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「なに見とるんや、ヒカリ」

「え?ああ、昔の日記を読んでるの」

「ああ、わいらが、中学生の時の日記やな」

「そう、あの日の出来事」

「そうか、わいらが、初めて、名前で呼び合うようになった日やな」

トウジとヒカリのふたりの海
「煩悩の世界エヴァンゲリオン」外伝


トゥルルルルルルル………

トゥルルルルル…

ッチャッ

「はい、洞木ですが」

「お、いいんちょか?鈴原や」

「す、鈴原?」

どうしたのかしら?鈴原が電話かけてくるなんて?

「なぁ、来週の日曜日ヒマか?」

「ヒマって、言えばヒマだけど…」

え?デートのお誘い?

「じゃあ、わいらと、海、いかへんか?」

やだ、ホントにデートのお誘い?
でも、わいらって、ことは……。

「海?わいらって?」

「こいつらや」

「ヒカリおねーちゃん、ユミだよ」

「おねーちゃん!」

「ユミちゃん?ノゾミ?」

やっぱりこの子達か。

「そうや、こいつらが、海行こうってうるさいんや」

「うるさいって、ひっどーーい。おにーちゃん、海行きたくないの?」

「一緒に海行ってくれるって言ったのに…」

「って具合や。で、わいだけで、こいつらのお守りできへんやろ?だから、いいんちょに頼んでるわけや」

「お守りは、ないんじゃない?おにーちゃん」

「そうなの?しょうがないわね。いいわよ、行きましょ」

二人っきりじゃないけど、まぁ、いいかぁ。

「ほんまか?よっしゃ、じゃあ決まりやな!」

「ええ」

「やったーー」

「やったね」

「おまえら、電話奪るんやない!」

「ありがとー、ヒカリおねーちゃん!」

「おねーちゃん…、ありがと…」

「というわけや、すまんが、弁当も頼めるか?」

「まかせといて!張り切って作っちゃうから!」

そりゃもう、鈴原の好きな物でそろえるわよ!!

「おお、頼んだで。じゃ、ノゾミちゃん、も少し、わいの
家で宿題やる言うとるから、終わったら連れてくわ」

「じゃ、ノゾミの事、お願いね」

「ああ」

「じゃ」

「じゃ、またな」

ッチャッ

「やったぁ、鈴原と海!!お弁当なに作ろうかなぁ」

卵焼き、たこさんウインナ、ウサギさんリンゴ。
鈴原、こーいうの好きなのよね。

お弁当もだけど、水着どうしようかな?
アスカに聞いてみようかな?

