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めぞんと菊地

引っ越し編

突然だが語らなくてはならないだろう、オレの名前は菊地啓一。はっきり言ってふつーの人間だ。
だが、ある事件がオレから平凡な暮らしを奪った。それは---------。






『ザワザワ』
ん?何だ玄関が騒がしいな。そう思いオレは二階に有る弟と共同で使っている部屋から降りてきた。
---その日は日曜日と言うこともあって、オレが起きたのはその騒ぎを耳にしてからだった。
『トントン、ギシッ』
       (きし)
古くなって時々軋んだ音を立てる階段を、寝間着姿のままオレは降りていった。
そして、階段を降りてすぐ左にある玄関のドアを、チェーンを外さずに開ける。
---ドアの向こうにあったのは。

大勢のレポーターだった、そしてその人達は口々にこちらに言葉を投げかけて来た。
『Hi.Good morning.』『What is your name?』『When did you win the prize?』

………………………………………………!?
本気で理解不可能な状況だった。どのくらい硬直していただろうか、
このままではいけないと思い片言英語を必死にレポーター達に話していた。
オレの記憶が確かならばその時は…………。
「あ、えーと。あーもぅ、どないせーいうんや?Wait a minutu!Please」
………こんなもんだっただろう。一言でこのときの気持ちを表現するなら。
最低だ、オレって。
だった、ともかくレポーターに”ちょっと待ってて下さい”と、
言ってしまった以上玄関で固まっている訳にも行かず、急ぎ階段を駆け上がり、
親のベッドルームのドアをノックする。

『ゴンゴン』
「ちょっと!母さん!!玄関に何や訳の解らん記者がいっぱい来ておるで!」
焦りのあまり露骨に方言が出ていた事も覚えている。ほんの少しだけ部屋の中で会話が聞こえて、
しかしすぐに何故かキチンとした服装の親が出てきた。その服装に疑問を持ったオレは母さんに尋ねてみた。

「ちょっ、何で、んなに格好えー服きてるんな?」
まだ方言のままであった。
だが、親は奇麗な標準語で返事を返した。
「ロトくじの一等が当たったのよ」
……………………………………………………!

あ、いや別に理解が出来なかった訳では無かったのだが………余りに突発的だったから。
「マジ!?いくらなん?オレにちょっとくれへん!?」
そのときのオレは口が勝手に金の要求をしていた。
…………大阪人てのは皆こんな奴だとは思わないで下さい。

「その事に付いては後で」
「旅行でも行きたいなーオレ」
お分かりだとは思うが、この言葉をオレは今、猛烈に後悔している。
「はいはい、なんぼでも好きなだけ言うとき」
母さんも大阪弁で喋っていた。
「引っ越し金の足しにでもしたらええやん」
「そやね、ほら今から取材を受け付けるから上の部屋から出たらあかんで」
「ん、分かった」

『トントン』
母さんは階段を降りて行き、取材を受け始めた。
この時のオレは部屋のプレステでFF7を必死こいてやっていた、ちなみにこのときの 目標は………
”必修!裏究極リミット技!!”
……だったと思う。


……………その晩の事だった。
円形の食卓を囲い弟に妹、そして親!
純和風の料理がひしめきあう夕食時で家の非常識な親は……今考えるとママレード・ボ◯イよりはましか。
ともかく親はこう言った。
「啓一?日本行きたい?」
オレはこの時ただの旅行の事かと思っていた。故にこう答え?しまった。
「うん、もち行きたいなー」
「ほんならな、第三新東京市の加持リョウジって言うおじいちゃんの
元部下に預かって貰うことに成るけど……それでも、ええ?」
この時におじいちゃんの事が会話に登っていたので説明するが、
興味の無い方はスペースキーでも押して下さい。

