【 TOP 】 / 【 めぞん 】 / [Ohtuki&Mizuno]の部屋に戻る/ NEXT
BREAK−EVA

第三話 DO NOT LIE IN GRIT




 文化祭から一ヶ月、翌日に文化祭を騒がせた他のいくつかのサークルと一緒にビデオゲーム同好会は一ヶ月の活動禁止処分になった。幸いにも期末テストが近かったのでこの処分に困る者はいなかっ・・・・失礼一人を除いてはいなかった。その一人とは、あのアトラクションで一躍注目を浴びた美少女に学校中の報道機関がかぎ回り始めたことにより、その美少女こと惣流・アスカ・ラングレーと交際(?)している碇シンジその人である。この一ヶ月というもの、シンジにとってプライバシーなんてものはなく、四六時中誰かにつきまとわれさらにいわれのない迫害も受けたりしていた。そしてそれは、一ヶ月たった今でもほとんど変わることはなかった・・・・

 「おいセンセ!とうとう惣流とホテルいったんやな!!」

 「と、と、と、トウジ!な、何言ってんだよ!!」

 昼休みの教室で、新聞を読んでいたトウジが問いかけた。それに対して、まだ食事中のシンジは、ポロッと箸を落とすと、顔を真っ赤にしながら聞き返した。それを見てうんうんと頷きながら話す。

 「隠さんかてええ!つきおうとったら当然のことや」

 「だ、だから何のこと言ってるんだよ!」

 「しらばくれるなちゅうとるやろが!これ見てみい」

 持っていた新聞をシンジに手渡した。

ゴン

 シンジは、受け取った新聞の一面の記事を見て机に思いっきり頭突きした。そこには、見覚えのある男女がホテルから出てくる瞬間を写した写真が載っていた。そう自分とアスカである。

 「どや!もう言い逃れは出来んでシンジ!!」

 「・・・トウジこそもっとちゃんとみてよ・・・見え見えの合成写真じゃないか・・・」

 のろのろと起きあがると呆れている声で言い返す。ちなみに、その新聞は、第三新東京国府高専スポーツと呼ばれるもので、制作元は、東スポ同好会である・・・・

 「碇君と鈴原君一寸良いかな?」

 「あ、先輩」

 教室の入り口付近で、自分の名前が聞こえたので振り返ると、そこには副会長の燈谷が立っていた。しかしトウジはそれに気づくこともなく、まだ高スポを見ながらブツブツ言っている。

 「二人とも今日の放課後部室に来てくれるかな?」

 「え、あの、一寸今日は・・・そのデンジャープラネットVサマーグランドバトルのエントリー最終日なんで・・・その前にも新屋敷店まで行かないといけないし・・・」

 「その事で会長に”ゲルヒン”の梶谷さんから無料招待券が届いたんで、あの女の子にも渡してくれって事らしいよ」

 「あ、あのOBの・・・」

 「じゃあ放課後にまた!」

 用件を伝えると、燈谷は教室を後にした。途中から話を聞いていたトウジがシンジに話しかける。

 「センセ、そういや今度負けたらお払い箱ちゃうんか?」

 「あ、それは何とかなると思うよ」

 微笑みながら返事するシンジにトウジがニヤニヤしながら詰め寄る。

 「なんやせんせ、やっぱりなんかあったんやろ!なぁ白状しいや」

 「違うって言ってるだろ!もう・・・実はこの前の学園祭の時に・・・・・・・」

 「ほうほう、なるほどなぁ・・・でセンセ、現時点で”九朗”以上のEVAなんて作れるんか?」

 学園祭の時にアスカから言われたことを嬉しそうに話すシンジ、しかし、トウジの一言でヘナヘナと席に沈む。

 「・・・作れない・・・」

 「なんや、やっぱいっぺん負けたら終わりやないか!」

ゴン

 心に刺さる言葉を受けまたもや机に頭突きをかますシンジ、その耳に昼の校内放送が流れてくる。

 「さ〜て、今日のDJ水野の時間は、例の美少女の最新情報だ!!みんな聞き逃すと後悔するよ!!」

 『誰か僕に優しくしてよ・・・』

 

――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――
―――――――――――――
――――――――
―――


