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めぞんEVA投稿 第6作目

しんじとら

第2章 「がみん様」

Written by Helo




 ここは、某 工事場。

 今、恐ろしいものが掘り起こされようとしていた・・・・




 僕は、スポーツ新聞を見て驚いた。


 「妖怪出現・・・工事現場に現れた怪しい影が!?」

 これって・・・

 これってひょっとして・・・


 「なんや、己は固まりよってからに。」

 僕に取りついている馬鹿妖怪はそう言った。


 「トラ、お前さぁ・・・工事現場に行っただろ?」

 僕は思いっきり疑った調子でトラに聞いてみた。

 「なんやと、わいはそんなけったいな所いっとりゃせんわ。」

 トラは僕に反論した。

 僕は、新聞を見せて言った。


 「ほらここ。妖怪・・・怪しい影・・・これってどう考えてもトラじゃないか・・・」

 「己はわいのことをうたがうちゅうか?」

 「うん。」

 僕は即答した。

 「もうおのれ事なんて知りゃせんわ。」

 トラは捨てぜりふを吐いて、どこかへ走っていった。


 こうしてかなり強引な展開で僕とトラは離ればなれになったんだ。



 「ごめん、レイ。今日は一緒に買い物いけそうにないわ。家の父さんが入院しちゃって・・・浮気中に、倒れちゃってさぁ・・・・」

 アスカは電話口でレイに言った。

 「いいって、別に。じゃあさ、今日は1人で行くね。」

 「うん。ホントにごめんね。」


 こうしてレイは1人で買い物に行くことになった・・・


 1人で、街をうろうろしている。


 「ねえ、彼女。今、暇?」

   また来た・・・

   ナンパだ・・・


 「ごめんなさい。あなたのことタイプじゃないの。」

 レイはその一言で今日、今日3回目のナンパをくぐり抜けた。


 「・・・ふぅ。ちょっと疲れちゃったな・・・。碇君が隣にいてくれたらいいのに・・・」

 レイは、歩きながらそうつぶやいた。





 そんなレイを見つめる影が3つ。


 1つはトラだった。

 「わい好みの女や。しかも、ありゃシンジの女の1人やったはずや・・・。わいがいただいちゃるわ。シンジの悔しがる顔が見えよるようやて・・・。」

 トラはレイと距離10メートル位の所で姿を消して、レイのことを見つめていた。



 それよりも問題なのは・・・

 残りの二つの影だった。

 「わしらをあそこに閉じこめた女によく似ているだぎゃ。」

 「大王様・・・あの女に間違いないだぎゃ。」

 「やるだぎゃ。」

 「やりますだぎゃ。」

 「とりあえず、ケッタを盗んでくるだぎゃ。」

 「盗んできますだぎゃ。」

 この二つの影・・・

 これこそが、工事現場で掘り起こされ、また目撃された怪しい影だった。




 シンジは、噂の工事現場の所へ行っていた。



 「ここがトラが目撃されたってとこかぁ。」

 僕は、辺りを見回してみた。


 変わったおじいさんが、工事関係者に何か言っていた。

 僕は、そっちの方へ歩いていくことにしたんだ。


 「・・・お主らのせいで「がみん様」が目覚めたのじゃ。どうしてくれるのじゃ。」

 おじいさんは、そう言った。

 「そうは言ってもなぁ、爺さん。ここには今度新しいビルが建つんだ。俺達は、依頼された通り工事をするだけだからなぁ。ま、忙しいから向こうに行ってて下さいよ。」

 工事関係者の中でも、結構偉そうな人がそう答えた。

 おじいさんはおとなしく帰っていった。


 僕は、何だかその老人の言っていた「がみん様」のことが気になって、おじいさんを追いかけた。


 「あ、あの、すいません。・・・さっき話していた「がみん様」っていうのは?」

 僕は、おじいさんに聞いてみた。

 おじいさんは目を輝かせて聞かせてくれた。


 「あれは、ずいぶん昔のことになるのじゃ。あの時わしはすでに老人じゃった。わしは、あの場所で1人の霊媒師と、2匹の妖怪の戦っているのをみたのじゃ。」

 「妖怪ですか?」

