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シンジ達のとある一週間

第5日目 其の弐

Today is the day of departure.
And comers were amusing.

「ミサトさん、父さんの会社にいたんじゃないんですか?」

「リストラよ。で、今は、ここで働いてるの。」

「ミサト、シンジに手を出したらただじゃおかないわよ!」

「あらアスカ、あなたも相変わらずシンちゃんのことが好きなの?」

「悪いかしら?」

「べーつにぃ。」

なんだかミサトは不気味なほほえみを見せた。

ちなみに、この車の中は、

    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
   | ミサト | マヤ  | ユイ   |荷|
 前 |     | リツコ | ゲンドウ | | 後
   | シンジ | アスカ | リョウジ |物|
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
となっている。シンジは強引に助手席に乗せられたことを付け加えておこう。


「アスカ、シンジ君とはうまくやってるの?」

リツコが聞く。

「もちろん、うまくいってるわ。」

「シンジ君はもてるからなぁ。」

「加持さん、からかわないでくださいよ。」

「あらあら、シンジも照れちゃって。」

「か、母さんまで・・・」

「ちょっと、ミサト、あんた運転中にシンジ君に手を出すのやめなさいよね。」

「分かってるわよ、リツコ。」

「ははは・・・・・」

苦笑いのシンジ。

(そう言えば、ミサトさんってこんな人だったんだ・・・・)


そうしているうちに、車は高速道路に入っていく。

スピード狂のミサトにとって天下である。

「みんな、飛ばすわよぉ!」

そう言うとミサトはぐっとアクセルを踏んだ。

「み、ミサトさん、少しは押さえて・・・・」

シンジは言うが、もう、ミサトの目は変わっていた。

「こうなったら誰にも止められないわね。」

「リツコさん、そんなこと言わないで何とかならないんですか?」

そう言っている間に、車のメーターは180kmを超えている。

「うう、気持ち悪い・・・・」

「シンジ、大丈夫?」

「あ、アスカぁ・・・・・うえっ!」

いかにも吐きそうになるシンジ。

(逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ・・・・ でも、本当に気持ち悪い・・・・・)

そこに、アスカがいう。

「ちょっとミサト、止まりなさいよ!」

しかし、ミサトは何もしない。イッてしまったようだ。

「しょうがないわね。」

というと、リツコはなにやらポケットから出した。

そして、それをミサトの首筋につけた。たぶん、怪しい発明品だろう。

「ひゃっ!り、リツコ、何するのよ!」

ミサトは正気を取り戻した。

「やっと気が付いたわね。シンジ君が酔ったみたいよ。」

横を見るミサト。苦しそうなシンジ。

「じゃあ、ちょっちまってね、そこのサービスエリアに入るから。」

そして、車はサービスエリアに入るのである。


「シンジ、大丈夫?」

「うん、外の空気を吸ったらだいぶんよくなったよ。」

「ミサト、あんた運転変わりなさい。」

「どうしてぇ?」

「シンジがこんなになっちゃったからよ!」

「じゃあ、私が運転します。」

そう言ったのは、マヤだった。

「その方がいいわね。5年間無事故無違反だから。」

そして、トイレ休憩を済ませ、5分後、再び車は出発するのであった。


今度の車の中は、

    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
   | マヤ  | シンジ | リツコ  |荷|
 前 |     | アスカ | リョウジ | | 後
   | ミサト | ユイ  | ゲンドウ |物|
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
となった。


