TOP 】 / 【 めぞん 】 / [MRGURU]の部屋/ NEXT


Project E

第二十二話

「手のひらはかえすためにある」



 立ちこめる湯気は、舌に郷愁を感じさせた。土と炎だけが作り上げた無骨な備前焼の土鍋にはうっすらと色づいた湯だけが張られている。
 香り高く、濁りのないだし汁は上等の利尻昆布をふんだんに使ったことの証だった。旨味民族の日本人にとって、昆布が豊富に持つグルタミン酸はそれだけで味覚を鋭く刺激する。
 舌が発達していない中学生もその例に漏れない。第一中の生徒達は大食堂のテーブルに所狭しと並べられた鍋にうっとりとしていた。

 「なんでこうなるのよっ!」

 アスカは一人だけ機嫌が悪かった。柔らかな昆布の香りも、蟹、はまぐり、まいたけ、京菜、深谷ネギといった激選された鍋の具もアスカをなだめるには至らない。
 シンジと同じテーブルでないという事実は、それほどまでに受け入れがたいことであった。何事にもアバウトな人間が教師をしていることもあって、食事の際の席順などは決められていない。
 そのおかげでアスカは今までシンジの隣をGETし続けたのであったが、この日風邪薬をもらうために遅れてきたシンジは、入り口で待ち伏せていたレイと同じテーブルに引っ張り込まれてしまった。あろうことか、同じテーブルにはカスミとヨウコもいる。鍋は四人に一つずつという配分であたから、座席はそれで満杯。
 アスカは名もないキャラをどかして隣のテーブルに座り込んだが、シンジが同席していないというのであれば食事の楽しみは半減だ。ヒカリはまだいいとして、トウジとケンスケなど邪魔でしかない。
 テーブルにはだし汁を一杯に張った鍋があるので、おいそれとテーブルを移動させるわけにもいかない。勝ち誇ったようなレイの微笑もアスカの機嫌を大いに損ねている。鍋らわき上がる湯気とともに、アスカの怒りはふつふつとわき上がっていた。

 (シンジ!・・・・・今夜こそおまえを刺す)

 アスカが目に見えて殺気立っているのに対して、静かにというよりは陰湿に怒りを燃やす人間がいた。
 兵士というものは完璧な補給があってこそ能力を発揮することを知っているその男は、今は空腹を満たすことに精力を注いでいる。だが男の怒りは妖しく光る眼鏡の下で確実に高まっていた。

 「シンジ君は魚介類が好きなの?」

 「うん、どちらかと言えば肉よりも魚の方が好きだな」

 「好き嫌いとかはないの?」

 「嫌いなもの?そうだな、ピーマンと椎茸かな。あ、でもカラーピーマンは食べられる。あの黄色とかオレンジ色してるやつ」

 耳を立てながらほぞを噛むケンスケを尻目に、カスミは信じられないほど積極的に話しかけていた。幼なじみであるアスカとCIA並みの情報能力を誇るレイと比べて、シンジに対する知識が少ないことは事実である。カスミはあけられた水を取り返すのに必死だった。
 レイは冷ややかな瞳をしていた。それまでは蟹の身をほぐしてあげたり、甘鯛の切り身をとってやったりと静かに世話を焼いていたが、そろそろ反撃の時期だと感じていた。

 「シンちゃんはところてんに辛子を入れるのも嫌いよね。ロールキャベツに巻いてあるかんぴょうも好きじゃないし、冷やし中華に添えてあるくらげも敬遠してるわ。最近Jリーグに昇格したチームの名前が、道産子を反対から読んだだけなのにも釈然としないものを感じているし、カラー柔道着には絶対反対よね。それから人類学のT教授がレポートの重さで評点をつけているのは87%の確率で本当らしいから、裏表紙に分厚い紙を3枚重ねて使ったら怒られたことにも納得がいかないし、日本サッカー協会の会長が辞めないことには心底腹を立ててる。あと、タモリの髪は絶対ズラだと思っているわ」

 レイは自分ではさりげなく、奥深い知識の一端を覗かせて見せた。シンジは途中からわけが分からなくなっていたが、レイのセリフを全て暗記していないので突っ込むこともできない。

 「それから、シンちゃん。私はあのことも知っているわよ」

 レイは不気味な笑みを浮かべて岩牡蠣を口の中に入れた。ちなみに鍋物に牡蠣を入れる時には、片栗粉を薄く付けてからさっと湯通しし、冷水にとって締めておくと鍋に入れても小さくならない。
 ただ、シンジはそんな豆知識に思いを馳せることはなかった。”あのこと”とは、ベットの下にエロ本を隠していることなのか、それをゲンドウに見つかってアスカに言いつけやると脅されたことなのか、昔はロビンソンがグループ名でスピッツが歌の名前だと勘違いしていたことなのか、はてまて中学校に入学してからも2回おねしょをしてしまったことなのか。
 シンジの脳味噌はレイの妖しい微笑によってグチャグチャにされてしまった。頭を抱えるシンジを満足そうに眺めたレイは、追い打ちを掛けた上にとどめをさすことも忘れなかった。

