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「つまり、クォークの反応や中性子を使って調べ上げたのね。」

「そうです、赤木博士。」

ランチタイムに女性と交わす会話としてはこれほど不釣り合いな物は無いというような

内容の話をしているのは、バークレイとリツコであった。

もっとも同僚とならば別に問題は無いのかもしれないが。

 

リツコ自身、バークレイとのランチを承諾したのは彼の落ち込み様に少々気の毒さを感じ

なんとなくランチぐらいなら、と言う感覚であったのだが話題にでるのが量子力学やら、

さまざまな科学理論の話ともなると、自ずと興味をかられる。

 

そんな様子を見ているライカーに、ラ・フォージュが声をかけた。

「どうしたんですか?、副長。」

「ああ、ジョーディか、なんなんだ?、あの二人は。」

ラ・フォージュは、その視線の先にいる二人バークレイとリツコをみて笑いながら

「今朝、レッジが食事に誘ったんですよ。」

そう、ライカーに教えた。

「なんだって?、バークレイがぁ?。」

ライカーは驚いて、そっちの方をまじまじと眺めてしまった。

「でも、あの話の内容でにこやかに談笑できるって言うのもすごい女性ですね。」

かすかに聞こえて来る内容を聞き、ラ・フォージュは苦笑を浮かべた。

 

「その、量子的揺らぎの計測をすることでかすかなエネルギー生物でも捕らえることが

可能なはずなんですよ。」

バークレイのその言葉に、リツコははっとなって顔をあげた。

「どうしました?。」

バークレイは、なにか気に障るような事をしてしまったのかと心配になってリツコに

聞いた。

「なにか、私が気に入らない事をしてしまったのですか?」

その、戸惑いを浮かべたバークレイの顔を見てリツコは慌てて微笑みを浮かべると

「いえ、そんなことはありません、むしろとても気に入る事です。」

と、丁寧に答えた。

(そうよ、量子の揺らぎだわ。)

リツコはその思い付きを記憶にとどめた。

 

 

「今日はとても有意義な時間をすごせました。」

そう言って、別れ際にバークレイの頬に軽くキスをした。

 

 

 



第5章 光と影のラビリンス PARTW

 

 

 

スァヴァックとタオは、艦内のライブラリで地球の魔女伝説、悪魔伝説に関する情報と

Qに関する情報を収集していた。

エンタープライズDで始めてQに接触したときの事だけではなく、初代エンタープライズ

においても、似たような存在に接触していた記録をも見つけたのだがそのどれにも有効な

対策法は載っていなかった。

「スァヴァック大尉、これでは我々が護衛としてついても何の意味もないですね。」

「まだ全てを確認もしていないのに結論を出す行為は非論理的だぞ、中尉。」

そうは言っても、実際決定打といえる情報にはまだ巡り会っていない。

E型機になって以降このエンタープライズには民間人は乗っていない。

D型機であれば、それこそ本物の民族学者や心理学者は多数乗船していた。

自分達のような、趣味の研究者ではこの問題は荷が勝ちすぎている。

そう、スァヴァックもタオも思いはじめたころ、ある記録を見つけた。

「タオ中尉、これを見たまえ。」

タオは、差し出されたデータパッドの記録を読みスァヴァックの顔を見返した。

「大尉でもこれは…。」

「そうだ、可能性は低いが無いと決まったわけではない。」

 

 

 

リツコが、シンジ達の部屋に顔を出した時三人はちょうど昼食をとっていた。

「あら、今お昼?。」

リツコは彼等がまだ船内時間に慣れていない事に気づかなかった。

「そうですよ、ここと地上じゃ1時間時差があるんです。」

シンジは、リツコにそう教えた。

最も明日か明後日には、第三新東京市とエンタープライズとの時差も無くなるように

調整がなされているが。

「赤木博士、なにか機嫌がいいみたい。」

レイが、不思議そうに聞く。

レイの見知っているリツコは、いつも冷静な顔をしていたからだ。

「そう?、そうかもね。」

リツコはレイを見て、笑いながら答えた。

「リツコ、そんなにいい事があったの?。」

アスカが聞く。

「そうね、貴方の口癖じゃないけれど、受けた屈辱を百倍にして返せそうなのよ。」

そう言ったきり、どんなに問い詰めてもリツコは悪戯っぽく謎めいた微笑をうかべるだけ

であった。

 

