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Lust Update 1997/06/13

書いた人 まさひこ(From IN THE OTHER WORLD)

掲載してくれた方(Thanks!!) KanSinさん〜めぞんEva大家さま〜

 

 

 

「たとえアンタが何回フられてこようとも、このアスカ様が何回でも慰めてあげるから…」

 

アスカはああ言ってくれたけど…

そんなに何回も振られて、うまく行く訳無いと思うんだけどなあ

確かにアスカの話を聞いてると、少しは希望が持てそうな気はしたけど…

生まれて初めての告白…

で振られたと…

昨日は何故か眠れなかった。確かに振られたのがショックだったんだと思う…

でも予め予想はできていたんだ

だって今まで僕、綾波とそんなに話した事も無かったし、遊びに行った事もみんなで数回だけ…

そういう意味じゃあ、むしろ「…今は駄目…」とか言って

淡い期待を持たせてくれない方がよかったのに…

じゃあ、何時だったらいいんだよっ!!って思っちゃうものなぁ

やっぱ焦らずに友達としてのステップを、上り詰めていった方が良かったのかも…

でも、綾波にそんな悠長な作戦は無意味だと思ったんだよな僕自信も…

なんせ綾波とはろくに話も続かないし…

けど、綾波を好きだと思う気持ちは強まるばかり…

そして、アスカに相談したんだ…いても経っても要られなくなって…

そりゃあ、最初は自分で何とかしようと思った…

こんな事女の子に相談するなんて、やっぱり恥ずかしいもの…

たとえ相手が、10年来の付き合いのあるアスカだとしても…

結局迷った挙げ句、僕はアスカに言ったんだ

 

「…僕、綾波の事が…好きみたいなんだけど…」

 

そうしたら、アスカは一瞬驚いた顔をしてから、僕に尋ねた

 

「ま、まさかアンタからそんな相談受けるなんて、思いもよらなかったけど…

それよりなんでまた相手が、根暗度校内No.1、

とっつきにくさ度市内No.1を誇るあの優等生な訳!?

た、確かにあの娘、結構可愛いし、頭も良いけど…またど〜してぇ!?」

 

確かにそう言われてみるとって僕も思った…

でも好きになっちゃったものはしょうがないだろ…

けどやっぱ好きになるにはそれなりの理由がある訳で…僕はアスカに答えたんだよな

 

「…綾波ってさ、よく窓の外を眺めてるんだけど…よく哀しそうな顔してるんだよね…

僕はまず、その顔に惹かれちゃってさ…なんか、その…旨く言えないけど…

で、綾波ってあんまり人と喋らないじゃない?

だから、僕…綾波のあの顔に惹かれちゃったわけだし、綾波ともっと喋ってみたいなって…

そうこう考えているうちに、これってやっぱり綾波の事が好きなんだな、僕は…と思ったら、

もういても立ってもいられなくてさ…

女の子に対してこんな気持ちになったのは、生まれて初めてだったから…

でわかったんだ…僕は綾波が好きになちゃったんだって…

あの哀しそうな顔を、僕が頑張って笑わせてあげようって…

僕は綾波が好きで、彼女の笑顔が見たいんだって…

だって、アスカも言う通り綾波って絶対可愛いよ

まあ、ただ単にそこが好きになっちゃっただけかもしれないけど、

とにかく僕は、綾波の事が好きなんだ!!ねえ、アスカ…どうしたら良いと思う?」

 

…あの時の僕の顔はきっと、とんでもなく情けない顔をしていただろう…

そして、アスカはしばらく悩んだ顔をして、僕にこう言った

 

「…そっか、まあ好きになっちゃったものはしょうがないわね…

で、あの手の女は、友達からってのは多分難しいと思うわ…

ましてやシンジ、アンタってアタシかヒカリぐらいしか女の子とまともに喋れないじゃない?

となると…やっぱり告白するしかないわねえ…

どのみちそのまんまの状態だと、アンタ破裂しそうじゃない?当たって砕けろよっ!!」

 

…そのアスカの言葉通り、結局僕は砕けてしまった…

でも、今は昨日ほどは哀しくないな…

きっとアスカに喋ってすっきりしたからだろうか?

で、そのアスカといえば気を使ってくれているのだろう…

今日はさっきからずっと喋りかけてこない…

けどそれにしては、何だか悩んでるのか難しそうな顔してるなあ…

とにかく今わかっている事は、僕は綾波に振られたって事…

そして、いつもアスカにアタックかけてる男の気持ちってやつが、痛いほどわかったって事…

にしても、とりあえず今日…綾波にあったら僕はどんな顔すれば良いんだろう?

こんな思いをするんだったら、

この想いは僕の胸の中だけにとどめておいた方が良かったのかもしれない…

でもあのままだったら、確かに僕の心は破裂していただろう…

あ〜どうすればよかったんだろう…僕は…

そして、これからどうすればいいんだろう?

綾波の事はきっぱりと忘れるべきかなあ…

でも、今は…無理だと思う…

けど…どうして…僕は綾波の事、好きなっちゃたんだろう?

そもそも、女の子は綾波だけじゃないのに…

相手がアスカだったら?委員長だったら?