 「それからシンちゃん、今晩はとても冷えるらしいわ。トランクスではなくボクサーブリーフに着替えた方がいいわ。3枚持ってきていたでしょ?」

 絶句する周囲をよそに、レイは菊菜を鍋から取り出した。やや青臭さを含んだ香りが朽ち一杯に広がる。酢の代わりに柑橘類で酸味を付けたさわやかなポン酢との組み合わせは絶妙だった。ただし、レイ以外の人間に精妙な味を堪能する余裕はどこにもなかった。






 「会長、林間学校に来ているファンクラブ会員が全てそろいました」

 「馬鹿者!会長と呼ぶな!ここは戦場だ!司令官殿と呼べ!」

 薄暗い部屋の中には無数の息がひしめき合っていた。彼らが一つ息を吐き出す度に世に不幸が生まれていくという、その範囲はかなり限定されたものだったが。
 月明かりに眼鏡を光らせた男は、重低音な声で怒鳴ってから中央に鎮座した。参加者の心を引き締めさせるように視線をぐるっと回す。睨まれた者は一様に身を低くした。

 「現在、我々の女神をたぶらかしているふとどきなやつがいる。そいつは他にもカテゴリーSの女を二人抱えながら、なおも貪欲な牙を研いでいる。制裁を加えなければならぬ。暁カスミ救国戦線の名にかけて」

 立ち上がった眼鏡の男は、部屋に集った同志を威圧するように拳を振るわせた。

 「聖域を汚す者を許してはならぬ。碇シンジに制裁を」


 「碇シンジに制裁を!」


 第三者にはあきれるくらい馬鹿げた言葉が、おごそかに唱和された。一般にこういうものは”もてない男の僻み”と分類されるが、当人達はそれに気がついていない。
 否、気がつかないようにしているだけかもしれない。はっきりと自覚するとやりきれなくなるから。

 「司令官殿、具体的な作戦をお与え下さい」

 「うむ、その前にこの作戦の意義を示しておこう。この作戦は自らの任務を放棄し、我らが暁カスミにまで手を出した碇シンジに鉄槌を下すための義戦である。我々が立ち上がらねば増長した碇シンジは、やがては全世界の女に手を出すかもしれぬ。いいか、肝に命じておけ。我々は人類最後の砦なのだ。失敗は許されない」


 「異議なし!」「その通りだ!」「世界の平和は我らにかかっている!」「断固やるべし!」


 人類史上、正当化されなかった戦争はない。どのような愚劣な戦いにも正義、大儀、平和というお題目が付けられてきた。
 近代国民国家の成立以後、その傾向は顕著になる。封建国家にあっては戦争は支配階級のゲームといっても良かった。支配階級は自らの金と財産で国盗り合戦をやり、破産する前になんらかの妥協を結んでゲームを切り上げた。
 だが住民の全てが参加する国家が成立すると状況は違ってくる。領土欲も支配欲もない一般人を戦争に巻き込むためには、正当な、少なくとも正当だと思わせることができる理由が必要になる。
 当初、そのために導入されたのが自国の発展と権益の確保だった。各国は帝国主義に走り、世界を分割した。”領土をよこせ”だけでは身も蓋もないので、先進文化の普及という新しい名目が作られもしたが、麻薬という文化を押し売りする国家もあった。
 その後導入されたのがイデオロギーである。身勝手な帝国主義には当時の人々でさえ目を細めていたから、新しいスローガンが要求されるのは時代の必然だった。
 一度イデオロギーによって正当化された戦争に中途半端な妥協は存在しない。イデオロギーの価値観は絶対か無かのどちらかであり、戦略的見地からの取引などは戦争の理由そのものの否定につながる。
 第二次大戦という場で相手を殲滅するまでの戦いを繰り広げた人類は、その後イデオロギー戦争の悲惨さに恐怖する。これにより先進国家間の大規模戦争はその後数十年に渡って抑制されていく。
 戦争は”王達の狩猟”から”帝国主義による世界分割”になり、”イデオロギーの殲滅戦”を経た後、経済をもバトルフィールドに巻き込んだ”血を流さない戦争”へと移り変わっていく。

 暁カスミ救国戦線のメンバーでそこまで考えている人間は、勿論一人もいなかったが。

 「まずは状況を確認しておこう。我らが暁カスミは、碇シンジがまき散らす主役フェロモンに惑わされている。我らがカスミを目覚めさせ、碇シンジを嫌悪する状態を創り出さなければならない。参謀長、我らが女神の嫌いな人間のタイプのデータを出せ」

