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一万人大感謝記念投稿読み切り小説

『めぞんねるふ』

とにかくおめでとうの巻き

「イヤだーーーーもう出ていくーーー」

真っ青という言葉を具現化した空に切実で悲しげな遠吠えが響きわたった。
電線にとまっていた雀達が慌ててその場を離れる。近くのゴミ置き場で朝の食事をしている常連らしいカラスは「ケッ」と気にとめる様子はない。つまりいつもの事だった。

「まあまあ、シンちゃん。ほうら落ち着いて、一杯やろ。元気出るわよー」
『5号室』と書いてある部屋から飛び出そうとする彼を後ろから掴んではなさないのはミサトという30目前の女性である。タンクトップにホットパンツという出で立ちで朝っから缶ビールを飲みまくっている辺りが一般的ではない。

「・・・じゃあ、そうすれば・・・・」
冷たく言い放ったのは周りからレイと呼ばれている少女だった。それにも関わらずミサトと同じように缶ビールを手にしている辺りが普通ではない。

「あんたバカア?毎回同じ事言ってんじゃないわよ。ホント鬱陶しい男ねー!!」
そう悪態をつきながら側に転がっているビールの空き缶を投げつけたのはアスカという女の子だ。彼女もまたビールを手にしていることからレイと同じくまともではない。

「また逃げるのか・・・お前には失望した」
髭面で陰険な目つきで彼を睨んだのはゲンドウという一升瓶を小脇に抱えた40代後半の中年親父だ。何が嬉しいのか詰め襟の制服を着ている辺りが尋常ではない。

「イヤだっていったのに・・・僕はイヤだっていったのに」
6畳一間に五人の人間が詰めているがこの部屋の本来の住人であるシンジは愚痴り始めた。もちろんそれ以外の面々も自分の部屋を持っているが宴会のためにこの部屋に入り浸っていた。ちなみに宴会は昨晩から延々と続いている。
中学三年という高校受験を控えたシンジにとってこれは既に拷問であった。しかも今に始まった事ではない。シンジがこの下宿屋に入居してから延々と繰り返されているのだ。
さらに下戸であるシンジにとって(っていうか中学生だろ、お前は!!)彼らは悪魔の申し子か、あるいは悪魔そのものに見えているかもしれない。

「何ブツクサ言ってんのよ。ほら飲めーーーーーーーーーーーー」
「ガボッグブッゲボッゴボッ」

ミサトはシンジの口に缶ビールをつっこむと彼の鼻をつまみそのまま流し込んだ。
(良い子はまねをしないように)
「へへへ、飲めるじゃない、バッカシンジ。さーもう一本行ってみよー。ひいっひひひ」
「飲めるのね・・・そう、良かったわね・・・」

アスカとレイの手の中にはそれぞれ新たな缶ビールが握られていた。この三人も徹夜なので目が既に怪しい方向にイっている。
「よく飲んだな・・・シンジ」
ゲンドウは次に日本酒を飲ませようと言うのか酒瓶を握る手に力がこもる。
彼の目もイっているがこれは普段からなので徹夜は関係ない。

シンジ以外は楽しそうな宴会が繰り広げられている部屋にノックする音が響いた。
この下宿屋にノックなどという洒落たことをするのは一人しかいない。そのお陰でシンジはミサトに幾度となく絶対に見られたくない場面を目撃されている。

「何よじじい!!何か用。ああん、ほら言ってみな」
既に精神汚染の始まったアスカが入ってきた人物に絡み始めた。柄が悪いったらありゃしない。
「じいさんは用済み、じいさんは用済み、じいさんは用済み、じいさんは用済み・・・」壊れたレコードのように笑いながら繰り返すのはレイ。徹夜で既に壊れかけている。
「冬月か。今は宴会中だぞ、何の用だ・・・」
一見まともそうだがあまりまともではない質問を返したのはゲンドウだった。が、ここの管理人である冬月は全員に用が有るようだ。
「このアパートに新しい管理人が来るのでな・・・紹介しようと思ったんだが」
「新しい管理人????」
「私も年だからな・・・君らの相手は疲れるのだよ」


