めぞんEVA投稿　第４作目

しんじととら

第１章　「服喰い」　其の壱　「旧校舎に現る」

Written by Helo

　「なんでや。」

　『ジャイアンツがタイガースにこれで負け無しの９連勝です。まず松井のバッティングを見てみましょう』

　「オンドリャァァァァ・・・・」

　『それでは、この松井のホームランを、ここでもう一度江川さんの解説をふまえて、見てみましょう。』

　「・・・ァァァァァァァァァ」

　バシ

　僕はその「バシ」って音で目覚めた。

　朝の７時２０分頃だった。

　その後、バシバシって音はずっと続いている。

　一体何があったんだ？

　僕は下に降りていった。

　「なんだっていうんだよぉ。」

　「あぁーーーーー」

　僕は叫んだ。

　僕の見たものは、テレビを殴っているトラの姿だった。

　「何で阪神が弱いねん。わいのしっとる阪神は、バース・掛布・岡田・・・・こんな弱ないで。あの優勝下の時の強さは何処いったちゅうねん。」

　「こ、こ、このバカ妖怪！！家のテレビに何をするんだよ！！」

　僕はそう言って、僕はトラをどついてみた。

　「なんや、己は痛いやないかい。」

　トラとの生活の始まりの日の朝だった。

　僕は「ケダモノの槍」を持って学校に登校していた。

　トラは今、「隠れ蓑ジャージ」を着ているらしく普通の人間には見えてないらしい。

　「よお、シンジ。何変なもの持っているんだ？」

　クラスメートでバスケ部の赤木君が、僕に話しかけてきた。

　赤木君は、中学生なのにもう身長が１８９cmもあった。

　みんなから「ロリ」って言われていた。

　僕は、上を見上げて話した。

　「これ？父さんに留守の間持っててくれって頼まれたんだ。」

　僕はそう言った。

　「そうか。シンジの親父さんってマッドで先生たちの間でも有名だからな。」

　赤木君はそう答えた。

　小さい声でトラが僕に話しかけた。

　「何嘘ゆーてんのや。」

　僕は槍でトラをどついた。

　ちなみに今、トラは僕に取りついているらしい。

　らしいというのは、僕の想像していた取りつき方と少し違うからだ。

　普通、「とりつく」っていうのと、「おんぶ」は違っていると思う。

　これじゃ、「こなきじじい」だよ。

　普通の人には見えないらしいけど、僕がトラをおんぶしていた。

　でも重さは全く感じられなかった。

　トラって軽いんだ・・・

　「シンジ。くどいようだけど、お前にブラスバンドはあってない。運動神経の固まりのようなお前が何で芸術なんかに興味を示すんだよ。さ、バスケ部に来い。」

　桜木君は僕にそう言ってきた。

　その目は、まるで夢見る乙女のようだ。

　この身長で、その顔で、その目・・・で「ロリ」さん。

　怖すぎるよ。

　「で、でも。僕は音楽が好きなんだよぉ。」

　僕は、苦笑いを浮かべながらそう答えた。

　「うっとしいしい人間やっちゃなぁ。」

　トラがつぶやいた。

　実は、僕もそう思っていたりした。

　「ほら、１限目がはじまるよ。」

　赤木君に僕は言った。

　「バカシンジ〜。おはよう。」

　「おはようっ。碇君。」

　見るとアスカと綾波が立っていた。

　「ね！ね！！碇君。昨日のこと嘘だなんて信じられないよ。」

　綾波が僕の方に近づいてきて言った。

　僕は、少し困った表情を浮かべた。

　「レイったら！夢に決まってじゃない！バッカじゃないの？」

　アスカが綾波に軽い口調でいった。

　「そうかなぁ、アスカ。」

　綾波がそう答えた。

　「なにさ、泣きながら抱きついてきたくせに・・・」

　僕は小さくつぶやいた。

　「何かいったかしら？バカシンジ。」

　アスカが聞いてきた。

　なんで、あんなに小さい声を聞こえるんだろう？

　「な、何も言ってないよ。」

　僕は、あわてて答えた。

