変わらず女性には見境無いわね」
「そんなことはないさ、俺には葛城だけだ」
「どうだか・・・・・」

そこに一人の男が入ってくる。
男は白衣を身に纏っていた。

「赤木博士、少し聞きたいことが・・・・・・・・・・っと、もしかしてリョウジ君かい?」
「山崎先生、お久しぶりです」
「久しぶりだね、リョウジ君」
「先生も変わらないようで」
「先生は止めてくれよ、俺はもう君の先生じゃない」
「はは、そうですね、分かりましたよ、山崎さん」

山崎キトと加持リョウジは前に述べたとうり、家庭教師とその生徒という間柄だったことがある。
そのため、加持とキトの口調は似通ったところがある。
加持がキトの口調を真似し続けた結果である。
 
 
 



 
 

場面を変えることにしよう。

キーン、コーン、カーン、コーン

ここはシンジ達の通う中学校である。
そして現在の時刻は昼。

「さーて、飯や飯!こん時のために生きてるってもんやなぁ」

そこに・・・・・・・・・。

『ぴーんぽーん・・・2年A組の鈴原トウジ、鈴原トウジ、至急校長室まで来るよう、繰り返します・・・・』

「なんや?」
「トウジ、何やったんだよ」
「なんもしてへんで、ワシ」
「じゃぁなんで呼ばれるんだ?」
「さぁ、わからへん。ま、ともかく行って来るわ。」
「ああ」

トウジが出ていったとき、一人の少女がひっそりと見ていたものに気づくものはいなかった。
 
 
 

「鈴原トウジ、入ります」

トウジが校長室に入っていくと、そこにはトウジのよく知る人と、
全く知らない人がいた。

「ミサトせんせ・・・・・ワイになんか用ですか?」
「うん・・・・・・チョッチね・・・・・・」
「私から説明するわ」

今声をかけた女性をトウジは知らなかった。
その女性は金色の髪に黒い眉をしていた。

「どなたですか?」
「私は赤木リツコ、特務機関NERVの技術部の主任よ」
「NERV?NERVっちゅうとシンジ達がおるあれ・・・でっか?」
「そうよ」
「そのNERVがワイになんのようですか?」
「単刀直入に言うわ・・・鈴原君、エヴァンゲリオンに乗ってくれない?」
「ワイが?ワイがエヴァンゲリオンのパイロットになれっちゅうんでっか?」
「そうよ」
「なんでワイなんでっか?」
「MAGI、スーパーコンピュータのはじき出した結果よ」
「・・・・・・・・・・少し・・・・・少し時間をくれませんか?」
「かまわないわ」
「ほんなら・・・・・・」

校長室には重い空気が流れていた。
MAGIが鈴原トウジをエヴァパイロットに選んだのは事実である。
MAGIが現存する人間の内、もっともエヴァパイロットとして適任となる人間を選んだ結果、
鈴原トウジを選んだというわけである。
 
 
 

時間はちょうど三時くらい、トウジは体育館のバスケットのリングを見ていた。

「ワイが・・・・エヴァのパイロットか・・・・」

トウジはまだ迷っていた。
エヴァのパイロットになれるといわれたとき、一瞬ではあったが、嬉しかった。
だが、生死をかけた戦いを強いられるとなると分かると恐怖すら感じたのである。

「鈴原・・・・・・・・・・・・・」
「なんや、イインチョか・・・・・・・・・・・・」
「どうしたの?鈴原、校長室に呼ばれてから変よ」
「さよか・・・・・・・・・・・・・変か・・・・」
「どうしたの?私で良ければ相談に乗るけど・・・・・・・・・・・・・・・」
「ワイな・・・・・・・・・・・・エヴァのパイロットに選ばれたんや」
「鈴原がエヴァのパイロット?!」

ヒカリには何も言えなかった。
このようなことは他人に口を挟まれたくないものである。
だが、自分が好きになった人には別かもしれない。

「それで鈴原、エヴァに乗るの?」
「ああ、乗るつもりや」
「そうなの、頑張って」
「止めへんのか?」
「私に止めることは出来ないもん。鈴原が自分で決めたことでしょ」
「せやな、ヒカリの言うとおりやな」
「鈴原、今・・・・・・・・・・・・・・・・」
「な、何でもあらへん!さてワイは明日からエヴァの起動実験ちゅうもんに
 いかなあかんから1週間くらい休むで」
「鈴原・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん、頑張って!」