彼女がその建物を目にするといささか驚いた。

・・・よくもまあ、こんな前時代的な物が残ってたわね・・・

築何年たっているか既に不明。木造二階建てのアパート。アパートと言うより下宿屋だ。
巨大な時計が付いているが既に沈黙を保ったまま十年以上過ぎている。
彼女がその建物の前まで来ると朽ちかけた看板が塀に掛けられているのに気が付いた。

『ねるふ館』

それがこの腐りかかった建造物の名前らしい。手にしたメモにもそう書かれている。
「ここね・・・・」
さして臆する様子もなく彼女はその敷地に入っていった。


「彼女が新たな管理人、赤城リツコさんだ」

ゲンドウは思った
・・・冬月め、新たにシナリオを書き換たな。冬月の癖に生意気だぞ・・・

アスカの感想
・・・けけけけけけけけデーハーな女ねーヒャッヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ
重度の精神汚染

レイの気持ち ・・・ばあさん、ばあさん、ばあさん、ばあさん、ばあさん、ばあさん、ばあさん・・・
完全に崩壊

ミサトの考え
・・・いけ好かないやつねー。金髪!!染めてんのね、白髪隠しよきっと・・・

シンジの願い
・・・何でもいいよ・・・・まともな人なら・・・・僕に優しくしてよ・・・

五人の十個の目玉がそれぞれの思いを秘めながらリツコに向けられている。かなり異様な目つきの五人だった。ヤクザだって近寄りたがらない。

「初めまして、赤城リツコです。これからよろしくお願いします」
この面々に囲まれてあっさりと挨拶をすます所など、ただ者ではない。相当場数を踏んでいるようだ。

「すまんなあ、リツコさん。押しつけるように頼んでしまって・・・」
「かまいませんわ、どうせ暇ですから」

冬月は引継を済ませると早々に立ち去った。ここに長居はしたくないらしい。

「それじゃあ、夜っから新管理人さんの歓迎会といっきましょう!!」
やたらハイなミサトがそう宣言すると
「ああ、最優先事項だ・・・」
とのゲンドウの言葉で昨夜から続いた『題名のない宴会』はここに終わりを告げた。
「やっぱ徹夜はちょっちきついわねー」
「げひょひょひょひょ」
「用済み用済み用済み用済み・・・」
それぞれがそれぞれの言葉を残しそれぞれの部屋、ミサトは6号室、ゲンドウは4号室、アスカとレイは1号室に帰ると夜の宴会に向けて一眠りする事にしたのだった。

玄関にはシンジと管理人になったリツコの二人が残された。
「ずいぶん変わった人たちねえ」
「そんなもんじゃないんです・・・」
シンジの言葉は重い。徹夜につき合わされた為か目は充血し土気色の顔がただでさえ陰気な少年をより暗く演出した。なぜかスポットライトが彼を浮かび上がらせる。
「誰も僕のことなんか・・・いらないんだ・・・いらない子なんだ・・・」

・・・何なの・・このガキは・・・

未だにブツクサ言っているシンジを眺めながらリツコはさっさと管理人室に入っていった。これからの準備を始めなきゃいけないからだ。

「誰か僕に優しくしてよ・・・・」
まだブツクサ言ってやがる・・・・・・。


部屋の中は既に窓から射し込む夕日で赤く模様替えされていた。
今少したてば元の部屋に戻る。ほんの僅かな時間の模様替え・・・・。

シンジはこの時間が好きだった。窓の外には数多くの建て売り住宅が並び、その奥には
大きめのマンションが建っている。
夕方では分からないが昼間見れば壁の色は薄いながらも深みのある緑。回りの木々に溶けこみながらもしっかりと自己主張している。
いわゆる高級マンションだ。噂では管理も隅々まで行き届いているらしい。
今時風呂無し、共同トイレ、極悪住人つきの下宿屋に住む彼は、いつもそのマンションを憧れのまなざしで眺めていた。
窓からそれを眺めるシンジの姿は、牢獄から自由な大地に憧れる囚人に見え(ミサト談)、数多くの人々の涙を誘った。