 「はっ、暁カスミが嫌いな人間、とりわけ嫌いな男はについて報告します。1・こそこそしている人、2・デリカシーのない人、3・リピドー丸出しの人、4・他人の物を盗む人、以上のような調査結果がでています」

 「うむ、では碇シンジをその条項を満たすような人間だと思わせればいいのだな」

 「はっ、司令官殿のおっしゃる通りです」

 眼鏡を妖しく光らせた男は顎に手を当てた。しばらく考え込んだ後、右手の中指で眼鏡を押し上げる。司令官と呼ばれていたためか、彼の行動は誰かに似ていた。

 「データを考慮した結果、碇シンジをのぞき&下着ドロに仕立て上げるのが最善と判断する。眠らせた後、女子浴場の更衣室に放り込み、女子が出てくる時を見計らって電気ショックで目覚めさせる。ポケットには、更衣室にある女子の下着を突っ込んでおけば完璧だろう」

 「しかし、司令官殿。このホテルの浴場の警備は完璧だとおっしゃっていたではありませんか。司令官でも突破は不可能だと・・・・」

 「確かに参謀長の言う通りだ。このホテルで潜入をするなど自殺行為に等しい。NASAに忍び込む方が、まだ可能性が高いと言えるかもしれない」

 「で、では?」

 「案ずるな。ちゃんと考えはある」

 ケンスケは天井の隅を見上げた。空気清浄機の脇にある直径3cmくらいの球体。ホテル到着後、全ての部屋をクリーニングしたケンスケはそこに何が仕込まれているか知っていた。
 一応ネルフ側についたリツコの手によって、彼女とミサトの部屋と、シンジ&アスカ&カスミ達の部屋の監視装置は取り外されている。だが、その他大勢の部屋については解除がされていない。ケンスケはレンズの向こうにいるであろう人物に、口元だけの笑みを送った。

 「諜報部長、シンジの様子はどうなっている?」

 「はっ、目標は自室を動いてはいません。多少疲労感を漂わせており、ベットで休んでいます。鈴原トウジは食事の後かたづけの当番であるため外出中、一人きりです」

 満足そうに報告を聞いたケンスケはチラリと腕時計を見やった。一見、ただのデジタルクロノグラフ。ネルフから支給されたその時計の機能が、ストップウオッチやタキメーターだけでないことをケンスケは知っている。
 首筋が痛むような気がした。忘れかけた読者も多い、と言うより覚えている読者は皆無に等しいだろうが、ケンスケの首筋にはネルフ特製の小型爆弾が仕込まれている。
 カスミとシンジを引き離すのも、ゼーレと接触を持とうとしていることもケンスケの独断。別に禁止事項には含まれていなかったが、意志をもったスパイが組織にとってどれほど煙たい存在であるかは想像がついた。

 「20:14か。A組の女子は現在、入浴時間だな。断って置くがサービス描写はないぞ。A組の入浴時間を覗くことは禁止というのは追加協定第6項だ」

 「司令官殿、どこを見ておっしゃっているのです?」

 「あ、ああ。まあ説明キャラの義務というものだ。よし、それでは次の作戦を司令する。A組の女子が出てくるのは20:40。それまでに目標を拉致する。B組の入浴時間は20:45から21:15だからその間に目標をのぞき&下着ドロに仕立てあげ更衣室に放置、出入り口をロックし逃げ道を断つ。風呂から声が聞こえたら、目標に電気ショックを与え目覚めさせる。作戦部は俺とともに拉致と輸送を担当、諜報部は輸送ルートと風呂場周辺を見張れ。保安部は諜報部と連携し、邪魔者の排除をしろ」

 首筋に冷たいものが走り、ケンスケは自分でもゾッとするほど冷静になった。救国戦線のメンバーの見上げる視線も神経をぎくしゃくさせる。
 これは確かに自分の独断だ。しかし、カスミとシンジが離れるのは、ネルフにとっても都合の悪いことではない。むしろ望んでいることだろう。優秀な現場担当は時には自らの判断で動かなければならない時もあるのだ。
 ケンスケはやや強引な論法で自分を納得させた。自らを落ち着けるために。そして数少ない出番を確保するために。

 「私は少し交渉がある。諜報部と保安部は配置につけ。作戦部は目標の部屋の前で私が戻るまで待機」

 自分に理由付けしたケンスケは少しだけウキウキした気分になった。これは自分の初陣なのだ。これから始まる輝かしい電波スパイ戦歴の第一戦だ。
 ケンスケの眼鏡が妖しく光った。外側からの反射ではない。内側の瞳から立ちのぼる不気味な眼光のおかげで。

 「では解散。各員の完璧なる行動を期待する」






 「君が訪ねてくるとは奇妙なこともあるものだね。まさに人生は偶然の連続性の上にあるということかな?」

 「予測はしていただろう?」

 ケンスケは目の前に置かれた銅製のマグカップを胡散臭そうな目で見た。中には深い赤をした液体が入っている。香辛料を含んだ湯気を上げる中身が赤ワインであることは匂いで分かった。