少年と少女の顔は紅くなってはいたが、そこにはいやな空気はなかった。

鈴原トウジはエヴァンゲリオンのパイロットとして乗ることに承諾をした。
そしてこれから松代の第2実験場でエヴァンゲリオン参号機の起動実験を行うことになる。
ここでの様子は語らないことにする。
ちなみにここで起動事故が起こるわけではない。
 
 
 

「アスカぁ、かえろ」
「うん!ヒカリ」

アスカは最近はシンジと一緒か、もしくはNERVへ行かなければならないため、
ヒカリと一緒に帰ることは少なくなっていた。
実はアスカとヒカリが一緒に帰るのは実に四日ぶりのことである。
 
 
 

アスカとヒカリは夕闇の中、高台に来てジュースを飲んでいた。

「ねぇヒカリ、聞きたいことあるんだけど」
「何?アスカ」
「あの熱血バカのどこがいいの」
「・・・・・・・・・優しい・・・・・・・・トコかな」

ヒカリは真っ赤になりながらそう呟いた。
それを見てアスカは『なぜ!?』と言った顔をしたのは言うまでもない。

「そうゆうアスカは碇君のどこがいいの?」
「シンジのことか・・・・・・・・やっぱり優しいトコなんか一番に出てくるわね」
「アスカもやっぱりそう思っているの?」
「やっぱりって?」
「私も碇君の言い所って言ったらやっぱり優しいトコが出てくると思うもの」
「ふーん」
「アスカがいなかったら私もしかすると碇君に告白してたかもしれないな」
「だ、ダメよ!ヒカリ!」
「冗談よ、アスカ」
「もう!ヒカリったら!」

夕闇の高台には笑いが立ちこめていた。
そこにはここ第三新東京市に危機が迫っていることを忘れさせもしていた。
 
 
 



 
 

「使徒の状況を知らせろ」
「使徒は現在、成層圏を移動中」
「あなた・・・・・」
「ああ、ここからでは攻撃は無理だな。奴らめ、こういう手段をとってきたか」

使徒は突然、成層圏に現れた。
だが、NERVには現在、成層圏まで届く攻撃手段がない。
従ってNERVは何もできないでいた。

「どうするんだ?碇」
「何も出来んな。このままでは我々は全滅だ」
「だが・・・・・・」
「慌てるな、冬月。山崎が何とかしてくれる」
「山崎博士が?本当か、碇」
「ああ、問題ない」

山崎キトはBH機関を使った新兵器を開発していた。
この新兵器を使えば成層圏にいる敵をも殲滅できるほどの兵器である。
だが、巨大な兵器の使用にはその反動も大きい。
そのため、まだ完成とは言えない状況であった。

「山崎さん、準備はいいですか?」

『ああ、いいぞ、マヤ』

キトはマヤ、リツコと共にNERVで研究もしている。
二人の仲が良くなることに何も不思議はなかった。

『ニュー・エヴァ、発進する』

キトのかけ声と共にニュー・エヴァは地上へと射出された。

バシューーーーーーー!

ものすごい勢いでニュー・エヴァは射出される。
このときに出るGにキトは未だに慣れてはいなかった。
研究の方に力を入れているため、戦闘の方の訓練をおろそかにした結果である。

「現在の使徒の状況は?」
「使徒は現在、第三新東京市の上空の成層圏で動きを止めています」
「そう、やっぱり成層圏から直接攻撃をしてくるつもりね」

今回の作戦担当は赤木リツコである。
葛城ミサトはエヴァンゲリオン参号機の起動実験のため、松代に行っていた。

『やはり通常の兵器では届かないな』

現在、NERVの保有するもっとも射程の長い兵器、
ポジトロンライフルでも成層圏までは届かない。
キトとマヤ以外の人間は思案に暮れていた。

『仕方ないな、マヤ、あれを使うことにする』

「あれを使うんですか?!危険ですよ!まだテストもしてないんですから!」

『だがそうも言っていられないだろう』

「ですけど・・・・・・」
「マヤ、あれってなんの事かしら」
「先輩・・・・・」
「何のこと?」
「実は・・・・・山崎さんが考えた兵器なんですけど・・・・・」
「その兵器というのは?」