コンコン

ノックの音が響いた。さっきも言ったようにシンジの部屋をノックするのは管理人だけである。
「いいかしら?」
「あ、はい。どうぞ。空いてますから」
彼の部屋に入ってきたのはやはり管理人のリツコであった。

「さっきはご免なさいね、忙しかったから。ちょっと気になったの」
「あ、いえ、こちらこそろくに挨拶しなくて・・・」
「暇?そうなら少し話をしない?」
「は、はい」

リツコは片づいている、と言うより家財道具の少ない部屋の真ん中に置いてある小さなテーブルの脇に座った。
「綺麗にしてるのね・・・男の子だから散らかしてるかと思った」
「いえ・・さっきまで散らかってたんですけど・・・今片づけないと、また宴会だから」宴会とはむろんリツコの歓迎会だ。とは言ってもそれは名目上と言うやつ、何か理由が欲しかっただけの事に過ぎない。

リツコの染め上げた金髪が夕日の染まり微妙な色合いを見せる。シンジのこよなく愛する時間帯。

・・・まともに日が入るのね、この部屋・・・夏は暑くてしょうがないわよ・・・

そう思いつつも口にしたのは別のことだった。
「どう、ここの生活。あなた一人暮らしなんでしょ?楽しくて仕方ないんじゃない?」
「楽しいって・・・・そんなの・・・べつに・・・」
先程と同じように暗く落ち込むシンジ。またもブツクサ言い始めたのでリツコは慌てて遮った。鬱陶しくてかなわないからだ。
「あ、あのね、うーん・・・何かあるの?」

何かあるの?
そんな優しい言葉をかけられたのはここへ来て以来、初めてだった。思わず涙ぐむ。
「な、何よ、あたしじゃないわよ・・・泣かしたの・・・どうしたのよ」
「うっ、な、何でもありません。・・ただ優しくして貰ったの・・・初めてだから・・」

・・・優しく????あたしがいつ優しくしたって言うのこのガキャ・・・

リツコは疑問に思った。まさかあれだけのことで涙流すとは思いもするまい。気を取り直すと今度こそ優しく問いかけた。
「ね、お姉さんに話してごらんなさい。いい子だから」
子供をあやすようにシンジに話しかける。それにしても『お姉さん』てこたあるまい。
効果は予想以上だった。
「あうううう!!イヤだっていったのに・・僕はイヤだっていったのに」
今までの経過を号泣しながらリツコにぶちまけた。
自分は来年高校受験という事、それなのにみんながここで宴会をする事、それもほぼ毎晩という事、下戸なのに無理矢理飲ませる事、ちなみにアスカとレイはクラスメイトという事等々あふれ出す泉のように不満が溢れてくる。

リツコは思わず涙ぐむ。
・・なんて可哀想な子なんでしょうそんな悲惨な目にあってたなんて・・・
さっきまで『クソガキ』と言うレッテルを貼ったシンジがとても愛おしく思える。
俗に言う『少年の純粋な涙』と言うやつに当たったようだ。
「いいわ!!お姉さんに任せなさい!!二度とシンジ君に手を出させないわよ!!」
そう宣言するとシンジを見つめた。彼女は泣き落としに弱い様だ。

・・・それにしてもあくまでお姉さんで通すらしい。

リツコは管理人室に持ち込んだノートパソコンに向かっていた。一心不乱にキーボードを叩き続ける。液晶カラーモニターを凄まじい勢いで文字が流れていく。
やがて最後にこう題名を付けた。
「住人補完計画」