ピポプパプププペ

トゥルルルル……

トゥルルルル……

「もしもし、碇ですけど」

「あ、碇君?洞木ですけど」

「ああ、アスカだね。ちょっと待ってて」

「うん」



「ヒカリ?なに?」

「アスカ、あのね。今度、鈴原と海、行くことになったんだけど…」

「へぇ、よかったじゃない」

「でね…。水着…どうしようかと思って」

「なぁるほどぉ、それでか。うん、さすがにスクール水着ってなわけにいかないわね。スクール水着じゃ、一部の大きなお友達に人気がでちゃうだけよ」

「なにそれ?」

「なんでもないわ。じゃ、明日、水着買いに行こうよ」

「うん、悪いわね」

「いいってことよ。親友が悩んでるのに助けないなんて、このアスカ様ができると思って?」

「ははは、ありがとう」

「うん、じゃ、明日ね」

どんな水着がいいかなぁ。鈴原はどんなのが好みかな。

ポッ



「ねぇ、ノゾミちゃん。うまく行ったね!」

「そうね…、ユミちゃん…」

「ふふふ」

「ふふふ…」



「すずはらぁ、こっち、こっち」

「いやぁ、悪い悪い。こいつがもたもたしてたもんで」

「おにーちゃん、うそつき!おにーちゃんが寝坊したんでしょ!」

「あら、いけない、おにーちゃんねぇ。ほら、鈴原、ユミちゃんに謝りなさい!」

「ごめん、ユミ」

「はい、よろしい」

「「ふふふ」」

ユミちゃんとノゾミに笑われちゃった。

「もう、鈴原のせいよ!」

「わりいな、いいんちょ」

苦笑いしながら、あたしに謝る鈴原。
こんな顔見たら、これ以上、なにも言えないよね。

「ふぅ、いいわよ…」

「おお、電車が来たでぇ」

「うみ、うみ!」

「うみ…」

「ほら、ユミィ。騒いだら、あかん。まわりの人の迷惑や」

あたしが注意する前に注意されちゃった。

「ごめん、おにーちゃん」

「ごめんなさい」

「いや、ノゾミちゃんは、ええよ。ユミ、よかったなぁ、一緒に謝ってくれる友達がいて」

鈴原も、結構しっかりしたおにーちゃんなのね。
鈴原の家、お母さんいないから、しっかりしちゃうのかな?
でも…学校や、あたし達の前じゃ、だらしないし。
どっちが、鈴原の本当の姿なの?

