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ぱん、ぱぱん、ぱぱーん
高い青空に間の抜けた音と共に煙が広がる。
電柱から電柱へと幾筋もぶら下がる万国旗がひらひらと風にはためく。
万国旗をはためかせた風はそのままグラウンドの砂を巻き上げる。
砂が巻き上げられる度に砂が目に入るのか、あちこちから声が上がる。
一周千メートルはあるだろう、巨大なトラックを持つグラウンドはたくさんの人で賑わっている。
グラウンドのあちこちには屋台が立ち、それがこの馬鹿げた騒ぎを一層助長している。
あらかじめ打ってあった印に沿って白線を引く係員。
もう屋台に並んでいる子供達。
何かを探しているのか、意味も無くうろうろしている男。
そしてグラウンドの入り口で意味も無く立っている少年。
青色のジャージを着て、スニーカーを穿いているその少年は意味も無く呟いた。
「僕はここで何をやってるんだろう・・・」
少年の呟きを聞いているのは青い空だけだった。




運動会(前編)




事の始まりはミサトの一言だった。
「シンちゃん、アスカ、今度の日曜ネルフの運動会だから」
「ふーん、それで?」
アスカが聞き返す。
「で?って?」
「だから、それがアタシ達になんか関係あるの?」
「関係あるに決まってるじゃないの、あなたたちはエヴァのパイロットなんだから参加してもらうわよ」
「嫌よ、大体今度の日曜は予定があるんだから」
「シンちゃんとデート?」
ミサトがふざけて言う。
「何であたしがバカシンジとデートなんかしなくちゃなんないのよ。ヒカリと買い物に行く約束してるのよ」
アスカが大声で怒鳴る。
「その事なら大丈夫よ。洞木さんにはちゃんと許可は取ってあるから」
「いつのまにそんな事したのよ。大体そんな事ヒカリからは一言も聞いてないわ」
「当たり前よ。洞木さんから許可取ったのアンタ達が帰ってくる三分くらい前だし」
「そんなムチャクチャな事しないでよ。大体どうやってヒカリをだましたのよ」
「だましたなんて人聞き悪いわね。私はただ今度の日曜アスカがネルフの運動会に出る事になって洞木さんと買い物にいけなくなったって言っただけよ」
「それをだましたって言うのよ。大体人の予定を勝手に決めないでよね、絶対行かない!」
「それは無理よ」
「え?」
アスカは口を開け、間の抜けた表情をする。
「運動会に参加するのは司令の命令なの。あなたに拒否権は無いわ」
「何でそんな事まで命令されなきゃいけないのよ。」
「運動会の案を出したのが司令だからじゃないの?」
「そんなバカな事でせっかくの休日がパーに・・・」
アスカは情けない表情で黙り込む。
ここまで全く口を挟まなかったシンジが口を開いた。
「でも子供って僕たちだけなんですよね。それじゃあいくらなんでも・・・」
シンジが最後まで言い切る前にミサトが口を挟む。
「それなら大丈夫、鈴原君と相田君、それに洞木さんも参加してくれるわ」
「でもネルフって非公開組織じゃないんですか?」
「いいのよ、使徒も来なくなった今、ネルフは国民に愛される地球に優しい組織をめざしているのよ」
「・・・なんですか、それ」
「細かいことは気にしないの!いいわね、あなた達絶対参加してもらうわよ」
そう言ってミサトは自分の部屋へ入る。
シンジとアスカが何を言っても聞くつもりは無いようだ。
「そんなぁ・・・」
後には情けない声を出すシンジと、声も出ないアスカが残されるだけだった。


「ミサトさん・・・」
シンジは「秋だ、ネルフだ、大運動会」と書かれた横断幕の下をくぐって入ってきたミサトに地獄の底から響くような声で話しかけた。
「ミサトさん、今朝、運動会のパンフレットを読んでみたんですよ」
ミサトがびくりと震える。
「・・・そぉなの?」
シンジはお構いなしに続ける。
「なんか見てたら優勝の景品なんて有ったんですよ」
「へぇ、知らなかったわ」
「有休一ヶ月だそうですよ」
「そうなの、それじゃあ頑張らなくっちゃね」
ミサトは明後日の方を向いて白々しくガッツポーズを取った。
「それともう一つあるんですよ」
「何、シンちゃん?」
「冬月さんに聞いたんですけど、パイロットの参加は強制じゃないそうですよ」
「えっ、命令じゃなかったの?」
「それに僕たちみんなミサトさんのチームに入ってますし」
「偶然よぉ」
「はっはっは、珍しい事も有るんですね」
「そうねぇ、珍しい事も有るものねぇ」
シンジは冷たい目でミサトを見つめる。
ミサトは一歩後ずさる。
「シンジ君」
そう言ってシンジの肩に両手を置く。
「女は有休のためなら鬼にもなるのよ。わかる?」
「そんなのわかりませんよ!」
周りの人間は二人の漫才を物珍しそうに見ていた。


