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「使徒・・・・・・・・」

 

「そう・・・・・・・・使徒だ。」

「君のお父さんの敵だった奴らだよ」

 

 


対使徒特殊機動隊NERV

<02>敗北


 

トウジ、アスカ、ケンスケの額に紅点が光る。

三人は互いに自分以外の二人の額に或るその点を指し言った。

「「「危ないっ!狙われてるぞ(わ)!」」」

陰に潜むスナイパーの口元が歪む。

 

 

アスカたちが必死でやっつけていたのは、使徒の二軍のようなもので、

今、一人の男に駒のように動かされ、死地に追いやられた。

アスカとトウジの容赦ない攻撃を受けて、

地獄絵図を構成しているのがそれである。

 

しかし、当人はそんな事を知っているはずはない。

若人のその夢や野望をテロリスト集団に預けずにおけば・・・・・・・・。

このような犬死にはしなかったのに

 

問題はスナイパーである。

あくまでも残忍な男で、コードネームは『カイ』

(使徒に入隊したものは名を捨て、
それぞれに番号を振られ一軍に入るまではそれで呼ばれる)

カイは、二軍部隊第拾七隊の隊長である。

(隊長といっても一軍に行けば下っ端の下っ端。雑用、パシリといったところか・・・。)

当然、この作戦を立てたのもこの男である

NERVの居る、駐車場に迫る前。つまりは作戦前、

カイは、部下達にこう言った。

「おまえ達の力を試す時が来た。俺は一切指揮をしない。
これは各々の力を見る為の物だ。勝手に指揮系統を作り出すのも禁止だ。
規則を破った者には死が待っている。
俺はあの高い所から見ていて、おまえ達がピンチになったら助けてやる。
死にもの狂いで殺れ。」

 

何の事は無い。

部下には死ねと言い。自分は高見の見物である。

助ける気など或るはずも無い

そして其処から敵をじわりじわりと痛めつけ、

殺る。

 

 

実際、本作戦の様な状況下でも、

カイは、仲間に指揮を出そうとし自分が中心となって敵を打開しようと言う有能な部下を、

既に三人、命令違反を理由に撃ち殺している。

 

 

そして正に今、カイにとっての至福がやって来ようとしていた。

カイの持つ特殊兵器が火を噴こうとしている。

それには三つ銃口が有り、その一つ一つを別の方向に向け、同時に狙撃する事ができる。

カイは、最高の笑みを湛えトリガーに懸かる指に力を入れる。

 

しかし、不意にその表情が驚愕に彩られる。

「な、何故・・・・・・」

カイはそのまま、高場から落ちる。

その胸には

 

風穴が開いていた

 

 

膝を抱え震えるヒカリの横で、

レイの抱える中性子砲の銃口から紫煙が立ち上っていた。

 

 

隊長を失った事で逆に、

さっきまで連帯攻撃を掛けてこなかった目の前の敵が急に強くなる。

しかし、やはり、アスカたちの敵ではなかった。

 

「あんた達っ!3っつ数えるわ。その内に、
逃げるなり、投降するなり、自決するなりしなさい!
私たちには勝てないわ!」

 

アスカの声が、勝ち目が無いと感じている兵士の心に響く。

「撤退だー!」

声が上がる。

そして、敵は逃げていった。

 

「ふんっ!なーによ!スナイパーさえ居なければ完勝だったのにぃ。」

 

そして、さっきから眠っている巨体の男を揺り動かす。

「ちょぉっとー!肩に一発くらったぐらいで寝てんじゃないわよぉー!」

其処にレイが駆け寄り

「違うわ。こうするの」

ビンタビンタビンタビンタビンタビンタビンタビンタビンタビンタ

 

「ちょっと!止めてよ怪我人なのよ!」

ヒカリが止めに入り、応急処置をする。

「ふーん。さすが医者ね。手際がいいわ。」

 

「しかし、あのスナイパーには参ったね。」

やはり、ヒカリの傷の手当てをしてもらったケンスケが言う。

「痛っって!あら?もう終わったんかい!」トウジが起きた

「鎖骨、完璧に砕いて徹ってるわ。」

ヒカリが言う

「それに・・・筋肉の裂傷が酷い・・・・・・」

「その位置からすれば心臓を狙われたんだろ。なら、裂傷弾だよ。」

ケンスケが分析する。

「俺は9mmの炸薬弾で手を吹き飛ばされそうだった。
貫通してくれたおかげで、まだ手首にくっついているけどね。
他の奴はともかく、スナイパーはなかなかやる奴だったね
狙う場所によって、弾丸を使い分けてる。」

 