 

 

ミサトは、カヲルと顔合わせをしてから作戦部長室でぼうっと考え事をしていた。

委員会、すなわちゼーレは今回手際よく弐号機パイロットの補充を行ってきた。

なにか、裏がありそうでふにおちなかった。

「葛城ぃ、よんでも答えないから勝手にはいったぞ。

昼間からビール飲んでるのか?、いつものように。」

加持が軽口を叩きながら陽気に入ってきた。

「なによ、あんた、真っ昼間から幽霊がでてくんじゃないわよ。」

そう言うとミサトは側の紙屑を丸めて加持に投げた。

それを軽く受け止めると、加持はミサトの前に座り

「まだ、オフレコだがこの課はなくなるぞ。」

にやっとわらいながら伝えた。

 

 

 

ライカーとウォーフは、地上に降りるクルー用に、以前ピカードに作って渡したのと同様

のコミュニケータ兼用のトリコーダーを人数分作製した上に、地上用のハンドヘルドタイ

プのフェイザー銃を用意した。

「ウォーフ、このフェイザーで昨夜ネルフに現われた者を相手にできると思うか?。」

ライカーは、ウォーフの意見を求めた。

「わかりません、使徒と呼ばれる相手にも通常のフェイザーでは通用しませんでしたから。

ただ、目くらまし程度にはなるかもしれません。」

デイタとウォーフは、地上降下班の持つフェイザーにはATフィールドの位相空間化した

領域にある程度干渉できるようにしておいた。

だが、それでもATフィールドを中和できるわけではない。

ましてや、その相手はQのように不可思議な力をもつと聞いている。

ライカーの疑問はもっともだと言えた。

 

 

 

ミサトは加持の言葉に眉根を寄せて顔を向けた。

「そう、やはりね。」

「なんだ、予測していたみたいだな。」

加持はミサトの反応が落ち着いていた事に少々肩透かしを食らったような顔をした。

「まあ、状況があんたの死ぬ頃とは大分違ってきてるしね。」

ミサトの答えに加持は何とはなしに困ったような笑顔をかえした。

過去、ゲンドウの行動や委員会に呼ばれての詰問などに出たことのあるミサトは今や

ネルフ、いやゲンドウの行動がこれから委員会とは対立するであろう事をうすうすと

予感しはじめていた。

「そこでだ、俺としては葛城とツートップになる路線に賛成したいのだけどね。」

加持は、先ほど決まった組織変革の内容についてミサトに相談を持ち掛けた。

結果は今夜までにださなければならない。

ミサトも異存は特になかった。

シンジ達三人に特に危害が加わらなければ。

 

 

 

地下にある、配電盤や電話、その他ネットワークに関する機器の基本部分は人目に付きに

くいこの部分に収められていた。

ヘカテは、この校舎の中で闇の支配するこの場所に居をかまえた。

ここならば、体から離れてMAGIシステムの中に戻る事も可能であった。

だが、ここに体を放置しておいてはなにが起きるかわからない。

ヘカテは、傀儡として使える者を探し出すことにした。

が、黒井ミサに見つからない様にしなければならない。

今、ここで慎重に動かなければまた新たな体をさがさねばならない。

それだけは、何としてもさけたかった。

ヘカテは、壁に結界の紋章を自らの血を使い書き上げるとそこから再びMAGIへと侵入

を開始した。

ネルフの誰にも気づかれることのないように。

 

 

 

マヤは、リツコの臨時代行としてMAGIのモニタをしていた。

一瞬、画面にノイズが走ったように感じたがその後特に以上もなく一時的な物と判断し

作業を続行した。

だが、今ここにいないリツコの事が気がかりで思う様に作業がすすみはしなかった。

 