シンジは再び窓の外を眺めていた。
月明かりに浮かび上がる夜の景色は心を落ち着かせる。その中にはシンジの憧れのマンション『めぞんEVA』がその建築美を浮かび上がらせている。
・・・住んでみたいなあ・・・あんな所に一度でいいから・・・
各階の部屋に灯った明かりの中にきっと幸せな生活があるに違いない、シンジはいつもそう思っていた。

ガチャッ

いきなりドアが開いたがさほど驚きもしない。いつもの事だ。
そこには缶ビールを箱ごと担いだミサトとつまみ各種を持っているアスカ、何やら得体の知れない微笑みを浮かべているレイが立っていた。

「なーに不景気な顔してんのよ、ほらさっさと封を開けな!!」
シンジにつまみを投げつけアスカはそう命じた。
「ほうーらシンちゃんの大好きなビールでちゅよー、お口あーん」
既に幾分酔っている30まで秒読みのミサト。
「・・・嬉しいのね・・・」
相変わらず訳の分からないレイ。
この三人は余所の人が見れば美人と美少女に確実に分類される。が、シンジにしてみればどんな醜悪な顔でも、たとえ人間でなくてもこの三人よりはましだ・・・と思ってはいるが口にしない。彼だって命が惜しい。

ゴソ

4号室側の壁には穴が空いている。空けられたのだ。
そこから這い出してきた人物によって。
「何をしている早く飲め・・・でなければ帰れ。この宴会に飲めないやつは不要だ!」
帰れって言われてもここはシンジの部屋だ。どうすることもできない。

いそいそと皆が宴会の支度をしているその後ろにリツコは立っていた。なぜ白衣を着ているのか・・・不気味である。
彼女はシンジに近づくとそっと耳打ちをした。
「・・・もう少しの辛抱よ・・・お姉さんを信じて・・・」
相変わらず自分を図々しい呼び方で呼びながらも、その言葉はシンジにとって女神の囁きの様だった。

宴会がそして始まる・・・・。
抱きしめた一升瓶のカタチ・・・はともかく一瞬にしてアルコールの臭いが充満する。
「新しい管理人さんに・・かんっぱーい」
一気に飲み干すミサトとアスカとレイ。(お前ら中学生だろうが・・・良い子は絶対にまねをしないように。倒れます)
ゲンドウは日本酒党らしい。ちびちびとやっている。
リツコは沈黙を保ったままだ。そんな彼女を見つるシンジ。今はまだだれも壊れていない。

3時間経過

「何よあんたはー、あーん?あたしのシンちゃんにベタベタしないでよねー」
「ゲヘヘヘヘねえ、年考えたらーひゃっひゃっひゃっバカア」
「何バーさん、なに見てんの・・・あたし貴方より若いわよ・・・」
「お前には失望した・・・二度と会うことはあるまい」

人間・・・ここまで壊れたくはない。
彼らが必要としたのは管理人としてのリツコではなく酒の席を盛り上げるための彼女だ。
今まで冬月が彼らの生贄だったが彼は代わりのモノを彼らに差し出したのだ。
ちなみにシンジは生贄どころか主食だ。

血管を浮かび上がらせながらも顔だけはニッコリとさせていた。

「住人補完計画」
それは「ねるふ館」の住人達に欠けたモノを互いに補完し合う・・・とは言っても欠けているのは常識であり補完し合うにしたって、そんな上等なモノを持ってなどいなかった。
「だから・・・壊すの・・・にくいから」
さぞかしそうしたかったろうがグッと堪えるリツコ。
それに壊すったってすでに壊れている・・・。
だから・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・作り直す、最初から。

「グオオオガオオオオゲオオオオオオオ・・・・」
「スピーーーーーーーーーあんたバカア・・・・」
「ムニャムニャ・・・ゲンドウの浮気者・・・・」
「ユイ、捨てないでくれ!俺が悪かった・・・・」