この激しい戦闘での負傷者は、トウジとケンスケだけだった。

死亡した敵の数は24人。

中でも活躍したのが、アスカとレイである。

その細身の何処からパワーが出てくるのだろう。

細くてパワーが有ると言う事は、

脂肪が少なくプロモーションに問題が有るかと言えば・・・・・・・・・・・・・・そうでもない。

正直、トウジもケンスケも二人の戦闘能力には舌を巻いていた。

 

そんな折

インカムの通信が繋がった。

そして、続く指令が飛ぶ。

「次に主力部隊が来るので、それを抑えてくれ。
それと、もうすぐダブリスと騎兵隊が到着するので。それまで食い止めてくれ。」

 

「もう次が来るんかいな。」

トウジが体を起こし、重火器を抱え点検を始める。

しかし、その肩の傷口からは血が吹き出す。

「無理しちゃ駄目だわ!」ヒカリが言う

それに対し、トウジが優しく言った。

「大丈夫大丈夫、心配せんでえーで。ありがとな。
けどわいがやらな、誰がやるねん。今度来るのは主力部隊やってことやし
陰に隠れてたほうがええで。実戦は無理や。」

 

「敵の死体からも、武器を取っておこう。」

ケンスケが提案する。

そして、カイの兵士の死体に近づき、使えそうな武器と弾薬を取り上げる。

それを見て、他もそれに倣う。

『結構な武器を持っている。』

皆、それぞれの胸の内でそう思っていた。

 

ガチャ

 

不意に、西側の扉が開いた。

全員の持つ重火器の銃口がそちらを向く。

しかし、出てきた者達の胸にはUNの刺繍がしてある。

どうやら、UNの騎兵隊らしい。と気付いて銃を下げる。

 

リーダー格の男が近寄ってきた。

「使徒の撃退ご苦労。」

何とも横柄な男だ。

「私は、UNの時田と言う。後は私たちUNの騎兵隊がやる。ご苦労だったな。」

その態度に皆むっとはしたが、アスカとトウジとレイとヒカリ以外は皆苦笑いをしている。

(まぁ、ケンスケだけなわけだが・・・。)

アスカとトウジはマジで切れているし、レイはどうでもいいと言う顔。

ヒカリは死体がごろごろ転がっている場で、笑ったり怒ったりしている余裕はない。

 

 

時田という男は自分の事を全く知らなかった。

使徒というものも聞いた事も無かった。

しかし、

今回の作戦はUNの手には負えないのでNERVに任せる。

と聞いた時、時田は怒り狂った。

自分への侮辱と受け取ったのだ。

時田は、普段から精を出して作ったコネで、騎兵隊の作戦参加にこぎつけた。

 

「ふむ、向こうから来るのだな。なら此方から攻め込もう。」

アスカたちは呆気に取られてしまった。

身の程知らずにも程がある。

「ちょっ・・・・・」

反論しようとしたアスカをレイが制する。

「好きな様にさせてあげればいいじゃない。」

 

ガチャリ

 

騎兵隊が東側のドアを開けた。

 

其処から銃弾が雨のように飛び込んできた。

 

意気揚々と先頭に立っていて無防備だった時田は身体に

銃弾を何十発も浴び、細切れになって吹っ飛んだ。

 

 

騎兵隊と使徒との撃ち合いになった。

騎兵隊がフルオートで撃ちまくっているのに対して、

使徒はセミオートで一発一発正確にヒットさせている。

NERVは騎兵隊の援護をするような形になる。

 

騎兵隊の数がどんどん減っていき、遂にゼロになった。

「なんや、偉そうなこと言っておいて全滅かい。」

銃声は消え、東側には異常な殺気が立ち込めている。

トウジは重火器を置き、ハンドガンを腰のホルダーに差し込み、

チタニウムブレイドのサバイバルナイフを取り出し、逆手に持ちかえる。

(このナイフはトウジが最も愛用する武器である。)

そして、車の陰から近づいてくる気配に備える。

敵が飛び出してきた。トウジは閃光のように飛びつき、

次の瞬間敵の首からは血が吹き出している。

 

そして、再び接近してくる気配の為に、体制を整える。

しかし、前からの気配に気を取られ、後ろからのそれには気付かなかった。

 

トウジは何も知らずに前の敵が出て来るのを待つ。

 

バスッ

後ろの敵の銃口から放たれた銃弾がトウジの右胸を貫く。

 

「ぐあっ!」

 


トウジの声を聞いたケンスケだがもう既に負傷していた。

両太股に弾丸を受けて転び、頭に銃口を向けられる。

 

もう駄目だ、そう思い目瞑った。

しかし、衝撃はこない。

目を開けると其処にはアスカが立っていた。

横には、頭から血を流し、横たわっている男の骸が有った。

 

「はぁ、こんな、はぁ、所で、寝てんじゃ、はぁ、ないわよっ!」

 