開会式でのゲンドウの挨拶、そしてミサトの選手宣誓が終わり、競技が始まった。
「ミサトさん、最初の競技はなんですか?」
シンジが尋ねるとパンフレットを見ながらミサトが答える。
「えーとね、最初は綱引きよ。レイと洞木さんがエントリーしてあるわ」
「なんか普通ですね。父さんが言い出した事だからもっととんでもない事やらされるかと思ってましたけど。」
「そうでも無いわよ」
「え?」
「この綱引きは真ん中に地雷原があって負けた方はその中に突っ込むの」
「そんなの死んじゃうじゃないですか!」
シンジは顔面蒼白になりながらかろうじて答える。
「大丈夫よ、怪我しない程度に火薬は減らしてあるから。ただの視覚効果よ」
「そういう問題じゃないですよ。綾波も委員長も棄権しなよ」
そう言ってシンジが振り向いたときにはヒカリは既に向こうへ行ってしまい、残っていたのはレイだけだった。
「綾波、委員長を止めてきてよ。怪我しちゃうよ」
「大丈夫よ碇君、あなたは私が守るもの」
「はあ?」
シンジの言葉を無視してレイはすたすたと歩いていく。
「ほんとに大丈夫なの、ミサト?」
アスカが尋ねる。
「だーいじょうぶ、リツコがきちんと保証してるわ」
「余計に危ないじゃない!」
「気にしない、気にしない、そんな事言ってたら人生損するわよ」
「そんな事言ってるから行き遅れるのよ!」
ギシッ、ギシッ、ギシッ
ミサトがそんな音を立てながらアスカの方を睨む。
「なんか言った?」
口調は普通だが完全に切れている。
「そんなんだから行き遅れるって言ったのよ」
「も・う・い・ち・ど・い・っ・て・み・な・さ・い・よ・!」
そう言ってアスカのこめかみに拳を当ててグリグリとやる。
「いたあああああああああああああああああああ・・・・・・・・・・・・」
アスカの絶叫があたりに響き渡る。
「何やっとんのや」
そこへトイレに行っていたトウジとケンスケが帰ってきた。
「あっ、トウジ、ケンスケ、大変だよ!」
「なんだ、そんなに慌てて?」
ケンスケが尋ねる。
「この運動会は危険だよ、帰ろう」
「なにゆうとんのや、シンジ。運動会に危険もくそもないやろ?」
トウジが言う。
「そうだよ、大体俺は今日のミサトさんのお弁当が楽しみでここに来たんだ。昼までは絶対帰らないぞ」
「そうや、ワシもミサトさんの弁当が楽しみなんや。何があるんか知らんけどそれまでは絶対帰らん」
トウジとケンスケの言葉にシンジが何か言おうとした瞬間それは起こった。
ドガ、ガガガガガーン
グラウンドの真ん中で連鎖爆発が起こる。
「綾波、委員長!!!」
シンジが叫び、グラウンドへと走っていった。
「なんなんや・・・」
「何が起きたんだ・・・」
後に残されたトウジとケンスケが呆気に取られたような表情で呟く。
「ミサト!どこが安全なのよ。あんなのに巻き込まれたら死んじゃうじゃないのよ」
そう言ってアスカはミサトの首を絞める。いつの間にか形勢は逆転したようだ。
「おかしいわね、リツコはカンペキだって言ってたのに・・・」
首を絞められながらミサトは器用に喋る。
「どこが完璧なのよ。大体あんな行き遅れのマッドサイエンティストを信用するなんてどうかしてるわ!」
アスカが怒鳴る。
「そういう事は言わないほうがいいと思うけど・・・」
ミサトが言うがそんな事はアスカの耳には入らない。
「大体あの女、化粧が異常に濃いのよ。近くにいたら化粧の匂いで気持ち悪くなっちゃうわ。安物ばっか使ってるし、いつも白衣で色気も無いし、あんなんじゃ行き遅れても仕方ないわね。それに・・・」
いつの間にかアスカの怒りの矛先はミサトからリツコへと変わる。
アスカの言葉を聞いているうちにミサトは段々青くなっていく。
アスカに首を締められている所為もあるが、大部分はアスカの後ろに異常なまでの殺気を感じたからだ。
「アスカ・・・」
アスカの後ろから悪魔の声が響く。