汚いいびきと楽しい寝言を口にしながら1.4.6号室の住人達は熟睡した。
リツコ手製の睡眠薬が酒に混ざっているからだ。実際には効果がアルコールにより強く出るためこんな事をすれば無事ではすまない。が、リツコは気にする様子もなかった。
構わない・・・別に。そのための補完計画なのだ。

「これは・・・・・」
リツコに誘われるがまま管理人室に入ったシンジは目の前の光景に言葉を失った。
「・・・人は神様を拾った・・・うんぬんかんぬん」
何か呟きながらリツコは眠らせた住人達を部屋に運び込むとシンジに訪ねる。
「人格移植OSって知ってる?」
「?」
「人格を一回フォーマットしてもう一度そこに別の人格を書き込むの。その為のソフト」
「それって違うんじゃ・・・」
「いいのよ、ここじゃ。とにかくそれを使うの」

そう言うとリツコはパソコンの電源を入れた。
ピッ
ウイイイイイイイイイン
ガシャガシャ
『しばらくお待ち下さい』
チャラーンチャララ
彼女はシステムが立ち上がると画面のアイコンをダブルクリックする。
砂時計が表示され・・・
『人格移植システム・アダム君バージョン3.11』
『試用期間が過ぎました。登録をして下さい』
「何ケチ臭いこと言ってるのよ、ダミーコードっと」
やがて画面上に補完計画の要のアダム君が立ち上がった。
彼女は床に並んだ四人の姿を眺めた。
パソコン画面の光は彼女の顔だけを下から浮かび上がらせている・・・・。
彼女は微笑んでいた。


シンジが目を覚ますと何やら見慣れぬモノが立っていた。
「あ、起きたの。おはよう、もう朝食の支度が出来るから顔洗ってきて」
立っていたのは信じられない事にミサトだった。
「あ、あの・・・何してるんですか?」
「朝食作ってるの。今までのお詫びにね・・・・」
全く邪気のないすがすがしい笑顔。シンジは初めて彼女のそんな顔を見た。
・・・これが補完計画の成果か・・・
とりあえず逆らわずに大人しく従うことにする。どう転ぶかまだ分からない。作者の陰謀かもしれないからだ。
並べられた朝食を眺め、進められるがまま恐る恐る口にする。以前に無理矢理食べさせられ意識不明の重体になった事があるのだ。
「・・・・・美味しい!」
「嬉しいわ、シンジ君」
とても30に後一歩の女性とは思えないほど若々しく綺麗な笑顔を見せた。

朝食を済ませ、学校に行くため部屋を出ると二人の少女が待っていた。
「シンジ君。一緒に行こ」
「シンジ君・・・一緒に行きたいの・・・」
アスカとレイがシンジを待っていた。それにしてもシンジ君とは・・・。今まで
「このバカシンジ、さっさと朝飯作れってんだよ!!グズ!!」
「あたしお腹空いてるの・・・早くして・・・のろま」
などとシンジをこき使っていた二人がいきなり豹変したのだ。さらに驚くことに
「シンジ君、あたしお弁当作ったの、良かったら食べて」
「・・・夕飯はあたしが作るわ・・・食べてくれると嬉しい・・・」
などとのたまうモノだからシンジは思わずひきつけを起こしかけた。
落ち着いてくると今度は、世の中こんな幸せがあったのかと思わず目頭が熱くなる。

玄関から表にでるとさらに驚くべき事が起きていた。
「お早うございます」
アスカとレイはその人物に明るく挨拶を交わした。
「あら、お早うございます。今度受験でしょ、三人共がんばって下さいね」
ひよこの絵の付いた桃色のエプロンを身につけ、玄関先を竹ぼうきで早朝から掃いていたのはゲンドウだった・・・。