 放課後 部室集合棟

 「・・・部室銀座とは良く言ったものだね・・・」

 「アーケード街みたいやしなぁ・・」

 そう、ここには、半ドーム形状の屋根の下実に100以上の部室があり様々な部や同好会などが存在している。尚、ここに入っていない同好会もたくさん存在し、その総数を把握しているものは誰もいないと言う・・・・

 さて、そんな大安売りと書いてあるのぼりや、ナイトジョブ同好会等の呼び込みの声などを無視しながらシンジ達は、一番奥にある階段にやってきた。

 「にしてもわしらの部室が一番悲惨やなぁ・・・」

 「二階に上がる階段下の元用具室だからね・・・」

ガチャ

 「でも広々20畳ロフト付き!!」

 目の前で突然扉が開き、中から現れた”クマ”が喋った。

 「「あ、会長」」

 「全く、悪口が聞こえたんで出てみれば君たちか」

 「す、すみません」

 普通、いきなりこんなのが現れたら、パニックになるぐらいインパクトのある出来事なのだが平然と受け入れる二人。そう、この物体こそビデオゲーム同好会会長こと長船結城、通称国府高専の着ぐるみ師なのである。そのまま二人は、会長の後について部室に入る。

 「会長、お茶が冷めます」

 「おお、すまん!!」

 中では、畳に正座した燈谷が茶道具でお茶をたてていた。

 「ど、どこから持ってきたんですか、それ?」

 シンジは、燈谷が使っている茶道具を指しながら言った。何しろ以前来たときは無かったのだ。

 「茶道部の部室に落ちてたよ」

 「はぁ、そういう言い方もあるんやなぁ」

 非常識なことをさも常識のように言い放つ会長にやや諦めながら呟く。トウジはそのまま窓に寄り閉まっているカーテンを開く。本人は何気なく、ただ一寸暗かったので開いただけなのだがそこには、窓いっぱいに張り付いているカメラや集音マイクとそれに伴う人の姿があった。

ガラッ

 「おまえら!どこのもんや!!」

 窓が開くと同時にワラワラと散っていったそれにトウジが叫ぶ。と、同時に燈谷が道具箱の中の長刀を掴み、かけ声と共に天井に突き刺す。

 「でやっ!!」

ダン・・・・・・ドタタ・・バタン・・ドン

 そして素早く引き抜くと、今度は足下に向かって突き立てる。

ドス・・・ガタタ・・ゴン

 「忍者同好会とスパイ研だな」

 「報道関係の部員が跳梁跋扈してますね」  「取りあえず、明日からとラップを2,3仕掛けときなさい」

 「分かりました」

 途中からとんでも無く物騒な出来事や言動のためボーゼンとするシンジとトウジだった。その後は、お茶を飲みながら会長の用件を聞き、部室を後にした。ちなみに会長は、着ぐるみを脱ぐことなく起用にストローを使って飲んでいた。

――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――
―――――――――――――
――――――――
―――


 同日ゼーレパレス新屋敷支店

 

 例のごとく女子高生のたむろするこの店で、それに漏れずアスカが向き合って座っている眼鏡を掛けた少女と話をしている。そこに、二人の少年が近づいていく。

 「こんにちはアスカ」

 微笑みながら挨拶するシンジ、それに気づいたアスカが会話を中断させ振り返る。トウジは、頭の後ろで手を組み別の方を見ている。

 「あら、今日は遅かったじゃない!何かあったの?」

 「うん、一寸部室によってきたんだ・・・・ところで向かいの人ってこの前の・・・・」

 「あ、マユミのこと?」

 そう言うと、向かいの少女に視線を送る。

 「えっ、あ、この前は失礼しました。私、山岸マユミと申します。碇さんですね?お噂はかねがね伺っておりますわ・・そして、あなたが鈴原さんですね?ヒカリさんから聞いています・・・お二人ともよろしくお願いいたします」