 

 

シンジは、その日もウォーフの勤務明けとともに武術の鍛練に入った。

だが、今日は実技ではなく戦士の心得を習得する学科のようなものであった。

「たしかに、武術の鍛練は必要だが急に行っては体を壊す。

まず、己の肉体と精神を高めて行くことが必要だ。」

シンジは、このような理論等よりも実際の武術を教えてもらいたがった。

ウォーフもシンジの焦りに関しては重々承知していた。

だが、それでは彼の為にならない。

彼に、今必要なことがら。

それを自ら認識する必要がある。

そう、ウォーフは確信していた。

シンジにはそれを知る事ができる。

そう信じていた。

だが、大きな過ちを起こす前に気づく様にすること。

それが、自分の役目である。

そう考えてもいた。

 

シンジにとって、戦士の教え、クリンゴン戦士への道という文献は読んでいて違和感を

感じずにはいられなかった。

戦士の部族ときいたウォーフの出身星であるクリンゴンの教え、掟ともいうのだろうか

は、少なからず自分の望む部分を書き出してあるように感じられたからだ。

だが、やはり文章などではなくクリンゴンの武術を早く覚えたいという焦りのほうが強く

心を支配していた。

 

 

レイは、最近、といってもまだ2日目であるが、シンジがこの時間にいなくなる事に少な

からず、不安を感じていた。

多分、アスカもそうなのである事もかんじていた。

「碇君、最近どうしたのかしら?。」

レイはアスカに何とは無しに聞いた。

「あの馬鹿はきっとなんか面白いものでも見つけたんでしょうよ。」

そう言う言葉使いのわりには少々元気が無くも無いと感じるレイ。

「それに、あんたもいい加減その他人行儀やめたら。」

レイにその事を気づかれたくないためにわざと乱暴に話題を変える。

「でも、なんか恥ずかしいじゃない。」

「あまい、そんなだといつまでたっても自分の出自を断ち切れないわよ。

そうねぇ、せめてシンジ君とか言いなさい。」

そう言ったアスカの顔を見てレイは

「アスカ、なんか前と違うわ。」

と、言った。

「そうかな?、そうかもね。

私だって変わるわよ。」

屈託のない笑顔でアスカは答えた。

「だから、あんたも変わりなさい!。」

と、付け加えるのをわすれはしないところがアスカらしいといえばアスカらしかった。

 

 

 

その船室は広くもないが狭くもなかった。

だが、今のリツコには関係がなかった。

「みてなさい、ヘカテ。

たっぷりお返しはさせてもらうわ。」

その部屋の中でリツコは考えをまとめながら、そう一言つぶやいた。

 

 

 

 

翌日、リツコ、シンジ、アスカそしてレイの四人は地上に向けて転送降下した。

もっとも、リツコはビバリーの反対を強行に押し切って降下したのだが。

 

「しょうがない娘ね。」

ビバリーはそう、腹立たしげに言ったあと

「がんばりなさい、貴方のやるべき事があるんだからね。」

優しくそう付け足した。

 

 

 

地上のコンフォートマンションの玄関に実体化した四人は、それぞれの目的地に向かって

歩を進めた。

リツコはネルフ本部へ、シンジ達三人は学校へ。

「じゃあ、三人ともまた後でね。」

軽く手を振って、四人は別れた。

 

 

本部に進む車の中でミサトはリツコの機嫌のよさと言うか、雰囲気に

「なにか、いい事があったのぉ?、上で。」

と、からかうように聞いた。

「そうね、いい事ならたくさんあったわよぉ。」

そう、言って微笑むばかりのリツコにミサトはそれ以上なにも聞くことなかった。

長年の付き合いで、こうなっては教えてくれそうに無いことをしったいたから。

だが、リツコのこういう表情をみたのは久しぶりのような気がしていた。

「なんか、変わったわね、あんたもアスカもレイも。」

「シンジ君もよ。」

「そうね。」

ミサトは、そう言うと黙って車を走らせた。

このまま良い方向にみんなが変わってくれるといいのに。

そんなことをかんがえながら。

 