 「これもシャトー・マルゴーか?昨話で使われなかったことへの憂さ晴らしか?」

 「まさか。マルゴー程の偉大なワインに手を加えるものじゃないよ。これは渋みの少ない赤をナツメグ、クローヴと共に暖めて、天然の蜂蜜とレモン汁を加えたものさ。寒い冬にはうってつけだよ。使うワインは安いものでいい。青臭さが残るようなカベルネ・フラン種なんかが合うね。カベルネ・ソーヴィニョンでは強すぎるかもしれない。具体的なものをあげれば・・・・」

 カオルは口をつぐむと不愉快そうに目の前に突き出された掌を凝視した。目と鼻の先にに存在するケンスケの手はカオルの言葉を遮った。

 (生命線が異様に長いな・・・・)

 無粋な男だ、カオルは顔には全く出さずに心の中で付け加えた。

 「時間がない。手短に用件だけ言おう」

 秘密裏にカオルの隠し部屋に現れせっかちに自分の意見を押しつけるような今のケンスケは、カスミが嫌いなタイプの内二つが当てはまる。すなわち、こそこそしている人と デリカシーのない人。
 暁カスミ救国戦線の会議をホットワイン片手に聞いていたカオルは、胸の中で苦笑いした。だから君には彼女ができないのさ、カオルはそう思った。

 「女子大浴場の一時的操作権と大きなバケツを完備した清掃用荷台一式、清掃員の制服も一着欲しい」

 「見返りは?」

 「暁カスミと碇シンジを引き離すことは、お互いの利益になる。そちらは装備をこちらは労力を提供する。それで十分だろう」

 「さて・・・・・」

 カオルは足を組み替えると瞑目してホットワインの香りを愉しんだ。カオルには自由裁量権が与えられているし、訪問前から答えは決めているのだが、即答しないというのが交渉だ。
 ケンスケの個人的利益も熟知しているカオルとしては、できるだけ焦らしてみたい。仕事の中にもいじわるな楽しみをもたなければ、やってられない。少なくともカオルはそういう種類の人間だった。

 「ゼーレとしては暁カスミが多少ひっかきまわしてくれた方がいいかもしれない、と思っている。アスカとレイを比べた場合、現時点ではそちらがリードしていることは確か出しね」

 「本心から出た言葉とは思えないな。現に今日の午後には暁カスミが介在することによってそちらの計略が狂ったのではないか?」

 「そのくらいは計算の内だよ」

 カオルはホットワインを飲み干すと席を立った。身を翻して三歩進み、コンロにかけてあった鍋を開ける。新しいホットワインをなるべくゆっくりと注ぎ、優雅な調子で再び席に着いた。

 「そちらから何か提示条件があれば考慮するが?」

 ケンスケは焦っていた。眼球だけ動かして確認した今の時刻は20:32。あともう少しでアスカとレイが風呂から出てくる。そうすればシンジの部屋に直行することは疑いの余地はない。

 「条件ねぇ、今すぐと言われても僕には思いつかないよ」

 カオルは新しいホットワインを一口飲んだ。目を細めて酒気を帯びた息をゆっくりと吐き出す。草の茎のようなアルコール臭を嗅いだケンスケはあからさまに嫌な顔をした。

 「それならあとでも構わない。今は一刻を争う」

 潮時かなと思いつつ、カオルは湯気を鼻にくぐらせた。この時点でカオル独自のシナリオができあがっている。ここでケンスケに伝える必要も義務もなかったが。

 「まあ、仕方ないね。でも浴場の操作はこちらが行う」

 「指示には従ってくれるのだろうな?」

 「疑うんだったら最初からこなければいい」

 カオルは間髪入れずに言い直した。微笑の下に潜む鋭利なナイフ、ケンスケは一瞬だけそれを垣間見た。

 「了承した。これが通信装置だ。俺だけにつながるようになっている」

 カオルはテーブルの上に置かれたコンパクトな通信機器を、手のひらで弄びながらケンスケの背中を一瞥した。
 芸術性とは無縁の背中だ、こういう男をのさばらせておくと後で何が起こるか分からない、ここで叩いておくことも必要か?勝手にそう決めつけたカオルは視線を薄暗い通路から、天井に移した。

