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「終焉の果てに」第拾伍話 敵

 

 

 

 

天空に舞う四人の天使達が、終焉の為のファンファーレを奏でていた頃

 

地に宿る十二枚の翼を持つ悪魔は、始まりのための序曲を歌う

 

全てはヒトの為に…………

 

 

 

 

四機の量産エヴァは、初号機を取り囲むようにゆっくりと降り立った。

敵は巨大な剣のような物を構えていた。

「四対一か……一機ずつヒット・アンド・アウェイで倒していくか。」

シンジはそうつぶやくと、レバーを前に倒す。

初号機が前方の一体に全速で駆けていった。

獣のような動きで量産機に迫る。

一瞬だった。

初号機のはなった渾身の右ストレートは、吸い込まれるように量産機の顔面へと。

爆発する量産機の顔。

溢れかえる血。

返り血を浴びた紫の巨人は、悪魔のように禍々しかった。

「シンジ君、コアを破壊して!」

ミサトの命令が飛ぶ。

「はい!」

シンジの返事と同時に、足下に倒れる量産機のコアを踏み抜く初号機。量産機には断末魔の悲鳴を上げる口も既になかった。

S2機関の破壊とともに十字の爆発をあげる量産機。

その爆発も初号機には傷一つ与えられない。

四機の内、一機は完全に破壊された。

ここまでわずか30秒。

あまりにも圧倒的な力の差であった。

サードインパクト直前に完全に覚醒した初号機の前に、S2機関搭載とはいえ量産機如き敵ではなかった。

凄まじいまでの力の差を目の当たりにした残りの三機は、翼を広げ上空から攻撃を加えようとする。

シンジは、すかさず先ほど倒した量産機の剣を手にし、一機に投げつける。

それは、見事に片方の翼を切り裂いた。

悲鳴を上げ落ちていく量産機。

大地に衝突する直前に初号機の抜き手で、コアを貫かれた。

叫びにならない声を上げ、血を吹き上げ崩れ落ちる。

「残り二機!」

シンジは、剣を奪い構える。

上空の二機は、手にしていた剣を上段に振りかぶり、凄まじいスピードで初号機へと向かっていった。

この者達に逃げることは許されてはいない。

二振りの剣が、初号機に振り下ろされる直前、シンジは手にした剣を横一線に振り払う。

発令所の人々にその斬撃を感知した者はいない。

止まっているかのように見えるその光景の中、二機の量産機はその体とコアを二つにし、大地へと落ちていった。

そして二つの光の十字架が、その戦いの幕を引いた。

圧倒的な戦いだった。

「終わった…………」

シンジはエントリープラグの中でつぶやく。

ミサトからの指示がシンジに伝えられた。

「シンジ君、ご苦労様。回収ルートは5番ね。」

「分かりました。」

シンジは、回収用のエレベーターに乗る前に一機だけ爆発しなかった量産機へと近づいた。

S2機関はまだ生きているが、コアは完全に破壊され、全く動かない。

結局、敵パイロットで生きている可能性があるのは、この量産機のパイロットだけだった。

シンジの胸が痛む。

後頭部よりエントリープラグを引き抜く。

既に回収班が向かってきていた。

エントリープラグをゆっくりと置くと、回収班がハッチを開けパイロットが運び出される。

「ミサトさん…あのパイロット生きてますか……」

シンジの声は重い。

「安心して、シンジ君。生存が確認されたわ。」

ミサトの報告に、シンジの重みは、少しだけ軽くなった。

モニターに生きていたパイロットの姿が映る。気を失っているようだ。

そのパイロットの顔がシンジの目に飛び込んだ。

『………だれだろう………

 ………どこかで見たような………

 ………何故だろう………

 ………大切な人のような気がする………』

彼が見たパイロットは、かつて彼に初めて好きと言ってくれた人と同じ顔をしていた。

−渚カヲル−

 


 

 