 突然振られたことに最初は驚いたようだが、静かに話すマユミに返事を返すシンジ、しかしトウジはまだそれに気づいていない。

 「あ、こちらこそ・・・よろしく山岸さん・・・・ってトウジ!」

 と、トウジの脇腹を肘で小突く、それに気づきあわてて返事をする。

 「あ、ああ、よろしゅう頼むわ・・え〜と・・」

 「もう、何聞いてるんだよ・・山岸マユミさん・・・」

 「ほ、ほうか、よろしゅうに山岸さん!」

 「な〜にやってんのよ!おおかたヒカリでも探してたんじゃないの?」

 小声でシンジに教えられほっとしていると、ニヤニヤしたアスカに問いかけられる。

 「なっ、な、何言うとんねん!そ、そんなわけあらへん!!」

 真っ赤になって否定するトウジを見て笑いをこらえながら話を切り出す。

 「ところでアスカ・・はいこれ、サマグラの無料招待チケット」

 「どうしたのこれ?」

 「実は、会長がOBの人に貰ったらしいんだ・・アスカにも渡しておけって、出るんでしょうトーナメント?」

 鞄からチケットを取り出し、手渡しながら訪ねる。それを受け取ると言葉を返す。

 「サマグラには出るけど・・・あたしはバトルロイヤルよ!」

 「え?!」

 「なんやて、トーナメントには出えへんのか?せっかくの夏休み全国大会やで、バトルロイヤルなんて余興やないか!」

 復活したトウジが意外そうな顔で聞き返す。

 「余興で良いのよ!そっちの方が一度に沢山のEVAを倒せるじゃない・・・それにしても全国大会って絶好のカモよね!エンカウントできるEVAが半端じゃないから・・」

 「一度聞こ思てたんやが、惣流は何でそないにがむしゃらに得点稼ぐんや?」

 「あんた達がトーナメント大会にEVAパイロットとしてのステータスを求めるように、あたしにもあたしの目標があるのよ!」

 「・・・あ、千機のEVAを倒すってこと?」

 二人を指さしながら答えるアスカに、シンジが思い出したように訪ねる。

 「そっ!あんたに邪魔ばかりされてるけどね!」

 「何や、そないな目的があったんやな・・・わしはってきりただ暴れたいだけや思うとった」

 「あんた・・あたしに喧嘩うってんの!・・・たくっ所詮遊びよ!・・・されど遊び、何事にも張り合いは必要よ!」

 トウジの言いぐさに不機嫌な顔で答えるが、両手を振りながら首を横に振っていたので話を続けた。それに対しシンジが微笑みながら話す。

 「でも、せっかくチケットがあるんだからトーナメントにも出てみたら?バトルロイヤルのとは別に”ベンケイ”をコピーしてさ」

 「し、しょうがないわね!シンジがそこまで言うのなら出てあげるわ、感謝しなさいよ!」

 「ありがとうアスカ」

 とその時、前が隠れるほどの荷物を持ったヒカリが脇を通り抜けるが、こちらに気がついた様子はない。それを見たトウジが黙って荷物を手に取る。

 「!?・・・えっ、す、鈴原・・」

 突然目の前がひらけ、目の前に先ほどまで自分が持っていた荷物を持ったトウジが居たため驚きを隠せないヒカリ。

 「こないな荷物女の子が持つもんやない!わしが運んだるわ!!」

 「・・・・えっ・・・で、でも・・・そんな・・」

 「ええて、わしが好きでやるんやさかい!ところでこれどこに運ぶんや!」

 「・・そ、そう・・じゃあカウンターの所までお願い!」

 まだ動揺しているが、結局は笑顔で話すトウジの言葉に従い、一緒にカウンターの方に歩いていってしまった。

 「へ〜あいつも結構やるじゃない!」

 「ヒカリさんの言う通り優しい方ですわね」

 「うん、トウジって結構優しいところあるんだよね」

 「あっ、もうこんな時間ですわ!・・お二人ともすみませんが稽古の時間がありますので、今日はこれにて失礼いたします。」

 「そう、それじゃねマユミ!」 

 「あ、じゃあまた山岸さん!」

 三者三様の感想を述べ二人を見守ってたが、ふと時計を見たマユミがそう告げると二人の挨拶を聞きお辞儀をすると帰っていく。すると、おもむろにアスカが問いかける。

 「それじゃあシンジ!今日も一戦交えるわよ!!」

 「ご、ごめん!実は、今日”九朗”は、調整中でもって来ていないんだ!」