 「本来なら気のきいたセリフをここで言いたいんだけど、僕は先々話で題字を言っているからね。無駄なことは喋らないでおくよ」

 虚空に視線を舞わせながら、自嘲気味に呟いたカオルは半分以上残っていたホットワインを一気に飲み干した。杯をいくら重ねても酔いを感じさせない足取りで立ち上がったカオルは再びキッチンに向かう。ホットワインがもうないことに気がついたカオルは新しいワインを取り出した。
 モンラッシェかコルトン・シャルルマーニュか迷ったカオルだが、結局一番隅にあったシャトー・マルゴーを取り出した。マルゴーの脇に置かれていたシャトー・ペトリュースやシャトー・シュヴァル・ブランなどには目もくれない。
 ソムリエナイフで封を切ったカオルは、懇々とわき出してくる香りを堪能した後、デキャンティングをしてワインを目覚めさせる。
 貴婦人が愛用する香水のような匂いは、長い通路の端にさしかかっていたケンスケの鼻にも届いた。香りを振り払うかのように鼻で笑ったケンスケは、出口の扉に手を掛けた。

 「陰謀はマルゴーの香りってか?ふんっ、いい気なものだな」

 ワインがシャトー・マルゴーだという確信はなかった。だが酒を嗜まないケンスケは赤ワインはマルゴーとボージョレしか知らない。もっとも中学生でワインに詳しいのはカオルくらいのものであったが。






 シンジの拉致は思いのほか簡単だった。疲れてうとうとしていたシンジは、口元にクロロフォルム入りのハンカチを忍ばせただけであっさり意識を失った。
 救国戦線・作戦部のメンバーが、カオルの手配した清掃道具に含まれている巨大なポリバケツにシンジを押し込んでいる間に、ケンスケは特殊メイクを準備する。
 HOTEL・SEELEの清掃員の制服を着込んだケンスケは、中年女性に変装を始めた。あらかじめ用意していたかつらとかぶり物で首から上を整え、皺加工の施された肌色の手袋で手と指紋を別人のものにする。
 特殊ヘリウムで声質を変え、制服の下にクッションを挟んでやや背中を丸める。5分後には、立派な40歳前後の女性清掃員が誕生していた。

 「どう?これで怪しまれることはないわね」

 口振りまで中年女性に変えたケンスケに、声を掛けられた人間は素直に気持ち悪いと感じた。中身がケンスケと分かっているだけにその思いは一層募る。だが自らの変装が完璧であることに満足げなケンスケは、作戦の開始を宣言した。

 「ケンスケ、行くわよ」

 セリフをパクッた挙げ句、あまりにも変装がはまっていたので作戦部の面々は卒倒寸前だった。


 チンッ


 「ご苦労様」

 エレベーターの扉が開くと同時にフロントの男が近づいてきた。カオルの差配は素早いもので、すでにホテル関係者の一部はケンスケの正体に気がついているらしい。確認を取るかのように声を掛けてきた男の顔はややひきつっていた。

 「そちらこそ」

 ケンスケは品のいい中年女性を想像して柔和な笑みを浮かべたつもりだった。フロントの男は沈黙した。中身がケンスケだと知ってるだけに苦虫を噛みつぶしてしまう。
 ケンスケはかまわず足を進めた。時計をみやると20:38、A組の女子が上がるまであと2分。シンジを入れたポリバケツに電動モップ、洗剤、クリーナーなどを満載した荷台を押しながらケンスケは口元を歪めた。

 「作戦通りだ」

 フロントロビーから本館と別館をつなぐ通路に入り、従業員用のエレベーターに向かったケンスケは思わず、視線をさげた。
 変装のおかげで少し狭くなった視界には、茜色の髪の少女とおさげの少女が談笑しながら歩いてくる姿が映っている。眼鏡をはずしているため、ややぼやけてはいるが見間違いはない。ケンスケはなるべく歩調を乱さずにそそくさと進んだ。

 「渚、開けてくれ」

 アスカに気づかれることなく女子大浴場の前にたどり着いたケンスケは、クリーナーの調整をしながら小声で言った。
 女子大浴場のセキュリティを通過するためには専用のIDカードが必要である。女子にはあらかじめ渡されているが、これが普通のカードではない。登録者のDNAパターンを読みとり、本人以外の使用はできない。
 ケンスケは考えつく限りの方法を試してみたが、ゼーレ開発部が総力をあげたセキュリティを破ることは不可能だった。

 「もう少し待ってくれないか。B組は今着替え中だ。君の目当ての暁カスミ嬢も、今ブラジャーのホックに手を掛けたところだよ。スレンダーだけど美しい裸体だね。賞賛に値するよ」

 ケンスケの手は震え出した。脳味噌には雷が落ち、歯がカタカタ鳴っている。だが驚愕はすぐに怒りに変わった。

 「渚!おまえ覗いているのか?!」

 地声に戻っていた。思わず出た大声にケンスケは回りを見渡す。幸いにも保安部が要所を固めていたせいで通行人はいなかった。

 「ジョークだよ。覗きは僕の趣味に反するからね。監視装置は生体感知モニターになっているから、裸でいることくらいは分かるけどね。黒い画面に映る誰のものとも知れない赤い影に欲情するほど、僕は暇じゃない。あ、でもこういう方が想像力を刺激するのかな?」