「・・・リツコは美人だし頭もいいし、まさに才色兼備を地でいく女よね。それに優しいし、こないだなんか・・・」
「そんな言い訳しても無駄よ」
怒りに満ちた声が響き渡る。
ミサトの首を絞めたままアスカは固まる。
「そんな事言うのはこの口ね。喋れないように改造しちゃおうかしら」
リツコに睨まれ、アスカは冷や汗を垂らす。
「ってミサトが言ってたわ♪」
とりあえずミサトに責任転嫁しようとする。
「そ・れ・で?」
「アタシ全部ミサトに命令されて仕方なく言ったのよ。全部ミサトが悪いのよ」
「最後に喋れる事なんだからもっと気の利いた事言えばいいのに」
リツコは全く引かない。その顔には酷薄な笑みが浮かんでいる。
ヤバい、本気だ。
アスカは本能で身の危険を感じた。
そこへヒカリを背負ったシンジがレイを連れて帰ってきた。
ヒカリはまるで大昔のコントみたいに髪がアフロになって、ヒクヒクと痙攣している。
それとは対照的にレイはいつもと同じように超然としていた。
いつもと違うのはレイが真っ白なジャージを着ている事だけだ。
「ヒカリ!」
「委員長×2」
アスカはこれを幸いとリツコの追及を避けてヒカリに駆け寄る。
同時にトウジとケンスケもヒカリに駆け寄った。
三人の声にヒカリは反応する。
「み、みんな、この、運動、会は、危険よ」
カクン
言い終えると同時にヒカリは意識を失った。
「ヒカリを早く医務室に!」
アスカが叫ぶ。
「大丈夫よ、私が見るわ」
リツコが声をかけた。
「大丈夫なの?」
アスカが疑わしそうな声をあげた。
「何言ってるのよアスカ、私のことが信用できないの?」
「信用できないわよ。大体さっきの爆発だってアンタのせいでしょ」
「人間だれにでも失敗はあるわ。そんな細かい事うだうだ言ってたら人生損しちゃうわよ」
「ミサトみたいな事言ってるんじゃないわよ、これだから行き遅れは、はん」
「なんですって、このクソガキ」
「何よクソババア」
周囲の空気が変わり、周りの人間が離れていく。
アスカとリツコの周りに人がいなくなり、ぽっかりとそこに円ができる。
一触即発の空気の中、シンジがリツコに声をかけた。
「リツコさん、そんな事やってないではやく委員長を見て下さいよ!」
その言葉に緊迫していた空気がゆるむ。
「そうね」
そう言ってリツコはヒカリの検査をはじめた。
「さっきの爆発でショックを受けたみたいね。二分もすれば気がつくわ」
「ほんと?」
アスカが嬉しそうな声を出した。
「怪我とかは無いんですか?」
トウジが言う。
「大丈夫よ、あなた私のことが信用できないの?」
「いや、ワシの足もなおしてもろたし、そんな事無いんやけど・・・」
「この子が心配なのね?」
リツコのからかうような声に、トウジは真っ赤になる。
「心配ゆうたら心配ですけど、委員長とは友達やし・・・」
「あら、誰もそんな事は聞いていないけど?」
その言葉にトウジはこれ以上は無いくらい真っ赤になって黙り込む。
「洞木さんのことが好きなのね、鈴原君」
ミサトがからかう。
「人のことばかり言ってないで自分の心配したら?」
リツコがミサトに言う。
「うっさいわねぇ、大体アンタの方が年上なんだから・・・」
ミサトとリツコが口喧嘩をはじめた。
その時ヒカリが気がついた。
だがミサトとリツコは口喧嘩に夢中で気がつかない。
「うう〜ん」
「よかったヒカリ気がついたのね!」
気がついたヒカリをアスカが抱きしめる。
「そんな事より早く逃げなきゃ」
シンジが口を挟む。
「そうね、こんなとこで死ぬつもりなんてアタシは無いし」
「そうやな、弁当なんてゆうとる暇は無いみたいやな」
「兵器は好きだけど、実験台にされるのは嫌だしね」
「命令じゃなくてもそうするわ」
「早く逃げましょ」
口々にそう言ってグラウンドの出口へと走る。
しかし出口は黒服の男達に固められていた。
「何でネルフの諜報部員がこんなとこにいるのよ」
