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ネルフ村の平和な日常

第3話

「戦いの前の休息」


 

 

白い世界だった。

どこまでも続くようにも、すぐそこで途絶えているようにも見える空間。

立っているのか、寝そべっているのか、それとも宙に浮いているのか。それすらもわからない。

そんなあやふやで、つかみ所のないところにシンジは立っていた。

「ここは……?」

誰にともなく呟くが、それに応えるものはいない。

周りを見回しても、そこには同じ風景がただひたすら広がるだけだった。

すると、その時が存在しないかのような世界に一つの変化が現れた。

「アスカ……」

そう。そこに立っていたのは他でもない、彼の幼なじみ。ソウリュウ=アスカ=ラングレーだった。

闇の中からにじみ出るようにして現れたアスカはシンジにゆっくりと近寄ってきた。

その時、急速にシンジの視界にアスカの全身が飛び込んでくる。

「あ、ああああアスカ!?」

アスカは、一糸まとわぬ姿だった。

そんなアスカの格好に気づき、思いっきりうろたえるシンジ。

そんなシンジの唇を、アスカは何も言わずに自らの唇でふさいだ。

「――――!」

アスカの舌がシンジの唇を割って、シンジの口の中を這う。

だが、快感を与えてくれるはずのその行為は、シンジに何も感じさせなかった。

その理由は一つ。シンジにその予備知識がなかったせいだった。

アスカは、シンジに口づけをしたまま、その体に白い繊細な指を這わせる。

アスカの髪の匂いがシンジの鼻腔をくすぐる。

まだ発育途中とはいえ、十分なほどの大きさの二つの柔らかい膨らみがシンジに押しつけられる。

シンジは我慢できずにアスカを抱きしめようとした!

「アスカァァァァ!」

 

 

「きゃっ!」

突然聞こえたアスカの悲鳴に、急速に意識を覚醒するシンジ。

そこは、先ほどまでの非現実的な世界ではなく、見慣れた彼の部屋だった。

その見慣れた天井よりも手前に、さらに見慣れた顔が広がっている。

その見慣れた幼なじみの顔は、やや紅潮してシンジを見つめている。

「ア、アスカ?」

そうつぶやいてから、自分がアスカを抱きしめていることに気づく。

ちょうど、ベッドに寝ているシンジがアスカをベッドに引きずり込んだ状態になっていた。

アスカの右手には、シンジの汗でもふいていたのだろうか、タオルが握られていた。

「わ、ごごごごごごごごごごごごめん!!」

慌ててアスカを離そうとするシンジ。

だが、それより早く、今度はアスカがシンジに抱きついてくる。

一瞬、先ほどの夢を思い出し、シンジは不覚にも思い切り膨張してしまった。

「よかった……目が覚めたのねシンジ……バカ……ホントに……心配したんだから……ホントにバカよ……あんた……」

しゃくりあげながらとぎれとぎれに呟くアスカ。

シンジは、それを聞いて、ようやく自分の身に起こったことを思い出した。

(そうだ……変な化け物に襲われて……魔法を使って……それから……)

気絶する前に、最後に見た光景を思い出して再び膨張するシンジ

男なんてこんなモンである。

そんなシンジの心の内を知ってか知らずか、アスカはさらに強く抱きついてきた。

自分の胸の中でしゃくり上げるアスカを見て、シンジは先ほどの夢を思い出して言い様のない罪悪感を感じていた。

何も言わずに胸の中のアスカの髪をそっとなでる。

それがせめてもの償いだとでも言うように……

 

 