アスカはその頃、キョウコと供にゲンドウの執務室へと呼び出されていた。

ゲンドウ、ユイ、コウゾウ、リツコそしてキョウコは沈痛な表情を浮かべている。

「良くきた、惣流・アスカ・ラングレー君。」

ゲンドウの苦しげな声が、アスカを不安にさせた。

『さっきの第一種戦闘態勢といい、みんなの表情といい、何があったの……』

アスカが不安に捕らわれている中、ゲンドウがゆっくりとシンジのことを語りだした。

「先程、ゼーレの量産型エヴァが進攻してきたのだ。

 君も知っていると思うが、サードインパクト直前に侵攻してきたS2機関搭載型のエヴァだ。

 我々がこの計画を知ったのは、2時間ほど前だった。

 ゼーレの目的は、初号機を奪い再びインパクトを起こすことだった。

 時間がなかったのだ。

 弐号機は、既にコアより惣流君をサルベージしたことにより、起動しない。

 初号機は、ユイをサルベージしたが、サードインパクト時の影響で、シンジとはシンクロすることが分かっていた。

 我々はシンジを使うことしか道がなかったのだ。

 シンジには偽の記憶を植え付けてある。

 シンジと君は恋人同士とさせて貰ったよ。

 記憶はかなり強引な方法で植え付けてあるため、2、3日の内に過去の記憶が蘇るかもしれん。

 この時、シンジの自我は完全に崩壊するかもしれんのだ。

 君に、こんな事を頼むのがおかしいことはよく分かっている。

 シンジを支えてやってくれ。

 頼む。」

「アスカさん、私からもお願いするわ。」

目の前の少女に、ゲンドウとユイは頭を下げた。

アスカは、話を聞いている間、ずっと俯いていた。

「………シンジを洗脳したんですか……」

「そうだ。」

短い肯定がアスカを締め付けた。

「…………どうしてですか……」

アスカの呟きが漏れる。

「なぜ、シンジばかりが酷い目に遭うんですか!

 あたし達が何をしたって言うの!

 何故、あたし達だけこんな目に遭うの!

 どうして!

 教えてよ!

 何故なの!」

アスカは泣き叫んだ。自分たちを取り巻く状況に怒りを覚えた。理不尽なまでの彼女たちの試練に………

「アスカ、落ち着いて!」

キョウコがアスカを抱きしめるが、アスカはその腕の中で暴れ続けた。

「離して!!もういやぁ!!どうして!!どうしてよ!!いやーーーー!!」

「アスカ!」

乾いた音が執務室に響きわたる。

アスカは、その頬を押さえキョウコを信じられないような顔で見つめた。

「………マ……マ……………」

「アスカ、良く聞きなさい。

 他に方法がなかったの。

 こんな事がいいわけだとは分かるけど、どうしようもなかったのよ。

 碇司令や碇博士が、好き好んで自分の息子を洗脳したりすると思うの。

 誰もそんなこと、したくはなかったのよ。

 もう一度、インパクトを起こすことは、絶対に避けなければいけなかったの。

 いいわけだって事は、よく分かっているわ。

 あなた達にしたことは、償いきれないことだったのもよく分かっているわ。

 許して欲しいなんて、おこがましいことは言わない。

 もし、アスカがシンジ君のこと、どうでもいいと考えるなら、ママは何も言わない。

 でも、何もしないことでアスカが後悔するのだったら、何かしなさい。

 どんなことでもいい、何かするのよ。

 何もしないで、後悔して生きていく人生なんて、アスカに送って欲しくないの。

 アスカ、ママの言うことが分かる?」

「………うん…」

「いい子ね。」

アスカはキョウコに優しく抱きしめられた。

「あたし、出来るだけのことをやってみる。」

その瞳には決意の色が宿っていた。

 

 


 

老人達は、自らの敗北を知る。

ここにいる誰一人として想像しえなかった報告が、彼らの耳に届いたためだ。

それでも彼らは、自らが神になることに執着した。

そんな中、彼らの元に終焉を告げる者が現れた。

加持リョウジ、かつては彼らの駒であり、今は彼らの仲間を次々に殺している男。

「お久しぶりですね。キール議長。」

暗く冷たい声が辺りを覆う。

「お前は、死んだはずでは……」

「このとうり、足はきちんとありますよ。」

「我々を殺しに来たのか…」

「良くおわかりで。」

その言葉と同時に、くぐもった音が、三つ聞こえた。

キールのバイザーの上に赤い穴が現れる。

短いうめき声と供に、三人の老人が倒れた。

更に三つの音が聞こえる。

「さて俺の仕事は終わりだな。しばらく身を隠すか。」

後に残されたのは、深い闇。

 


 

 

シンジは、ロッカールームで考え込んでいた。

『さっきのパイロット、どこかで見たことがある……

 どこだったんだろう……

 懐かしい気がするし、苦しくも感じる。

 あれは一体だれ?