アスカが叫んだ。
「ふっ、お前達を帰す訳にはいかんのだ」
どこからか声が響く。
「誰?隠れてないで出てきなさいよ!」
アスカの叫び声に応じてかどこからともなくゲンドウが現われた。
「・・・父さん、何やってるの?」
シンジが呆れた声を出す。
ゲンドウはどこで買ったのか知らないがショッキングピンクのジャージを着ている。
その上、白馬に乗って肘を空中に浮かせ、いつものポーズを取っていた。
「なんだ、シンジ。私がこんなにビシッと決めているのに何か文句でもあるのか」
「文句なら言い切れないほどある・・・じゃ無くて僕たち帰るからそこを通してよ 、どうせ父さんの命令だよね。」
「確かにこれは私の命令だ、だがお前達を帰す訳にはいかん」
「何でだよ、僕たちはこんなとこ一秒も居たくないんだよ」
「この運動会は私が企画したからだ」
「「「「「へっ?」」」」」
レイを除く五人の声が重なる。
「ネルフでの私の権限は絶対だ。お前達はこの運動会に参加しろ。これは命令だ。それとも私の命令に逆らうのか?」
ニヤリ
ゲンドウの笑顔にシンジ達は後ずさる。
「あのー、僕たちはネルフ職員じゃ無いから帰っても・・・」
「あー、アンタ裏切る気でしょ、それでも男なの?」
「あのー、あたしも帰りたいんですが・・・」
「ワシも帰ろうと思うとるんですけど・・・」
「ヒカリに鈴原まで!!!」
「トウジもケンスケも酷いよ!」
シンジとアスカが叫ぶ。
だが友情はもろくも崩れさる。
「悪いな、シンジ、惣流、綾波」
「ワシらは先帰らしてもらうわ」
「ゴメンね、アスカ、碇君、綾波さん。私まだ死にたくないの」
口々に勝手な事を言いながら逃げようとする。
が、諜報部員がその行く手をさえぎる。
「何で帰らしてくれへんのや」
トウジが叫ぶ。
その声に反応したゲンドウが何やら嬉しそうに言う。
「フォースチルドレン鈴原トウジ、君の登録は未だ抹消されていない、君は私の命令を聞く義務がある。」
「そんな、悪夢や・・・」
トウジは崩れ去るようにしてその場に座り込む。
「悪いな、トウジ。俺は先に帰らしてもらうよ」
そう言ってケンスケは先に帰ろうとするが、そこにゲンドウが声をかけた。
「相田君、次のエヴァのパイロットには君も候補に挙がっているのだが、ほかにも候補はたくさんいる。ここで君はエヴァのパイロットとしての地位を確実なものにしたくないか?」
その言葉にケンスケは一も二も無く飛び付く。
「エヴァのパイロットとして登録していただけるのなら、この相田ケンスケ、一命を賭してこの運動会に参加させていただきます。ですから次のエヴァのパイロットにはこの相田ケンスケ、相田ケンスケをよろしくお願いします」
そう言って直立不動で敬礼する。
「わかった、考慮しておこう」
ゲンドウはそう言ったが、シンジはどうせ考えたけど駄目だったとでも言うのだろうと思った。
しかしさっきケンスケが自分を裏切ろうとした事を忘れていなかったのでその事は口には出さない。
「よかったね、ケンスケ」
シンジはケンスケの肩に手を置く。
「ありがとう、シンジぃ」
ケンスケは涙を流し、全身で喜びをあらわしている。
「じゃあ、みんなさよなら。私帰るわ」
そう言ってヒカリはダッシュする。
そのヒカリにゲンドウは白馬に乗ったままポーズを崩さずに追い付いて、ヒカリの耳もとで囁く。
「君が鈴原君の事を好きなのを彼にバラしてもいいのかな?」
その言葉にヒカリは固まる。
「・・・なぜ、その事を・・・」
「ネルフの諜報部を舐めてもらっては困るな」
「・・・わかりました、参加します」
ゲンドウはシンジ達に向かって高らかに宣言する。
「彼女も参加するそうだ。よかったな、シンジ。みんな残ってくれるそうだ」
ニヤリ
そう言ってシンジ達に笑いかける。
「みんな、死ぬ時は一緒だ」
シンジのその声に浮かれているケンスケ以外の五人は涙を流して答えた。