どれぐらいそうしていただろうか。アスカはいつの間にか静かな寝息を立てて眠りについていた。

そんなアスカを安らかな気持ちで眺めるシンジ。

すると、突然頭上から聞き慣れた声が聞こえてきた。

「目、覚めたみたいね」

シンジが上を見上げると、そこには優しい微笑みを浮かべた姉が立っていた。

「姉さん……」

「アスカ、ずっとあんたの側にいたのよ。しばらく寝かせてあげなさい」

いつもならすぐに茶々を入れてくるはずの姉の、優しい態度にシンジは少し動揺した。

だが、別にそれが迷惑だと言うこともないので、それについては何も言わないことにした。

彼は気づいたのだろうか。レイの頬にうっすらと残る涙の後に……

「うん……ところで、僕、どれくらい寝てたの?」

思い出したように聞くシンジ。

「3日間よ」

こともなげに言うレイ。つい1時間前まで泣いていたようにはとても見えない。そんなことはシンジには知るよしもないが。

「3日間!?」

「そ。その間、アスカ、ずっと寝ないであんたの看病してたのよ。感謝しなさいよ」

3日間寝てないのはレイも同じなのだが、そんなことはおくびにも出さない。

「そう……」

シンジはそういうと、再びアスカに視線を戻した。

二人はちょうど抱き合うような形で寝ていた。

レイは、そんな二人を見て微笑むと、シンジの部屋から出ていこうとした。

だが、急にドアの前で思い出したように振り向く。

その顔にはいつものにやにや笑いが浮かんでいる。

何となくいやな予感を感じるシンジ。

「シンジィ〜〜いくら相手が寝てるからって、変なことしちゃダメよぉ〜〜」

「し、しないよ!」

顔を真っ赤にして怒鳴り返すシンジ。

レイは笑いながらシンジの部屋を後にした。

その瞳には、涙が浮かんでいた……

 

 

一方、シンジの方はもはや姉の言葉が冗談ではすまされない状況に立たされていた。

胸に当たる二つの柔らかい膨らみ。

アスカにふれている部分全身で感じるその柔らかい肌の感触。

時折聞こえる悩ましげな寝言。

いつの間にかシンジの足に絡まっているその細く、綺麗な足。

ちょうどシンジの首筋に当たる薔薇の香りのような吐息。

それらを必死に感覚の外に押しだそうとすればするほど、その感触はより克明にシンジの脳にイメージを送ってくる。

小さい頃はアスカと一緒に風呂に入ったり添い寝することもよくあったが、ここ4年ほど、そんなことは無かった。

そして、その4年の間に、シンジとアスカは『男の子』と『女の子』から、『男』と『女』に変わりつつあった。

その事実を体に当たる感触でいやにでも感じてしまうシンジ。

(僕はアスカが起きるまで我慢できるだろうか……)

そう絶望的にシンジは思った。

 

 

結局、アスカが起きたのはそれから8時間後だった。

 

 

アスカとシンジがそろって寝室から出てきた。

「あら、起きたみたいね」

アスカやレイと同じく3日間ロクに寝てないユイが声をかけた。

「ふん、死に損なったな。シンジ」

3日間しっかり寝ていたゲンドウも声をかける。

シンジとアスカは、二人とも顔を真っ赤にして互いに顔を背けるようにして立っていた。

結局、アスカが目覚めるまでシンジは一睡もできなかった。

まあ、当然と言えば当然か。

アスカが目覚めると、シンジはとりあえずぎこちなくお礼を言ったのだが、どうもお互いに照れくさくて、顔を合わせられないのだ。

そしてそんな二人を見て早とちりをかます輩がここに一人。

「シ、シンジ……あんた、私がするなっていったのに……」

「!! な、何考えてんだよ! 別に何もしてないよ!」

「そ、そんなにむきになるなんて……あんたやっぱり……」

「だ・か・ら! 本当に何もしてないんだってば! ――って父さん! 母さん! そこで何話してんだよ!」

「え? い、いえ、別にぃ」

「うむ。何も話していないぞシンジ」

こっそり『キョウコ&イルク夫妻にどう謝るか』を相談していたユイとゲンドウは慌てて振り向いた。

「あ、あの、あたしも別に何もされてませんから」

アスカが真っ赤になりながら言うが、ユイとレイはさらに顔を青ざませた。

「アスカちゃんにも気づかれずにするなんて……」

「シンジ……あんたいつからそんなにテクニシャンに……」

「ちがうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」

 

 

結局、二人にからかわれているだけだとシンジが気づいたのは、それから1時間後だった。

ちなみに、その頃ゲンドウは本気でキョウコとイルクに対する謝罪の言葉を考えていた。

 

 

 

 