 カオルの言葉は事実だった。マルゴー片手にモニターを眺めているカオルは退屈そうだったし、目の前の画面はスイッチの消えたテレビに赤い影が映っているだけだ。
 温泉の熱気で感知が難しくなっているので影もただの楕円形、淫心を刺激するようなものではない。
 ただ、ケンスケは信じなかった。ケンスケは頭の中で”いつかは刺してやる奴リスト”の2番目にカオルをランクした。ちなみに最上位は、今ポリバケツで呑気に寝ている奴だ。

 「さて、ロックは解除したよ。更衣室の中には誰もいない。それから更衣室と大浴場の間のドアをロックしたままだからね」

 カオルはマルゴーに染まる息を吐き出しながら言った。廊下の監視カメラにはワナワナと震えるケンスケが映っている。

 「どうしたんだい?気が変わったのならロックしなおすよ。僕は余り乗り気じゃないからね」

 抑揚のない声だった。相手がシンジやアスカだったらいじめがいもあるというものだが、ケンスケでは相手をする気にもなれない。カオルは脇役をおちょくって登場時間を長引かせるほど、出番に固執しているわけではなかった。


 ガラッ


 ケンスケは無言で鉄扉を開けた。歯ぎしりをしながら、黙々と作業を始める。昏い焔を胸の奥に宿らせながら、手を動かし続けた。それがカオルへの返答であるかのように。
 ケンスケは清掃荷台を広々とした更衣室に入れると扉を閉める。周囲を確認するとポリバケツから昏睡したシンジを引きずり出して、大浴場の扉の前に配置する。どういう姿勢にするか少し迷ったケンスケだが、仰向けにして放置した。
 シンジの足下の床をワックスで磨いて水を流す。こうしておけば、浴場に忍び込もうとしたシンジが足を滑らせて昏倒したと思わせることができるだろう、ケンスケはそう確信した。
 側にあった棚から名前も知らない女生徒の手提げ袋を引っぱり出す。中に入っていたブルーの下着の上下を無造作に取り出したケンスケは、それをシンジのポケットにつめる。ブラジャーをポケットの端から見えるようにするのも忘れなかった。
 シンジは室内着に白いつなぎを着ていた。作業着作業着していない、きれいめのつなぎはおそらくユイかアスカが選んだのだろう。服装に無頓着なシンジが趣味のいい室内着などを用意するはずがない。
 女性に服を選んでもらうこと、今のケンスケにはそれすら死刑に値する罪のように思えた。のぞきのお約束として下着を頭にかぶせてやろうかと考えたが、結局止めた。あまりにも定番でリアリティがなさすぎる。
 発見されたシンジが、明日から軽蔑の眼差しで見られることを想像したケンスケは口元を歪めた。幼なじみのアスカと無神経なレイは見捨てないかもしれないが、他の女生徒はそうはいかないだろう。
 シンジが落ち込んでいたらなぐさめてやるか、ケンスケは少しだけそう思った。これはネルフの一員としてやったことだ、スパイという立場を離れれば俺とおまえは友達さ、ケンスケは昏倒しているシンジに心の中で語りかけた。
 ワックスをしまい清掃用荷台に手を掛ける。それは作戦の終了を意味していた。無線を使ってそのことをカオルに告げようとした瞬間、ケンスケの目に飛び込んできたものがある。

 ルイベ・シャペリエのパステルカラーのバック。色はエメラルドグリーン、取っ手の部分にかわいい猿のぬいぐるみがついている。

 ケンスケにはそれが誰の物だがすぐに分かった。心臓が早鐘を打ち出す。血が沸騰を始める。ケンスケの足は知らず知らずの内に前に出ていた。
 銀色に光るチャックを見たときケンスケは我に返った。これを開ければ後戻りはできなくなる。今まで隠し撮りをしたことはあっても犯罪行為にまで走ったことはなかった。
 一説には存在自体犯罪だと言われているケンスケだが、本人はまだグレーゾーンに踏みとどまっていると思っていた。

 (ええい!シンジのせいにしてしまえばいいんだ!ここまで俺を追い込んだシンジが悪いんだ!どうせ俺は脇役だ!だから出番を抹消される前にせめて、せめて・・・・)

 意を決したケンスケはチャックをあけた。ジジジジッーという音は異様に大きく響きわたった。

 「こ、これが・・・・」

 ケンスケは思わず声を出していた。バックから出てきたのは薄いピンクのブラだった。白じゃないことにケンスケはやや落胆したが、愉悦はそれを遙かに上回った。機械のように正確なケンスケの目はそれがBカップであることをすぐに見破った。
 夏の水泳授業になったら精密画像をとって3Dで再生し、全てのサイズを測ろうと思っていたケンスケは狂喜乱舞した。4月の身体測定の結果を記憶の片隅から引っぱり出す。胸囲の数値を思い浮かべたケンスケはコンマ2秒でアンダーバストのおおよその値を割り出しニンマリとした。
 すでに読者の68%がここで引いている。読者に見放されるということは飛びのピンチだと言い換えてもいい。ケンスケの点棒はリーチ一回分くらいしか残ってはいなかった。