 その問いに、両手を目の前であわせ祈るように謝る。

 「え〜〜〜〜〜!!早く言いなさいよね!!・・・全く、今日のバトルロイヤルにエントリーしてこよ」

 と言って、さっさとカウンターに歩いていってしまう。そんな後ろ姿を見ながら、しんじは・・・

 『・・・ここで負けたらお払い箱・・・・まだ、手も握ったことないのに・・・』

 等と考えながら、ポケット中の”九朗”のディスクを握りしめた。

 カウンターについたアスカは、カウンター越しにトウジと話をしている親友に声を掛ける。

 「ヒカリ、バトルロイヤルにエントリーお願い」

 「でさ、・・・やだ、鈴原ったら・・・・」

 「そいでな・・・シンジが・・・・なんや」

 「ちょ、ちょっとヒカリってば・・・」

 「そうなの・・・でも・・・・なのよ」

 「そうなんか・・・やっぱり・・・・ちゅうわけやな」

 どうやら二人は、会話に夢中でアスカの存在に全く気づいてないようである。一度あまりにもあっけなく無視されもう一度呼びかけるが、またも相手にされない。こめかみに怒気マークを浮かべたアスカは、軽く息を吸うと少し大きめの声で呼びかけた。

 「ちょっとヒカリ!」

 「!?・・何だアスカか・・急に大きな声出さないでよ、びっくりするじゃない」

 その声に、ハッと振り返るとその人物を確認して言った。その言葉にこめかみのマークを増殖させ、フルフルと肩を震わせながら俯いていたが、バッと顔を上げると小悪魔的な笑顔を浮かべながら話を始めた。

 「せっかく二人でお楽しみの所大変申し訳ないんだけど!バトルロイヤルのエントリーお願いできない?」

 「な、な、な、何言うのよ!」

 「そ、そや!」

 「わ、分かったからヒカリ、エントリーよろしくね!」

 動揺で真っ赤になる二人を見て、笑いながら言葉を続ける。

 「・・・このバトルが終わったらバトルロイヤルになるわ」  「そっ!ありがとうヒカリ!」

 「あっ、待ってアスカ!」

 「何?」

 用件が終わり立ち去ろうとするアスカを呼び止めると、お返しとばかりに話し始めた。

 「ところでアスカ、碇君とはどうなってるの?」

 「な、何言ってんのよ!」

 「だって、碇君優しそうじゃない、だからどうなのかなーと思って・・・・でどう?」

 「ヒ、ヒカリには、関係ないじゃない!・・・そ、それにあいつは、ただのバトル相手よ他の何者でもないわ!!」

 「そう?・・・でも碇君場内のどこにいてもアスカのこと目で追ってるわよ・・・・アスカ、もっと自分に素直になったら?」

 「ヒ、ヒカリだっ!?・・・」

 顔を真っ赤にしながら反論しようとしたとき、いつの間にか側に来ていたシンジが口を挟んだ。

 「アスカ、今日は僕たち帰るよ、国府支店に申込用紙を出さないといけないから・・・」

 「そっ、そう!じゃあまたねシンジ!」

 「うん、またねアスカ!・・・洞木さんもまたね!」

 「じゃあまたね碇君!鈴原も・・・・」

 「そやな、また今度や・・・・」

 「・・・・・じゃあ先に行ってるよトウジ・・・」

 挨拶の後見つめ合ったまま動かなくなった二人を見て、一つため息をつくと一声掛けて歩き出すシンジ、黙ってそれを見ていたアスカだったが、入り口付近まで行ったときに駆け寄り一寸俯きながら声を掛けた。

 「・・・ねえシンジ・・・”九朗”の調整何時終わるの?」

 『か、かわいい』

 「ねえ、何時なの?」

 「えっ、あ、み、見に来る家に?」

 上目使いに話すアスカにドギマギしながら答えた。その言葉に、頬を赤く染めた顔を上げると視線をはずしながら口を開く。

 「そ、そこまで言うんだったら行ってあげるわ!・・・で、でも、良い敵状視察よ敵状視察!!」

 「うん!待ってる!!」

 嬉しそうに微笑みながら答えるシンジ、それに一瞬見とれてしまいボーっとしてしまう。

 「・・・・どうしたのアスカ?」

 「な、何でもないわよ!じゃあ明日伺うわ!」

 「うん、じゃあまた明日ね!」

 そんな二人を見て呟く二人。

 「あの二人いい雰囲気ね・・・・」

 「そうやな・・・・」

 