 僕の知っている人なんだろうか?

 誰?

 誰?』

「シンジーーーー」

アスカの声がシンジの耳に届いた。

シンジの顔は、喜びと不安が入り交じった複雑な表情になった。

『ああ……アスカ、怒ってるんだろうな……

 アスカに何も言わなかったし……』

「入っていい?」

「いいよ。」

シンジの見た、アスカの瞳は僅かだが赤くなっていた。

『アスカ、泣いてたんだろうな……

 心配かけちゃったな……』

「ごめん。

 母さんに何も言わないでって頼んだの僕なんだ。」

「シンジ………

 違うの……そんなこといいの………

 あたし……怒ってなんかいないから……

 ………もう…帰りましょう……あたし達の家に………」

普段見せないアスカの態度に、シンジは、アスカによほど心配をかけたんだと感じた。

「アスカ……

 ごめんね、アスカに心配をかけて。

 でも僕は、アスカを守りたかったんだ。

 僕は、アスカを守るためだったら、何でもするよ。

 僕の命をかけてもいい。」

「バカ、アンタが死んじゃったら、あたしはどうすんのよ。

 もういいから、帰りましょう。」

アスカはシンジの想いが嬉しかった。でもそれは、作られたものだと分かっていた。

『あたしのことを、こんなにも大切にしてくれるシンジは、作られたシンジなんだ。

 本当のシンジは、ファーストが好きだったかもしれない。

 そんなこと、分かってる。

 でも嬉しい、シンジとまたこうして話が出来るなんて。』

「うん!帰ろう、僕たちの家に。」

シンジは、アスカの手を取り、ロッカールームを後にした。

 

 

帰り道……

 

 

「今日は、珍しいね。父さん達が早く帰って休んでいろなんてさ。」

「そうね……」

二人は、コンフォート17まで一緒に帰っていた。

ゲンドウは、二人を帰すことにした。もちろん、緊急時のために多数の護衛が二人に気付かれないように張り付いている。病院までの緊急ルートも確保していた。シンジを家へ帰すと言いだしたのはアスカだった、リツコはシンジを家に帰すことに反対したが、ゲンドウとユイは、アスカの意見に賛成し、結局シンジは家に帰ることになった。病院でいるより、シンジの思い出の詰まった家にいる方が、シンジが立ち直れる可能性が高いと考えたからかもしれない。

ロッカールームからずっと、アスカはシンジの手を握ったまま離さなかった。

シンジを離せばどこかに行ってしまう気がしたから。

「ねえ、アスカ………そろそろ手を繋ぐのをやめない?」

既に警報は解除され、戦闘のあった区画は別にして、住宅街の近いこの区画は既にかなりの人が溢れていた。

このシンジも人前で手を繋いだりするのは、恥ずかしいらしい。

それにシンジは、チラチラと二人を見る視線が気になった。

アスカは、かなり目立つ。

その赤みがかった金髪と、紺碧の瞳、整った顔立ち、細身だが豊かなプロポーション、とにかく目立った。

シンジ自身も、繊細な顔立ちに、優しげな瞳、そして今は、どこか凛とした雰囲気を持っていたため目立った。そのことにシンジ自身は全く気付くことはなかったのだが。

「……あたしと手を繋ぐのいやなの?」

アスカは悲しげにシンジに問い返す。

「あ、い、いや、別にそう言うんじゃないんだけど、みんな見てるから恥ずかしいなって、それで……」

「………いいじゃない、あたし気にしないもん。」

「………うん。」

シンジは、なにげなく強く手を握り返す。

 

二人に距離が少し近くなった……

 

やがて、二人はミサトの部屋の前についた。

アスカは手を離そうとはしない。

そんなアスカの様子を見て、シンジは仕方なく片手でカードキー取り出しドアを開ける。

「ただいま。」

シンジが、アスカの手を引きながら中へと入ろうとした時、アスカはあることに気が付いた。

『そうだ!あたし、ママと暮らしてるんだった。

 どうしよう……』

シンジは、入り口でなんだかモジモジしているアスカに不思議そうに声をかける。

「アスカ、どうしたの?」

「あ、あのね……その……あたし引っ越したの………」

アスカの言葉にうろたえるシンジ。

「ど、どうして!」

「誤解しないでね、シンジのこと嫌いになったわけじゃないの!