や、やめよう!!そんな事考えても、どうしようもないもの

綾波の、あの表情に惹かれたのは事実なんだから…

とにかく今は、綾波に会ったらどうするかだよなあ…

 

 

 

piral ove

Written by まさひこ

 

econd piral〜

 

 

 

そしてシンジの危惧していた事は、

ふたりが無言のまま学校に到着した途端に起こった。

2−Aの下駄箱の場所で、靴を履き替えているひとりの少女。

すらっとした真白な足と対をなす黒いソックス…

シルバーの髪の毛…

その少女は間違いなく綾波レイ…

その姿を視界に捉ええた、シンジの足が一瞬止まる。

 

あ、綾波っ!? ど、ど、ど、どうしよう!!

 

そんなシンジを見て、アスカは一回小さくため息を吐いた後、シンジの背中を押した。

必然的にレイの側に寄ってしまうシンジ。

その音に気づいたレイが、視線をシンジ達の方に向ける。

交差する赤い瞳と、明らかにうろたえの色が見える黒い瞳…

そして、何処か哀しげな眼差しでそれを見つめる青い瞳…

そして時が、一瞬止まる…

 

な、何か言わないと…いや、いや言わない方が…いや、やっぱり…

 

シンジがどうしたらいいかわからずに、レイの側で固まっている。

そしてシンジが思い切って、レイにあいさつしようとした瞬間、

耳に届いたのは意外な一声…

 

「…あ、あや…」

 

「…おはよう…碇君…」

 

「…へっ!?…あ、ああ…お、おはよう綾波…」

 

「…わたし…先に教室いくから…じゃあ…」

 

そう言って、すでに内履きに履き替えていたレイは、相変わらずな無表情のまま

シンジ達の目の前から去っていった。

それを見ていたアスカが、シンジの肩を笑いながら叩く。

 

「ほらシンジ、やっぱり私が言った通りでしょ?全く脈が無い訳じゃないって…

そうじゃなかったら、アンタにあいさつなんてする訳無いじゃん!!

あの優等生がさあ…でしょ?

きっとアンタにいきなり告白されて、ビックリしちゃってさあ…

断っちゃっただけじゃないの、ひょっとしたら?

そう言えばさあ、今迄アンタ優等生に挨拶された事ってあったっけ?」

 

「…そ、そう言えば無かったかも…僕から声をかけても、返ってこなかった事もあったしなあ…」

 

「…でしょ?だからほら、元気出しなさいよっ!!シンジッてばっ!!」

 

「…う、うん…でも…やっぱり振られたのは事実な分けなんだし…」

 

「…ったく、ナニよ!!一回ぐらい振られたぐらいでさあ…

アタシなんか今までひとりの男を5回振った事があるんだから、そんな男に比べればアンタはマシよっ!!

まだ希望が無い訳じゃあないんだから…とりあえず、もう一回ぐらいはアタックかけてもいいんじゃないの?」

 

「…わ、わかったよ…わかったから、こんな話廊下でやめてよ…

にしても5回ってのはすごいね…その人よっぽどアスカの事が好きだたんだね…」

 

「…フンッ…好きでも愛ってのは、一方通行じゃ成り立たないのよ!!

にしてもアタシは嫌っていったら絶対嫌なのに、あの男ときたら…ホントッしつこかったんだから!!」

 

教室に向かうふたりの会話は、何時の間にかアスカの愚痴へと変化していた。

そのうち、ふたりはいつもの様に一緒に教室に入る。

そして、シンジの後ろ姿を見ながら、アスカは軽いため息を吐いた…

 

 

ホント…片想いは別として、愛ってものは一方通行じゃねえ…

まさかあの時、優等生がシンジに挨拶するとは思っても見なかった…

アタシは、相手にされ無かったシンジを慰めてあげようとして…

相手にされない?

それじゃあ、やっぱりアタシはシンジの恋がうまくいかない事を願ってるみたい…

確かにアタシの目の前で、シンジと優等生が側にいるだけで、アタシ何故だかいい気がしなかった…

無意識のうちにシンジの背中を押したのは、そういう想いが心のどこかにあったから!?…

でも、シンジには気を持たせるような事言っちゃったしなぁ…

シンジはシンジでやっぱ、優等生の事好きなのには変わり無いんだろうし…

で、もしも優等生がホントにいきなり告白されて、ビックリして断ちゃっただけだったら…

2度目はオッケイの返事って事!?

それともこのまま仲良くなっていくのかなあ…

あ〜、このままじゃアタシの方が破裂しそう!!

…ホント、どうしたらいいんだろう…

 

朝のホームルーム中、シンジはレイを、アスカはシンジを、そしてレイは外を見ていた…

うちふたりは、気づかれない様にたまにチラッと…残りのひとりは、いつもの様に…

 

 

グルグルと渦巻くふたつの想い

螺旋を巻くような乙女と少年の想いの行方は…

 

 

Next Third Spiral

 

Copylight 1997 まさひこ


次回に続く
ver.-1.00 1997-06/13公開
感想・ご意見・誤字情報などは こちらまで!

 まさひこさんの連載、『Spiral Love』Spiral Love公開です。
 

 後から慰めるために辛い目にあわせようとする・・・。
 ずるい計算。イヤな女。
 アスカ、自分自信への戸惑い。

 タイトル通りの心ですね。
 破裂しそう。
 

 アスカの中にいるシンジ、シンジの中にいるレイ。
 そのレイの中にいるのは??

 

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