 僕は尋ねた。

 「若いの・・・妖怪はおるんじゃ。本当じゃ。わしは見たんじゃ。」

 僕は、トラの事を思い出した。

 工事現場で目撃されたのは多分トラじゃなくてその「がみん様」ってやつかも・・・

 だとしたら、トラに悪いことをしたな・・・

 後で謝っておかなくちゃ・・・嗚呼、また殴られちゃうんだろうな。



 「若いの・・・人の話を聞いておるかのお?」

 「は、はい。聞いていましたよ。で、そのがみん様ってどんな妖怪なんですか。」

 おじいさんは少し言うのをためらってから言った。

 「・・・宇宙から来た妖怪じゃ。しかも胴体が無くて、顔だけしかないんじゃ。」

 「・・・顔だけですか。」

 「わしはのぉ。この人が、「がみん様」を封印するのを見たんじゃ。」

 おじいさんは、そう言ってうれしそうに一枚のブロマイド写真を胸元から撮りだした。


 「・・・あ、綾波・・・」

 僕がそこで見たのは、綾波によく似た女性だった。

 髪の色なんかは全然違っているけど、なんと言えばいいだろうか・・・雰囲気がそっくりなんだ。


 「もし、復活した「がみん様」が、この人を見つけたら・・・間違いなく復讐をするじゃろうて・・・」

 おじいさんはそう言った。

 僕の顔色が変わる。

 綾波が危ない・・・


 僕は、綾波の家に電話した。

 綾波に、家の外からでないように言うために・・・

 だけど、綾波はもう街に行った後だった。 

 僕は、急いで街の方へ向かった。

 右手には、ケダモノの槍をしっかり持って・・・




 「行くだぎゃ。」


 なんや、あれは?

 わいは、そのけったいなもんを見ながら思うたんや。


 自転車にのってはるようやけど、足、届いてないで。


 まあ、どう見ても妖怪の様やなぁ。




 おい、わいの女に手を出し取るやんけ。 

 こりゃ止めなあかん。

 わいは、そのけったいな物体に向かって行った。


 「きゃー。」

 わいの女は、叫びよった。

 わいの女に手ぇ出すなんて、ええ度胸しとるやないけ。


 「またんかい、われ。」

 女はわいの方を見ている。

 わいの勇姿に惚れたんやな。

 わかるでぇ、その気持ち。

 それにこのキャップや。今日のは、阪神優勝時の記念キャップや。

 こりゃ、惚れなおかいしいわ。


 「なんだぎゃ!?怪しい関西弁だぎゃ。」

 「邪魔する気だぎゃか?」

 顔だけの妖怪は、口々にそう言ったんや。

 うるさいやっちゃなぁ。

 まてや、こいつらの事、わい見たことあるで。

 たしか・・・


 「己らの方が怪しい名古屋弁やないか。その名古屋弁・・・己ら確か・・・・」

 わいがそう言いかけた時、遠くから声が聞こえたんや。

 わいの今、最も聞きとうないヤツの・・・


 


 「綾波〜

 僕は、綾波の姿を確認するとそっちの方にかけていった。


 妖怪に反応してだんだんEVAになっていく。

 まずい・・・綾波に見られる。

 僕は、まずいと思いながらも綾波のことが心配で走るペースを変えなかった。

 幸い、綾波は僕の変身を見ていなかったようだ。


 「誰?」

 綾波は聞いてきた。

 

 「・・・な、なぞのエヴァンゲリオンさ。べ、別に怪しいものじゃないよ。」

 僕は、そう答えた。

 確かに、自分で自分のことを「なぞ」って言ってる所が謎だ。

 どう考えても怪しい。


 けど、綾波は「怪しいもんじゃない」の一言で納得してくれたみたいだった。

 少なくとも僕にはそう見えた。


 「ごめんなさい、私こういうときどういう顔をすればいいのかわからないの・・・。」

 綾波は言った。

 どうやら、まだ納得してくれていたわけじゃないみたいだ。


 「お前も何者だぎゃ。」

 僕は、そのときはじめて「がみん様」を見たんだ。






 ・・・・ニコチャン大王!?

 僕は、「がみん様」の姿に見覚えがあった。

 まるで、ピッコロ大魔王の頭に手と足をくっつけた様な風貌。

 なのに、靴を履いている。

 ニコチャン大王の隣にいるヤツは、眼鏡をつけていた。

 どうして!?