 あ、あのね………ママが一緒に暮らしたいって…………」

とっさのいいわけは、旨くいったようだ。

「そうなんだ……………どこに引っ越したの?」

『アスカそれで様子がおかしかったんだ……でも…いやだな……』

「隣。」

「えっ…」

「だから、隣の部屋。」

シンジは少し呆然としたが、やがて思い出したように笑い出した。

「……クッ…アハハハハハハハハハハハハハ…」

「ちょっと!何がおかしいのよ!」

シンジが突然笑い出したことにより、アスカは顔を赤くして怒った。

「ハハハ………ご…ごめん、引っ越したなんて言うから、アスカがどこに行っちゃうんだろうと思ってさ。

 そしたら、隣なんて言うから、おかしくて…」

「もう、いいわよ!」

まだ怒りは解けないらしい。

「本当に、ごめん。

 だって、アスカといつも会えないって思ったから不安で、僕のこと嫌いになっちゃたのかなって思ったから。」

その言葉に、別の意味で顔を赤くするアスカ。

「バカ!あたしがアンタのこと嫌いになるわけないでしょ……」

その語尾は、恥ずかしげに小さくなっていった。

「僕たちは、生まれたときからずっと一緒だったから……

 アスカ、これからも一緒にいられるよね?」

遠回しのシンジの告白。

しかし、アスカはその言葉で、現実に引き戻された。

シンジとの会話。

シンジの笑顔。

久しぶりに感じた、シンジにアスカは現実の重さを忘れていた。

「………シンジ……どこにも行かないでね……」

シンジの記憶が蘇ったときの恐怖がアスカを襲う。

「どこにも行かないよ。ずっと、アスカの側にいる。」

優しく微笑むシンジの笑顔がアスカを締め付ける。

アスカは、じっと俯き肩を震わしていた。

そんなアスカを、シンジはその肩に手を回し、ゆっくりと家の中へと導いた。

「お腹空いただろ、何か作るよ。」

そう言い残し、シンジはキッチンへと消える。そして………

「何だよ、これーーーーーーーーー!!」

悲鳴が響きわたる。

シンジがキッチンで見たモノは、ミサトにより荒らされたゴミの巣だった。

かつて、彼がここの主だったときの面影もなかった。

アスカはシンジの叫びを聞いてキッチンに、駆けつけた。そして彼と同じモノを見て、あきれ返る。

「ミサトは、どんな生活してんのよ。」

「僕が入院している間に、こんなになるとは…………」

呆然とつぶやくシンジ。

「シンジ、あたしの家に来なさいよ……

 そしたら、あたしがご飯作ってあげる…………」

「アスカ、出来るの!?」

シンジの記憶の中では、アスカは料理を全くしなかった、いやできなかった。

「失礼ねー!ちゃんとママに教わったんだから!」

「ごめん、ごめん。……でもいいの?」

「いいに決まってるじゃないの。

 さ、行くわよ。」

そう言って、シンジの手を引っ張り、アスカは自分の家へと入った。

「ただいまー」

「…おじゃまします。」

二人はそのままキッチンへと向かった。

「シンジは、そこに座っているのよ。」

テーブルを指さし、アスカはキッチンへと向かう。

「はいはい、分かりました。」

シンジはゆっくりとテーブルについた。

テーブルの上にひじをつき、幸せそうにアスカを見つめる。

『幸せって、こういうことなんだろうな。

 今、僕は幸せなんだ。

 失いたくない。

 この幸せを失いたくないな……』

 