シンジ達がもとの席に帰るとリツコは消えており、そこにはミサトだけがいた。
「あら、シンちゃん達、どこ行ってたの?」
「どこ行っててもミサトには関係無いでしょ」
アスカがミサトに八つ当たりする。
「なによ、そんな言い方するなんて。ねえ、シンちゃん」
そう言ってミサトはシンジにしな垂れかかる。
「やめて下さいよ、ミサトさん」
シンジが言う。
「なにやってんのよ」
そう言ってアスカがミサトに殴りかかろうとする。
が、しかしその前にミサトは宙に舞った。
レイがA・Tフィールドでミサトを吹き飛ばしたのだ。
「碇君は私の全て、碇君の嫌がる事をする人は私が許さない」
そう言ってシンジを抱きしめる。
「あ、綾波・・・」
「レイって呼んで、碇君」
シンジとレイは二人の世界を構築しようとする。
が、そこにアスカが割り込む。
「何やってんのよ、バカシンジ」
アスカのコークスクリューアッパーにシンジは宙に舞う。
「世界を狙えるよ、アスカ・・・」
そう言ってシンジは気を失った。
「碇君!」
レイが叫び、シンジに駆け寄る。
「大丈夫、碇君?」
シンジの身体を揺するが反応は無い。
キッとアスカを睨む。
「何よ、ファースト。文句でもあるの」
シンジを抱くレイに対してファイティングポーズを取る。
「アスカも綾波さんもやめてよ」
ヒカリが叫ぶがアスカとレイの耳には入らない。
「鈴原も相田君もとめてよ、このままじゃ・・・」
そう言ってトウジとケンスケの方を振り向く。
「けっ、誰が幸せもんのために身体張れるかい」
「エヴァのパイロット・・・」
トウジは愚痴をこぼしているし、ケンスケはトリップしていた。
「二人とも何やってるのよ!アスカと綾波さんをとめて!」
ヒカリの大声にトウジとケンスケは気圧されて渋々止めに入ろうとした。
しかし、アスカの延髄切りとレイのA・Tフィールドに弾きとばされる。
「アンタとは一度キッチリ決着つけといた方がいいみたいね」
「私は碇君がいてくれたらそれでいいもの(ポッ)あなたなんてどうでもいいわ」
レイはアスカを相手にしない。
「なんですってぇー!!!」
周囲に緊張が走る。
その空気を壊したのはいつの間にか復活したミサトだった。
「ひゃはははははははははははははははははははは」
グラウンドを指差し、大声で笑うミサト。
アスカは呆気に取られ、戦意を失い、ミサトの指し示す方を見た。
ミサトの指差す方向には猫耳と尻尾をつけた冬月が巨大な球を転がしていた。
「「何あれ・・・」」
アスカとヒカリは固まる。
と同時にどこからともなくやってきたリツコが説明をはじめた。
「あれは私が提案した玉転がしの正式衣装よ」
「「はぁ?」」
「玉と言えばじゃれつく猫、そして猫と言えば耳と尻尾!あなた達、素敵だと思わない?」
リツコが恍惚とした表情をしながらアスカ達に語りかけた。
「え、ええ・・・」
アスカが汗を垂らしながら何とか答える。
ヒカリは言葉も出ない。
「猫、この地球でもっともかわいい愛玩動物。ああ、ああ〜ん」
リツコは完全にアッチの世界へ逝ってしまったようだ。
リツコを無視し、ヒカリがアスカに話しかける。
「ネルフってこんな人ばかりなの?」
ヒカリのその問いにアスカは答える事ができなかった。

前編終わり

NEXT
ver.-1.00 1997-10/25公開
ご意見・感想・誤字情報などは black@mail.dddd.ne.jp まで。

 またまた引っ越しラッシュがおこっていますね。

 連日の入居の波に乗って、
 【めぞんEVA】に81人目の住人がやって参りました(^^)

 はに丸さん、ようこそめぞんへ!

 第1作『運動会』前編、公開です。
 

 キてる組織ネルフの、
 キてる司令主催の
 キてる人々による、
 キてる運動会(^^;
 

 どんなに良い商品が出るのであっても、
 絶対参加したくない・・・・
 

 「命あっての物種」

 この言葉が燦然と輝きます(笑)

 

 

 あ、でも・・・
 アスカちゃんも参加しているんですよね・・・

 フォークダンス・・・ウケケケ(爆)

 

 

 

 さあ、訪問者の皆さん。
 感想メールを書いてはに丸さんに送りましょう!

 


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