TOP 】 / 【 めぞん 】 / [OHCHAN]の部屋/ NEXT

 

私の中の碇シンジ



 いつもは誰も乗っていない電車。
 碇シンジは、その電車に乗っていた。
 いつも見慣れた近代的な風景を離れ、電車は見慣れない田舎の風景へと場所
を変えていく。
 シンジはそんな風景をボーっと眺めていた。
 とても長い時間そうしているかのようにシンジは乾いた目を潤すとそのまま
目を閉じた。
 眠るわけではないが、シンジはそんな空気を楽しむかのように椅子に深く座
り直した。
 そして、電車はシンジの目的地となる駅に静かに到着した。

「ここだな・・・えっと・・・」

 駅前は小さな商店街になっており、賑わっている。
 シンジは地図を見直して、山道を探した。
 ほどなく山道は見つかり、シンジは草を分けながら登っていった。



 シンジが山道を登ろうとしている頃、アスカは商店街で買い物をしていた。

「食料品はこれでよし」

 食料品コーナーで買い物籠に野菜や肉を入るだけ詰め込むと、今度は日用品
コーナーでシャンプーとボディソープを手に取り、レジに向かった。
 レジに商品を通してお金を払うと、アスカは買い物袋にそれを詰め込んで、
別荘に急いだ。



 山道を登るのは、彼には苦であった。歩けるようになったとはいえ、まだ完
全ではない足を使うのは難である。
 さすがに息が上がってしまい、途中の道ばたに丁度良い岩があったので、シ
ンジはそこに腰を下ろした。
 ため息をつくように深呼吸をすると、シンジは辺りを見回した。
 右も左も木、木、木。山の中だから仕方ない。
 普通なら少し怖いと思うのだろうが、シンジは逆に気持ちよかった。
 木に囲まれると言うことがこんなに気持ちのいいものだとは思わなかった。

「さて、先を急ごう」

 座っていてもはじまらない。アスカはこの先にいるのだ。
 鈍っている足に鞭をうつと、シンジは立ち上がった。

「碇君」

 急に呼ばれて振り返るとそこにはレイが立っていた。

「あなた、碇君なんでしょ?」
「綾波・・・どうしたの?こんな所で・・・」
「碇君を追いかけてきたの、帰りましょ」
「帰るって?」
「葛城三佐のところ・・・待ってるわよ」

 すっとレイはシンジに背中を向け、そのまま山道を下っていく。

「まってよ綾波。僕はアスカに会うんだ」

 シンジはそう言うと、山を下りていくレイの腕をつかんで引っ張った。
 引っ張った勢いで倒れ込んでしまう。
 綾波の匂いがシンジに降りかかる。
 丁度レイがシンジの胸の所に顔をうずくめている格好になって倒れている。
フワリとレイの髪の毛がシンジの目の前を遊んでいるかのように舞っている。

「あ、綾波・・・」
「碇君。碇君の匂いがする・・・懐かしい匂い」

 抱き合ったような格好でそんなことを言われるとシンジの方がたまらなくな
ってくる。我慢するにも限界ってものがある。

「綾波・・・」
「碇君・・・・・・・・」
「ちょっと、目の前で何やってるのよ?」
「え?アスカ?」

 綾波の肩越しにアスカが立っていた。
 慌てて綾波に手をかして立ち上がらせ、アスカにむき直す。

「まったく、何の用?ファースト」
「・・・・・・」

 レイは何も言わずにアスカを見つめている。

「それと、あなた誰?私に何の用なの?」

 そういえばアスカは知らないんだっけ・・・やっぱりわからないんだ。
 少し残念そうな顔をアスカにむけると、シンジは、

「あ、その、えっと・・・この先に別荘があると思ったんだけど」
「あぁ、加持さんの知り合いね?」

 と、話を濁してしまった。

「ちょっと、別荘に行ってもいいかな?綾波も・・・ね」

 シンジはアスカに哀願してみた。
 アスカは少し迷ったが、最近一人では寂しかったせいもあるのか、承諾する
と、二人を別荘に案内した。

「広い別荘だね」

 シンジの第一の感想だった。
 確かに、広めの家ではあったのだが、珍しそうに別荘を見るシンジにアスカ
は不信感を抱いた。

「あなた、加持さんの知り合いじゃないの?」
「え?」
「ここに来るのは初めてなんですか?」
「あ、いえ・・・」
「嘘ですね?全部嘘」

 完全に見透かされている。アスカにはかなわない。
 シンジは思った。

「アスカ。黙っててゴメン。生き返ったんだ」
「え?生き返ったって?」
「僕だよアスカ。シンジだよ」
「嘘・・・それも嘘よ」

 信じられない顔をシンジに向けると、アスカは別荘に入らず、更に山奥に走
っていってしまう。

「アスカ!!」

 シンジは追いかけようとしたが、足が思うように動かず、追いかけられなか
った。
 シンジは、はにかみながらアスカの後ろ姿を見送った。
 シンジはこの時ほど自分の足を恨めしいと思ったことはなかった。



つづく 1997-06/30 公開 不明な点、苦情などのお問い合わせはこちらまで!


作者とチルドレン達の後書き OHCHAN:はい!その5公開でーっす!! アスカ:妙に明るいわね・・・ シンジ:テンション高いですね・・・ レ イ:ここに、ビールの空き缶が転がってる。飲んだのね・・・ OHCHAN:ふぉふぉふぉふぉふぉふぉ!!みんな飲め飲め!! アスカ:まったく・・・ミサトよりたちが悪いわ。 レ イ:でも、楽しそう・・・ OHCHAN:お!レイちゃんいつも可愛いねぇ! レ イ:可愛い・・・碇君、私、可愛いって。 シンジ:うん、綾波は可愛いよ。 アスカ:シンジ、私は?私はどうなのよ?? 鎮 守:アスカはいつ見ても可愛いよ。 OHCHAN:レイちゃんの方が可愛いよ!! 鎮 守:何言ってるんだ!アスカちゃんの方が可愛いって! アスカ:あ〜あ・・・喧嘩はじめちゃった。 シンジ:体は一つなのに、器用な人だ・・・ レ イ:赤木博士が実験をしたがるはずだわ。 アスカ:こんどこいつが寝てる間に呼んじゃおうか。 シンジ:そうだね。今度リツコさんに言ってみようよ。 OHCHAN:レイちゃんが一番なんだー!! 鎮 守:アスカちゃんが一番なんだー!! アスカ:だめだわ・・・ シンジ:影男さんに頼んで亜空間作ってもらって帰ろうか、アスカ。 アスカ:そうね・・・行くわよファースト。  逃げるように亜空間に消えていくチルドレン。  その後、鎮守とOHCHANの器用な喧嘩は夜遅くまでつづいたという。 OHCHAN:お後がよろしいようで・・・ 鎮 守:なんで、ギャグやねん! 大 海:みなさん、すいません・・・
 OHCHANさんの『私の中の碇シンジ』その5こうかいです。    み、短いーーー (;;)  これからいい所じゃないですかぁ。  6KB無いですよぉ (;;)  アスカとシンジが出会って、ここから!  で、エーン、肩すかしぃぃぃ    間が開いたら感動・感激がうすれちゃいますぅ  もっとまとめて読ませて下さい、お願いOHCHANさん!  さあ、訪問者の皆さん。  貴方の感想をOHCHANさんに送りましょう!


TOP 】 / 【 めぞん 】 / [OHCHAN]の部屋