「シンジ、大丈夫?」

「うん、僕は大丈夫だよ。」

「おばさま、あとどのくらいで着くんですか?」

「確か、あと1時間くらいだったと思うわ。」

「マヤぁ、もうちょっと飛ばしなさいよ。」

「いいえ、いくら葛城さんの頼みでもこれだけは譲れません!」

「そうよ、ミサト。シンジがまた酔ったらどうするのよ。」

「はいはい、分かりましたよ。」

そう言うとミサトは黙ってしまった。そのうち、寝てしまった。

「ミサトさんはこの方が静かでいいや。」

「そうね。」


そうしているうちに車は旅館の前に到着する。

玄関には旅館の主人、冬月コウゾウがいた。

「冬月先生、お久しぶりです。」

「そうだな、碇。」

「先生、今回はありがとうございます。」

「お、ユイ君。どうだい、生活は?」

「ええ、毎日楽しいですよ。」

「おや、シンジ君だったかな。」

「はい、久しぶりです、かな?」

「そうか。覚えてないもんな。」

「最後にあったのが9年前ですからね。覚えてませんよ。」

「おや?この子は?」

「隣の惣流さんの娘さんですよ。ほら、あのキョウコの・・・・」

「ああ、あのキョウコ君の娘さんか。」

「初めまして。アスカです。」

「こちらこそ、初めまして。それより、また彼女は研究か?」

「そうです。アメリカに行きましたよ、去年。」

「彼女も相変わらずだな。」

「先生、早く中に入りません?」

「そうだったな、忘れてたよ。」

みんな笑い出す。

「葛城君、案内してあげなさい。」

「分かりました、こっちです。」

ミサトは碇家一同を部屋に案内した。

「えっと、お父さん達はこっち。シンちゃん達はこっちよ。」

「どうして別々なんです?」

「今日は貸し切りだから部屋はいくつもあるのよ。だから、

一部屋に4人よりも、二人ずつの方がいいでしょ。」

「シンジ、よかったわねぇ。アスカちゃんと一緒で。」

顔を赤くするシンジ。”一緒”という言葉がきいたらしい。

「あらあら、シンちゃんったら照れてるのぉ?」

「み、ミサトさん、からかわないでくださいよぉ・・」

「もう、かわいいんだから。じゃ、よろしく。」

というとミサトは去っていった。

「じゃシンジ、あとでね。」

ゲンドウとユイは部屋に入っていった。

「ぼ、僕達も入ろうか。」

「そうしましょ。」

そして、二人も部屋に入った。


「うわー!」

「ひろーい!」

これが部屋に入ってからの最初の言葉だった。

8畳の間が3つ、4畳半の書斎と

あとは檜風呂に広めのトイレと至れり尽くせりの和風の部屋だった。

「これだったら4人で一部屋でもよかったのに。」

「そうね。でも、貸し切りだからいいんじゃない?」

「アスカ、今からどうしようか?」

「そうね、ここの中をまわってみる?」

「そうだね。」

そう言うとシンジは電話をとって隣の部屋にかけた。

「あ、母さん、僕達はこの中を回っているから、うん。わかった。」

シンジは受話器を置くと、

「アスカ、あと30分ぐらい時間があるから、その間にしておきなさいって。」

「じゃ、いきましょ。」

そして、二人は部屋を出た。


玄関の方へ歩いていきながら、

「アスカ、誰かに頼もうか?」

「何を?」

「案内役。だって僕達だけじゃ分からないから。」

「そうね。そうした方がいいかもね。」

そうしていると、玄関に着いた。

「すみませーん、どなたかいますか?」

「はーい。」

といって出てきたのはリツコだった。

「あら、シンジ君、何か用?」

「あの、この中をまわってみたいんですよ。だから、案内を・・・」

「じゃあ、ちょっと待って。」

というとリツコは奥へ戻っていった。

そのかわりにマヤが出てきた。

「じゃあシンジ君、アスカちゃん、行きましょう。」


地下へ降りる階段のところで3人は止まった。

「ここは?」

「この階段を下りると、ワイン倉になっているのよ。ちなみに名前は

”ターミナルドグマ”って言うのよ。どうしてか知らないけどね。

ここには本当にたくさんワインがあるのよ。でも、管理者がちょっと・・・・」

「誰なんですか?」

「葛城さん、なのよ。」

「「ええっ〜!」」

「それってまずいんじゃないんですか?」