 カタッ


 背後で物音がした。反射的に振り返ったケンスケの視界には、転がり落ちた洗剤のボトルがある。

 「驚かすなよ・・・・」

 小声で嘆息したケンスケは気がつくべきであった。自分の声が元に戻っていることに。だが地に足が着いていないケンスケは全く分からなかった。
 視線を戻す。エメラルドグリーンのバックの中には、薄いローズピンクのブラがまだ健在だった。ケンスケはうっとりとしながらそれを見つめ、まるで麻薬常用者のような表情になっていた。特殊メイクの上からでもはっきりわかるほど。
 ブラの下には大きめのタオルが入っていて残りの物は見えない。ケンスケは更なる欲望を満たすために中を捜索しようとした。
 手を入れた瞬間、ケンスケの手はカスミの下着に触れていた。指紋&皺付き手袋をしていたので、厳密には直接というわけではないが、触覚は保たれている。ピンクの物体に触れた途端ケンスケの身体は硬直する。

 (ほ、欲しい!い、いやしかしそこまでしては?・・・・。シンジのせいにしてしまえばいいだろう。どうせ俺がやったなんてバレないさ。それにここまでやってしまったら毒食らわば皿までだ!)

 ケンスケはついにスパークしようとしていた。今回は出番も最も多いし、活躍度もピカ一だ、今話の主役は俺、だから何をやってもいい、主役の特権だ。
 勘違いもいいところであるが、当のケンスケは気がつかなかった。活躍度ではなく暗躍度であることも、主役であろうと脇役であろうと作者の勝手な都合により首チョンパもありうるということも、諜報部も作戦部も保安部も空色の髪の少女にまとめて排除されていたという事実も。



 ドンッ!



 廊下と更衣室をつなぐ扉が開いた。開いたというより蹴り飛ばされたという感じだったが、何はともあれ空色の髪をした少女はズケズケと入ってきた。

 「あなた、何をしているの?」

 「あ、お、俺は・・・・」

 その時になってケンスケは初めて気がついた。特殊ヘリウムの効果がきれていることに。声と言葉遣いが少年で格好が中年女性のケンスケは、滑稽を具体化させた存在だった。

 「なぜ、綾波がここに?・・・・」

 「あなた、相田ケンスケね。まあいいわ、私は落とし物を取りに来ただけだから」

 レイはほとんどケンスケに関心を移さず、大股で歩き出した。仰向けに倒れているシンジに近づくとやさしく髪をなでてやる。
 ズボンのポケットからでている下着類を不愉快そうに見たレイは、白い手を突っ込んでそれを取り出し投げ捨てた。
 最後にケンスケを冷ややかに一瞥するとシンジを小脇に抱えて歩き出す。中学生の男子を楽々と片手で担ぎ上げながら。

 「どうしたの?盗ればいいじゃない。どうせ暁カスミのバックなんでしょ、それ?」

 レイは立ち去る際に、極上に研ぎ澄まされたナイフを投げていった。先程まで高ぶっていた心を瞬間冷却された。
 ケンスケは異様に空しくなってバックを元に戻した。機械的に清掃用具を片づけ、何の成果をあげることができないまま女子大浴場を出る。

 「おや、終わったようだね。ではロックしなおすよ」

 勝ち誇った言葉。少なくともケンスケにはそう聞こえた。直接顔を合わせていなくてもカオルの冷笑が脳裏に浮かぶ。カオルが一つ息を吐き出す度に、ケンスケの怒りの炎は赤々と燃え上がった。

 「・・・・・はめてくれたな?」

 「何のことだい?」

 「どうして綾波が来るんだよ?!おまえがチクッたんだろう?!」

 「文学的感性とは無縁の表現だね」

 「手のひらはかえすためにあるということか?」

 「カスミはすでにメインキャラの一角を担っているんだよ。君とは容姿、知性、性格、キャラクターの格、どれをとっても釣り合わない。シンジ君を貶めるのは僕の本意ではないしね。あと最後に付け加えておくと手のひらは見せた覚えもないよ」

