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終焉の果てに外伝 偏食娘、ドンブリの向こうに

 


 

今日のユイさんはご機嫌だ。

何せ10年ぶりのシャバである。

「んーーーーーーーーー

 やっぱ、外の空気はいいわねーーー

 さて、可愛いレイちゃんのためにご飯を作りましょうか。」

ユイさんは、コアより解放された際にレイちゃんを無理矢理自分の娘にしてしまったのだ。

その際にゲンドウ並びに冬月は、ユイさんによりタコにされ、コンクリートで固められてLCLに沈められている。

「殺しはしないから安心なさい。10年もすればサルベージしてあげるわ。」その際のお言葉である。

この一件で、ネルフにおいて彼女に逆らう者は一人もいなくなってしまった。

当然であろう。

 

 

さて、なんせ10年ぶりに作る食事だ。腕のふるいがいがある。

「あ、そうだ!

 ちょっとレイちゃんいらっしゃい。」

ユイさんが自分の部屋にいるレイちゃんを呼んだ。

「…………はい。」

「レイちゃん、今からご飯作るんだけど何か食べたい物あるかしら?」

「…………ニンニクラーメン、チャーシュー抜き。」

「はあ?」

「…………今の私には、ニンニクラーメン、チャーシュー抜きが必要なの。」

「わ、分かったわ。ニンニクラーメン、チャーシュー抜きね。」

「…………そう。」

ユイさんに作れない料理などこの世には存在しない!

さっそく出来上がった、ニンニクラーメン、チャーシュー抜き。

「ふう、ラーメンなんて久しぶりに作ったわね。」

テーブルに置かれたドンブリには、ニンニクラーメン、チャーシュー抜き。

「さあ、めしあがれ。」

「…………いただきます。」

 …………初めての言葉。

 …………感謝の言葉。」

ズルズルズルズルズルズルズルウズルズル…………

「…………ごちそうさま。

 …………初めての言葉。

 …………感謝の言葉。」

「おそまつさまでした。

 レイちゃん、明日の朝は何が食べたい?」

「…………ニンニクラーメン、チャーシュー抜き。」

「はあ?」

「…………明日の私には、ニンニクラーメン、チャーシュー抜きが必要なの。」

「わ、分かったわ。ニンニクラーメン、チャーシュー抜きね。(あの髭眼鏡、他のモン食べさせてないの。)」

「…………そう。

 …………お休みなさい。 

 …………初めての言葉。

 …………眠りの言葉。」

「お、お休みなさい。(全くどういう育てかたしたのかしら。)」

 

 

三日間、三食全て、レイのリクエストはニンニクラーメン、チャーシュー抜きだった。

 

 

そして、四日目。

「レイちゃん、今日の昼御飯は何が食べたい?」

「…………ニンニクラーメン、チャーシュー抜き。」

(この娘ったら、他に言うこと無いの。)

三食同じ物を三日間食べれば、誰でもイヤになる物だ。

別の物を食えばいいって?

優しいユイさんは、レイちゃんだけ別の物を食べらすことが出来なかったんですよ。

「レイちゃ〜ん、他にもいろいろあるでしょ〜

 よ〜く、考えてみて〜(ピクピク)」

「…………知らない。

 …………私、三人目だから。」

「そう言わずに、ステーキとか色々あるでしょ。」

やはり、セカンドインパクト世代(ユイさんは、ミサトさんより若いんで…)と言えば「ステーキ」ですね。

「…………いらない。

 …………肉、嫌いだもの。」

「お肉ダメなら、お魚とか。」

「…………魚、海を泳ぐ物。

 …………海、生命の母なる物。

 …………母、命を生み出す物。

 …………命、命って何?

 …………命って何?

 …………命って何?

 …………命って何?

 …………ブツブツブツブツブツブツブツブツ…………………」

「もしもし、レイちゃん?」

「…………ハッ。」

「それでお昼は?」

「…………昼の私には、ニンニクラーメン、チャーシュー抜きが必要なの。」

「レ、レイちゃん。何で、ニンニクラーメン、チャーシュー抜きなの?」

「…………絆だから。」

「何の絆なの?」

「…………みんなとの絆。」

「何で?」

「…………知らない。

 …………私、三人目だから。」

「はあ?」

「…………ニンニクラーメン、チャーシュー抜き。

 …………ニンニクラーメン、チャーシュー抜き。

 …………ニンニクラーメン、チャーシュー抜き。

 …………ニンニクラーメン、チャーシュー抜き。

 …………ニンニクラーメン、チャーシュー抜き。

 …………ニンニクラーメン、チャーシュー抜き。

 …………ニンニクラーメン、チャーシュー抜き。

 …………ニンニクラーメン、チャーシュー抜き。

 …………ニンニクラーメン、チャーシュー抜き。

 …………ニンニクラーメン、チャーシュー抜き。

 …………ニンニクラーメン、チャーシュー抜き。

 …………ニンニクラーメン、チャーシュー抜き。

 …………ニンニクラーメン、チャーシュー抜き。

 …………ニンニクラーメン、チャーシュー抜き。

 …………ニンニクラーメン、チャーシュー抜き。

 …………ニンニクラーメン、チャーシュー抜き。

 …………ニンニクラーメン、チャーシュー抜き。

 …………ニンニクラーメン、チャーシュー抜き。

 …………ニンニクラーメン、チャーシュー抜き。

 …………ニンニクラーメン、チャーシュー抜き。」

「わ、分かったから、もうやめて、ね。」

「…………そう。

 …………私は、ニンニクラーメン、チャーシュー抜きが食べれるのね。」 

「え、ええ………」

「…………うれしい。

 …………私、うれしいのね。

 …………うれしい。

 …………初めての気持ち。

 …………心地よい気持ち。」

「はぁ……」

 

 

その後、シンジが復活するまで、碇家ではニンニクラーメン、チャーシュー抜き以外は食卓にあがる事はなかった。

 

 

終わり。

 


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ver.-1.00 1997-10/26公開
ご意見・感想・誤字情報などは samon@nmt.ne.jp まで。

 

やっぱ、レイは難しいです〜

もう、動かし難いのなんのって。

レイが上手に書ける人、尊敬します。

次の外伝は、加持になると思います。外伝の雰囲気をがらっと変えてみようかと…

でわ。

 


 佐門さんの『終焉の果てに』外伝#2、公開です。
 

 そう、レイを書くのは難しいですよね(^^;
 

 私なんかはレイちゃんを明るい小学生にしちゃいましたし(^^;;;
 

 レイちゃん表す言葉の内、
 「ニンニクラーメン、チャーシュー抜き」
 「私、三人目」
 「○○の言葉」
 代表的ですよね。

 代表的ゆえによく使われ、
 よく使われるゆえに扱いが難しくもある言葉。

 上手く行きましたね(^^)

 

 

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