しかし、何処からか放たれた弾丸がアスカの右胸を貫く。

音も無く、アスカが崩れ落ちる。

 

「アスカっ!ちっ、くそっ!」

 


 

レイもまた、ヒカリを庇いながらの苦戦を強いられていた。

 

敵は白兵戦を得意とするようだが、それはレイの得意分野でもあった。

しかし、ヒカリを庇いながらというのは充分なネックである。

 

敵はがたがた震えるだけのヒカリを容赦なく襲ってくる。

『・・・・・・・・実戦に向いていないのね。』

 

疲労が限界に達し、腕が鈍った。

左手にナイフが突き立てられ、

 

「痛っ」

レイの顔が痛みに歪む。

 

ナイフを引き抜き、今度は、心臓に突き立てようとする男。

 

しかし、男は眼前の獲物に夢中になるあまり、後ろから忍び寄る影に気付かなかった。

ハンドガンの銃床がアイルランド系の大男の後頭部をしたたかに打ち据える。

常人なら気絶するはずだが、

男はくるりと振りかえり、ハンドガンをてにした者に襲いかかる。

しかし、さすがに動きは鈍い。

救世主は男の睾丸に膝頭を飛ばし、それを粉砕すると、

うめきながら後ろ向きに倒れる男の顎を掴み、思い切りひねった。

無気味な音がして、頚椎がへし折れる。

 

男は力無く倒れ、その向こうには男が立っていた。

NERVの黒の戦闘服を見に付けている。

 

緋色の瞳に、白銀の髪という異様なルックの青年だ。

「こんにちは。ダブリス、渚カヲルだよ。宜しく。」

戦場に場違いな青年がレイに微笑みかける。

少々顔を赤くしたレイが呆気に取られ肯く。

「もう無理だ撤退するんだ。君は、そこの娘を連れここから脱出して
西の扉を守ってくれ。僕は皆を救出する。」

 

 

そういうと、カヲルは死地へ駆け出した。

その疾さは普通ではなく、辛うじて追いつき、ナイフを突き立ててくる輩は

ことごとくセミオートで眉間を撃ち抜かれた。

 

トウジのもとに駆け寄り、銃を持つ男の頭に踵落しをして、頚骨を折る。

もう一人がナイフを持って襲いかかってきた

カヲルは難なくよけ、その手に手刀を加えナイフを叩き落とす。

同様にして首にも手刀を打ち込み、止めを刺す。

巨体の男を軽々と抱え、また同じように駆ける。

無事西の扉に到達し、ヒカリの隣にトウジを降ろす。

この間40秒

信じられない光景である。

 

その、カヲルの動きを目に止めたものがいる。

 

使徒第参小隊の隊長、サキエルである。

使徒一軍の小隊は26人で構成されているが、

(一見、半端な数字に見えるが13の倍数になっている。)

 

サキエルは、使徒の中でもキリコミ隊長として有名で、

その操る、第参小隊は白兵戦とその総戦闘力で広く名を轟かせていた。

 

サキエルも騎兵隊の次に現れた者達の個人戦闘能力には舌を巻いた。

第参小隊のメンバーも数人倒れた。

しかし、自分のチームは見事にチームワークと相手の消耗への付け込みで

敵を、徐々に追いつめている。

このままいけば、100%勝てるだろう。

そう確信していた。

 

しかし、一人の青年によって部下が次々と殺されている。

その事態こそが、サキエルにとって許せないものだった。

 

「次に飛び込んで来たら、スナイパー4人で狙撃しろ。」

 

カヲルは戦場に飛び込んだ。

その姿がスナイパーの目にも留まる。

 

一斉に狙撃する、しかし・・・

 

青年は外にあったガソリンの入ったバケツを持ち、

その中身を狙撃手にむかって放った。

 

銃弾は、空を飛んで向かってくるガソリンの壁を焼き、

それに襲い掛かられた自分の身もまた焼ける。

 

自分の命令を執行した故に部下が死んだ。

それはサキエルにとって侮辱されたも同然だった。

サキエルは火だるまになってもがく部下の後頭部を撃ち貫く。

「馬鹿が・・・」

スナイパーが馬鹿だったわけではない事を、サキエルは充分に知っていた。

『あの男、何者だ。』

既に、第参小隊のメンバーは半分の13人になっている。

 

 


 

 

 

 

ケンスケはアスカと自分の両足を引きずりながら

必死でほふく前進をしていた。

 

敵から隠れる為だ。

自分を助けてくれた者を死なせてはならない。

そう思った。

 

力を振り絞り、穴のあいた足を踏ん張る。

激痛を振りほどこうとする。

 

血の吹き出す両足で、西側の扉まで走る。

 

"Hey! There're monkey."