「おい、どうしたんや、いいんちょ」

「ななななんでもないわよ」

「そうか?それならええわ。電車に乗るで」

「うん」

どうしちゃったんだろ。
動揺してる…。



電車は、一路、湘南海岸に向かう。
景色も少しづつ、海への景色に少しづつ変わっていく。
海の香りが少しづつ強くなってくる。

「どうしたんや、ぼーーっとして」

「ううん、なんでもない」

「そうか?」

「ヒカリおねーちゃん、夢見る乙女って感じだったよ」

「いいのよ、ユミちゃん、あたしだって、夢見る乙女なんだから」

「ぶはははっはははっははははぁっ、いいんちょが夢見る乙女やてぇ」

「そんなぁ…」

そんな風に言わなくてもいいじゃない…。
まったく、無神経なんだから。
ちょっと、こらしめてやるか。

「おにーちゃん、言い過ぎよ!!」

「おねーちゃん、かわいそう…」

「あ、すまん。わいが言い過ぎた」

鈴原、ちょっとは、反省してるみたいね。

「どうせ、あたしなんて、口うるさい女の子としか思ってないんでしょ」

「そんなこと、思ってへんがな」

ホントに申し訳なさそうな顔してる。もうひと押しね。

「ホントに?」

「ホントやがな」

「もうこんな事言わない?」

「言わへんがな」

もう、許してやるか。

「じゃ、許してあげるわ」

「そうかぁ、おおきに」

「「ふふふ」」

あ、やっぱり、この二人に笑われちゃった。

「なんや、なんで、二人、笑うとるんや」

「だって…」

「ねーーっ」

「なんだって言うんや…いいんちょわかるか?」

「もちろん!女の子にしかわからないことよ。ね、ユミちゃん、ノゾミ」

「そうよ、おにーちゃん」

「うん…」

「女の子の秘密ってやつかいな?」

「そうよ」

「「「ねーーーーー」」」

「まあ、それじゃしかたないな」

鈴原、納得してないわね、あの顔じゃ。

「それより、みんな、ジュース飲まない?」

「おお、ええな、もらうで、いいんちょ」

「ユミにもーー」

「ノゾミにも…」

「はいはい、ちょっと待っててねぇ」

「…ええなぁ」

「え、なにが?」

「いいんちょは、やっぱり家庭的なんが似合うのぉ」

「そう?ありがと」

「いいんちょを嫁さんにもらえるやつは幸せや」

「お、お嫁さん?」

なに言うの?もう、顔が火照っちゃうじゃない。

「そうや、嫁さんや」

「もう、鈴原ったら…」



その頃ふたりは。

「ヒカリおねーちゃん、赤くなってるね」

「やっぱりおねーちゃん…、トウジおにーちゃんのこと好きなのね…」

と、ないしょ話。



「なんや、いいんちょ、熱でもあるんか?顔、赤いで」

「熱なんてないわよ、なんでもないんだったら」

「そうか?」

「うん」

「まったく、おにーちゃんったら鈍感なんだから」

「おねーちゃんも、もう少し積極的でもいいと思うんだけどなぁ…」

そんなこんなで、湘南の海がせまる。

「わぁ、うみーーー!」

「うみね…」

「ほら、ユミ、騒いだらいかんでぇ」

「はーい」

「じゃ、あたし達、着替えてくるから」

「おお、場所決めたら、迎えにいくわ」

「うん」



そして、女子更衣室。

「鈴原、気に入ってくれるかな?」

今日の水着は、ちょっと、背伸びしてみたの。
蛍光の黄色のワンピース。

アスカは、

「もう少し派手な方がいいわよ」

って言ったんだけど。

「だって、まだ早いわよ…、あたしには…」



「わぁ、ヒカリおねーちゃん、きれい」

「そう?ユミちゃんありがと」

「おねーちゃんったらねぇ…、どう?って何回もあたしとコダマおねーちゃんに見せるのよ…」

「ノゾミ!」

「でも、おねーちゃんきれいだよ。これでトウジおにーちゃんのハートをゲットね…」

「ハートをゲットってノゾミ…」

「ヒカリおねーちゃん、おにーちゃんのこと好きなんでしょ」

「…うん」

「じゃあ、いいじゃない。ウチのおにーちゃん、奥手だから、おねーちゃんがしっかりリードしてね!」

「リードってねぇ、ユミちゃん!大人をからかうんじゃないの」

「たしかに、ヒカリおねーちゃん、大人よねぇ」

って、ユミちゃんの視線が…。

「もう!からかうのはやめなさい!」

「ッハハハハハッ」

「っもうっ」

…まっ、いっかぁ。
たしかに鈴原に見せるために買ったんだもんね…。

「ユミちゃん、ノゾミ、着替え終わった?」

「うん、ヒカリおねーちゃん」

「いいよ、おねーちゃん…」

「じゃ、いきましょうか」

「「うん」」



「おら、いいんちょ、いつまで、待たせる気や、大体なぁ…?う」

「どう、鈴原」

「……いいんちょやないみたいや…」

「それって、どういう意味?」

「いや、女ってのは化けるんやなぁ、びっくりしたわ」

「ひとをお化けみたいに言わないでよ!」

「いや、堪忍してや。とっても、きれいやで」

「鈴原…」

「うん、きれいや。見直したわ」

「気付くのが遅いわよ!」

「ちょっと、ほめればこれや」

「なんですって」

「なんや」

って、にらみ合ってたんだけど…。

「ふ」

「ふふふ」

「ははははは」

「ふふふふふ」

ってお互い笑いが止まらなくなっちゃった。



「なにわらってるんだろうね」

「そうね、ユミちゃん…」



そして、あたしたちは、鈴原が場所取りしてくれた所に行ったの。

「鈴原、いい場所取れたじゃない」

「いいやろ。ここなら、海からこっちも見えるし、安心や」

「そうね」

「ねぇ、にーちゃん、泳ごうよ!」

「トウジおにーちゃん、行こぅ」

「そうやなぁ…」

「行ってくれば、鈴原。あたし、ここで、待ってるから」

「そうか?悪いな、いいんちょ」

「うん」

「じゃあな」

「じゃーねー、ヒカリおねーちゃん」

「おねーちゃん、いってきます…」

「いってらっしゃい。あまり深い所行っちゃだめよ。じゃ鈴原お願いね」

「ああ!」

あーあ、行っちゃった。



そして、お昼近く。
あたしも行けばよかったかなぁ
でも、だれかが荷物見てなきゃいけないし。

「ねぇ、彼女、ヒマしてるのかい」

「そんなことないです!」

この人達、アスカが言ってたナンパ野郎ってやつかしら?

「君、かわいいねぇ。学校どこ?」

「どこだっていいでしょ!」

「怒った顔もキュート!」

「ね、お茶しようよ、ね!」

「いやです!」

「なにぃ、こっちがおとなしくしてりゃつけあがりやがって」

「一緒にくればいいんだよ」

「いやだって言ってるでしょ!」

鈴原、たすけて!!