――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――
―――――――――――――
――――――――
―――

 翌日

ビー

 「ありがとうございました」 

 「ほんとにバス停の真ん前ね」

 合成音声と共に、白いワンピースに薄い黄色のキャロットスカートをはいた赤髪の少女が降り立った。その手には、超小型GPSナビゲーションを持っている。そんな少女──アスカを物陰から覗いている集団があった。

 「みんな、準備はいいかね?」

 「そやけど・・・ホントにやるんでっか会長・・・」

 「・・やっぱりいけないと思います・・・」

 「そう・・よね・・」

 「え〜いだまらっしゃい!これもかわいい後輩のためだ!!」

 「「「・・・・・・」」」

 「会長目標が動きます」

 「お、そうか!それじゃあ各人行くぞ!」

 さて一方家の中では、シンジが窓の側をウロウロしていた。

 「!!」

 アスカを見つけると急いで玄関に走り寄る。そんなシンジにユイが笑顔で注意を促す。

 「嬉しいのは分かるけど、そんなに急がなくても逃げたりしないわよ!」

 しかしそんな言葉もいに返さず玄関の扉を開いた。

ガチャ

 「いらっしゃいアス・カ!?・・・」

 「やーおまねきありがとう!!」

 「よう、せんせ!」

 「「・・・こ、こんにちは碇君・・・・」」

 「こんにちは碇君」

 「・・・ど、どうして?・・・・」

 「なぜ?会長に、副会長、トウジに洞木さんそれに山岸さんまで・・・・」

 あけた瞬間に目に飛び込んできたものは、巨大なペンギンと少女が二人それと見慣れた親友と先輩、そしてアスカであった。状況がつかめていないシンジにやや不機嫌な顔をしたアスカが説明する。

 「・・・今、そこで会ったのよ!」

 「そ、そう・・・・と、取りあえず中に入って・・」

 そんなこんなで自分の部屋に案内すると、パソコンの電源を入れデザインツールを立ち上げる。そこに、横にいたアスカが表示された内容を見ながら声を掛ける。

 「ふ〜ん”ネルフ”の”ゴブリン”がベースなのね!」

 「・・・さすが良くわかるね!」

 「”ベンケイ”の前に乗っていたのよ・・・半年前まで負け知らずだったのよ、”ゲルヒン”の”ボルゾイ”とくんだフルカスタムのEVAに完璧にジャンクにされるまではね・・・」

 『えっ!?』

 「すっっごくくやしかったわ!!あのときのウイナーの名前は絶対に忘れないいつか必ず倒してやるって思ったわ!SINJI!!」

 「ええ〜〜!」

 拳を握りしめ目をつむりながら話すアスカに驚きの声を上げたその時、その後ろでは・・・

キュッポン・・・・・・トクトクトク・・

 「まーまー駆けつけ一杯!!アスカちゃんいけるクチでしょ!」

 燈谷が持ってきたワインのコルクを抜きそれを会長がみんなに注いでいた。注いで貰うなり呑むアスカ、それを注意しながらも自分のコップの中身減らしトウジに絡むヒカリ、ただ黙々と呑むマユミ等、盛り上がってるのかそうでないのか分からない時間が過ぎていく、その間シンジは、モニターの前で俯いていた。

 『はぁ・・・なんで、どうしてこんな事になるんだ・・・・せっかくアスカが来てくれたって言うのに・・・・』

 「!!」

 その時シンジの視界に白く細いものが映った。そのままそれは首に巻き付き、同時に背中に柔らかい感触が広がる。あわてて振り返るとそこには、頬を桜色に染めたアスカの顔があった。