「これが貴方の望んだ世界・・・一つの終局のカタチ・・・」
シンジを呼び止めたリツコはそう語った。
「僕の望んだ世界・・・これが・・・」
「そう、貴方が望んだのよ。みんなに優しくされる事をね」
「そんなに大げさなことなんですか・・・・」
シンジは訝しげにリツコを見つめる。だが彼ではリツコの表情から何も読みとれなかった。
みんなが優しくしてくれるアパート。
・・・僕は好きになれるかもしれない!ここに居てもいいんだ!!・・・
などとお約束な事を考えながら急にニコニコし始めている。
どーでもいいがそれって自己欺瞞だねってやつじゃないかと思うのだが。

「行きましょ、シンジ君」
シンジの手を取り、楽しそうに学校へ向かうアスカとシンジとレイ。
シンジは今まで味わえなかった普通の生活、普通の幸せを味わおうとしていた。
「本当に楽しそうですわ、いいわね」
掃き掃除が終わったのかゲンドウは、目を細め彼らの後ろ姿を見送った。

リツコはちっと舌を鳴らし不本意そうな顔をする。

・・・こいつだけは失敗したわ、全く不様もいいところね・・・

管理人室にあるパソコンの近くにゲンドウの人格変更用のデータベースが置かれていた。
本来はミサトに使用する筈だったのだがカッコつけて部屋を暗くしたもんで間違えたらしい。
一冊の本。古本屋の値札が付いたままだ。そこにはこう書かれていた。

『めぞん一刻』

終わり

・・・・・・・・・[つづく]です!


ミサト「なによこれ・・・こんな事のために・・・」
アスカ「作者ってバカア?何なのよ!!一体!!」
シンジ「だから一万人記念企画だって・・・・
アスカ「これが記念て言えるの!?」
ミサト「言えないわね」
シンジ「これじゃあ送られた管理人さんも読んだ皆さんも迷惑だよ」
レイ 「・・・彼・・・読み切りって初めてだから・・・悩んだみたい」
アスカ「慣れない事するからよ!!「26ストーリー」ちゃんと書けばいいのよ!!」
シンジ「そうだよ。調子に乗るからいけないんだ・・・」
ミサト「まあまあ、管理人さんにメール出しちゃったのよ、あのバカ。一万人記念書くか らって」
アスカ「呆れたわね!!それでこれ?それに尻切れトンボもいい所じゃない」
シンジ「元々は投稿連載予定だった『EVAめぞん一刻モノ』だったんだけど無理矢理話 を詰めたんだよ」
レイ 「でも・・・出してしまったのだから仕方ないわ」
ミサト「そうね、とにかくお礼しましょう、皆様方にね」

ミサト、シンジ、アスカ、レイ、ついでに作者
「本当にお読みいただきありがとうございました。こんな駄作をとお怒りの方も居られるでしょうが当人(作者)も一生懸命書いてました。何せ読みきりというのがこんなに難しいとは・・・・まだまだ修行が足りませんね。いずれもう少し修行してがんばりたいと思いますのでお見捨てにならず見守ってやって下さい。」

作者「本当にお読みいただきありがとうございました。26ストーリーの方もがんばり ますのでよろしくお願いします。それでは26ストーリー三話でお会いしましょう」

ディオネア

ご意見・感想・誤字情報・バカア・などは dionaea@ps.ksky.ne.jpまで送ってやってあげて下さい。

 10000HIT記念SSをありがとうディオネアさん!

 いいですね−!!
 これぞ「めぞんEVA」ですよ!!

 四谷さんも!、朱美さんも!、あの・・名前忘れましたが、おばさんも!
 みんな出てきてますよね。

 タイトルだけ「めぞん」を使っている私の連載よりずっと「めぞん」してます!

 読み切りだなんて言わずに連載して欲しい!!!
 メチャメチャおきに!! です。

 出だしから
 「一般的ではない」「普通ではない」「まともではない」「尋常ではない」
  なんて、リズミカルで一気に引き込まれましたよ!

 とても「26ストーリー」が処女作の人とは思えませんよ。

 読者の皆さんもディオネアさんに「連載してくれ−」の嘆願を!!!


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