 ケンスケは最後まで聞こえていない。ワナワナと震えながら”いつかは刺してやる奴リスト”の一位と二位を入れ替えた。






 最近、アタシは少し変だ。シンジと会えば喧嘩ばかりしている。といってもシンジとしているわけではないけど。いっつもシンジの前に現れるあの冷血色素欠乏症とだ。
 どうしてこんな風になってしまったんだろう。林間学校の直前は、シンジといい感じだったのに。
 シンジがカスミとのデートから帰ってきて、アタシの家に来てくれて。あの日はとっても夕陽が綺麗だったな。シンジはどもりまくりながらアタシに好きだって言おうとしてくれて・・・・。
 止めた。あのあとレイが乱入したことを思い出したら吐き気がしてきた。あの女ときたらいきなり不法侵入してきて、シンジにKissして・・・・、ああもう、いや!まったく何者なのよ?!
 そう言えば、一度はふられたカスミはいつの間にか戦線復帰している。おとなしいだけと思っていたらとんでもない勘違い。今晩の食事の時だってシンジに寄り添うようにしていたし、有る意味ではレイより油断がならないかもしれないわ。
 でも一番分からないのはシンジの気持ち。アタシのこと一体どう思っているんだろう?聞いてみる?・・・・・、そんなことできるわけないじゃない。
 ロッジに二人きりだった時は、えっと、どうだったっけ?まあ、いいか。過去を見ているなんてアタシらしくないし。そう言えばロッジのことは昨日のことなのにやけに昔に感じるわね。気のせいかしら?
 作者が住人からのお知らせの欄で大見得切ったらしいわね。ほんとに大丈夫かしら。多分ダメよね。いや絶対ダメかな?
 新しい連載の準備もしているらしいわね。コンセプトは”ご都合LASへの鎮魂歌”ですって。全く何を考えているのかしら?連載を三本抱える気なの?まあこれは終わらすつもりらしいけど。



 「ふぅ、寒いわぇ」

 日記に走らせていたペンが止まった。防寒が完璧なホテル内が実際に寒いわけではない。ただ暗闇の中、冷たく光る雪を見ているとそういう気持ちになる。
 アスカは古風に手書きで日記をつけている。毎日というわけではないが、二日に一度は書く。小学四年の時、夏休みの宿題に出されたのがきっかけだ。初めはいやだったが、今ではつけていないと何だか後ろめたい。
 羊皮紙の中はアスカの秘密の世界。楽しいこと、つらいこと、疑問に思うこと。たくさんのアスカが詰まっている。
 しんしんと降り続く雪を見ながらアスカは日記帳を閉じた。セキュルティ付きの鞄に収めて鍵を掛ける。日記帳が前近代的な分だけ、鞄は最新式だった。
 吹雪は止んでいた。雪は結晶の一粒一粒が見えると思うくらいゆっくりと舞い降りてくる。


 ガチャリッ


 「あ、綾波、もう大丈夫だよ。降ろしてよ」

 「ダメよ。まだ熱っぽいじゃない。私が夜通しで暖めてあげるわ」

 「い、いいよ、そんなこと!」

 「遠慮することないわ。私とシンちゃんの仲じゃない」

 少し黄昏ていたアスカは一気に戦闘モードに突入した。アスカはレイに飛びかかって、小脇に抱えられていたシンジを解き放った。

 「なんてことしているのよ?!この誘拐犯!」

 「私はシンジちゃんを助けただけよ」

 「何言ってるのよ。今、拉致監禁したあげく逆レイプしようとしたくせに!」

 「分かってるじゃない」

 「なんですってーーーー!やっぱりアンタとは決着をつけなければならないようね。表に出て勝負よ!!」

 「私は嫌よ。こんな寒い中、外に出たくなんかないわ。やりたいのなら一人ですれば。私はシンちゃんと肌の温もりを実感しあっているから」

 「アンタみたいな冷血女に体温があるわけないじゃない。シンジが凍死しちゃううわ」

 「試してみる?」

 「ダメに決まっているでしょ!」

 少女達の怒声は雪と共に降り積もっていった。重なり合う六角形の結晶と少年少女の様々な思い。雪解けの時期はいつ来るのか?大見得を切った作者は無事エンディングを迎えられるのか?
 雪明かりは答えてはくれなかった。シンジにも、アスカにも、レイにも、カスミにも。そして今実際に雪明かりにさらされている作者にも。




NEXT
ver.-1.00 1997-12/04 公開
ご意見・ご感想・誤字情報などは meguru@knight.avexnet.or.jpまで。

 Project Eの二十二話です。予告した通り、今週末までに終わらせます。余計な後書きを書いて無駄な労力を浪費したくないのでここで止めます。
 それではまた


 MEGURUさんの『Project E』第二十二話、公開です。
 

 脇役ケンスケがえらい活躍してますね(^^)
 

 こそこそ、
 ネチネチ、
 裏で、
 ど汚く。
 

 なぜケンスケが脇なのかが良く分かる(笑)
 

 もてないケンスケは
 ギャグノリ小説ではいい味だしますが、
 ちょっとシリアス調になると途端に救いようがなくなるんですね。

 ・・・うう・・ケンスケ哀乞会のメンバーとして、泣けてくるぞ(^^;
 

 
 熱病から覚めたときのむなしさ・・
 

 

 さあ、訪問者の皆さん。
 次の準備も始めたMEGURUさんに感想メールを送りましょう!


めぞん/ TOP/ [MEGURU]の部屋