「まあ、いいじゃないのシンジ。ほら、傷も治ったことだし」

すっかりすねてしまったシンジを、ユイが一生懸命なだめている。

そこへレイが近づいてきた。

「あらシンジ、まだふてくされてんのぉ?」

「誰のせいだよ……」

「こら、レイ。食事中に出歩くんじゃありません」

ちょうどアスカの起きた時間が夜だったので、ついでにアスカも一緒に夕食を食べているところなのだ。

「ほら、いい加減に機嫌なおしなさいよ。ちょっとからかっただけじゃない」

「やだ」

ぴきっ。

一瞬、レイの額に青筋が浮かぶ。

だが、すぐにそれを沈めると、レイは天使のような笑顔を浮かべて言った。

「そ〜お。それじゃあ、お姉さんがこ〜んなことしてあげる」

そう言うが早いか、レイはいきなりシンジを抱きしめた。座っているシンジに対し、レイは立っているので、ちょうどシンジがレイの胸の谷間に顔をつっこんだ格好になっている。

「む、むう〜〜!」

突然の展開に顔を真っ赤にして必死にもがくシンジ。

「ほ〜らほら、ど〜お? 気持ちいいでしょ。どっかのペチャパイ娘よりもお姉さまのお〜きな胸の方がいいでしょぉ」

「だ、誰がペチャパイよ!」

顔を怒りで真っ赤にしてアスカが立ち上がる。

「あ〜ら、別に誰もアスカの事だなんて言ってないわよ〜」

「目線が思いっきりこっち向いてたのよ!」

「それは被害妄想というものよね〜。それに……」

レイはそこでいったん言葉を切って、小悪魔的な笑みをアスカに向けて言った。

「あなたで、私に勝てる?」

「うっ……!」

そう。確かにレイの胸はかなり大きい。前にミサトと張り合っていたのを覚えている。一方、アスカの胸も決して小さくはない。いや、むしろかなり大きい部類に属するだろう。だが、そこは発育途上の悲しさで、絶対的な大きさとしてはレイにはとてもではないがかなわない。

「ほ〜れほれ。悔しかったらあんたもやってみなさいよ」

そう言ってさらにシンジの顔を自分の胸に押し込めるレイ。

ぷち。

そのとき、アスカの中で何かが切れた。

「わかったわよ! やってやろうじゃない!!」

そう言うや否や、いきなりシンジの頭をわしづかみにして自分の胸の谷間に押し込めるアスカ。

「!!」

顔を今までの7倍くらい赤くするシンジ。

柔らかい膨らみが左右からシンジの顔を挟み込む。

いくら胸が大きいと言っても、レイは所詮姉である。同年代の女の子と比べればその結果は、火を見るより明らかである。

と、いうわけで、その直後にシンジの意識が再びホワイトアウトしたのは、まあ当然と言えば当然のことだった。

こうして、今日もネルフ村の夜は騒がしく更けていくのだった……。

 


つづく
ver.-1.00 1997-07/24 公開
ご意見・ご感想・誤字情報などは gyaburiel@anet.ne.jpまで。

うーむ(- -;

なんか今回、作者の煩悩が暴走してますねぇ。(これでいいのか>自分)

ちくしょーシンジいいなー。同じ14歳でも美人の幼なじみが居るか居ないかでこれほど違うものなのだろうか……

ううう、くそー。第4話あたりで殺しちゃろうか、こいつ(笑)

それにしても進みが遅い。(^ ^;

この話はあと3話ぐらいで終わる予定です(多分)。

これが終わったら……そうですねぇ。カヲルでも出しましょうか(笑)

それでは、第4話「黒幕」で再びお会いしましょう(^ ^)/~~


 ぎゃぶりえるさんの『ネルフ村の平和な日常』第3話、公開です。
 

 何というか・・・
 あれですね。

 14歳のぎゃぶりえるさんの熱いパトスが爆発してますね(^^)

 全裸・胸。
 と言う辺りが中学生の好みかな?
 それともぎゃぶりえるさんの好みなのか・・・(^^;

 私は・・HIPも好き・・・・
 だから「鋼鉄のガールフレンド」はご馳走様だった。
 ・・・・なんちゃってね(^^;
 

 眠り続けていたシンジの目覚めと
 横に付き添っていたアスカの喜び。

 態度に出さないレイとユイの優しさ・・・

 暖かい家ですね(^^)
 

 さあ、訪問者の皆さん。
 貴方のパトスをぎゃぶりえるさんに伝えましょう!


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