 

 

シンジ達がマンションから歩き出してすぐ、彼等の後方100メートルくらいの所にスァヴ

ァックとタオは、実体化した。

「大尉、その格好は目立ちませんか?。」

タオはスァヴァックの格好をみて再度聞いた。

「少しは目立った方が相手に対して威嚇になるのではないか?、中尉。」

スァヴァックの服装はヴァルカン人独特のローブのような衣装を着ていた。

タオは、地球人の服装を着ている。

「それに、中尉、相手に対して地球の少なくとも人間ではないと言うことを示威しておく

方が今回は論理的だと思うが?。」

「そうですか?。」

「なんにせよ、始めての相手だ、少しは常軌を逸してもかまわないと考えられる。」

そう話ながら二人は、シンジ達三人の後を警戒しながらついて行った。

 

 

 

ピカードは、艦長室の来客を告げるアラームに気づき許可をだした。

入って来たのはバークレイだった。

「どうした?、バークレイ大尉。」

バークレイはしばし口を開いたり閉じたりしたがやっと言葉をだした。

「艦長、お願いが有って来ました。」

「なんだ?、その願いと言うのは。」

「私を、上陸班に加えてください!。」

ピカードは、絶句してバークレイの顔を見た。

 

 

 

「おはよう、三人とも。」

シンジ達は、突然後ろから聞きなれない声に挨拶されて振り向いた。

「おはよぅ、だけど誰?。」

シンジはその見慣れない人物に挨拶を返すと同時に、警戒の色を隠せなかった。

「そんなに警戒しなくてもいいよ、僕は渚カヲルと言うんだ、碇シンジ君。」

銀髪、そしてレイの様に紅い瞳を持つ少年は自らの名を名乗った。

 

 

 

そして、彼が最後のシ者。


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ver.-1.00 1998+03/11公開
ご意見・ご感想は 第135宇宙基地まで!!

なんかなー、最近これはまずいよなー。

あんた、なにまたノイローゼモードにはいってんのよ。

いえね、最近なんかエヴァってーよりどんどんスタトレモードにシフトしてる

よーなきがして。

それにあろうことか、どんどんエコアザモードがひどくなってるような気がすんですよね。

あんた、今更なにいってんのよ。

始めた時から、ずーっとそんな感じじゃない。

そうですよ、僕なんかこのところぜんぜんエヴァに乗ってないですよ。

あ、でもシンジ君はなんか少し格好いい感じなキャラクターになってきてしまったような。

そうですか?、ちょっとてれるな。

やはり、シンジ君は情けない方がいいのかなー、ねえ、大家さん。

この場にいない人間に同意をもとめんじゃない!。

アスカさんだって結構、落ち着いた感じになってきてしまって本編の情熱の空回り女じゃ

ない感じですよねー、いいのかなー。

いちいち、きにしてんじゃないわよ、ぱーっといきなさいパーっと。

はあ、そんなもんですかねー。

あ、そうだ橋爪さま、やはりなんど出してもメールがとどかないみたいです。

この場でお礼を言わせていただきます。

メールありがとうございました。




 SOUさんの『FIRST CONTACT』第5章PartW、公開です。



 リツコさん、怖い。
 リツコさん、可愛い。

 そして、

 リツコさん、格好良い!!



 やられて黙っているようでは、リツコさんじゃないやいっ

 反撃の糸口を掴んだ彼女。
 きっときっっっつい一発をヘカテに喰らわしてくれるでしょう(^^)


 ごーごー



 アスカ達を守れる力を持つシンジ、
 いいですね(^^)

 何でも出来るスーパーはちょっと違和感感じるけど(^^;



 さあ、訪問者の皆さん。
 感想メールをSOUさんにドンと送っちゃいましょう!



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