 ペンギン村にいたはずなのに・・・






 がみん様はどう見ても、ニコチャン大王にしか見えなかった。

 名古屋弁だし・・・

 絶対、ニコチャン大王だ・・・


 僕は信じられないものを見たのかもしれない・・・


 トラは自信満々に言った。

 「己、「ニコチャン大王」やろ?」

 ニコチャン大王は顔を真っ青に・・・いやっ最初から真っ青だったけど、さらに青くして言った。

 「なんで、それを知っているだぎゃ。」




 僕は、その15秒後にはニコチャン大王と家臣・・・もとい、がみん様を倒していた。




 ニコチャン大王は、地球を征服するために来ていたそうだ。

 僕は、地球の平和を守ったんだ・・・・




 そして、EVAの姿だったのがもとの僕の姿に戻った。

 これで、一件落着・・・・

 じゃなかった。



 「碇君・・・・」

 もとの姿に戻るときは、しっかり綾波に見られてしまっていた。

 ま、まずい・・・

 いいわけを考えなきゃ・・・

 ・・・・

 ダメだ・・・


 「碇君が、この間私達を助けてくれたのね。」

 「へっ!?」

 「ほら、この間の旧校舎での事件の時・・・」

 あっ、ああ、なるほど。あの時のことか・・・

 「う、うん。」

 僕は、ばれてしまったので本当のことを言うことにしたんだ。


 トラとの出会いのことから今までのことまでを。


 「で、トラ君って何処にいるの?」

 綾波は僕に聞いた。

 「トラ、姿見せてよ。」

 僕がそう言ったら、トラが隠れ蓑ジャージを脱いだ。



 「キャー

 トラが脱いだのはズボンの方だ。

 綾波はもろにトラの物をもろに見てしまって叫んだ。


 
 「わるかった。ほんのジョークや。」

 トラ・・・お前って見た感じ人間なんだからさ、それって変態だよ。


 綾波は、気を取り直してトラにいった。

 「・・・さ、さっきはありがとう。危ないとこ助けてくれて・・・ハ、ハンバーガーでもご馳走しようか?」

 「わいは己が食べたいわ。」

 ゴン

 僕はトラの頭を殴った。

 トラが気絶した。



 その様子を見ていた綾波が言った。

 「碇君。碇君の正体は絶対アスカに言わない方がいいわ。この間、裸を見られたことで相当怒っていたもの。それに、彼・・・本当の変態みたいだから。」



 つまり、アスカにばれたら僕もトラも殺されるってワケだ。

 僕は、元々正体を誰にも言うつもりはなかったけど、絶対アスカには内緒にしておかなくちゃって気になった。

 「あ、綾波・・・アスカには絶対に内緒にしていてよ、お願いだから。」

 僕は綾波に頼んだ。




 綾波はニコって微笑んで言った。

 「これから、私の買い物につき合ってくれたらね。」



 トラはその時まだ気絶したままだった・・・



 そして、僕はその後綾波の買い物につき合うことになったんだ。

 今度こそ一件落着ってね。



次回 ---> しんじととら 第3章 自称・中国から来た男


ver.-1.00 1997-05/16公開
ご意見・感想・誤字情報などは kitahiro@mars.dtinet.or.jpまで。

■あとがき■

 どうも、Heloです。

 今回は、全て記憶頼りの「確かこんな話だった・・・」って話を再現してみました。

 ぼ、暴走してますね・・・

 ところで、僕より若い世代って、ひょっとして「ニコチャン大王」を知らないのでは?

 というわけで、簡単な説明です。

 ニコチャン大王 -> ピッコロの顔に手足がついてた、怪しい名古屋弁を話す宇宙人。「ドクタースランプ」に登場していました。(つまり、鳥山明のドラゴンボールの前の作品ですね) ちなみに「ケッタ」って大学の友達で、愛知出身の人が自転車のことをそう言っていたので使ってみました。名古屋人ぽいかなぁって。

 ついでにがみん様も説明します。

 餓眠様 -> これは、落ち武者の顔みたいのが空を飛んでました。「うしおととら」の2巻に登場したはずです。 ニコチャン大王との接点ってほとんど無いですね。あると言えば、顔だけって事でしょうか。

 最後になりましたが、感想待っていますね。それでは。

Helo


 Heloさんの連載、『しんじととら』 第弐章、公開です!

 こうして「うしおととら」の話しを改めて読むと、
 いかに自分の記憶がいいかげんかを思い知らされます。
 前回の石鎧も、今回の我眠さまもちっとも姿を思い出せません(^^;
 ストーリーは「ああ、そうそう」と言う感じで浮かんで来るのですが・・・

 雷神&かがりの鎌イタチ兄妹ぐらいですと姿も分かります。
 早くそこまで進んで欲しいなぁ・・(^^)

 ニコチャン大王・・・
 頭にお尻があってその横に鼻がある、
 おならをするとのたうち苦しむ宇宙人でしたね。これも懐かしいです(^^)

 大阪では自転車を「チャリ」と言います。どうでもいいか(^^;
 

 夜中にコメントを書いているものですから文脈ばらばらです(^^;
 

 訪問者の皆さん、
 貴方は我眠さまの姿を思い浮かべる事ができましたか?
 貴方はニコチャン大王を知ってましたか?
 貴方の出身地では自転車のことをなんていいますか?
 Heloさんに教えてあげて下さいね!

 

 それにしても、浮気中に倒れたアスカパパ・・・・
 ・・・何してたんだ? って愚問か(笑)
 子供にばれてるし・・・・ぐれないでね、アスカちゃん(^^;


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