キッチンでは、アスカが料理を始めるところだった。

アスカは、少しだけ幸せを感じていた、どんな形であれシンジに食事を作ってあげられるのが嬉しかった。

アスカは、依然に母が絶賛したポトフを作ることにした。

冷蔵庫から材料を取り出し、テキパキと料理をすすめる。

調理した材料を鍋に入れ、煮込みにかかる。

少し時間がかかる。

「シンジ、ちょっと時間がかかるから、シャワー浴びて着替えてきなさいよ。」

「分かった。じゃあ、ちょっと帰ってくるね。」

そう言い残し、シンジはいったん家に帰った。

幾ばくかの時間が流れた…

アスカはキッチンで歌を歌いながら、シンジのためにポトフを仕上げる。

そんな中、シンジが帰ってきた。

「ただいま。」

「おかえりなさい。もうすぐ出来るから、まっててよ。」

ポトフが仕上がり、テーブルに並べられる。

こんがりと焼けたフランスパンと、コンソメのスープと供に。

二人だけの夕食。

「どう、シンジ?

 おいしい?」

「本当においしいよ。」

アスカの顔が喜びに彩られる。

実際、アスカの料理は本当においしかった

少しだけ幸せな時間もやがて終わる。

「ごちそうさま。アスカ、本当においしかったよ。」

「ありがとう、シンジ。」

「じゃあ、後片づけは僕がするね。」

「いいから、シンジはテレビでも見てて。あたしがするの!」

「ありがとう。」

リビングでテレビをつけるが、シンジはずっとアスカを見ていた。

『今日のアスカは本当に可愛いな………

 胸がドキドキしてる。

 いつもの元気なアスカも可愛いけど、今日のアスカは本当に可愛いな。

 なんだか、僕が僕でなくなるみたいだ……

 アスカ…好きだよ……』

片づけも終わり、シンジの元へアスカがやってくる。

「なに見てたの?」

「アスカ……ずっと…アスカを見てた……」

シンジはアスカの瞳を見つめながらささやく。

アスカの頬は桜色に染まり、その瞳は潤んでいた。

シンジは、そっとアスカを抱きしめる。

「シンジ………」

アスカの切なそうな声が、シンジに届いた。

腕に力を込めるシンジ。

『これはシンジじゃないの………

 あたしを抱きしめてくれているのシンジじゃないの………

 本当のシンジはこんなことしない………

 …………でも………今だけ……………

 …………今だけ……夢を見させて……』

「アスカ……好きだよ……………」

「あたしも…シンジが好き………」

 

 

 

 

カーテンに映る影は、一つになった……

 

 

 

 

やがて、影は分かれる。

アスカは、シンジに体を預け、その暖かさに包まれていた。

『アスカ……僕のことを好きだと言ってくれるアスカ………

 愛おしい……全てが愛おしい………

 僕は、アスカの側にずっといたい………

 いつまでも………

 好きだよ、アスカ………

 アスカも僕を好きでいてくれる………………………………………違う!……………』

ピキッ

シンジの頭の中で、何かが割れる音が響く。

『な、なんだよ、これ。』

頭の中で声が聞こえる。

自分を否定する叫びが聞こえる。

突然、シンジは頭を抱えて苦しみ出した。

「シンジ!!どうしたの!!ねえ、しっかりして!!」

アスカは知った、シンジの記憶が目覚めつつあることを。

頭を抱えてシンジは叫んだ。

 

 

 

「うわあああああああああああああああ!!!」

 

 

 


NEXT
ver.-1.00 1997-11/06公開
ご意見・感想・誤字情報などは samon@nmt.co.jp まで。

 

ああ、幸せのまま終わりたかった…………

書き終えた、今の感想です…………

最近、「新しいゲームと小説が俺を呼んでいる。」状態です。

キーボードが進まないよーーー(@_@;;;

でわ、次回「第拾六話 真実の行方」で、お会いしましょう。

 


 佐門さんの『終焉の果てに』第拾伍話、公開です。
 

 圧倒的なまでの力で
 量産EVAの再度進行を撃破。

 裏で働く加持も
 ゼーレの老人達を始末完了。
 

 外憂へは一応のケリが付きましたね。
 

 シンジにも僅かな幸せな時間が・・・
 本当にわずかでした。。。
 

 内患はますます重い者になっていきますね・・
 

 「なぜに私達だけに」
 アスカの言葉が響きます。
 

 さあ、訪問者の皆さん。
 佐門さんへ感想メールを送りましょう!


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