         (嘘)
家のお爺ちゃん……本名は川村啓蔵、世界中に支店を持つナイガイシャツの本社長だっ た人物で、
重度のニコチン中毒の為、胃癌にかかり手術後しばらくして死去。オレが一歳くらいの 頃だったらしい。
遺産は莫大の量だったが、大会社を経営をする限り多額の借金も存在した。
それでも、家の母親、その妹、そしてお婆ちゃんに分けるだけの余裕は存在した。
ちなみにオレにも会社の株と少量の金が残された…………が、
母さんの一六年来の夢、アメリカに渡ると言う夢に子供のオレが手伝わなきゃいけない 訳で。
遺産の一部………って言うか全てを母さんに貸した、けど帰って来ないだろーなぁ。
まぁ、とにかく家の爺ちゃんってのはそー言う人だった。







「ちょ、加持リョウジって誰やのんな!?」
「言うたやろ?お爺ちゃんの元部下やって」
「んな、信頼できる人なん?」
「そうや!少なくともあんたよりはな」
意地悪く笑う親。…………やってらんねぇ。
はっきり言ってこのときは成績不充分で苛ついていたので、冷静とは大きく掛けはなれ ていた。
「おう!分かったわ!とーきょうでも箱根でも何でも行ってやろうやないか!!!?」< BR>「ん、これで決定やね、あんたはどーするんや?」
今度はオレの隣に座ってひたすら飯をまずそうに喰う弟に問い尋ねる。
「日本には帰りたいけど、見ず知らずの人の迷惑に成るのは嫌やから」
魚の皮岸の色が違う身を選り分けながら、弟は喋っていた。
「良いって!オレ一人で、こいつがおったら迷惑やからな」
オレは捨て台詞を残し食事を切り上げた、
そして、六月一九日に学校が終了して夏休みに入り……………

オレは単身
第三新東京市に引っ越して来たのだった。







「えーっと、この場所で良いんだよな……」
オレの右手にはでっけぇトランクを、左手には…
ないすばでぇなお姉さんの写真を握っている。
だがしかし、待ち合わせのこの駅には人っ子一人いやしない。
「どーなってるんや?」
思わず、いやいつもの癖でさりげなくつぶやいてしまう。

『ボカーーーン』
「ナ、何だぁ!!?」
山の方向がキラリと光ったと思ったら急にこの爆音………
何なんだ?この街は!!
すると、そちらの方向から粉塵を巻上げながら突っ込んでくる青い物体。
…………
「車だ…………」
オレの表情は既に眉一つ動かない、震え?わたし怯えているの?
とか妄想が暴走していると一体時速何キロ出してるか分からない車が
オレの眼前でスピンターンをぶちかます!
「うおおお!かっこええやん!これ!」
何時の間にか身体が勝手に青い車に張り付いてしまっていた。
そんなオレをドライバーの人は………
いや表情は見えないのだが、確かに”引いて”いた。

『ガチャ』
車のドアが開くとそこからきれーな足!
ナイスな胸!
そして、ルックスも申し分なしの写真の人が出てきた!!

「菊地 啓一君ね?早く車に乗って!事情は中で………」
言われる迄も有りません!すでにオレはTake the carしていた。
「さぁ!出発っす!えっと……」
苦笑を浮かべながらその人はハンドルを握りポツリ言う
「葛城ミサトよん、宜しくね……、啓ちゃん」
「げ、ちょっちその呼び方だけは勘弁して下さい、ミサトさん」
「あら、何で?」
「いや、ガキの頃からそれでからかわれて来たから……」
「ふーん、オッケー!菊っちゃん」
そう言って目一杯アクセルを踏みつけ急加速をする!
「ふがっ!?ぬぐぐぐ、ミサトさん菊っちゃんでも変わらないよ、う、なはぁ!」
気力で言葉を紡ぐオレだが
オレは急加速から来るGでシートに押し付けられ、更に運の悪い事に
首がおかしな風に曲がってしまっているのだった。
「さー、飛ばすわよん!!!!」
「のっきゃあああああああ!!」

-----車は山の方向へ走っていた。



「着いたわよ、ほら起きなさい。長旅で疲れているのかしら?」
深い闇の底が大きく揺れオレの意識は明るい所へと出た。
「う、ここは?」
「お目覚めのようね、菊地君」
「ミ、ミサトさ………ん…」
オイラの視線はつ?「!つい勝手にオレに覆い被さる様なミサトさんのある一点へと降り て行く。
はぁ、やっぱ俺って最低だ。か………。
「ん、良かった元気みたいね」
はっきり言うと首がひたすら痛いのだが、敢えてその事には触れず話しを進める。
「ミサトさん?ここは?」
「ん?ここはねぇ………」
ミサトさんはにんまりと笑い勿体つけた言い方をする。