『俺が言うよ、マヤ』

「山崎さん・・・・・・・。」

『俺の考えた兵器って言うのは、ブラック・ホール・キャノンという、
 ニュー・エヴァのBH機関を利用した超長距離極大兵器のことだ』

「山崎博士、それは使えるんですか?」

『理論上は・・・・・・・・・・使用可能だ』

「それなら・・・・・・・・お願いできるかしら」

『了解した、マヤ、出してくれ』

「分かりました・・・・・・・。25番に出します」

マヤがそう言うと、25番と書かれたビルに一つの巨大なキャノン砲が現れた。
そのキャノン砲はものすごく長く大きく、実にニュー・エヴァの全高ほどもあった。

ニュー・エヴァがそれを受け取ると、ブラック・ホール・キャノンを腹部にあるBH機関と接続する。
そして狙いを成層圏にいる使徒へと向けていった。

『ターゲットのロックはそっちでやってくれ』

「了解」

『BH機関との接続・・・・・・・・完了。エネルギー伝達開始・・・・・・。
 エネルギー伝達率98%。
 エネルギーチャージ20・・・・・50・・・・・80・・・・・100・・・・・120。』

「エネルギー臨界。MAGIによるターゲットロック修正完了」

その時・・・・・・・。

「目標に動きが感じられました・・・・・何か落下してきます!」

使徒は攻撃手段として、通常もっているであろう光線ではなく、
自らの体の一部を切り離して落下させてきた。
だが、これでも成層圏から落下させればかなりの兵器となりうる。

『くっ!落下物と共に目標への攻撃を開始する!』

キトはブラック・ホール・キャノンのトリガーを引いた。
 

ドゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!
 

ものすごい衝撃と共にブラック・ホール・キャノンが打ち出された。
 

シューーーーーーーーン!
 

打ち出されたものは落ちてきた落下物を巻き込み、
使徒へと到達した。
そして打ち出されたものが使徒と接触するとそこに黒い空間が発生、
使徒はそれに飲み込まれていった。
つまり、消滅したことになる。

『やった・・・・・か』

「良かった・・・・・山崎さん、大丈夫ですか?」

『ああ、俺の方は大丈夫だ、しかしニュー・エヴァがかなりのダメージを受けているな。
 このままでは動けないから回収班をよこしてくれ』

「分かりました」

今回の成層圏から攻撃してくる使徒は殲滅した。
しかしこのとき、別のものが迫っていることに気づくものはいなかった。
 
 
 

「ん?何か反応が・・・・・・・?」
「どうした、マコト」
「いや、何かおかしな反応が・・・・・・・・え!?シゲル!これを解析してくれ!」
「何だ?何が起きたんだ?」
「いいから早く解析しろ!」
「わかったよ」

青葉シゲルは日向マコトの方から受け取ったデータを解析してみた。
そしてそこには信じられない結果が待っていた。

「何?!これは・・・・パターン青!ここ・・・・NERV本部内に使徒がいます!」
「何?!なぜ気づかなかった!」
「今までなりを潜めていたようです!
 おそらく先ほど使徒が消滅したここと関係あるのではないかと思われます!」

その通りである。
今回、敵は成層圏の使徒をおとりとし、
その間にマイクロサイズの使徒をNERV本部に潜入させたというわけである。

「碇司令!どうしますか?」
「エヴァ各機を地上へと射出しろ」
「それでは使徒の迎撃が・・・・・・・・」
「ウィルスタイプの使徒だ。エヴァでは手の打ちようがない。
 それよりエヴァがその使徒に乗っ取られない内に地上へ射出しろ」
「了解!」

ゲンドウの命令により、待機していたパイロットと共にエヴァ各機は地上へと射出された。
だが、ここにも罠が潜んでいるとは誰も思わなかった。

「使徒がサブコンピュータにハッキングをかけています!」

マイクロサイズの使徒はその形態を電子回路と同じ、
すなわちコンピュータへと変化させ、NERVにあるコンピュータへハッキングを仕掛けた。

「サブコンピュータ、完全にハックされました!続いて保安部のメインバンクに探りを入れています!」
「使徒はメインバンクのパスワードを模索しています。・・・10桁・・・15桁・・・パスワードクリア!
 メインバンクが使徒にハックされます!」

人間ではNERVにハッキングをかけることは無謀とも言える。
だが、今回は相手が使徒である。
自身をコンピュータへと変えたものだけに、その計算速度は人間の数倍はある。

「使徒はメインバンクでどこかに探りを入れています・・・・このコードは・・・・
 MAGIに接触しようとしています!!」
「何!」
「使徒はMELCHIORに接触しようとしています!」
「I/Oシステムをシャットダウンしろ」

ゲンドウの命令により、MAGIは電源を落とそうとしていた。
だが、シャットダウンは行われなかった。

「電源が落ちません!」
「使徒、MELCHIORを完全にハックしました!」
「続いてBALTHASARに接触しようとしています!」

そこに・・・・・・・・・。

「ロジックコード変更、シンクロコードを15秒単位に」

「「は、はい!」」

リツコの機転により、使徒のMAGIのハッキングは一時活動を停止した。
だが、完全に止まったわけではなく、徐々に侵攻はしていた。
 
 
 