「おら、いいんちょが嫌と、言うとるやないか」

「鈴原…」

「なんだ、おめーは」

「こっちが二人なのわかってねぇようだな」

「おまえらなんか、わい一人で十分や」

「なんだとぉ」

「鈴原!!」



ゴスッ



「そ、そんな…」

「二重の極みや」

「そんな、マンガなことが…」



ドサッ



「覚えてやがれっ」

そう捨てぜりふを吐いて去るナンパ野郎。



「鈴原…ありがと」

「すまなかったなぁ、いいんちょ。こわかったやろ」

「うん、でも、鈴原かっこよかった」

「今ごろ気付いたんか?」

って笑みを見せる鈴原。

「すかしてるわねぇ」

「ま、ええやないか」

「ふふふ」

「ははは」

と、笑ってたら、ノゾミ達、帰ってきた。

「あーっ、にーちゃんたち、なに笑ってるの?」

「どうしたの?」

「なんでもないのよ。ね、鈴原」

「そうや、なんでもないんや」

「えーっ、なんで、内緒にするのー!」

「ふふふ」

「ま、ええやないか」

「そうよ。じゃ、みんな、お昼にしましょうか」

「おお、メシや、メシ。腹へっとったんや」

「にーちゃん、おぎょーぎ悪い!」

「すまん、ユミ」

「「うふふ」」

「もう、にーちゃん、はずかしいんだから」

「さ、お昼にしましょ」

ふふっ、やっぱり鈴原は鈴原ね。

「おお、うまそうなのがはいっとるなぁ」

「そりゃもう、腕によりをかけて作ったからね」

「そりゃ、ええのう」

「わー、かわいい。うさぎさんリンゴ」

「たこさんウィンナも、はいってるぅ」

「ふふふ、こーいうの好きな人がいるんだもの」

チラと鈴原に視線を移す。

「!」

えっ、鈴原もこっち見てた。
顔が瞬間的に熱くなる。
真剣な瞳であたしを見る鈴原。

「いいんちょ…」

「な、なに?」

「めし、食うていいか?」

「……めし?」

「そう、めしや」

「いっいいわよ!」

もう、鈴原ったら、真剣な瞳で見るから、ドキドキしちゃったじゃない。

「「じゃ、いったっだっきまーす」」

「いただきます…」

「はい、めしあがれ」

「うまいのぉ、やっぱり、いいんちょは料理が上手やな」

鈴原ったら、ホントにおいしそうに食べてる。
朝、早起きして作った甲斐があったわね。

「そう?ありがと。どんどん食べてね」

「おお、食うでぇ」



「ああ、食った、食った」

「にーちゃん、泳ぎに行こうよ」

「ユミ、まだ、行ったらあかんで。食休みしとき」

「なんでぇ?」

「食ったばかりは、溺れやすくなるんや」

「そうなの?鈴原」

「いいんちょ、知らんのかいな?食ったばかりは、心臓と肺が圧迫されて、負担がかかるんや」

「そうなんだ」

「そうや。だから、ユミもノゾミちゃんも少し、食休みしとき」

「「はーい」」

「よっしゃ、わいも、食休みしとくかな。いいんちょ、ちょっと散歩せんか」

「散歩?いいけど、ふたりは、どうすんの?」

「ユミ、ノゾミちゃん、ちょっと、留守番しててくれるか?」

「いいよ、おにーちゃん」

「いってらっしゃい…、トウジおにーちゃん、おねーちゃん」

「じゃ、行こうか、いいんちょ」

「うん」



「なぁ、いいんちょ」

「鈴原ぁ、さっきから言おうと思ってたんだけど、海に来てまで、いいんちょ、は、やめてよ」

「そうか?でも、くせになってるさかいに、急には変えられへんでぇ」

「でも、あたし、鈴原には、名前で呼んで欲しいなぁ」

「そうか、じゃ、わいも名前で呼んでくれんか」

「え?いいの?」

「いいに、決まっとるやないか。いいんちょが名前で呼んでいい、言うてんのに。わいも名前で呼んでいいで」

「じゃ……、トウジ。キャッ呼んじゃった」

顔が熱くなってく…。

「いいんちょ、顔、真っ赤やで」