 「な〜に一人でウジウジやっれんのよ!あんらもこっち来てろみなさいよ!!」

 「も、もしかして、アスカ酔ってる?」

 アスカは、手に持っていたコップを飲み干すとシンジに笑いながら答えた。

 「ころあらしが酔っぱらうわれらいでしょ!!らいりょうぶ!らいりょうぶ!」

 「そ、そう?・・・じゃあここは空気が悪いから参歩にでも行こうか?」

 「らんぽ?いいわね、行きましょう!・・・ヒック・・」

 ふらついた足取りで廊下に出るアスカをシンジが追いかけ、そのまま玄関まで来たときに後ろから声が掛かる。ちなみに他の連中は、二人が出ていったことに気づいていない。

 「あら、もうお帰り?」

 「あ、母さん、違うよ一寸風に当たりに行くだけ・・・」

 「そうなの、気を付けて行ってらっしゃい・・・・あ、それから母さんこれから一寸したら友達の所に行って来るから後よろしくね!」

 「うん、わかった!じゃあ行って来ます」

 それから五分後二人は、小高い丘にある公園に来ていた。

 「ふー気持ちいいわね!」

 心地よい風が吹いて鉄柵に肘をついているアスカの茜色の髪がなびく、その姿に見とれながら隣に肘をつく。

 「・・・あたし、シンジに謝らないといけないわね・・・・」

 「えっ!」

 「あたしね、”ベンケイ”に乗り換えてからもバトルロイヤルのネットで執念深くあんたのこと探してたのよ・・・でも、全然関係ない男の子が対戦ふっかけてくるだけで一寸食傷してたのよね!」

 「どうして?カモじゃない」

 「みっんなあんたみたいな手合いだったのよ!!」

 「ご、ごめん・・・じゃあ僕がSINJIじゃなっかったら、あのとき対戦してくれなかったかもしれないね」

 穏やかな笑顔で話すシンジを見て、手を顎の下に置き一瞬考えるようなそぶりをするとアスカは黙ってシンジの肩に頭を預ける。

 「ア、アスカ!?・・・」

 「・・・・・・・」

 目をつむっている顔に、ゆっくりとシンジの影が覆ってくる。そしてその間隔が無くなろうとしたとき、アスカが静かに口を開いた。そしてその距離が縮まることは無かった。

 「・・・・・あたしを・・・・EVA乗り以外のあたしを好きになってくれるの?・・・”ベンケイ”ほどのEVAを設計し操作する人物に興味があって会いに来たのに・・・・”ベンケイ”を操るのはあたしだけれど造ったのは違うわ・・・」

 「・・・・・・・・」

 「・・・・ごめんね・・・」

 アスカは、話し終えると黙っているシンジから体を話し背中を向けた。その科白を黙って聞いた後静かに微笑みながらその背に言葉を掛ける。

 「・・・アスカにつき合ってくれって言った人は、みんなアスカがかわいいとか髪がきれいなこととか、そう言うところしか見ていなかったと思うよ」

 その言葉に顔を赤くしながら振り返ると片手を腰に当ててもう一方でシンジを指さすと大きな声で話し始めた。

 「そんなのあったりまえじゃない!!いいことシンジ早くメンテを終わらせなさいよ!”電算王”に乗ったSINJIを偶然倒したぐらいじゃあたしの気が済まないわ!!」

 「うん、がんばるよ」

 「あー酔いが醒めた!シンジそろそろ戻りましょ!!」

 そう言うと、来た道を戻っていく二人。前にいるアスカの背中を見ながらシンジは考えていた。

 『”ベンケイ”を造ったのが誰なのかとうとう聞けなかったな・・・だって、”ベンケイ”を設計した人の影を重ねて、彼女が”ベンケイ”を大事に思っていることに気がついたから・・・・僕じゃダメなのかな・・・』

 そうこうしているうちに家に戻り、玄関のドアを開けるとそこには男の姿があった。その姿に見覚えのあるシンジが声を掛ける。

 「と、父さん!?・・・今日は早かったんだね・・・・」

 「!?」

 「シンジか・・」

 シンジから出た言葉に一瞬驚いたアスカだったが男が振り向くと冷静に挨拶をしながらお辞儀をする。しかし、その瞳には冷たいヒカリが覗いていたが・・・・・

 「初めまして・・・惣流・アスカ・ラングレーといいます・・・どうぞよろしくお願いします」

 「!?・・・ああ、ゆっくりして行きなさい・・・」

 「いえ、もう暗くなりますから・・・」

 そう言うとシンジの腕を掴み奥に進んでいった。

 「そうか・・・あの娘が・・・」

 後に残されたゲンドウは、天井を見上げると呟き自室に消えた。

 部屋に戻った二人が見たものは、酔いつぶれ寝ているペンギン、相変わらず絡んでいるヒカリとなすがままになっているトウジ、そして仏法についてケンケンガクガクの議論を交わしている燈谷とマユミと言うとっても異様な光景だった。