「めぞんエヴァよ」
オレの遥か前方から抑場のない声が飛んできた。だれやろ?
「リツコ!あんたねぇ!」
ずかずかとリツコとか言う人に歩み寄るって………おひ。
何だあれは!!?金髪に白衣だよ………キっつーー。
そしてミサトさん達の会話に耳を傾けるとこれまたキっつい会話である。

「あんたが実験でミスしたりするから迎えに行くの遅れたじゃなの!」
「あら、実験に失敗は付き物って事、知らないの?」
「そーいう問題じゃない!あの子が死んだらどう責任取るつもりだったのよ!?」
「大丈夫よ、私の調べによるとあの子、大阪人だもの」
「それがどー関係あんのよ!?」
「未だ分からないの?いいこと?大阪人が持つ潜在能力の一つ、
他人のボケに対する見事なツッコミ神経があの爆光を見た瞬間に働き
いわゆる『ここわ日本やねんぞー!』が作動したからよ。」
「んな訳あるかーーー!!」
気が付くとオレは叫んでいたのだった。

「ね」
「おひおひ、処でリツコってさぁ何の研究してる訳?」
その返事は無かった。関係無い事だが。
だが何時までも黙り込んで居る訳にもいけないし、おし!
「あの〜、ここに加持リョウジって言う人が居るって聞いて来たんですけど」
「加〜持ぃ〜〜?」
のわっ!?な、何だ今のミサトさんの目は?とは言え返事をしなきゃな。
「ええ、家の爺ちゃんの元部下だって、聞いてますけど」
すると益々ミサトさんの目はギラギラと輝き始める。
かと言って、何だ、そうリツコと言う人の方は冷静である。何だ?この二人は?
「ま、いいわ取り敢えずその加持に挨拶してきて」
ミサトさんはため息をしながら、しかしどうやら心の方は落ち着きを取り戻した様であ る。
しかし、
「あの〜加持さんって何処に居るんですか?」
それすらも聞いていないオレにどーしろと言う?
この言葉を聞いた二人は『ああ、そうか』な表情である。まったく。
「リョウ君なら管理人室に居るはずよ」
リツコさんが言う。
「管理人室?それも何処に有るんすか?」
「案内してあげる、着いて来なさい」
クールな声で言い放つとくるりと背中を向けるリツコさん。けっこー親切な人なんだ。< BR>見た目とは裏腹に。

んで、オレはめぞんの玄関を通り抜け、板張りの廊下を歩き。裏庭に出た!
何故………。
「こっちよ」
オレが疑問に思っていると、しかしリツコさんは歩みを止めようとはしない。
「えっと、そっちは山の中に入る道じゃ?」
「いいのよ、さっき通った零号館はもう一杯っだから。
ちなみに初号館は大家がラスベガスで当てた金で作ったのよ。何か質問は有る?」
ふーんここの大家さんて運が良いんだ。
「何か質問は有る?」
静かな口調の中に恐怖を感じ取ったオレは急いで何かを喋ろうとする。
「そ、ほんなら何で初号館に向かってるんですか?普通、管理人室は入り口の近くに有 るはずやし。」
こーいう時にペラペラと喋れるのはオレの特技の内だな。
そしてリツコさんの返答も早かった。
「ああ、簡単な事よ、リョウ君はね滅多に管理人室に居ないから
直接彼が勝手に作った畑の方へ向かっているのよ」
いや、知らないオレにとっちゃ全然当り前でも簡単な事でも無いんだけどなー。
「んじゃ、下世話な質問っすけど………いいっすか?」
「…………取り敢えず、聞いてあげるわ」
「ほんなら、えー、このめぞんに可愛い女の子はいますか?」
おや?返事が無い、いや。
「ま、ちょっと言い辛い事だけど……大家のお気に入りの惣流アスカって子が居るわ」
暫しのあいだを開けて帰って来た。
…………………?
大家のお気に入り!? 「リツコさん、大家さんってばお幾つで?」
いや、ひょっとして、いやまさか?
「知らないわ、でもアスカの方は十三歳だったと思うけど」
そっち系!?お、オレはとんでも無い所に越してきたのかも知れない。
すると、リツコさんが足を止める?
「着いたんですか?」
「いえ、ただ噂をすればなんとやらね」
ん?オレは先程からのリツコさんの視線の方向へ顔を向けて見る。