「いいんちょじゃなくて、ヒカリって呼んでよ!」

「ああ、すまん。ヒカリ…」

ちょっと、恥ずかしそうな、鈴原。
鈴原、いいえ、トウジってかわいい。

「ちょっと、こそばゆいわね」

「そうやろ?」

「でも、海にいる間くらい、名前で呼び合いましょ」

「そうやな、ヒカリ」

「うん、トウジ」

やっぱりあたし達は、名前で呼び合う所から、始めた方がいいよね。

「ヒカリ、今日は、ありがとな」

「ううん、いいよ。あたしも楽しいし」

「そうか?」

「うん」

「それは、誘った甲斐あったなぁ」

「え?ノゾミ達に誘われたんじゃないの?

「きっかけは、そうや。でも一緒に来るなら、いいんちょ、いや、ヒカリがいいって思ったんや」

「鈴原…」

「トウジやろ?」

「うん、トウジ」

「また、一緒に来よう。今度はふたりっきりで」

「…今度は、デートって事?」

あたし、恐る恐る、聞いてみたの。

「そうや」

トウジの顔ちょっと赤い…。

「…トウジ」

「いやか?」

「ううん、そんなことない。嬉しいよ。でもちょっと言葉が出ないの」

「そうか、それなら、なにも言わんでええよ」

「うん」

「なあヒカリ、これからもわいらは、名前で呼び合う事にしようや」

「うん」

「ヒカリ、今日は、口数少ないな」

「そう?」

トウジが、ヒカリ、ヒカリ、って呼んでくれるから、胸が一杯なのよ!!

「いつも、それくらい、静かなら、わいも楽なのにな」

「何よ、それ、どういう…!」

「それそれ、その方が、ヒカリらしいっちゅうもんや」

トウジったら、そう言って、ニッコリ笑うのよ。

「っもうっ」

「はは」

「ふふ」

「ははははは」

「ふふふふふ」

あたしたちの関係ってこんなもんかもね。
でも、いい関係だと思わない?



「おにーちゃんたち、遅いねぇ」

「遅いねぇ…」

「だれか、あたし達、ナンパしてくれないかな」

「あたし達も、オトコつくる…?」

「そうね。あたし達って実はさみしい女の子なのかしら?」

「そうかもね、ユミちゃん…」



「ただいま、ユミ、ノゾミちゃん、ええ子にしてたか?」

「「うん」」

「よっしゃ、ええ子やなぁ」

って、ゴシゴシ、二人の頭をなでてるトウジ。

「痛いよ、おにーちゃん」

「痛いですぅ…」

「いや、悪い悪い、堪忍や」

「ねぇ、ヒカリおねーちゃん、一緒に泳ごうよ」

「行こうよ、おねーちゃん」

「でも…」

「ヒカリ、行ってきたらええがな、わいは昼寝しとくから安心して行ってきいや」

「「ええっ!」」

あ?ノゾミ達、気付いたみたい。二人で顔見合わせてる。

「うん。じゃ、行こうか、ユミちゃん、ノゾミ」

「「うん」」

「じゃ、行ってくるね、トウジ」

「「!」」

やっぱり、ノゾミ達、びっくりしてるみたい。

「じじじゃ、いいいってくるね、おおおにーちゃん」

「どもってるで、ユミ」

「じゃ、いってきます」

「おお、気を付けてなぁ」



「ねぇ、ヒカリおねーちゃん、おにーちゃんと何かあったの?」

「やっぱり、わかっちゃった?」

「わかるよ、急に、名前で呼び合ってるんだもん」

「さっき、あたしたち、名前で呼び合う事にしたの」

「そうなんだ、よかったね」

「うん」

「告白したの…?」

「告白はね…、まだしてないよ」

「えーーー、どうーーしてーーー?」

「いいの。あたしたち、まだ、そんな関係じゃないし」

「おねーちゃんと、トウジおにーちゃん、お似合いだと思うけど…」

「ノゾミ…、でもねぇ、恋ってそういう物だと思うわよ」

「そうなの…?」

「そうよ、ノゾミ。あなたたちも、恋をすればわかるわ」

「そうかもね、ヒカリおねーちゃん…あたしも…」

あたしも?