 「あっ、か、会長起きて下さい!!」

 シンジが事態の収拾をしているとき、まだツールが起動したまんまのパソコンに気づいたアスカがマウスを操作する。

 『全く、あそこでやめるなんて、ぜっったい男じゃないわよ!!』

チキ・・チキ・・・・ピ・・ピピ

 「これでよし!」

 そのまま電源を落とすとシンジを手伝い、他の面々と共に帰路についた。

――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――
―――――――――――――
――――――――
―――

 翌日 ゼーレパレス新屋敷店  

     二人組の男の子が入ってくる。一人は不機嫌そうに前を歩き、もう一人はそれをなだめている。

 「だからな!会長の作戦やったんや!」

 「・・・・・」

 「ほんとやで!程良く酒が入ったら退散する予定やったんや!」

 一方、バイクゲームの筐体の前で二人の少女が話をしている。

 「ごめんアスカ!」

 「・・・・・」

 「どうしてもって言われて断れなかったのよ!」

 「もう良いわよヒカリ!それより来たみたいだからエントリーお願いね!」

 そう言うと二人の方へ歩いていく。それを目にしたシンジが声を掛け一緒に筐体に向かう。

 「おはようアスカ!」

 「おはようシンジ!さあ、早速対戦するわよ!!」

 「今日も負けないからね!」

 「望む所よ!今日こそ全損にしてやるわ・・・・所で昨日のことって何であたしが行く事をみんな知ってたのかしら?・・・・まさか、あんたが言いふらしたんじゃないでしょうね!」

 「ち、違うよ!」

 二人が筐体の中にはいると合成音声が流れ登録の確認が行われる。そしてフィールドが自動的に選択されるとモニターに映ったゲートが開き戦いの幕が切って落とされる。

 『負けるわけにはいかない・・・”ベンケイ”を造った人を越えるまでは・・・』

 しかし、二体のEVAが会場内のメインモニターに映し出されたときどよめきが巻き怒り、その後笑いに変わる。

 「!?・・・・あ」

 「えっ、どうしたのって!あー何だよこれ?」

 その原因は、”九朗”の両肩に付いている円筒状な装甲の内左側の方に黄色い文字ででかでかと”根性無し!”とマーキングしてある。その後二人は急いでリセットし筐体から出てくると口論を始めた。

 「ちゃんと消してきなさいよね!!昨日メンテしたときに気が付かなかったの!」

 「ご、ごめん!でも普通ペイントの所なんて見ないよ!」

 「こ、このバカシンジ!!もう知らない!」

 プイッと振り返るとスタスタと歩いていってしまう。それを黙って見つめるシンジ、何か思いつくと笑顔で言った。

 「今度また対戦しようね!・・・何時までも待ってるから・・・」

 アスカは、その言葉を聞き一言呟いた。

 「・・・・・バカシンジ・・・・・」

 


第三話終了


続く・・・
ver.-1.00 1997-08/12 公開
ご意見・感想・誤字情報などは klein@mxh.meshnet.or.jpまでお送り下さい!
Ohtuki:第三話お届けします。如何でしょうか?
       第二はについては、何のメールもこなくてとっても不安です(TT)こんな私にメールを・・・・

??????:「・・・・・・・・はぁ〜」
ではまた(^^;/~~

次回 第四話  MAMA DON’T BATTLE

 Ohtuki&Mizunoさんの『BREAK−EVA』第三話、公開です。
 

 1ヶ月たった今でも話題を集める[アスカ]。

 当然でしょう(^^)
 あの美貌、
 あのスタイル、
 あの言動。

 おまけに場所は男だらけの高専・・・・・

 やっかみ混じりの攻撃は当分やみそうもないです(笑)
 

 私は男子校に行っていたのですが、アスカみたいな子が来たら
 やっぱりこうなっていただろうな(^^;
 

 さあ、訪問者の皆さん。
 メールを待ちこがれるOhtuki&Mizunoさんに感想をを送ってあげましょう!


TOP 】 / 【 めぞん 】 / [Ohtuki&Mizuno]の部屋に戻る