「本部、どうなっているんだろう、通信が出来ないよ」
「さぁ、アタシもどうなってるのか知りたいけどねぇ」

地上へと射出されたエヴァパイロット達は、何の命令も受けられないまま
ただ、エヴァの中でたたずんでいた。

そしてその中でアスカは見たこともないものを目にした。

「何?あれ・・・・・・・・・もしかして・・・・・・・・・使徒!」

一つをおとりにしてその間に一つを中から攻撃、そして中がかき回されている内に
さらに外から攻撃という今回の敵の作戦である。
いつもは単独で襲ってきた敵ではあったが、今回は複数である。
それだけせっぱ詰まっているとも考えられた。

「シンジ、レイ、行くわよ」
「分かった!」
「おーけい!」

シンジ達はすでに地上へと送られていた武器をおのおの手にして使徒へと向かっていった。

「たぁぁぁぁぁ!」
 

ダダダダダダダダ・・・・・・・・・・・・
 

シンジはパレットガンを手に打ちまくる。

「はぁぁぁぁ!」

アスカはスマッシュ・ホークを手にして使徒へ近戦戦闘を仕掛ける。

「えーーーーーい!」
 

ズシューン、ズシューン・・・・・・・・・・・・・
 

レイはポジトロンライフルを撃ちまくっていた。
 

ヴァヴァヴァヴァヴァヴァヴァ・・・・!!!
 

エヴァ3対の複数攻撃の前に使徒は何も出来ずに殲滅されたかに見えた。
だが、そこに見えたのは傷一つおっていない使徒と、
オレンジ色の六角形のものであった。

「うそぉ!何で効いてないの?!」
「ATフィールド・・・・・・・」
「そんなバカな?こっちは最大出力で展開してるって言うのに!」

使徒はエヴァの攻撃を完全に防ぎきると、
今度は使徒の攻撃が始まった。
 

ぷしゃぁぁぁぁ!
 

「きゃぁ!」
「くっ!」

使徒はそのからだからオレンジ色の液体を吐き出した。
オレンジ色の液体は王水である。
いくら強固な装甲を装備しているエヴァにとってもこの王水には溶ける。
さらに、エヴァとシンクロしているパイロットにとってはエヴァが溶けることは
自分にもダメージがくるのである。

「このままじゃぁ・・・・・やられる!」

強固なATフィールドに王水の攻撃。
ATフィールドをどうにかしない限り、エヴァに勝ち目はなかった。

そこに・・・・・・・・・・・

『なにしとんねん!こんな奴とっととしばいてしまわなあかんやろ!』

そこに現れたのは黒いエヴァンゲリオンだった。
そう、エヴァンゲリオン参号機である。

「その声は・・・・・・・・・・・・・トウジ!」
「何で・・・・・何でアンタがエヴァに乗ってんのよ!」

『そんな話は後や、まずこいつをどうにかせなあかんやろ!』

「そうよ、エヴァ4体ならこいつのATフィールドどうにか出来るんじゃない?」
「そうだね、綾波。やってみよう!」

レイの提案によりエヴァ4体は同時にATフィールドを展開した。
エヴァのATフィールドは相乗効果も重なって使徒のATフィールドを中和するまでに至った。

中和されると分かるとすぐさま攻撃に移った。

「えーーーい!」
「こんちくしょぉぉぉ!」

レイとアスカの使徒の足への攻撃でその使徒の足は寸断された。
そして使徒がバランスを失ったところへ・・・・・・・・。

「たぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
 

ズシャ!!!!!!
 

初号機のアクティブソードに貫かれた使徒がそこにはいた。
 
 
 

「どーにか間に合ったみたいね」

ミサトは使徒の襲撃を受けていると知り、
トウジにATフィールドの出し方だけ教えて急遽舞い戻ってきたのであった。
 
 
 



 
 

エヴァが地上の使徒を倒した頃、
NERV本部では侵入してきた使徒に対する攻撃手段を模索していた。

「どうするつもりかね、赤木博士」
「使徒は進化することに執着しているようです。そこで我々の手によって進化を促してやります」
「なるほど・・・・進化の終着地点は死・・・・か」
「はい、そこで使徒に直接進化促進プログラムを送ります」
「出来るのかね」
「やって見せます」
 
 
 