後ろでヘボイ事を言ってる奴がいるな。

無視して走るが、銃弾がへその横を通っていった。

胸を徹っていった。

『もう駄目かな。ごめん俺なんかを助けた為に。』

ケンスケはアスカの上に覆い被さり、衝撃に備える

ダァーンダァーン

 

二つの銃声で、二人の男が倒れた。

無論カヲルだ、

「僕は味方だ、撤収のために救出に来た。
ダブリスだ。よろしく。」

「俺はいいから、その娘を。アスカを頼む。」

カヲルは微笑みを浮かべていった。

「いいねぇ、仲間を思う君の姿は美しいよ。」

「たのむ・・・」

そういうと、ケンスケは喋らなくなった。

「任せてくれケンスケ君。君もアスカ君も僕がきっと脱出させてあげるよ。」

カヲルは背中にケンスケをおぶって、左手にアスカを抱えた。

 

横に或る男の死体の手から形の良いフランス製ベレッタM92Fをもぎ取ると、

敵の中に突っ込んでいった。

ケンスケの西側に行こうという、必死の思いと行動のかいあって、

カヲルは敵に遭遇せずに、西の扉に付けた。

この西の扉だが、ここは本当に小さな扉で、立て篭もるのに最適である。

そして、

レイの正確なヒッティングによって死守されていた。

 

「レイ、何人倒した。」

「二人。」

聞くとカヲルは大声で話し始めた。

 

「おーい、サキエル。聞こえるか?」

 

その声は勿論サキエルに届く。

 

「私たちは撤退する。追手は出すな。9人では僕には勝てない。」

 

サキエルは驚愕した。

 

その壱

この若造は何故自分の名前を知っている。

 

その弐

この若造は何故小隊のメンバー人数を知っている。

 

その参

一番驚いたのはこれである。

何故この若造は皆にダブリスと呼ばれている。

 

嫌な予感がしてきた。

「記憶しておくといい。私の名前は渚カヲル。ダブリスJr.だよ」

 

嫌な予感は的中した。なんと、あの方のせがれか・・・。

 

「それに、『ロンギヌス』と『マリア』の息子も君の敵になりうるのだよ。
ゼルエルやシャムシエルにも伝えておいてくれ。」

 

『ロンギヌス』と『マリア』・・・

あの頃、若輩だったサキエルでも知ってはいた。

無論見た事はなかったが・・・。

 

「じゃあ、失礼する。」

 

相手に充分な威圧感を与え、カヲルは場を後にする。

 

使徒第参小隊の隊員は目を見張っていた。

『ロンギヌス』と『マリア』という言葉が出て来た途端

豪胆で表情を滅多に顔に出さないサキエルの顔に浮かんだ絶望の表情に。

 

立場こそ違うが、カヲルとサキエルは同じ事を思っていた。

 

「「敗北だ・・・。」」

 

 

 

 


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ver.-1.00 1997-08/12公開
ご意見・感想・誤字情報などは ---------- まで。

あとがき

 

こんなの書きました。

 

思ったんだけど、

みんな、ながーい小説書いてますよね。

 

僕はWORDで打ってるんですけどね、

僕はいつも20ページぐらいしか書かないわけですね、

だから、彩羽さん[ファンです。続き書いて下さい。けどメール出すのはめんどくさい]とかの

小説はどうなんだろう。と思いまして、

勝手にWORDで読み込んだら、

なんと56ページ。

すっすげー

どひゃー

わぉ

二倍以上あるジャン。

という事で、今回は僕の最高記録34ページ(爆死)

ドカーンパフパフ

 

質の問題もあるけどね・・・

 

小説の内容についてなんですけどね

2015年になってもM92Fを使ってるし、

武器情報とかむちゃくちゃなんですよね。

だって、どうやってバージョンアップしていくかなんて

とても予想できない。知識が無いからね。

 

戦闘シーンはいろんな映画から取ってきています。

 

リーサルウェポン(今、変換したら「リー去るゑ盆」となった。面白いので記録します。)

ザ・ロックなどなど、いろいろ使います。

では、また次回合いませう。

っていつかなぁ。

 

 

追伸

 

ケンスケをあのまま殺そうかとも思った。

 






 TOMYさんの『対使徒特殊機動隊NERV』02、公開です。





 怪我人が多数出ましたが、

 命は無事だったので、

 まあ、よかよかですたい(^^)



 打ち抜かれたり何なりと、いたた。


 使徒達も、打つ前に声を掛けたりして余裕を見せているから

 逆にやられちゃうんだよ・・・


 「殺すぞ」といったときには殺し終わっておけ   © ジョジョの奇妙な冒険  (^^;

   そんな感じの戦場です・・





 さあ、訪問者の皆さん。
 徐々に量が増えてきたTOMYさんに感想メールを送りましょう!






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