「こんにちはー!ねぇ?リツコその人誰?」
やたらと元気の良い声が響いて来た。感覚的に女の声なのだが、オイラは大人しめの子 が好きなのだ。
しかし!次の瞬間オレの目の前に現われたのは!!!

女神、陳腐な形容の仕方だが、そうとしか言いようの無い女の子だった 。
「ねぇ、リツコってば誰よ?その人」
暫くの間、オレは硬直状態をKeepするのであった。
この時オレは何故大家さんが傾くのかが理解できた。


こりゃ、男なら絶対になびくぜ。………って言うかなびかなきゃ男じゃ無いね、多分。< BR>これからのアパート暮らし、楽しく成りそうだぜ。

くっくっくっく、悪人かなぁ?オレ?



続くんだな、これが!

感想・質問・誤字情報などこちらまで!



後書き文書

菊地「どーも!この度は腐った菊地の小説におつきあい頂き有難うございます!是非感 想メールを!」
D「死ね!自ら作品に出る様な鳥◯明の様な貴様は!」
菊地「そーか、んなら死なして貰うわ」
D「な、えらく物わかりが良いじゃないか?」
菊地「ふ、男にはなぁ、覚悟を決める瞬間ってのが有るんだよ」
D「ウム、じゃあな」
菊地「ああ、良い夢見させて貰ったよ、ママ」
D「トッド・ギネスの真似やってるんじゃなーい!」
こだわり菊地「違うだろ!こー言う時はこう言うんだよ!
これが良い夢の筈が無い!ってな」
ぶち切れD

「ザンボット!ムーンアタック!」
『シャキーーーン』

菊地「ひでぶ!!」
D「ところで菊地、この小説は一体なん何だ?」
切り目の付いてる菊地「みゅーん?きょの小説のきょとー?」
D「そうだ!この小説は殆どフィクションじゃないか!?」
菊地「そりゃそうだ。誰が真実をしっかりと書くか!」
D「じゃあ、フィクションとノンフィクションの見分け方は!!?」
菊地「文章のリアリティ具合かな?」
『ニヤリ』なD「オッケー、サイコ具合をチェックすりゃ良いんだろ?」
ノリボケ菊地「ちっがーーーう!!・…むしろ!」
D「むしろ、何だ?」
菊地「メトリー具合を見てくれー!!!」←(EIJI、読んでますか?)

        (あまかけるりゅうのひらめき)
D「貴様が見ろ!天翔龍閃!!
死菊地「ニー如きに討たれると言うのか!!!?」
D「貴様は覇王(ドレイク・ルフト)の器では無い!!」
滅菊地「ぎゃあああ!!今です、女王!浄化を!!!」
『ぐはぁ!』
D「それでは、失礼致しました」
安息の菊地「まったねーーーーーー!」

緋色の幕が引かれて-------------やがて『貴様はショウ・ザマか!?』と声がして、 血飛沫が舞う。

PS:『壊れた人形』の方はシンジとアスカの心理描写にてこずっています。
が、なんとか仕上げてみます!(最近は後書きのネタも切れて来たっす)






7/17/97


07/18公開

 菊地さんの『めぞんと菊地』、公開です。
 

 めぞんEVAにやってきたのは作者本人の菊地さん。

 いきなりミサト運転の洗礼を受けて、
 リツコの風体に度肝を抜かれ、

 そして、
 アスカに骨抜きに・・・

 正に「めぞんEVA」にやってきた男の典型(^^;
 

 さあ、訪問者の皆さん。
 小説の中でもめぞんにやってきた菊地さんに感想メールを!


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