「出来るんですか?先輩」

赤木リツコはCASPERの本体の中で、使徒へのプログラミングをはじめていた。

「正直、きついわね」
「ではどうするんですか?」
「せめて・・・・・マヤ並のプログラマーがもう一人いれば・・・・・・」
「いますよ」
「え?!」
「山崎さん・・・・・私並にプログラミングの才能ありますよ」
「そうなの?」
「はい、何でも弟さんにハッキングの手ほどきを受けたらしいですから」
「マヤ」
「はい?」
「すぐに山崎博士を呼んできて!」
「はいっ!」

マヤは言われるがままに飛び出し、キトを呼びに行った。
 
 
 

「俺に何か用かい?赤木博士」

キトは戦闘の後だったこともあり、ニュー・エヴァに乗るときの格好、
プロテクターを着けたままの姿であった。
ニュー・エヴァはエントリープラグ方式でなく、コクピット方式であるため、
搭乗するにはそれなりのプロテクターが必要なのである。

「あ、山崎博士・・・・お願いがあるんですけど」
「何か?」
 
 
 

「・・・・・・・・・というわけなんで手伝っていただけます?」

キトは説明をざっくばらんに聞き取った。

「かまわない。俺の方も一段落したからな」

そう言うとすぐにキトはプログラミングに取りかかった。
 
 
 

「使徒、活動を再開しました!」

マヤがキトを呼んでから20分後、使徒が活動を再開した。
予定どうりの展開である。

「BALTHASAR、使徒にハックされました!」
「今度はCASPERがハッキングを受けています!」
「赤木博士、大丈夫なのか?」
「1秒ほど余裕がありますわ」

3人でのプログラミングにより、作成している自律促進プログラムはかなり順調に出来てきていた。
そしてCASPERが90%ほど乗っ取られたとき。

「マヤ、山崎博士、送るわよ!」
「OK!」
「はい!」

3人が一緒にリターンキーを押す。
間に合っていなければ全てが終わりである。
だが、残り1%を残してCASPERは乗っ取られていた。
1%残っていたことにより、使徒へのプログラムは送られ、
プログラムが稼働、そして使徒は自滅へと走っていった。
 
 
 



 
 

エヴァのパイロット達は全員、部屋で待機していた。

「何でアンタがエヴァのパイロットなのよ!」
「んなもんゆーたかて選ばれたんやからしゃーないがな」
「それでトウジ、本当にパイロットになっていいの?」
「ああ、ええ」
「そう、それなら僕はもう口を挟まないけど・・・」
「けど何よ!相変わらずはっきりしないのねぇ」
「やっぱり他人が傷つくのは見たくないから・・・・・・・」
「アンタバカァ?!鈴原が来たって事は仲間が増えたって事じゃない!
 ということは一人一人が傷つくのも減るわけ!分かる?!」
「う、うん・・・・・・・」
「アタシだってシンジだけにつらい思いはさせたくないの。分かって。」

このときも再び顔を紅くしている二人であった。

「かーっ、ここでも夫婦水入らずかいな。かなわんなぁ」

「「誰と誰が夫婦なんだよ(のよ)!」」

相変わらず他人の前では素直になれない二人であった。


NEXT
ver.-1.10 1998-04/12訂正
ver.-1.00 1997-12/06公開
ご意見・ご感想・LASが足らん!という方は y-mick@japan-net.ne.jpまで!!  
次回予告

新たに加わった力、その力は強大であった。
だが、敵の力も比例するように大きくなっていった。

次回、
NEW TYPE EVANGELION 第拾話 エヴァの敵

次回もさーびす、さーびすぅ。



あとがき

どうも、Y-MICKです。
NEW TYPE EVANGELION 第九話 新しき二つの力 を公開します。

まだまだスランプの後遺症が残っているため、出来はあまりよくありません。
後半のトウジが出てくる所なんて『見え見えでべたべたの展開』だし・・・・・・・・。
それにLAS部分も極端に少ないです。
まぁLASに関してはもう少ししたらLASオンリーの話を書きますんでそれで許してください。

では次回を楽しみにまっててください。
それでは(^^)/~~


 Y-MICKさんの『NEW TYPE EVANGELION』第九話、公開です。
 

 トウジもいよいよ参戦してきましたね。
 

 黒いジャージは正義の印!
 ブラックジャージメン・トウジが載る機体色はやっぱり黒なのでしょうか?

 ニューEVEの機体色が黒ですから、
 識別しやすいように別の色なのかな?

 しかし、トウジに別の色は似合わないから・・・
 やっぱり黒でしょう!?
 

 TVでは使徒になっちゃた参号機、
 ここでは活躍できました(^^)
 

 

 さあ、訪問者の皆さん。
 Y-MICKさんに感想メールを送りましょう!


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