「そうよ、どうしてミサトなんかにここの管理をさせるのよ!」

「大丈夫よ、二人とも。管理といっても見張りみたいなもので、

先輩のキーがないと取り出せないのよ。」

「もしかして、そのワイン倉を作ったのはリツコさん?」

「よく分かったわね。」

「分かりそうなもんだわ。」

「じゃ、次行きましょ。」


次に、3人はゲームコーナーらしきところへ来た。

お約束(?)の卓球台、雀卓がある。

しかし、ここにはほかの旅館になさそうな物があった。

ビリヤード台である。

「マヤさん、どうしてこれがあるんです?」

「私たちの息抜きよ。」

「ということは、みなさん出来るわけですか?」

「そうね。一応は。でも、一番強いのは先輩よ。」

「あのリツコさんが?」

「なんだかうち方が怪しいんだけど。」

「確かシンジも結構出来たんじゃない?」

「そんなことないよ。でも、昔、父さんに教わったことはあったなぁ。」

「じゃ、今夜しましょ。」

「そうね。それがいいわね。」


最後に、浴場の前に来た。

「ここが大浴場。そして、この大浴場の奥には露天風呂もあるわ。」

「へえー、すごいのねぇ。露天風呂まであるの。」

「アスカは露天風呂好きなの?」

「そうよ。だって、景色がいいじゃない。」

「あれ、誰かいるみたいだけど・・・・」

「ああ、掃除しているのよ。今は準備の時間だから。」

中で掃除しているのはもちろん、男二人組、

ロンゲの兄ちゃんとめがねの兄ちゃんである。

名前はあえて言わないでおこう。

「なあ、何で俺たちがこんなことしなきゃいけないんだ?」<ロンゲ

「俺に言われても困るよ、葛城さんの命令だから。」<めがね

「確かに、給料下げられたら困るからなぁ。」<ロンゲ

こんな会話をしていた。

「シンジ、そろそろ時間じゃない?」

「あ、本当だ。マヤさん、ありがとうございました。」

「私はいいのよ。それより、部屋には向こうの方からいけるから。」

「はい。」

そう言うとシンジとアスカはその方向に歩き出した。


第5日目 其の弐 終


次回に続く

ver.-1.00 1997-03/31

ご意見・感想・誤字情報などは syuhei@nerv.toまで。


あとがき

アスカ:なんだか今回はしゃべってる人が限られてるわねぇ。

シンジ:そうみたいだね。だって、父さんと加持さんなんか
    ほとんどしゃべってないから。

ミサト:別にいいじゃない、私とシンちゃんのシーンなんかも多かったから。

シンジ:ミサトさん、もうあんな運転しないでくださいよ。

アスカ:分からないわよ、この女は。

ミサト:アスカ、あんたそんなに私を信用してないの?

アスカ:当たり前よ!それより、シンジから離れなさいよ!

ミサト:私は離れたくないわ。シンちゃんは?

シンジ:僕は・・・そう言われても・・・・・

アスカ:あーもう、シンジはあたしのものよ!あんたなんかに
    渡してたまるものですか!返しなさいよ!

ミサト:いやよ、これは私のシンちゃんよ!

シンジ:痛い!痛いよ二人とも!やめてよ!

アスカ:あ、シンジ、大丈夫?

ミサト:ごめんね、シンちゃん。

シンジ:もういいですよ。僕はもう向こうに行きますから!

アスカ:あーあ、怒らせちゃった。ミサト、あんたのせいよ!

ミサト:何よ、アスカが引っ張るのが悪いんじゃない?

アスカ:ぬぁんですって!

そのあと、二人はシンジが止めるまで戦い続けたのであった・・・・



 [Syuhei]さんの『シンジ達の一週間』第5日目其の弐、発表です!

 出ましたね! ミサトさんの命知らず、同乗者殺しの運転が!!
 私もあの車には乗りたくないぁ・・マヤちゃんの運転ならいいけど・・・

 アスカもミサトも遠慮なくやり合っていて楽しいですね!

 でも、シンジ君はアスカと同室・・・それも二人きりで・・・・・
 ヤバイんじゃないでしょうか・・・・・

 止める人はいないのか?
 それとも、「シンジは何もできない」となめられているのでしょうか?

 シンジ、男なら行け!!(笑)

 読者の皆さんもSyuheiさんに応援を!!


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