　「ふん。」

　アスカはそう言うと僕から顔を背けた。

　「さ、レイ、委員長でしょ。そんなのといると遅れるわよ。」

　アスカは綾波にそう言った。

　「うん、じゃね。」

　僕の目の前にいた綾波が、僕に向かってそう言った。

　「うん、それじゃ。でも、どこに行くの？」

　「ほらぁ、旧校舎にトラックが止まっているでしょ。あれ、社会科で使う資料を運んできたんだって。それで、私達図書委員が旧校舎の中に運ぶことになったんだ。」

　「そうなんだ・・・」

　「ほら、レイ行くわよ。」

　「うん。」

　「シンジ。惣流さんに綾波さんか・・・。構内屈指の美女２人と親しげにしやがって・・・。だいたい家の晴子はどうしたんだよ。」

　赤木君がそう言った。

　赤木君の家の春子ちゃんは確かにかわいい。

　でも晴子ちゃんはまだ、小学校１年生だ。

　「ほう、で、おのれもあいつらのことを好きやってゆうこっちゃな。」

　トラが僕の背中でそう言う。

　な、なにを言ってるんだこのバカ妖怪は。

　僕はトラのことをどついた。

　「わ、わいはただ、おのれの本心を・・・」

　くどいぞ、とら。

　僕はまたトラのことをどついた。

　「テレかくしに槍でぶつことないやないか。」

　「うるさいよ。トラには関係ない事じゃないか。」

　僕はまたトラをどつく。

　１人で槍を振り回しているにしか見えない人が不思議そうに僕のことを見ていた。　

　ここは旧校舎。

　「ほらさっさと運ぶわよ。」

　アスカがそう言って石の鎧の前に立った。

　「そ、それにしても不気味ねぇ。」

　その鎧を見れば誰だってそう思うはずだ。

　とにかく不気味な鎧が腰掛ける状態でそこにいた。

　「ん〜。どれどれ。」

　アスカがそう言って鎧を見た。

　その時、鎧の目が光った。

　「きゃ〜。」

　アスカが後ろにのけぞった。

　そして図書委員の女の子達が見守る中、鎧が・・・石の鎧が音を立てて動き出した。

　僕は１限目の授業を受けていた。

　１限目は社会科だ。

　トラは真剣に先生の話を聞いていた。

　「こんなのおもしろいの？」

　僕はトラに聞いた。

　「おもろいわ。わいは３０年もおのれの家の蔵の地下におったんやで。そやから人間の話でもおもろいわ。阪神がその間に何回優勝したかも知りたいしな。」

　トラがそう答えた。

　阪神の優勝回数は、社会科の授業では言わないと思うよ、トラ。

　きぃ〜ん

　その時、槍が鳴った。

　正確に言えば、僕の頭の中に響いたんだ。

　「うわっ。」

　僕は思わず叫んだ。

　「どうしちゃったのん？シンちゃん。」

　「かま」な事で有名な野崎先生が僕に話しかける。

　僕はそんな野崎先生を無視して席を立った。

　槍が教えてくれた。

　「旧校舎・・・」

　そして僕は槍を手に取ると、教室を飛び出したんだ。

　ダダダダダ

　階段を全力で下りる。

　僕は、全速で走った。

　そして旧校舎前についた。

　旧校舎の前で僕とトラが目にしたのは・・・

　制服の半分が石になった図書委員の女の子だった・・・。

・・・第１章　其の弐「ケダモノの槍発揮」へ続く

　予想を反して「しんじととら」が好評でした。なんとメール、ゲストブック合わせて８通も頂けました。

　しかも、そのうち６通は連載して欲しいとのことでした。ってワケで連載しますね。

　お手紙を下さった方々、本当にありがとうございます。

　それで、今回の内容はどうだったでしょうか？今回のは、「うしおととら」をちゃんと見ながら制作しました。（前作は自分の記憶だよりだった。）　だから、細々としたとこは前作より詳しいかと・・・。内容的に少々シリアスかなっ（？）て思っています。およびタイトルも「うしおととら」と似せてみました。

　それでは。またお手紙などを頂けるとうれしいです。

Helo