「え?ユミちゃん、好きな人いるの?」

「…うん」

「だれかな?」

「ケンスケおにーちゃん」

「相田君?」

「うん」

「ノゾミ知ってた?」

「うん…」

「そうなんだ、相田君が好きなんだ…」

「うん」

「でも、相田君は…」

「知ってる。マユミおねーちゃんでしょ」

「覚悟はできてるってわけね」

「うん!」

「いいんじゃない?あたし、マユミとも友達だから、応援できないけど」

「うん」

「ユミちゃんには、わたしがついてる…」

「うん、ノゾミちゃん!」

「そっかぁ、ユミちゃんも恋する女の子だったか…」

「ノゾミちゃんもねぇ、シンジおにーちゃんが好きなんだって」

「ユミちゃん!言わないでって言ったじゃない!」

「ごめーーん。ノゾミちゃん」

「もうっ、知らない!」

「ごめんね、ノゾミちゃん」

「ノゾミ…、碇君は、大変よ…」

「知ってるよ…、レイおねーちゃんと、アスカさん…でしょ?」

「知ってたんだ……、そうなんだ」

「うん…」

「じゃ、みんな、恋する女の子だったんだ」

「うん」

「うん…」

「がんばろうね!」

「「うん!!」」



ZZZzzzZZZzzz

「おにーちゃん、まだ寝てるね」

「うん、ちょっと、イタズラしようか」

「なにするの?」

「えっとねぇ…」



「…うん?」

「起きた?」

「ああっ!」

「びっくりした?」

「びっくりしたがな、いいんちょの顔が近くにあるんや!」

「そう、じゃ、成功ね!」

「ずっと…、ひざまくらしてたんか?」

「うん、トウジの寝顔かわいかったよ」

「いいんちょ…」

「トウジ、呼び方戻ってる!」

「ヒカリ…わいをからかっとるか?」

「うん!すこし…」

「とほほ…や」

「ふふふ」

「ははは」

「ふふふふふ」

「ははははは」



「イタズラ成功したみたいね…」

「うん!あたしたちも、あーいうことできるように」

「がんばろうね…」

「うん!」



っていろんなことあったんだけど、海の思い出は、これでおしまい。
この日は、トウジとあたしが、お互いを、名前で呼び合うようになった記念日になったの。
で、今は…。

「おおい、エイジ、お風呂あがったで」

「はーい」

ってトウジの奥さんと、エイジのお母さんやってるの。
幸せかって?

「もっちろん!!(

^^

)」


次回に続くといいなぁ

ver.-1.00 1997- 公開

ご意見・感想・誤字情報などは masaya@mars.interq.or.jpまでお送り下さい!


どうも、峯マサヤです。
「シンジとアスカの日曜日」に続く、デート編第弐弾です。
今回、ユミちゃん、ノゾミちゃんの「ぼのEVA」初登場でしたがいかがだったでしょうか?
できたら、感想のメールくださいね。
それでは。

 峯マサヤさんの『トウジとヒカリのふたりの海』公開です。
 

 ノゾミちゃんとユミちゃん。
 おませな二人の、トウジ・ヒカリラブラブ大作戦(^^)

 結果は大成功!
 でしたね。
 

 なかなか言葉を出せないヒカリと、
 鈍感記念物トウジ。

 二人に妹は大変です。
 

 でも、この二人、
 横からの協力が無くても上手く行っていたかもね(^^)
 

 さあ、訪問者の皆さん。
 感想メールをぜひぜひ! 貴方のメールが次への力。


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